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JP4449091B2 - 磁性フェライト材料、積層型チップフェライト部品、複合積層型部品および磁心 - Google Patents
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JP4449091B2 - 磁性フェライト材料、積層型チップフェライト部品、複合積層型部品および磁心 - Google Patents

磁性フェライト材料、積層型チップフェライト部品、複合積層型部品および磁心 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁性フェライト材料と、この磁性フェライト材料を磁性材料として用いる積層型チップフェライト部品や複合積層型部品等の積層型フェライト部品および磁心に関する。
【0002】
【従来の技術】
積層型チップインダクタや積層型チップビーズ等の積層型チップフェライト部品、LC複合フィルタ等の複合積層型部品は、体積が小さいこと、堅牢性および信頼性が高いことなどから、各種電子機器に多用されている。このような積層型フェライト部品は、通常、磁性フェライトからなる磁性層用のシートやペースト、および、内部電極用のペーストを厚膜積層技術によって積層一体化した後、焼成し、得られた燒結体表面に外部電極用ペーストを印刷ないし転写した後に焼成して製造される。この場合、磁性層に用いられる磁性フェライト材料は、内部電極用材料の融点以下での低温焼成が可能であるという点から、NiCuZnフェライトやNiZnフェライトが一般に用いられている。
【0003】
一方、近年のデジタル回路および機器、さらに情報通信分野および高周波分野の急速な展開の中、上記の積層型フェライト部品にも従来以上の電気特性、例えば、積層チップインダクタの場合は、より高いインダクタンスLが求められ、積層チップビーズの場合は、より高い吸収特性等が求められている。また、各種フェライトコアの場合、その磁心であるフェライトに高透磁率が求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、積層型フェライト部品に用いられるNiCuZnフェライトは、Ag内部電極と同時焼成されるので、その組成や焼成温度(Agの融点(960℃)以下)、および、添加物の種類や含有量等に制限があり、所望の電磁気特性を得る手段の自由度が低く、透磁率も最高で1000程度であり、上述の高特性に対する要請を十分に満足できるものではなかった。
【0005】
このような問題を解消するために、本発明者らはNiCuZnフェライト材料やNiZnフェライト材料中のS成分量とCl成分量とを規定することによりインダクタンスLや品質係数Qを向上させた複合積層型部品を開示(特開平5−258937号)しているが、さらに、特開平5−258937号とは異なる組成範囲において、高い透磁率を有するNiCuZnフェライト材料が要望されている。
【0006】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、NiCuZnフェライト材料中のS成分とCl成分との割合が透磁率に大きな影響を与えることを見出し、より高い透磁率をもつ磁性フェライト材料と磁心、より高いインダクタンスLや高い吸収特性をもつ積層型チップフェライト部品や複合積層型部品を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明の磁性フェライト材料は、原材料を仮焼成して得た仮焼成粉を所望の形状に形成して焼成したFe23、NiO、CuOおよびZnOを主成分とする磁性フェライト材料であって、Fe23、NiO、CuOおよびZnOの組成は、Fe23:49〜50モル%、NiO:7〜12モル%、CuO:7.5〜12.5モル%、ZnO:28.5〜33モル%の範囲内にあり、かつ、S成分の含有量とCl成分の含有量の比(S/Cl)が0.15〜5.0の範囲内にあり、S成分の含有量は10〜100ppmの範囲内、Cl成分の含有量は10〜100ppmの範囲内にあるような構成とした。
【0009】
また、本発明の磁性フェライト材料は、前記仮焼成粉におけるFe23、NiO、CuOおよびZnOの組成が、Fe23:49〜50モル%、NiO:7〜12モル%、CuO:7.5〜12.5モル%、ZnO:28.5〜33モル%の範囲内にあり、かつ、S成分の含有量とCl成分の含有量の比(S/Cl)が0.03〜1.5の範囲内にあり、S成分の含有量は10〜300ppmの範囲内、Cl成分の含有量は50〜600ppmの範囲内にあるような構成とした。
【0011】
本発明の積層型チップフェライト部品は、磁性フェライト層と内部電極とを多層積層して構成される積層型チップフェライト部品であって、前記磁性フェライト層は上記のいずれかの磁性フェライト材料で構成されているものとした。
【0012】
本発明の複合積層部品は、フェライト磁性層と内部電極とを積層して構成されるチップフェライト部を有する複合積層型部品であって、前記フェライト磁性層は上記のいずれかの磁性フェライト材料で構成されているものとした。
【0013】
本発明の磁心は、上記のいずれかの磁性フェライト材料で構成されているものとした。
【0014】
このような本発明では、フェライト組成およびS成分の含有量とCl成分の含有量の比を規定することによって、焼成時の結晶粒成長が促進されて、高い透磁率を有する磁性フェライト材料や磁心が可能となり、この磁性フェライト材料を用いた積層型チップフェライト部品や複合積層型部品は、インダクタンスLや吸収特性等の特性向上が可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態について説明する。
磁性フェライト材料
本発明の磁性フェライト材料は、原材料を仮焼成して得た仮焼成粉を所望の形状に形成して焼成したFe23 、NiO、CuOおよびZnOを主成分とする磁性フェライト材料であり、Fe23 、NiO、CuOおよびZnOの組成が下記の範囲内で、かつ、S成分の含有量とCl成分の含有量の比(S/Cl)が0.15〜5.0、好ましくは0.20〜4.3の範囲内のものである。
のものである。
【0016】
・Fe23 :49〜50モル%、好ましくは49.5〜49.8モル%
・NiO :7〜12モル%、好ましくは7.5〜10.0モル%
・CuO :7.5〜12.5モル%、好ましくは8.5〜10.5モル%
・ZnO :28.5〜33モル%、好ましくは30.7〜32.7モル%
上述のS成分の含有量とCl成分の含有量の比(S/Cl)は、焼成時における結晶粒成長を促進させ、微細構造を制御して透磁率を向上させるために重要であり、上記の0.15〜5.0の範囲内となるように設定する必要がある。
【0017】
磁性フェライト材料の磁気特性は組成依存性が非常に強く、Fe23 、NiO、CuOおよびZnOの組成が上記の範囲を外れた領域では、透磁率や品質係数Qが低く不十分なものとなる。具体的には、例えば、Fe23 量が少な過ぎると透磁率が小さく、化学量論組成に近づくにしたがい透磁率は上昇し、化学量論組成付近から急激に低下する。また、NiO量の減少、あるいは、ZnO量の増加に伴って透磁率は高くなる。しかし、ZnO量が多過ぎるとキュリー温度が100℃以下となり、電子部品に要求される温度特性を満足できなくなる。また、CuO量が少な過ぎると低温焼成(930℃以下)が困難となり、逆に多過ぎるとフェライトの固有抵抗が低下して品質係数Qが劣化する。このため、高い透磁率を得るには、組成を上記の範囲内で管理することが必要である。
【0018】
また、本発明の磁性フェライト材料は、上述のように比(S/Cl)が0.15〜5.0の範囲内であるとともに、S成分の含有量が10〜100ppmの範囲内、Cl成分の含有量が10〜100ppmの範囲内であることが好ましい。S成分の含有量とCl成分の含有量が上記の範囲を外れる場合、焼成時における結晶粒成長は十分に促進されず、磁性フェライト材料の透磁率は不十分なものとなる。
【0019】
本発明の磁性フェライト材料は、仮焼成粉におけるS成分の含有量とCl成分の含有量の比(S/Cl)が0.03〜1.5、好ましくは0.05〜1.0の範囲内であることが好ましい。粉末冶金協会の学会誌(粉末および粉末冶金1998、45巻、7号、P630−635)にもあるように、Cl成分はNiCuZnフェライトの反応に低温から関与しており、反応促進的な役割を果たしている。しかし、Cl成分量が多い原料を選択すると、Mn,Cr,Co,Al,Si等の不純物が多くなり、フェライトの燒結を阻害したり、また、そのフェライト材料を用いてAg内部電極と同時焼成した場合、フェライト材料中へのAgの拡散を促進したりする悪影響がある。
【0020】
本発明の磁性フェライト材料は、仮焼成粉におけるS成分の含有量とCl成分の含有量の比(S/Cl)を0.03〜1.5の範囲内で設定するとともに、S成分の含有量を10〜300ppmの範囲内、Cl成分の含有量を50〜600ppmの範囲内とすることが好ましい。S成分の含有量とCl成分の含有量が上記の範囲を外れる場合、焼成時における結晶粒成長は十分に促進されず、磁性フェライト材料の透磁率は不十分なものとなる。
【0021】
尚、本発明の磁性フェライト材料や仮焼成粉中のS成分は、試料を粉砕した後に焼成酸化させ、変換されたSO2 を赤外線検出器で分析することができる。また、Cl成分は、粉砕後の試料を水中で超音波分散させ、遠心分離後、濾過し、イオンクロマトグラフにて測定することができる。さらに、Fe23 、NiO、CuOおよびZnO組成の分析は、ガラスビート法による蛍光X線分析で測定することができる。
積層チップフェライト部品
本発明の積層型チップフェライト部品は、磁性フェライト層と内部電極とを多層積層して構成され、磁性フェライト層を本発明の磁性フェライト材料で構成したものである。
【0022】
図1は、本発明の積層型チップフェライト部品の一実施形態である積層型チップインダクタの一例を示す概略断面図であり、図2は平面部分断面図である。図1および図2において、積層型チップインダクタ1は、磁性フェライト層2と内部電極3とが交互に積層一体化された多層構造のチップ体4を有し、このチップ体4の端部には、内部電極3と電気的に導通する外部電極5,5が設けられている。
【0023】
積層型チップインダクタ1を構成する磁性フェライト層2は、上述の本発明の磁性フェライト材料で構成されたものである。すなわち、本発明の磁性フェライト材料を得るための仮焼成粉をエチルセルロース等のバインダとテルピネオール、ブチルカルビトール等の溶剤とともに混練して得た磁性フェライト層用ペーストを、内部電極用ペーストと交互に印刷積層した後、焼成して形成することができる。
【0024】
この磁性フェライト層用ペースト中のバインダおよび溶剤の含有量には制限はなく、例えば、バインダの含有量は1〜5重量%、溶剤の含有量は10〜50重量%程度の範囲で設定することができる。また、ペースト中には、必要に応じて各種ガラスや酸化物、分散剤、可塑剤、誘電体、絶縁体等を10重量%以下の範囲で含有させることができる。
【0025】
また、磁性フェライト層2は、磁性フェライト層用シートを用いて形成することもできる。すなわち、本発明の磁性フェライト材料を得るための仮焼成粉を、ポリビニルブチラールを主成分としたバインダとトルエン、キシレン等の溶媒とともにボールミル中で混練して得たスラリーを、ポリエステルフィルム等の上にドクターブレード法等で塗布し乾燥して磁性フェライト層用シートを得る。この磁性フェライト層用シートを、内部電極用ペーストと交互に積層した後、焼成する。尚、磁性フェライト層用シート中のバインダの含有量には制限はなく、例えば、1〜5重量%程度の範囲で設定することができる。また、磁性フェライト層用シート中には、必要に応じて各種ガラスや酸化物、分散剤、可塑剤、誘電体、絶縁体等を10重量%以下の範囲で含有させることができる。
【0026】
積層型チップインダクタ1を構成する内部電極3は、インダクタとして実用的な品質係数Qを得るために抵抗率の小さいAgを主体とした導電材を用いて形成する。内部電極3は、各層が長円形状であり、隣接する内部電極3の各層は、図2に示されるように、スパイラル状に導通が確保されているので、内部電極3は閉磁路コイル(巻線パターン)を構成し、その両端に外部電極5,5が接続されている。
【0027】
積層型チップインダクタ1のチップ体4の外形や寸法には特に制限はなく、用途に応じて適宜設定することができ、通常、外形はほぼ直方体形状とし、寸法は1.0〜4.5mm×0.5〜3.2mm×0.6〜1.9mm程度とすることができる。また、磁性フェライト層2の電極間厚みおよびベース厚みには特に制限はなく、電極間厚み(内部電極3,3の間隔)は10〜100μm、ベース厚みは250〜500μm程度で設定することができる。さらに、内部電極3の厚みは、通常、5〜30μmの範囲で設定でき、巻線パターンのピッチは10〜100μm程度、巻数は1.5〜20.5ターン程度とすることができる。
【0028】
磁性フェライト層用ペーストあるいはシートと内部電極用ペーストとを交互に印刷積層した後の焼成時の温度は、800〜930℃、好ましくは850〜900℃とする。焼成温度が800℃未満であると焼成不足となり、一方、930℃を超えるとフェライト材料中に内部電極材料が拡散して、電磁気特性を著しく低下させることがある。また、焼成時間は0.05〜5時間、好ましくは0.1〜3時間の範囲で設定することができる。
【0029】
尚、磁性フェライト層2中のS成分は、磁性フェライト層を分離し、これを粉砕した後に焼成酸化させ、変換されたSO2 を赤外線検出器で分析することができる。また、Cl成分は、粉砕後の試料を水中で超音波分散させ、遠心分離後、濾過し、イオンクロマトグラフにて測定することができる。さらに、磁性フェライト層のFe23 、NiO、CuOおよびZnO組成の分析は、ガラスビート法による蛍光X線分析で測定することができる。
複合積層型部品
本発明の複合積層型部品は、本発明の磁性フェライト材料で構成されたフェライト磁性層と内部電極とを積層したチップフェライト部を有するものである。
【0030】
図3は、本発明の複合積層型部品の一実施形態であるLC複合部品の一例を示す概略断面図である。図3において、LC複合部品11は、チップコンデンサ部12とチップフェライト部13とを一体化したものであり、この端部には外部電極15,15が設けられている。
【0031】
チップコンデンサ部12は、セラミック誘電体層21と内部電極22とが交互に積層一体化された多層構造を有する。
【0032】
セラミック誘電体層21としては特に制限はなく、種々の誘電体材料を用いることができ、焼成温度が低い酸化チタン系誘電体が好ましい。また、チタン酸系複合酸化物、ジルコン酸系複合酸化物、あるいは、これらの混合物を使用することもできる。さらに、焼成温度を下げるために、ホウケイ酸ガラス等の各種ガラスが含有されてもよい。
【0033】
また、内部電極22は、抵抗率の小さいAgを主体とした導電材を用いて形成されており、内部電極22の各層は、交互に別の外部電極に接続されている。
【0034】
チップフェライト部13は、積層型チップインダクタであり、フェライト磁性層32と内部電極33とが交互に積層一体化された多層構造のチップ体である。フェライト磁性層32は、本発明の磁性フェライト材料で構成されたものである。すなわち、本発明の磁性フェライト材料を得るための仮焼成粉を、エチルセルロース等のバインダとテルピネオール、ブチルカルビトール等の溶剤とともに混練して得たフェライト磁性層用ペーストを、内部電極用ペーストと交互に印刷積層した後、焼成して形成することができる。あるいは、本発明の磁性フェライト材料を得るための仮焼成粉を、ポリビニルブチラールを主成分としたバインダとトルエン、キシレン等の溶媒とともにボールミル中で混練してスラリーを作成し、このスラリーをポリエステルフィルム等の上にドクターブレード法等で塗布し乾燥して得たフェライト磁性層用シートを、内部電極用ペーストと交互に積層した後、焼成して形成することができる。
【0035】
また、内部電極33はスパイラル状に導通が確保されて閉磁路コイル(巻線パターン)を構成し、その両端は外部電極15,15に接続されている。この内部電極33は、抵抗率の小さいAgを主体とした導電材を用いて形成される。
【0036】
チップフェライト部13のフェライト磁性層32の電極間厚みおよびベース厚みには特に制限はなく、電極間厚み(内部電極33,33の間隔)は10〜100μm、ベース厚みは100〜500μm程度で設定することができる。さらに、内部電極33の厚みは、通常、5〜30μmの範囲で設定でき、巻線パターンのピッチは10〜400μm程度、巻数は1.5〜50.5ターン程度とすることができる。
【0037】
本発明のLC複合部品11の外形や寸法には特に制限はなく、用途に応じて適宜設定することができ、通常、外形はほぼ直方体形状とし、寸法は1.6〜10.0mm×0.8〜15.0mm×1.0〜5.0mm程度とすることができる。
【0038】
尚、フェライト磁性層32中のS成分は、フェライト磁性層を分離し、これを粉砕した後に焼成酸化させ、変換されたSO2 を赤外線検出器で分析することができる。また、Cl成分は、粉砕後の試料を水中で超音波分散させ、遠心分離後、濾過し、イオンクロマトグラフにて測定することができる。さらに、フェライト磁性層のFe23 、NiO、CuOおよびZnO組成の分析は、ガラスビート法による蛍光X線分析で測定することができる。
磁心
本発明の磁心は、本発明の磁性フェライト材料で構成したものである。本発明の磁心を製造するためには、まず、上記の本発明の磁性フェライト材料用の原料を、磁性フェライト材料の最終組成が上記の量比となるように混合する。次に、これをスプレードライヤー等にて80〜200μm程度の径の顆粒とする。そして、これに適当なバインダ、例えば、ポリビニルアルコールを少量(例えば、0.1〜1重量%)加えて成型する。
【0039】
次いで、この成型品を、通常、大気圧下で脱バインダのための初期焼成として400〜500℃の範囲内の所定温度まで、例えば60℃/時程度の昇温速度で徐熱する。次に、850〜1100℃の範囲内の所望の焼成温度まで50〜300℃/時の昇温速度で徐熱し、その温度で一定時間、好ましくは1時間以上保持する。
【0040】
その後の冷却工程は、冷却速度100〜500℃/時で常温まで冷却する。以上の焼成方法により、高密度、かつ、高透磁率という極めて高性能な磁心が得られる。
【0041】
尚、本発明の磁心中のS成分は、試料を粉砕した後に焼成酸化させ、変換されたSO2 を赤外線検出器で分析することができる。また、Cl成分は、粉砕後の試料を水中で超音波分散させ、遠心分離後、濾過し、イオンクロマトグラフにて測定することができる。さらに、磁心のFe23 、NiO、CuOおよびZnO組成の分析は、ガラスビート法による蛍光X線分析で測定することができる。
【0042】
【実施例】
次に、具体的な実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
[仮焼成粉の調製]
Fe23 、NiO、CuOおよびZnOの各成分を下記の製造条件で配合、仮焼成、粉砕して21種の仮焼成粉(実施例1〜9、比較例1〜12)を調製した。
【0043】
製造条件
・配合及び粉砕用ポット : 4インチ、ステンレスボールミルポット
・配合及び粉砕用メディア: 1/8インチスチールボール800g
・配合時間 : 10時間
・粉砕時間 : 60時間
・仮焼成条件 : 700℃、4時間
得られた21種の仮焼成粉(実施例1〜9、比較例1〜12)について、試料を粉砕した後に焼成酸化させ、変換されたSO2 を赤外線検出器で分析してS成分量を測定し、また、粉砕後の試料を水中で超音波分散させ、遠心分離後、濾過し、イオンクロマトグラフにてCl成分量を測定し、比(S/Cl)を算出して下記の表1に示した。
[磁性フェライト材料の作製]
次に、各仮焼成粉(実施例1〜9、比較例1〜12)にポリビニルアルコール6%水溶液を10重量%添加し、トロイダル(外径11.1cm、内径5.1cm、厚み2.4cm)に成形し、900℃で2時間の焼成を行って磁性フェライト材料(実施例1〜9、比較例1〜12)を得た。得られた21種の磁性フェライト材料について、上記の仮焼成粉と同様にしてS成分量およびCl成分量を測定し、比(S/Cl)を算出して下記の表1に示した。また、21種の磁性フェライト材料(実施例1〜9、比較例1〜12)について、ガラスビート法による蛍光X線分析でFe23 、NiO、CuOおよびZnOの組成を分析して結果を下記の表1に示した。
【0044】
さらに、得られた磁性フェライト材料(実施例1〜9、比較例1〜12)の燒結密度、透磁率μを下記の方法で測定して、結果を下記の表1に示した。
【0045】
透磁率μの測定方法
トロイダル形状の磁性フェライト材料に銅製ワイヤー(線径0.35mm)を20ターン巻き、測定周波数100KHz、測定電流0.5mAでLCRメーター(ヒューレットパッカー(株)製)を用いてインダクタンスを測定し、下記の式を用いて透磁率μを算出する。
【0046】
透磁率μ=(le ×L)/(μ0 ×Ae ×N2
le :磁路長 L:試料のインダクタンス
μ0 :真空の透磁率=4π×10-7(H/m)
Ae :試料の断面積 N:コイルの巻数
[積層型チップフェライト部品の作製]
また、各仮焼成粉(実施例1〜9、比較例1〜12)100重量部に対して、エチルセルロース2.5重量部、テルピネオール40重量部を加え、3本ロールにて混練して磁性フェライト層用ペーストを調製した。一方、平均粒径0.8μmのAg100重量部に対して、エチルセルロース2.5重量部、テルピネオール40重量部を加え、3本ロールにて混練して、内部電極用ペーストを調製した。このような磁性フェライト層用ペーストと内部電極用ペーストを交互に印刷積層した後、900℃で2時間の焼成を行って図1および図2に示されるような積層型チップインダクタ(実施例1〜9、比較例1〜12)を得た。これらの4532タイプの積層型チップインダクタの寸法は4.5mm×3.2mm×1.2mmであり、巻数は9.5ターンとした。次いで、上記の積層型チップインダクタ(実施例1〜9、比較例1〜12)の端部に外部電極を約600℃で焼き付けて形成し、測定周波数100KHz、測定電流0.2mAでLCRメーター(ヒューレットパッカー(株)製)を用いてインダクタンスLを測定し、結果を下記の表1に示した。
【0047】
また、仮焼成粉(実施例5、比較例2)を用いて、上記と同様にして磁性フェライト層用ペーストを調製し、このペーストと、上記の内部電極用ペーストとを使用して、2012タイプの積層型チップビーズ(実施例A、比較例A)を得た。焼成は900℃、2時間とし、巻数は3.5ターンとした。次いで、上記の積層型チップビーズ(実施例A、比較例A)の端部に外部電極を約600℃で焼き付けて形成し、インピーダンズアナライザー(ヒューレットパッカー(株)製)を用いて測定周波数100KHz、測定電流0.2mAでLCRメーターを用いてインピーダンスZ、リアクタンスX、レジスタンスRの周波数特性を測定し、結果を図4に示した。
【0048】
【表1】
Figure 0004449091
表1に示されるように、Fe23 、NiO、CuOおよびZnOの組成を所定範囲に規定し、かつ、S成分の含有量とCl成分の含有量の比を所定範囲内に規定する本発明の磁性フェライト材料(実施例1〜9)は、透磁率が1000を超えるものであった。また、このような本発明の磁性フェライト材料で構成された磁性フェライト層を備える積層型チップインダクタ(実施例1〜9)は、90以上の非常に高いインダクタンスLを有することが確認された。さらに、本発明の磁性フェライト材料(実施例5)で構成された磁性フェライト層を備える積層型チップビーズ(実施例A)は、図4に示されるように、反射成分(リアクタンス)が小さく、吸収成分(レジスタンス)が大きく、両者の交点が低周波数側にあるので、積層型チップビーズ(比較例A)に比べて高い吸収特性を備えることが確認された。
【0049】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によればフェライト組成およびS成分の含有量とCl成分の含有量の比を所定範囲内に規定することによって、焼成時の結晶粒成長が促進され、磁性フェライト材料およびこの磁性フェライト材料で構成された磁心の透磁率が高いものとなり、このような磁性フェライト材料で構成された磁性フェライト層を備える積層型チップインダクタは、非常に高いインダクタンスLをもち、従来品に比べ同等の取得インダクタンスLの設計の場合、巻数が低減され、小型化や低背化が可能となり、また、本発明の磁性フェライト材料で構成された磁性フェライト層を備える積層型チップビーズは、反射成分(リアクタンス)が小さく、吸収成分(レジスタンス)が大きく、かつ、両者の交点が低周波数側にシフトするので、従来に比べて高い吸収特性を備えたものとなり、さらに、本発明の磁性フェライト材料で構成されたフェライト磁性層と内部電極とを積層したチップフェライト部を有する複合積層型部品は、高密度化、高特性化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層型チップフェライト部品の一実施形態である積層型チップインダクタの一例を示す概略断面図である。
【図2】図1に示される積層型チップインダクタの平面部分断面図である。
【図3】本発明の複合積層型部品の一実施形態であるLC複合部品の一例を示す概略断面図である。
【図4】積層型チップビーズ(実施例A、比較例A)のインピーダンスZ、リアクタンスX、レジスタンスRの周波数特性を示す図である。
【符号の説明】
1…積層型チップインダクタ
2…磁性フェライト層
3…内部電極
4…チップ体
5,5…外部電極
11…LC複合部品
12…チップコンデンサ部
13…チップフェライト部
15,15…外部電極
21…セラミック誘電体層
22…内部電極
32…フェライト磁性層
33…内部電極

Claims (5)

  1. 原材料を仮焼成して得た仮焼成粉を所望の形状に形成して焼成したFe23、NiO、CuOおよびZnOを主成分とする磁性フェライト材料であって、
    Fe23、NiO、CuOおよびZnOの組成は、Fe23:49〜50モル%、NiO:7〜12モル%、CuO:7.5〜12.5モル%、ZnO:28.5〜33モル%の範囲内にあり、かつ、S成分の含有量とCl成分の含有量の比(S/Cl)が0.15〜5.0の範囲内にあり、S成分の含有量は10〜100ppmの範囲内、Cl成分の含有量は10〜100ppmの範囲内にあることを特徴とする磁性フェライト材料。
  2. 前記仮焼成粉におけるFe23、NiO、CuOおよびZnOの組成は、Fe23:49〜50モル%、NiO:7〜12モル%、CuO:7.5〜12.5モル%、ZnO:28.5〜33モル%の範囲内にあり、かつ、S成分の含有量とCl成分の含有量の比(S/Cl)が0.03〜1.5の範囲内にあり、S成分の含有量は10〜300ppmの範囲内、Cl成分の含有量は50〜600ppmの範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載の磁性フェライト材料。
  3. 磁性フェライト層と内部電極とを多層積層して構成される積層型チップフェライト部品において、
    前記磁性フェライト層は請求項1または請求項2に記載の磁性フェライト材料で構成されていることを特徴とする積層型チップフェライト部品。
  4. フェライト磁性層と内部電極とを積層して構成されるチップフェライト部を有する複合積層型部品において、
    前記フェライト磁性層は請求項1または請求項2に記載の磁性フェライト材料で構成されていることを特徴とする複合積層型部品。
  5. 請求項1または請求項2に記載の磁性フェライト材料で構成されていることを特徴とする磁心。
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