以下、本発明の実施形態に係るマイクロミキサー及び、本発明には含まれない参考例に係るマイクロミキサーについてそれぞれ図面を参照して説明する。
(第1の参考例)
図1には第1の参考例に係るマイクロミキサーの一例が示されている。このマイクロミキサー10は、2種類の溶液L1、L2を混合し、これらの溶液L1、L2が均一に混合された溶液LMを外部へ供給するためのものである。ここで、マイクロミキサー10により溶液L1、L2を混合する際には、溶液L1、L2間に化学反応が生じる場合と生じない場合とが考えられるが、本参考例に係るマイクロミキサーは何れの場合にも用いることができる。
図1に示されるように、マイクロミキサー10は外形形状が全体として略角柱状に形成されており、装置の外殻部を構成する薄肉筒状のミキサー本体12を備えている。ここで、図中における直線Sはミキサー本体12の断面中心を結んだ軸心を示している。ミキサー本体12は軸直角断面が長方形とされており、このミキサー本体12内には、軸方向に沿った基端側(図1では左側)にミキサー本体12の内部空間を区画した隔壁板14が配置されている。この隔壁板14は、ミキサー本体12内の空間を断面の短手方向において略2等分し、これにより、ミキサー本体12内に軸方向に沿って直線的に延在する第1給液路16及び第2給液路18を形成している。
図1(A)に示されるように、ミキサー本体12の基端部は蓋板20により閉塞されており、この蓋板20には2本の給液配管38,39が接続されている。これらの給液配管38,39を通して、給液路16,18内には、それぞれマイクロミキサー10の上流側に設置された2個の給液源((図示省略)から加圧状態とされた溶液L1及び溶液L2が給送される。これらの給液源は、例えば、溶液L1,L2を生成する他のマイクロミキサーや、溶液L1,L2を貯えた貯留タンク及びポンプ等からなる。
図1(B)に示されるように、ミキサー本体12内の2本の給液路16,18の先端面には、それぞれ略長方形の第1給液口22及び第2給液口24がそれぞれ開口しており、これらの給液口22,24は、溶液L1,L2の拡散方向(矢印D方向)に沿って互いに隣接している。ここで、拡散方向は、給液路16,18内における溶液L1,L2の流通方向(矢印F方向)に直交する方向であり、本参考例ではミキサー本体12の軸直角断面における短手方向と一致している。また給液口22,24は、それぞれ拡散方向に直交する界面方向(矢印B方向)へ細長い長方形とされている。
図1(A)に示されるように、ミキサー本体12内には、流通方向に沿って給液路16,18の下流側に給液路16,18が合流する角柱状の空間が形成され、この空間は給液路16,18からそれぞれ供給された溶液L1,L2の混合又は、混合に伴う化学反応が行われるミキシング流路26とされている。このミキシング流路26は、流通方向に沿った上流側の端部が給液口22,24に接続され、下流側の端部がミキサー本体12の先端面に開口する出液口28へ連通している。またミキサー本体12の先端部には、出液口28の外周側に延出するように環状のフランジ部30が設けられている。
ここで、第1給液口22の拡散方向に沿った開口幅W1は、1μm以上で500μm以下の範囲で、第1給液路16への溶液L1の供給量、種類等に応じて適宜設定される。また第2給液口24の拡散方向に沿った開口幅W2も、1μm以上で500μm以下の範囲で、第2給液路18への溶液L2の供給量、種類等に応じて適宜設定される。また給液口22,24の界面方向に沿った開口幅WBは少なくとも開口幅W1,W2以上の寸法に設定される。これらの開口幅W1,W2,WBはそれぞれ給液口22,24の開口面積を規定し、この給液口22,24の開口面積と溶液L1,L2の供給量に応じて、給液口22,24を通してミキシング流路26内へ導入される溶液L1,L2の初期流速が定まる。これらの開口幅W1,W2,WBのうち開口幅W1,W2については、例えば、給液口22,24を通してミキシング流路26内へ供給される溶液L1,L2の流速が互いに等しくなるように設定される。但し、溶液L1,L2が均一に混合するまでの時間(混合時間)の短縮を考えた場合には、当然、開口幅W1,W2は狭いほど有利となり、また隔壁板14の拡散方向に沿った厚さも可能な限り薄くすることが望まれる。
マイクロミキサー10では、ミキシング流路26内で溶液L1,L2の混合が行われ、又は混合と共に化学反応が行われた溶液LMが出液口28から吐出される。溶液LMが溶液L1,L2の混合のみにより生成される場合には、ミキシング流路26の出口部までに溶液L1,L2が略均一に混合されている必要があり、また溶液LMが溶液L1,L2の混合及び化学反応により生成される場合には、ミキシング流路26の出口部までに溶液L1,L2が略均一に混合され、しかも溶液L1,L2間の化学反応も略完全に完了している必要がある。従って、ミキシング流路26の流通方向に沿った路長PF(図1(A)参照)は、溶液L1,L2の混合が完了し、又は混合及び化学反応が完了するような長さに設定する必要がある。なお、ミキサー本体12内には、常に、溶液L1,L2及びこれらが混合された溶液LMが隙間なく充填され、給液路16,18内から出液口28側へ流通しているものとする。
ここで、ミキサー本体12の先端部には、フランジ部30と対になるフランジ部を有する出液配管(図示省略)が連結され、ミキサー本体12の出液口28から吐出された溶液LMは、出液配管を通して一時貯留用の貯留容器、溶液LMに対して次の処理を行うための他のマイクロミキサー等へ送られる。ここで、ミキサー本体12のフランジ部30と出液配管のフランジ部とは、ボルト及びナットを用いたねじ継手、一対のフランジ部の外周側からリング状の連結部材を嵌挿するフルェール継手等の各種の継手構造により連結することができ、また溶接により連結するようにしても良い。なお、出液配管としては、その下流側の端部に設けられたフランジ部がマイクロミキサー10のフランジ部30の形状と整合しているものならば、一般的な円筒状の金属パイプ等を用いることができる。
ミキサー本体12には、その上面部及び下面部の下流側それぞれ密着するように、肉厚板状の振動発生器32が取り付けられている。これら一対の振動発生器32は、流通方向に沿った長さがミキシング流路26の長さと略等しくされ、界面方向に沿った幅がミキシング流路26の開口幅と略等しくされている。ここで、振動発生器32は、その上流端がミキシング流路26の上流端と一致するように配置されている。これにより、一対の振動発生器32は、ミキシング流路26における上面部の全体及び下面部の全体にそれぞれ正対する。また振動発生器32には、ミキサー本体12との密着面に振動部34が設けられており、この振動部34は、振動発生器32の駆動時に、ミキサー本体12を介して所定周波数の振動をミキシング流路26内の溶液L1,L2及び溶液LMへ伝達する。このとき、振動部34からの振動は、図1の矢印Vに示されるように、拡散方向に沿って溶液L1,L2及び溶液LMに伝達され、この伝達振動により溶液L1,L2,LMの分子運動が拡散方向に沿って増大するので、溶液L1,L2間の混合又は混合に伴う化学反応が促進される。
振動発生器32は、例えば、振動発生源としてピエゾ素子を用いており、このピエゾ素子への交流電流の供給により電流周波数に対応する振動を振動部34から発生させる。このとき、振動部34から発生する振動周波数としては、1KHz〜10MHzの範囲内、すなわち高周波及び超音波の帯域で制御される。具体的には、主として、ミキシング流路26内を流通する溶液L1,L2が混合又は混合と共に化学反応する際に、所望とする溶液L1,L2の混合速度又は化学的な反応速度に応じて振動周波数は適宜設定される。このとき、振動が伝達されるミキサー本体12及び溶液L1,L2,LMにおける共振効果を考慮しなければ、通常、振動周波数が高い程、振動エネルギ(運動エネルギ)が大きくなるので、ミキシング流路26内における溶液L1,L2の混合及び化学反応の進行は促進されることになる。
図1(A)に示されるように、マイクロミキサー10には、一対の振動発生器32の駆動を制御する駆動制御部36が設けられている。この駆動制御部36は、ミキシング流路26内を溶液L1,L2,LMが流通する際に、振動発生器32のオン及びオフ状態、オン時間及びオフ時間の比であるデューティ比、振動周波数を内部メモリ等に予め設定された制御条件に従うように制御する。この制御条件は、基本的には、溶液L1,L2の種類、すなわち溶液L1,L2の化学成分、液温、粘度等や、溶液L1,L2間の混合に化学反応を伴う場合には、反応生成物の性質等に応じて異なるものになり、また溶液L1,L2の供給量の変化、すなわちミキシング流路26内における溶液L1,L2の流速によっても異なるものになる。このような制御条件は、例えば、マイクロミキサー10が配置された製造ラインのオペレータが操作端末等を用いて設定したり、製造ライン全体を制御する上位のプロセスコンピュータが生産予定等に基づいて自動的に設定する。
上記のように構成されたマイクロミキサー10では、給液配管38,39を通して給液路16,18にそれぞれ加圧状態の溶液L1,L2が供給されることにより、これらの溶液L1,L2がそれぞれ給液路16,18内を流通し、給液口22,24を通して所定の流速を有する液流としてミキシング流路26内へ導入される。このとき、給液口22,24の開口幅W1,W2が1μm〜500μmという微小幅とされていることから、給液口22,24を通してミキシング流路26内へ導入される溶液L1,L2は、それぞれ開口幅W1,W2に対応する幅を有する薄片状の成層流となって出液口28側へ向って流れつつ、各成層流の接触界面ではその法線方向に沿って分子拡散が生じて溶液L1,L2の混合が進行する。これと同時に、マイクロミキサー10では、一対の振動発生器32からの振動がミキシング流路26内の溶液L1,L2,LMに拡散方向に沿って伝達されることから、ミキシング流路26内を流れる溶液L1,L2の微小な流体塊の拡散方向の移動及び分子運動を伝達振動により増大できるので、溶液L1,L2,が形成する成層流間の接触界面付近における分子の拡散方向の移動速度を増大させ、ミキシング流路26内における溶液L1,L2間の混合及び混合に伴う化学反応を効率的に促進できる。
従って、本参考例に係るマイクロミキサー10によれば、ミキシング流路26に導入される溶液L1,L2の種類、液温、粘度等に応じ、振動発生器32により溶液L1,L2,LMに伝達される振動の周波数等を適宜制御することで、ミキシング流路26内における溶液L1,L2間の混合及び混合に伴う化学反応の進行を精密に制御できるようになる。この結果、溶液L1,L2間の混合速度及び化学的な反応速度を所望の速度に精密に制御することが可能になり、特に、溶液L1,L2間の混合に化学反応が伴う場合には、混合速度及び反応速度を精密に制御し、又は溶液L1,L2,LM中の反応生成物にも振動を伝達することで、この反応生成物の形状、サイズ等の性状や、反応生成物の合一又は凝集の促進及び抑制等を制御することも可能になる。
またマイクロミキサー10では、ミキシング流路26内における溶液L1,L2間の混合及び化学反応を振動発生器32からの振動により促進できるので、振動発生器32が無い場合と比較し、溶液L1,L2を均一に混合し、又は混合に伴う化学反応を完了させるために必要となるミキシング流路26の路長PFを短縮して装置を小型化できる。
なお、ミキシング流路26への溶液L1,L2の供給時に、振動発生器32を常に駆動する必要はなく、溶液L1,L2間の化学反応を緩慢に行いたい場合等は、振動発生器32を駆動停止させても良い。またミキサー本体12は、化学的な安定性が高く、振動の減衰が少ないステンレスや、銅、チタニウム合金、アルミニウム合金、金、白金等の金属材料を素材として形成されており、また耐腐食性を考慮して溶液L1,L2,LMとの接触部がガラス、セラミックス等の他の物質をコーティング又はメッキするようにしても良い。またミキサー本体12を十分に薄肉化できない場合や、振動の減衰が大きい素材により形成する必要がある場合には、ミキサー本体12にミキシング流路26へ面するように開口部を形成し、この開口部からミキシング流路26内へ振動部34が挿入されるように振動発生器32を配置しても良い。
次に、第1の参考例に係るマイクロミキサーの変形例について説明する。図2には第1の参考例に係るマイクロミキサーの変形例が示されている。構造上、図2に示されるマイクロミキサー40が図1に示されるマイクロミキサー10と異なる点は、流通方向に沿って3個の振動発生器42,44,46がミキサー本体12に取り付けられ、振動発生器の個数が増加している点のみであり、他の点についてはマイクロミキサー10,40の構造は共通化されている。また振動発生器42,44,46の構造自体も振動発生器32と共通化されている。
上述したように、ミキサー本体12には、その上面部及び下面部の下流側にそれぞれ密着するように振動発生器42,44,46が3個ずつ取り付けられている。これら振動発生器42,44,46は流通方向に沿って互いに隣接しており、その流通方向に沿った長さがミキシング流路26の長さの略1/3程度とされ、界面方向に沿った幅がミキシング流路26の開口幅と略等しくされている。ここで、最上流側に配置された振動発生器42の上流端はミキシング流路26の上流端と一致するように配置され、最下流側に配置された振動発生器46の下流端はミキシング流路26の下流端と略一致するように配置されている。これにより、上下3個ずつの振動発生器42,44,46は、ミキシング流路26における上面部の全体及び下面部の全体にそれぞれ正対する。
図2(A)に示されるように、マイクロミキサー40には、振動発生器42,44,46の駆動を制御する駆動制御部48が設けられている。この駆動制御部48は、ミキシング流路26内を溶液L1,L2,LMが流通する際に、振動発生器42,44,46のオン及びオフ状態、オン時間及びオフ時間の比であるデューティ比、振動周波数を内部メモリ等に予め設定された制御条件に従うように制御する。このとき、駆動制御部48は、流通方向に沿って異なる位置にある振動発生器42,44,46をそれぞれ異なる制御条件に従って制御できる。
駆動制御部36に設定される制御条件は、基本的には図1に示されるマイクロミキサー10と同様に、溶液L1,L2の種類、すなわち溶液L1,L2の化学成分、液温、粘度等や、溶液L1,L2間の混合に化学反応を伴う場合には、反応生物の性質等に応じて異なるものになり、また溶液L1,L2の供給量の変化、すなわちミキシング流路26内における溶液L1,L2の流速によっても異なるものになる。このような制御条件は、例えば、マイクロミキサー10が配置された製造ラインのオペレータが操作端末等を用いて設定したり、製造ライン全体を制御する上位のプロセスコンピュータが生産予定等に基づいて自動的に設定する。
上記のように構成されたマイクロミキサー40では、給液配管38,39を通して給液路16,18にそれぞれ加圧状態の溶液L1,L2が供給されることにより、図1に示されるマイクロミキサー10と同様に、給液口22,24を通してミキシング流路26内へ導入される溶液L1,L2は、それぞれ開口幅W1,W2に対応する幅を有する薄片状の成層流となって出液口28側へ向って流れつつ、各成層流の接触界面ではその法線方向に沿って微小な流体塊の移動が促進され、また分子運動が増大して溶液L1,L2の混合が進行し、これと同時に振動発生器42,44,46からの振動がミキシング流路26内の溶液L1,L2,LMに拡散方向に沿って伝達されるので、ミキシング流路26内における溶液L1,L2の分子の拡散方向の移動速度を増大させて混合及び混合に伴う化学反応を効率的に促進できる。
さらに、マイクロミキサー40では、流通方向に沿ってそれぞれ異なる位置に配置された振動発生器42,44,46をそれぞれ異なる制御条件で駆動できるので、ミキシング流路26内を流通する溶液L1,L2及び溶液LMに伝達される振動を流通方向に沿って段階的に変化させることができる。この結果、ミキシング流路26内における溶液L1,L2の混合又は混合に伴う化学反応を3個の振動発生器42,44,46にそれぞれ対応して異なる振動条件で促進できるので、図1に示されるマイクロミキサー10と比較し、ミキシング流路26内における溶液L1,L2間の混合及び混合に伴う化学反応の進行を更に精密に制御できるようになる。
なお、ミキシング流路26への溶液L1,L2の供給時に、3個の振動発生器42,44,46全てを同時に駆動する必要はなく、3個の振動発生器42,44,46の何れかを選択的に駆動又は駆動停止させるようにしても良い。また本参考例にマイクロミキサー10,40では、ピエゾ素子を振動発生源とする振動発生器32,42,44,46を用いているが、1KHz〜10MHz程度の振動を発生できるものならば、どのような振動発生源を用いるものでも良く、例えば、モータにより駆動される偏心カム、電磁式アクチュエータ、空気圧力式アクチュエータ等を振動発生源として用いても良い。また本参考例に係るマイクロミキサー10,40では、ミキシング流路26内へ溶液L1,L2,LMへ伝達する振動の強度(振動エネルギ)を変化させるために、振動発生器32,42,44,46により発生する振動の周波数を変化させていたが、振動の振幅を変化させることにより、振動エネルギを変化させるようにしても良い。
(第1の実施形態)
図3には本発明の第1の実施形態に係るマイクロミキサーが示されている。このマイクロミキサー110は、第1の参考例に係るマイクロミキサー10,40と同様に、2種類の溶液L1、L2を同時に混合し、これらの溶液L1、L2が均一に混合又は、混合に伴う化学反応が完了した溶液LMを外部へ供給するためのものである。
図3に示されるように、マイクロミキサー110は全体として略円柱状に形成されており、装置の外殻部を構成する円筒状のミキサー本体112を備えている。ここで、図中における直線Sは装置の軸心を示しており、この軸心Sに沿った方向を装置の軸方向として以下の説明を行う。ミキサー本体112は、その軸方向に沿った基端部が先端側の部分に対して大径とされた大径部114とされており、この大径部114内には、外部から溶液L1及びL2の供給を受ける一対の第1ヘッダ部116及び第2ヘッダ部118が設けられている。ミキサー本体112は、大径部に対して先端側の部分が内径一定の円管部120とされており、この円管部120の先端面には溶液LMの出液口122が開口し、また円管部120の先端部には出液口122の外周側に延出するようにリング状のフランジ部124が設けられている。
ここで、ミキサー本体112の先端部には、フランジ部124と対になるフランジ部を有する出液配管(図示省略)が連結され、ミキサー本体112の出液口122から吐出された溶液LMは、出液配管を通して一時貯留用の貯留容器、溶液LMに対して次の処理を行うための他のマイクロミキサー等へ送られる。ここで、ミキサー本体112のフランジ部124と出液配管のフランジ部とは、ボルト及びナットを用いたねじ継手、一対のフランジ部の外周側からリング状の連結部材を嵌挿するフルェール継手等の各種の継手構造により連結することができ、また溶接により連結するようにしても良い。
ミキサー本体112における大径部114の基端面は円板状の蓋板126により閉塞されており、この蓋板126の中心部には円形の嵌挿穴128が穿設されている。ミキサー本体112には、その大径部114内から円管部120内へ突出するように丸棒状の整流部材130が同軸的に配設されている。整流部材130の基端部は蓋板126の嵌挿穴128に嵌挿されて支持されている。また整流部材130の先端部には先端側へ向って縮径する円錐部132が形成されている。ここで、整流部材130の外径は円管部120の内径よりも小径とされ、この円管部120の内径との寸法差が円管部120内における溶液L1,L2の流通量に基づいて設定される。
ミキサー本体112の大径部114内には、この大径部114内の空間を軸方向に沿って略2等分するように区画する円板状の仕切板134が配置されており、この仕切板134により区画された基端側及び先端側の空間は、それぞれ第1ヘッダ部116及び第2ヘッダ部118とされている。これらのヘッダ部116,118には、それぞれ給液配管136,138が接続されている。これらの給液配管136,138を通して、ヘッダ部116,118には、マイクロミキサー110の上流側に設置された2個の給液源(図示省略)から加圧状態とされた溶液L1及び溶液L2が供給される。これらの給液源は、例えば、溶液L1,L2を生成する他のマイクロミキサーや、溶液L1,L2を貯えた貯留タンク及びポンプ等からなる
仕切板134の中心部には、開口径が円管部120の内径と整流部材130の外径との中間寸法とされた円形の開口部が穿設されており、仕切板134には、開口部の周縁部から円管部120内へ突出するパイプ状の隔壁部材140が一体的に形成されている。この隔壁部材140は、円管部120及び整流部材130とそれぞれ同軸的に配置されており、円管部120と整流部材130との間の空間を内周側と外周側とに区画している。ここで、隔壁部材140により区画された外周側及び内周側の空間はそれぞれ第1給液路142及び第2給液路144とされ、これらの第1及び第2給液路142,144は、それぞれ基端部側で第1及び第2ヘッダ部116,118に連通している。またミキサー本体112の円管部120内には、隔壁部材140よりも先端側であって整流部材130の円錐部132よりも基端側に給液路142,144に対して肉厚とされた円筒状の空間が形成され、この円筒状の空間は、給液路142,144からそれぞれ供給された溶液L1と溶液L2との混合又は混合及び化学反応が行われるミキシング流路146とされている。
ミキサー本体112内には、円管部120の内周面と隔壁部材140の外周面との間に複数個(本実施形態では4個)のスペーサ148が介装されると共に、隔壁部材140の内周面と整流部材130の外周面との間にも複数個(本実施形態では4個)のスペーサ150が介装されている。これら複数個のスペーサ148,150はそれぞれ矩形プレート状に形成され、その表裏面部が円管部120内における溶液L1,L2の流通方向(矢印F方向)と平行となるように支持されている。また複数個のスペーサ148,150は、それぞれ軸心Sを中心とする周方向に沿って90°間隔で配置され、周方向における位置が互いに一致している。ここで、外周側のスペーサ148は隔壁部材140を円管部120に連結し、内周側のスペーサ150は整流部材130を隔壁部材140に連結すると共に、給液路142,144の径方向に沿った開口幅W1,W2(図3(A)参照)を設定している。これにより、隔壁部材140及び整流部材130がそれぞれ十分な強度で円管部120に連結固定され、溶液L1,L2の液圧や重力の影響により所定の位置から変移したり、変形することが防止されると共に、開口幅W1,W2が予め設定された寸法に確実に維持される。
図3(B)に示されるように、第1給液路142及び第2給液路144の先端部には、それぞれミキシング流路146内へ開口する第1給液口152及び第2給液口154が形成されている。これらの給液口152,154は、それぞれ軸心Sを中心とする円軌跡に沿って開口し、互いに同心状となるように配設されている。ここで、第1給液口152の径方向に沿った開口幅W1は、1μm以上で500μm以下の範囲で、第1ヘッダ部116への溶液L1の供給量、種類等に応じて適宜設定される。また第2給液口154の径方向に沿った開口幅W2も、1μm以上で500μm以下の範囲で、第2ヘッダ部118への溶液L2の供給量、種類等に応じて適宜設定される。
ここで、開口幅W1,W2は、それぞれ給液口152,154の開口面積を規定し、この給液口152,154の開口面積と溶液L1,L2の供給量に応じて、給液口152,154を通してミキシング流路146内へ導入される溶液L1,L2の初期流速が定まる。これらの開口幅W1,W2は、例えば、給液口152,154を通してミキシング流路146内へ供給される溶液L1,L2の流速が互いに等しくなるように設定される。但し、溶液L1,L2が均一に混合するまでの時間(混合時間)の短縮を考えた場合には、当然、開口幅W1,W2は狭いほど有利となり、また隔壁部材140の径方向に沿った厚さも可能な限り薄くすることが望まれる。
円管部120内におけるミキシング流路146よりも先端側の空間は、ミキシング流路146内で溶液L1,L2の混合が行われ、又は混合及び化学反応が行われた溶液LMが出液口122へ向って流れる出液路156とされている。ここで、溶液LMが溶液L1,L2の混合のみにより生成される場合には、ミキシング流路146の出口部で溶液L1,L2が略均一に混合されている必要があり、また溶液LMが溶液L1,L2の混合及び化学反応により生成される場合には、ミキシング流路146の出口部で溶液L1,L2が略均一に混合され、しかも溶液L1,L2間の化学反応も略完全に完了している必要がある。従って、ミキシング流路146の溶液L1,L2の流通方向に沿った路長PF(図3(A)参照)は、溶液L1,L2の混合が完了し、又は混合及び化学反応が略完了するような長さに設定する必要がある。なお、ミキサー本体112内には、常に、溶液L1,L2及びこれらが混合された溶液LMが隙間なく充填され、ヘッダ部116,118から出液口122側へ流通しているものとする。
図3(A)に示されるように、ミキサー本体112の円管部120には、ミキシング流路146に面するように複数の開口部158が穿設されている。これらの開口部158は、流通方向へはミキシング流路146の上流部、中間部及び下流部にそれぞれ対応する部位に穿設され、また軸心Sを中心とする周方向へは90°間隔で配置されている。従って、円管部120には、ミキシング流路146の上流部、中間部及び下流部にそれぞれ対応する部位に4個ずつ開口部158が穿設され、合計で12個の開口部158が設けられている。また円管部120の外周面上には、複数個のマイクロ波発生器160が開口部158にそれぞれ対応するように取り付けられている。これらのマイクロ波発生器160には、その内周側に円柱突起状の嵌挿部162が設けられており、マイクロ波発生器160は、嵌挿部162を開口部158内へ嵌挿し、嵌挿部162の先端面をミキシング流路146内へ露出させている。
マイクロ波発生器160は、駆動時に嵌挿部162の先端面からマイクロ波をミキシング流路146内の溶液L1,L2,LMへ照射する。このとき、マイクロ波発生器160からのマイクロ波は、図3の破線で示されるように、溶液L1,L2の拡散方向と一致する径方向に沿って溶液L1,L2及び溶液LMに照射される。このマイクロ波により溶液L1,L2,LMの分子運動が拡散方向に沿って増大するので、溶液L1,L2間の混合又は混合に伴う化学反応が促進される。
マイクロ波発生器160は、例えば、マイクロ波の発生源としてマグネトロンを用いており、このマグネトロンへの駆動電流の供給により電流値に対応する強度のマイクロ波を発生する。このとき、マイクロ波発生器160が発生するマイクロ波としては、周波数が10MHz以上のものが選択される。具体的には、マイクロ波の周波数は、ミキシング流路146内を流通する溶液L1,L2,LMに過度の発熱現象を発生させることなく、溶液L1,L2,LMの分子運動を効率的に増加できる周波数が選択される。
図3(A)に示されるように、マイクロミキサー110には、マイクロ波発生器160の駆動を制御する駆動制御部164が設けられている。この駆動制御部164は、ミキシング流路146内を溶液L1,L2,LMが流通する際に、マイクロ波発生器160のオン/オフ状態、マイクロ波の強度を内部メモリ等に予め設定された制御条件に従うように制御する。この制御条件は、基本的には、溶液L1,L2の種類、すなわち溶液L1,L2の化学成分、液温、粘度等や、溶液L1,L2間の混合に化学反応を伴う場合には、反応生成物の性質等に応じて異なるものになり、また溶液L1,L2の供給量の変化、すなわちミキシング流路146内における溶液L1,L2の流速によっても異なるものになる。このような制御条件は、例えば、マイクロミキサー110が配置された製造ラインのオペレータが操作端末等を用いて設定したり、製造ライン全体を制御する上位のプロセスコンピュータが生産予定等に基づいて自動的に設定する。また駆動制御部164は、流通方向に沿って異なる位置にあるマイクロ波発生器160をそれぞれ異なる制御条件に従って制御できる。
上記のように構成された本実施形態に係るマイクロミキサー110では、第1の参考例に係るマイクロミキサー10,40と同様に、給液口152,154を通してそれぞれミキシング流路146内へ導入される2種類の溶液L1,L2が給液口152,154の開口幅W1,W2にそれぞれ対応する薄片状の層流となってミキシング流路146内を流通すると共に、互いに隣接する層流間の界面で各溶液L1,L2の分子が相互に拡散するので、ミキシング流路146内へ導入された2種類の溶液L1,L2を短時間で均一に混合し、又は混合に伴う化学反応を完了させ、溶液LMを外部へ供給できる。このとき、マイクロ波発生器160からのマイクロ波がミキシング流路146内の溶液L1,L2,LMに照射されるので、ミキシング流路146内における溶液L1,L2の分子の拡散速度を増大させて混合及び混合に伴う化学反応を効率的に促進できる。
さらに、マイクロミキサー110では、流通方向に沿ってそれぞれ異なる位置に配置されたマイクロ波発生器160をそれぞれ異なる制御条件で駆動できるので、ミキシング流路146内を流通する溶液L1,L2及び溶液LMに照射されるマイクロ波を流通方向に沿って段階的に変化させることができる。この結果、ミキシング流路146内における溶液L1,L2の混合又は混合に伴う化学反応をそれぞれ異なる位置にあるマイクロ波発生器160にそれぞれ対応して異なる振動条件で促進できるので、ミキシング流路146内における溶液L1,L2間の混合及び混合に伴う化学反応の進行を精密に制御できるようになる。このとき、マイクロ波は、振動と比較して指向性が強いので、流通方向に沿って、ある位置にあるマイクロ波発生器160に対応する領域に存在する溶液L1,L2,LMが他の位置にあるマイクロ波発生器160からのマイクロ波の影響を受けることを抑制できる。この結果、第1の実施形態に係るマイクロミキサー10、40と比較して、ミキシング流路146内における溶液L1,L2,LMの混合及び混合に伴う化学反応の進行を更に精密に制御できるようになる。
なお、以上説明した第1の参考例に係るマイクロミキサー10,40及び第1の実施形態に係るマイクロミキサー110は、それぞれ2種類の溶液L1,L2をミキシング流路26,146内で混合又は、混合と共に化学反応させるものであったが、3種類以上の溶液をミキシング流路内で混合又は、混合と共に化学反応させるマイクロミキサーにおいても、ミキシング流路内を流通する3種類以上の溶液に振動又はマイクロ波を作用させることで、溶液の混合及び化学反応を促進できると共に、振動発生器又はマイクロ波発生器を適宜制御することで、ミキシング流路内における溶液の混合又は化学反応の進行を精密に制御できるようになる。