JP4443016B2 - エンジンの気筒判別装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、信号へのノイズ混入や信号瞬断に対しても、より確実性の高い気筒を制御対象気筒とするエンジンの気筒判別装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、多気筒エンジンにおいては、気筒に対応して点火時期や燃料噴射の制御タイミングを決定しており、クランク軸に対して設置したセンサからのクランク角に対応する信号と、カム軸に対して設置したセンサからの気筒判別信号との2系統の信号を処理して気筒を判別している。この気筒判別に際しては、誤判別による誤った気筒への燃料噴射や点火を防止する対策が重要であり、このため、従来から種々の提案がなされている。
【0003】
例えば、特開平11−343919号公報には、各気筒の行程位相差毎の気筒判別信号に基づく前回の気筒判別結果から今回の気筒判別結果を予測し、予測した気筒判別結果と気筒判別信号に基づく気筒判別結果とを比較し、両者が異なるときには、予測した結果を今回の気筒判別結果とすることで、気筒判別信号にノイズが重畳しても誤った気筒への燃料噴射や点火を回避する技術が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の先行技術では、気筒判別信号にノイズが混入した場合には、正しい気筒判別を維持できるものの、各気筒の行程位相差毎に出力される基準信号(クランク角に対応した信号)にノイズが混入したり、瞬断による基準信号の信号抜けが発生したような場合には、気筒の推定に誤りを生じる可能性があり、誤った気筒に対して燃料噴射や点火を行なう虞がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、クランク角に対応した信号及び気筒判別信号の何れにノイズ混入や信号瞬断が発生した場合においても、より確実性の高い気筒を燃料噴射や点火の対象としてエンジンの不具合を未然に防止することのできるエンジンの気筒判別装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するため課題】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、エンジンのクランク角に対応した信号と、該信号間で気筒グループを識別するための追加信号とを発生する第1の信号発生手段と、上記第1の信号発生手段で発生する信号間で、気筒に対応した気筒判別信号を発生する第2の信号発生手段と、上記第1信号発生手段の信号間における上記気筒判別信号の状態に基づいて気筒を判別する気筒判別手段と、上記エンジンの燃焼行程順に基づいて、上記気筒判別手段で判別した気筒の次の気筒を推定する気筒推定手段と、上記第1の信号発生手段で発生する信号の信号間隔の変化に基づいて上記気筒グループを判別するグループ判別手段と、上記エンジンの燃焼行程順に基づいて、上記グループ判別手段で判別した気筒グループの次の気筒グループを推定するグループ推定手段と、上記気筒推定手段で推定した前回の気筒推定結果と、上記気筒判別手段で判別した今回の気筒判別結果とから気筒判別結果の異常を判定する気筒判別異常判定手段と、上記グループ推定手段で推定した前回の気筒グループ推定結果と、上記グループ判別手段で判別した今回の気筒グループ判別結果とから気筒グループ判別結果の異常を判定するグループ判別異常判定手段と、上記グループ判別異常判定手段の判定結果が正常である場合、上記気筒判別異常判定手段の判定結果に応じて、上記気筒判別手段で判別した今回の気筒と上記気筒推定手段で前回推定した今回の気筒とから制御対象とする気筒を確定する気筒確定手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、上記気筒確定手段は、上記気筒判別異常判定手段の判定結果と上記グループ判別異常判定手段の判定結果とが共に異常の場合、或いは上記グループ判別異常判定手段の判定結果が異常の場合、上記気筒判別手段の判別結果及び上記グループ判別手段の判別結果を初期化することを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、上記気筒確定手段は、上記気筒判別異常判定手段による判定結果が異常の場合、異常判定結果が連続して設定回数に達するまでは上記気筒推定手段で前回推定した今回の気筒を制御対象とする気筒として確定し、異常判定結果が連続して設定回数以上となった場合、上記気筒判別手段で判別した今回の気筒を制御対象とする気筒として確定、或いは上記気筒判別手段の判別結果及び上記グループ判別手段の判別結果を初期化することを特徴とする。
【0010】
すなわち、請求項1記載の発明は、エンジンのクランク角に対応した信号と該信号間で気筒グループを識別するための追加信号とからなる信号列の信号間における気筒判別信号の状態に基づいて気筒を判別し、判別した気筒の次の気筒をエンジンの燃焼行程順に基づいて推定する。また、エンジンのクランク角に対応した信号と該信号間で気筒グループを識別するための追加信号とからなる信号列における信号間隔の変化に基づいて気筒グループを判別し、判別した気筒グループの次の気筒グループをエンジンの燃焼行程順に基づいて推定する。そして、前回の気筒推定結果と今回の気筒判別結果とから気筒判別結果の異常を判定すると共に、前回の気筒グループの推定結果と今回の気筒グループの判別結果とから気筒グループの判別結果の異常を判定し、気筒グループの判別結果が正常である場合、気筒判別結果の異常判定結果に応じ、今回判別した気筒と前回推定した今回の気筒とから制御対象とする気筒を確定する。
【0012】
請求項2記載の発明は、気筒判別結果とグループ判別結果とが共に異常の場合、或いはグループ判別結果が異常の場合、気筒判別結果及びグループ判別結果を初期化する。
【0013】
請求項3記載の発明は、気筒判別結果が異常の場合、異常が連続して設定回数に達するまでは前回推定した今回の気筒を制御対象とする気筒として確定し、異常が連続して設定回数以上となった場合、今回の気筒を制御対象とする気筒として確定、或いは気筒判別結果及びグループ判別結果を初期化する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1〜図9は本発明の実施の第1形態に係わり、図1はエンジン制御系の全体図、図2はクランクロータとクランク角センサの正面図、図3はカムロータとカム角センサの正面図、図4はクランク角センサ信号とカム角センサ信号との関係を示すタイムチャート、図5は気筒判別に係わる機能ブロック図、図6は気筒判別・推定ルーチンのフローチャート、図7はカム角センサ信号数計測ルーチンのフローチャート、図8はグループ判別・推定ルーチンのフローチャート、図9は気筒確定ルーチンのフローチャートである。
【0015】
図1において、符号1はエンジン(図1においては、直列4気筒型自然吸気式エンジン)であり、このエンジン1のシリンダヘッド2に形成された各吸気ポート2aにインテークマニホルド3が連通されている。インテークマニホルド3には、各気筒の吸気通路が集合するエアチャンバ4を介して吸気管5が連通され、吸気管5の吸入空気取入れ口側に、エアクリーナ6が取付けられている。
【0016】
また、吸気管5にはスロットルボディ7が取付けられ、このスロットルボディ7の吸気通路にスロットル弁8が介装されている。スロットルボディ7には、スロットル弁8の上流側と下流側とを連通するバイパス通路が形成されており、このバイパス通路に、冷却水温が低いとき開弁し、エンジン冷態始動時及び暖機運転中に必要な量の空気をスロットル弁8をバイパスさせて燃焼室に供給してファーストアイドル制御を行なうためのサーモエアバルブ9が介装されている。
【0017】
また、インテークマニホルド3の各気筒の各吸気ポート2a直上流側にインジェクタ10が臨まされ、デリバリパイプ11に連通されている。デリバリパイプ11には、プレッシャレギュレータ12が取付けられており、図示しない燃料ポンプによって燃料供給ライン13からデリバリパイプ11内に圧送される燃料がプレッシャレギュレータ12で調圧されて燃料リターンライン14から燃料タンク15に戻され、デリバリパイプ11内の燃料圧力すなわちインジェクタ10への燃料供給圧力が設定圧力に調圧される。
【0018】
燃料タンク15は、燃料タンク15内で発生した蒸発燃料を吸気系にパージするため、その上部からパージ通路16が延出され、万一の車両横転による燃料漏れを防止するためのロールオーババルブ17及び2ウェイバルブ18を経て活性炭等からなる吸着部を備えたキャニスタ19に連通されている。パージ通路16のキャニスタ19下流側は、チェックバルブ20を介してスロットルボディ7の吸気通路(スロットル弁8が全閉状態でスロットル弁8の直下流位置)に連通されている。
【0019】
また、エンジン1のクランク室に連通するブローバイガス通路21がシリンダヘッド2から延出され、エアクリーナ6の直上流側に連通されている。シリンダヘッド2には、各気筒毎に、その放電電極部を燃焼室に露呈する点火プラグ22が配設されている。本形態のエンジン1では、同一の気筒グループに属する2つの気筒に対して1つの点火コイルを設置する同時点火方式を採用しており、#1,#4気筒を#1グループ、#2,#3気筒を#2グループとして、各グループ毎にイグナイタを内蔵する点火コイル23が備えられ、点火プラグ22に接続されている。更に、シリンダヘッド2の各排気ポート2bに連通するエグゾーストマニホルド24の合流部に、触媒コンバータ25が介装され、図示しない排気管に連通されている。
【0020】
一方、符号50は、マイクロコンピュータ等からなる電子制御装置(ECU)である。ECU50は、内部のメモリに記憶されている制御プログラムに従って、センサ類で検出した運転状態に基づいてインジェクタ10や点火コイル23に内蔵されるイグナイタ等のアクチュエータ類に対する制御量を演算し、燃料噴射制御、点火時期制御等のエンジン制御を行う。
【0021】
ECU50に接続されるセンサ類としては、エアチャンバ4に、スロットル弁8下流の吸気管圧力を絶対圧で検出する吸気管圧力センサ30がフィルタ31を介して取付けられ、シリンダヘッド2に設けられた冷却水通路2cに冷却水温センサ32が臨まされている。また、触媒コンバータ25の直上流側には、O2センサ33が配設されている。
【0022】
また、エンジン1のクランク軸1aに軸着するクランクロータ34の外周に、ホール素子等の磁気センサからなるクランク角センサ35が対設されている。更に、クランク軸1aに対して1/2回転するカム軸1bに軸着するカムロータ36の外周に、ホール素子等の磁気センサからなるカム角センサ37が対設されている。尚、クランクロータ34及びクランク角センサ35によって本発明の第1の信号発生手段が構成され、カムロータ36及びカム角センサ37によって本発明の第2の信号発生手段が構成される。
【0023】
クランクロータ34は、図2に示すように、その外周に2個の凹部34aと1個の凹部34bが形成されている。本形態では、凹部34aが各気筒(#1,#4気筒と#2,#3気筒)のBTDC(圧縮上死点前)65°〜BTDC15°に対応して配設され、凹部34bが#1グループ(#1,#4気筒)のATDC(圧縮上死点後)0°〜ATDC20°に対応して配設されている。尚、以下、クランク角の表示として、BTDCをB、ATDCをAで表すと共に角度の単位記号”°”を省略して略記(例えば、BTDC65°はB65、ATDC20°はA20)する。
【0024】
図3に示すように、カムロータ36の外周には、4個の凹部36a、2個の凹部36b、3個の凹部36c、1個の凹部36dが形成されている。本形態では、4個の凹部36aが#1気筒のB205〜B190、B175〜B160、B145〜B130、B115〜B100に対応して配設され、2個の凹部36bが#2気筒のB145〜B130、B115〜B100に対応して配設されている。更に、3個の凹部36cが#4気筒のB175〜B160、B145〜B130、B115〜B100に対応して配設され、1個の凹部36dが#3気筒のB115〜B100に対応して配設されている。
【0025】
そして、エンジン運転に伴いクランク軸1a及びカム軸1bが回転してクランクロータ34及びカムロータ36が回転すると、クランクロータ34の各凹部34a、34bがクランク角センサ35で検出され、カムロータ36の各凹部36a,36b,36c,36dがカム角センサ37で検出される。本形態では、クランク角センサ35でクランクロータ34の凹部34a、34bを検出したとき、ハイレベルのパルス信号CRが出力され、カム角センサ37でカムロータ36の凹部36a,36b,36c,36dを検出したとき、ハイレベルのパルス信号CAMが出力される。
【0026】
すなわち、図4のタイムチャートに示すように、クランク角センサ35からは、各気筒のB65〜B15に対応するパルス幅の信号、#1,#4気筒のA0〜A20に対応するパルス幅の信号が出力される。このA0〜A20に対応するパルス幅の信号は、気筒グループを判別するための追加的な信号である。また、カム角センサ37からは、#1気筒のB205〜B190に対応するパルス幅、B175〜B160に対応するパルス幅、B145〜B130に対応するパルス幅、B115〜B100に対応するパルス幅の4個の信号、#2気筒のB145〜B130に対応するパルス幅、B115〜B100に対応するパルス幅の2個の信号、#4気筒のB175〜B160に対応するパルス幅、B145〜B130に対応するパルス幅、B115〜B100に対応するパルス幅の3個の信号、#3気筒のB115〜B100に対応するパルス幅の1個の信号が出力される。
【0027】
ECU50においては、クランク角センサ35から出力されるパルス信号の入力間隔時間に基づいてエンジン回転数を算出すると共に、クランク角センサ35からのパルス信号、及びカム角センサ37からのパルス信号に基づいて燃料噴射対象気筒や点火対象気筒を気筒判別し、また、クランク角センサ35から出力されるグループ判別用のパルス信号を識別して気筒グループを判別する。同時に、気筒判別結果から次の気筒を推定すると共にグループ判別結果から次の気筒グループを推定し、気筒判別結果、グループ判別結果、気筒推定結果、グループ推定結果に基づいて異常の有無を調べ、点火或いは燃料噴射の制御対象とする気筒(制御気筒)を確定する。
【0028】
ECU50の気筒判別に係わる機能は、図5に示すように、気筒判別部(気筒判別手段)51、気筒推定部(気筒推定手段)52、気筒判別異常判定部(気筒判別異常判定手段)53、グループ判別部(グループ判別手段)54、グループ推定部(グループ推定手段)55、グループ判別異常判定部(グループ判別異常判定手段)56、気筒確定部(気筒確定手段)57によって代表される。
【0029】
気筒判別部51は、クランク角センサ35からのパルス信号の前回の立ち上がりエッジから今回の立ち上がりエッジまでに入力されるカム角センサ37からのパルス信号の個数をチェックし、その個数に応じて気筒判別(クランク角を含む)を行なう。すなわち、図4のタイムチャートに示すように、クランク角センサ35からのパルス信号CRの前回の立ち上がりエッジから今回の立ち上がりエッジまでに入力されるカム角センサ37からのパルス信号CAMの個数を調べることにより、今回入力されたクランク角センサ35のパルス信号CRの立ち上がりエッジが何れの気筒のB65に対応する立ち上がりエッジであるかを識別することができ、以下に示すように気筒判別結果を得る。
CAM 判別気筒及びクランク角
1個 #3気筒のB65
2個 #2気筒のB65
3個 #4気筒のB65
4個 #1気筒のB65
【0030】
気筒推定部52は、各気筒の燃焼行程順に基づいて、今回の気筒判別結果から次の気筒を推定する。本形態においては、各気筒の燃焼行程順は、以下の示す順であり、従って、今回判別した気筒が#1気筒である場合には次の気筒は#3気筒、今回判別した気筒が#3気筒である場合には次の気筒は#4気筒、今回判別した気筒が#4気筒である場合には次の気筒は#2気筒、今回判別した気筒が#2気筒である場合には次の気筒は#1気筒であると推定する。
【0031】
また、気筒判別異常判定部53は、前回の気筒推定結果と今回の気筒判別結果とを比較し、異常の有無を判定する。すなわち、前回の気筒推定結果と今回の気筒判別結果とが一致している場合、気筒判別は正常であると判定し、両者が一致しない場合には、ノイズの混入によってカム角センサ37の入力信号数を誤計数する等して前回或いは今回の気筒判別に誤判別を生じ、気筒判別結果が異常であると判定する。
【0032】
グループ判別部54は、クランク角センサ35から出力されるパルス信号間隔の変化から追加的なグループ判別用のパルス信号を識別し、気筒グループ(クランク角を含む)を判別する。図4のタイムチャートに示すように、グループ判別用のパルス信号は、#1グループ(#1,#4気筒)のA0〜A20に対応して出力されるため、パルス信号間隔として、前前回の入力信号の立ち下がりエッジから前回の入力信号の立ち下がりエッジまでの間隔と、前回の入力信号の立ち下がりエッジから今回の入力信号の立ち下がりエッジまでの間隔とを比較することにより、通常のB65〜B15のパルス信号と、グループ判別用のA0〜A20のパルス信号とを識別することができる。すなわち、クランク角センサ35の信号の立ち下がりエッジは、#1グループ(#1,#4気筒)のB15,A20、#2グループ(#2,#3気筒)のB15の3種類であり、エッジ間隔が急激に広がった場合には#2グループのB15に対応する立ち下がりエッジ、エッジ間隔が急激に小さくなった場合には#1グループのA20に対応する立ち下がりエッジ、それ以外では#1グループのB15に対応する立ち下がりエッジであると識別する。
【0033】
グループ推定部55は、気筒推定部52と同様、各気筒の燃焼行程順に基づいて、今回のグループ判別結果から次の気筒グループを推定する。すなわち、図4のタイムチャートから明らかなように、クランク角センサ35の信号の立ち下がりエッジに着目すると、気筒グループ順は、以下の順であり、今回判別した気筒グループが#1グループのA20である場合には次の気筒グループは#2グループのB15、今回判別した気筒グループが#2グループのB15である場合には次の気筒グループは#1グループのB15、今回判別した気筒グループが#1グループのB15である場合には次の気筒グループは同じグループ(#1グループ)のA20であると推定する。
【0034】
グループ判別異常判定部56は、前回のグループ推定結果と今回のグループ判別結果とを比較し、異常の有無を判定する。すなわち、前回のグループ推定結果と今回のグループ判別結果とが一致している場合、グループ判別は正常であると判定し、両者が一致しない場合には、クランク角センサ35からの信号にノイズ等が混入して前回或いは今回のグループ判別に誤判別を生じ、グループ判別結果が異常であると判定する。
【0035】
気筒確定部57は、気筒判別異常判定部53からの気筒判別における異常の有無、グループ判別異常判定部56からのグループ判別における異常の有無に応じ、気筒判別部51による気筒判別結果、気筒推定部52による気筒推定結果、グループ判別部54によるグループ判別結果、グループ推定部55によるグループ推定結果に基づいて制御気筒を確定する。本形態においては、同一の気筒グループに属する2つの気筒に対して1つの点火コイルを設置する同時点火方式を採用しているため、気筒グループの判別が正しく行なわれていれば、誤った気筒に対して点火を行なうことはなく、万一、誤った気筒に対して燃料噴射を行なってもトルクショックや応答性の悪化を招くものの、エンジン1に重大な不具合を招くことはない。
【0036】
従って、気筒判別結果及びグループ判別結果が正常である場合には、気筒判別部51で判別された気筒を制御気筒とするが、グループ判別結果のみが正常で気筒判別結果が異常である場合には、気筒推定部52で推定した気筒に対して燃料噴射を行なうと共に、グループ判別部54で判別した気筒グループに対して点火を行なう。また、気筒判別結果が設定回数(例えば、3回)連続して異常の場合、或いは、グループ判別結果が異常の場合には、一旦、気筒判別及びグループ判別の判定を取り消して点火及び燃料噴射を休止すると共に、気筒判別部51、グループ判別部54に指示し、次からのクランク角センサ35及びカム角センサ37からの信号に基づいて新たに気筒判別及びグループ判別をやり直させる。
【0037】
以下、ECU50によって実行される気筒確定に係る処理について、図6〜図9に示すフローチャートを用いて説明する。
【0038】
図6は、システムイニシャライズ後、クランク角センサ35から出力されるパルス信号CRの立ち上がりエッジで割込み実行される気筒判別・推定ルーチンであり、先ず、ステップS001でカウント値CAMCNTが1であるか否かを調べる。このカウント値CAMCNTは、カム角センサ37からの信号CAMの入力数を計数するものであり、カム角センサ37からの信号入力毎に割込み実行される図7のカム角センサ信号数計測ルーチンによってカウントアップされる。すなわち、カム角センサ37からの信号入力毎に、カム角センサ信号数計測ルーチンのステップS015でカウント値CAMCNTをカウントアップして(CAMCNT←CAMCNT+1)ルーチンを抜ける処理が繰り返される。
【0039】
尚、カウント値CAMCNTは、後述するように、気筒判別・推定ルーチンにおいて、1回の気筒判別・気筒推定が終了する毎に0にクリアされる。すなわち、カウント値CAMCNTは、クランク角センサ35から出力されるパルス信号CRの立ち上がりエッジ間でカウントされ、1回の気筒判別・推定毎にクリアされる。
【0040】
そして、気筒判別ルーチンのステップS001において、カウント値CAMCNTの値がCAMCNT=1の場合には、ステップS005へ進み、今回の入力信号の立ち上がりエッジは、#3気筒のB65に対応する立ち上がりエッジであると判定する。次に、ステップS006へ進み、今回の気筒判別結果(#3気筒)に基づいて次の気筒を#4気筒と推定する。次回気筒の推定は、以下に示すように、今回判別した気筒に対する次の気筒を、燃焼行程順に基づいて予めテーブルに格納しておき、このテーブルを参照して次の気筒を推定する。そして、ステップS013へ進んで、次回の判定のためにカウント値CAMCNTを0に初期化し(CAMCNT←0)、ルーチンを抜ける。
【0041】
また、ステップS001において、CAMCNT≠1の場合には、ステップS001からステップS002へ進み、カウント値CAMCNTが2か否かを調べる。その結果、CAMCNT≠2の場合にはステップS003へ進み、CAMCNT=2の場合、ステップS007へ進んで、今回の入力信号の立ち上がりエッジは#2気筒のB65に対応する立ち上がりエッジであると判別し、ステップS008で、今回の気筒判別結果である#2気筒に基づいてテーブルを参照して、次の気筒を#1気筒と推定する。そして、前述のステップS013でカウント値CAMCNTを初期化してルーチンを抜ける。
【0042】
一方、CAMCNT≠2でステップ003へ進んだ場合には、ステップS003でカウント値CAMCNTが3か否かを調べる。そして、CAMCNT=3の場合、ステップS009へ進んで、今回の入力信号の立ち上がりエッジは#4気筒のB65に対応する立ち上がりエッジであると判別し、ステップS010で、今回の気筒判別結果である#4気筒に基づいてテーブルを参照して次の気筒を#2気筒と推定する。そして、前述のステップS013でカウント値CAMCNTを初期化してルーチンを抜ける。
【0043】
また、ステップS003においてCAMCNT≠3の場合には、ステップS004へ進み、カウント値CAMCNTが4か否かを調べる。そして、CAMCNT≠4の場合、そのままステップS013へ進んでカウント値CAMCNTを初期化してルーチンを抜け、CAMCNT=4の場合、ステップS011で、今回の入力信号の立ち上がりエッジは#1気筒のB65に対応する立ち上がりエッジであると判別し、ステップS012で、今回の気筒判別結果である#1気筒に基づいてテーブルを参照して次の気筒を#3気筒と推定する。そして、前述のステップS013でカウント値CAMCNTを初期化してルーチンを抜ける。
【0044】
次に、クランク角センサ35から出力されるパルス信号CRの立ち下がりエッジで図8のグループ判別・推定ルーチンが割込み実行される。このルーチンでは、先ず、ステップS101で、前前回のクランク角センサ35の信号の立ち下がりエッジから前回のクランク角センサ35の信号の立ち下がりエッジまでの間隔Toldと、前回のクランク角センサ35の信号の立ち下がりエッジから今回のクランク角センサ35の信号の立ち下がりエッジまでの間隔Tnewとの比率Told/Tnewを定数K1と比較する。
【0045】
定数K1は、クランク角センサ35から出力されるパルス信号列におけるグループ判別用の信号から通常の信号への移行を識別するための判定閾値である。すなわち、#1グループ(#1,#4気筒)のB15に対応する信号の立ち下がりエッジからA20に対応する信号の立ち下がりエッジまでの間隔P1と、#1グループ(#1,#4気筒)のA20に対応する信号の立ち下がりエッジから#2グループ(#2,#3気筒)のB15に対応する信号の立ち下がりエッジまでの間隔P2との比率P1/P2を、クランクロータ34の寸法バラツキや取付け誤差、クランク角センサ35の特性バラツキ等を考慮して予めシミュレーション或いは実験等によって求め、判定のための若干の余裕を設けて定数K1としてECU50のメモリにストアしておく。
【0046】
その結果、Told/Tnew<K1の場合、すなわちクランク角センサ35の信号間隔が急激に広がった場合には、ステップS101からステップS102へ進んで、今回のクランク角センサ35の信号入力は、#2グループ(#2,#3気筒)のB15の立ち下がりエッジであると判定する。そして、ステップS103へ進み、今回の気筒グループの判別結果である#2グループのB15に基づいてテーブルを参照し、次の気筒グループに対応するクランク角センサ35の信号の立ち下がりエッジは、#1グループ(#1,#4気筒)のB15であると推定してルーチンを抜ける。テーブルには、以下に示すように、今回判別した気筒グループに対する次の気筒グループが燃焼行程順に基づいて予め格納されており、このテーブルを参照して次回気筒グループを推定する。
【0047】
一方、ステップS101において、Told/Tnew≧K1の場合には、ステップS101から104へ進み、比率Told/Tnewを予め設定された定数K2と比較する。定数K2は、定数K1に対し、クランク角センサ35から出力されるパルス信号列における通常の信号からグループ判別用の信号への移行を識別するための判定閾値である。すなわち、#2グループ(#2,#3気筒)のB15に対応する信号の立ち下がりエッジから#1グループ(#1,#4気筒)のB15に対応する信号の立ち下がりエッジまでの間隔P3と、#1グループ(#1,#4気筒)のB15に対応する信号の立ち下がりエッジからA20に対応する信号の立ち下がりエッジまでの間隔P1との比率P3/P1を、クランクロータ34の寸法バラツキや取付け誤差、クランク角センサ35の特性バラツキ等を考慮して予めシミュレーション或いは実験等によって求め、判定のための若干の余裕を設けて定数K2としてECU50のメモリにストアしておく。
【0048】
そして、Told/Tnew>K2の場合、すなわち、クランク角センサ35の信号エッジ間隔が急激に小さくなった場合には、ステップS104からステップS105へ進み、今回のクランク角センサ35の信号入力は、#1グループのA20の立ち下がりエッジであると判定する。そして、ステップS106で、今回の気筒グループの判別結果である#1グループのA20に基づいてテーブルを参照し、次の気筒グループに対応するクランク角センサ35の信号の立ち下がりエッジは#2グループのB15であると推定してルーチンを抜ける。
【0049】
また、ステップS104において、Told/Tnew≦K2の場合、すなわち、K1≦Told/Tnew≦K2の場合には、ステップS107へ進み、今回のクランク角センサ35の信号入力は、#1グループのB15の立ち下がりエッジであると判定する。そして、ステップS108で、今回の気筒グループの判別結果である#1グループのB15に基づいてテーブルを参照し、次の気筒グループに対応するクランク角センサ35の信号の立ち下がりエッジは、#1グループのA20であると推定してルーチンを抜ける。
【0050】
以上の気筒判別及び推定結果、気筒グループ判別及び推定結果は、所定の制御タイミング毎に実行される図9の気筒確定ルーチンで参照される。このルーチンでは、先ず、ステップS201で、最新の気筒グループの判別結果と、この気筒グループを先のタイミングで推定した推定結果とを比較し、両者が一致するか否かを調べる。
【0051】
その結果、気筒グループの判別結果と推定結果とが一致せず、グループ判別結果が異常であると判断される場合には、ステップS202へ進んで、気筒判別及びグループ判別の判別結果を初期化して一旦判定を取り消し、ルーチンを抜ける。これにより、点火、燃料噴射を休止すると共に、次のクランク角センサ35及びカム角センサ37からの入力に基づいて新たに気筒判別及びグループ判別をやり直す。
【0052】
また、気筒グループの判別結果と推定結果とが一致する場合には、ステップS201からステップS203へ進み、最新の気筒判別結果と、この気筒を先のタイミングで推定した推定結果とを比較し、両者が一致するか否かを調べる。そして、気筒の判別結果と推定結果とが一致して正常に気筒判別が行われている場合には、ステップS207で、気筒判別結果が連続して異常と判断される毎にカウントアップされるカウント値CYLCHKCNTを0にクリアし(CLYCHKCNT←0)、ステップS208で、判別気筒を制御気筒として確定し、ルーチンを抜ける。
【0053】
一方、ステップS203において、気筒の判別結果と推定結果とが一致せず、気筒判別結果が異常であると判断される場合には、ステップS204でカウント値CYLCHKCNTが3以上か否か、すなわち3回以上連続して気筒判別結果が異常となっているか否かを調べる。そして、CYLCHKCNT≧3の場合、ステップS204から前述のステップS202へ進んで気筒判別及びグループ判別の判別結果を初期化してルーチンを抜ける。
【0054】
また、CLYCHKCNT<3の場合、ステップS204からステップS205へ進んでカウント値CLYCHKCNTをカウントアップし(CLYCHKCNT←CLYCHKCNT+1)、ステップS206で、推定した気筒を制御気筒として確定し、ルーチンを抜ける。
【0056】
すなわち、気筒判別とグループ判別とを互いに独立して行ない、それぞれの判別結果の異常の有無を調べることで、クランク角センサ35の信号やカム角センサ37の信号にノイズが混入したり、信号の瞬断が発生した場合においても、気筒判別結果及びグループ判別結果の正当性を総合的に判断することができ、より確実性の高い気筒を制御気筒とすることができる。
【0057】
また、同時点火方式を採用する本形態のエンジン1に対しては、影響の大きいグループ判別結果を常にチェックし、グループ判別結果が異常と判断されるときには、気筒判別及びグループ判別をやり直すので、確実にエンジン1の不具合発生を防止することができる。
【0058】
図10は本発明の実施の第2形態に係わり、気筒確定ルーチンのフローチャートである。
【0059】
第2形態は、前述の第1形態に対し、気筒毎に点火コイルを設置して気筒毎に点火を行なう方式や、ディストリビュータによって点火配電を行なう方式に対応するものである。すなわち、気筒毎に点火コイルを設置して気筒毎に点火を行なう方式のエンジンでは、気筒グループの判別情報のみでは正しい気筒に点火を行なうことができず、また、ディストリビュータによって点火配電を行なう方式のエンジンでは点火気筒を確定する必要がなく、誤った気筒に対して点火を行なう虞がない。
【0060】
このため、第2形態では、気筒確定部57の機能を若干変更し、気筒判別結果が正常であれば、グループ判別結果を調べることなく判別気筒を制御気筒として確定する。すなわち、図10に示す気筒確定ルーチンにおいて、先ず、ステップS301で気筒判別結果が異常か否かを調べ、気筒判別結果が正常である場合には、ステップS302で判別気筒を制御気筒として確定してルーチンを抜ける。
【0061】
一方、ステップS301において、気筒判別結果が異常である場合には、ステップS303へ進んで、更にグループ判別結果が異常か否かを調べる。そして、グループ判別結果が異常である場合、すなわち気筒判別結果とグループ判別結果の双方が異常である場合には、ステップS303からステップS305へ進んで気筒判別結果及びグループ判別の判別結果を全て初期化してルーチンを抜ける。これにより、点火、燃料噴射を休止すると共に、次のクランク角センサ35及びカム角センサ37からの入力に基づいて新たに気筒判別及びグループ判別をやり直す。
【0062】
また、ステップS303において、グループ判別結果が正常である場合、すなわち気筒判別結果は異常であるもののグループ判別結果は正常である場合には、カム角センサ37の信号へのノイズ混入或いはカム角センサ37の信号の瞬断が発生して気筒判別が異常になったと考えられるため、ステップS304へ進み、前回の気筒判別結果から推定された推定された推定気筒を制御気筒として確定し、ルーチンを抜ける。
【0063】
第2形態においては、前述の第1形態に対し、不必要な気筒判別のやり直しを抑制することができ、判別のやり直しの期間、燃料噴射や点火が停止することによるトルクショックの発生を必要最小限に抑えることができる。
【0064】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、クランク角に対応した信号及び気筒判別信号の何れにノイズ混入や信号瞬断が発生した場合においても、より確実性の高い気筒を燃料噴射や点火の対象気筒としてエンジンの不具合を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の第1形態に係わり、エンジン制御系の全体図
【図2】同上、クランクロータとクランク角センサの正面図
【図3】同上、カムロータとカム角センサの正面図
【図4】同上、クランク角センサ信号とカム角センサ信号との関係を示すタイムチャート
【図5】同上、気筒判別に係わる機能ブロック図
【図6】同上、気筒判別・推定ルーチンのフローチャート
【図7】同上、カム角センサ信号数計測ルーチンのフローチャート
【図8】同上、グループ判別・推定ルーチンのフローチャート
【図9】同上、気筒確定ルーチンのフローチャート
【図10】本発明の実施の第2形態に係わり、気筒確定ルーチンのフローチャート
【符号の説明】
1 エンジン
34 クランクロータ(第1の信号発生手段)
35 クランク角センサ(第1の信号発生手段)
36 カムロータ(第2の信号発生手段)
37 カム角センサ(第2の信号発生手段)
50 電子制御装置(気筒判別手段、気筒推定手段、グループ判別手段、グループ推定手段、気筒判別異常判定手段、グループ判別異常判定手段、気筒確定手段)
Claims (3)
- エンジンのクランク角に対応した信号と、該信号間で気筒グループを識別するための追加信号とを発生する第1の信号発生手段と、
上記第1の信号発生手段で発生する信号間で、気筒に対応した気筒判別信号を発生する第2の信号発生手段と、
上記第1信号発生手段の信号間における上記気筒判別信号の状態に基づいて気筒を判別する気筒判別手段と、
上記エンジンの燃焼行程順に基づいて、上記気筒判別手段で判別した気筒の次の気筒を推定する気筒推定手段と、
上記第1の信号発生手段で発生する信号の信号間隔の変化に基づいて上記気筒グループを判別するグループ判別手段と、
上記エンジンの燃焼行程順に基づいて、上記グループ判別手段で判別した気筒グループの次の気筒グループを推定するグループ推定手段と、
上記気筒推定手段で推定した前回の気筒推定結果と、上記気筒判別手段で判別した今回の気筒判別結果とから気筒判別結果の異常を判定する気筒判別異常判定手段と、
上記グループ推定手段で推定した前回の気筒グループ推定結果と、上記グループ判別手段で判別した今回の気筒グループ判別結果とから気筒グループ判別結果の異常を判定するグループ判別異常判定手段と、
上記グループ判別異常判定手段の判定結果が正常である場合、上記気筒判別異常判定手段の判定結果に応じて、上記気筒判別手段で判別した今回の気筒と上記気筒推定手段で前回推定した今回の気筒とから制御対象とする気筒を確定する気筒確定手段と
を備えたことを特徴とするエンジンの気筒判別装置。 - 上記気筒確定手段は、
上記気筒判別異常判定手段の判定結果と上記グループ判別異常判定手段の判定結果とが共に異常の場合、或いは上記グループ判別異常判定手段の判定結果が異常の場合、上記気筒判別手段の判別結果及び上記グループ判別手段の判別結果を初期化することを特徴とする請求項1記載のエンジンの気筒判別装置。 - 上記気筒確定手段は、
上記気筒判別異常判定手段による判定結果が異常の場合、異常判定結果が連続して設定回数に達するまでは上記気筒推定手段で前回推定した今回の気筒を制御対象とする気筒として確定し、異常判定結果が連続して設定回数以上となった場合、上記気筒判別手段で判別した今回の気筒を制御対象とする気筒として確定、或いは上記気筒判別手段の判別結果及び上記グループ判別手段の判別結果を初期化することを特徴とする請求項1又は2記載のエンジンの気筒判別装置。
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