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JP4456413B2 - 缶蓋用アルミニウム合金塗装板及び缶蓋用塗料 - Google Patents
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Description

本発明は、飲料缶などの缶蓋に使用される缶蓋用アルミニウム合金塗装板およびその缶蓋用塗料に関する。
従来、各種飲料缶用缶蓋は、アルミニウム合金板に塗料を塗装焼付処理して塗膜とし、その後曲げおよび絞り等の成形加工を施すことにより製造されている。
成形性を向上させるために、一般に成形加工前にワックスを予め塗膜表面に付着させるが、その付着させる方法からインナーワックスとアウターワックスとに大別される。
インナーワックスは、塗料中にワックスを含有させておき、塗装焼付け時に塗料表面に滲み出させることにより付着させるタイプのものである。アウターワックスは、塗装焼付後に塗膜表面にあらためて塗布するタイプのものである。そして、インナーワックスのみを用いる場合、およびアウターワックスのみを用いる場合だけでなく、両者を併用する場合もある。
インナーワックスとしては、植物系のカルナウバと動物系のラノリンを必須とし、それ以外に、様々の種類のワックスを含有させる場合がある。成形性や耐疵付き性など複数の要求性能を満足させるためには、それぞれ単独より複数のワックスを塗料に含有させる必要がある。
インナーワックスに関する従来技術としては、特許文献1〜4に記載された技術が挙げられる。
ところで、インナーワックスであるかアウターワックスであるかを問わず、缶蓋成形時の不具合として、成形用の金型へのワックスの堆積による材料の型離れ不良や成形した蓋のへこみ等が生じて問題となっている。そして、アルミニウム合金塗装板へのワックス付着量の過多が敬遠されてきている。
このような不具合を解決するために、特許文献5にあるように、アウターワックスとして使用するパラフィンワックスの工夫がなされてきた。
しかしながら、アウターワックスを塗布することなく、インナーワックスだけを用いる場合における上記問題の解決方法は未だ提案されていない。
特開平11−244778号公報 特開平11−319705号公報 特開平11−343455号公報 特開2000−176372号公報 特開平6−254491号公報
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、アウターワックスを塗布することなくインナーワックスだけを用いて作製する缶蓋用アルミニウム合金塗装板において、その成形加工時の金型へのワックス堆積による不具合を解消することができる缶蓋用アルミニウム合金塗装板、及びこれに用いる缶蓋用塗料を提供しようとするものである。
第1の発明は、カルナウバ及びラノリンを含むインナーワックスを含有した塗料を片面あるいは両面に塗装焼付けして塗膜を設けてなる缶蓋用アルミニウム合金塗装板であって、
上記塗料は、カルナウバ及びラノリンの添加量が、各々0.1〜2.0PHR(PER HUNDRED REGIN)の範囲内にあり、かつ、カルナウバとラノリンの合計重量に対するカルナウバの重量の割合が70%〜90%であり、
上記塗膜の重量が30〜150mg/dm2であり、かつ、上記塗膜の表面に付着しているカルナウバとラノリンの合計重量に対するカルナウバの重量の割合が40%〜60%であることを特徴とする缶蓋用アルミニウム合金塗装板にある(請求項1)。
本発明の缶蓋用アルミニウム合金塗装板は、上記のごとく、塗膜重量を上記特定の範囲に限定した上で、塗膜表面に付着しているカルナウバとラノリンの重量の割合を上記特定の範囲内に限定してある。これにより、上記缶蓋用アルミニウム合金塗装板を缶蓋に成形加工する際に、金型へのワックスの堆積による不具合が発生することを防止することができるのである。
第2の発明は、缶蓋用アルミニウム合金塗装板の塗膜を形成するための缶蓋用塗料であって、
該缶蓋用塗料には、カルナウバとラノリンを含むインナーワックスが添加されており、
カルナウバ及びラノリンの添加量は、各々0.1〜2.0PHR(PER HUNDRED REGIN)の範囲内にあり、
かつ、カルナウバとラノリンの合計重量に対するカルナウバの重量の割合が70%〜90%であることを特徴とする缶蓋用塗料にある(請求項2)。
本発明の缶蓋用塗料は、上記のごとく、少なくともカルナウバとラノリンを含むインナーワックスが添加されており、カルナウバとラノリンの添加量の範囲及び割合を上記特定の範囲に限定してある。これにより、この缶蓋用塗料を塗装焼き付けして得られた缶蓋用アルミニウム合金塗装板には、適度な割合のカルナウバとラノリンが付着した状態となる。そのため、この缶蓋用塗料を用いて作製した缶蓋用アルミニウム合金塗装板を缶蓋に成形加工する際に、金型へのワックス堆積による不具合が発生することを防止することができる。
本発明に適用可能な上記インナーワックスとしては、必須である植物系のカルナウバ、動物系のラノリン以外に、植物系の木蝋、ライスワックス、キャンデリラワックス、動物系の密蝋、鯨蝋、セラミック蝋、石油系のパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、鉱物系のモンタンワックス、オゾケライト、合成ワックスのフィッシャートロプシュワックス、ポリエチレンワックス、油脂系合成ワックス、水素化ワックス、加工・変性ワックス、配合ワックス、変性モンタンワックス等が含まれてもよい。
また、ベースとなる塗料は、環境問題から、溶剤系塗料から水性塗料に移行しつつあるが、本発明は両方の塗料に適用できる。
溶剤系塗料としては、例えばエポキシフェノール系樹脂、塩ビオルガノゾル系樹脂、エポキシユリア系樹脂、熱硬化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂がある。
水性塗料としては、エポキシアクリル系樹脂がある。
また、上記缶蓋用アルミニウム合金塗装板における塗膜重量は、30〜150mg/dm2とする。塗膜重量が30mg/dm2未満の場合には、量産において、例えば幅1500mmで長さ10000mのアルミニウム合金板に塗装する場合、アルミニウム合金板全面が均一な塗膜重量になるように塗装するのは難しく、内容物に対するアルミニウム合金の耐食性を十分に得られない箇所が発生するという問題がある。一方、150mg/dm2を超える場合には、塗装焼付時間を長くする必要があり、生産性を阻害するだけでなく、アルミニウム合金板に対する塗膜の密着性が劣るという問題がある。
また、上記塗膜の表面に付着しているカルナウバとラノリンの合計重量に対するカルナウバの重量の割合はが40%〜60%とする。この割合が40%未満の場合及び60%を超える場合には、いずれもワックスは金型に堆積しやすくなる。なお、塗膜表面に付着しているワックス量の測定は、片方の塗膜表面を四塩化炭素で洗い流し、それを回収して80℃に加熱して濃縮した後、ガスクロマトグラムにて分析することにより測定することができる。
また、上記塗膜を形成する場合の塗装焼付け条件は、例えば次のような条件をとることができる。
材料温度は、200〜300℃。
焼付時間は、10〜60秒。
また、上記缶蓋用塗料においては、上記カルナウバ及びラノリンの塗料への添加量は、各々0.1〜2.0PHRの範囲内とする。これらの各々の添加量が0.1PHR未満の場合には、製蓋時に潤滑不足となり、材料に亀裂あるいは割れが発生するおそれがある。各々2.0PHRを超える場合には、塗装表面に付着しているワックス量が多くなりすぎて、どのように配合してもワックスが金型に堆積するという問題がある。
また、塗料中に含有されるカルナウバとラノリンの合計重量に対するカルナウバの重量の割合は70%〜90%とする。この割合が70%未満の場合には、塗装焼付後、塗装板表面に付着しているカルナウバとラノリンの合計量に対するカルナウバの割合が40%未満になり、ワックスが金型に堆積する。一方、上記割合が90%を超える場合には、塗装焼付後、塗装板表面に付着しているカルナウバとラノリンの合計重量に対するカルナウバの重量の割合が60%を超えてしまい、製蓋時にワックスが金型に堆積する。
(実施例1)
本発明の実施例に係る缶蓋用アルミニウム合金塗装板につき説明する。
本例では、カルナウバ及びラノリンを含むインナーワックスを含有した塗料を片面あるいは両面に塗装焼付けして塗膜を設けてなる缶蓋用アルミニウム合金塗装板を想定して、その塗膜表面に付着させるカルナウバとラノリンの付着量の範囲及び割合と、金型へのワックスの付着しやすさとの相関関係を調査する試験を行った。
具体的には、インナーワックスを全く含有していない塗装板を作製し、その塗膜表面に種々の構成のワックスを配置し、プレス試験をして金型に付着するワックスの付着量を測定した。
<塗装板の作製>
まず、板厚0.25mmのA5182合金に、インナーワックスを含んでいないエポキシアクリル系水性塗料を45mg/dm2塗装して、260℃で20秒焼き付けして、幅100mm×長さ100mmのワックスの付着していないアルミニウム合金塗装板(以下、塗装板という)を作製した。
<試験用ワックスの作製>
カルナウバとラノリンを含有するインナーワックスを上記塗料に添加している場合を想定し、上記塗装板に付着させるワックスを準備した。準備したワックスは、カルナウバとラノリンの合計重量に対するカルナウバの重量の割合が0%、25%、50%、75%、100%となるように、予めカルナウバとラノリンを混合した5種類の混合ワックスである。ワックスを混合するときの温度はカルナウバとラノリンの融点を超える90℃とした。
<試験条件>
図1に示すように、ヒーター2を巻いた金型(上金型11及び下金型12)を準備した。金型は、SKD11を焼入れした材質を用いて、プレス面が平坦な円柱型に作製したものである。プレスする面は鏡面に研磨した。そして、金型温度を任意に設定するため、ヒーター2を金型に巻き付け、所定の温度に調整した。
このような金型をダイセットに取り付け、プレスにセットした(図示略)。プレスは、「日本オートマチックマシン(株)BPN505L−38−2(1983年製)能力5トン」である。
そして、図1に示すごとく、上記の試験用ワックス5を1mg塗装板8の中央に置いて、同じ位置を1000回プレスした。
金型(上金型11)へのワックス付着量は、予め重量を測定しておいた塗装板8とそれに残ったワックスの総重量を測定して算出した。なお、上金型11の温度は、量産時の金型温度に近い70℃、下金型12の温度は、塗装板8の温度を想定して30℃とした。
試験結果を図2に示す。同図は、横軸に塗膜表面に配置した混合ワックスにおけるカルナウバとラノリンの合計重量に対するカルナウバの重量の割合(%)をとったものであり、縦軸は金型へのワックス付着量(mg)をとったものである。
同図から知られるごとく、金型に付着したワックス量は、カルナウバとラノリンの合計重量に対するカルナウバの重量割合が50%のときに最小となった。
金型へのワックス付着量が0.35mgを超えると、量産時に問題が発生しやすいため、それ以下にする必要がある。この点から見れば、カルナウバとラノリンの合計重量に対するカルナウバの重量割合が40%〜60%の場合には、金型へのワックス付着量が0.35mg以下となることがわかる。
(実施例2)
塗料に含まれるインナーワックスにおけるカルナウバ量とラノリン量と、塗装焼付時に塗膜表面に析出するカルナウバ量とラノリン量は大きく異なる。そこで、本例では、インナーワックス添加量を種々変更して複数のアルミニウム合金塗装板を作製し、塗料に含有させるカルナウバ及びラノリンの量と、塗装焼き付け後に塗膜表面に付着しているカルナウバ及びラノリンの量との相関関係を調べると共に、実際に缶蓋を成形して成形性を評価した。
アルミニウム合金塗装板としては、表1に示すごとく、溶剤系エポキシフェノール塗料を用いたものとして、本発明の実施例である3種類(試料E1〜E3)、比較例である4種類(試料C1〜C4)を作製し、さらに、水性エポキシアクリル塗料を用いたものとして、本発明の実施例である3種類(試料E4〜E6)、比較例である4種類(試料C5〜C8)を作製した。いずれも、基板となるアルミニウム合金板としては、板厚0.25mmのA5182合金を用い、塗膜重量が45mg/dm2になるよう塗装して、最高到達板温度260℃で焼き付けた。
得られた試料に対し、それぞれワックス量の測定と、成形試験とを施した。
ワックス量の測定方法は、前述した分析方法と同様に、片方の塗膜表面を四塩化炭素で洗い流し、それを回収して80℃に加熱して濃縮した後、ガスクロマトグラムにて分析する方法を用いた。なお、カルナウバ混合比率=(カルナウバ)/(カルナウバ+ラノリン)×100(%)として算出し、表1に示した。
成形試験は、缶蓋100枚を成形して、割れ及び金型へのワックスの堆積の有無により評価した。
評価基準は、割れと堆積の両方が○(合格)の場合を合格とする。
割れの評価は、蓋を100枚成形して、1枚も割れなかった場合を○(合格)、1枚でも割れた場合を×(不合格)とした。
堆積の評価は、蓋を100枚成形して、金型から拭き取ったワックスの量が検出限界未満の場合を○(合格)、ワックスを検出できて、蓋の型離れに問題がなかった場合を△(やや不良)、ワックスを検出できて、蓋の型離れに問題があった場合を×(不合格)とした。
上記の結果を表1に示す。
Figure 0004456413
表1より知られるごとく、インナーワックスとして塗料に添加されているカルナウバとラノリンの量が各々0.1〜2.0PHRの範囲内にあり、かつカルナウバとラノリンの合計重量に対するカルナウバの重量の割合が70%〜90%で混合されている場合には、塗装焼付後の塗膜表面に付着しているインナーワックスのカルナウバとラノリンの合計重量に対するカルナウバの重量の割合が40%〜60%の範囲となることが分かる。そして、この場合に、缶蓋成形時における、成形品の割れ発生を防止でき、金型へのワックス堆積も防止できることが分かった。
実施例1における、試験用の金型の構成を示す説明図。 実施例1における、カルナウバとラノリンの合計重量に対するカルナウバの重量の割合と、金型へのワックス付着量との関係を示す説明図。
符号の説明
11 上金型
12 下金型
2 ヒータ
5 試験用ワックス
8 塗装板

Claims (2)

  1. カルナウバ及びラノリンを含むインナーワックスを含有した塗料を片面あるいは両面に塗装焼付けして塗膜を設けてなる缶蓋用アルミニウム合金塗装板であって、
    上記塗料は、カルナウバ及びラノリンの添加量が、各々0.1〜2.0PHR(PER HUNDRED REGIN)の範囲内にあり、かつ、カルナウバとラノリンの合計重量に対するカルナウバの重量の割合が70%〜90%であり、
    上記塗膜の重量が30〜150mg/dm2であり、かつ、上記塗膜の表面に付着しているカルナウバとラノリンの合計重量に対するカルナウバの重量の割合が40%〜60%であることを特徴とする缶蓋用アルミニウム合金塗装板。
  2. 缶蓋用アルミニウム合金塗装板の塗膜を形成するための缶蓋用塗料であって、
    該缶蓋用塗料には、カルナウバとラノリンを含むインナーワックスが添加されており、
    カルナウバ及びラノリンの添加量は、各々0.1〜2.0PHR(PER HUNDRED REGIN)の範囲内にあり、
    かつ、カルナウバとラノリンの合計重量に対するカルナウバの重量の割合が70%〜90%であることを特徴とする缶蓋用塗料。
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