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JP4446776B2 - アナターゼ型酸化チタン結晶の製造方法 - Google Patents
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JP4446776B2 - アナターゼ型酸化チタン結晶の製造方法 - Google Patents

アナターゼ型酸化チタン結晶の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、光触媒や顔料として有用なアナターゼ型酸化チタン結晶の製法に関するものであり、より詳しくは、室温下における穏和な条件でのアナターゼ型酸化チタンの製法に関するものである。
酸化チタンは白色顔料として古くから利用されてきたが、近年ではその高い屈折率に基づく光の反射・屈折現象を利用して、化粧料、干渉顔料等にも幅広く使用されており、フォトニック結晶の構成材料としての期待も高い。また光触媒としての有用性もよく知られており、太陽電池や、物質の光分解、酸化を利用した殺菌、抗菌、防臭システム等に応用されている。酸化チタンの結晶には、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型の結晶構造が知られているが、アナターゼ型酸化チタン結晶が光触媒としての活性が最も高い。以下従来の酸化チタン製造技術について説明する。
酸化チタンを得る方法には、大別して気相法と液相法が用いられている。気相法においては、チタンテトライソプロポキシドを873K〜1073Kの温度で処理し、熱分解反応によるアナターゼ型酸化チタンの生成が確認されている(非特許文献1)。これら気相法では、アナターゼ型酸化チタンを得るために高温での処理が必要であり、製造過程で発生するガスに対応する設備も必要となるため生産コストが高いという問題点がある。
液相法は、気相法に比べて、反応温度を低く抑えることができ、また大量生産にも対応しやすいので、有用であり、種々の製造法が検討されている。例えば、「硫酸法」では、硫酸チタニルを加水分解して得た酸性チタニアゾルに水酸化ナトリウムを加えてpH7に調節した後、ろ過、洗浄を行い、ついで得られた酸化チタン湿ケーキに水を加えてスラリーを形成する。このスラリーに水酸化ナトリウムを加えてpH10に調節した後、オートクレーブ中150℃の温度で3時間乾燥させて酸化チタンを得ている(特許文献1)。
「水熱法」では、チタンアルコキシドを希薄アルコール溶液中で加水分解し、さらにオートクレーブ中、250℃で水熱処理することによりアナターゼ型酸化チタンを得ている(非特許文献2、3)。また、チタンイソプロポキシドのイソプロパノール溶液に、塩酸と水を加えたイソプロパノールを滴下してチタニアゾル溶液を得、これを密閉容器内で加熱、加圧することによって80〜150℃の比較的低い温度でアナターゼ型酸化チタンを製造する方法が開示されている(特許文献2)。これらは比較的工程数の少ない簡便な酸化チタンの製造法であるが、加圧処理のために特別な装置や容器を必要とする。
ゾル−ゲル反応を利用する製造法も知られている。これは、チタンアルコキシドの加水分解による水酸化チタンの生成と、水酸化チタンの重縮合による酸化チタンの生成の2段階からなる反応である(非特許文献4)。この方法は常圧下で行われるが、チタンアルコキシドは、非常に反応性が高く、空気中の水分とも反応するので、反応条件を精密にコントロールする必要がある。この高い反応性のために、得られる酸化チタンはアモルファスになり、アナターゼ型結晶を得るためには300〜600℃の高温で焼成を行わなければならない(非特許文献5)。
反応性の高いチタンアルコキシドの代わりに、水中でも安定なチタニウム(IV)ビス(アンモニウムラクテート)ジヒドロキシドを用いる方法も検討されており、(非特許文献6)には、尿素の存在下、90℃で加水分解を起こすことが報告されている。また、(非特許文献7)には、チタニウム(IV)ビス(アンモニウムラクテート)ジヒドロキシドの水溶液を封管中、120℃で24時間処理することによるアナターゼ型の酸化チタンの製造法が開示されている。このチタン化合物は、本発明でも好適に用いられるものであるが、アナターゼ型酸化チタンの製造に、長時間の加熱操作を必要ととする。
また、同じチタン化合物を用いた、交互積層法による酸化チタンアナターゼ型酸化チタン膜の作製法が開示されている(非特許文献8)。この方法では、基材の上にカチオン性高分子の層を作り、これに、チタニウム(IV)ビス(アンモニウムラクテート)ジヒドロキシドを静電的に吸着させ、またカチオン性高分子、チタン化合物と、順次静電的に積層を繰り返してアモルファス膜を作製し、これを加熱処理してアナターゼ型酸化チタンを製造することが提示されている。
この方法で用いる物質の構成は、本発明と類似点があるが、カチオン性高分子とチタン化合物を、基材上に逐次積層しなければならないこと、アナターゼ型酸化チタンの製造に長時間の加熱処理を必要とする。
以上述べた様に、従来提案されてきたアナターゼ型酸化チタンの製造法は、反応条件を精密にコントロールしなければならず、また、高温での焼成や、長時間の処理を必要とする等の問題点があった。従って、より穏和な条件、より具体的には、加熱、加圧、積層工程等、反応条件の精密なコントロールを必要とせず、しかも処理に時間を要しないアナターゼ型酸化チタンの製造法が求められていた。
特開平7−171408号公報 特開平11−335121号公報 高橋武重、他2名、「化学工学論文集」 第16巻、1990年、p.584−587 近藤政夫、他3名、「日本セラミックス協会誌」、第102巻、1994年、p.742−746 近藤政夫、他3名、「日本セラミックス協会誌」、第103巻、1995年、p.552−556 作花済夫、「ゾル−ゲル法の科学」1988年 アグネ承風社 Xing−Zhao Ding、他2名、「ジャーナル・オブ・マテリアルズ・サイエンス・レターズ(Jouranl of Materials Science Letters)」第14巻、1995年、p.21−22 Aree Hanprasopwattana、他3名、「カタリシス・レターズ(Catalysis Letters)」第45巻、1997年、p.165−175 Hermann Mockel、他2名、「ジャーナル・オブ・マテリアルズ・ケミストリー(Journal of Materials Chemistry)」第9巻、1999年、p.3051−3056 Frank Caruso、他3名、「アドバンスド・マテリアルズ(Advanced Materials)」第13巻、2001年、p.740−744
本発明の解決しようとする課題は、穏和な条件において、より短時間で簡便にアナターゼ型酸化チタン結晶を製造する方法を提供することにある。
本発明の上記課題は、親水性有機溶媒が含まれていてもよい水性媒体に、ポリアミンがプロトン化された状態で溶解した溶液(X)と、親水性有機溶媒が含まれていてもよい水性媒体に下記式(1)
Figure 0004446776
(式(1)中、R、Rは各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、又はプロピル基から選ばれる一種を表す。)
又は、下記式(2)
Figure 0004446776
(式(2)中、R、Rは各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、又はプロピル基から選ばれる一種を表す。)
で表されるチタン化合物が溶解した溶液(Y)とを混合することにより達成される。
本発明の製造方法によると、高温での処理や、雰囲気のコントロールなど、複雑な工程を必要とせず、2種類の水性媒体を、室温下で混合するだけで、アナターゼ型酸化チタン結晶を得ることができる。すなわち、本発明の製造方法は従来法に比べ、より簡便で、大量生産にも対応することが可能である。
また、本発明の製造方法においては、使用するポリアミンが、得られるアナターゼ型酸化チタン結晶中に包含されることから、溶媒への分散性や製膜性に優れたアナターゼ型酸化チタン結晶を得ることができる。
また、本発明の製造方法においては、ポリアミンがプロトン化された状態で溶解した溶液中のプロトン化されたポリアミンは、その対アニオンとして、各種対アニオンを取り得るため、対アニオンの有する機能や特性が付与されたアナターゼ型酸化チタン結晶が得られる。
本発明のアナターゼ型酸化チタン結晶の製造方法は、親水性有機溶媒が含まれていてもよい水性媒体に、ポリアミンがプロトン化された状態で溶解した溶液(X)と、親水性有機溶媒が含まれていてもよい水性媒体に、下記式(1)
Figure 0004446776
(式(1)中、R、Rは各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、又はプロピル基から選ばれる一種を表す。)
又は、下記式(2)
Figure 0004446776
(式(2)中、R、Rは各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、又はプロピル基から選ばれる一種を表す。)
で表されるチタン化合物が溶解した溶液(Y)とを混合することでアナターゼ型酸化チタン結晶を得る方法である。
本発明の製造方法によれば、温度や圧力、あるいは周囲の雰囲気等を精密に制御することなく、室温下で混合するだけで、アナターゼ型酸化チタン結晶を得ることが可能である。
本発明において、アナターゼ型酸化チタン結晶が室温で形成される機構については明らかでないが、恐らくは、ポリアミンがプロトン化された状態で溶解した溶液(X)中のプロトン化されたポリアミンが、チタン化合物と静電的に引き合うことが重要であると考えられる。また、本発明で用いるプロトン化されたポリアミンは、一分子中に複数のアミンを有するので、チタン化合物を濃縮する効果があり、これがアナターゼ型酸化チタン結晶の生成に寄与すると考えられる。
本発明において用いる、親水性有機溶媒が含まれていてもよい水性媒体に、ポリアミンがプロトン化された状態で溶解した溶液(X)(以下、該溶液を単に溶液(X)と略記する。)中でプロトン化された状態となるポリアミンとしては、分子内に複数のアミン残基を有するものであれば良い。(本発明においては、分子中に複数のアミン残基を有するものをポリアミンと称する。)このようなポリアミンのなかでも、分子内に3以上のアミン残基を有する低分子又は高分子ポリアミンは、室温下で容易にアナターゼ型酸化チタン結晶を生成することができるため好ましい。
上記の高分子ポリアミンの例としては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリビニルピリジン、ポリリシン、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート、ポリジメチルアミノアクリレート、キトサンの骨格が含まれるポリマーからなる群から選ばれる単独重合体または共重合体を取りあげることができる。
上記の低分子ポリアミンとしては、例えば、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、スペルミジン、スペルミンなどを取りあげることができる。
また、グリシン、アラニン、ロイシン、グルタミン、アスパラギン、リシン、アルギニンなどのアミノ酸残基の一種、もしくは複数種が、3以上結合したオリゴペプチド、またはポリペプチドの骨格が含まれる低分子・高分子化合物からなる群から選ばれる低分子・高分子化合物をあげることができる。
また、上記ポリアミンは、親水性有機溶媒が含まれていてもよい水性媒体中において、ポリアミン部分がプロトン化された状態で溶解していればよく、ポリアミンが基板や微粒子など、それ自身は水性媒体に溶解しない無機および有機基材の表面に結合されたものであっても良い。このようなポリアミンを用いると、アナターゼ型酸化チタン結晶で被覆された基板や微粒子を作製することが可能である。
また、上記ポリアミンは、親水性有機溶媒が含まれていてもよい水性媒体中において、ポリアミン部分がプロトン化された状態で溶解していればよいので、アルキル基やフェニル基などの疎水性の構造部分を有していもよく、また、アルキル基やフェニル基などの疎水性の構造部分を有する低分子、高分子と結合されたものを用いても良い。このような構造部分を有するものは、水性媒体中において分子が自己組織化し、ミセルなど特異な分子構造体を形成しやすく、この特異な構造を反映したアナターゼ型酸化チタン結晶の構造体を作製することもできる。
通常、ポリアミンは、水性媒体中に若干プロトン化された状態で溶解しているが、酸を加えることによって、さらにプロトン化の割合を高めることができ、この溶液を本発明の溶液(X)として用いることができる。また、親水性有機溶媒が含まれていてもよい水性媒体中に、ポリアミンの塩を溶解することで、溶液(X)を得ることもできる。
溶液(X)中には、プロトン化されたポリアミンの対アニオンが存在し、該対アニオンとしては、塩酸根、硫酸根、硝酸根、リン酸根、臭化水素酸根などの酸根、あるいは、[ClO]、[BF]、[PF]、[AsF]、[SbF]、[SnO]、[WO]、[MoO]などの無機系の対アニオンが例として挙げられる。
また、対アニオンは無機系だけではなく、水溶性を有する有機系対アニオンも用いることができる。このような有機系対アニオンとしては、例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸、フタロシアニンテトラスカルボン酸、ポルフィリンテトラカルボン酸などのカルボン酸の酸根、あるいはメチルスルホン酸、トリフルオロスルホン酸、トシル酸、フタロシアニンテトラスルホン酸、ポルフィリンテトラスルホン酸などのスルホン酸の酸根、エオシン、エリスロシン、ローズベンガルといったキサンテン系色素の色素アニオンなどの色素アニオンを好ましく使用できる。
これらの対アニオン、特に有機系酸根からなる対アニオンは酸化チタンと配位結合することにより、酸化チタンの表面に分子膜状態で存在しうるので、アナターゼ型酸化チタン結晶に多くの付加機能を付与することができる。
また、カルボン酸やスルホン酸類の酸根からなる有機系対アニオンのうち、重合性を持つものも好適に用いることができる。具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、ビニルベンゼンスルホン酸などの重合性の酸根が例として挙げられる。これらの重合性の酸根は、得られる酸化チタンの表面に結合するため、それらを重合させることで、アナターゼ型酸化チタン結晶表面をポリマー膜で被覆することが可能となる。
色素アニオンを対アニオンとして用いる場合には、酸化チタンに色素の機能を付与することができ、可視光領域の吸収を示すので、光触媒や太陽電池として有用な酸化チタンを作製することができる。
このように、本発明の製造方法においては、溶液(X)中のプロトン化されたポリアミンは、その対アニオンとして、各種機能や特性を有する対アニオンを取り得ることができることから、得られるアナターゼ型酸化チタン結晶に、これら対アニオンの有する機能や特性を付与することができる。
上記ポリアミンの塩の形態としては、溶解してポリアミンがプロトン化されるものであれば特に制限されないが、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、臭化水素酸塩又はリン酸塩のものを好ましく使用できる。また、イオン交換を行い、前記プロトン化されたポリアミンの対アニオンが、[ClO、[BF、[PF、[AsF、[SbF、[SnO、[WO、あるいは[MoOのものを用いても良い。
上記ポリアミンの塩は、市販のものを用いても良いし、公知慣用の合成法により得られる低分子および高分子ポリアミンや生体から抽出されるポリプロピレンイミンのオリゴマーを、酸水溶液中でプロトン化させることによって、ポリアミンの塩を適宜調製してもよい。また、この塩をイオン交換することによって、種々の対アニオンとの組み合わせのものを利用できる。
本発明においてポリアミンは、溶液(X)中で全てのアミン残基が完全にプロトン化されている必要はなく、一部がプロトン化されない状態で存在しても良いが、低分子のポリアミンを使用する場合には、プロトン化されないアミン残基は少ない方がよい。プロトン化を促進するために加える酸の量は、ポリアミン分子中のアミン残基の数に応じて適宜選択すればよいが、アミン残基数の0.1〜2当量程度加えるのが良く、プロトン化されないアミン残基を少なくするためには、アミン残基数の1当量〜2当量程度の酸を加えるのが好ましい。
本発明で用いるチタン化合物としては、上記式(1)もしくは式(2)で表される水溶性チタン化合物を好適に使用することができる。上記チタン化合物のなかでも、式(1)で表されるチタン化合物は、親水性有機溶媒が含まれていてもよい水性媒体中に溶解した際に、アニオン性を示すため、プロトン化されたポリアミンとの静電的相互作用が起こるので、特に好ましい。また、式(1)中のR、Rが水素原子とメチル基との組み合わせである、チタニウム(IV)ビス(アンモニウムラクテート)−ジヒドロキシド、式(2)中のR、Rが水素原子とメチル基との組み合わせである、チタニウム(IV)ビス(ラクテート)−ジヒドロキシドは安価に入手できることから、好適に用いることができる。このようなチタン化合物は、市販のものを用いても良いし、チタンアルコキシドとα−オキシカルボン酸とを反応させる方法(特開58−134164)などにより合成して使用しても良い。
本発明の一つの形態では、前記チタン化合物が溶解した溶液(Y)に、前記酸化チタン化合物に加えて、さらに色素部分がアニオン性である色素を溶解した溶液を使用することもできる。色素部分がアニオン性である色素の例としては、エオシン、エリスロシン、ローズベンガル、フタロシアニンテトラスルホン酸ナトリウム、ポルフィリンテトラスルホン酸ナトリウムなどが好ましい例として挙げられる。また、コンゴーレッド、オレンジII、レーキレッドCなど、一般に酸性染料と呼ばれる色素も好適に用いることができる。この方法では、色素が、プロトン化されたポリアミンとの静電相互作用によって、アナターゼ型酸化チタン結晶の形成と同時に取り込まれるので、色素の機能を持ったアナターゼ型酸化チタン結晶を製造することができる。溶解させる色素の量は、アナターゼ型酸化チタン結晶の形成を阻害しない量を適宜選択すればよいが、チタン化合物に対してモル比で20%以下にするのがよい。
本発明においては、上記したポリアミンの塩、及び上記式(1)又は(2)で表されるチタン化合物は、それぞれ親水性有機溶媒が含まれていてもよい水性媒体に溶解し、溶液(X)、及び溶液(Y)として使用する。ここで親水性有機溶媒が含まれていてもよい水性媒体としては、水、あるいはメタノール、エタノール、2−プロパノール、などの有機アルコール類と水との混合溶媒などが例として挙げられる。
本発明において、混合する溶液(X)、及び溶液(Y)の2種類の溶液の濃度は、それぞれ0.1wt%〜50wt%のものを好適に使用することができる。濃度が高すぎると生成するアナターゼ型酸化チタン結晶が凝集するおそれがあり、また濃度が低すぎる場合には生成したアナターゼ型酸化チタン結晶の捕集が困難である。より好適には、溶液(X)は0.2wt%〜2wt%、溶液(Y)は、5〜30wt%の濃度範囲のものを好適に使用することができる。この際、各溶液の混合量は、混合した溶液中でのポリアミンのアミン数と水溶性チタンの比が1:10〜10:1程度になるように調整するのが好ましく、凝集の抑制や捕集の簡便さから、より好適には1:5〜5:1程度にするのが良い。
本発明において、2種類の溶液の混合方法については特に制限はないが、生成したアナターゼ型酸化チタン結晶の凝集を抑制するために、一方の水溶液を攪拌しておき、これに他方の水溶液を徐々に滴下することが望ましい。
本発明において、アナターゼ型酸化チタン結晶を生成する反応は滴下直後に起こるので、生成した酸化チタンをすぐに捕集しても良いが、さらに10〜30分程度攪拌を継続することにより、未反応のチタン化合物を減じることができる。特に用いるポリアミンの分子内アミン数が少ない低分子の場合には、より長い時間、攪拌を継続しても良い。
また、本発明において、アナターゼ型酸化チタン結晶を生成する反応は室温で可能であるが、50℃程度に加温することで、さらに反応を促進することもできる。
上記方法により得られるアナターゼ型酸化チタン結晶は、良好な製膜性を有し、水洗によって、余剰のポリアミンの塩やチタン化合物を充分除去した後にも、透明フィルムを形成することができる。これは、上記方法により得られるアナターゼ型酸化チタン結晶が、ポリアミンを含有することに起因すると考えられる。
また、上記方法により得られるアナターゼ型酸化チタン結晶は、水又は水と親水性有機溶媒の混合溶媒に、容易に再分散させることができ、種々のバインダーとの混合が可能である。これは、上記方法により得られるアナターゼ型酸化チタン結晶の表面に、原料のチタン化合物から生成した乳酸が配位して、酸化チタン表面を化学修飾したのと同様の効果を与えるためと考えられる。同様な原理であるが、有機酸根を対アニオンとして用いた場合、その有機酸根が酸化チタン表面に配位結合させることもできる。
このようなアナターゼ型酸化チタン結晶は、その製膜性、分散性の良さから、加工性が高く、高屈折率の光学部品や化粧料、干渉顔料等へ応用が可能である。また、光触媒能を有する膜の形成や、太陽電池への応用も可能である。
以下に実施例を示して本発明を詳細に記載する。
実施例、比較例における操作及び測定方法は下記の通りである。
(遠心分離)
日立工機社製の高速遠心器「HIMAC SCR20BB」を使用して、各条件により遠心分離を行った。
(X線回折)
理学電機製の広角X線装置「Rint−Ultima+」を使用して、各実施例で得られた粉末のX線回折測定を行った。
(IRスペクトル)
日本分光工業(株)製の赤外分光装置「Micro FT−IR―100」に、ZnSe製の全反射セルをセットして、粉末表面のIRスペクトルを測定した。
(実施例1)
5Mの塩酸水溶液に、ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)(アルドリッチ社製、分子量50000)を、オキサゾリンのモノマー単位に対して、モル比で塩酸が3倍量となるように加え、9時間攪拌を行うことにより、白色の沈殿物を得た。この沈殿物をろ別、乾燥することにより、線状ポリエチレンイミン塩酸塩の白色粉末を得た。この線状ポリエチレンイミンの塩酸塩100mgを水10mlに溶解した水溶液(X1)と、チタニウム(IV)ビス(アンモニウムラクテート)−ジヒドロキシド水溶液(アルドリッチ社製、50wt%)を2倍に希釈した水溶液(Y1)を調製し、攪拌した水溶液(X1)10mlに水溶液(Y1)を5ml滴下したところ、(Y1)の滴下直後から液が白濁した。(Y1)の滴下後、さらに10分間攪拌を継続した。
この液に水を加えて50mlにし、6000rpm、30分間の遠心分離を行ったところ、遠沈管底部に白色の沈殿物が得られた。この沈殿物を再度50mlの水に分散して遠心分離する操作を2回繰返し、未反応のチタン化合物を除去した。得られた沈殿物を真空乾燥したところ、430mgの白色粉末を得た。得られた粉末のX線回折を測定したところ、アナターゼ型酸化チタン結晶に由来する回折ピークが確認された。
(実施例2)
実施例1と同様にして得た、線状ポリエチレンイミンの塩酸塩50mgを水10mlに溶解した水溶液(X2)と、チタニウム(IV)ビス(アンモニウムラクテート)−ジヒドロキシド水溶液(アルドリッチ社製、50wt%)を2倍に希釈した水溶液(Y2)を調製し、攪拌した水溶液(X2)10mlに水溶液(Y2)を1ml滴下したところ、(Y2)の滴下直後から液が白濁した。(Y2)の滴下後、さらに10分間攪拌を継続した。
この液に水を加えて50mlにし、6000rpm、30分間の遠心分離を行ったところ、遠沈管底部に白色の沈殿物が得られた。この沈殿物を再度50mlの水に分散して遠心分離する操作を2回繰返し、未反応のチタン化合物を除去した。この沈殿物を真空乾燥したところ、薄黄色透明のフィルム状の固形物83mgを得た。このフィルム状塊を粉砕し、得られた粉末表面のIRスペクトルを測定したところ、1620cm−1付近にピークが認められた。これは、Tadashi Awatani、他4名、ケミストリーレターズ、1998年、p.849−850に記載があるように、TiO上に配位結合した乳酸に由来するピークと帰属される(図1参照)。得られた粉末のX線回折を測定したところ、アナターゼ型酸化チタン結晶に由来する回折ピークが確認された(図2(a)参照)。
(比較例1)
実施例1と同様にして得た、線状ポリエチレンイミンの塩酸塩を25wt%のアンモニア水に加えてpH7にすることで透明な液を得、透析により水洗を行うことにより、白色の沈殿を得た。この沈殿をろ別した後、アセトンで洗浄し、自然乾燥した。さらに、40℃で12時間乾燥を行い、水分を15〜20wt%含有する中性線状ポリエチレンイミンの白色固体を得た。この中性の線状ポリエチレンイミン13mgを水10mlに溶解した水溶液(H1)と、チタニウム(IV)ビス(アンモニウムラクテート)−ジヒドロキシド水溶液(アルドリッチ社製、50wt%)を2倍に希釈した水溶液(H2)を調製し、80℃において、攪拌した水溶液(H1)10mlに水溶液(H2)を1ml滴下したが、液は無色透明のままであった。その後、室温での静置1月経過後も液は無色透明のままであった。
(実施例3)
5Mの塩酸水溶液に、エチレンイミン単位が塩酸に対して1.5倍量となるように、分岐状ポリエチレンイミン(アルドリッチ社製)を加え、一日攪拌することにより、分岐状ポリエチレンイミンの塩酸塩を得た。この分岐状ポリエチレンイミンの塩酸塩50mgを水10mlに溶解した水溶液(X3)と、チタニウム(IV)ビス(アンモニウムラクテート)−ジヒドロキシド水溶液(アルドリッチ社製、50wt%)を4倍に希釈した水溶液(Y3)を調製し、攪拌した水溶液(X3)10mlに水溶液(Y3)を1ml滴下したところ、(Y3)の滴下直後から液が白濁した。(Y3)の滴下後、さらに10分間攪拌を継続した。
この液に水を加えて50mlにし、6000rpm、30分間の遠心分離を行ったところ、遠沈管底部に白色の沈殿物が得られた。この沈殿物を再度50mlの水に分散して遠心分離する操作を2回繰返し、未反応のチタン化合物を除去した。この沈殿物を真空乾燥したところ、84mgの白色粉末を得た。得られた粉末の粉末X線回折を測定したところ、アナターゼ型酸化チタン結晶に由来する回折ピークが確認された(図2(b)参照)。
(実施例4)
ポリアリルアミンの塩酸塩(アルドリッチ社製)40mgを水10mlに溶解した水溶液(X4)と、チタニウム(IV)ビス(アンモニウムラクテート)−ジヒドロキシド水溶液(アルドリッチ社製、50wt%)を2倍に希釈した水溶液(Y4)を調製し、攪拌した水溶液(X4)10mlに水溶液(Y4)を1ml滴下したところ、(Y4)の滴下直後から液が白濁した。(Y4)の滴下後、さらに10分間攪拌を継続した。
この液に水を加えて50mlにし、6000rpm、30分間の遠心分離を行ったところ、遠沈管底部に白色の沈殿物が得られた。この沈殿物を再度50mlの水に分散して遠心分離する操作を2回繰返し、未反応のチタン化合物を除去した。この沈殿物を真空乾燥したところ、薄黄色透明のフィルム状の固形物54mgを得た。このフィルム状の固形物を粉砕し、得られた粉末のX線回折を測定したところ、アナターゼ型酸化チタン結晶に由来する回折ピークが確認された(図2(c)参照)。
(実施例5)
トリエチレンテトラミン四塩酸塩(東京化成社製)63mgを水10mlに溶解した水溶液(X5)と、チタニウム(IV)ビス(アンモニウムラクテート)−ジヒドロキシド水溶液(アルドリッチ社製、50wt%)を2倍に希釈した水溶液(Y5)を調製し、攪拌した水溶液(X5)10mlに水溶液(Y5)を1ml滴下したところ、(Y5)の滴下直後から液が白濁した。(Y5)の滴下後、さらに10分間攪拌を継続した。
この液に水を加えて50mlにし、6000rpm、30分間の遠心分離を行ったところ、遠沈管底部に白色の沈殿物が得られた。この沈殿物を再度50mlの水に分散して遠心分離する操作を2回繰返し、未反応のチタン化合物を除去した。この沈殿物を真空乾燥したところ、薄黄色透明のフィルム状の固形物13mgを得た。このフィルム状の固形物を粉砕し、得られた粉末のX線回折を測定したところ、アナターゼ型酸化チタン結晶に由来する回折ピークが確認された(図3(d)参照)。
(実施例6)
テトラエチレンペンタミン五塩酸塩(アルドリッチ社製)64mgを水10mlに溶解した水溶液(X6)と、チタニウム(IV)ビス(アンモニウムラクテート)−ジヒドロキシド水溶液(アルドリッチ社製、50wt%)を2倍に希釈した水溶液(Y6)を調製し、攪拌した水溶液(X6)10mlに水溶液(Y6)を1ml滴下したところ、(Y6)の滴下直後から液が白濁した。(Y6)の滴下後、さらに10分間攪拌を継続した。
この液に水を加えて50mlにし、6000rpm、30分間の遠心分離を行ったところ、遠沈管底部に白色の沈殿物が得られた。この沈殿物を再度50mlの水に分散して遠心分離する操作を2回繰返し、未反応のチタン化合物を除去した。この沈殿物を真空乾燥したところ、薄黄色透明のフィルム状の固形物33mgを得た。このフィルム状の固形物を粉砕し、得られた粉末のX線回折を測定したところ、アナターゼ型酸化チタン結晶に由来する回折ピークが確認された(図3(e)参照)。
(実施例7)
スペルミン四塩酸塩(シグマ社製)250mgを水10mlに溶解した水溶液(X7)と、チタニウム(IV)ビス(アンモニウムラクテート)−ジヒドロキシド水溶液(アルドリッチ社製、50wt%)を2倍に希釈した水溶液(Y7)を調製し、攪拌した水溶液(X7)10mlに水溶液(Y7)を1ml滴下したところ、(Y7)の滴下直後から液が白濁した。(Y7)の滴下後、さらに10分間攪拌を継続した。
この液に水を加えて50mlにし、6000rpm、30分間の遠心分離を行ったところ、遠沈管底部に白色の沈殿物が得られた。この沈殿物を再度50mlの水に分散して遠心分離する操作を2回繰返し、未反応のチタン化合物を除去した。この沈殿物を真空乾燥したところ、薄黄色透明のフィルム状の固形物67mgを得た。このフィルム状の固形物を粉砕し、得られた粉末のX線回折を測定したところ、アナターゼ型酸化チタン結晶に由来する回折ピークが確認された(図3(f)参照)。
(実施例8)
実施例1と同様にして得た、線状ポリエチレンイミンの塩酸塩50mgを水10mlに溶解した水溶液(X8)と、チタニウム(IV)ビス(アンモニウムラクテート)−ジヒドロキシド水溶液(アルドリッチ社製、50wt%)を2倍に希釈した水溶液(Y8)中に、さらにローズベンガル3.8mgを溶解した水溶液(Z8)を調製し、攪拌した水溶液(X8)10mlに水溶液(Z8)を1ml滴下したところ、(Z8)の滴下直後から液が懸濁した。(Z8)の滴下後、さらに10分間攪拌を継続した。
この液に水を加えて50mlにし、6000rpm、30分間の遠心分離を行ったところ、遠沈管底部に赤色の沈殿物が得られた。この沈殿物を再度50mlの水に分散して遠心分離する操作を2回繰返し、未反応のチタン化合物を除去した。この沈殿物を真空乾燥したところ、赤色透明のフィルム状の固形物38mgを得た。得られた粉末のX線回折を測定したところ、色素を加えない場合と同様に、アナターゼ型酸化チタン結晶に由来する回折ピークが確認された。
実施例2で得られた黄色透明固形の物粉末表面のIRスペクトルである。 実施例2〜4で得られた粉末の広角X線回折パターンである。(破線はアナターゼ型酸化チタン結晶の回折ピーク位置。) 実施例5〜7で得られた粉末の広角X線回折パターンである。(破線はアナターゼ型酸化チタン結晶の回折ピーク位置。)

Claims (12)

  1. 親水性有機溶媒が含まれていてもよい水性媒体に、ポリアミンがプロトン化された状態で溶解した溶液(X)と、親水性有機溶媒が含まれていてもよい水性媒体に下記式(1)
    Figure 0004446776
    (式(1)中、R、Rは各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、又はプロピル基から選ばれる一種を表す。)
    又は、下記式(2)
    Figure 0004446776
    (式(2)中、R、Rは各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、又はプロピル基から選ばれる一種を表す。)
    で表されるチタン化合物が溶解した溶液(Y)とを混合することを特徴とするアナターゼ型酸化チタン結晶の製造方法。
  2. 前記チタン化合物が、チタニウム(IV)ビス(アンモニウムラクテート)−ジヒドロキシド、又はチタニウム(IV)ビス(ラクテート)−ジヒドロキシドである請求項1に記載のアナターゼ型酸化チタン結晶の製造方法。
  3. 前記ポリアミンが、分子中に3以上のアミン残基を有するポリアミンである請求項1又は2に記載のアナターゼ型酸化チタン結晶の製造方法。
  4. 前記ポリアミンが、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリビニルピリジン、ポリリシン、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート、ポリジメチルアミノアクリレート、キトサンの骨格が含まれるポリマーからなる群から選ばれる単独重合体または共重合体である請求項3に記載のアナターゼ型酸化チタン結晶の製造方法。
  5. 前記ポリアミンがトリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、スペルミジン、スペルミンからなる群から選ばれる低分子ポリアミンである請求項3に記載のアナターゼ型酸化チタン結晶の製造方法。
  6. 前記ポリアミンがプロトン化された状態で溶解した溶液(X)中のプロトン化されたポリアミンの対アニオンが、塩酸根、硫酸根、リン酸根、硝酸根、又は臭化水素根からなる群から選ばれるものである請求項1〜5のいずれかに記載のアナターゼ型酸化チタン結晶の製造方法。
  7. 前記ポリアミンがプロトン化された状態で溶解した溶液(X)中のプロトン化されたポリアミンの対アニオンが、スルホン酸の酸根、又はカルボン酸の酸根からなる群から選ばれるものである請求項1〜5のいずれかに記載のアナターゼ型酸化チタン結晶の製造方法。
  8. 前記ポリアミンがプロトン化された状態で溶解した溶液(X)中のプロトン化されたポリアミンの対アニオンが、エオシン、エリスロシン、ローズベンガルから選ばれるキサンテン系色素の色素アニオンである請求項1〜5のいずれかに記載のアナターゼ型酸化チタン結晶の製造方法。
  9. 前記チタン化合物が溶解した溶液(Y)が、前記酸化チタン化合物に加え、さらに色素部分がアニオン性である色素を溶解した溶液である請求項1〜のいずれかに記載のアナターゼ型酸化チタン結晶の製造方法。
  10. 前記色素部分がアニオン性である色素が、エオシン、エリスロシン、ローズベンガル、フタロシアニンテトラスルホン酸ナトリウム、ポルフィリンテトラスルホン酸ナトリウムから選ばれる色素である請求項に記載のアナターゼ型酸化チタン結晶の製造方法。
  11. 前記溶液(X)と溶液(Y)との混合を室温下で行う請求項1〜1のいずれかに記載のアナターゼ型酸化チタン結晶の製造方法。
  12. 前記溶液(X)中のポリアミンのアミン数と、前記溶液(Y)中のチタン化合物とのモル比が、10:1〜1:10である請求項1〜1のいずれかに記載のアナターゼ型酸化チタン結晶の製造方法。
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