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JP4453098B2 - リン高含有クリンカと高炉スラグ微粉末からなる低発熱型セメント - Google Patents
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リン高含有クリンカと高炉スラグ微粉末からなる低発熱型セメント Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リン高含有クリンカと高炉スラグ微粉末からなる低発熱型セメントに関するもので、さらに詳しくは、下水汚泥,またはその焼却灰等のリン高含有産業廃棄物の有効利用に関する。
【0002】
【従来の技術】
低発熱型セメントは、普通ポルトランドセメントと比較して、水和反応に伴う発熱量が低く、マスコンクリートの施工の際に、セメントの水和熱に起因する温度ひび割れを防止する有効な対策のひとつとして、利用されているものであり、セメントクリンカ中のエーライト:3CaO・SiO(CS)およびアルミネート:3CaO・Al(CA)含有量を低減することにより所用の性能となる。
【0003】
現在国内で製造販売されている低発熱型セメントは、普通ポルトランドセメントへの高炉スラグ(ブレーン比表面積4000〜6000cm/g)やフライアッシュ等の混和材配合量を多くしたものと、セメントクリンカ中のビーライト含有量を増加させたものとに大別でき、前者は混和材を混合することにより、後者はセメントクリンカ中のビーライト:2CaO・SiO(CS)含有量を増加させることにより、エーライトおよびアルミネートの含有量を低減し、低発熱型セメントを得ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
セメントクリンカ中のビーライト含有量を増加させることにより、低発熱型セメントを得る方法は、普通ポルトランドセメント製造時と比較して、ロータリーキルンでの焼成が困難であり、普通ポルトランドセメントと低発熱型セメントとの運転切替時に、中間的な化学組成のセメント原料およびセメントクリンカが大量に発生するため、その処理が必要となる。
したがって、本発明の目的は、リン高含有セメントクリンカから得たセメントに、高炉スラグ微粉末を置換することにより、上記の課題を解決しつつ、低発熱型セメントを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述した本発明の目的は、石灰石,粘土,硅石,酸化鉄原料およびリン高含有原料を用いて、(CaO)/(SiO+Al+Fe)が1.8〜2.3、(SiO)/(Al+Fe)が2.3〜2.7、(Al)/(Fe)が1.4〜1.8、リン含有量がPとして2〜5重量%(焼成ベース)となるように調整した調合原料を粉砕,焼成して得たクリンカに、SO量が1〜4重量%となるように石膏を混合して粉砕するか、互いに分離粉砕した後混合して得たセメントに、ブレーン比表面積が6000〜12000cm/gの高炉スラグ微粉末を10〜50重量%置換することによって達成される。
【0006】
本発明は、セメントクリンカ中のリン含有量をPとして2〜5重量%(焼成ベース)となるまで高めたセメントが、普通ポルトランドセメントとしては、凝結時間が長く、初期材齢における強度発現性が小さく使用出来ないものの、主にマスコンクリートに使用される低発熱型セメントとしては、問題のない凝結時間であり、水和反応に伴う発熱量も低発熱型セメントとして遜色がない事および強度発現性についても、ブレーン比表面積が6000〜12000cm/gの高炉スラグ微粉末を置換することにより、改善できるという事実を見出して完成したものである。
【0007】
また、本発明のセメントクリンカが、リン含有量が高いことを除けば、普通ポルトランドセメントとして遜色のない化学組成であるために、リン高含有原料の使用を中止することにより、通常の普通ポルトランドセメントの製造ができ、普通ポルトランドセメントとリン高含有セメントとの運転切替時に、中間的な化学組成のセメント原料およびセメントクリンカが発生しないという特徴を持つ。
なお、以後の記述では、(CaO)/(SiO+Al+Fe)をHM、(SiO)/(Al+Fe)をSM、(Al)/(Fe)をIMと記す。
【0008】
【発明実施の形態】
従来の低発熱型セメントは、普通ポルトランドセメントへの高炉スラグ(ブレーン比表面積4000〜6000cm/g)やフライアッシュ等の混和材の配合量を多くするか、もしくは、セメントクリンカ中のビーライト含有量を増加させることにより、所用の性能を得ている。
【0009】
それに対し、本発明におけるリン高含有セメントクリンカから得たセメントは、リンがセメントクリンカ中でエーライトのSiのサイトに置き換わって固溶し、エーライトの初期段階における活性を抑制し、ビーライトに近い性質を示すこと、およびリンのSiのサイトへの置換固溶によりSiが余剰となり、セメントクリンカ中のビーライト含有量が増加するものである。
【0010】
本発明の低発熱型セメントは、このリン高含有セメント(以下、母体セメントと記す)の、リン含有量が一定の範囲内にある時、低発熱型セメントとしては、問題のない凝結時間であり、水和反応に伴う発熱量も遜色がない事およびブレーン比表面積が6000〜12000cm/gの高炉スラグ微粉末を置換することにより、強度発現性についても改善できるという事実を見出して完成したものである。
【0011】
本発明における、母体セメント用原料のHMは1.8〜2.3、好ましくは2.1〜2.2である。1.8未満では、セメントクリンカ中のエーライト含有量が十分でないために、著しい凝結遅延となり、2.4を越えると、キルンでの焼成が困難となる。
【0012】
原料のSMは2.3〜2.7、好ましくは2.4〜2.6である。2.3未満では、セメントクリンカ中のアルミネート含有量が多くなるために、水和発熱量が上昇し、2.7を越えると、エーライトおよびアルミネートの含有量が十分でないために、凝結遅延となる。
【0013】
原料のIMは1.4〜1.8、好ましくは1.5〜1.7である。1.4未満では、セメントクリンカ中のアルミネートの含有量が十分でないために、凝結遅延となり、1.8を越えると、セメントクリンカ中のアルミネート含有量が多くなるために、水和発熱量が上昇する。
【0014】
セメントクリンカ中のリン含有量は、Pとして2〜5重量%、好ましくは2〜4重量%である。セメントクリンカ中のP含有量が2重量%未満では、リンのエーライトへの固溶量が不足し、5重量%を越えると、凝結遅延となるためである。
【0015】
本発明における母体セメントは、前記セメントクリンカを石膏と共に同時粉砕、または、互いに分離粉砕した後混合することによって得られる。なお、セメントの生産性を考慮した場合、前者の同時粉砕することが好ましい。石膏としては、無水・半水および二水石膏を使用することができる。石膏の添加量は、SO量で1〜4重量%、好ましくは1〜3重量%である。
【0016】
上記の粉砕方法は、慣用の装置を用いて行うことができる。セメントの粒度は、ブレーン比表面積で2000〜5000cm/g、好ましくは3000〜4000cm/gである。2000cm/g未満では凝結遅延および強度発現性の低下がみられ、5000cm/gを越えるように粉砕することは、コスト高になるので好ましくない。
【0017】
本発明において、リン高含有原料を特定しない。
しかしながら、下水汚泥,およびその焼却灰等のリン高含有産業廃棄物の普通ポルトランドセメント原料としての利用が、セメント中のリンがある一定量以上になると、セメントの凝結時間が長く、初期材齢における強度発現性が小さくなるため、量的に制限されていることおよび産業廃棄物の発生抑制と再資源化を考慮した場合、リン高含有産業廃棄物を有効利用することが好ましい。
【0018】
本発明において、強度発現性の改善を目的として、母体セメントに置換する高炉スラグ微粉末は、通常の手段によって粉砕された高炉スラグ微粉末をさらに分級手段によって生産されたものであり、ブレーン比表面積で6000〜12000cm/g、好ましくは8000〜10000cm/gである。6000cm/g未満では強度改善効果は期待できず、12000cm/gを越えるように分級することは、コスト高になるので、好ましくない。
【0019】
上記の高炉スラグ微粉末の母体セメントへの置換率は、10〜50重量%、好ましくは20〜40重量%である。10重量%未満では強度改善効果は期待できず、50重量%を越えるまで置換することは、リン高含有産業廃棄物の使用量を増した母体セメントの割合が減るため、本発明の目的から外れる。
【0020】
また、本発明の母体セメントが、リン含有量が高いことを除けば、普通ポルトランドセメントとして遜色のない化学組成であるために、ロータリーキルンでの焼成に際して、特に考慮すべき点はなく、リン高含有原料の使用を中止することにより、通常の普通ポルトランドセメントの製造ができ、普通ポルトランドセメントと母体セメントとの運転切替時に、中間的な化学組成のセメント原料およびセメントクリンカが発生しないために、工業化するにあたり特別の手段を講じる必要がない。
【0021】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明を説明する。
石灰石,粘土,硅石,酸化鉄原料および下水汚泥焼却灰を用いて、HM,SM,IMおよびP含有量(焼成ベース)を変化させた、セメント用原料を多数調整し、焼成して得たセメントクリンカより製造された、セメントの物理性状の比較を行った。
【0022】
使用した石灰石,粘土,硅石,酸化鉄原料および下水汚泥焼却灰の化学組成を表1に示す。
これらの原料を用いて、表2に示すセメントクリンカの組成比率およびP含有量となるように調整した調合原料を粉砕後、各調合原料をSPロータリーキルンを用いて約1450℃で焼成し、セメントクリンカを得た。
【0023】
【表1】
Figure 0004453098
【0024】
各セメントクリンカに二水石膏をSO換算で2.0重量%添加後、混合粉砕してブレーン比表面積約3400cm/gの母体セメント(比較例3,5)を製造し、通常の手段によって粉砕された、ブレーン比表面積4500cm/gの高炉スラグ微粉末および、この高炉スラグ微粉末をさらに分級することにより得た、ブレーン比表面積8500cm/gの高炉スラグ微粉末をそれぞれ母体セメントに30%置換して、低発熱型セメントを製造した。
【0025】
なお、比較例1は、一般的な組成に近い調合原料(HM=2.17,SM=2.46,IM=1.60,P含有量=0.50重量%)から製造された、普通ポルトランドセメントクリンカであり、比較例2は、普通ポルトランドセメントに高炉スラグ微粉末(ブレーン比表面積4000cm/g台)やフライアッシュ等を混合した市販の低発熱型セメント(第一セメント社製)である。
【0026】
上記のセメントについて、「JIS R 5201(セメントの物理試験方法)」の規定にしたがって、凝結試験および強さ試験を行い、「JIS R 5203(セメントの水和熱試験方法)」の規定にしたがって、水和熱の測定を行った。
得られた結果を表2に示す。
【0027】
【表2】
Figure 0004453098
【0028】
本発明におけるクリンカの組成比率およびP含有量の母体セメント(比較例3,5)は、一般的な組成に近い普通ポルトランドセメントクリンカより製造したセメント(比較例1)と比較して、P含有量の増加に伴い、凝結時間が長く、初期材齢における強度発現性が小さい。
【0029】
しかしながら、比較例3,5の母体セメントは、普通ポルトランドセメントに高炉スラグ微粉末(ブレーン比表面積4000cm/g台)やフライアッシュ等を混合した市販の低発熱型セメント(比較例2)と比較して、初期材齢における強度発現性が低いものの、凝結時間および水和発熱量は、同程度の性能を有していることが判る。
【0030】
一方、母体セメントを、ブレーン比表面積8500cm/gの高炉スラグ微粉末で30%置換した、本発明のセメント(実施例1,2)は、若干の凝結の遅延がみられるものの、市販の低発熱セメント(比較例2)と比較して、水和発熱量を上げることなく、同等以上の強度発現性を示している。
【0031】
また、母体セメントを、ブレーン比表面積4500cm/gの高炉スラグ微粉末で30%置換した、比較例4,6のセメントは、母体セメントと比較しても初期材齢における強度発現性が小さく、本発明のブレーン比表面積範囲以下の高炉スラグ微粉末を母体セメントに置換しても、強度改善効果が期待できないことが判る。
【0032】
上記表2から、P含有量2〜5重量%のクリンカから製造した、P高含有セメントとブレーン比表面積が6000〜12000cm/gの高炉スラグ微粉末とを組み合わせた、本発明のセメントは、普通ポルトランドセメントとしては、凝結時間が長く、初期材齢における強度発現性が小さいものの、低発熱型セメントとしては十分な性能を有していることは明らかである。
【0033】
【発明の効果】
本発明は、以上詳記したように、P高含有セメントとブレーン比表面積が6000〜12000cm/gの高炉スラグ微粉末とを組み合わせた混合セメントが低発熱型セメントとして、十分な性能を有していることを見出したことにより、工業化するにあたり特別の手段を講じる必要がないので、実施化が容易なうえ経済的負担が軽微である点および、下水汚泥,またはその焼却灰等のリン含有量の高い産業廃棄物のセメント用原料としての配合量の増加が可能となり、廃棄物処理に量的質的に多大に貢献する点など、メリットは大きい。

Claims (1)

  1. 石灰石,粘土,硅石,酸化鉄原料およびリン高含有原料を用いて、(CaO)/(SiO+Al+Fe)が1.8〜2.3、(SiO)/(Al+Fe)が2.3〜2.7、(Al)/(Fe)が1.4〜1.8、リン含有量がPとして2〜5重量%(焼成ベース)となるように調整した調合原料を粉砕,焼成して得たクリンカに、SO量が1〜4重量%となるように石膏を混合して粉砕するか、互いに分離粉砕した後混合して、得たセメントに、ブレーン比表面積が6000〜12000cm/gの高炉スラグ微粉末を10〜50重量%置換することを特徴とする低発熱型セメント
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