JP4446007B2 - インク組成物と、それを用いた印刷方法及びパターン膜 - Google Patents
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Description
しかしながら、フォトリソグラフィ技術は、露光機及び真空設備を必要とし、近年の基板大型化に対応するためには、これらの設備の大型化も必要となるので、製造コスト面で不利である。製造設備への投資コストの増加を避けるために、真空設備を用いない微細パターン形成技術が求められている。
しかしながら、電子部品で要求されるパターンが幅10μmレベルであるにもかかわらず、オフセット印刷では、インク組成物の泣き別れ現象(例えば、転写体に転写されるべき版上のインク組成物が、厚さ方向に一部転写されず版上に残留する現象)や糸曳きによるパターン乱れの影響が顕著になり、幅30μm以下の微細パターンを形成できない課題があった。
印刷方法としては、精度向上のために、シリコンシート(ブランケット)にインクを塗布して塗布面を形成し、形成した塗布面に対して所定の形状で形成された凸版を押圧して凸部にインクを転写・除去し、塗布面に残ったインクを基板に転写する凸版反転印刷方法(例えば、特許文献1)が提案されている。また、撥樹脂層による画線部と親樹脂層による非画線部とが形成された画像形成版の全面に樹脂(例えば、インク)を塗布することにより撥樹脂層上のインクのみを、撥樹脂性の画像転写シート(ブランケット)上に転写し、更に画像転写シート上に転写されたインクを基板上に転写して画像形成を行う印刷方法(例えば、特許文献2)も提案されている。
このような課題を解決するための検討はインク組成物においてなされている。
このインク組成物は、インク特性をずり速度に応じて変化させることで、凹版の凹部にインクを充填する際には流動性が高められ、充填後は粘度が増して凹部にとどまるようにされている。
以上のように、従来のインク組成物は1Pa・s以下の低粘度領域において、粘度とせん断性との両立ができていなかったため、インクの切れ性が悪く、パターンの微細化ができなかった。
本発明のインク組成物を説明する前に、従来のインク組成物の課題を説明する。
図6は、従来のインク組成物において、ある領域21と別の領域22とが、せん断面23でせん断分離されつつある様子を模式的に示したものである。上述のとおり、従来のインク組成物は、全体の粘度が高いため、図6の24で示した領域にて引き伸ばされ、図7の25又は25'で示すインク糸曳きを生じ、この糸曳きがパターン周辺に付着してパターンの乱れ(図8)を起こすという課題を有していた。本発明は上記の課題を改善するものである。
本発明のインク組成物は、少なくとも微粒子とリンカーと溶剤により構成される。ここで、リンカーは、微粒子と相互作用する官能基を複数有しており、微粒子同士を連結することができるため、溶液状態において、微粒子とリンカーによる可逆的に構築及び分解可能な高次構造を形成し得る。
図1は、本発明のインク組成物が静置されている状態を模式的に示したものである。ここで、インク組成物について、「静置されている」や「静置時」とは、該インク組成物にせん断力が負荷されていない状態をいう。図1に示すとおり、本発明のインク組成物は、静置時、リンカー2に含まれる官能基3と微粒子1とが相互作用することで、微粒子同士がリンカーを介した分子間力によって連結された高次構造を形成する。このような構造を形成させることで、インク組成物の見かけ上の粘性を上げることができる。
すなわち、本発明の構成を採用することで、静置されているときには高次構造を形成して見かけ上高い粘度を維持し、せん断力が負荷されるとせん断面での粘度が低下するインク組成物を実現できる。
微粒子は、導電性、絶縁性を問わず、例えば金属又は金属酸化物の微粒子、好ましくは銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、ITO、SiO2 及びTiO2 からなる群より選択される微粒子である。微粒子の平均粒径は、現在形成が可能な数nm(例えば5nm)以上であれば特に限定されないが、高次構造形成による増粘及びせん断面における粘度低下をより顕著に発現させることを考慮すると、粒径100nm程度までであることが好ましい。
微粒子の含有量は、前述のとおり、低ずり領域と高ずり領域とで粘性が異なり、かつ、後述のとおり、インク組成物の粘度(温度25℃、すり速度0.1sec -1 )が約20mPa・s〜約100mPa・sとなるように、選択する微粒子の種類に応じて適切に選択することができる。例えば、微粒子の含有量は、インク組成物の全重量に対して10重量%〜70重量%である。
次に、本発明のインク組成物を用いた印刷方法について説明する。
本発明のインク組成物は、インクをせん断分離させることでパターン膜を形成するプロセス、具体的には、少なくとも、インク組成物を第一の基体の全面に塗布する工程;及び、該第一の基体上のインク組成物を第二の基体と接触させ、基体間及び/又は基体内におけるインク組成物に対する表面の密着性の違いを利用して、インク組成物を離型時に第一の基体上のインク組成物と第二の基体上のインク組成物とをせん断分離させる工程とを含むプロセスに用いることが好ましい。
ここで、密着部及び非密着部はそれぞれ、基体面において、本発明のインク組成物に対する付着力が相対的に大きい領域及び小さい領域である。
第二の基体面は、第二の密着部及び第二の非密着部を第一の基体面上の密着部と非密着部が反転したパターンで有し、よって第一の基体面と対向して配置されると、第二の密着部は第一の非密着部と対向し、第二の非密着部は第一の密着部に対向する。
すなわち、第二の基体面を第一の基体面上のインク組成物に接触させると、第一の基体面上で第一の密着部のインク組成物は、第二の基体面の(インク組成物に対する付着力がより小さい)第二の非密着部と接触し、第一の基体面上で第一の非密着部のインク組成物は、第二の基体面の(インク組成物に対する付着力がより大きい)第二の密着部と接触することになる。
移動に際して、対向する2つの基体面間のインク組成物に対する付着力の差により、第一の基体面上のインク組成物には、密着部と非密着部の境界上をせん断面として、せん断力が作用する。本方法では、インクとして、本発明のインク組成物を使用しているので、せん断面でインク糸曳きなく良好に分断される。
図4は、凸版反転印刷法によるパターン形成におけるインク組成物の転写過程を模式的に示した図である。
図4(a)のように、転写体12全面に本発明のインク組成物11を塗布する。転写体が第一の基体面であり、転写体を後述する(第二の基体面である)凸版13と対向させたとき、転写体のうち凸版の凸部と対向する領域が第一の非密着部、凸版の凹部と対向する領域が第一の密着部である。
基板としては、転写体よりもインク組成物との密着性が高いものであれば特に限定されず、ガラス、シリコン、酸化シリコン、石英、ポリエチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルフォン、ポリイミドフィルム等を使用できる。
図5は、特許文献2に記載の印刷方法によってパターンを形成するときのインク組成物の転写過程を模式的に示した図である。
図5(a)のように、版13'全面に本発明のインク組成物を塗布する。版が第一の基体面であり、第一の密着部17及び第一の非密着部18を有する。
この方法でも、前記凸版反転印刷法の場合と同様に、本発明のインク組成物は、粘度が静置時に高く、せん断力が負荷されるとせん断力が作用する箇所でのみ低くなるため、図5(e)において、せん断面14'近傍の粘度のみが低くなり、図5(f)のように、版に残るインク組成物においても、また転写体に転写されたインク組成物においても、パターンエッジ15'を糸曳きのない良好な形状とすることができる。
ここで、インク組成物に対する密着性が一様である基体面は、本発明のインク組成物に対する付着力が、他方の基体面の密着部より小さく、非密着部より大きい。このことにより、移動に際して、インク組成物には、密着部と非密着部の境界上をせん断面として、せん断力が作用する。本方法では、インクとして、本発明のインク組成物を使用しているので、せん断面でインク糸曳きなく良好に分断される。
まず、版(第一の基体面)上にインク組成物を塗布する。
次に、転写体(第二の基体面)を版上のインク組成物に接触させる。
続いて、版を転写体に対して、その垂直方向に相対的に移動させることにより(すなわち離型することにより)、版上のインク組成物を転写体の密着部上に転写する。
密着性が一様な基体面には、上記の印刷方法に関して転写体として記載したものが使用できる。
塗布層と、前記インク組成物に対して撥液性及び親液性を示す層により画線部及び非画線部が所望のパターンで形成された基体とを接触させて親液性の画像部に塗布層を転写して除去し、
塗布層形成基体上に残る塗布層と基板とを接触させ、塗布層形成基体上の塗布層を基板に転写させる印刷方法である。
また、本発明のインク組成物はインクの糸曳きを防止できるため、一般的なオフセット印刷方法に適用も可能であり、一般的なオフセット印刷によっても良好なパターン形状が形成可能である。
本実施例においては、Agナノ粒子を微粒子として、1,12−ジアミノドデカンを該微粒子と相互作用し得る複数の基(アミノ基)を有するリンカーとして用いた。
1Lの2口ナスフラスコにおいて、テトラデカン溶媒500mLに1,12−ジアミノドデカン(東京化成社製)を溶解させた後、Agナノ粒子(アルバックマテリアル社製) 60重量部テトラデカン分散液(温度25℃で、ずり速度0.1sec-1における粘度10mPa・s)を添加し、窒素雰囲気下、室温で6時間攪拌して標記のインク組成物を作製した。各々の添加量は、最終濃度としてAg30重量部、1,12−ジアミノドデカン2重量部となるように調整した。作製した組成物の粘度(25℃)は28mPa・s(ずり速度0.1sec-1)及び6.4mPa・s(ずり速度12sec-1)であった。
続いて、インク組成物膜が形成された版に対して、転写体であるシリコーンゴムを押し当て、離型することで、版の撥液部(シリコーン樹脂面)上にあったインク組成物のみをシリコーンゴムに転写させた。シリコーンゴム上及び版上のパターン形状を光学顕微鏡にて確認したところ、各々に膜厚500nm、幅30μm±1μmのラインパターンが30μm±1μmの間隔で形成されていた。
光学顕微鏡観察により、形成した導電パターンが、所望の形状にて形成されていることが確認された。また、形成した導電パターンの体積抵抗率を評価したところ、5μΩ・cmと、バルクの銀とほぼ同様の値となった。これらの評価より、本実施例のインク組成物を用いて、良好なパターン形状を形成できることを確認した。
本実施例においては、SiO2微粒子粒子を微粒子として、1,18−オクタデカン二酸を該微粒子と相互作用し得る複数の基(カルボキシル基)を有するリンカーとして用いた。
1Lの2口ナスフラスコにおいて、ポリアミック酸500mLに、最終濃度がそれぞれ5重量部及び2重量部となるように平均粒径25nmのSiO2微粒子(シーアイ化成社製:NanoTek(登録商標))及び1,18−オクタデカン二酸(東京化成社製)を添加した後、窒素雰囲気下、室温で5時間攪拌することで、標記のインク組成物を作製した。作製した組成物の粘度(25℃)は47mPa・s(ずり速度0.1sec-1)及び10mPa・s(ずり速度12sec-1)であった。
版は、水現像ナイロン系感光性樹脂凸版(東洋紡プリンタイト、東洋紡社製)に対し、通常のフォトプロセスによって、複数本の凸部(幅W1=30μm)及び凹部(幅W2=30μm)が交互に含まれるパターンを形成したものを作製、使用した。
続いて、インク組成物膜が形成されたシリコーンゴムに対し、前記凸版を押し当て、離型することで、シリコーンゴム上のインク組成物のうち、版の凸部と接触したインク組成物のみを凸版に転写、除去した。その後、シリコーンゴムをガラス基板に押し当て、離型することで、シリコーンゴム上に残ったインク組成物をガラス基板上へ転写した。ガラス基板を250℃、60分間焼成することで、ガラス基板上に絶縁膜パターンを形成した。
下記表1に示すインク組成物を実施例2と同様の手法により作製した。
比較として、表1に示すような、微粒子を含むが、複数の官能基を有するリンカーを添加しないインク組成物を添加したインク組成物を作製し用いた。
これらインク組成物を用いて、膜厚400nm、パターン幅30μm、パターン間隔30μmの導電性及び透明導電性パターンを形成した。
印刷結果を表2に示す。
「糸曳き」とは、印刷されたインク組成物パターンの糸曳きによる乱れの有無を示している。糸曳きとは、インク粘度が高い場合、印刷過程で図7のように発生し、印刷パターンでは図8における矢印Bのような形状として現れる。したがって、インク組成物の印刷パターンを顕微鏡にて観察時(1000倍)に、図8中の矢印Bで示すような形状が確認されなかった場合を○、1箇所でも確認された場合を×とした。
「面粗さ」とは、基板上に形成されたパターン上部の面粗さRaを示したものであり、Raが膜厚の5%未満を○、5%以上を×とした。
上記の評価項目に基づいて、最終的に基板に良好なパターンを形成できたどうかの判定を行った。全ての項目について○であれば判定を○とし、1項目にでも×があれば判定を×とした。
2 リンカー分子
3 リンカー分子に含まれる官能基
4 本発明のインク組成物のある領域
5 本発明のインク組成物の別の領域
6 せん断面
11、11’ 本発明のインク組成物
12、12’ 転写体
13、13’ 版
14、14’ せん断面
15、15’ パターンエッジ
16、16’ 基板
17 親液部
18 撥液部
20 従来のインク組成物
21 従来のインク組成物のある領域
22 従来のインク組成物の別の領域
23 せん断面
24 従来のインクにせん断力が負荷された結果、従来のインクが引き伸ばされる領域
25、25’ インクの糸曳き
26 基板
B 糸曳きによるパターン崩れ
Claims (14)
- 微粒子と、前記微粒子と相互作用する複数の官能基を有するリンカーと、溶剤とを少なくとも含み、前記リンカーは、組成物が静置されているとき、前記微粒子同士を連結し、かつ、組成物にせん断力が負荷されているとき、前記せん断力が作用する領域において、前記微粒子と前記リンカーとの連結が切断されることからなるインク組成物。
- 温度25℃でずり速度0.1sec-1における粘度η1とずり速度12sec-1における粘度η2との比(η1/η2)が3以上であり、粘度η1が20〜100mPa・sである請求項1に記載のインク組成物。
- 前記微粒子がインク組成物の全重量に対し10重量%〜70重量%で含まれ、前記リンカーがインク組成物の全重量に対し0.01重量%〜10重量%で含まれ、前記リンカーに対する前記微粒子の含有量の重量比(微粒子/リンカー)が1〜700である、請求項1又は2に記載のインク組成物。
- 第一の密着部と第一の非密着部とを有する第一の基体面と、第一の非密着部と対向する第二の密着部と第一の密着部に対向する第二の非密着部とを有する第二の基体面との間に配され、前記第一の基体面を前記第二の基体面に対して、その垂直方向に相対的に移動させることによって、前記第一の基体面の第一の密着部及び前記第二の基体面の第二の密着部に保持されるようにせん断される請求項1〜3のいずれか1項に記載のインク組成物。
- 前記リンカーが、その主鎖として、炭素数6以上30以下の直鎖状の炭化水素基を含み、且つ、前記官能基として、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、エーテル基及びチオール基からなる群より選択される請求項1〜4のいずれか1項に記載のインク組成物。
- 前記微粒子は、平均粒径が5nm以上100nm以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載のインク組成物。
- 前記微粒子が、Ag、Cu、Au、In、SnO2、ITO、SiO2 及びTiO2からなる群より選択された微粒子である請求項1〜6のいずれか1項に記載のインク組成物。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載のインク組成物を第一の密着部と第一の非密着部とを所望のパターンで有する第一の基体面に塗布し、
第一の基体面上の密着部と非密着部が反転したパターンで第二の密着部と第二の非密着部とを有する第二の基体面を、第一の基体面上のインク組成物に、第二の密着部が第一の非密着部と対向し第二の非密着部が第一の密着部と対向するように接触させ、
第一の基体面を第二の基体面に対して、その垂直方向に相対的に移動させることにより、第一の基体面の第一の非密着部上のインク組成物を第二の基体面の第二の密着部上に転写する印刷方法。 - 第一の基体面において第一の密着部が親液性を示す層により形成された非画線部であり、第一の非密着部が撥液性を示す層により形成された画線部であり、
第一の基体面の撥液性の画線部上のインク組成物を第二の基体面の第二の密着部上に転写後に第一の基体面上に残るインク組成物を第三の基体と接触させ、第一の基体面上のインク組成物を第三の基体に転写する請求項8に記載の印刷方法。 - 第二の基体面において第二の密着部が凸部であり第二の非密着面が凹部であり、
第一の基体面の第一の非密着部上のインク組成物を第二の基体面の第二の密着部上に転写後に第一の基体面上に残るインク組成物を第三の基体と接触させ、第一の基体面上のインク組成物を第三の基体に転写する請求項8に記載の印刷方法。 - 第二の基体面において第二の密着部が親液性を示す層により形成された非画線部であり、第二の非密着面が撥液性を示す層により形成された画線部であり、
第一の基体面の撥液性の画線部上のインク組成物を第二の基体面の第二の密着部上に転写後に第一の基体面上に残るインク組成物を第三の基体と接触させ、第一の基体面上のインク組成物を第三の基体に転写する請求項8に記載の印刷方法。 - 請求項1〜7のいずれか1項に記載のインク組成物を第一の基体面に塗布し、第一の基体面上のインク組成物に第二の基体面を接触させ、第一の基体面を第二の基体面に対して、その垂直方向に相対的に移動させることにより、第一の基体面上のインク組成物を第二の基体面上に転写する印刷方法において、第一の基体面又は第二の基体面のいずれか一方が密着部及び非密着部を所望のパターンで有し、他方の基体面はインク組成物に対する密着性が一様である印刷方法。
- 第一の基体面のインク組成物を第二の基体面に転写後に第二の基体面上のインク組成物を第三の基体と接触させ、第二の基体面上のインク組成物を第三の基体に転写する請求項12に記載の印刷方法。
- 請求項8〜13のいずれか1項に記載の印刷方法によって形成されたパターン膜。
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