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JP4444851B2 - 車両用操舵装置 - Google Patents
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Description

この発明は、車両用操舵装置に関するものである。
運転者の操舵に関する負担を軽減する装置として、運転者がステアリングホイールを操作したときに操舵力をアシストする周知のパワーステアリング装置や、車両進行方向道路の車線を検知し該車線に沿って車両を走行させるように自動的に操舵を制御する自動操舵装置(以下、レーンキープ・アシストシステムと称す)が知られている。
また、前記パワーステアリング装置と前記レーンキープ・アシストシステムの両方の装置を備えた車両においては、パワーステアリング装置による操舵アシスト制御とレーンキープ・アシストシステムによるレーンキープアシスト制御が干渉して操舵フィーリングが低下する虞がある。
これを防止するために、特許文献1に記載の技術では、運転者からの入力である操舵トルクの大きさに応じて、操舵アシスト制御とレーンキープアシスト制御の配分を変更することで、両制御の干渉を防止している。
特開2000−142441号公報
ところで、パワーステアリング装置には、車両に横風等の外乱が作用したときに車両偏向抑制性能を高めるために、車両挙動を抑制する方向に操舵反力を発生させる反力制御を付加したものがある。この反力制御では、例えば車両の挙動をヨーレートから判定しヨーレート値に応じて操舵反力を決定している。
このような反力制御を行うパワーステアリング装置とレーンキープ・アシストシステムとを同時に作動させると、反力制御とレーンキープアシスト制御が干渉して操舵フィーリングが低下する虞がある。
例えば、車両が直進しているときに車線が曲がる場合に、レーンキープアシスト制御によって車線に沿って車両が曲がって走行すると、車線の曲率に応じてヨーレートが発生する。この時にヨーレートに基づく反力制御が実行されると、ヨーレートの発生を抑制する方向に操舵アシストが行われるため、反力制御による操舵アシストがレーンキープアシスト制御による操舵アシストを阻害する虞がある。
また、操舵角に応じて操舵反力を発生させる反力制御を行うパワーステアリング装置とレーンキープ・アシストシステムとを同時に作動させたときにも、同様の課題がある。
なお、前記特許文献1に記載のパワーステアリング装置は反力制御機能を備えていないので、このような課題は生じなかった。
さらに、左右輪の路面との摩擦係数の差によって生じる車両のモーメントを抑制するように操舵を制御するスプリットμ路キャンセル制御とレーンキープアシスト制御とを同時に実行したときにも、スプリットμ路キャンセル制御とレーンキープアシスト制御が干渉して操舵フィーリングが低下する虞がある。すなわち、レーンキープアシス制御によって車線に沿って車両が曲がって走行しているときにスプリットμ路キャンセル制御が実行されると、スプリットμ路キャンセル制御による操舵アシストがレーンキープアシスト制御による操舵アシストを阻害する虞がある。
そこで、この発明は、車両挙動反力制御または操舵角反力制御またはスプリットμ路キャンセル制御と、レーンキープ・アシスト制御との干渉を防止することができる車両用操舵装置を提供するものである。
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、車両進行方向道路の車線を検知し該車線に沿って車両を走行させるように自動的に操舵を制御する自動操舵制御部(例えば、後述する実施例におけるレーンキープアシスト制御部34)と、車両挙動に応じて操舵反力を制御する車両挙動反力制御部(例えば、後述する実施例におけるヨーレート反力制御部32)と、を備え、前記自動操舵制御部が作動しているときには前記車両挙動反力制御部の作動を抑制し、前記自動操舵制御部を作動させている状態から前記自動操舵制御部を作動させない状態に切り替えるとき及び前記自動操舵制御部を作動させない状態から前記自動操舵制御部を作動させる状態に切り替えるときは、前記車両挙動反力制御部の作動の抑制量を時間経過に伴って徐々に変化させることを特徴とする車両用操舵装置である。
このように構成することにより、自動操舵制御部と車両挙動反力制御部との干渉を全くなくすか、あるいは弱めることができるので、自動操舵制御部の作動によって生じる車両の挙動に対する操舵反力の発生をなくしたりあるいは低減することができる。
また、自動操舵制御部を作動させている状態から自動操舵制御部を作動させない状態に切り替えるとき及び自動操舵制御部を作動させない状態から自動操舵制御部を作動させる状態に切り替えるときに、操舵フィーリングに違和感が感じられないようにすることができ、操舵フィーリングが向上する。
請求項2に係る発明は、車両進行方向道路の車線を検知し該車線に沿って車両を走行させるように自動的に操舵を制御する自動操舵制御部(例えば、後述する実施例におけるレーンキープアシスト制御部34)と、操舵角に応じて操舵反力を制御する操舵角反力制御部(例えば、後述する実施例における操舵角補正反力制御部37)と、を備え、前記自動操舵制御部が作動しているときには前記操舵角反力制御部の作動を抑制し、前記自動操舵制御部を作動させている状態から前記自動操舵制御部を作動させない状態に切り替えるとき及び前記自動操舵制御部を作動させない状態から前記自動操舵制御部を作動させる状態に切り替えるときは、前記操舵角反力制御部の作動の抑制量を時間経過に伴って徐々に変化させることを特徴とする車両用操舵装置である。
このように構成することにより、自動操舵制御部と操舵角反力制御部との干渉を全くなくすか、あるいは弱めることができるので、自動操舵制御部の作動によって生じる操舵角に対する操舵反力の発生をなくしたりあるいは低減することができる。
また、自動操舵制御部を作動させている状態から自動操舵制御部を作動させない状態に切り替えるとき及び自動操舵制御部を作動させない状態から自動操舵制御部を作動させる状態に切り替えるときに、操舵フィーリングに違和感が感じられないようにすることができ、操舵フィーリングが向上する。
請求項3に係る発明は、車両進行方向道路の車線を検知し該車線に沿って車両を走行させるように自動的に操舵を制御する自動操舵制御部(例えば、後述する実施例におけるレーンキープアシスト制御部34)と、左右輪の路面との摩擦係数の差によって生じる車両のモーメントを打ち消すように操舵を制御するスプリットμ路キャンセル制御部(例えば、後述する実施例におけるスプリットμ路キャンセル制御部38)と、を備え、前記自動操舵制御部が作動しているときには前記スプリットμ路キャンセル制御部の作動を抑制し、前記自動操舵制御部を作動させている状態から前記自動操舵制御部を作動させない状態に切り替えるとき及び前記自動操舵制御部を作動させない状態から前記自動操舵制御部を作動させる状態に切り替えるときは、前記スプリットμ路キャンセル制御部の作動の抑制量を時間経過に伴って徐々に変化させることを特徴とする車両用操舵装置である。
このように構成することにより、自動操舵制御部とスプリットμ路キャンセル制御部との干渉を全くなくすか、あるいは弱めることができる。
また、自動操舵制御部を作動させている状態から自動操舵制御部を作動させない状態に切り替えるとき及び自動操舵制御部を作動させない状態から自動操舵制御部を作動させる状態に切り替えるときに、操舵フィーリングに違和感が感じられないようにすることができ、操舵フィーリングが向上する。
請求項1に係る発明によれば、自動操舵制御部の作動によって生じる車両の挙動に対する操舵反力の発生をなくしたりあるいは低減することができるので、自動操舵時の操舵フィーリングが向上する。また、自動操舵制御部を作動させている状態から自動操舵制御部を作動させない状態に切り替えるとき及び自動操舵制御部を作動させない状態から自動操舵制御部を作動させる状態に切り替えるときに、操舵フィーリングに違和感が感じられないようにすることができ、操舵フィーリングが向上する。
請求項2に係る発明によれば、自動操舵制御部の作動によって生じる操舵角に対する操舵反力の発生をなくしたりあるいは低減することができるので、自動操舵時の操舵フィーリングが向上する。また、自動操舵制御部を作動させている状態から自動操舵制御部を作動させない状態に切り替えるとき及び自動操舵制御部を作動させない状態から自動操舵制御部を作動させる状態に切り替えるときに、操舵フィーリングに違和感が感じられないようにすることができ、操舵フィーリングが向上する。
請求項3に係る発明によれば、自動操舵制御部とスプリットμ路キャンセル制御部との干渉を全くなくすか、あるいは弱めることができるので、自動操舵時の操舵フィーリングが向上する。また、自動操舵制御部を作動させている状態から自動操舵制御部を作動させない状態に切り替えるとき及び自動操舵制御部を作動させない状態から自動操舵制御部を作動させる状態に切り替えるときに、操舵フィーリングに違和感が感じられないようにすることができ、操舵フィーリングが向上する。
以下、この発明に係る車両用操舵装置の実施例を図1から図10の図面を参照して説明する。
〔実施例1〕
初めに、図1から図5の図面を参照して実施例1の車両用操舵装置を説明する。
図1に示すように、この車両用操舵装置は手動操舵力発生機構1を備えており、この手動操舵力発生機構1は、ステアリングホイール(操作子)3に一体結合されたステアリングシャフト4が、ユニバーサルジョイントを有する連結軸5を介してラック&ピニオン機構のピニオン6に連結されて構成されている。ピニオン6は、車幅方向に往復動し得るラック軸7のラック7aに噛合し、ラック軸7の両端には、タイロッド8,8を介して転舵輪としての左右の前輪9,9が連結されている。この構成により、ステアリングホイール3の操舵時に通常のラック&ピニオン式の転舵操作が可能であり、前輪9,9を転舵させて車両の向きを変えることができる。ラック軸7とタイロッド8,8は転舵機構を構成する。
また、ラック軸7と同軸上に、手動操舵力発生機構1による操舵力を軽減するための補助操舵力を供給する電動機(アクチュエータ)10が配設されている。この電動機10により供給される補助操舵力は、ラック軸7に対してほぼ平行に設けられたボールねじ機構12を介して推力に変換され、ラック軸7に作用せしめられる。そのために、ラック軸7を挿通させた電動機10のロータに駆動側ヘリカルギヤ11を一体的設け、この駆動側ヘリカルギヤ11に噛合する従動側ヘリカルギヤ13を、ボールねじ機構12のスクリューシャフト12aの一端に設け、ボールねじ機構12のナット14をラック7に固定している。
ステアリングシャフト4には、ステアリングシャフト4の操舵角を検出するための操舵角センサ15が設けられ、前記ラック&ピニオン機構(6,7a)を収容するステアリングギアボックス(図示略)内には、ピニオン6に作用する操舵トルクを検出するための操舵トルクセンサ(操舵トルク検出手段)16が設けられている。操舵角センサ15は検出した操舵角に対応する電気信号を、操舵トルクセンサ16は検出した操舵トルクに対応する電気信号を、それぞれステアリング制御装置20に出力する。
また、車体の適所には、各車輪の車輪速を検出するための車輪速センサ17と、車両のヨーレートを検出するためのヨーレートセンサ(ヨーレート検出手段)18と、車速を検出するための車速センサ19と、が取り付けられている。各車輪速センサ17は各車輪速に対応する電気信号を、ヨーレートセンサ18は検出したヨーレートに対応する電気信号を、車速センサ19は検出した車速に対応した電気信号を、それぞれステアリング制御装置20に出力する。
また、この車両は、レーンキープ・アシストシステムを備えており、車両前方を撮影するCCDカメラ(図示略)から出力される画像信号をコンピュータによって画像処理し、道路上の道路区分線(白線)を抽出して、自車両の進行方向道路の車線を検知し、該車線に沿って車両を走行させるように自動的に操舵を制御することができるようにされている。以下、車線に沿って車両を走行させることをレーンキープという。このレーンキープのための自動操舵も電動機10によって行われ、そのために、レーンキープ・アシストシステムの制御装置(以下、レーンキープアシスト制御装置という)23からステアリング制御装置20に、レーンキープに必要な制御量に応じた電気信号が出力される。
レーンキープ・アシストシステムは、作動(ON)、非作動(OFF)を選択するためのモード切替スイッチ22を備えており、モード切替スイッチ22はそのON,OFF信号をステアリング制御装置20およびレーンキープアシスト制御装置23に出力する。
そして、ステアリング制御装置20は、これらセンサ15〜19、モード切替スイッチ22、レーンキープアシスト制御装置23からの入力信号を処理して電動機10に供給すべき目標電流を決定し、駆動回路21を介して電動機10に供給することにより電動機10の出力トルクを制御する。
次に、図2の制御ブロック図を参照して、この実施例2における電動機10の出力制御を説明する。
ステアリング制御装置20は、電動パワーステアリングアシスト制御部31、ヨーレート反力制御部(車両挙動反力制御部)32、レーンキープアシストモード判断部33、レーンキープアシスト制御部(自動操舵制御部)34、目標電流演算部35、出力電流制御部36を備えている。
電動パワーステアリングアシスト制御部31は、運転者の操舵力を補助する操舵アシスト制御を行うもので、操舵トルクセンサ16と車速センサ19の各出力信号に基づいて、運転者の操舵力を補助するアシストトルクに対応する目標電流(以下、アシスト目標電流という)Iaを決定する。電動パワーステアリングアシスト制御部31におけるアシスト目標電流Iaの決定方法は公知の電動パワーステアリングと同じであるので詳細説明は省略するが、概略、操舵トルクが大きくなるにしたがってアシスト目標電流Iaが大きくなり、車速が大きくなるにしたがってアシスト目標電流Iaが小さくなるように設定される。
ヨーレート反力制御部32は、車両のヨーレートを抑制するヨーレート反力制御を行うもので、ヨーレートセンサ18と車速センサ19の各出力信号に基づいて、車両のヨーレートを抑制するトルク(以下、ヨーレート反力トルクという)に対応する目標電流(以下、ヨーレート反力目標電流という)Iyを決定する。つまり、この実施例1では、ヨーレートγを車両挙動のパラメータとして採用し、ヨーレートを抑制する方向に反力トルク(操舵反力)を発生させている。図3はヨーレート反力制御部32におけるヨーレート反力目標電流Iyの算出処理を示しており、ヨーレートセンサ18の出力信号(ヨーレートγ)に基づきヨーレート反力ゲインテーブル32aを参照してゲインGyを算出し、車速センサ19の出力信号(車速V)に基づき車速係数テーブル32bを参照して車速係数Kyを算出し、これらを乗じてヨーレート反力目標電流Iyを求める(Iy=Gy×Ky)。ヨーレート反力ゲインテーブル32aはヨーレートγが大きくなるほどゲインGyが大きくなるように設定されており、車速係数テーブル32bは車速Vが大きくなるほど係数Kyが大きくなるように設定されている。したがって、ヨーレートγが大きいほど、換言すると車両挙動が大きいほど、反力トルク(挙動反力)が大きくなるように設定される。
レーンキープアシストモード判断部33は、モード切替スイッチ22がON(レーンキープ・アシストシステム作動)かOFF(レーンキープ・アシストシステム非作動)かを判定し、その判定結果をモード切替フラグとして目標電流演算部35に出力する。
レーンキープアシスト制御部34は、レーンキープアシスト制御装置23の出力信号に基づいて、レーンキープに必要なトルクに対応する目標電流(以下、レーンキープアシスト目標電流という)ILを決定する。
目標電流演算部35は、電動パワーステアリングアシスト制御部31により決定されたアシスト目標電流Iaと、ヨーレート反力制御部32により決定されたヨーレート反力目標電流Iyと、レーンキープアシストモード判断部33の判定結果(モード切替フラグ)と、レーンキープアシスト制御部34により決定されたレーンキープアシスト目標電流ILに基づいて、電動機10の目標電流Itを算出する。
出力電流制御部36は、電動機10の実電流が目標電流演算部35により決定された目標電流Itに一致するように電動機10への出力電流を制御し、駆動回路21に出力する。
ここで、この実施例1では、レーンキープ・アシストシステムを作動させない通常制御モードのときにはヨーレート反力制御部32の作動を通常通り行い(以下、ヨーレート反力通常制御という)、レーンキープ・アシストシステムを作動するレーンキープアシスト制御モードのときにはヨーレート反力制御部32の作動を停止させる(以下、ヨーレート反力抑制制御という)ようにした。これにより、レーンキープアシスト制御部34がレーンキープアシスト制御を実行することによって車両にヨーレートが生じても、このときヨーレート反力制御部32は作動を停止しているので前記ヨーレートに対する操舵反力を発生させることがない。すなわち、レーンキープアシスト制御部34とヨーレート反力制御部32とが干渉するのを防止することができ、操舵フィーリングが向上する。
図4に示すフローチャートに従ってヨーレート反力制御切り替え処理を説明する。図4のフローチャートに示すヨーレート反力制御切り替え処理はステアリング制御装置20により一定時間毎に繰り返し実行される。
まず、ステップS101において、レーンキープアシストモード判断部33の出力信号(モード切替フラグ)に基づいて、モード切替スイッチ22がONか否かを判断し、ステップS101における判定結果が「NO」(モード切替スイッチOFF)である場合は、ステップS102に進み、ヨーレート反力通常制御を実行して本ルーチンの実行を一旦終了する。一方、ステップS101における判定結果が「YES」(モード切替スイッチON)である場合は、ステップS103に進み、ヨーレート反力抑制制御を実行して(この実施例ではヨーレート反力制御部32の作動停止)、本ルーチンの実行を一旦終了する。
なお、目標電流演算部35は、前述した通常制御モードにおいては、電動パワーステアリングアシスト制御部31で決定されたアシスト目標電流Iaから、ヨーレート反力制御部32で決定されたヨーレート反力目標電流Iyを減算することにより、電動機10の目標電流Itを算出し(It=Ia−Iy)、前述したレーンキープアシスト制御モードにおいては、電動パワーステアリングアシスト制御部31で決定されたアシスト目標電流Iaと、レーンキープアシスト制御部34で決定されたレーンキープアシスト目標電流ILを加算することにより、電動機10の目標電流Itを算出する(It=Ia+IL)。
ただし、ヨーレートが発生中でそれに対するヨーレート反力制御が実行されている最中にモード切替スイッチ22がONされた時に、急激にヨーレート反力制御を停止すると運転者は操舵フィーリングに違和感を生じる。また、その逆に、レーンキープアシスト制御の実行中であって車両にヨーレートが発生している最中にモード切替スイッチ22がOFFされた時に、急激にヨーレート反力制御を実行すると運転者は操舵フィーリングに違和感を感じる。
そこで、通常制御モードとレーンキープアシスト制御モードの間、および、レーンキープアシスト制御モードと通常制御モードの間に、操舵フィーリングに違和感が感じられないようにするための移行モードを設定する。
通常制御モードからレーンキープアシスト制御モードに切り替える際の移行モードでは、ヨーレート反力目標電流Iyを時間経過に伴って徐々に低減させていくとともに、レーンキープアシスト目標電流ILを時間経過に伴って徐々に増加させていく。 一方、レーンキープアシスト制御モードから通常制御モードに切り替える際の移行モードでは、レーンキープアシスト目標電流ILを時間経過に伴って徐々に低減させていくとともに、ヨーレート反力目標電流Iyを時間経過に伴って徐々に増加させていく。
例えば、図5のタイムチャートに示すように、モード切替スイッチ22を切り替えてからの経過時間にしたがって0から1.0まで所定の変化率で変化する係数Kfを設定し、通常制御モードではKf=1.0とし、レーンキープアシスト制御モードではKf=0として、次式(1)により電動機10の目標電流Itを算出する。なお、係数Kfの変化率は、移行モードにおいて操舵フィーリングに違和感を感じないレベルで設定する。
It=Ia+(Kf×Iy)+(1−Kf)×IL ・・・ (1)
図5に示すタイムチャートにおいて、実線で描かれた目標電流Itは、通常制御モードからレーンキープアシスト制御モード、さらに続けて通常制御モードにモード切り替えを実行したときの一例を示し、点線で描かれた目標電流Itはレーンキープアシスト制御モードに切り替えずに通常制御モードを続けた場合を示している。このように通常制御モードとレーンキープアシスト制御モードとの間に移行モードを設定しているので、モード切替スイッチ22を切り替えた後、目標電流Itがスムーズに徐々に変化していく。したがって、モード切替スイッチ22の切り替え時に目標電流Itが急激に変化するのを防止することができ、操舵フィーリングが向上する。
なお、この実施例1におけるヨーレート反力制御部32では、ヨーレートセンサ18で検出される実ヨーレートを車両挙動のパラメータとして採用し、実ヨーレートに応じて反力トルク(操舵反力)を発生させているが、実ヨーレートと規範ヨーレートとの偏差を車両挙動のパラメータとして採用し、この偏差に応じて反力トルク(操舵反力)を発生させるようにしてもよい。ここで、規範ヨーレートとは、車速と操舵角に応じて予め設定された基準となるヨーレートである。
また、この実施例1では、ヨーレート反力抑制制御においてヨーレート反力制御部32の作動を完全に停止しヨーレート反力制御部32からの出力(ヨーレート反力目標電流Iy)をゼロに制御しているが、完全に停止させずにヨーレート反力制御部32の出力を補正して十分に弱めるように制御してもよい。
〔実施例2〕
次に、図6から図8の図面を参照して実施例2の車両用操舵装置を説明する。
車両用操舵装置のハードウェアの構成については実施例1と同じであるので図1を援用してその説明は省略する。
図6の制御ブロック図を参照して、この実施例2における電動機10の出力制御を説明する。
実施例2におけるステアリング制御装置20は、電動パワーステアリングアシスト制御部31、操舵角補正反力制御部(操舵角反力制御部)37、レーンキープアシストモード判断部33、レーンキープアシスト制御部34、目標電流演算部35、出力電流制御部36を備えている。電動パワーステアリングアシスト制御部31、レーンキープアシストモード判断部33、レーンキープアシスト制御部34、出力電流制御部36については、実施例1のものと同じであるので説明を省略する。
操舵角補正反力制御部37は、ステアリングホイール3を中点に戻し易くする操舵角補正反力制御を行うもので、操舵角センサ15と車速センサ19の各出力信号に基づいて、ステアリングホイール3を中点(直進時の位置)に戻す方向のトルク(以下、操舵角補正反力トルクという)に対応する目標電流(以下、操舵角補正反力目標電流という)Isを決定する。つまり、この実施例2では、運転者がステアリングホイール3を操舵したときにステアリングホイール3を中点に戻す反力トルクを発生させている。
図7は操舵角補正反力制御部37における操舵角補正反力目標電流Isの算出処理を示しており、操舵角センサ15の出力信号(操舵角S)に基づき操舵角補正反力ゲインテーブル37aを参照してゲインGsを算出し、車速センサ19の出力信号(車速V)に基づき車速係数テーブル37bを参照して車速係数Ksを算出し、これらを乗じて操舵角補正反力目標電流Isを求める(Is=Gs×Ks)。操舵角補正反力ゲインテーブル37aは操舵角Sが大きくなるほどゲインGsが大きくなるように設定されており、車速係数テーブル37bは車速Vが大きくなるほど係数Ksが大きくなるように設定されている。したがって、操舵角Sが大きいほど反力トルクが大きくなるように設定される。
目標電流演算部35は、電動パワーステアリングアシスト制御部31により決定されたアシスト目標電流Iaと、操舵角補正反力制御部37により決定された操舵角補正反力目標電流Isと、レーンキープアシストモード判断部33の判定結果(モード切替フラグ)と、レーンキープアシスト制御部34により決定されたレーンキープアシスト目標電流ILに基づいて、電動機10の目標電流Itを算出する。
ここで、この実施例2では、レーンキープ・アシストシステムを作動させない通常制御モードのときには操舵角補正反力制御部37の作動を通常通り行い(以下、操舵角補正反力通常制御という)、レーンキープ・アシストシステムを作動するレーンキープアシスト制御モードのときには操舵角補正反力制御部37の作動を停止させる(以下、操舵角補正反力抑制制御という)ようにした。これにより、レーンキープアシスト制御部34がレーンキープアシスト制御を実行することによってステアリングホイール3に操舵角が生じても、このとき操舵角補正反力制御部37は作動を停止しているので前記操舵角に対する反力トルク(操舵反力)を発生させることがない。すなわち、レーンキープアシスト制御部34と操舵角補正反力制御部37とが干渉するのを防止することができ、操舵フィーリングが向上する。
図8に示すフローチャートに従って操舵角補正反力制御切り替え処理を説明する。図8のフローチャートに示す操舵角補正反力制御切り替え処理はステアリング制御装置20により一定時間毎に繰り返し実行される。
まず、ステップS201において、レーンキープアシストモード判断部33の出力信号(モード切替フラグ)に基づいて、モード切替スイッチ22がONか否かを判断し、ステップS201における判定結果が「NO」(モード切替スイッチOFF)である場合は、ステップS202に進み、操舵角補正反力通常制御を実行して本ルーチンの実行を一旦終了する。一方、ステップS201における判定結果が「YES」(モード切替スイッチON)である場合は、ステップS203に進み、操舵角補正反力抑制制御を実行して(この実施例では操舵角補正反力制御部37の作動停止)、本ルーチンの実行を一旦終了する。
なお、目標電流演算部35は、前述した通常制御モードにおいては、電動パワーステアリングアシスト制御部31で決定されたアシスト目標電流Iaから、操舵角補正反力制御部37で決定されたヨーレート反力目標電流Isを減算することにより、電動機10の目標電流Itを算出し(It=Ia−Is)、前述したレーンキープアシスト制御モードにおいては、電動パワーステアリングアシスト制御部31で決定されたアシスト目標電流Iaと、レーンキープアシスト制御部34で決定されたレーンキープアシスト目標電流ILを加算することにより、電動機10の目標電流Itを算出する(It=Ia+IL)。
この実施例2においても、通常制御モードからレーンキープアシスト制御モードへの切り替え、あるいは、その逆のレーンキープアシスト制御モードから通常制御モードへの切り替えをスムーズにするために、実施例1のときと同様に移行モードを設定する。
なお、この実施例2では、操舵角補正反力抑制制御において操舵角補正反力制御部37の作動を完全に停止し操舵角補正反力制御部37の出力(操舵角補正反力目標電流Is)をゼロに制御しているが、完全に停止させずに操舵角補正反力制御部37の出力を補正して十分に弱めるように制御してもよい。
〔実施例3〕
次に、図9および図10の図面を参照して実施例3の車両用操舵装置を説明する。
車両用操舵装置のハードウェアの構成については実施例1と同じであるので図1を援用してその説明は省略する。
図9の制御ブロック図を参照して、この実施例3における電動機10の出力制御を説明する。
実施例3におけるステアリング制御装置20は、電動パワーステアリングアシスト制御部31、スプリットμ路キャンセル制御部38、レーンキープアシストモード判断部33、レーンキープアシスト制御部34、目標電流演算部35、出力電流制御部36を備えている。電動パワーステアリングアシスト制御部31、レーンキープアシストモード判断部33、レーンキープアシスト制御部34、出力電流制御部36については、実施例1のものと同じであるので説明を省略する。
スプリットμ路キャンセル制御部38は、所謂スプリットμ路での操舵安定性を高めるために、左右輪の路面との摩擦係数の差(以下、左右輪の路面μ差という)によって生じる車両のモーメントを抑制するスプリットμ路キャンセル制御を行うもので、各車輪速センサ17と車速センサ19の各出力信号に基づいて各車輪のスリップ率を算出し、これから左右輪の路面μ差を推定し、左右輪の路面μ差によって生じる車両のモーメントを打ち消すためのトルクに対応する目標電流(以下、スプリットμ路キャンセル目標電流という)Iμを、例えばテーブル(図示略)を参照して決定する。なお、スプリットμ路キャンセル目標電流Iμは、左右輪の路面μ差が大きくなるにしたがって大きくなるように設定する。
目標電流演算部35は、電動パワーステアリングアシスト制御部31により決定されたアシスト目標電流Iaと、スプリットμ路キャンセル制御部38により決定されたスプリットμ路キャンセル目標電流Iμと、レーンキープアシストモード判断部33の判定結果(モード切替フラグ)と、レーンキープアシスト制御部34により決定されたレーンキープアシスト目標電流ILに基づいて、電動機10の目標電流Itを算出する。
ここで、この実施例3では、レーンキープ・アシストシステムを作動させない通常制御モードのときにはスプリットμ路キャンセル制御部38の作動を通常通り行い(以下、スプリットμ路キャンセル通常制御という)、レーンキープ・アシストシステムを作動するレーンキープアシスト制御モードのときにはスプリットμ路キャンセル制御部38の作動を停止させる(以下、スプリットμ路キャンセル抑制制御という)ようにした。これにより、レーンキープアシスト制御部34とスプリットμ路キャンセル制御部38とが干渉するのを防止することができる。その結果、スプリットμ路キャンセル制御部38がレーンキープアシスト制御を阻害することがなくなり、操舵フィーリングが向上する。
図10に示すフローチャートに従ってスプリットμ路キャンセル制御切り替え処理を説明する。図10のフローチャートに示すスプリットμ路キャンセル制御切り替え処理はステアリング制御装置20により一定時間毎に繰り返し実行される。
まず、ステップS301において、レーンキープアシストモード判断部33の出力信号(モード切替フラグ)に基づいて、モード切替スイッチ22がONか否かを判断し、ステップS301における判定結果が「NO」(モード切替スイッチOFF)である場合は、ステップS302に進み、スプリットμ路キャンセル通常制御を実行して本ルーチンの実行を一旦終了する。一方、ステップS301における判定結果が「YES」(モード切替スイッチON)である場合は、ステップS303に進み、スプリットμ路キャンセル抑制制御を実行して(この実施例ではスプリットμ路キャンセル制御部38の作動停止)、本ルーチンの実行を一旦終了する。
なお、目標電流演算部35は、前述した通常制御モードにおいては、電動パワーステアリングアシスト制御部31で決定されたアシスト目標電流Iaから、スプリットμ路キャンセル制御部38で決定されたスプリットμ路キャンセル目標電流Iμを減算あるいは加算することにより、電動機10の目標電流Itを算出し(It=Ia±Is、)、前述したレーンキープアシスト制御モードにおいては、電動パワーステアリングアシスト制御部31で決定されたアシスト目標電流Iaと、レーンキープアシスト制御部34で決定されたレーンキープアシスト目標電流ILを加算することにより、電動機10の目標電流Itを算出する(It=Ia+IL)。
この実施例3においても、通常制御モードからレーンキープアシスト制御モードへの切り替え、あるいは、その逆のレーンキープアシスト制御モードから通常制御モードへの切り替えをスムーズにするために、実施例1のときと同様に移行モードを設定する。
なお、この実施例3では、スプリットμ路キャンセル抑制制御においてスプリットμ路キャンセル制御部38の作動を完全に停止しスプリットμ路キャンセル制御部38からの出力(スプリットμ路キャンセル目標電流Iμ)をゼロに制御しているが、完全に停止させずにスプリットμ路キャンセル制御部38の出力を補正して十分に弱めるように制御してもよい。
〔他の実施例〕
なお、この発明は前述した実施例に限られるものではない。
例えば、ステアリング制御装置20は、ヨーレート反力制御部32と操舵角補正反力制御部37とスプリットμ路キャンセル制御部38のうちのいずれか2つあるいは3つ総てを備えていて、これらをレーンキープアシスト制御部34が作動しているときに作動を抑制するようにしてもよい。
また、この発明に係る車両用操舵装置は、前述した実施例のように操作子と転舵機構とが機械的に連結されたいわゆる電動パワーステアリング装置への実施に限るものではなく、ステア・バイ・ワイヤ・システムの操舵装置(SBW)にも実施可能である。SBWは、操作子と転舵機構とが機械的に分離されていて、操作子に反力を作用させる反力モータ(反力装置)と、転舵機構に設けられて転舵輪を転舵させる力を発生させるステアリングモータとを備えた操舵システムであり、この場合、車両挙動反力制御やスプリットμ路キャンセル制御は前記ステアリングモータを介して実行する。
この発明に係る車両用操舵装置の実施例1における構成図である。 実施例1における電動機出力制御のブロック図である。 実施例1におけるヨーレート反力目標電流算出処理のブロック図である。 実施例1におけるヨーレート反力制御切り替え処理を示すフローチャートである。 実施例1においてモード切り替え時の目標電流の変化を示すタイムチャートである。 この発明の実施例2における電動機出力制御のブロック図である。 実施例2における操舵角補正反力目標電流算出処理のブロック図である。 実施例2における操舵角補正反力制御切り替え処理を示すフローチャートである。 この発明の実施例3における電動機出力制御のブロック図である。 実施例3におけるスプリットμ路キャンセル制御切り替え処理を示すフローチャートである。
符号の説明
32 ヨーレート反力制御部(車両挙動反力制御部)
34 レーンキープアシスト制御部(自動操舵制御部)
37 操舵角補正反力制御部(操舵角反力制御部)
38 スプリットμ路キャンセル制御部

Claims (3)

  1. 車両進行方向道路の車線を検知し該車線に沿って車両を走行させるように自動的に操舵を制御する自動操舵制御部と、車両挙動に応じて操舵反力を制御する車両挙動反力制御部と、を備え、
    前記自動操舵制御部が作動しているときには前記車両挙動反力制御部の作動を抑制し、前記自動操舵制御部を作動させている状態から前記自動操舵制御部を作動させない状態に切り替えるとき及び前記自動操舵制御部を作動させない状態から前記自動操舵制御部を作動させる状態に切り替えるときは、前記車両挙動反力制御部の作動の抑制量を時間経過に伴って徐々に変化させることを特徴とする車両用操舵装置。
  2. 車両進行方向道路の車線を検知し該車線に沿って車両を走行させるように自動的に操舵を制御する自動操舵制御部と、操舵角に応じて操舵反力を制御する操舵角反力制御部と、を備え、
    前記自動操舵制御部が作動しているときには前記操舵角反力制御部の作動を抑制し、前記自動操舵制御部を作動させている状態から前記自動操舵制御部を作動させない状態に切り替えるとき及び前記自動操舵制御部を作動させない状態から前記自動操舵制御部を作動させる状態に切り替えるときは、前記操舵角反力制御部の作動の抑制量を時間経過に伴って徐々に変化させることを特徴とする車両用操舵装置。
  3. 車両進行方向道路の車線を検知し該車線に沿って車両を走行させるように自動的に操舵を制御する自動操舵制御部と、左右輪の路面との摩擦係数の差によって生じる車両のモーメントを打ち消すように操舵を制御するスプリットμ路キャンセル制御部と、を備え、
    前記自動操舵制御部が作動しているときには前記スプリットμ路キャンセル制御部の作動を抑制し、前記自動操舵制御部を作動させている状態から前記自動操舵制御部を作動させない状態に切り替えるとき及び前記自動操舵制御部を作動させない状態から前記自動操舵制御部を作動させる状態に切り替えるときは、前記スプリットμ路キャンセル制御部の作動の抑制量を時間経過に伴って徐々に変化させることを特徴とする車両用操舵装置。
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