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JP4453082B2 - ピアサ穿孔方法 - Google Patents
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本発明は、継目無管の製管設備であるピアサ(穿孔圧延機)における穿孔方法に関し、特に穿孔後のシェル内面に生じる内面疵を抑制することが可能なピアサ穿孔方法に関する。
マンネスマン−マンドレルミル方式による継目無管の製造においては、まず素材の丸ビレットを回転炉床式加熱炉で1200〜1260℃に加熱した後、ピアサでプラグと圧延ロールにより穿孔圧延してシェル(中空素管)を製造する。次に、前記シェルの内面にマンドレルバーを串状に挿入し、通常5〜8スタンドからなるマンドレルミルで外面を孔型圧延ロールで拘束して延伸圧延することにより、所定の肉厚まで減肉する。その後、マンドレルバーを抽出した後、前記減肉された素管を絞り圧延機で所定外径に成形圧延して製品を得る。
図1は、ピアサの概略構成を示す図であり、図1(a)は側面図を、図1(b)は平面図を示す。なお、図1(b)ではプラグの図示を省略している。図1に示すように、ピアサ10は、互いに傾斜した一対の圧延ロール1a,1bと、マンドレル2に後端が支持された砲弾状のプラグ3とを備えている。一対の圧延ロール1a,1bは、それらの軸方向が側面視で互いに平行或いは所定の交叉角で交叉するように設定される一方、平面視で互いに逆方向に傾斜角FAだけ傾けて配設されており、互いに同方向に回転するように構成されている。プラグ3は、一対の圧延ロール1a,1b間に配設されている。
斯かる構成を有するピアサ10を用いて中実の丸ビレットBを穿孔するには、先ず丸ビレットBを一対の圧延ロール1a,1b間に送給する。丸ビレットBが一対の圧延ロール1a,1bに噛み込んだ後は、圧延ロール1a,1bの摩擦力によって丸ビレットBが回転すると同時に軸方向に前進する力が作用する。そして、プラグ3の先端に到達するまでに、丸ビレットBの中心部には、圧延ロール1a,1bによって圧縮応力と引張り応力とが交互に連続して作用(回転鍛造効果)し、穿孔されやすい状態となる。丸ビレットBがプラグ3に衝突した後は、ビレットBの中心部に孔があき、以降圧延ロール1a,1bとプラグ3との間で半回転毎に肉厚加工を受け、シェルSが得られることになる。
ここで、上記回転鍛造効果が過度に作用すると、図2に示すように、丸ビレットBの中心部に割れ(マンネスマン破壊)が生じ易くなり、穿孔後のシェルに内面疵として残存する場合のあることが知られている。
そこで、従来より、上記ピアサでのマンネスマン破壊に起因した内面疵の発生を抑制するべく、特許文献1に開示されているようなピアサ穿孔方法が提案されている。より具体的に説明すれば、特許文献1には、圧延ロールの傾斜角を12°〜14°に設定すると共に、プラグの先端が丸ビレットに噛み込んだ後に、丸ビレットが圧延ロールでから揉みされる長さとビレットの外径との比が0.4〜0.6となるように設定するピアサ穿孔方法が提案されている。
しかしながら、特許文献1に記載の方法は、穿孔する丸ビレットの材質について一切考慮しておらず、内面疵の発生を抑制し易くするための一般的な方法を開示しているに過ぎない。より具体的に説明すれば、内面疵が発生する条件(マンネスマン破壊に至るまでの条件)は、例えば、炭素鋼のような容易に加工できる材料と、高Cr含有鋼のような難加工材とでは異なるため、丸ビレットの材質について何ら考慮していない特許文献1記載の方法では、多種多様な材質の丸ビレットを穿孔する必要がある場合に、その全てについて内面疵の発生を抑制することはできず、実用的ではないという問題がある。
特開2000−140911号公報
本発明は、斯かる従来技術の問題点を解決するべくなされたものであり、多種多様の丸ビレットを穿孔する場合においても、穿孔後のシェル内面に生じる内面疵を抑制することが可能なピアサ穿孔方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するべく、本発明の発明者らは鋭意検討した結果、実際にピアサで穿孔する丸ビレットから丸棒試験片を採取し、当該丸棒試験片を穿孔時の丸ビレットの温度と略同様に温度に加熱した状態で捻回試験(高温捻回試験)を実施した結果と、実際のピアサで生じるマンネスマン破壊との間に相関関係があることを見出した。よって、高温捻回試験の結果に基づきピアサの条件(回転鍛造回数)を設定すれば、多種多様の丸ビレットを穿孔する場合においても、穿孔後のシェル内面に生じる内面疵を抑制できる可能性があることに想到した。そして、本知見に基づいて各種パラメータを鋭意検討した結果、本発明を完成したものである。
すなわち、本発明は、ピアサを構成する互いに傾斜した一対の圧延ロール間に丸ビレットを送給し、前記圧延ロール間に配設した砲弾状のプラグを用いて前記丸ビレットを穿孔することにより中空のシェルを得るピアサ穿孔方法であって、下記の式(1)で定義される回転鍛造回数Nが下記の式(2)を満足するように、ピアサの条件を設定することを特徴とするピアサ穿孔方法を提供するものである。
N=2×L/(Vs/EL)×Brps ・・・(1)
N<Nt×(Sr/2R)/(Brps/Srps) ・・・(2)
ここで、上記式(1)又は(2)において、Lは丸ビレットが圧延ロールに噛み込む位置とプラグ先端との距離(mm)(図1参照)を、Vsはシェル速度(mm/s)を、ELは穿孔比(無次元単位)を、Brpsは丸ビレットの回転速度(rps)を、Ntは高温捻回値(回)を、Srは高温捻回値Ntを算出するのに用いた丸棒試験片の直径(mm)を、Rはプラグ先端の曲率半径(mm)を、Srpsは高温捻回値Ntを算出するのに用いた丸棒試験片の回転速度(rps)を意味する。
高温捻回値Ntとは、穿孔する丸ビレット(穿孔するものと同種の丸ビレット)の中心部から採取した丸棒試験片を穿孔時の丸ビレットの温度と略同等の温度に加熱し、この状態で一定の捻り回転を与えた場合において、丸棒試験片が破断するまでの回転数を意味する。また、シェル速度Vsは、圧延ロールの周速をV、圧延ロールの傾斜角をFA(図1参照)、穿孔効率をηとした場合に、Vs=V×sin(FA)×ηで定義される値である。また、穿孔比ELは、EL=シェルの長さ/ビレットの長さで定義される値である。さらに、丸ビレットの回転速度Brpsは、Brps=丸ビレットの周長/圧延ロールの周速で定義される値である。
なお、高温捻回値Ntは、丸棒試験片の材質及び温度の他、丸棒試験片の直径Sr及び回転速度Srpsにも依存する値である。すなわち、丸棒試験片の直径Srを小さくするか或いは回転速度Srpsを小さくすれば高温捻回値Ntは大きくなる一方、丸棒試験片の直径Srを大きくするか或いは回転速度Srpsを大きくすれば高温捻回値Ntは小さくなる。従って、回転鍛造回数Nの上限を規定する上記式(2)の右辺において、得られた高温捻回値Ntに直径Srを乗算(ただし、直径Srを無次元化するために、直径Srをプラグ先端の曲率半径Rの2倍で正規化)し、さらに回転速度Srpsで乗算(ただし、回転速度Srpsを無次元化するために、回転速度Srpsを丸ビレットの回転速度Brpsで正規化)することによって、丸棒試験片の直径Sr及び回転速度Srpsの影響を解消している。
本発明によれば、実際にピアサで穿孔する丸ビレットから丸棒試験片を採取(各種丸ビレットの材質に応じた丸棒試験片を採取)し、当該丸棒試験片について高温捻回試験を実施した結果に基づきピアサの条件(回転鍛造回数)を設定するため、当該設定したピアサの条件には、穿孔する丸ビレットの材質が考慮されており、多種多様の丸ビレットを穿孔する場合においても、穿孔後のシェル内面に生じる内面疵を抑制することが可能である。
以下、添付図面を適宜参照しつつ、本発明に係るピアサ穿孔方法の一実施形態について説明する。
図3は、本実施形態に係るピアサ穿孔方法において、高温捻回値Ntを算出する高温捻回試験を実施するための丸棒試験片の概略構成を示す図である。図3に示すように、本実施形態に係る丸棒試験片TPは、穿孔する丸ビレット(穿孔するものと同種の丸ビレット)の中心部から採取した材料を、直径(中央部の直径)が10mmとなるように加工し、さらに両端部にネジ加工が施されている。斯かる丸棒試験片TPに対して高温捻回試験を実施する際には、丸棒試験片TPの両端部にそれぞれカップリングCを螺着した状態で加熱炉に挿入し、穿孔時の丸ビレットの温度と略同等の温度になるまで加熱する。そして、一方のカップリングCを固定支持すると共に、他方のカップリングCを回転機構で回転(回転速度5rps)させることにより、丸棒試験片TPに捻り回転を与え、丸棒試験片TPが破断するまでの回転数を計数し、当該計数した回転数を高温捻回値Ntとする。なお、本実施形態における丸棒試験片TPの回転速度(上記他方のカップリングCの回転速度)は、実際にピアサにおいて丸ビレットを穿孔する際の当該丸ビレットの回転速度に近い方が好ましいという観点から、上記のように5rpsに設定している。
上記のようにして高温捻回値Ntを算出した後、本実施形態に係るピアサ穿孔方法では、下記の式(1)で定義される回転鍛造回数Nが下記の式(2)を満足するように、ピアサの条件を設定する。
N=2×L/(Vs/EL)×Brps ・・・(1)
N<Nt×(Sr/2R)/(Brps/Srps) ・・・(2)
ここで、上記式(1)又は(2)において、Lは丸ビレットが圧延ロールに噛み込む位置とプラグ先端との距離(mm)(図1参照)を、Vsはシェル速度(mm/s)を、ELは穿孔比(無次元単位)を、Brpsは丸ビレットの回転速度(rps)を、Ntは高温捻回値(回)を、Srは高温捻回値Ntを算出するのに用いた丸棒試験片TPの直径(mm)を、Rはプラグ先端の曲率半径(mm)を、Srpsは高温捻回値Ntを算出するのに用いた丸棒試験片の回転速度(rps)を意味する。なお、本実施形態では、上述のように、Sr=10(mm)、Srps=5(rps)としている。
表1は、マルテンサイト系ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼(6Ni−3.0Mo系)、γステンレス鋼(SUS304)のそれぞれを材料とする丸ビレットについて、本実施形態に係るピアサ穿孔方法を適用した場合(上記の式(2)を満足するようにピアサの条件を設定した場合)と、比較例のピアサ穿孔方法を適用した場合(上記の式(2)を満足しないようにピアサの条件を設定した場合)とにおける、設定したピアサの諸条件及び穿孔後のシェル内面疵の発生率(=内面疵発生本数/穿孔本数×100(%))を評価した結果を示す。また、図4は、横軸を上記の式(2)の左辺−右辺とし、縦軸を内面疵発生率として、表1に示すデータを整理したグラフを示す。
Figure 0004453082
表1又は図4に示すように、本実施形態に係るピアサ穿孔方法によれば、いずれの材料からなる丸ビレットについても、内面疵の発生率を5%以下に抑制することが可能であった。なお、本実施形態では、上記3鋼種の丸ビレットを穿孔した場合の結果のみを例示したが、本発明はこれに限るものではなく、炭素鋼など他の材料からなる丸ビレットについても同様に適用可能であり、同様の効果を奏するものである。
図1は、ピアサの概略構成を示す図である。 図2は、マンネスマン破壊を説明するための説明図である。 図3は、本発明に係るピアサ穿孔方法において、高温捻回試験を実施するための丸棒試験片の概略構成を示す図である。 図4は、本発明に係るピアサ穿孔方法において、内面疵の発生率を評価した結果を示すグラフである。
符号の説明
1a、1b・・・圧延ロール
3・・・プラグ
10・・・ピアサ
P・・・素管

Claims (1)

  1. ピアサを構成する互いに傾斜した一対の圧延ロール間に丸ビレットを送給し、前記圧延ロール間に配設した砲弾状のプラグを用いて前記丸ビレットを穿孔することにより中空のシェルを得るピアサ穿孔方法であって、
    下記の式(1)で定義される回転鍛造回数Nが下記の式(2)を満足するように、ピアサの条件を設定することを特徴とするピアサ穿孔方法。
    N=2×L/(Vs/EL)×Brps ・・・(1)
    N<Nt×(Sr/2R)/(Brps/Srps) ・・・(2)
    ここで、上記式(1)又は(2)において、Lは丸ビレットが圧延ロールに噛み込む位置とプラグ先端との距離(mm)を、Vsはシェル速度(mm/s)を、ELは穿孔比(無次元単位)を、Brpsは丸ビレットの回転速度(rps)を、Ntは高温捻回値(回)を、Srは高温捻回値Ntを算出するのに用いた丸棒試験片の直径(mm)を、Rはプラグ先端の曲率半径(mm)を、Srpsは高温捻回値Ntを算出するのに用いた丸棒試験片の回転速度(rps)を意味する。
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