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JP4453012B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Description

この発明は、ステアリングホイール等の操作部材の操作に応じて電動モータを駆動し、この電動モータの動力を操舵機構に伝達することによって操舵補助を行う電動パワーステアリング装置に関する。
従来から、電動モータの動力を操舵機構に伝達する構成の電動パワーステアリングが車両に搭載されて用いられている。電動モータは、ステアリングホイールに加えられる操作トルクおよび車速に応じて駆動制御されるようになっている。より具体的には、操作トルクおよび車速に応じた目標電流値が予め定められており、実際のモータ電流が、操作トルクおよび車速の検出値に応じた目標電流値になるように、電動モータがフィードバック制御される。
特開2004− 74833号公報 特開2004− 90834号公報 特開2004−131046号公報
しかし、従来の電動パワーステアリング装置では、操作トルクと操舵角との関係を積極的に制御できるようにはなっておらず、これらの間の理想的なバランスを得るためのチューニングが困難であるという課題があった。
そこで、この発明の目的は、操作トルクと操舵機構の舵角とのバランスをとるためのチューニングが容易な電動パワーステアリング装置を提供することである。
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、操作部材(1,2)の操作に応じて駆動される電動モータ(M)の動力を操舵機構(3)に伝達して操舵補助する電動パワーステアリング装置であって、前記操作部材の操作角を検出する操作角検出手段(16)と、前記操作部材に加えられる操作トルクを検出するトルク検出手段(15)と、前記操作角検出手段によって検出される操作角に基づいて目標操作トルクを定める操作部材側規範モデル(31)、および前記トルク検出手段によって検出される操作トルクに基づいて前記操舵機構の目標舵角を定める操舵機構側規範モデル(32)を備え、前記操作部材側規範モデルおよび操舵機構側規範モデルに基づいて前記電動モータを駆動制御する制御手段(10)とを含むことを特徴とする電動パワーステアリング装置である。なお、括弧内の英数字は後述の実施形態における対応構成要素等を表す。
この構成によれば、操作部材側規範モデルによって、操作角と目標操作トルクとの関係が定められ、操舵機構側規範モデルによって、操作トルクと目標舵角との関係が定められる。したがって、操作部材側規範モデルおよび操舵機構側規範モデルのチューニングや両モデルの制御に対する寄与(ゲイン)のバランスをチューニングすることによって、操作トルクと操舵機構の舵角との関係を直接的に調整することができる。したがって、操作トルクと操舵機構の舵角との関係のチューニングを容易にすることができる。
前記操作部材側規範モデルは、前記操作角検出手段によって検出される操作角と、この操作角の変化率である操作角速度とに基づいて、目標操作トルクを定めるものであってもよい。より具体的には、前記操作部材側規範モデルは、操作角に対して所定の第1係数(ばね係数)を乗じた値と、操作角速度に対して所定の第2係数(粘性係数)を乗じた値とを加算して目標操作トルクを定めるものであってもよい。この場合、第1および/または第2係数を変更することによって、操作角と目標操作トルクとの関係を調整できる。
また、前記操舵機構側規範モデルは、操作部材の慣性モーメントJ、操舵機構の作動時の摩擦等に対応した粘性係数C(摩擦係数)、および操作部材をばねとみなしたときのばね係数Kからなる二次遅れ要素1/(Js2+Cs+K)により、操作トルクに対する目標舵角を定めるものであってもよい。具体的には、係数CおよびKをチューニングすることによって、操作トルクと目標舵角との関係を直接的に調整できる。この場合、操作トルクの変化に対する目標舵角の過渡応答特性が調整されることになる。
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る電動パワーステアリング装置の基本的な構成を説明するための図である。ステアリングホイール1に加えられた操作トルクTは、ステアリングシャフト2を介して、操舵機構3に伝達されるようになっている。操舵機構3には、電動モータMが発生する駆動力が、操舵補助力として、減速ギヤ5を介して、機械的に伝達されるようになっている。
ステアリングシャフト2は、ステアリングホイール1側に結合された入力軸2aと、操舵機構3側に結合された出力軸2bとに分割されていて、これらの入力軸2aおよび出力軸2bは、トーションバー4によって互いに連結されている。トーションバー4は、ステアリングホイール1に加えられた操作トルクTに応じて捩れを生じるものであり、この捩れの方向および量は、トルク検出手段としてのトルクセンサ15によって検出されるようになっている。このトルクセンサ15の出力信号は、制御手段としてのコントローラ10(ECU:電子制御ユニット)に入力されている。
入力軸2aには、この入力軸2aの回転角をステアリングホイール1の操作角θhとして検出する操作角検出手段である操作角センサ16が設けられている。この操作角センサ16が検出する操作角θhは、コントローラ10に入力されるようになっている。
出力軸2bは、ラックアンドピニオン機構7に結合されている。このラックアンドピニオン機構7は、出力軸2bに結合されたピニオン8と、これに噛合するラック軸9とを有している。ラック軸9は、車両の左右方向に延びて配置されており、図示しないハウジングに摺動自在に保持されている。このラック軸9の両端には、タイロッドおよびナックルアームからなる連結部材11を介して、舵取り車輪12,12が結合されている。この構成により、出力軸2bの回転に伴ってラック軸9が車両の左右方向に直線移動し、これに伴って、舵取り車輪12,12の方向が変化する。減速ギヤ5は、たとえば電動モータMの回転を出力軸2bに伝達するものであってもよい。
コントローラ10には、上記のトルクセンサ15および操作角センサ16の出力の他に、出力軸2bの回転角を検出することによって、舵取り車輪12,12の方向である舵角(車輪舵角)θwを検出する車輪舵角センサ18の出力信号も入力されている。
図2は、コントローラ10の内部の構成を説明するためのブロック図である。コントローラ10は、トルクセンサ15が検出する操作トルクT、操作角センサ16が検出する操作角θh、および車輪舵角センサ18が検出する車輪舵角θwに基づいて電動モータMの制御のための制御信号を生成するマイクロコンピュータ20と、このマイクロコンピュータ20からの制御信号を受けて、PWM(パルス幅変調)駆動信号を生成する駆動信号生成回路21と、この駆動信号生成回路21からの駆動信号によって動作させられるスイッチング素子を有し、前記制御信号に対応する電力を電動モータMへと供給するドライバ回路22とを備えている。
マイクロコンピュータ20は、内部のメモリ(図示せず)に格納された所定のプログラムを実行することによって実現される複数の機能処理部を実質的に備えている。これらの機能処理部には、操作角θhに基づいて、ステアリングホイール1を介してドライバに感じさせるべき操作トルクである目標操作トルクTrを定める上流側規範モデル(操作部材側規範モデル)31と、トルクセンサ15によって検出される操作トルクTに基づいて舵取り車輪12,12の目標車輪舵角θwrを定める下流側規範モデル(操舵機構側規範モデル)32とが含まれている。
さらに、上記機能処理部には、上流側規範モデル31によって定められた目標操作トルクTrに対する実際の操作トルクTの偏差を求めるトルク偏差演算部33と、このトルク偏差演算部33によって求められた偏差に応じて制御信号を生成する第1PID(比例積分微分)制御部34と、下流側規範モデル32によって定められた目標車輪舵角θwrに対する実際の車輪舵角θwの偏差を求める舵角偏差演算部35と、この舵角偏差演算部35によって求められた偏差に応じた制御信号を生成する第2PID制御部36と、第1および第2PID制御部34,36が生成する制御信号を加算する加算演算部37と、この加算演算部37で合成された制御信号に対してゲインをかける増幅部38とを有している。この増幅部38によってゲイン調整を受けた後の制御信号が駆動信号生成回路21に供給される。
このような構成により、第1PID制御部34は、上流側規範モデル31が定める目標操作トルクTrが達成されるように制御信号を生成し、また第2PID制御部36は、下流側規範モデル32が定める目標車輪舵角θwrが達成されるように制御信号を生成する。このようにして、操作トルクTおよび舵取り車輪12,12の舵角θwを直接的にフィードバック制御することができる。
そして、第1PID制御部34および第2PID制御部36における比例ゲイン、積分ゲインおよび微分ゲインを適切に定めることによって、上流側規範モデル31に基づく制御と下流側規範モデル32に基づく制御との間に適切なバランスの重み付けをすることができる。また、増幅部38におけるゲインを調整することにより、電動モータMから操舵機構3に与えられる操舵補助力を増減することができるので、舵取り車輪12,12から操舵機構3を介してステアリングホイール1へと伝達される路面反力を調整することができる。これにより、路面状況等をドライバに適切に伝達することができる。
第1および第2PID制御部34,36ならびに増幅部38におけるゲインの調整は、たとえば、コントローラ10にチューニングツール(たとえばパーソナルコンピュータにチューニングプログラムをインストールしたもの)を接続し、このチューニングツールからコントローラ10に対して前記ゲインを定める制御定数を設定することによって行える。
なお、下流側規範モデル32に対しては、舵取り車輪12,12の舵角速度その他各種の車両情報(たとえば車両のヨーレイト、ブレーキ情報、姿勢制御部から得られる操舵中点等)を与えるようにしてもよい。すなわち、下流側規範モデル32は、操作トルクTだけでなく、タイヤ舵角速度やその他の車両情報に基づいて目標車輪舵角θwrを定めるものであってもよい。
図3は、上流側規範モデル31の一例を示す機能ブロック図である。この上流側規範モデル31は、操作角θhに対してばね係数K1を乗じるばね係数乗算部41と、操作角θhを時間微分して操作角速度θh′を求める操作角速度演算部42と、この操作角速度演算部42によって求められる操作角速度θh′に対して粘性係数C1を乗じる粘性係数乗算部43と、ばね係数乗算部41の出力および粘性係数乗算部43の出力を加算する加算演算部44とを備えている。この加算演算部44の出力が、目標操作トルクTrとなる。この上流側規範モデル31では、ばね係数K1および/または粘性係数C1を調整することによって、操作角θhと目標操作トルクTrとの関係を調整することができ、適切な操舵フィーリングを容易に実現できる。
図4は、上流側規範モデル31のチューニングを説明するための図である。この図4には、ステアリングホイール1を左右に操作する場合における操作角θhと目標操作トルクTrとの関係が示されている。すなわち、操作角θhを横軸にとり、目標操作トルクTrを縦軸にとった座標平面上で、操作角θhと目標操作トルクTrとの関係は原点を通る直線45を長軸とした楕円形をなす。ばね係数K1を変更することにより、直線45の傾きが変化し、また、粘性係数C1を変更することにより、上記楕円形が上下方向(目標操作トルクTrの座標軸方向)に伸張/収縮する。このようにして、ばね係数K1および粘性係数C1の調整によって、操作角θhと目標操作トルクTrとの関係を自在に変化させることができる。
図5は、下流側規範モデル32の構成例を示すブロック図である。この下流側規範モデル32は、操作部材(ステアリングホイール1およびステアリングシャフト2)の慣性モーメントJ、ラック軸9のハウジングに対する摩擦等に対応する粘性係数C(摩擦係数)および上記の操作部材をばねとみなしたときのばね係数Kに基づき、操作トルクTが次式で表わされることを利用したモデルである。
T=Jθw″+Cθw′+Kθw
すなわち、操作トルクTは、車輪舵角θwの2階時間微分値θw″に慣性モーメントJを乗じ、車輪舵角θwの1階時間微分値θw′に粘性係数Cを乗じ、車輪舵角θwにばね係数Kを乗じて、これらを加算することによって得られる。換言すれば、下流側規範モデル32は、2次遅れ要素1/(Js2+Cs+K)によって表わされることになる。ただし、sはラプラス演算子である。
より具体的な構成について説明すると、下流側規範モデル32は、操作トルクTに対して慣性モーメントJの逆数を乗じる慣性項演算部51と、この慣性項演算部51の演算結果を積分する第1の積分部52と、この第1の積分部52の演算結果をさらに積分する第2の積分部53と、第1の積分部52の演算結果に対して粘性係数Cを乗じる粘性項演算部54と、第2の積分部53の演算結果に対してばね係数Kを乗じるばね項演算部55と、操作トルクTから、粘性項演算部54およびばね項演算部55の演算結果を減じる減算部56とを備えている。そして、第2の積分部53による演算結果が目標車輪舵角θwrとされるようになっている。
図6は、上述のような下流側規範モデル32のチューニングを説明するための図であり、図6(a)は車輪舵角θwの時間変化を示し、図6(b)は操作トルクTの時間変化を示す。図5に示した下流側規範モデル32は、上記のとおり、2次遅れ要素によって表わされるモデルであるため、図6(b)に示すような操作トルクTのステップ状変化に対して、車輪舵角θwは、図6(a)のように、緩やかに立ち上がり、オーバーシュート/アンダーシュートはあるものの、徐々に一定の値へと収束していく過渡応答を示すことになる。
この下流側規範モデル32では、慣性モーメントJ、粘性係数Cおよび/またはばね係数Kを調整することによって、過渡応答特性を変化させることができる。こうして、操作トルクTと目標車輪舵角θwrとの関係を直接的にチューニングして、所望の操舵特性を実現することができる。
係数K1,C1,J,C,Kは、上述のチューニングツールを用いてコントローラ10に対して設定することができ、これにより、上流側規範モデル31および下流側規範モデル32をチューニングすることができる。
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は他の形態で実施することもでき、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
この発明の一実施形態に係る電動パワーステアリング装置の基本的な構成を説明するための図である。 前記電動パワーステアリング装置のコントローラの機能的な構成を説明するためのブロック図である。 上流側規範モデルの一例を示すブロック図である。 上流側規範モデルのチューニングを説明するための図である。 下流側規範モデルの一例を示すブロック図である。 下流側規範モデルのチューニングを説明するための図である。
符号の説明
1…ステアリングホイール、2…ステアリングシャフト、3…操舵機構、12…舵取り車輪、20…マイクロコンピュータ、37…加算演算部、38…増幅部、41…ばね係数乗算部、42…操作角速度演算部、43…粘性係数乗算部、44…加算演算部、51…慣性項演算部、52,53…積分部、54…粘性項演算部、55…ばね項演算部、56…減算部、M…電動モータ

Claims (1)

  1. 操作部材の操作に応じて駆動される電動モータの動力を操舵機構に伝達して操舵補助する電動パワーステアリング装置であって、
    前記操作部材の操作角を検出する操作角検出手段と、
    前記操作部材に加えられる操作トルクを検出するトルク検出手段と、
    前記操作角検出手段によって検出される操作角に基づいて目標操作トルクを定める操作部材側規範モデル、および前記トルク検出手段によって検出される操作トルクに基づいて前記操舵機構の目標舵角を定める操舵機構側規範モデルを備え、前記操作部材側規範モデルおよび操舵機構側規範モデルに基づいて前記電動モータを駆動制御する制御手段とを含むことを特徴とする電動パワーステアリング装置。

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