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JP4450883B2 - プラズマ処理装置 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエハ等の被処理体に対してエッチング処理、成膜処理等のプラズマ処理を行うプラズマ処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスの製造においては、ドライエッチングやプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)等のプラズマ処理が多用されている。
【0003】
このようなプラズマ処理を行う装置として、例えば、図7に示すようなものが用いられている。図7中、参照符号1は接地されたチャンバーを示す。このチャンバー1内には、被処理体である半導体ウエハWを水平に支持するための下部電極2が設けられており、下部電極2は絶縁部材3を介して金属製の支持台4に載置されている。そして、下部電極2と支持台4とは図示しない昇降機構により昇降可能に設けられている。支持台4の外側にはガス拡散用のバッフル板5が設けられている。支持台4の下方中央の大気部分は、ベローズ6で覆われており、このベローズ6により真空部分と大気部分が分離されている。ベローズ6の外側には、下部材7aと上部材7bとからなるベローズカバー7が設けられている。
【0004】
下部電極2にはチャンバー1の下方に設けられた高周波電源11が整合器10を介して給電棒8により接続されている。給電棒8の周囲には、支持台4から下方に延びる金属製の接地パイプ9が設けられている。接地パイプ9とチャンバー1との間には、これらの間の導通をとるスライドコンタクト26が設けられており、スライドコンタクト26内を接地パイプ9が摺動しても安定した電気的導通を得るために、スライドコンタクト26の内周には多数の弾力性を有する接触子が設けられている。また、下部電極2には冷媒通路13が形成されており、冷媒供給管14を介して冷媒が通流される。
【0005】
チャンバー1の天壁には、下部電極2に対向するようにシャワーヘッド16が設けられており、ガス導入部18から導入された処理ガスがその下面に設けられた多数のガス吐出孔17から半導体ウエハWに向けて吐出される。
【0006】
なお、参照符号22はゲートバルブ23により開閉可能な半導体ウエハWの搬入出用の搬送ポートであり、24はチャンバー1内を真空排気するための排気ポートである。
【0007】
このような装置においては、まず、半導体ウエハWを搬送ポート22から搬送位置にある下部電極2に搬送し、次いで、移動機構により下部電極2を上昇させて、半導体ウエハWを処理位置に配置させる。半導体ウエハWは不図示の静電チャックにより下部電極に吸着保持される。その後、排気ポート24から排気することにより、チャンバー1内を所定の真空度に保持し、シャワーヘッド16からチャンバー1内に所定の処理ガスを導入し、さらに高周波電源11から整合器10および給電棒8を介して下部電極02に高周波を印加することにより、プラズマを生成させ、半導体ウエハWに所定のプラズマ処理を施す。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、高周波電流が導体の表面近くだけに局在するという表皮効果により、高周波電源11から下部電極2に印加された高周波電流のリターン電流は、図中の矢印に従って、まずチャンバー1の内壁を通って底壁に至る。そして、チャンバー1の底壁とベローズカバー7およびベローズ6とはねじ止めされており、互いに導通しているので、チャンバー1の底壁から、ベローズカバー7の下部材7aの表面を経て、さらに、ベローズ6の外側、ベローズカバー7の上部材7bの表面、支持台4の表面および接地パイプ9の内側を通って高周波電源11に戻る。一方、スライドコンタクト26と接地パイプ9との接触インピーダンスがベローズ6の経路のインピーダンスよりも高いため、スライドコンタクト26を流れる電流はわずかである。
【0009】
したがって、ほとんどのリターン電流はベローズ6に流れるため、ベローズ6の両端で大きな電位差を生じ、そのため、例えばベローズカバー7の上部材7bと下部材7aの間や支持台4の周辺部分で異常放電が発生し、プラズマ漏れ等が生じる。このため、半導体ウエハW上でのプラズマ密度の低下が生じる。また、このように異常放電が発生すると処理に悪影響を及ぼすが、このような異常放電はプラズマ処理中には把握することができない。
【0010】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、高周波電流のリターン電流によって異常放電が生じ難いプラズマ処理装置を提供することを目的とする。また、異常放電のようなプラズマの異常をプラズマ処理中に把握することができるプラズマ処理装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の第1の観点によれば、内部が真空状態に保持可能なチャンバーと、
前記チャンバー内を真空排気する排気機構と、
前記チャンバー内に処理ガスを導入するガス導入機構と、
被処理体を支持するとともに、高周波が印加される下部電極と、
前記下部電極に対向して設けられた上部電極と、
前記チャンバー外に設けられ、前記下部電極に高周波を印加して、上部電極および下部電極の間に処理ガスのプラズマを形成する高周波電源と、
前記高周波電源から前記下部電極に給電するための給電部材と、
プラズマから少なくともチャンバー内壁を通って高周波電源へ戻るリターン電流回路のインピーダンスを調整するインピーダンス調整手段と、を具備し、
前記インピーダンス調整手段は、その容量が可変のコンデンサーであり、
プラズマ処理装置が正常状態にあるときには、プラズマ発光が実質的に観察されないチャンバー内領域におけるプラズマ発光を検出する検出器と、
前記検出器の出力に応じて前記コンデンサーの容量を調整する制御手段と、
を、さらに具備することを特徴とするプラズマ処理装置が提供される。
【0012】
このように、プラズマから少なくともチャンバー内壁を通って高周波電源へ戻るリターン電流回路のインピーダンスを調整するインピーダンス調整手段を設け、リターン電流回路のインピーダンスを最適値に設定することにより、下部電極の周辺での異常放電、およびプラズマ漏れを軽減することができる。
【0013】
この場合に、インピーダンス調整手段として容量が可変のコンデンサーを設け、コンデンサーの容量を調整することにより、容易にインピーダンスを最適値に調整することができる。このようにコンデンサーの容量を調整してインピーダンスを制御することにより、リターン電流回路の装置間誤差(製造誤差等)を調整することが可能となる。また、装置を長期間使用することによりインピーダンスが経時変化しても、コンデンサー容量を調整することにより適正な値に調整することができる。
【0014】
また、上記プラズマ装置に、さらに、プラズマ処理装置が正常状態にあるときにはプラズマ発光が実質的に観察されないチャンバー内領域におけるプラズマ発光を検出する検出器と、この検出器の出力に応じて前記コンデンサの容量を調整する制御手段とを付加することにより、検出器によって異常放電にともなうプラズマ発光を検出した時点でコンデンサー容量を調整して異常放電を解消することができ、リターン電流回路のインピーダンスをリアルタイムで異常放電の生じない適正値に制御することができる。
【0015】
本発明の第2の観点によれば、内部が真空状態に保持可能なチャンバーと、
前記チャンバー内を真空排気する排気機構と、
前記チャンバー内に処理ガスを導入するガス導入機構と、
被処理体を支持するとともに、上下に移動可能に設けられ、高周波が印加される下部電極と、
前記下部電極に対向して設けられた上部電極と、
前記チャンバー外に設けられ、前記下部電極に高周波を印加して、上部電極および下部電極の間に処理ガスのプラズマを形成する高周波電源と、
前記高周波電源から前記下部電極に給電するための給電部材と、
前記給電部材の周囲に設けられ、リターン電流を高周波電源に戻す接地パイプと、
前記下部電極から前記チャンバーの底壁の間にチャンバー内と駆動部とを離隔するように設けられた導電性のベローズと、
前記接地パイプと前記チャンバーの底壁とを導通させるスライドコンタクトと、
プラズマから高周波電源に戻るリターン電流を、チャンバー内壁から前記ベローズと前記接地パイプとに分流させて、リターン電流回路のインピーダンスを調整するインピーダンス調整手段と
を具備することを特徴とするプラズマ処理装置が提供される。
【0016】
このように、インピーダンス調整手段により、プラズマから高周波電源に戻るリターン電流を、チャンバー内壁から前記ベローズと前記接地パイプとに分流させて、リターン電流回路のインピーダンスを低下させるので、ベローズ両端に係る電位差、およびチャンバー内壁と高周波のグランド部との間の電位差を減少させることができ、結果として、下部電極の周辺での異常放電、およびプラズマ漏れを軽減することができる。
【0017】
この場合に、前記インピーダンス調整手段としては、前記チャンバーの底壁と前記ベローズとの間に設けられた所定容量のコンデンサーを有するものが好適である。このようにコンデンサーを用いることにより、ベローズ側へ流れる電流を調整することができ、プラズマから高周波電源に戻るリターン電流を、チャンバー内壁から前記ベローズと前記接地パイプとに分流させることが可能となる。
【0018】
また、チャンバーの底壁とベローズとの間には絶縁部材を介在させることが好ましく、絶縁部材としてはポリエーテルエーテルケトンまたはポリイミドが好ましい。これらは耐荷重性が高く、しかも誘電率が低いので、例えば5mm程度の厚さとすることにより、コンデンサーの容量よりも十分に低い容量とすることができ、コンデンサーのみで容量調整を行うことができる。
【0019】
さらに、前記コンデンサーの容量を可変とすることにより、コンデンサーの容量を容易に最適値に調整することができる。そして、上述した場合と同様、コンデンサーの容量を調整してインピーダンスを制御することにより、リターン電流回路の装置間誤差(製造誤差等)を調整することが可能となるし、装置を長期間使用することによりインピーダンスが経時変化しても、コンデンサー容量を調整することにより適正な値に調整することができる。
【0020】
本発明の第3の観点によれば、内部が真空状態に保持可能なチャンバーと、前記チャンバー内を真空排気する排気機構と、前記チャンバー内に処理ガスを導入するガス導入機構と、被処理体にプラズマ処理を施すために処理ガスをプラズマ化するプラズマ生成手段とを具備するプラズマ処理装置であって、
さらに、プラズマ処理装置が正常状態にあるときにはプラズマ発光が実質的に観察されないチャンバー内領域におけるプラズマ発光を検出する検出器を具備することを特徴とするプラズマ処理装置が提供される。
【0021】
このように、プラズマ処理装置が正常状態にあるときにはプラズマ発光が実質的に観察されないチャンバー内領域におけるプラズマ発光を検出する検出器を具備することにより、検出器によってチャンバー内の異常放電にともなうプラズマ発光を検出した時点で、異常放電を解消する適切な処置をすることが可能となり、被処理体の処理への悪影響を小さくすることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るプラズマ処理装置を示す断面図である。図中、参照符号1は例えば表面がアルマイト処理されたアルミニウムからなる導電性のチャンバーであり、このチャンバー1は接地されている。チャンバー1内には、被処理体である半導体ウエハWを水平に支持し、下部電極として機能する下部電極2が設けられている。この下部電極2はアルミニウム等の導電体で構成され、絶縁部材3を介してアルミニウム等の導電体からなる支持台4に載置されている。そして、支持台4の外周側には、多数のガス通過孔を有する円板状をなすガス拡散用のバッフル板5が設けられている。このバッフル板5はアルミニウム等の導電体で構成され、支持台4にねじ止めされて電気的に接続されている。下部電極2には半導体ウエハWを吸着保持するための静電チャック(図示せず)が設けられている。
【0023】
支持台4の下方中央の大気部分は、例えばステンレス鋼からなるベローズ6で覆われており、このベローズ6により真空部分と大気部分が分離されている。ベローズ6はその上端と下端とがそれぞれ支持台4の下面およびチャンバー1の底壁上面にねじ止めされている。ベローズ6の外側にはベローズカバー7が設けられている。ベローズカバー7は、ベローズ6の伸縮に対応可能なように、下部材7aと上部材7bとに分離している。
【0024】
下部電極2にはチャンバー1の下方に設けられた高周波電源11が整合器10および給電棒8を介して接続されている。給電棒8の周囲には、支持台4から下方に延びる金属製の接地パイプ9が設けられている。
【0025】
下部電極2には、冷媒流路13が形成されており、この中に冷媒供給管14を介して冷媒が通流されるようになっている。また、図示してはいないが、下部電極2には、半導体ウエハWの受け渡しをするためのリフトピンが突没可能に設けられている。
【0026】
チャンバー1の天壁1aには、下部電極2に対向するように上部電極として機能するシャワーヘッド16が設けられている。このシャワーヘッド16の下面には多数の吐出孔17が形成されている。シャワーヘッド16の上部にはガス導入口18が設けられており、ガス導入口18には所定の処理ガスをシャワーヘッド16を介してチャンバー1内に供給するための処理ガス供給源20が接続されいる。そして、チャンバー1内に処理ガスが供給され、下部電極2に高周波電力が印加されることにより、下部電極2とシャワーヘッド16間にプラズマが形成され、半導体ウエハWに所定のプラズマ処理が施されるようになっている。
【0027】
チャンバー1の側壁1bには、半導体ウエハWの搬入出用の搬送ポート22がゲートバルブ23により開閉可能に設けられており、半導体ウエハWの搬入出時には、下部電極2が搬送ポート22に対応する位置に移動される。この際の下部電極の移動は、図示しない昇降機構により、絶縁部材3および支持台4と一体的に行われる。
【0028】
チャンバー1の側壁1bの底部近傍には、排気ポート24が設けられており、この排気ポート24には配管を介して排気装置25が接続されている。そして、排気装置25を作動させることによりチャンバー1内が所定の真空度まで真空排気することが可能となっている。
【0029】
前記接地パイプ9とチャンバー1の底壁1cとは、スライドコンタクト26により電気的に接続されている。スライドコンタクト26は、下部電極2が上下に移動しても、両者間にコンタクトを保つことができるようにする。
【0030】
ベローズ6とチャンバー1の底壁1cとの接続部分には、高周波電流がプラズマからチャンバーを経て、支持台4および接地パイプ9の内側を通って高周波電源11に戻るリターン電流回路のインピーダンスを調整するためのインピーダンス調整機構30が設けられている。
【0031】
このインピーダンス調整機構30は、図2に示すように、チャンバー1の底壁1cとベローズ6の支持台6aとの間に介装された絶縁部材31と、チャンバー1の底壁1cとベローズ6の支持台6aとに接続された所定容量のコンデンサー32とを備えている。そして、ステンレス鋼からなる支持台6aは、チャンバー1の底壁1cに絶縁部材31を介装させた状態でねじ33によりねじ止めされている。
【0032】
この絶縁部材部材31は、チャンバー1の底壁1cとベローズ6の支持台6aとを絶縁するためのものであり、耐荷重が大きく、誘電率が小さいものが用いられる。このような材料としては、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)またはポリイミドが好ましい。
【0033】
コンデンサー32は、ベローズ6に印加される電圧を調整することにより、リターン電流回路のインピーダンスを低下させるためのものであり、支持台4の周辺に異常放電が生じない程度の電圧値に調整する。このように調整する結果、スライドコンタクト26を経て接地パイプ9へも電流が流れるようになる。すなわち、コンデンサー32は、チャンバー1の底壁1cのリターン電流を、ベローズ6側とスライドコンタクト26側とに分流させて、リターン電流回路全体のインピーダンスを低下させる機能を有している。
【0034】
この場合に、コンデンサー32の必要容量は、装置の設定によって異なるが、例えば12000pF程度である。必要な容量を得るために、複数のコンデンサーを用いるようにしてもよく、そのためには、図3のように、チャンバー1の底壁1cに複数のコンデンサー取り付け部35を設ける。例えば12000pFの容量を得るためには、5000pFのコンデンサー2個と、1000pFのコンデンサー2個を4箇所の取り付け部35にそれぞれ取り付ければよい。
【0035】
チャンバー1の底壁1cおよびベローズ6の支持台6aはいずれも導電体であるから、絶縁部材31を介在させることにより、一種のコンデンサーが形成されることとなるが、上述したように誘電率の低い樹脂を用い、比較的厚く形成することにより、その容量は無視することができ、取り付けるコンデンサー32のみで容量の調整を行うことができる。例えば、絶縁部材31にPEEKを用いた場合、厚さと容量の関係は図4に示すようになり、例えば厚さを5mmに設定すれば、その容量は400pF程度となり、コンデンサー32の容量の12000pFに比較して無視できる程度のものとなる。
【0036】
次に、このように構成されるプラズマ処理装置の処理動作について説明する。まず、図示しない昇降機構により下部電極2を搬送位置に配置し、ゲートバルブ23を開けて、図示しない搬送アームにより、搬送ポート22を介して半導体ウエハWをチャンバー1内に搬入する。そして、半導体ウエハWを下部電極2上に載置する。そして、半導体ウエハWは不図示の静電チャックにより、下部電極2に吸着保持される。
【0037】
その後、昇降機構により下部電極2を上昇させて、下部電極2とシャワーヘッド16とのギャップを所定の長さとする。この状態で、冷媒流路13に冷媒を通流させて下部電極2を所定の温度に制御するとともに、排気装置25により排気ポート24を介してチャンバー1内を排気し、高真空状態とする。
【0038】
次いで、処理ガス供給源20から配管を通って処理ガス導入口18から所定の処理ガスをチャンバー1内に導入し、導電性容器15の天壁を構成するシャワーヘッド16のガス吐出孔17から半導体ウエハWに向けて吐出させ、チャンバー1内を数10mTorrとする。それと同時に高周波電源11から整合器10および給電棒8を通って所定の周波数および電圧の高周波電力を下部電極2に印加する。これにより、下部電極2とシャワーヘッド16の間の空間には、処理ガスのプラズマが生成され、半導体ウエハWに対して所定のプラズマ処理が施される。
【0039】
この際に、プラズマから高周波電源11に戻るリターン電流は、ベローズ6側とスライドコンタクト26側に分流する。
【0040】
このことを図5に示す等価回路を参照して説明する。高周波電源(RF電源)11からの高周波電力は整合器10、給電棒8を介して下部電極2に供給されプラズマを形成する。プラズマからのリターン電流はチャンバー1の天壁1a、側壁1bおよび底壁1cを経てベローズ6に至るが、インピーダンス調整機構30のコンデンサー32により、底壁1cとベローズ6との間の容量Cを調整して、底壁1cの電流Iを、ベローズ側の電流Iと、スライドコンタクト側の電流Iとに分流させる。ベローズ側のリターン電流は、ベローズ6の外側、支持台4の表面、接地パイプ9の内側を通って高周波電源11に戻り、スライドコンタクト側のリターン電流は、接地パイプ9の外側、支持台4の表面、接地パイプ9の内側を通って高周波電源11に戻る。
【0041】
従来のようにベローズとチャンバーの底壁を導通させた場合には、スライドコンタクトのインピーダンスが大きいためスライドコンタクトにはわずかしか電流が流れず、ほとんどの電流がベローズ側へ流れる。したがって、ベローズの電圧Vおよびチャンバー壁の電圧Vがいずれも高くなって異常放電が生じる。一方、ベローズとチャンバーの底壁を絶縁した場合には、ベローズには電流が流れずI=Iとなる。この場合には、スライドコンタクト26と接地パイプ9との間の接触インピーダンスが高いので、チャンバー壁の電圧Vが高くなってやはり異常放電が生じる。さらに、LとCとを共振させることにより、チャンバー壁の電圧Vが0となるが、ベローズの電圧Vが高くなってしまう。
【0042】
これに対して、上述のようにCの値を適切に調整して、底壁1cの電流Iを、ベローズ側の電流Iと、スライドコンタクト側の電流Iとに分流させることにより、リターン電流回路全体のインピーダンスを低下させることができ、VおよびVをともに従来よりも低下させることができる。したがって、ベローズカバー7の下部材7aと上部材7bとの間の部分や支持台4の周辺部に異常放電が生じることはなく、プラズマ漏れが生じることを防止することができ、半導体ウエハW上でのプラズマ密度の低下が生じ難くなる。また、支持台4の周辺部やチャンバー側壁1bの下部にデポが付着しなくなり、パーティクルの発生を防止することができる。
【0043】
実際に、300mmウエハ用のプラズマ処理装置において、下部電極2とシャワーヘッド16との間のギャップ(上下電極間ギャップ)を40mmに設定し、チャンバー1内に処理ガスを導入してチャンバー内圧力を50mTorrに設定し、高周波電源11から13.56MHzで4000Wの高周波を供給し、インピーダンス調整機構30の複数のコンデンサー32の容量を種々変化させてプラズマを生成し、プラズマ状態を目視で観察したところ、コンデンサー32の容量を合計で12000pFとなるようにした場合に、異常放電やプラズマ漏れが生じていないことが確認された。
【0044】
以上のように、容量値が12000pFのときに最適結果を得ることができたが、これは理論的には、以上述べたように、高周波電力のリターン電流回路のインピーダンスが小さくなった結果と推測される。しかし、実際にベローズやチャンバー各部の電圧値を測定することは困難であり、コンデンサ32の値が12000pFのときにリターン電流回路のインピーダンスが最小になっているとは必ずしも断定できない。本発明の価値は、リターン電流回路のインピーダンスを最小にすることにあるのではなく、プラズマの発光状態を目視で確認して、異常放電やプラズマ漏れのない状態となるようにコンデンサ32の値を最適値に設定することができる、つまり、高周波電力のリターン電流回路のインピーダンスを調整することができるという点にある。リターン電流回路のインピーダンスばかりでなく、ベローズを流れる電流量とスライドコンタクトを流れる電流量との比や、ベローズを流れる電流の位相とスライドコンタクトを流れる電流の位相によってもプラズマ状態に微妙な影響を及ぼすことが考えられるからである。
【0045】
以上の実施形態では、コンデンサーとして容量が固定された例を示したが、容量が可変のコンデンサー(可変コンデンサー)を用いることにより、リターン電流回路のインピーダンスをより容易に最適値に制御することができる。そして、このようにコンデンサーの容量を調整してインピーダンスを制御することにより、リターン電流回路の装置間誤差(製造誤差等)を調整することが可能となるし、装置を長期間使用することによりインピーダンスが経時変化しても、コンデンサー容量を調整することにより適正な値に調整することができるといった大きな効果を得ることができる。
【0046】
このような可変コンデンサーを用いたプラズマ処理装置について図6を参照しながら説明する。図6は可変コンデンサーを用いてリターン電流回路のインピーダンスを制御することが可能なプラズマ処理装置の要部を示す断面図である。図6中、図1および図2と同じものについては、同じ符号を付して説明を省略する。可変コンデンサー40は、図2のコンデンサー32の代わりに設けられており、一方の端子がベローズ6の支持台6aに接続されており、他方の端子がチャンバー1の底壁1cに接続されている。この可変コンデンサー40のシャフト40aは、例えばステッピングモータからなる駆動機構44に接続されており、例えばステッピングモータを回転させることにより容量を変化させることが可能となっている。チャンバー1の側壁1bの下部には、例えば石英からなるプラズマ検出窓41が設けられており、このプラズマ検出窓41の外側近傍部分には、検出窓41を透過するプラズマからの光を検出する光検出器42が設けられている。検出窓41は、チャンバー1の側壁1bの下部に設けられているので、光検出器42は、プラズマ処理装置が正常状態であれば、プラズマ発光が生じないか、または生じたとしても弱い発光しか生じないチャンバー内領域のプラズマ発光を検出することとなる。つまり、このような領域は、実質的に異常放電が生じた場合にのみ強いプラズマ発光が生じるから、検出器42は実質的に異常放電を生じた場合にのみプラズマ発光を検出する。この検出器42は制御装置43に接続されており、この制御装置43によって、上記可変コンデンサー40の駆動機構44が制御される。
【0047】
このように構成される装置においては、プラズマ装置が通常に作動している場合には検出器42は実質的にプラズマの発光を検出しないが、異常放電があった場合にはそれにともなうプラズマの発光を検出する。そして、光検出器42からの信号が制御装置43に送られ、ここから異常放電の度合い、すなわちプラズマ発光の強さに応じて、駆動機構44に制御信号を出力し、可変コンデンサー40の容量を調整する。なお、制御装置43は、光検出器42の出力を監視し、異常放電を検出した場合に警報装置(図示せず)に信号を出力して警報を出すようにしてもよい。
【0048】
このように、光検出器42によって異常放電にともなうプラズマ発光を検出した時点で、制御装置43から駆動機構44への制御信号によりコンデンサー40の容量を調整することができ、速やかに異常放電を解消することができる。つまり、リターン電流回路のインピーダンスをリアルタイムで異常放電の生じない適正値に制御することができる。
【0049】
なお、上記実施形態では、インピーダンス調整手段にコンデンサーを用いる場合について説明したが、異常放電やプラズマ漏れのない状態を実現することができるならば、コンデンサーの代わりにコイルを用いてもよい。また、本発明が適用される装置構成は上記実施形態のものに限らず、下部電極に高周波を印加し、下部電極が移動可能なタイプのものであれば全てに適用することができる。さらに、本発明は、高周波を印加してプラズマを生成し、そのプラズマで被処理体を処理するものであれば、その処理形態は問わず、エッチング、CVD成膜等種々の処理に適用することができる。さらにまた、被処理体としては、半導体ウエハに限らず、液晶表示装置のガラス基板等他のものであってもよい。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、プラズマから少なくともチャンバー内壁およびベローズを通って高周波電源へ戻るリターン電流回路のインピーダンスを調整するインピーダンス調整手段を設け、リターン電流回路のインピーダンスを最適の値に設定することにより、ベローズ両端に係る電位差、およびチャンバー内壁と高周波のグランド部との間の電位差を減少させることができ、結果として、下部電極の周辺での異常放電、およびプラズマ漏れを軽減することができる。
【0051】
より具体的には、インピーダンス調整手段により、プラズマから高周波電源に戻るリターン電流を、チャンバー内壁から前記ベローズと前記接地パイプとに分流させて、リターン電流回路のインピーダンスを低下させるので、ベローズ両端に係る電位差、およびチャンバー内壁と高周波のグランド部との間の電位差を減少させることができ、結果として、下部電極の周辺での異常放電、およびプラズマ漏れを軽減することができる。このようなインピーダンスの調整は、前記チャンバーの底壁と前記ベローズとの間にコンデンサーを設けその容量を調整することにより容易に実現される。
【0052】
このように、下部電極周辺での異常放電、およびプラズマ漏れが軽減される結果、被処理体上のプラズマ密度を高めることができる。
【0053】
また、容量が可変のコンデンサーを設け、コンデンサーの容量を調整することにより、容易にインピーダンスを最適値に調整することができる。このようにコンデンサーの容量を調整してインピーダンスを制御することにより、リターン電流回路の装置間誤差(製造誤差等)を調整することが可能となる。また、装置を長期間使用することによりインピーダンスが経時変化しても、コンデンサー容量を調整することにより適正な値に調整することができる。
【0054】
また、チャンバー内の、プラズマ処理装置が正常状態にあるときにはプラズマ発光が実質的に観察されないチャンバー内領域におけるプラズマ発光を検出する検出器と、この検出器の出力に応じて前記コンデンサの容量を調整する制御手段とを付加することにより、検出器によって異常放電にともなうプラズマ発光を検出した時点でコンデンサー容量を調整して異常放電を解消することができ、リターン電流回路のインピーダンスをリアルタイムで異常放電の生じない適正値に制御することができる。
【0055】
さらに、プラズマ処理装置が正常状態にあるときにはプラズマ発光が実質的に観察されないチャンバー内領域におけるプラズマ発光を検出する検出器を具備することにより、検出器によってチャンバー内の異常放電にともなうプラズマ発光を検出した時点で、異常放電を解消する適切な処置をすることが可能となり、被処理体の処理への悪影響を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るプラズマ処理装置を示す断面図。
【図2】図1の装置におけるインピーダンス調整機構を示す断面図。
【図3】図1の装置におけるチャンバー底壁のコンデンサー取り付け部を示すための図。
【図4】図1のインピーダンス調整機構に用いた絶縁部材の厚さと容量との関係を示す図。
【図5】本発明のプラズマ処理装置の等価回路を示す回路図。
【図6】本発明の他の実施形態に係るプラズマ処理装置の要部を示す断面図。
【図7】従来のプラズマ処理装置を示す断面図。
【符号の説明】
1……チャンバー
2……下部電極
4……支持台
6……ベローズ
7……ベローズカバー
8……給電棒
9……接地パイプ
10……整合器
11……高周波電源
26……スライドコンタクト
30……インピーダンス調整機構
31……絶縁部材
32……コンデンサー
40……可変コンデンサー
41……検出窓
42……光検出器
43……制御装置
W……半導体ウエハ

Claims (6)

  1. 内部が真空状態に保持可能なチャンバーと、
    前記チャンバー内を真空排気する排気機構と、
    前記チャンバー内に処理ガスを導入するガス導入機構と、
    被処理体を支持するとともに、高周波が印加される下部電極と、
    前記下部電極に対向して設けられた上部電極と、
    前記チャンバー外に設けられ、前記下部電極に高周波を印加して、上部電極および下部電極の間に処理ガスのプラズマを形成する高周波電源と、
    前記高周波電源から前記下部電極に給電するための給電部材と、
    プラズマから少なくともチャンバー内壁を通って高周波電源へ戻るリターン電流回路のインピーダンスを調整するインピーダンス調整手段と、を具備し、
    前記インピーダンス調整手段は、その容量が可変のコンデンサーであり、
    プラズマ処理装置が正常状態にあるときには、プラズマ発光が実質的に観察されないチャンバー内領域におけるプラズマ発光を検出する検出器と、
    前記検出器の出力に応じて前記コンデンサーの容量を調整する制御手段と、
    を、さらに具備することを特徴とするプラズマ処理装置。
  2. 内部が真空状態に保持可能なチャンバーと、
    前記チャンバー内を真空排気する排気機構と、
    前記チャンバー内に処理ガスを導入するガス導入機構と、
    被処理体を支持するとともに、上下に移動可能に設けられ、高周波が印加される下部電極と、
    前記下部電極に対向して設けられた上部電極と、
    前記チャンバー外に設けられ、前記下部電極に高周波を印加して、上部電極および下部電極の間に処理ガスのプラズマを形成する高周波電源と、
    前記高周波電源から前記下部電極に給電するための給電部材と、
    前記給電部材の周囲に設けられ、リターン電流を高周波電源に戻す接地パイプと、
    前記下部電極から前記チャンバーの底壁の間にチャンバー内と駆動部とを離隔するように設けられた導電性のベローズと、
    前記接地パイプと前記チャンバーの底壁とを導通させるスライドコンタクトと、
    プラズマから高周波電源に戻るリターン電流を、チャンバー内壁から前記ベローズと前記接地パイプとに分流させて、リターン電流回路のインピーダンスを調整するインピーダンス調整手段と
    を具備することを特徴とするプラズマ処理装置。
  3. 前記インピーダンス調整手段は、前記チャンバーの底壁と前記ベローズとの間に設けられたコンデンサーを有することを特徴とする請求項2に記載のプラズマ処理装置。
  4. 前記インピーダンス調整手段は、前記チャンバーの底壁と前記ベローズとの間に介在された絶縁部材を有し、前記絶縁部材は、ポリエーテルエーテルケトンまたはポリイミドであることを特徴とする請求項3に記載のプラズマ処理装置。
  5. 前記コンデンサーは容量が可変であることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のプラズマ処理装置。
  6. 内部が真空状態に保持可能なチャンバーと、前記チャンバー内を真空排気する排気機構と、前記チャンバー内に処理ガスを導入するガス導入機構と、被処理体にプラズマ処理を施すために処理ガスをプラズマ化するプラズマ生成手段とを具備するプラズマ処理装置であって、
    さらに、プラズマ処理装置が正常状態にあるときにはプラズマ発光が実質的に観察されないチャンバー内領域におけるプラズマ発光を検出する検出器を具備することを特徴とするプラズマ処理装置。
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