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JP4452790B2 - 小麦の低分子量グルテニン遺伝子と連鎖するdnaマーカー検出用プライマーセット及びその使用 - Google Patents
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小麦の低分子量グルテニン遺伝子と連鎖するdnaマーカー検出用プライマーセット及びその使用 Download PDF

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本発明は、強力性を付与する小麦の42kDa低分子量グルテニン遺伝子と連鎖するDNAマーカーを検出するためのプライマーセット、該遺伝子と連鎖するDNAマーカー、及びそれらの使用に関する。
近年、小麦粉をより強力性にする種子タンパク質の検索が行われた結果、42kDa低分子量グルテニンが小麦粉の物性を強くし、また42kDa低分子量グルテニンは5+10高分子量グルテニンと相加的な効果を持ち、両者を共に持つ小麦粉は超強力粉となりうることがわかった(非特許文献1)。したがって、小麦個体における42kDa低分子量グルテニンの存在、すなわち該グルテニンをコードする遺伝子の有無を簡便に識別する技術があれば、強力性小麦系統の作出を効率的に行うことが可能になる。しかしながら、現状では、長時間を要するSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって種子タンパクの分離・同定がなされている程度である。また、5+10高分子量グルテニン遺伝子に対してはその有無を識別するようなPCR法が見いだされているが(非特許文献2)、42kDa低分子量グルテニン遺伝子の有無を識別しうるPCR法は確立されていない。
Takata et al. 2001, Breeding Sci 51:143-146 M. Ahmad, 2000,Theor. Appl. Genet. 101:892-896
従って、本発明の課題は、小麦に強力性を付与することのできる42kDa低分子量グルテニン遺伝子と連鎖するDNAマーカーを検出するためのプライマーセット、該遺伝子と連鎖するDNAマーカーを提供することにある。
本発明のもうひとつの課題は、これらを利用して効率的に小麦の42kDa低分子量グルテニン遺伝子の有無を識別する方法、ならびに強力小麦系統を作出する方法を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決すべき鋭意研究を重ねた結果、小麦の42kDa低分子量グルテニン遺伝子と連鎖するDNAマーカーを検出することのできるプライマーセットを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の発明を包含する。
(1) 配列番号1に示す塩基配列から成るオリゴヌクレオチドと、配列番号2に示す塩基配列から成るオリゴヌクレオチドとで構成される、小麦の42kDa低分子量グルテニン遺伝子と連鎖するDNAマーカーを検出することのできるプライマーセット。
(2) (1)に記載のプライマーセットを用いて小麦より抽出したDNAに対してPCRを行うことにより増幅される、小麦の42kDa低分子量グルテニン遺伝子と連鎖するDNAマーカー。
(3) (1)に記載のプライマーセットを用いて小麦より抽出したDNAに対してPCRを行い、(2)に記載のDNAマーカーが存在するか否かにより、小麦の42kDa低分子量グルテニン遺伝子の有無を識別する方法。
(4) (1)に記載のプライマーセットを用いて小麦より抽出したDNAに対してPCRを行い、(2)に記載のDNAマーカーを指標として42kDa低分子量グルテニン遺伝子を有する小麦系統を選抜し、その後代において42kDa低分子量グルテニンを持つ種子を産する小麦系統を得ることを特徴とする、強力小麦系統の作出方法。
(5) (4)に記載の作出方法によって得られる、42kDa低分子量グルテニンを有することを特徴とする、強力小麦系統。
(6) (1)に記載のプライマーセットを含む、小麦の42kDa低分子量グルテニン遺伝子検出用キット。
本発明によれば、小麦に強力性を付与する42kDa低分子量グルテニン遺伝子と連鎖するDNAマーカーを検出するためのプライマーセット、該遺伝子と連鎖するDNAマーカーが提供される。また、これらを利用することによって、強力小麦品種の候補系統を迅速にかつ確実に作出することができる。
1.小麦の42kDa低分子量グルテニン遺伝子と連鎖するDNAマーカー検出用プライマーセット、及びそれを含むキット
本発明でいう「42kDa低分子量グルテニン」とは、等電点電気泳動とSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動との組み合わせである二次元電気泳動により分子量約42kDaおよび等電点約8.0以上にスポットとして分離され、N末端アミノ酸配列SHIPGLERPSを持ち、一遺伝子座に支配される複数のグルテニンのことをいう。
本発明のプライマーセットは、例えば以下のように取得することができる。まず、42kDa低分子量グルテニンを保有する小麦系統と、42kDa低分子量グルテニンを保有しない小麦系統からそれぞれ既知の低分子量グルテニン遺伝子と相同性の高い遺伝子をRT-PCRにより増幅する。次に、これらの遺伝子の配列を参考にして種々のプライマーセットを設計し、再び上記の小麦系統から抽出したDNAに対してPCRを行い、明瞭な多型が認められることを確認できたプライマーセットを選択する。
本発明において好適なプライマーセットは、配列番号1に示す塩基配列から成るオリゴヌクレオチドと、配列番号2に示す塩基配列から成るオリゴヌクレオチドとで構成される。
また、本発明のプライマーセットは、42kDa低分子量グルテニン遺伝子検出用キットとしても提供できる。本発明のキットは、上記プライマーセットを少なくとも含むものであればよく、必要に応じて、DNA抽出用試薬、PCR用緩衝液やDNAポリメラーゼ等のPCR用試薬(プライマーを除く)、染色剤や電気泳動用ゲル等の検出用試薬、説明書などを含んでいてもよい。
2.42kDa低分子量グルテニン遺伝子と連鎖するDNAマーカー
本発明のDNAマーカーは小麦の42kDa低分子量グルテニン遺伝子と連鎖し、42kDa低分子量グルテニンが発現するときに現れるDNAのバンドをいう。具体的には、1.のプライマーセットを用いて小麦より抽出したDNAに対してPCRを行うことによって得られ、かつアガロースゲル電気泳動にて約700bpにバンドパターンを呈するPCR産物をいう。本発明のDNAマーカーは、42kDa低分子量グルテニン遺伝子の有無の検出、42kDa低分子量グルテニン遺伝子を保有する小麦の判別、強力小麦系統の作出に利用できる。
3.42kDa低分子量グルテニン遺伝子の有無を識別する方法及び強力小麦系統の作出方法
本発明のプライマーセット又はキット、DNAマーカーは以下の態様で使用できる。
例えば、本発明によれば、1.に記載のプライマーセットを用いて小麦より抽出したDNAに対してPCRを行い、2.に記載のDNAマーカーが存在するか否かにより、小麦の42kDa低分子量グルテニン遺伝子の有無を識別する方法が提供される。
また、本発明によれば、1.に記載のプライマーセットを用いて小麦より抽出したDNAに対してPCRを行い、2.に記載のDNAマーカーを指標として42kDa低分子量グルテニン遺伝子を有する小麦系統を選抜し、その後代において42kDa低分子量グルテニンを持つ種子を産する小麦系統を得ることを特徴とする、強力小麦系統の作出方法が提供される。
本発明にいう、「強力小麦系統」とは、強力小麦粉の原料となる小麦品種の候補系統をいい、「強力小麦粉」とは、外国産強力粉と同程度の物性を持ち、パンや中華麺等に利用しうる小麦粉をいう。本発明の方法によって作出できる「強力小麦系統」は、42kDa低分子量グルテニンを有することを特徴とする。
上記の方法においてPCRに供する小麦系統は、42kDa低分子量グルテニンを有する小麦品種又は系統を一方の交配親とする小麦系統であればいずれでもよい。42kDa低分子量グルテニンを有する小麦品種又は系統としては、「Glenlea」、カンザス州立大学育成系統「KS831957」、北海道農業試験場育成系統 「勝系33号」、「勝系34号」等が挙げられる。また、もう一方の交配親としては任意の小麦品種・系統であればよく、国内産小麦品種又は系統であることが好ましい。この交配により得られ、PCRに供する小麦系統は、代表的にはF2世代の系統であるが、強力性以外の形質を確認する上でF3〜F10まで進めた系統であってもよい。
上記で得られた小麦系統から小麦種子を採取し、生育させてその葉からDNA抽出を行う。DNA抽出は、植物材料に対する常套的な方法、例えば、塩化セシウム密度勾配法やCTAB法などの方法で行うことができ、またそれらの方法を必要に応じて改変することができる。また、市販のDNA抽出用キットを用いてもよい。
PCRは、上記で抽出したDNAを鋳型とし、1.のプライマーセットを用い、適当なPCR条件下で行う。PCRの条件としては、例えば、1サイクルを94℃で30秒、62℃で30秒、72℃で1分間とし、合計50サイクル行うことが例示されるが、これに限定はされない。
PCR産物はアガロースゲル電気泳動し、約700bpの位置にバンドが認められる小麦系統を選抜する。この小麦系統を自殖、又は他の小麦品種又は系統との交配によって、その後代において強力小麦品種の候補系統を得ることができる。ここで、交配に用いる他の小麦品種又は系統としては、特に限定はされないが、強力性以外の所望の形質(超強力性、耐寒性、耐病害性)を付与して小麦を改質することができるものが好ましい。
以下、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、これらの実施例は本発明を何ら限定するものでない。
(実施例1) プライマーセットの設計及びこれを用いた42kDa低分子量グルテニン遺伝子の検出
春播小麦品種 「春のあけぼの」は42kDa低分子量グルテニン遺伝子の対立遺伝子に支配される48kDa低分子量グルテニンを持つ。「春のあけぼの」の小麦粉の物性は、42kDa低分子量グルテニンを保有する「Glenlea」よりも弱い。まず、「春のあけぼの」と「Glenlea」に対して多型が現れるようなプライマーを検索した。ある組み合わせのプライマーで「春のあけぼの」と「Glenlea」に対してRT-PCRを行ったところ、それぞれよりサイズの異なる遺伝子が得られ、これらは共に低分子量グルテニン遺伝子に特異的な繰り返し配列を持っていたので、低分子量グルテニン遺伝子と考えられた。そのうち、「春のあけぼの」から得られた遺伝子の塩基配列は、既に報告されている低分子量グルテニン遺伝子(EMBL Data library accession no. Y17845)と99%の相同性を示した。この「春のあけぼの」由来の低分子量グルテニン遺伝子の塩基配列を参考にして20個の組み合わせのプライマーを作成し、「春のあけぼの」と「Glenlea」のDNAに対してゲノミックPCRを行ったところ、順方向プライマーHaruF1:5'-CCATCCAACAACAACCACACCA-3'(配列番号1)と逆方向プライマーHaruR0:5'-CCCGAGTTGCTGTTGTGACTGT-3'の組み合わせで多型が認められた。しかしながら、この組み合わせでは、「Glenlea」から増幅される産物がわずかであったため、HaruR0の3'側の塩基(T)を「Glenlea」からRT-PCRによって得られた遺伝子に一致するCに置換したプライマーHaruR1:5'-CCCGAGTTGCTGTTGTGACTGC-3'(配列番号2)を用いて、再度ゲノミックPCRを行ったところ、「Glenlea」における増幅産物が増加した。そこで、HaruF1及びHaruR1の組み合わせを用いて、「春のあけぼの」と「Glenlea」を交配して得られたB5F2世代の65個体についてPCRを行った。まず、種子の半粒からグルテニンタンパク質を抽出してSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動により42kDa低分子量グルテニンおよび48kDa低分子量グルテニンの有無を確認し、残りの半粒の種子から展開した葉から簡易的にDNAを抽出し、これを鋳型としてPCRを行った。DNA抽出は、1.5ml容チューブに入れた幼葉8cm程度を液体窒素とガラスビーズを用いて粉砕し、80μlの0.25N水酸化ナトリウムを加えて30秒間煮沸し、次に80μlの0.25N塩酸、40μlのバッファー(0.5M Tris-HCl、0.25% IGEPAL CA-630、pH8.0)を加えて2分間煮沸して行った。PCRは2μlの10×PCRバッファー、0.8μlの2.5mM dNTP、1μlの1% IGEPAL、0.4μlの5μΜ各プライマー、1μlのDNA抽出液、0.08μl (0.4U)のAmpliTaq Gold (Applied Biosystems社製)を添加した20μlの反応系で行った。PCRのサイクルは、1サイクルを94℃で30秒、62℃で30秒、72℃で1分間とし、合計50サイクル行った。なお、この反応はGeneAmp PCR System 2400(Perkin-Elmer社製)を用いて行った。その結果、42kDa低分子量グルテニンを含む個体のすべてに対して約700bpのDNA断片が得られ、48kDa低分子量グルテニンを含む個体のすべてに対して約800bpのDNA断片が得られ、42kDaと48kDa低分子量グルテニンの両方を含むヘテロ個体のすべてに対して約800bpと約700bpの両方のDNA断片が得られた(図1)。この結果から、約700bpのDNA断片は42kDa低分子量グルテニンをコードする遺伝子に連鎖していることが示され、PCRにより簡便に42kDa低分子量グルテニンを含む小麦個体を判別できることが示された。なお、上記の約700bp(692bp)のDNA断片の塩基配列を配列番号3に示す。
(実施例2) 42kDa低分子量グルテニン遺伝子の検出
秋播小麦系統「勝系32号」は5+10高分子量グルテニンおよび42kDa低分子量グルテニン遺伝子の対立遺伝子に支配される48kDa低分子量グルテニンを持ち、「勝系34号」は5+10高分子量グルテニン遺伝子の対立遺伝子に支配される2+12高分子量グルテニンおよび42kDa低分子量グルテニンを持つ。「勝系32号」の物性と「勝系34号」の物性は同程度である。「勝系32号」と「勝系34号」とを交配して得られたF6世代の79の組み換え型自殖系統(RIL)に対してプライマーHaruF1、HaruR1を用いてPCRを行った。まず、複数の種子からグルテニンタンパク質を抽出してSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動により42kDa低分子量グルテニンおよび48kDa低分子量グルテニンの有無を確認した。別の種子から展開した葉から実施例1と同じ方法でDNAを抽出し、これを鋳型としてPCRを行った。PCRは2μlの10×PCRバッファー、2μlの10×PCR enhancer、0.4μlの50mM硫酸マグネシウム、2μlの2.5mΜ dNTP、1μlの5μM各プライマー、1μlのDNA抽出液、0.5μl(1.25U)のPlatinum Pfx DNA polymerase (invitrogen社製)を添加した20μlの反応系で行った。PCRのサイクルは、1サイクルを94℃で15秒、60℃で30秒、68℃で1分間とし、合計45サイクル行った。なお、この反応はGeneAmp PCR System 2400(Perkin-Elmer社製)を用いて行った。その結果、42kDa低分子量グルテニンを含むRILのすべてに対して約700bpのDNA断片が得られ、48kDa低分子量グルテニンを含むRILのすべてに対して800bpのDNA断片が得られた(図2)。この結果からも、約700bpのDNA断片は42kDa低分子量グルテニンをコードする遺伝子に連鎖していることが示され、PCRにより簡便に42kDa低分子量グルテニンを含む小麦個体を判別できることが示された。
図1Aは「春のあけぼの」と「Glenlea」との交配に由来するB5F2世代の個体のグルテニンタンパク質の電気泳動図を示す。図1BはPCRによって得られたDNA断片の電気泳動図を示す(レーン1:「春のあけぼの」、レーン2:42kDa低分子量グルテニンをもつ準同質遺伝子系統、レーン3:「Glenlea」、レーン4〜11:順に42kDa、42kDaと48kDa、42kDaと48kDa 、42kDaと48kDa 、48kDa、42kDaと48kDa、48kDa、42kDa低分子量グルテニンをもつB5F2世代の個体、図右の矢印:42kDaと48kDa低分子量グルテニン、及びそれらに対応するDNA断片、図左の矢印:タンパク質およびDNAのサイズマーカーの位置)。 図2Aは、「勝系32号」と「勝系34号」の組み換え型自殖系統(RIL)のグルテニンタンパク質の電気泳動図を示す。図2Bは、PCRによって得られたDNA断片の電気泳動図を示す(レーン1:「勝系32号」、レーン2:「勝系34号」、レーン3〜8:順に42kDa、42kDa、48kDa、42kDa、48kDa、48kDa低分子量グルテニンをもつRIL、図右の矢印:42kDaと48kDa低分子量グルテニン、及びそれらに対応するDNA断片、図左の矢印:タンパク質およびDNAのサイズマーカーの位置)。

Claims (5)

  1. 配列番号1に示す塩基配列から成るオリゴヌクレオチドと、配列番号2に示す塩基配列
    から成るオリゴヌクレオチドとで構成される、小麦の42kDa低分子量グルテニン遺伝子と
    連鎖するDNAマーカーを検出することのできるプライマーセット。
  2. 請求項1に記載のプライマーセットを用いて小麦より抽出したDNAに対してPCRを行うことにより増幅される、小麦の42kDa低分子量グルテニン遺伝子と連鎖するDNAマーカー。
  3. 請求項1に記載のプライマーセットを用いて小麦より抽出したDNAに対してPCRを行い、
    請求項2に記載のDNAマーカーが存在するか否かにより、小麦の42kDa低分子量グルテニン遺伝子の有無を識別する方法。
  4. 請求項1に記載のプライマーセットを用いて小麦より抽出したDNAに対してPCRを行い、
    請求項2に記載のDNAマーカーを指標として42kDa低分子量グルテニン遺伝子を有する小麦系統を選抜し、その後代において42kDa低分子量グルテニンを持つ種子を産する小麦系統を得ることを特徴とする、強力小麦系統の作出方法。
  5. 請求項1に記載のプライマーセットを含む、小麦の42kDa低分子量グルテニン遺伝子検
    出用キット。
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