上述のような従来技術では、駆動質量体41および検出質量体42が、第1ばね43および第2ばね44によって、それぞれ四方から拘束されており、また駆動質量体41および検出質量体42は半導体基板から形成されるのに対して、第1ばね43および第2ばね44が接合される支持基板には一般にガラス基板が用いられる。このため、半導体基板とガラス基板との線膨張率の差によって、第1ばね43および第2ばね44に熱応力が生じて、ジャイロセンサの共振周波数が変化する。たとえば、前記支持基板への貼り付けは、400℃で行われ、常温でも残留応力が生じている。共振周波数が変化すると検出値が変化するので、上記従来技術によるジャイロセンサは、検出値の温度依存性が大きいという問題がある。
本発明の目的は、検出値の温度依存性を低減することができるジャイロセンサを提供することである。
本発明のジャイロセンサは、支持基板と、半導体基板から成る主基板とを備えて成るジャイロセンサにおいて、前記主基板は、基端部が前記支持基板に固定され、前記支持基板に沿った面内で一方向に延び、前記一方向とは直交方向に撓み変形可能な一対の検出ばねと、前記一対の検出ばねの遊端部に接続されることで、前記検出ばねを介して支持基板に変位可能に支持される検出質量体と、前記検出質量体の前記一方向の両側に相互に対称に配置され、相互に同位相で前記支持基板に交差する方向に振動するように駆動される一対の第1駆動質量体および第2駆動質量体と、前記第1駆動質量体および第2駆動質量体を前記検出質量体にそれぞれ連結する第1駆動ばねおよび第2駆動ばねと、前記支持基板に沿った面内での前記検出質量体の変位量を検出する検出手段とを含むことを特徴とする。
上記の構成によれば、検出質量体、第1および第2駆動質量体を支持基板に支持している一対の検出ばねは、検出質量体から一方向に延長され、片持ちで検出質量体を支持しており、主基板と支持基板との線膨張率に差があっても、主基板に熱応力が殆ど発生しないので、共振周波数の変化が殆どなく、検出値の温度依存性を低減することができる。また、第1駆動質量体と第2駆動質量体とを検出質量体の両側に相互に対称に配置し、かつ相互に同―位相で駆動させることで、検出質量体に発生する支持基板に交差する方向の振動を抑制することが可能で、角速度の検出精度を向上することができる。
また、本発明のジャイロセンサは、前記一対の検出ばねの基端部間を相互に連結し、剛性を有する連結片をさらに有し、該連結片の中間部が前記支持基板に固定されることを特徴とする。
上記の構成によれば、一対の検出ばねの基端部をそれぞれ直接前記支持基板に固定するのではなく、剛性を有する連結片によって相互に連結し、その連結片の中間部を支持基板に固定することで、支持基板に対して主基板を1箇所で固定することができ、主基板と支持基板との接合作業が容易になる。また、主基板と支持基板との線膨張率に差があっても、検出ばねには連結片の延長方向の熱応力が殆ど作用せず、検出値の温度依存性を一層低減することができる。
さらにまた、本発明のジャイロセンサでは、前記検出ばねは、前記検出質量体において、前記対称となる線上に接続されることを特徴とする。
上記の構成によれば、前記検出ばねは、前記検出質量体において、前記第1および第2駆動質量体を相互に対称位置とする線上、すなわち該検出質量体の中央部に接続されるので、該検出質量体に発生する支持基板に交差する方向の振動を一層抑制することが可能で、角速度の検出精度を更に向上することができる。
また、本発明のジャイロセンサでは、前記第1駆動ばねおよび第2駆動ばねは、ねじれ変形が可能なトーションばねであることを特徴とする。
上記の構成によれば、撓み変形を利用するばねに比べて、第1および第2駆動質量体と検出質量体との間隔を短くし、それらを近接して配置できるので、省スペース化を図ることができる。
さらにまた、本発明のジャイロセンサでは、前記検出手段は、前記検出質量体に形成された切抜孔の内周面に突設した複数本の可動櫛歯片と、前記切抜孔の内側に配置され、前記支持基板に固定された固定子の外周面に各可動櫛歯片とそれぞれ対向するように突設した複数本の固定櫛歯片とから成ることを特徴とする。
上記の構成によれば、可動櫛歯片と固定櫛歯片とが複数本ずつ設けられているから、検出質量体の変位に対して可動櫛歯片と固定櫛歯片との間の静電容量が比較的大きく変化することになり、検出質量体の変位を検出する精度(分解能)を高めることができる。
また、本発明のジャイロセンサは、前記支持基板において、前記第1および第2駆動質量体との対向面にはそれぞれ対応する第1および第2固定駆動電極が配置され、前記検出ばねにおける支持基板への固定部と、前記第1および第2固定駆動電極との間に振動電圧を印加することによって、前記第1および第2駆動質量体と第1および第2固定電極との間に作用する静電力で前記第1および第2駆動質量体を振動させることを特徴とする。
上記の構成によれば、主基板に設けた検出ばねと、検出質量体と、第1および第2駆動質量体とを電路に用いることになり、支持基板に第1および第2固定駆動電極を形成するだけで、第1および第2駆動質量体を振動させるための振動電圧を印加することができ、構造を簡略化し、小型化を図ることができる。
さらにまた、本発明のジャイロセンサでは、前記支持基板は厚み方向に貫通する複数個の透孔を有し、前記透孔の内周面には導電性の金属薄膜から成り、主基板を外部回路に接続する電極配線が形成されていることを特徴とする。
上記の構成によれば、支持基板に設けた透孔の内周面に形成した電極配線によって主基板の各部を外部回路に接続可能とするので、主基板の各部位を外部回路に接続するための配線を引き回す必要がなく、結果的に支持基板の占有面積を小さくすることができ、小型化を図ることができる。
また、本発明のジャイロセンサでは、前記第1および第2駆動質量体の厚み寸法は、前記検出質量体の厚み寸法よりも大きいことを特徴とする。
上記の構成によれば、第1および第2駆動質量体と検出質量体との質量差を大きくすることができ、第1および第2駆動質量体の質量を検出質量体の質量よりも大きくすることによって、感度を高めることができる。
さらにまた、本発明のジャイロセンサは、駆動質量体を支持基板に交差する方向に振動させ、前記駆動質量体に駆動ばねを介して連結された検出質量体における前記駆動質量体の振動方向とは垂直な面内での変位量を検出することで、前記面内の予め定める軸線回りの角速度を検出するようにしたジャイロセンサにおいて、前記検出質量体を中心として、その両側に前記駆動質量体を一対で対称に配置し、かつ相互に同位相で振動させ、前記駆動質量体および検出質量体の配列方向と平行に延び、基端部が前記支持基板に接続され、遊端部が前記検出質量体に接続されることで、前記駆動質量体および検出質量体の前記振動方向の変位およびそれに垂直な方向の変位を可能に支持する一対の検出ばねと、前記検出質量体の前記面方向の変位量を検出する検出手段とを含むことを特徴とする。
上記の構成によれば、検出質量体およびそれに連結される2つの駆動質量体を支持基板に支持している一対の検出ばねは、検出質量体から一方向に延長され、片持ちで検出質量体を支持しており、前記駆動質量体、駆動ばね、検出質量体および検出ばねが形成される主基板と、前記支持基板との線膨張率に差があっても、主基板に熱応力が殆ど発生しないので、共振周波数の変化が殆どなく、検出値の温度依存性を低減することができる。また、2つの駆動質量体を検出質量体の両側に相互に対称に配置し、かつ相互に同―位相で駆動させることで、検出質量体に発生する支持基板に交差する方向の振動を抑制することが可能で、角速度の検出精度を向上することができる。
本発明のジャイロセンサは、以上のように、支持基板と、半導体基板から成る主基板とを備えて成るジャイロセンサにおいて、前記主基板を、基端部が前記支持基板に固定され、前記支持基板に沿った面内で一方向に延び、前記一方向とは直交方向に撓み変形可能な一対の検出ばねと、前記一対の検出ばねの遊端部に接続されることで、前記検出ばねを介して支持基板に変位可能に支持される検出質量体と、前記検出質量体の前記一方向の両側に相互に対称に配置され、相互に同位相で前記支持基板に交差する方向に振動するように駆動される一対の第1駆動質量体および第2駆動質量体と、前記第1駆動質量体および第2駆動質量体を前記検出質量体にそれぞれ連結する第1駆動ばねおよび第2駆動ばねと、前記支持基板に沿った面内での前記検出質量体の変位量を検出する検出手段とを含んで構成する。
それゆえ、検出質量体、第1および第2駆動質量体を支持基板に支持している一対の検出ばねは、検出質量体から一方向に延長され、片持ちで検出質量体を支持しており、主基板と支持基板との線膨張率に差があっても、主基板に熱応力が殆ど発生しないので、共振周波数の変化が殆どなく、検出値の温度依存性を低減することができる。また、第1駆動質量体と第2駆動質量体とを検出質量体の両側に相互に対称に配置し、かつ相互に同―位相で駆動させることで、検出質量体に発生する支持基板に交差する方向の振動を抑制することが可能で、角速度の検出精度を向上することができる。
図1は、本発明の実施の一形態に係るジャイロセンサの構造を示す縦断面図である。このジャイロセンサは、大略的に、シリコン基板から成る主基板1が、エッチングなどによって後述するような形状に彫り出され、その一方の面にガラス基板から成る支持基板2が積層され、他方の面にガラス基板から成るキャップ3が積層された3層構造であって、支持基板2およびキャップ3は、主基板1に対して、たとえば陽極接合によって接合される。なお、主基板1には、シリコン以外の半導体を用いることも可能である。
図2は、前記主基板1の平面図である。この図2において、図1の切断面をI−Iで示す。主基板1は、平面視において矩形状である第1駆動質量体11Aおよび第2駆動質量体11Bと、検出質量体12とが、該主基板1の板面に沿って並設されるとともに、これらの第1駆動質量体11A、第2駆動質量体11Bおよび検出質量体12の周囲を囲む矩形枠状のフレーム10を備えて構成される。したがって、主基板1に支持基板2およびキャップ3を接合した状態では、支持基板2とキャップ3とフレーム10とに囲まれる空間内に、第1駆動質量体11A、第2駆動質量体11Bおよび検出質量体12が密封される。以下では、第1駆動質量体11A、検出質量体12および第2駆動質量体11Bが並ぶ方向をY方向、主基板1の板面に沿う面内でY方向に直交する方向をX方向、X方向とY方向とに直交する方向すなわち主基板Iの板面に直交する方向(紙面に垂直方向)をZ方向とする。
前記検出質量体12には、第1駆動質量体11Aと第2駆動質量体11Bとの互いの位置、形状が線対称となるように、X方向に延長された―対の第1駆動ばね13Aおよび第2駆動ばね13Bをそれぞれ介して、前記第1駆動質量体11Aおよび第2駆動質量体11Bが連続―体に連結される。具体的には、検出質量体12には、X方向において、その両側縁部を残して、全長よりもやや短くスリット溝14Aが形成され、第1駆動質量体11Aおよび第2駆動質量体11Bには、X方向の各側縁からそれぞれ切り込まれ、かつ相互に一直線上に並ぶ2本のスリット溝14Bが形成され、スリット溝14Aと各スリット溝14Bとの間に、それぞれ第1駆動ばね13Aおよび第2駆動ばね13Bが形成される。各駆動ばね13A,13Bの―端部は、スリット溝14Aの各端部と検出質量体12の側縁との間に連続し、各駆動ばね13A,13Bの他端部は、2本のスリット溝14Bの間の部位において第1駆動質量体11Aおよび第2駆動質量体11Bにそれぞれ連続する。
第1駆動ばね13Aおよび第2駆動ばね13Bは、ねじれ変形が可能なトーションばねであって、第1駆動質量体11Aおよび第2駆動質量体11Bは検出質量体12に対して第1駆動ばね13Aおよび第2駆動ばね13Bの回りで変位可能になっている。つまり、第1駆動質量体11Aおよび第2駆動質量体11Bは、検出質量体12に対してZ方向の並進とX方向の軸回りの回転とが可能であると言える。また、第1駆動ばね13Aおよび第2駆動ばね13Bにトーションばねを用いているので、所望の小さいばね係数を得るにあたって、第1駆動ばね13Aおよび第2駆動ばね13Bの厚みをむやみに小さくする必要がなく、第1駆動ばね13Aおよび第2駆動ばね13Bを形成する際の加工が容易である。
なお、第1駆動質量体11Aおよび第2駆動質量体11Bにスリット溝14Aが形成され、検出質量体12に2本のスリット溝14Bが形成されてもよい。
前記検出質量体12におけるX方向の各側縁には、Y方向に延長された検出ばね15の遊端部が、それぞれ線対称に位置する第1駆動質量体11Aと第2駆動質量体11Bとの対称線上において連結されており、その両検出ばね15の基端部同士は、X方向に延長された連結片16を介して連続一体に連結される。すなわち、―対の検出ばね15と連結片16とによって、平面視でコ字状の部材が形成されている。ただし、連結片16は、第1駆動ばね13A、第2駆動ばね13Bおよび検出ばね15に比較して、充分に剛性が高くなるように設計されている。連結片16の長手方向の中間部には、固定片17が突設され、固定片17は前記支持基板2に接合され、定位置に固定される。第1駆動質量体11Aおよび検出質量体12と、検出ばね15および連結片16との間は、コ字状のスリット溝14Cによって分離されており、第1駆動質量体11Aに形成されるスリット溝14Bの一端はスリット溝14Cに連続する。検出ばね15は、X方向に撓み変形が可能であって、第1駆動質量体11A、第2駆動質量体11Bおよび検出質量体12は、固定片17に対してX方向に変位可能になっている。
前記検出質量体12はまた、厚み方向に貫通する4個の切抜孔18を有し、各切抜孔18の内側には、それぞれ固定子20が配置されている。前記固定子20は、検出質量体12のX方向の両端付近に配置される電極片21を有し、その電極片21からは櫛骨片22がX方向に延長される。前記電極片21と櫛骨片22とは前記支持基板2に接合され、固定子20は定位置に固定される。前記切抜孔18の内周面は固定子20の外周面の形状に沿った形状であって、固定子20との間には間隙が形成されている。検出質量体12のX方向の両端部には、2個ずつの電極片21が配置されているが、1個ずつや3個ずつなどでもよい。櫛骨片22の幅方向の両端面には、図3に示すように、それぞれ多数本の固定櫛歯片23がX方向に列設される。―方、切抜孔18の内側面であって櫛骨片22との対向面には、多数本の固定櫛歯片23にそれぞれ対向する可動櫛歯片24がX方向に列設される。各固定櫛歯片23と各可動櫛歯片24とは相互に離間して配置されており、検出質量体12がY軸回りRに変位する際の固定櫛歯片23と可動櫛歯片24とのX方向の距離変化に伴う静電容量の変化を検出できるようになっている。すなわち、固定櫛歯片23と可動櫛歯片24とによって、検出質量体12の変位を検出する検山手段が構成される。
前記支持基板2およびキャップ3は、主基板1の外周部分に残したフレーム10に接合され、固定片17および固定子20は支持基板2に接合されている。ただし、第1駆動質量体11A、第2駆動質量体11Bおよび検出質量体12は、支持基板2およびキャップ3の間に形成される間隙においてZ方向に変位可能でなければならないので、図4に示すように、第1駆動質量体11A、第2駆動質量体11Bおよび検出質量体12における支持基板2との対向面を支持基板2から後退させることで、支持基板2と、第1駆動質量体11A、第2駆動質量体11Bおよび検出質量体12との間隙g1を確保し、またキャップ3における主基板1との対向面に凹所29を形成することによって、キャップ3と、前記第1駆動質量体11A、第2駆動質量体11Bおよび検出質量体12との間隙g2を確保している。
両間隙g1,g2は、数μm〜十数μmであって、たとえば10μmに設定される。この場合、固定片17の厚み寸法t1を300μm、第1駆動質量体11Aおよび第2駆動質量体11Bの厚み寸法t2を290μmなどと設定する。なお、主基板1の厚み寸法を変化させる代わりに、支持基板2において第1駆動質量体11A、第2駆動質量体11Bおよび検出質量体12と対向する部位に、凹所を形成してもよい。要するに、第1駆動質量体11Aおよび第2駆動質量体11Bと支持基板2との対向面において、間隙g1を確保できるように第1駆動質量体11Aおよび第2駆動質量体11Bと、支持基板2との少なくとも一方を他方から後退させた形状とすればよい。
前記支持基板2において、第1駆動質量体11Aおよび第2駆動質量体11Bとの対向面には、アルミニウム等の導電性の金属薄膜から成る第1固定駆動電極25Aおよび第2固定駆動電極25Bが形成されている。また、前記支持基板2の外側の面からは、固定片17に対応する部位と、固定子20の各電極片21に対応する部位と、第1固定駆動電極25Aおよび第2固定駆動電極25Bに対応する部位とに、それぞれ図4で示すような透孔26が形成されている。さらに、図示例ではフレーム10において取付片17の近傍部位に、取付片17を挟む形で、一対の接地片19が形成されており、各接地片19に対応する部位においても前記透孔26が形成される。
前記透孔26には、図4に示すように、アルミニウム等の導電性の金属薄膜から成る電極配線27が形成される。透孔26は主基板1に近付く程内径が小さくなるテーパ状であって、電極配線27は透孔26の内周面だけでなく、主基板1の一部の表面も覆うように形成されている。つまり、透孔26の一端面は電極配線27によって閉塞され、その電極配線27は主基板1の前記の各部位に電気的に接続される。また、電極配線27の一部は、支持基板2の表面(厚み方向における主基板1との反対面)に延長きれ、支持基板2の表面に延長された部位は電極パッド28として機能する。このように支持基板2に形成した透孔26の内周面にスルーホールメッキと同様の金属薄膜の電極配線27を形成することによって、主基板1に形成した各部材と電極パッド28とを支持基板2の厚み方向において接続しているので、主基板1の上で配線を引き回すことなく外部回路と接続することが可能になり、基板面積の小型化を実現することができる。
このように構成されるジャイロセンサを製造する際には、透孔26を形成した支持基板2に主基板1を接合する。この状態では、主基板1の各部位(フレーム10、第1駆動質量体11A、第2駆動質量体11B、検出質量体12および固定子20)は分離きれておらず、主基板1を支持基板2に接合した後に、フレーム10を分離する溝、スリット構14A〜14C、固定子20を分離する溝を、主基板1におけるキャップ3との対向面から形成して各部位に分離する。この段階において、固定片17は支持基板2に接合されているから、固定片17に連続する連結片16、検出ばね15、検出質量体12ならびに第1駆動質量体11Aおよび第2駆動質量体11Bは支持基板2に保持されており、また固定子20も支持基板2に接合されている。その後、主基板1にキャップ3を接合すれば、第1駆動質量体11A、第2駆動質量体11Bおよび検出質量体12は、支持基板2とキャップ3とフレーム10とに囲まれた空間内に密封される。さらに、支持基板2の透孔26に電極配線27を形成するとともに、電極パッド28を形成することによって、上述したジャイロセンサが形成される。
以下に、本実施形態の動作を説明する。本実施形態のジャイロセンサは、第1駆動質量体11Aおよび第2駆動質量体11Bに規定の同位相の振動を与えておき、外力による前記Y方向の軸回りRの角速度が作用したときの検出質量体12の変位を検出するものである。第1駆動質量体11Aおよび第2駆動質量体11Bを同位相で振動させるには、第1固定駆動電極25Aおよび第2固定駆動電極25Bと、第1駆動質量体11Aおよび第2駆動質量体11Bとの間に、同位相の正弦波形ないし矩形波形の振動電圧を印加すればよい。振動電圧は、交流波形が望ましいが、極性を反転させることは必須ではない。
第1駆動質量体11Aおよび第2駆動質量体11Bは、ばね13A,13B−検出質量体12−検出ばね15−連結片16を介して、固定片17に電気的に接続され、支持基板2において固定片17に対応する部位には透孔26が形成されており、また第1固定駆動電極25Aおよび第2固定駆動電極25Bに対応する部位にも透孔26が形成されている。したがって、両透孔26に対応する電極配線27に振動電圧を印加すれば、第1駆動質量体11Aおよび第2駆動質量体11Bと、第1固定駆動電極25Aおよび第2固定駆動電極25Bとの間に、それぞれ静電力を作用させて、第1駆動質量体11Aおよび第2駆動質量体11Bを、支持基板2およびキャップ3に対してZ方向に振動させることができる。振動電圧の周波数は、第1駆動質量体11A、第2駆動質量体11Bおよび検出質量体12の質量や、第1駆動ばね13A、第2駆動ばね13Bおよび検出ばね15のばね定数などによって決定される共振周波数に一致させれば、比較的小さい駆動力で大きな振幅を得ることができる。
こうして第1駆動質量体11Aおよび第2駆動質量体11Bを同位相で振動させている状態において、主基板1に前記Y方向の軸回りRの角速度が作用したときに、X方向にコリオリ力が発生し、第1駆動質量体11A、第2駆動質量体11Bおよび検出質量体12は、固定子20に対してX方向に変位する。これによって、可動櫛歯片24が固定櫛歯片23に対して変位すれば、それらの間の距離が変化し、結果的に可動櫛歯片24と固定櫛歯片23との間の静電容量が変化する。この静電容量の変化は、4個の固定子20に接続される電極配線27から取り出すことができる。
すなわち、X方向において並ぶ各―対の電極片21の間の静電容量は、固定櫛歯片23と可動櫛歯片24との距離変化を反映するので、両電極片21は可変容量コンデンサの電極と等価であって、図示する構成では2個の可変容量コンデンサが形成されるから、各可変容量コンデンサの静電容量をそれぞれ検出したり、両可変容量コンデンザを並列に接続した合成容量を検出したりすることによって、検出質量体12の変位を検出することができる。第1駆動質量体11Aおよび第2駆動質量体11Bの振動は既知であるから、検出質量体12の変位を検出することによって、コリオリ力を求めることができる。
ここで、可動櫛歯片24の変位は、(第1駆動質量体11Aの質量+第2駆動質量体11Bの質量)/(第1駆動質量体11Aの質量+第2駆動質量体11Bの質量+検出質量体12の質量)に比例するから、第1駆動質量体11Aの質量+第2駆動質量体11Bの質量が検出質量体12の質量に比較して大きい程、可動櫛歯片24の変位が大きくなり、結果的に感度が向上することになる。そこで、本実施形態では、第1駆動質量体11Aおよび第2駆動質量体11Bの厚み寸法を検出質量体12の厚み寸法の略2倍に設定してある。たとえば、前述のように第1駆動質量体11Aおよび第2駆動質量体11Bの厚み寸法t2(図4参照)を290μmに設定しているときには、検出質量体12の厚み寸法を150μm程度に設定するのが望ましい。このように構成した場合、1〜100°/secの角速度の検知範囲で、0.1°/secの分解能で検知することができる。
上述した寸法関係から明らかなように、第1駆動質量体11A、第2駆動質量体11Bおよび検出質量体12のZ方向の変位を可能とするには、支持基板2の厚み寸法が―定である場合には、主基板1の厚み寸法を、フレーム10、固定片17および固定子20と、他の部位とで異なる2段階とすればよく、さらに検出質量体12の厚み寸法を第1駆動質量体11Aおよび第2駆動質量体11Bの厚み寸法よりも小さくする場合には、主基板1の厚み寸法を、フレーム10、固定片17および固定子20と、検出質量体12と、他の部位とで異なる3段階とすればよい。また、支持基板2の厚み寸法を固定片17および固定子20との接合部と、他の部位とで異なる2段階とする場合には、主基板1の厚み寸法を、フレーム10、第1駆動質量体11A、第2駆動質量体11B、連結片16、固定片17および固定子20と、他の部位とで異なる2段階とすればよい。この構成によって、第1駆動質量体11Aおよび第2駆動質量体11Bと検出質量体12との厚み寸法を異ならせることができる。
上述した構成では、連結片16の長手方向の中間部の1箇所に固定片17を設けているが、本発明では第1駆動質量体11Aおよび第2駆動質量体11Bと検出質量体12とがトーションばねである第1駆動ばね13Aおよび第2駆動ばね13Bを介して連結されることで、第1駆動質量体11Aおよび第2駆動質量体11Bが検出質量体12に対して相対的に変位可能であり、かつ検出質量体12を支持基板2に対して変位可能に支持する検出ばね15が片持ちであれば目的を達成することができる。したがって、図5に示すように、連結片16を設けずに、各検出ばね15の一端に、それぞれ連続一体に固定片17を設けてもよい。この構成では、主基板1と支持基板2との線膨張率の差によって熱応力が生じたとしても、該検出ばね15の撓み方向のX方向の熱応力のみであって、該検出ばね15の圧縮・伸張方向であるY方向には熱応力は生じないから、共振周波数の変化は殆ど生じない。つまり、温度変化に伴う検出精度の変化を低減することができる。なお、X方向の熱応力の影饗を低減するために、検出ばね15はX方向におけるばね定数を小さくするように形成するのが望ましい。
上述した構成例は、第1駆動質量体11Aおよび第2駆動質量体11BをZ方向に振動させている間に、Y方向の軸回りRの角速度が作用することによるX方向のコリオリ力を計測するものであり、第1駆動質量体11Aおよび第2駆動質量体11BがZ方向に並進移動し、検出質量体12がY方向の軸回りRに回転移動するとともにX方向に並進移動するものであるが、第1駆動質量体11Aおよび第2駆動質量体11Bが回転移動あるいは回転移動と並進移動とを行う構成を採用したり、検出質量体12が回転移動と並進移動とのいずれかのみを行う構成を採用したりすることも可能であり、また第1駆動質量体11A、第2駆動質量体11Bおよび検出質量体12の移動方向についても特に制限されるものではない。
以上のように、本発明のジャイロセンサは、検出質量体12、第1駆動質量体11Aおよび第2駆動質量体11Bを支持基板2に支持している一対の検出ばね15は、検出質量体12から一方向に延長され、片持ちで該検出質量体12を支持しており、主基板1と支持基板2との線膨張率に差があっても、主基板1に熱応力が殆ど発生しないので、共振周波数の変化が殆どなく、検出値の温度依存性を低減することができる。また、第1駆動質量体11Aと第2駆動質量体11Bとを検出質量体12の両側に相互に対称に配置し、かつ相互に同―位相で駆動させることで、検出質量体12に発生する支持基板2に交差する方向の振動を抑制することが可能で、角速度の検出精度を向上することができる。
また、本発明のジャイロセンサは、前記一対の検出ばね15の基端部をそれぞれ直接前記支持基板2に固定するのではなく、剛性を有する連結片16によって相互に連結し、その連結片の中間部に設けた固定片17を支持基板2に固定するので、支持基板2に対して主基板1を1箇所で固定することができ、主基板1と支持基板2との接合作業が容易になる。また、主基板1と支持基板2との線膨張率に差があっても、検出ばね15には連結片16の延長方向の熱応力が殆ど作用せず、検出値の温度依存性を一層低減することができる。
さらにまた、本発明のジャイロセンサでは、前記検出ばね15は、前記検出質量体12において、前記第1駆動質量体と第2駆動質量体とを相互に対称位置とする線上、すなわち該検出質量体12の中央部に接続されるので、該検出質量体12に発生する支持基板2に交差する方向の振動を一層抑制することが可能で、角速度の検出精度を更に向上することができる。
また、本発明のジャイロセンサでは、前記第1駆動ばね13Aおよび第2駆動ばね13Bは、ねじれ変形が可能なトーションばねであるので、撓み変形を利用するばねに比べて、第1駆動質量体11Aおよび第2駆動質量体11Bと検出質量体12との間隔を短くし、それらを近接して配置できるので、省スペース化を図ることができる。また、線形性も良好である。
さらにまた、本発明のジャイロセンサでは、検出手段を、前記検出質量体12に形成された切抜孔18の内周面に突設した多数本の可動櫛歯片24と、前記切抜孔18の内側に配置され、前記支持基板2に固定された固定子20の外周面に前記各可動櫛歯片24とそれぞれ対向するように突設した多数本の固定櫛歯片23とで構成するので、検出質量体12の変位に対して可動櫛歯片24と固定櫛歯片23との間の静電容量が比較的大きく変化することになり、検出質量体12の変位を検出する精度(分解能)を高めることができる。
また、本発明のジャイロセンサは、前記支持基板2において、前記第1駆動質量体11Aおよび第2駆動質量体11Bとの対向面にはそれぞれ対応する第1固定駆動電極25Aおよび第2固定駆動電極25Bを配置し、前記検出ばね15における支持基板2への固定部と、前記第1および第2固定駆動電極との間に振動電圧を印加することによって、前記第1駆動質量体11Aおよび第2駆動質量体11Bと第1固定電極25Aおよび第2固定電極25Bとの間に作用する静電力で前記第1駆動質量体11Aおよび第2駆動質量体11Bを振動させるので、主基板1に設けた検出ばね15と、検出質量体12と、第1および第2駆動質量体11A,11Bとを電路に用いることになり、支持基板2に第1および第2固定駆動電極25A,25Bを形成するだけで、第1および第2駆動質量体11A,11Bを振動させるための振動電圧を印加することができ、構造を簡略化し、小型化を図ることができる。
さらにまた、本発明のジャイロセンサでは、前記支持基板2は厚み方向に貫通する複数個の透孔26を有し、前記透孔26の内周面には導電性の金属薄膜から成り、主基板1を外部回路に接続する電極配線27が形成されているので、主基板1の各部位を外部回路に接続するための配線を引き回す必要がなく、結果的に支持基板2の占有面積を小さくすることができ、小型化を図ることができる。