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JP4454112B2 - ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ - Google Patents
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JP4454112B2 - ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ - Google Patents

ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属製外皮中にフラックスを充填してなるガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤに関し、特に、良好な立向ビード形状及び良好な溶接作業性を有するガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、TiO2を主成分としたフラックスを含有する全姿勢用のガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤにおいては、スラグの流動性を調整し、立向姿勢でのビード形状を改善する目的でAl23等のアルミニウム酸化物が添加されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤはAl23の添加によりスラグの粘性が増加し、立向姿勢でのビード形状が向上するものの、スパッタの大幅な増加は避けられないという問題点がある。
【0004】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、フラックス中にアルミニウム酸化物を添加してもスパッタの増加等が生じることなく、立向溶接姿勢において良好なビード形状及び良好な溶接作業性を得ることができるガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤは、金属製外皮中にフラックスを充填してなるガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤにおいて、前記フラックスはアルミニウム酸化物が添加されたチタン酸化物原料を含有し、このチタン酸化物原料はAl23換算でチタン酸化物原料の全質量あたり0.5乃至10質量%のアルミニウム酸化物を含有するものであり、前記フラックス中の総量で、チタン酸化物はTiO2換算でワイヤ全質量あたり4.5乃至9.0質量%、アルミニウム酸化物はAl23換算でワイヤ全質量あたり0.05乃至1.5質量%含有されることを特徴とする。
【0006】
この場合、前記金属製外皮及び前記フラックスの一方又は双方中に、ワイヤ全質量あたりSi:0.1乃至1.2質量%、Mn:1.0乃至3.0質量%、B:0.001乃至0.025質量%、Mg:0.1乃至0.8質量%及び金属フッ化物:F換算で0.01乃至0.30質量%を含有することが好ましい。
【0007】
また、前記アルミニウム酸化物が添加されたチタン酸化物原料の平均粒径は75乃至600μmであることが好ましい。
【0008】
更に、前記アルミニウム酸化物が添加されたチタン酸化物原料の比表面積は1.5m2/g以下であることが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
本願発明者等は本発明の課題を解決するために鋭意実験研究を重ねた結果、ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤのフラックスの成分として、アルミニウム酸化物が添加されたチタン酸化物原料を含有させることにより、アルミニウム酸化物がフラックス中に均一に分散されるため、溶接作業性を劣化させることなく、スラグの粘性を増加させ、立向姿勢におけるビード形状が改善されることを見出した。また、このアルミニウム酸化物が添加されたチタン酸化物原料のアルミニウム酸化物はアーク集中性を高め、アークを安定させてスパッタ発生量を低減すると共に、溶け込み深さを深くする。
【0010】
更に、溶接金属の衝撃性能の観点から、金属製外皮及びフラックスの一方又は双方の中に、ワイヤ全質量あたりSi:0.1乃至1.2質量%、Mn:1.0乃至3.0質量%、B:0.001乃至0.025質量%、Mg:0.1乃至0.8質量%及び金属フッ化物:F換算で0.01乃至0.30質量%を含有することが好ましい。
【0011】
以下、本発明のガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤの数値限定理由について説明する。
【0012】
アルミニウム酸化物が添加されたチタン酸化物原料:Al 2 3 換算でチタン酸化物原料の全質量あたり0.5乃至10質量%のアルミニウム酸化物を含有
アルミニウム酸化物(Al23)をフラックス中に均一に分散させるため、アルミニウム酸化物は少なくともその一部をチタン酸化物原料に添加された形でフラックス中に添加する。チタン酸化物原料に添加されたアルミニウム酸化物はアーク集中性を高め、アークを安定させてスパッタ発生量を低減すると共に、溶け込み深さを深くする効果を有する。アルミニウム酸化物が添加されたチタン酸化物原料のアルミニウム酸化物の含有量がAl23換算でチタン酸化物原料の全質量あたり0.5質量%未満では、Al23の量が少なく、スラグの粘性が殆ど増加しないため、立向姿勢におけるビード形状を向上させる効果が発揮されない。一方、アルミニウム酸化物が添加されたチタン酸化物原料のアルミニウム酸化物の含有量がAl23換算でチタン酸化物原料の全質量あたり10質量%を超えると、アルミニウム酸化物が吸湿するためにフラックスの吸湿特性が劣化して、ワイヤ水分量が増加してしまう等の問題が発生する。従って、アルミニウム酸化物が添加されたチタン酸化物原料はAl23換算でチタン酸化物の全質量あたり0.5乃至10質量%のアルミニウム酸化物を含有する。
【0013】
アルミニウム酸化物:フラックス中の総量でAl 2 3 換算でワイヤ全質量あたり0.05乃至1.5質量%
アルミニウム酸化物の含有量がフラックス中の総量でAl23換算でワイヤ全質量あたり0.05質量%未満では、スラグの粘性増加による立向ビード形状を改善する効果が期待できない。一方、アルミニウム酸化物の含有量がフラックス中の総量でAl23換算でワイヤ全質量あたり1.5質量%を超えると、スパッタの増加及びスラグの硬化によるスラグ剥離性の劣化等が発生する。従って、アルミニウム酸化物の含有量はフラックス中の総量でAl23換算でワイヤ全質量あたり0.05乃至1.5質量%とする。なお、本発明においては、チタン酸化物に添加されたアルミニウム酸化物以外にも、フラックス中に補助的にアルミニウム酸化物を単独で添加することも可能である。しかし、溶接作業性の劣化防止の観点から、補助的に単独で添加するアルミニウム酸化物の含有量はフラックス中の総量でAl23換算でワイヤ全質量あたり1.0質量%以下とし、好ましくは、0.5質量%以下とする。いずれにしても、アルミニウム酸化物の含有量はフラックス中の総量でAl23換算でワイヤ全質量あたり0.05乃至1.5質量%とする必要がある。
【0014】
チタン酸化物:フラックス中の総量でTiO 2 換算でワイヤ全質量あたり4.5乃至9.0質量%
チタン酸化物の含有量がフラックス中の総量でTiO2換算でワイヤ全質量あたり4.5質量%未満では、スラグの粘性が不十分で、立向姿勢で溶接できなくなるだけでなく、アークが不安定になり、スパッタも増加する。一方、チタン酸化物の含有量がフラックス中の総量でTiO2換算でワイヤ全質量あたり9.0質量%を超えると、溶接金属中の酸素量が増加して溶接金属の衝撃性能が劣化する等の問題が発生する。また、スラグが硬化してスラグ剥離性が著しく劣化すると共に、スパッタも増加する。従って、チタン酸化物の含有量はフラックス中の総量でTiO2換算でワイヤ全質量あたり4.5乃至9.0質量%とする。なお、フラックス中にアルミニウム酸化物が添加されたチタン酸化物原料以外に、アルミニウム酸化物が添加されていないチタン酸化物を別途添加することも可能である。しかし、この場合においても、チタン酸化物の含有量は上述の如く、フラックス中の総量でTiO2換算でワイヤ全質量あたり4.5乃至9.0質量%とする必要がある。
【0015】
本発明のガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤに使用されるアルミニウム酸化物が添加されたチタン酸化物原料は、上述の如く、アルミニウム酸化物の含有量がフラックス中の総量でAl23換算でチタン酸化物の全質量あたり0.5乃至10質量%である。このようなアルミニウム酸化物が添加されたチタン酸化物原料としては、工業的に製造されたもので顔料又は塗料に使用されるものが流用できる。これらのチタン酸化物原料は、一般的に、親油性を向上させる目的でTiO2の粒子の表面にAl23のコーティングが施されたものであり、そのチタン酸化物原料は数質量%のAl23を含有している。しかし、これらのチタン酸化物原料において、TiO2の粒子は、一般的に、数質量%の水分を含んでいるため、そのままでは、フラックス入りワイヤ用の原料として使用することができない。また、この粒子は粒度も細かいため、製造上、フラックスの流動性が問題になる。従って、この粒子をフラックス入りワイヤ用の原料として使用するためには、乾燥、造粒、焼成及び粉砕の予備処理を行ない、平均粒径を75乃至600μmとし、比表面積を1.5m2/g以下とすることが好ましい。また、Al23の分散性を向上させるためには、原料となるTiO2の粒子はできるだけ細かい方が好ましい。
【0016】
図1はアルミニウム酸化物の存在形態を示す断面図であって、(a)はTiO2の粒子の表面にAl23層が存在する原料を示す断面図、(b)はAl23の粒子の表面にTiO2層が存在する原料を示す断面図である。また、上述のアルミニウム酸化物が添加されたチタン酸化物原料は、顔料用のTiO2の粒子1の表面にAl23層2を有しているが、逆に、Al23の粒子3の表面にTiO2層4があっても、最終的なAl23の分散性に影響を与えるものではない。このため、TiO2層4によりAl23の粒子3を被覆し内部にAl23の粒子3が存在するものをフラックス入りワイヤ用の原料として使用しても効果は同じである。
【0017】
また、Al23はTiO2よりも親水性が高いため、上述の如く、アルミニウム酸化物が添加されたチタン酸化物原料のアルミニウム酸化物の含有量、即ち、TiO2の粒子を被覆するアルミニウム酸化物の含有量がAl23換算でチタン酸化物原料の全質量あたり10質量%を超えると、乾燥等の前処理を施しても、粒子の再吸湿によりワイヤ水分量が増加するという問題が発生する。
【0018】
アルミニウム酸化物が添加されたチタン酸化物原料の平均粒径:75乃至600μm
焼成及び粉砕の前処理を施した後、アルミニウム酸化物が添加されたチタン酸化物原料の平均粒径が75μm未満では、フラックスの流動性が悪くなるため、フラックス率が安定しない等の問題が発生する。一方、アルミニウム酸化物が添加されたチタン酸化物原料の平均粒径が600μmを超えると、フラックスの流動性は確保されるものの、チタン酸化物原料の粒径が大きいため、伸線中に断線する等の問題が発生する。従って、アルミニウム酸化物が添加されたチタン酸化物原料の平均粒径は75乃至600μmとすることが好ましい。
【0019】
アルミニウム酸化物が添加されたチタン酸化物原料の比表面積:1.5m 2 /g以下
アルミニウム酸化物が添加されたチタン酸化物原料の比表面積が1.5m2/gを超えると、吸湿量が増加するため、即ち、吸湿性が劣化するため、フラックスのワイヤ水分量が多くなり、溶接時に、気孔欠陥が発生したり、又は低温割れが発生したりするという問題が発生する。従って、アルミニウム酸化物が添加されたチタン酸化物原料の比表面積は1.5m2/g以下とすることが好ましい。
【0020】
Si:ワイヤ全質量あたり0.1乃至1.2質量%
Siは溶融金属の粘性を調整しビード外観及びビード形状を良好にする効果を有している。また、適度にSiを添加することにより、スパッタを低減する効果も有している。しかし、Siの含有量がワイヤ全質量あたり0.1質量%未満では、ビード外観及びビード形状を良好にする効果並びにスパッタを低減する効果を得ることができない。一方、Siの含有量がワイヤ全質量あたり1.2質量%を超えると、溶接金属の強度が上昇し衝撃性能の劣化等が発生する。従って、Siの含有量はワイヤ全質量あたり0.1乃至1.2質量%とすることが好ましい。
【0021】
Mn:ワイヤ全質量あたり1.0乃至3.0質量%
MnはSiと同様に溶融金属の粘性を調整してビード外観及びビード形状を良好にすると共に、溶接金属の脱酸を促進する。また、Mnの一部は溶接金属中に歩留まってその一成分になり、焼き入れ性を高めて溶接金属の組織を微細化し溶接金属の衝撃性能を向上させる効果がある。しかし、Mnの含有量がワイヤ全質量あたり1.0質量%未満では、ビード外観及びビード形状を良好にすると共に、溶接金属の脱酸を促進し溶接金属の衝撃性能を向上させる効果を得ることができない。一方、Mnの含有量がワイヤ全質量あたり3.0質量%を超えると、溶接金属の強度が増加して衝撃性能の劣化が発生する。従って、Mnの含有量はワイヤ全質量あたり1.0乃至3.0質量%とすることが好ましい。
【0022】
なお、フラックスのSi及びMnの添加源としては、電解Mn、Fe−Mn、Fe−Si及びSi−Mn合金等を使用することができる。
【0023】
B:ワイヤ全質量あたり0.001乃至0.025質量%
Bは溶接金属の組織を微細化し、衝撃性能を向上させる効果がある。Bの含有量がワイヤ全質量あたり0.001質量%未満では、溶接金属の組織を微細化する効果がない。一方、Bの含有量がワイヤ全質量あたり0.025質量%を超えると、逆に溶接金属の組織が粗大化するため、溶接金属の衝撃性能が劣化する。従って、Bの含有量はワイヤ全質量あたり0.001乃至0.0025質量%とすることが好ましい。なお、Bの添加源としては、Fe−B等の合金があり、このFe−B等の合金による添加以外にB酸化物による添加も可能である。B酸化物によりBを添加した場合には、B酸化物は溶接中に還元されてBとなり、溶接金属中に歩留まってその一成分になる。
【0024】
金属フッ化物:ワイヤ全質量あたりF換算で0.01乃至0.30質量%
金属フッ化物はアーク安定性を高めてスパッタ発生量を低減すると共に、溶接金属中の水素量を低減し耐低温割れ性を高める効果がある。これらの作用はワイヤ全質量あたりF換算で0.01質量%以上の金属フッ化物を含有することにより発現する。一方、金属フッ化物の含有量がワイヤ全質量あたりF換算で0.30質量%を超えると、スパッタ及びヒューム発生量が増加すると共に、スラグの流動性が過大になりビード形状が劣化する。従って、金属フッ化物の含有量はワイヤ全質量あたりF換算で0.01乃至0.30質量%とすることが好ましい。なお、金属フッ化物としては、Na、K、Li、Mg及びCa等のアルカリ金属並びにアルカリ土類金属のフッ化物が一般的に使用される。
【0025】
Mg:ワイヤ全質量あたり0.1乃至0.8質量%
Mgは溶接金属の脱酸を促進し、溶接金属中の酸素量を低減すると共に、B酸化物又は酸化チタンを還元する。これにより、チタン及びBは溶接金属中に歩留まり、溶接金属の組織を微細化して溶接金属の衝撃性能を向上させる。この効果はMgの含有量がワイヤ全質量あたり0.1質量%以上で発現する。一方、Mgの含有量がワイヤ全質量あたり0.8質量%を超えると、それ以上脱酸が促進されず、また、スパッタの増加及びスラグの硬化によるスラグ剥離性の劣化が発生する。従って、Mgの含有量はワイヤ全質量あたり0.1乃至0.8質量%とすることが好ましい。
【0026】
なお、本発明においては、上記要件を満足する範囲内で金属製外皮及び/又はフラックスに他の合金成分を添加することも可能である。例えばNi、Mo、Cr及びCuは本発明の効果に関して特に影響を及ぼさないので必要に応じて添加することができる。また、脱酸剤として、前記Si、Mn及びMg以外にTi、Zr及びAl等も添加できるが、これらの元素の総量がワイヤ全質量あたり0.8質量%を超えると、アーク安定性、ビード外観及びビード形状等が劣化する。更に、アーク安定剤として、K、Na及びLi等のアルカリ金属の酸化物又は炭酸塩等を添加することができる。
【0027】
【実施例】
以下、本発明の範囲に入るガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤの実施例について、その特性を比較例と比較して具体的に説明する。
【0028】
下記表1乃至8に示す組成を有するガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤを作製した。下記表1乃至8に示す項目の測定方法について説明する。
【0029】
チタン酸化物の測定については、チタン酸化物を含むワイヤよりフラックスを分離し、フラックスをアルカリ溶解し、Tiを溶解した後、不要分を分離した溶液を酸化還元滴定で定量して金属Ti量を測定し、これをTiO2に換算する。このTiO2換算値をチタン酸化物の量とする。
【0030】
アルミニウム酸化物の測定については、アルミニウム酸化物を含むチタン酸化物をアルカリ溶融し、Alを溶解した後、その溶液をキレート滴定でAl量を求め、これをAl23に換算する。このAl23換算値をアルミニウム酸化物の量とする。
【0031】
チタン酸化物原料の平均粒径は、JIS Z8815に規定された乾式ふるい分け試験により測定した。また、チタン酸化物原料の比表面積はN2の吸着量を求め、B.E.T(Brunauer,Emmett and Teller)の多点法により計算して求めた。
【0032】
更に、フッ素量は、JIS M8514(鉄鋼用ほたる石−分析方法)に規定されたフッ素量定量方法により測定した。
【0033】
上述のワイヤを使用して下記表9に示す溶接条件で溶接し、溶接作業性(立向溶接におけるビード形状、スパッタ発生状況及びアークの集中性)について評価した。この結果を表10及び11に示す。以下、溶接作業性の評価方法及び評価基準について説明する。
【0034】
ビード形状は、官能評価により評価した。評価は、ビード表面がほぼ完全に平ら(フラット)な状態のものを◎(極めて良好)とし、ビード表面がほぼ平ら(フラット)な状態なものを○(良好)とし、ビード表面が若干凸な状態のものを△(やや不良)とし、ビード表面が凸な状態のものを×(不良)とした。
【0035】
また、スパッタ発生量は、官能により評価した。評価は、スパッタの粒径が小さく発生量も少ないものを◎(極めて良好)とし、スパッタの粒径が若干大きいが発生量が少ないものを○(良好)とし、スパッタの粒径が大きく発生量も若干多いものを△(やや不良)とし、スパッタの粒径が大きく発生量も多いものを×(不良)とした。
【0036】
更に、アークの集中性は、官能評価により評価した。評価は、アークの広がりが小さく溶け込みが深い感じがするものを◎(極めて良好)とし、アークの広がりは若干広いが溶け込みは深い感じがするものを○(良好)とし、アークの広がりが大きく溶け込みも浅い感じがするものを△(やや不良)とした。
【0037】
更にまた、ワイヤ吸湿性については、温度が30℃で相対湿度が80%の雰囲気に1週間放置した後のワイヤ水分量が700質量ppm以上となるものを△とした。また、フラックス流動性は、フラックスの流れが悪く、ワイヤ生産においてフラックス率が安定しない状態のものを△とした。更に、ワイヤ生産時に断線が生じたものを表10及び11の「その他特性」の欄に「ワイヤ伸線性劣る」と表現した。
【0038】
なお、表2において「≦0.1」は0.1以下であることを示す。表3及び表7のその他合金成分の欄において、左側に示すのはその他合金成分の物質名であり、右側の数値はそのワイヤ全質量あたりの含有量を示す。また、その他脱酸剤の欄においても、左側に示すのはその他脱酸剤の物質名であり、右側の数値はそのワイヤ全質量あたりの含有量を示す。表3及び表7において「―」は添加されていないことを示す。更に、表4及び表8のフッ化物量の欄において、左側に示すのはフッ化物の物質名であり、右側の数値はそのワイヤ全質量あたりの含有量を示す。更にまた、F量はフッ化物をFに換算した値を示し、アーク安定剤とは、Na2O、K2O及びLi2Oであり、スラグ形成剤とは、SiO2、ZrO2及びMgOであり、残部とは、Fe及びその他である。
【0039】
【表1】
Figure 0004454112
【0040】
【表2】
Figure 0004454112
【0041】
【表3】
Figure 0004454112
【0042】
【表4】
Figure 0004454112
【0043】
【表5】
Figure 0004454112
【0044】
【表6】
Figure 0004454112
【0045】
【表7】
Figure 0004454112
【0046】
【表8】
Figure 0004454112
【0047】
【表9】
Figure 0004454112
【0048】
【表10】
Figure 0004454112
【0049】
【表11】
Figure 0004454112
【0050】
上記表10に示すように、実施例No.1乃至15は立向姿勢におけるビード形状、スパッタ発生状況及びアークの集中性について、良好な結果を得ることができた。なお、実施例No.9は請求項1を満足するものの、その他のAl23量が本発明の上限値を超えているので、スパッタ発生状況が若干劣った。
【0051】
実施例No.10は請求項1を満足するものの、アルミニウム酸化物が添加されたチタン酸化物原料の平均粒径が本発明の上限値を超えているので、伸線性が若干劣った。実施例No.11は請求項1を満足するものの、アルミニウム酸化物が添加されたチタン酸化物原料の平均粒径が本発明の下限値未満であり、アルミニウム酸化物が添加されたチタン酸化物原料の比表面積が本発明の上限値を超えているので、フラックス流動性及びワイヤ吸湿性が若干劣った。
【0052】
実施例No.12は請求項1を満足するものの、外皮及び/又はフラックスに含有されるSiの含有量が本発明の上限値を超え、Mgの含有量が本発明の下限値未満であるが、これらは溶接金属の衝撃性を劣化させるものなので、溶接作業性に影響はなく立向姿勢におけるビード形状、スパッタ発生状況及びアーク集中性について、良好な結果を得ることができた。実施例No.13は請求項1を満足するものの、外皮及び/又はフラックスに含有されるMn及びMgの含有量が本発明の上限値を超え、Bの含有量が本発明の下限値未満であるので、スパッタ発生状況が若干劣った。実施例No.14は請求項1を満足するものの、外皮及び/又はフラックスに含有されるSi、Mn及びBの含有量が本発明の下限値未満であるので、スパッタ発生状況が若干劣った。
【0053】
実施例No.15は請求項1を満足するものの、アルミニウム酸化物が添加されたチタン酸化物原料の平均粒径が本発明の下限値未満であるので、フラックス流動性が若干劣った。実施例No.16は請求項1を満足するものの、アルミニウム酸化物が添加されたチタン酸化物原料の比表面積が本発明の上限値を超えているので、ワイヤ吸湿性が若干劣った。実施例No.17は請求項1を満足するものの、金属フッ化物のF換算量が本発明の下限値未満であるので、スパッタ発生状況が若干劣った。実施例No.18は請求項1を満足するものの、金属フッ化物のF換算量が本発明の上限値を超えているので、スパッタ発生状況が若干劣り、またヒューム発生量も若干多かった。実施例No.19は請求項1を満足するものの、アルミニウム酸化物が添加されたチタン酸化物原料の平均粒径が本発明の下限値未満であり、比表面積が本発明の上限値を超えており、Si、Mn、B、Mg及び金属フッ化物のF換算量が適正範囲から外れているので、スパッタ発生状況及びアークの集中性が若干劣った。また、ヒューム発生量が若干多かった。
【0054】
一方、上記表11に示すように、比較例No.20はアルミニウム酸化物が添加されたチタン酸化物原料中のAl23換算でのアルミニウム酸化物量が本発明の上限値を超えているので、ワイヤ吸湿性が不可であった。比較例No.21はワイヤ全質量あたりの総TiO2量が本発明の上限値を超えているので、スパッタ発生状況が劣った。また、衝撃性能が劣化した。比較例No.22はワイヤ全質量あたりの総TiO2量が本発明の下限値未満であるので、立向姿勢におけるビード形状が劣り、スパッタ発生状況が若干劣った。比較例No.23はワイヤ全質量あたりの総Al23量が本発明の上限値を超えているので、スパッタが増加しスパッタ発生状況が劣った。比較例No.24はワイヤ全質量あたりの総Al23量が本発明の下限値未満であるので、立向姿勢におけるビード形状及びアークの集中性が若干劣った。比較例No25はアルミニウム酸化物が添加されたチタン酸化物原料中のAl23換算でのアルミニウム酸化物量が本発明の下限値未満であるので、立向溶接におけるビード形状が劣り、スパッタ発生状況も若干劣った。
【0055】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、チタン酸化物に含有されるアルミニウム酸化物の含有量、チタン酸化物の含有量及びチタン酸化物に含有されるアルミニウム酸化物も含めたアルミニウム酸化物の含有量を適切に規定しているので、フラックス中にアルミニウム酸化物を添加してもスパッタの増加等が生じることなく、立向溶接姿勢において良好なビード形状及び良好な溶接作業性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】アルミニウム酸化物の存在形態を示す断面図であって、(a)はTiO2の粒子の表面にAl23層が存在する原料を示す断面図、(b)はAl23の粒子の表面にTiO2層が存在する原料を示す断面図である。
【符号の説明】
1、3;粒子
2;Al23
4;TiO2

Claims (4)

  1. 金属製外皮中にフラックスを充填してなるガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤにおいて、前記フラックスはアルミニウム酸化物が添加されたチタン酸化物原料を含有し、このチタン酸化物原料はAl23換算でチタン酸化物原料の全質量あたり0.5乃至10質量%のアルミニウム酸化物を含有するものであり、前記フラックス中の総量で、チタン酸化物はTiO2換算でワイヤ全質量あたり4.5乃至9.0質量%、アルミニウム酸化物はAl23換算でワイヤ全質量あたり0.05乃至1.5質量%含有されることを特徴とするガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
  2. 前記金属製外皮及び前記フラックスの一方又は双方の中に、ワイヤ全質量あたりSi:0.1乃至1.2質量%、Mn:1.0乃至3.0質量%、B:0.001乃至0.025質量%、Mg:0.1乃至0.8質量%及び金属フッ化物:F換算で0.01乃至0.30質量%を含有することを特徴とする請求項1に記載のガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
  3. 前記アルミニウム酸化物が添加されたチタン酸化物原料の平均粒径は75乃至600μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載のガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
  4. 前記アルミニウム酸化物が添加されたチタン酸化物原料の比表面積は1.5m2/g以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
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