JP4445392B2 - 積層セラミックコンデンサの製造方法 - Google Patents
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Description
積層セラミックコンデンサの静電容量は、直流電圧下ではなく、交流電圧下において測定される。しかしながら、使用上、必ず直流電圧が印加され、この直流電圧印加により、ほとんどのコンデンサの静電容量は減少する。そこで、直流電圧印加による静電容量の減少率を示すDCバイアス特性の優れたものが望まれる。
まず、主成分のチタン酸バリウム粉末と微量添加物である副成分の金属酸化物粉末とを分散媒の水、混合媒体としてのジルコニアボールと混合し、チタン酸バリウムと金属酸化物が均一に分散されたスラリーを調製する。
次に、スラリーからジルコニアボールを除去し、乾燥して、混合粉末を得る。
その後、セラミックグリーンシートと内部電極とを交互に積層し、その積層体を焼成し、最後に外部電極を形成することにより、積層セラミックコンデンサを得る。
この種の積層セラミックコンデンサに関する先行技術としては、例えば、特許文献1が知られている。
そのような粒径の大きい結晶粒子を含む積層セラミックコンデンサに直流電圧を印加すると、DCバイアス特性が悪化するという問題点を有していた。
本発明は、混合媒体のボールとして、原料のチタン酸バリウム粉末の粒径を基準にして、100〜400倍の粒径のものを用いる。
第1の工程においては、まず原料粉末の表面を分散媒で被覆してから、すなわち分散媒で濡らしてから混合媒体と接触させるのが好ましい。これによって、チタン酸バリウムに過剰な力が加わり、粉砕されすぎるのを抑制するとともに原料粉末の分散性を向上させることができる。
第1の工程における前記混合媒体の量は、混合槽の内容積の60〜74%を占めるようにするのが好ましい。これによって原料粉末のチタン酸バリウム粉末と副成分の金属酸化物粉末とを効率良く混合することができる。
第2の工程における乾燥温度は、120℃以下とするのが好ましい。これによって原料粉末の凝集を抑制し、結晶粒子の粒径ばらつきを小さくすることができる。
第2の工程と第3の工程との間に、前記混合物を仮焼する工程、仮焼された混合物を分散媒、および前記原料のチタン酸バリウムの平均粒径の400倍以下の粒径を有する粉砕媒体とともに攪拌して、仮焼粉末を含むスラリーを得る工程、および前記スラリーを乾燥して仮焼粉末を得る工程を有することが好ましい。これによって主成分であるチタン酸バリウムと副成分が適度に変化し、結晶粒子の粒径ばらつきを小さくすることができる。
前記仮焼粉末の比表面積は、前記原料のチタン酸バリウム粉末の比表面積の0.5〜1倍であることが好ましい。これによって、焼成後の誘電体層は所望の粒径の結晶粒子により構成される。
実施の形態1
図1は本実施の形態における混合工程を実施するための混合槽の縦断面図である。混合槽10は、円筒形の容器11とその上部開口部を封口する蓋12からなり、内部には混合媒体であるジルコニアボール13が充填されている。14は、蓋12を貫通して混合槽内部に挿入された攪拌棒であり、複数の攪拌片15を有する。蓋12は試料の流入口16を有する。容器11は側面に試料の流出口17を有する。
図2は、本実施の形態により得られる積層セラミックコンデンサ20をその一部を切欠いて示した斜視図である。21はチタン酸バリウムを主成分とする誘電体層、22および23は内部電極、24および25はそれぞれ内部電極22および23に接続された外部電極である。
まず、誘電体層の出発原料としてチタン酸バリウム100mol、副成分としてMgOを1.0mol、Dy2O3を0.3mol、Ho2O3を0.3mol、SiO2を0.6mol、Mn3O4を0.05molの割合でそれぞれ秤量する。チタン酸バリウムは平均粒径が0.50μm、および0.32μmのものを用いた。また、副成分の平均粒径は0.1μm以下であり、数nmのものを含む場合もある。
ここで加える水は、少なすぎると原料粉末の分散性が低下し、多すぎると乾燥工程で凝集粉を発生させやすくなる。従って、分散媒の量は、出発原料体積の1〜3倍量とすることが望ましい。分散媒に加えて、原料粉末の分散性を高めるような分散剤を添加してもよい。
図1に示すように、混合槽10の内部には、回転可能な攪拌棒14が設けられ、平均粒径200μmのジルコニアボール13が最密充填される。ジルコニアボール13は、攪拌棒14の体積を除いた混合槽10の内容積の約70%を占める。混合槽10の容積は、例えば0.5リットルである。
生産性良くスラリーを得るために、混合槽10には球状のジルコニアボールを最密充填することが望ましい。最密充填すると、ジルコニアボールは、理論的には、混合槽10の内容積の74%を占めることとなる。ジルコニアボールが混合槽10の内容積の60%未満であると、粉末の混合を十分に行えなく、分散性が悪くなる。そのような原料粉末から得られる積層セラミックコンデンサは、信頼性が悪い。
なお、攪拌棒14の回転速度、および混合物の流入速度は、チタン酸バリウムに過剰な力が加わらないように制御する。例えば、攪拌棒の周速を6m/秒、混合物の流入速度を0.3〜0.5リットル/分程度にする。
次いで、スラリーをろ過して脱水し、室内温度120℃の乾燥室で乾燥させる。乾燥前に脱水することにより、原料粉末が乾燥時に凝集するのを抑制できる。乾燥は、室温120℃以下の乾燥室で行うことにより、水分が急激に蒸発し、凝集するのを抑制できる。120℃以下で原料粉末の凝集を抑制できるが、温度が低いと乾燥に長時間を要する。従って、好ましくは、乾燥は100〜120℃で行う。
仮焼温度および時間は、チタン酸バリウムと副成分とが反応したことが、得られた仮焼粉末のX線回折により確認できるようにする。しかし、仮焼、粉砕後の粉末の比表面積は、出発原料であるチタン酸バリウムの比表面積の0.5〜1倍となるようにし、凝集粉が大量に作製されないように、仮焼温度および時間を制御する。
仮焼粉末の粉砕は、図1に示すような槽10を用いて行う。このとき、仮焼粉末は、ジルコニアボール13と衝突し、粉砕される。しかし、ジルコニアボール13の粒径は、従来と比較するとはるかに小さいので、仮焼粉末に過剰な衝撃が加わって粉砕されすぎるのを抑制することができる。
ここに用いるジルコニアボールは、混合槽10の内容積の60〜74%、好ましくは70〜74%を占めるようにする。
次いで、スラリーをろ過して脱水し、室内温度120℃の乾燥室で乾燥させる。乾燥前に脱水することにより、乾燥時に凝集するのを抑制できる。乾燥は、最初の混合工程と同様に、室温120℃以下で行うのが好ましく、より好ましくは、100〜120℃で行う。
この乾燥温度とすることにより、結晶粒子の粒径ばらつきの少ない誘電体層を効果的に得ることができる。
まず、この仮焼粉末にエタノールなどのアルコールを混合して、仮焼粉末粒子の表面がアルコールで被覆されるようにする。
次いで、仮焼粉末に、溶剤のn−酢酸ブチル、可塑剤のベンジルブチルフタレートおよびバインダーのポリビニルブチラール樹脂を混合してスラリーを得る。
ここに用いるアルコールの添加量が多すぎると、所望のセラミックグリーンシートを得ることができない。従って、アルコールの添加量は仮焼粉末粒子の凝集を抑制し、かつその表面を被覆できる程度の量とし、溶剤、可塑剤、およびバインダの合計量よりも少なくする。
次に、このセラミックグリーンシート上に、平均粒径約0.4μmのNi粉末からなる内部電極ペーストを、所望のパターンとなるようにスクリーン印刷する。
こうして異なるパターンの内部電極を印刷した2種のセラミックグリーンシートを交互に積層し、加熱、加圧して一体化する。この場合の加熱温度は80〜140℃、圧力は100〜200kgf/cm2である。これを横2.4mm、縦1.3mmの大きさに切断して、未焼結積層体を得る。
次に、得られた焼結体の内部電極の露出した端面に、それぞれ銅ペーストを塗布し、メッシュ型の連続ベルト炉中において、窒素雰囲気中900℃で焼付け、図2に示すような積層セラミックコンデンサを得る。
しかしながら、試料No.1、5、および6のように、ジルコニアボールの粒径がチタン酸バリウムの平均粒径の400倍よりも大きい場合、DCバイアス特性が−30%より大きくなり、コンデンサとしての特性上好ましくない。これは、混合時にチタン酸バリウムが過度に粉砕される結果、焼成時に誘電体層の粒成長を助長し、結晶粒子の粒径ばらつきが大きくなるためである。
まず、以下のBET吸着等温式:
x/[V(1−x)]=1/(VmC)+x(C−1)/(VmC) (1)
により、単分子層としてHeが全表面に吸着したときの吸着量Vm(cm3/g)を求める。具体的には、横軸xおよび縦軸x/[V(1−x)]で表されたHeの吸着等温線の相対圧の低い領域の3点を選び、この3点を通る直線を求める。このとき、得られた直線の傾きが(C−1)/(VmC)となり、切片が1/(VmC)となる。従って、この得られた直線の傾きの値および切片の値から、吸着量Vmが計算される。
次に、上記のようにして得られた単分子層吸着量Vmから、以下の式:
S=sVmKA/V0 (2)
を用いて、比表面積S(m2/g)が求められる。ここで、sはHeの1分子あたりの占有断面積(m2)であり、KAはアボガドロ数であり、V0は1モルあたりのHeの体積(22414cm3)である。
また、仮焼後の粉末の比表面積が仮焼前のそれの0.5未満の場合、つまり仮焼温度が高い場合、凝集粉ができやすくなる。そのような材料を用いて作製したコンデンサは、DCバイアス特性が悪い。従って、仮焼後の粉末の比表面積は、仮焼前のそれの0.5〜1倍となるようにすることが望ましい。
本実施の形態では、混合媒体および粉砕媒体としてジルコニアボールを用いたが、アルミナボールなど、得られる誘電体層の組成を大きく変化させないものであれば良い。
また、粉末を熱処理する際は、凝集を抑制するため熱履歴ができるだけ均一となるようにし、短時間で行うようにする。
セラミックグリーンシートを成形するためのスラリーの調製に、図1に示すような混合槽を用いると、撹拌過程で分散媒の水の温度が上昇する。その温度が高くなりすぎると、所望のスラリーを得ることが困難となる。そこで、水とセラミック粉末の混合物の温度は、50℃以下、好ましくは室温以下に保持するようにする。また、本実施の形態では、図1に示すように、攪拌棒を有する混合槽を用いたが、ジルコニアボールなどの媒体と原料粉末とを混合できるような容器であればよく、攪拌棒は必ずしも必要ではない。
1.05倍以下となるようにすることが望ましい。
上記実施の形態では、誘電体層の厚みを3μmとしたが、3μm以下1μm程度までの厚みで検討したところ、用いるジルコニアボールの粒径によりDCバイアス特性が同様の傾向を示すことがわかった。
まず、実施の形態1の試料No.4Dおよび8Dと同様にして、仮焼粉末を湿式混合し、乾燥する。
次に、乾燥した仮焼粉末にバインダーなどを混合して、セラミックグリーンシート作成用のスラリーを調製する。まず、乾燥した仮焼粉末にエタノールなどのアルコールを混合して、仮焼粉末粒子の表面がアルコールで被覆されるようにする。
次いで、この仮焼粉末に、溶媒のn−酢酸ブチル、可塑剤のベンジルブチルフタレート、およびバインダーのポリビニルブチラール樹脂を混合する。
その後、上記の混合物を、図1に示すような混合槽10を通過させて、分散性に優れたスラリーを得る。このときも、仮焼粉末はジルコニアボールと衝突し、粉砕されることとなるが、ジルコニアボールの粒径は従来と比較するとはるかに小さいので、仮焼粉末に過剰な衝撃が加わり、粉砕されすぎることはない。
また、生産性良くスラリーを得るために、混合槽10には球状のジルコニアボールを最密充填することが望ましい。このときジルコニアボールは、理論的には、混合槽10の内容積の74%を占めることとなる。また、ジルコニアボールが混合槽10の内容積の60%未満となると混合を十分に行えなく、分散性が悪くなる。
攪拌棒12の回転速度、混合物の流入速度は、仮焼粉末に過剰な力が加わらないように制御する。
このときも、仮焼粉末はジルコニアボールと衝突し、粉砕されることとなるが、ジルコニアボールの粒径は、従来と比較するとはるかに小さいので、仮焼粉末に過剰な衝撃が加わり粉砕されすぎるのを抑制し、結晶粒子の粒径ばらつきの少ない誘電体層を効果的に得ることができる。
このセラミックグリーンシートを用いて、実施の形態1と同様にして、積層セラミックコンデンサを得る。
Claims (12)
- チタン酸バリウム粉末を主とする原料粉末および分散媒を混合槽に投入し、ジルコニアからなる混合媒体のボールとともに攪拌して原料粉末の混合物を含むスラリーを得る第1の工程、前記のスラリーを乾燥して前記原料粉末の混合物を得る第2の工程、前記原料粉末の混合物をバインダーとともに成形してグリーンシートを形成する第3の工程、前記グリーンシートと内部電極を交互に積層して積層体を得る第4の工程、および前記積層体を焼成する第5の工程を具備し、前記混合媒体は、第1の工程前の原料のチタン酸バリウム粉末の平均粒径の100〜400倍の粒径を有し、前記原料のチタン酸バリウム粉末の平均粒径が0.1〜1μmである積層セラミックコンデンサの製造方法。
- 前記混合媒体の粒径は50μm以上200μm以下である請求項1に記載の積層セラミックコンデンサの製造方法。
- 前記分散媒の量は、原料粉末の体積の1〜3倍である請求項1に記載の積層セラミックコンデンサの製造方法。
- 第1の工程において、まず原料粉末の表面を分散媒で被覆してから混合媒体と接触させる請求項1に記載の積層セラミックコンデンサの製造方法。
- 第1の工程における分散媒の温度が50℃以下である請求項1に記載の積層セラミックコンデンサの製造方法。
- 第1の工程における前記混合媒体の量は、混合槽の内容積の60〜74%を占める請求項1に記載の積層セラミックコンデンサの製造方法。
- 第2の工程における乾燥温度は、120℃以下である請求項1に記載の積層セラミックコンデンサの製造方法。
- 第2の工程が、前記乾燥前にスラリーから脱水する工程をさらに含む請求項1に記載の積層セラミックコンデンサの製造方法。
- 第2の工程と第3の工程との間に、前記混合物を仮焼する工程、仮焼された混合物を分散媒、および前記原料のチタン酸バリウムの平均粒径の400倍以下の粒径を有する粉砕媒体とともに攪拌して、仮焼粉末を含むスラリーを得る工程、および前記スラリーを乾燥して仮焼粉末を得る工程を有する請求項1に記載の積層セラミックコンデンサの製造方法。
- 前記粉砕媒体は第1の工程に用いる混合媒体と同等ないしそれ以上の粒径を有する請求項9に記載の積層セラミックコンデンサの製造方法。
- 前記仮焼粉末の比表面積は、前記原料のチタン酸バリウム粉末の比表面積の0.5〜1倍である請求項9に記載の積層セラミックコンデンサの製造方法。
- 第3の工程が、前記原料粉末の混合物、有機バインダーおよびその溶媒を、前記原料のチタン酸バリウムの平均粒径の400倍以下の粒径を有する第3の混合媒体とともに攪拌してスラリーを得る工程、および前記スラリーからグリーンシートを形成する工程からなる請求項1に記載の積層セラミックコンデンサの製造方法。
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