JP4454782B2 - 電池用セパレータの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電池用セパレータの製造方法、より具体的には粉体が繊維シートを含むセパレータ基材に固定された電池用セパレータの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電池用セパレータとして、不織布からなるものが知られている。不織布は空隙割合が高く、強度もあり、電池用セパレータとして用いた時に、電解液の保持量が多く、電解液の電気抵抗が低いため、電池の初期容量及びサイクル容量が高く好ましいものである。
【0003】
一方、電池においては電池容量もさることながら、デンドライドの発生等による電極間の短絡防止も重要な問題である。この解決策の1つとして、不織布に微孔膜を貼り合わせる技術もあるが、微孔膜の空隙が小さく、電解液の電気抵抗の増加を招いてしまい好ましくなかった。また、微孔膜が不織布から剥離することがある為、電池作成工程において取り扱いずらい場合もあった。
【0004】
また、デンドライドを防止するための、セパレータの表面等に適当な孔径を形成する手段として、特開昭53−136631号公報に示されているように、多孔性セパレータの少なくとも片面に、セパレータ表面が部分的に露出するよう比較的粗な分布密度に熱可塑性合成樹脂粉末を付着させ加熱溶着する方法、或いは特開昭57−95071号公報に示されているように、10μm以下の平均粒子径をもつポリオレフィン粉末または、これに同じ粒子径をもつシリカ系粉末を5〜70重量%添加した混合粉末を、低沸点液体で分散またはスラリー化したものをウエブに含浸、塗布、乾燥する方法、などが知られている。
【0005】
しかしながら、このような方法により製造した電池用セパレータは、図1にセパレータの模式的断面図を示すように、粉末同士が緻密に充填され、セパレータのもつ空隙が小さく、電解液の電気抵抗の増加を招く結果、電池容量の減少などを招き、満足の行くものではなかった。
【0006】
このように、セパレータの空隙を小さくすると保液性が落ちたり、電解液の電気抵抗が高くなるため電池容量の低下を招き、逆にセパレータの空隙を大きくするとデンドライドの発生により電池がショートするなどの問題があったため、電池容量とデンドライド防止性との両方を満足するセパレータが待望されていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題点を解決するためになされたものであり、電池容量が高く、デンドライドによるショートを防止できる、取り扱い性に優れる電池用セパレータの製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討の結果、気体中に粉体を分散させ、繊維シートを含むセパレータ基材に前記粉体を付着させ、セパレータ基材上に粉体層を形成した後に、粉体を固定することにより、耐ショート性に優れた均質かつ小さな孔径であるにもかかわらず、電解液の保液性が高く、電解液の電気抵抗が低いため電池容量の優れるセパレータを製造できることを見い出した。つまり、本発明の電池用セパレータの製造方法は、(1)粉体を気体中に分散させる工程、(2)分散させた粉体を繊維シートを含むセパレータ基材に付着させ、セパレータ基材上に粉体層を形成する工程、(3)前記付着させ、形成した粉体層の粉体をセパレータ基材に固定する工程、とを含む方法である。
【0009】
また、前記(2)の付着工程において、気体中に分散させた粉体を、セパレータ基材を基準として、その粉体の分散側の反対側から吸引してセパレータ基材に付着させると、粉体のセパレータ基材への集積速度が上がり生産性に優れるため、より好都合である。
【0010】
更に、セパレータ基材に粉体を付着させる前に、粉体を単極性に帯電させると、粉体同士の集積をより疎な状態にすることができ、セパレータの保液性を損なわないためより好ましいものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の1つの製造方法(以下、「製造方法1」と称することがある)は、(1)粉体を気体中に分散させる工程、(2)分散させた粉体を繊維シートを含むセパレータ基材に付着させる工程、(3)前記付着させた粉体をセパレータ基材に固定する工程、とを含んでいる。
【0012】
(1)粉体を気体中に分散させる工程は、粉体を気体中(例えば、空気中)に連続的或いは不連続的に供給して分散させることを意味し、例えば、ノズルから気体と共に噴霧する方法や、小さな目開きのメッシュを通して粉体を振るい落とす方法、などを利用できる。特に、ノズルから気体と共に噴霧する方法は凝集状態にある粉体を分散させやすいため好適である。この場合、ノズルの先端から吹き出す気体の流速が速いほどより分散しやすいため好適である。この流速は特に限定されるものではないが、10メートル/秒から音速までが適当である。
このようにノズルの先端から流速の速い気体を噴霧する方法としては、例えば、エジェクターによる方法、先端の孔径が5mm以下の小さなノズルから噴霧する方法、などが利用できる。
【0013】
なお、この粉体の気体中への分散は、粉体を構成する成分及び/又は粒子径分布の点で一種類の粉体を分散させても良いし、二種類以上の粉体を分散させても良い。二種類以上の粉体を分散させる場合、混合して同時に分散させても良いし、個々の粉体毎に分散させても良い。特に、粒子径が徐々に大きくなるように、又は徐々に小さくなるように分散させると、粉体の付着方向(セパレータ基材の厚さ方向)において、孔径や空隙に分布のあるセパレータを製造できるので、粒子径の小さい粉体の固定層によりデンドライドを防止し、粒子径の大きい粉体の固定層により保液性を高くすることができる、という効果を奏する。
【0014】
続く(2)分散させた粉体を繊維シートを含むセパレータ基材に付着させる工程としては、例えば、分散させた粉体を自然落下させてセパレータ基材に付着させたり、ノズルから粉体を噴霧した場合においては、噴霧した気体と共にセパレータ基材に衝突させる方法などを利用できる。これらの中でも、分散させた粉体を自然落下させると、粉体の分散度が高く、均一かつ低密度に付着させることができるため好適である。
【0015】
続く(3)付着させた粉体をセパレータ基材に固定する方法としては、粉体の種類によって異なるが、例えば、粉体を粉体の融点近傍まで加熱して焼結させる方法が利用できる。この粉体の焼結は、例えば、加熱炉により、或いは赤外線により実施することができる。
なお、粉体の融点をはるかに上回る温度や、長い時間の加熱による焼結は、粉体を過剰に溶かしたり焼結しすぎることになり、焼結後の粉体層を緻密にしすぎることになるので、粉体の特性に応じて適宜調整するのが好ましい。
なお、このセパレータ基材に付着させた粉体を固定する場合、セパレータ基材の振動や揺れにより付着して集積された粉体層が飛散しないように、セパレータ基材を何らかの支持体により支持するのが好ましい。この支持体としては、例えば、平板、エンドレスベルト、回転ドラムなどを用いることができる。
【0016】
本発明において用いることのできる粉体としては、電池の電解液に対して耐性の高いものであれば任意のものが利用できる。
なお、焼結により粉体をセパレータ基材に固定する場合には、セパレータ基材の溶融を防止するため、セパレータ基材を構成する樹脂の融点未満の温度で焼結可能な粉体を少なくとも1種類含んでいなければならない。
本発明における「融点」は、示差熱量計を用い、昇温速度10℃/分で室温から昇温して得られる融解吸熱曲線の極大値を与える温度をいう。
【0017】
より具体的には、粉体の種類として、例えば、熱可塑性樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステルなど)、ガラス、セラミックスなどが利用できる。なお、粉体としてガラスを用いた場合、軟化点の低いガラス(例えば、軟化点が500℃以下のガラス)は焼結しやすいので有利である。
【0018】
これらの粉体は単一成分から構成されていても良いし、二種類以上の成分から構成されていても良い。例えば、粉体表面の一部又は全部が粉体の内部を構成する成分よりも融点の低い成分により構成されていると、焼結時に粉体表面のみを融解して接着できるので、セパレータ基材に堆積した粉体層の構造を緻密にしすぎることなく、電解液の保液性を高められるので有益である。
【0019】
また、粉体を構成する成分及び/又は粒子径分布の点で1種類の粉体を使用しても良いし、2種類以上を混合して使用しても良い。例えば、或る粉体と、この粉体の融点よりも融点または軟化点の低い粉体(接着性粉体)を混合して用いることもできるし、或る粉体と、この粉体の軟化点よりも融点または軟化点の低い粉体(接着性粉体)を混合して用いることもできる。この場合、接着性粉体のみを溶融あるいは軟化させ、粉体層を焼結させることによって、焼結後における粉体層の空隙を高く保てるので好ましい。特に、ガラスやセラミックスなどのように焼結温度の高い粉体を用いる場合には、接着性粉体を混合するのが好ましい。
この接着性粉体としては、例えば、有機高分子(例えば、ポリアミド樹脂粉体、ポリエステル樹脂粉体、ポリエチレン樹脂粉体、ポリプロピレン樹脂粉体、ポリスチレン樹脂粉体など)、有機固体(例えば、パラフィンなど)などを使用することができる。
なお、接着性粉体が2種類以上の成分からなり、接着作用を奏する成分が接着性粉体表面の一部又は全部を構成し、この接着作用を奏する成分が接着する時に接着作用を発揮しない成分が接着性粉体の内部を構成していてもよい。
【0020】
このような粉体の形状は球形、棒状等任意のものが使用でき、その平均粒径も任意であるが、本発明の目的からして、セパレータ基材の平均孔径よりも小さいのが好ましい。具体的には0.01〜100μm程度であるのが好ましい。なお、粉体の形状が非球形である場合は、粉体の最も長く採ることのできる長さを粒径とする。また、粉体の「平均粒径」はレーザー回折・散乱法などにより測定することができる。
【0021】
本発明のセパレータ基材を構成する繊維シートとしては、例えば、不織布、織物、不織布と織物との複合品を挙げることができ、セパレータ基材としては、例えば、前記のような繊維シート単独、或いは前記のような繊維シートと任意の貫通孔を有するシートとを複合したものを挙げることができる。
【0022】
この繊維シートを形成する素材としては各種樹脂繊維、ガラス繊維など耐電解液性のものであれば任意のものが利用できるが、特に、ポリエチレン繊維やポリプロピレン繊維などのポリオレフィン系繊維からなる繊維シートを好適に利用できる。
【0023】
このセパレータ基材の繊維シートを構成する繊維として、繊維径が0.1〜1,000μm程度の繊維を使用できるが、粉体の平均粒径の1倍以上であるのが好ましく、2倍以上であるのがより好ましい。また、セパレータ基材の平均孔径は1〜100μmであるのが好ましい。
なお、「繊維径」は繊維の断面形状が円形である場合にはその直径をいい、繊維の断面形状が非円形である場合には、繊維の断面積と同じ面積を有する円の直径を繊維径とみなす。また、セパレータ基材の孔径は孔径分布測定機(例えば、コールター社製、コールターポロメーター)により測定することができる。
【0024】
本発明における第2の製造方法(以下、「製造方法2」と称することがある)は、(1)粉体を気体中に分散させる工程、(2)気体中に分散させた粉体を、セパレータ基材を基準として、その粉体の分散側の反対側から吸引してセパレータ基材に付着させる工程、(3)前記付着させた粉体をセパレータ基材に固定する工程、とを含んでいる。
(1)粉体を気体中に分散させる工程、及び(3)付着させた粉体をセパレータ基材に固定する工程は、先に記載の製造方法1において説明した方法をそのまま利用できるので、ここでは、(2)気体中に分散させた粉体を、セパレータ基材を基準として、その粉体の分散側の反対側から吸引してセパレータ基材に付着させる工程についてのみ説明する。
【0025】
粉体をセパレータ基材に付着させる工程において、気体中に分散させた粉体を、セパレータ基材を基準として、その粉体の分散側の反対側から吸引すると、気体中に分散された粉体は気流の作用によりセパレータ基材の表面に効果的に堆積するため、粉体の堆積速度を速くすることができ、工業生産上、有利である。
このように気体を吸引することによって粉体を堆積させるには、セパレータ基材を支持体で支持し、粉体の分散側の反対側からブロワーや吸引ポンプ等の吸引手段を用い、セパレータ基材を気体が通過するように吸引して実施することができる。
このセパレータ基材の支持体による支持方法としては、例えば、セパレータ基材を金属あるいは非金属などの搾孔シート(例えば、メッシュシート、織布、不織布、穴あきの金属プレートなど)に載せる方法などを利用できる。なお、この搾孔シートがエンドレスベルト状あるいは回転ドラム状であれば、連続的にセパレータ基材を支持することができる。
また、気体の吸引強さはセパレータ基材、粉体の粒径、或いはセパレータ基材の緻密さなどによって変化するため特に限定するものではないが、0.05〜10m/s程度が好適である。
【0026】
本発明の第3の製造方法(以下、「製造方法3」と称することがある)は、前述のような製造方法1又は製造方法2において、セパレータ基材に粉体を付着させる前に、粉体を単極性に帯電させる方法である。(1)気体中に粉体を分散させる工程、(2)粉体をセパレータ基材に付着させる工程、及び(3)粉体をセパレータ基材に固定する工程の各工程は、製造方法1あるいは製造方法2と全く同様であるため、粉体を単極性に帯電させる方法についてのみ説明する。
【0027】
粉体を単極性に帯電させると、セパレータ基材に供給された粉体はその単極性電荷により互いに反発作用を生じ、粉体同士がより疎な状態で堆積する。そのため、粉体として粒径の小さなものを用いて電池用セパレータを製造しても、空隙が小さくなりすぎず、電解液の保液性が高く、電解液の電気抵抗を低く保つことができるため電池容量の高い電池とすることができる。
【0028】
このセパレータ基材に粉体を付着させる前に、粉体を単極性に帯電させるとは、気体中に分散した状態の粉体を単極性に帯電させたり、粉体を気体中に分散させる前に粉体を単極性に帯電させることをいう。
前者の気体中に分散した状態の粉体を単極性に帯電させる手段としては、例えば、直流コロナ放電による方法、交流コロナ放電などにより発生させた電荷を直流電界によりイオンを引き抜いて作用させる方法、X線等の電離放射線により電離させたイオンに電界を作用させて帯電する方法、等が利用できる。
後者の粉体を気体中に分散させる前に粉体を単極性に帯電させる手段としては、例えば、静電粉体塗装機のように、粉体を噴霧するノズル自体を高電圧状態に保ち、ノズルから粉体を噴霧する過程において帯電する方法や、ノズル部分での摩擦帯電などを利用できる。
【0029】
なお、極性は特に限定されるものではなく、正極性に帯電させても、負極性に帯電させても良い。また、正極性と負極性とを交互に帯電させても良い。正極性と負極性とに交互に帯電させると、セパレータ基材上に付着した粉体同士の静電気的な反発力が過剰に大きくならず、粉体付着量および/または付着速度を高めることができる場合がある。
【0030】
なお、セパレータ基材へ粉体を付着させる際に、帯電した粉体に対して、更に電界を作用させることにより、静電気力により効果的にセパレータ基材へ粉体を付着させることができる。このように、単極性に帯電させた粉体に対して更に電界を作用させると、粉体のセパレータ基材への付着速度及び付着量を向上させることができる。
この電界は、セパレータ基材の粉体付着面側上方に位置する電極(セパレータ基材とは離間)と、セパレータ基材の粉体付着面とは反対側下方に位置する電極(セパレータ基材と離間していることもできるし、接触していることもできる)との間に、電圧を印加することにより実施できる。この際の印加電圧は、帯電した粉体の極性に応じて、帯電した粉体が泳動できるような電界をかけるようにする。
なお、この帯電した粉体に作用させる電界強度は、セパレータ基材の種類、粉体の堆積度合いなどによって変化するため限定することはできないが、100〜5,000V/cm程度であるのが好ましい。
【0031】
本発明の電池用セパレータの製造方法に使用することのできる製造装置の模式的断面図を図3に示す。この図3の製造装置は製造方法3を実施することができる。
図3においては、気流発生装置5により発生させた気流と共に、粉体供給装置6を用いて粉体を予備分散機7へ供給し、予備分散機7を通してオリフィスノズル8より、適当な容積を持つ容器10の気体中に供給して粉体を分散させる。この製造装置においては、オリフィスノズル8を用いることで粉体の分散性を更に上げられるようになっている。
なお、図3においては、粉体の供給は1個所のみからであるが、2個所以上から供給してもよい。
また、容器10は密閉された容器であっても開放された容器であっても良いが、後述の吸引装置14により気体を吸引する場合には、開放された容器であるのが好ましい。この開放された容器である場合、開放された部分9は容器のどの部分にあっても良いが、ノズルの貫通部周辺など、粉体がセパレータ基材に向かって滑らかに流れるようになる位置に配置するのが好ましい。
【0032】
図3においては、気体中に分散された粉体は、セパレータ基材16を基準として、粉体の分散側とは反対側に設置された吸引装置14により吸引される。なお、セパレータ基材16はエンドレスベルト13によって連続的に供給されているため、粉体を含む気体が吸引装置14によって吸引される際に、セパレータ基材上に粉体が連続的に付着する。
【0033】
このセパレータ基材16に粉体を付着させる方法としては、上記のような吸引する方法の他に、自然落下による方法、自然落下に静電気力を更に作用させる方法、上記吸引方法に静電気力を更に作用させる方法、などが利用できる。
【0034】
粉体のセパレータ基材への付着量は、堆積時間、粉体供給量、或いは静電気の作用のさせ方等で自由に制御することができる。
静電気の作用のさせ方としては、例えば、(1)図3に示したように、コロナ放電装置11と、セパレータ基材16における粉体付着面側とは反対側に設置した対極(図3の場合、設地17したエンドレスベルト13、なお、セパレータ基材16と離間して設置することもできる)との間に直流電界等を作用させ、イオンを流して帯電させたり、(2)粉体がオリフィスノズル8から噴霧された位置でコロナ荷電したり、(3)オリフィスノズル8との摩擦で粉体を荷電させても良く、任意である。これらの中でも、(1)コロナ放電装置11と、セパレータ基材16における粉体付着面側とは反対側に設置した対極との間に直流電界等を作用させると、粉体の帯電と、帯電させた粉体のセパレータ基材への静電泳動の作用の2つの操作を同時に行うことができるため非常に効果的である。
【0035】
粉体を付着させたセパレータ基材は、例えば、焼成機15へ送られ、ここで粉体が加熱焼結、あるいは融着せしめられる。
なお、図3の装置はセパレータ基材の片面のみに粉体を付着させ、固定するものであるが、セパレータ基材の粉体を固定した側とは反対側に、同じ方法により又は異なる方法により、粉体を付着させ、固定することができる。
また、セパレータ基材の片面に粉体を固定した後に、粉体を固定した側に、同じ又は異なる方法により再度粉体を付着させ、固定することもできる。
【0036】
図3は本発明の製造方法に用いることのできる装置の一例を示したものであり、製造方法1、2或いは3において説明した製造方法を実施できるのであれば、いかなる配置あるいは組み合わせの装置も利用可能である。
【0037】
本発明の製造方法によれば、粉体をセパレータ基材上に任意の厚さで付着させ、固定させることができる。このようにして製造した粉体層を有するセパレータは、図2に模式的断面図を示すように、粉体を含むスラリーからセパレータ基材に塗布して製造したセパレータとは異なり、固定された粉体が緻密化しすぎることがなく、電解液の保持性に優れ、電解液の電気抵抗の増加を防止できるため、電池容量を向上させることができ、しかも電池寿命の向上など電池性能の向上をもたらすものである。また、デンドライドによる電池内部ショートの発生の防止などの点において好ましい特性を発揮するものである。更に、微孔膜を貼り合わせたセパレータと比べて、電極とセパレータとを巻き込んで電極群を形成する際に、剥離等がなく取り扱い性に優れるものである。
【0038】
以下、本発明の実施例を記述するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0039】
【実施例】
(実施例1)
セパレータ基材として、ポリエチレン(鞘成分、融点:約135℃)とポリプロピレン(芯成分)からなる芯鞘型複合繊維(断面形状:円形、繊維径:約13μm)の鞘成分が熱融着した熱融着不織布(面密度:62g/m2、厚さ:0.12mm、平均孔径:約30μm)を用意し、図3に示すように、容器10内のエンドレスベルト上にセパレータ基材を載置した。
【0040】
他方、粉体として、平均粒径3μmで球形状の低密度ポリエチレン粉体(融点:105℃)を用意した。
次いで、図3に示すように、粉体供給装置6(三協パイオテク(株)製、マイクロフィーダーMFHV−IVO)により、コンプレッサーを用いて発生させた圧縮空気と共に、前記粉体を0.5g/minにて予備分散機7(三協パイオテク(株)製、粉体分散機、型式PB−1)に送り、続いて孔径1.5mmのオリフィスノズル8を通して容器(オリフィスノズル8の貫通部周辺に開放された部分を有する)の空気中に、連続的に前記粉体を約45m/秒にて噴霧して、空気中に粉体を分散させた。
【0041】
次いで、空気中に分散させた粉体を、セパレータ基材を基準として、粉体の分散側とは反対側に設置した吸引装置14により空気を吸引して、セパレータ基材上に粉体を30秒間付着させた。なお、空気の吸引速度は粉体をセパレータ基材に付着させる前において測定したところ、0.2m/sであった。
【0042】
次いで、粉体の付着したセパレータ基材を焼成炉により、温度103℃で30分間熱処理を行ない、粉体を焼結して、電池用セパレータを製造した。なお、この電池用セパレータに焼結固定された粉体量は1m2あたり10gで、粉体層の厚さは電子顕微鏡観察の結果、約20〜25μmであった。また、粉体層における孔径はセパレータ基材と比較して均一かつ小さいため、デンドライドの発生によるショートを十分抑制可能なものであった。更に、この電池用セパレータは粉体の剥がれや脱落がなく、取り扱いやすいものであった。
【0043】
(実施例2)
粉体を付着させる前に粉体を帯電させたこと、及び粉体の予備分散機7への供給量を0.4g/秒としたこと以外は、実施例1と全く同様にして電池用セパレータを製造した。
この電池用セパレータに焼結固定された粉体量は1m2あたり8gで、粉体層の厚さは電子顕微鏡観察の結果、20〜25μmであった。また、粉体層における孔径はセパレータ基材と比較して均一かつ小さいため、デンドライドの発生によるショートを十分抑制可能なものであった。更に、この電池用セパレータは粉体の剥がれや脱落がなく、取り扱いやすいものであった。
【0044】
なお、粉体の帯電は次のように実施した。つまり、コロナ放電装置11としては、コロナ放電電極として、厚さ1mmのアルミナ板の一方の表面に太さ50μmのワイヤーを備えており、他方の表面に金属平板を備えたものを用いた。そして、これら両電極間に約30KHzの交流高電圧を印加して、前記ワイヤー周辺に沿面コロナ放電を発生させた。なお、コロナ放電装置11は図3に示すように、セパレータ基材の上方に配置した。
また、エンドレスベルト13(接地17されている)を対極として利用し、前記コロナ放電装置側が正極となるように、これら電極間に電界強度が450V/cmの直流高電圧を印加して、コロナ放電電極から正イオンを引き出し、空気中に分散させた粉体を帯電させると同時に、この直流高電圧による電界により、帯電させた粉体をセパレータ基材上に静電気力により泳動させた。
【0045】
(比較例1)
実施例1で用いたセパレータ基材に、ポリプロピレン製微孔膜(平均孔径:約0.2μm、厚さ:30μm、空隙率:約40%)を積層した後、温度150℃、圧力196kPaで15秒間加熱プレスして貼り合わせ、電池用セパレータを製造した。
【0046】
(比較例2)
実施例1と同じセパレータ基材及び粉体を用意した。
次いで、低密度ポリエチレン粉体をエタノールと混合してペーストを調整し、このペーストをナイフコーターにより前記セパレータ基材にコーティングした。室温にて乾燥した後、温度103℃で30分間焼結固定して、電池用セパレータを製造した。この電池用セパレータに焼結固定された粉体量は1m2あたり15gで、粉体層の厚さは電子顕微鏡観察の結果、20〜25μmであった。
【0047】
(電池性能試験)
まず、(1)電極の集電体として、発泡ニッケル基材を用いたペースト式ニッケル正極(幅30mm、長さ190mm)と、発泡ニッケル基材を用いたペースト式水素吸蔵合金負極(メッシュメタル系合金、30mm幅、210mm長)とを作成した。
次いで、(2)幅35mm、長さ450mmに裁断した実施例1〜2及び比較例1〜2のセパレータを、上記(1)の正極と負極との間にそれぞれ挟み込み、渦巻き状に巻回して、SC型対応の電極群を作成した。
次いで、(3)このSC型対応の電極群を外装缶に収納し、電解液として7.2N−水酸化カリウムおよび1.0N−水酸化リチウムを外装缶に注入した後、封緘して円筒型ニッケル−水素電池を作成した。
次いで、1Cにて1.5時間充電後、1Cで放電して0.8Vにて終止することを繰り返し、1サイクル後、200サイクル後、400サイクル後、600サイクル後、及び800サイクル後における電池容量を測定した。この結果は表1に示す通りであった。また、1サイクル後の容量に対して容量が70%以下になった時のサイクル数も表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
この表1から明らかなように、本発明の方法により製造したセパレータは、空隙が小さいにもかかわらず電解液の電気抵抗が小さいため電池容量が大きく、しかもデンドライドも発生しにくいため電池容量が低下しにくく、電池寿命が長く電池性能の優れる電池を製造できるものであることがわかった。
【0050】
【発明の効果】
本発明の電池用セパレータの製造方法は、耐ショート性に優れた均質かつ小さな孔径であるにもかかわらず、電解液の保液性が高く、電解液の電気抵抗が低いため電池容量の優れるセパレータを製造できる方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の製造方法により得られる電池用セパレータの模式的断面図
【図2】 本発明の製造方法により得られる電池用セパレータの模式的断面図
【図3】 本発明の製造方法に用いることのできる製造装置の模式的断面図
【符号の説明】
1 固定された粉体層
2 固定された粉体
3 繊維シートを含むセパレータ基材
4 繊維シートを構成する繊維
5 気流発生装置
6 粉体供給装置
7 予備分散機
8 オリフィスノズル
9 開放された部分
10 容器
11 コロナ放電装置
12 粉体
13 エンドレスベルト
14 吸引装置
15 焼成機
16 セパレータ基材
17 接地
Claims (3)
- (1)粉体を気体中に分散させる工程、(2)分散させた粉体を繊維シートを含むセパレータ基材に付着させ、セパレータ基材上に粉体層を形成する工程、(3)前記付着させ、形成した粉体層の粉体をセパレータ基材に固定する工程、とを含む、電池用セパレータの製造方法。
- 前記(2)の付着工程において、気体中に分散させた粉体を、セパレータ基材を基準として、その粉体の分散側の反対側から吸引してセパレータ基材に付着させ、セパレータ基材上に粉体層を形成することを特徴とする、請求項1記載の電池用セパレータの製造方法。
- セパレータ基材に粉体を付着させ、セパレータ基材上に粉体層を形成する前に、粉体を単極性に帯電させることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の電池用セパレータの製造方法。
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