図14は、従来の非接触タグシステムの一例として、一般的な電波タグシステムの構成を概略的に示す図である。この電波タグシステムは、CRTや液晶ディスプレイ等からなる表示装置1と、パーソナルコンピュータ2と、タグ走査装置3と、単一もしくは複数のタグとから構成される。図中では、活性化タグ9と非活性化タグ10の2種類のタグを示しているが、これらは必ずしも必須の構成ではない。
図14において、タグ走査装置3は、活性化タグ9,非活性化タグ10との通信処理を行うものであり、アンテナ4と、制御回路5と、RF回路6とを含んで構成されている。一方、活性化タグ9,非活性化タグ10は、内部にアンテナコイルとICチップを搭載し、タグ走査装置3と無線通信を行うことができるようになっている。この無線通信には、長波帯135KHz、短波帯の6.78MHz、13.56MHz、27.125MHz、40.68MHz、433.92MHz、869.0MHz、915.0MHz、及びマイクロ波帯の2.45GHz、5.8GHz、24.125GHzなどの周波数の電波を使用することができるが、国の法規等によっては利用できない周波数もある。
パーソナルコンピュータ2には、表示装置1に表示信号を出力し、タグ走査装置3と通信するための制御ソフトが組み込まれている。パーソナルコンピュータ2からタグ走査装置3に送信されたコマンドはタグ走査装置3の制御回路5において受信され、制御回路5は受信したコマンドに従ったデジタル送信データをRF回路6に送信する。タグ走査装置3のRF回路6は、受信したデジタルデータをRF(Radio Frequency)信号に変換する。このRF信号はアンテナ4に給電され、空間に送信電波として放射される。送信電波が放射された空間にはRF磁界が発する。
活性化タグ9,非活性化タグ10は、上記のRF磁界内に配置されている状態で、内蔵されるアンテナコイルによりRF磁界の電磁波を受信することができる。活性化タグ9,非活性化タグ10を駆動する電力は、受信される電磁波から抽出される。この受信電力は、タグ走査装置3と活性化タグ9,非活性化タグ10との通信距離により変動する。すなわち、タグ走査装置3と活性化タグ9,非活性化タグ10との間の距離が近い場合は受信電力が大きくなり、遠い場合は受信電力が小さくなる。受信電力を得た活性化タグ9,非活性化タグ10は活性化し、さらに受信された電磁波からデータを取り出し、各タグに実装されたデータ処理機能によりデータ解析を行い、自身がタグ走査装置3の通信対象であると認識した場合には、受信データに対して所定の処理を行ったデータを再びRF信号に変換して内蔵ループコイルアンテナから空間に受信電波として放射する動作を行う“活性化タグ”になる。一方、活性化タグ9,非活性化タグ10は、タグ走査装置3からの受信データを解析した結果、自身がタグ走査装置3の通信対象でないと認識した場合には、内蔵ループコイルアンテナからの受信電波の放射はおこなわず“非活性化タグ”として振る舞う。
活性化タグ9から放射された電波は、タグ走査装置3のアンテナ4により受信され、RF回路6によりデジタル受信データに変換され、制御回路5により復号化される。復号化された情報は、所定の通信プロトコルに従って応答信号に変換され、パーソナルコンピュータ2に送信される。パーソナルコンピュータ2では、制御ソフトにより受信した応答信号に準じた処理が行われる。また、必要に応じてこの処理結果から表示情報が生成され、当該表示情報を表示するための表示信号が表示装置1に出力される。表示装置1により所定の文字や図形等がユーザに表示されることになる。表示内容は、例えば、タグ走査装置3と通信したタグの固有IDコードなどである。
以上の手順によりタグ走査装置3は、主に活性化タグ9との間で非接触式のデータ通信を行うことができる。
図15は、従来の電波タグシステム等の非接触タグシステムにおいて用いられるタグの構成を概略的に示す図である。図15(a)〜(d)に示す各タイプにおいて、タグは主にアンテナコイル120とICチップ121とから構成されている。アンテナ120の形状は、通信に使用される電波の周波数、偏波面や、到達距離、その用途に従って様々な形状や大きさが存在する。一般的に、使用する電波の周波数が低いほどその波長が長くなるため、アンテナは大きくなる。アンテナの偏波面が問題にならない場合には、図15(a)〜(d)に示すような直線偏波アンテナが用いられるのが一般的である。
図15(a)に示すカード型タグは、クレジットカードの様な形状で非常に薄型である。図15(b)に示す方形ループ型タグ、図15(c)に示す円形ループ型タグ、並びに図15(d)に示す折り返しダイポールアンテナ型タグなど通常用いられている。尚、偏波面が定まらない場合には、円偏波アンテナ(図示)を用いるのが有利である。
このような非接触タグシステムにおいてタグとタグリーダとの間で通信を行う際には、タグにおいて発生する過剰電力が原因でタグのICチップに発熱を伴う場合があることが知られている。例えば、特許文献1に記載の非接触タグでは、アンテナコイル自身の抵抗成分を大きくし、従来ICチップで消費されていた過剰電力の一部をアンテナで消費させることにより、アンテナからも放熱させてICチップにおける発熱を抑える技術が採用されている。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の非接触タグシステムを実施するための最良の形態を詳細に説明する。図1〜図13は、本発明の一実施形態を例示する図であり、これらの図において、同一の符号を付した部分は同一物を表わし、基本的な構成及び動作は同様であるものとする。
図1は、本実施形態における電波タグシステムの全体構成を概略的に示すブロック図である。図1において、電波タグシステムは、CRTや液晶ディスプレイ等からなる表示装置1と、パーソナルコンピュータ2と、電波タグ走査装置3と、単一もしくは複数の電波タグとから構成される。図中では、活性化電波タグ9と非活性化電波タグ10の2種類のタグを示しているが、これらは必ずしも必須の構成ではない。
電波タグ走査装置3は、アンテナ4、制御回路5、RF回路6、並びに赤外線センサ7及び光学系8から構成される赤外線カメラ11を有している。制御回路5は、パーソナルコンピュータ2から受信したコマンドに応じて、周波数制御信号、発振制御信号及び変調制御信号をRF回路6に対して出力する。また、図示しないが、電波タグから受信されるデジタル受信データを応答信号としてパーソナルコンピュータ2に送信する。RF回路6は、可変発振回路、変調回路、増幅回路等(詳細は後述する)から構成されるものであり、制御回路5から受信した発振制御信号及び変調制御信号に従って、特定周波数の発振、変調増幅を行ったRF信号をアンテナ4に給電する。これをアンテナ4が空間に送信電波として放射することにより、RF磁界が発生する。赤外線カメラ11は、電波タグの発熱を検出するためのものであり、赤外線センサ7による測定視野が光学系8により規定されている。
パーソナルコンピュータ2は、制御回路5及び赤外線カメラ11と通信するための制御ソフトが組み込まれており、制御回路5からは電波タグからの受信データを受信し、赤外線カメラ11からは電波タグの位置検出データを受信する。必要に応じてこれらの受信データの処理結果から表示情報が生成され、当該表示情報を表示するための表示信号が表示装置1に出力される。また、パーソナルコンピュータ2は、後述する電波タグの電波吸収材についての相関データを保持している。
本実施形態の電波タグシステムにおいては、図1に示すように、電波タグ走査装置3のアンテナ4が発生する磁束の中心θ1と、赤外線カメラ11の光学軸L1とをほぼ一致させるようにして、アンテナ4と光学系8とを配置するのが望ましい。アンテナ4は、上記条件を満足するものであれば、図示するようなループアンテナでなくとも、マイクロストリップラインで構成される平面アンテナや他の形状のアンテナであってもよい。また、アンテナ4は、光学系8のレンズ鏡筒周辺に配置してもよいし、光学系8のレンズ鏡筒の延長上に配置してもよい。
以上のように構成された本実施形態の電波タグシステムにおいて、電波吸収材を含んだ電波タグが電波タグ走査装置3の走査範囲内にあるときには、電波タグ走査装置3から発せられる電波を吸収することにより発熱するので、電波タグ走査装置3の赤外線カメラ11はその電波タグの位置を検出することができる。尚、電波タグに含まれる電波吸収材とは、電波タグ走査装置3と通信するためのアンテナコイルであってもよいし、アンテナコイルとは別に設けられた部材であってもよい。例えば、高周波での電波吸収性能に優れているフェライトなどを用いるのが望ましい。
以下において、電波タグ走査装置3から放射された電波を受信することにより活性化して発熱した電波タグを活性化電波タグ9と称し、電波タグ走査装置3から放射された電波を受信せず非活性な発熱しない電波タグを非活性化電波タグ10と称する。活性化電波タグ9と非活性化電波タグ10とは、それぞれ異なる周波数の電波を吸収する電波吸収材を備えており、電波タグ走査装置3から放射される所定周波数の電波を吸収する電波吸収材を備える電波タグのみが、当該電波を吸収し発熱活性化し、固有の発熱パターンを発生することになる。
例えば、電波タグ走査装置3が放射する電波の周波数がAである場合には、上記RF磁界内において、周波数Aに対する電波吸収特性を示す電波吸収材を含んだ電波タグは活性化電波タグ9となり、周波数Bに対する電波吸収特性を示す電波吸収材を含んだ電波タグは非活性化電波タグ10となる。尚、電波吸収材の発熱量は、電波タグ走査装置3と電波タグとの距離により変動する。
図2は、図1に示す電波タグシステムにおける電波タグ走査装置3の制御回路5及びRF回路6の詳細な内部構成を示すブロック図である。図2において、制御回路5は、電源回路12と、インタフェース13と、マイクロプロセッサ14と、メモリ15とから構成されている。
電源回路12は、制御回路5の構成部分とRF回路6の構成部分とに電源を供給する。インタフェース13は、パーソナルコンピュータ2と信号の送受信を行うためのインタフェースであり、RS-232C、USB、SCSI、IEEE1394などの規格による汎用インタフェースを利用することができる。マイクロプロセッサ14は、パーソナルコンピュータ2やRF回路6との間でやりとりされるコマンドや信号の処理を行うものである。メモリ15は、マイクロプロセッサ14の動作に必要な制御プログラムや処理用データなどを記憶するものである。パーソナルコンピュータ2からインタフェース 13を介して入力されたコマンドは、マイクロプロセッサ14により、周波数制御信号、発振制御信号、変調制御信号等に変換されてRF回路6の所定の部材に出力されるようになっている。
RF回路6は、可変発振回路16と、周波数可変回路17と、変調回路20と、送信増幅回路21とから構成されている。可変発振回路16は、マイクロプロセッサ14から入力される発振制御信号に従って所定周波数の発振を出力する。すなわち、可変発振回路16は発振制御信号がアクティブな時に発振し、インアクティブな時には発振停止する。周波数可変回路17は、マイクロプロセッサ14から入力される周波数制御信号Vfに従ってその静電容量が変化する。周波数可変回路17は可変発振回路16に接続されており、周波数可変回路17の静電容量の変化に応じて、可変発振回路16からの発振出力Foutの周波数が変化するようになっている。図3は、発振制御信号がアクティブな時の発振出力Foutの周波数変化を示すグラフである。図示するように、周波数制御信号Vfを変化させることにより、発振出力Foutの周波数を変化させることができる。
可変発振回路16からの発振出力は変調回路20に出力される。変調回路20は、マイクロプロセッサ14から入力される変調制御信号に従って可変発振回路16からの発振出力を搬送波に変調する。ここで用いられる変調方式には特に制限はなく、従来のAM,FM,SS(スペクトラム拡散)など、使用条件に適した変調方式を選択すればよい。変調回路20により変調された搬送波は、送信増幅回路21において電力増幅された後アンテナ4に給電されて、アンテナ4から空間に送信電波として放射される。
図1〜図3に示す電波タグシステムは、電波タグ走査装置により単一周波数の電波を発信することができるものであるが、本実施形態の電波タグシステムでは同様の構成で複数周波数の電波を発信させることもできる。図4は、電波タグ走査装置から複数周波数の電波を発信することができる電波タグシステムの構成例を示す図である。この電波タグシステムは、図1〜図3に示す電波タグシステムとほぼ同様に構成されているが、RF回路6の構成において異なっている。
図4において、RF回路6は、水晶発振子A25及び水晶発振子B26と、発振回路A23及び発振回路B24と、スイッチ19と多重回路18と、変調回路20と、送信増幅回路21とを含んでいる。発振回路A23及び発振回路B24は、マイクロプロセッサ14から出力される発振制御信号がアクティブ/インアクティブな時に発振/停止するようになっており、それぞれが水晶発振子A25及び水晶発振子B26の周波数による発振を出力する。発振回路23A及び発振回路B24の出力は、それぞれスイッチ19の端子b及び端子dに接続されている。
スイッチ19は、制御回路5から出力される周波数制御信号Aに基づき端子a,b間の開閉を、周波数制御信号Bに基づき端子c,d間の開閉を制御する。例えば、周波数制御信号Aが、スイッチ19の端子a,b間をオン(閉)することで、発振回路A23の出力は、スイッチ19の端子aに発振出力として表れ、多重回路18に入力される。また、周波数制御信号Bが、スイッチ19の端子c,d間をオン(閉)することで、発振回路B24の出力は、スイッチ19の端子cに発振出力として表れ、多重回路18に入力される。このように、発振制御信号がアクティブな時に、周波数制御信号A及び周波数制御信号Bに基づく発振出力が、それぞれ多重回路18に入力されることになる。多重回路18は、発振回路A23及び発振回路B24からの発振出力を混合し多重したものを変調回路20に出力する。変調回路20は、マイクロプロセッサ14からの変調制御信号に従い、多重回路18からの発振出力を搬送波に変調する。ここで用いられる変調方式には特に制限はなく、従来のAM,FM,SS(スペクトラム拡散)など、使用条件に適した変調方式を選択すればよい。変調回路20により変調された搬送波は、送信増幅回路21において電力増幅された後アンテナ4に給電されて、アンテナ4から空間に送信電波として放射される。
尚、本実施形態の電波タグシステムでは、3以上の周波数を多重した電波の送信も可能であるが、説明を簡易にするため、上記では2種類の周波数を多重した電波の送信を例にして説明をした。3種類以上の周波数を多重した電波を送信する場合には、発振回路を適宜増設すればよい。
次に、図1に示す赤外線カメラ11の構成及び動作について説明する。本実施形態において用いられるのは一般的な赤外線カメラであるが、その仕組みについて以下に説明する。まず、温度と赤外線との間には次のような関係がある。
(1)全ての物体は赤外線を放射する。
(2)温度が高い物体は赤外線を強く放射する。
(3)赤外線エネルギーと物体の温度とは相対関係にある。
以上の(1)から(3)までの関係を利用して、赤外線カメラは、赤外線エネルギーをレンズにより集光し、赤外線センサによって2次元走査することにより、次のような測定を行うことができる。
(a)対象物の表面の温度分布を捉え、可視化情報として表示する。
(b)対象物から離れたところから、非接触で温度測定する。
(c)リアルタイムで温度計測する。
図5は、赤外線カメラ11の内部構成を概略的に示すブロック図である。赤外線カメラ11は赤外線センサ7と光学系8から構成される。
図5において、赤外線センサ7は、走査51と、集光52と、外部インタフェース53と、メモリ54と、同期55と、検知56と、増幅57とから構成されている。被測定物から放射される赤外線は面の赤外線分布として光学系8の光学軸L1を中心に撮像される。撮像された面の赤外線分布は、走査51にて2次元走査される。この2次元走査は同期55から発生される同期信号によって行われる。この同期信号は走査51とメモリ54に入力される。走査51にて2次元走査された信号は集光52にて集光される。この走査は光学的に行われても、電子的におこなわれてもよい。最終的に検知56は赤外線の量を検知する手段であり、検知56にて2次元の赤外線分布が検知できれば良い。検知56にて検知された2次元の赤外線分布データは、増幅57にて増幅される、増幅された2次元の赤外線分布データはデジタル信号として、メモリ54に同期信号による走査を持って、図示するような水平方向アドレスx0,x1….x(n-1)、垂直方向アドレスy0,y1…y(n-1)のメモリ配列としてメモリ54に書き込まれる。書き込み例として最初のラインはx0y0,x1y0….x(n-1)y0、次のラインはx0y1,x1y1….x(n-1)y1となる。このようにしてメモリ54に被測定物から放射される赤外線の2次元分布データが書き込まれる。メモリ54に書き込まれたデータは、外部インタフェース53を介して2次元赤外線分布データとして出力される。赤外線センサ7から出力された2次元赤外線分布データは、図1に示すパーソナルコンピュータ2に入力され、表示装置1に可視情報として表示される。
上記したように、本実施形態の電波タグにおいて、電波タグ走査装置3が放射した電波を受信し活性化された活性化電波タグ9は、電波吸収材が電波を吸収することにより発熱する。そこで、活性化電波タグ9の発熱を、赤外線カメラ11により2次元の可視情報として捉えることにより、活性化電波タグ9の位置情報を取得するができる。また、赤外線カメラ11により取得される2次元赤外線分布データは、活性化電波タグ9が有する電波吸収材の形状を示す情報ともなる。
さらに、赤外線カメラは、その撮像対象の温度を非接触で測定することができる(但し、絶対温度の測定においては、被測定物固有の放射率に対して補正が必要である)。すなわち、本実施形態の電波タグでは、赤外線カメラ11により取得される2次元赤外線分布データから、複数の活性化電波タグ9の相対温度差を求めることができる。
パーソナルコンピュータ2は、赤外線カメラ11から取得される2次元赤外線分布データを解析して、これらの電波タグに関する情報を抽出し、表示装置1上に表示することができる。その具体的態様について、以下に例を挙げて説明する。
図6は、赤外線カメラ11から取得される電波タグの2次元赤外線分布データの差分を取る例を示す図である。赤外線カメラ11により、円形の電波吸収材を有する電波タグ61、ひし形の電波吸収材を有する電波タグ62、方形の電波吸収材を有する電波タグ63、三角形の電波吸収材を有する電波タグ64と、各電波タグのキャビネット等が撮像されているものとする。図6(a)は、電波タグ操作装置から電波が放射されておらず、電波タグも活性化していない状態において得られる2次元温度分布図である。図6(b)は、電波タグ操作装置から電波が放射されており、電波タグ61の電波吸収材のみが電波を吸収して活性化している状態において得られる2次元温度分布図である。パーソナルコンピュータ2は、両状態において取得された2次元赤外線分布データの差分を取る処理を行うことができる。取得される差分データは図6(c)に示すような2次元赤外線分布データとなる。これにより、電波タグ操作装置から放射された電波により、電波タグ61のみが活性化したことが分かる。また、電波タグ61〜64は、それぞれ形状が異なる電波吸収材を有しているので、活性化した電波タグを他の電波タグから識別することもできる。
図7は、周波数特性が同じ電波吸収材を使用した複数の電波タグ同士を識別する方法を示す図である。図中(a)〜(c)に示す電波タグは、周波数Aに対して同じく吸収特性を示す電波吸収材であるがそれぞれ形状が異なるもの(円形、方形、バーコードの形状)を有している。このように各電波タグに異なる形状の電波吸収材を貼り付けておくことにより、電波タグ走査装置3から周波数Aの電波が放射されると、各電波タグの電波吸収材が当該電波を吸収し、それぞれが固有形状の発熱パターンを示すので、赤外線カメラ11により取得される2次元赤外線分布データにおいて各電波タグを識別することができる。特に、(c)に示す電波タグは、バーコードに所定の情報をエンコードしておくことが可能である。
図8は、周波数特性が異なる電波吸収材を使用した複数の電波タグ同士を識別する方法を示す図である。(a)及び(b)に示す電波タグは、ほぼ同一形状であって、それぞれ周波数A及び周波数Bに対して吸収特性を示す電波吸収材を有している。このように各電波タグに異なる周波数特性の電波吸収材を貼り付けておくことにより、電波タグ走査装置3から周波数A又はBの電波が放射されると、それに対する周波数特性を示す電波吸収材のみが当該電波を吸収し発熱して、赤外線カメラ11により撮像されることになる。また、電波タグ走査装置3から周波数Aと周波数Bとを多重した電波が放射されると、両方の電波タグが発熱し、赤外線カメラ11により撮像されることになる。したがって、電波タグ走査装置3から放射される電波の周波数に基づき、赤外線カメラ11により取得される2次元赤外線分布データにおいて各電波タグを識別することができる。
さらに、本実施形態の電波タグシステムでは、赤外線カメラ11による電波タグの撮像において、以下のような性質を利用することができる。
図9は、赤外線カメラ11から異なる距離に配置された複数の活性化電波タグを識別する方法を示す図である。図9において、(a)は活性化された電波タグを含む赤外線センサによる2次元投射パターンを示す。電波タグ71’、74’は方形、電波タグ72’、73’は円形であるが、投射パターンの大きさが異なる。(b)の電波タグ71、72、73、74に対応した2次元投射パターンである。(b)は各電波タグの奥行き方向の配置を示したものである。(b)より電波タグ71、72、73、74の大きさは同様であり、奥行き方向の配置が異なる事が分かる。電波タグ71’と73’は光学系8からの距離L2の奥行きに、電波タグ72’と74’は距離L3の奥行きにある事が分かる。つまり赤外線カメラに近い電波タグの2次元投射パターンが大きく見える事を示している。しかしながら、方形の電波吸収材を備えた電波タグ71、74と円形の電波吸収材を備えた電波タグ72、73は、投射パターンの大きさが異なるも、形状が明らかに事なるため、2次元投射パターンを基に識別が可能である。電波タグ固有の発熱形状パターン(方形、円形など)は、電波タグの相関データとして予めパーソナルコンピュータ2にて記憶しておき、赤外線カメラから得られる2次元赤外線データと相関をとることで各電波タグの識別を行うことができる。
図10は、赤外線カメラ11から等距離に配置された複数の活性化電波タグを識別する方法を示す図である。図10において、(a)は活性化された電波タグを含む赤外線センサによる2次元投射パターンを示す。電波タグの2次元投射パターン81’、82’、83’は、(b)の電波タグ81、82、83に対応したものであり、同一形状であるが投射パターンの大きさが異なる。(b)は同一形状で大きさの異なる電波タグ81、82、83を同一の奥行きL4上に配置した事を示したものである。つまり赤外線カメラから同じ距離に配置された同一形状で大きさの異なる電波タグを、(a)の投射パターンを基に識別が可能である。大きさの異なる方形の電波吸収材を備えた電波タグ81、82、83は、同位置測定距離上に配置した場合、2次元投射パターンを基に識別が可能である。電波タグ固有の発熱形状の大きさパターン(大、中、小など)は、電波タグの相関データとして予めパーソナルコンピュータ2にて記憶しておき、赤外線カメラから得られる2次元赤外線データと相関をとることで各電波タグの識別を行うことができる。
図11は、同一形状で同一の大きさ複数の活性化電波タグについて、その赤外線カメラ11からの距離(奥行き)を検知して、各電波タグを識別する方法を示す図である。図11において、(a)は同一形状、同一の大きさの電波吸収材を備えた電波タグを奥行き方向に並べた時の赤外線センサによる2次元放射パターンを示す。2次元投射パターン電波タグ91’、92’、93’は、(b)の電波タグ91、92、93に対応したものであり、同一形状かつ同一の大きさであるが異なる大きさの発熱投射パターンになる。これは、電波タグそれぞれが異なる測定距離に配置される為である。(b)は同一形状で同一の大きさの電波吸収材を備えた電波タグ91、92、93をそれぞれ奥行きL5、L6、L7上に配置した事を示したものである。つまり赤外線カメラから異なる距離に配置された同一形状で大きさの同じ電波吸収材を備えた電波タグを、(a)の投射パターンから奥行き方向の違いを識別することが可能である。予め同一形状かつ同一の大きさの電波吸収材を備えた電波タグを使用する事が分かっていれば、最も近くの測定距離L5に配置された電波タグ91の発熱投射パターン91’が最も大きく、続く距離L6に配置された電波タグ92の投射パターン92’が、最後に距離L7に配置された電波タグ93の投射パターン93’が最も小さい事が分かる。以上の様に、赤外線カメラから得られる2次元赤外線データから、電波タグそれぞれの奥行き方向の相関を取ることで各電波タグの識別を行うことができる。
図12は、同一形状で同一の大きさ複数の活性化電波タグについて、その赤外線カメラ11からの距離(奥行き)を検知して、各電波タグを識別する方法を示す図である。図12において、(a)は複数の電波タグを奥行き方向に並べた時の赤外線センサによる2次元放射パターンを示す。電波タグの2次元投射パターン101’、102’、103’は、(b)の電波タグ101、102、103に対応したものであり、それぞれの相対温度が異なり、電波タグ101が最も高く、次に電波タグ102、電波タグ103の順である。(b)は同一形状で同一の大きさの電波吸収材を備えた電波タグ101、102、103をそれぞれ奥行きL8、L9、L10上に配置した事を示したものである。つまり赤外線カメラから異なる距離に配置された同一形状で大きさの同じ電波吸収材を備えた電波タグを、(a)の投射パターンの相対温度から奥行き方向の違いを識別することが可能である。予め同一形状かつ同一の大きさで活性時に同一の発熱量を示す電波吸収材を備えた電波タグを使用する事が分かっていれば、赤外線カメラから得られる2次元赤外線の相対温度データから、電波タグそれぞれの奥行き方向の相関をとることが可能である。つまり電波タグが受信する電波の強度が大きい程、活性化された時の温度上昇は大きい。電波タグが受信する電波の強度は、電波タグ走査装置3のアンテナ6からの距離が遠いほど小さく、近いほど大きくなる。よって赤外線カメラにより測定される電波タグの相対温度は、該アンテナ6からの距離がL8である電波タグ101が最も高く、距離L9にある電波タグ102が次に、さらに最も遠い距離L10にある電波タグ103が最も低い。この様に、複数の電波タグの相対温度を利用して、複数電波タグの相対距離を求める。また、温度差が大きい場合、複数の異なる大きさで異なる形状の電波吸収材を備えた電波タグの奥行き検知も可能である。
図13は、上下左右非対称な形状の電波吸収材を有する複数の電波タグについて、各電波タグの識別及びその上下左右配置方向の検知を行う方法を示す図である。(a)は活性化された電波タグを含む赤外線センサによる2次元投射パターンを示す。電波タグの発熱した2次元投射パターン111’、112’、113’、114’は、(b)の電波タグ111、112、113,114に対応したものであり、電波タグの上下左右の配置方向が異なる。図中の矢印は実際の発熱パターンではなく、電波タグの向きを判りやすく説明するものである。(b)は、複数の上下左右非対称な形状の電波吸収材を備えた電波タグ111、112、113、114を同一の奥行きL11上に配置した事を示したものである。つまり赤外線カメラから同じ距離に配置された、複数の上下左右非対称な形状の電波タグの配置される上下左右の向きを、(a)の投射パターンから各電波タグの識別を行うことができる。
以上、詳記したように、本実施形態による電波タグシステムでは、電波タグ走査装置から発生した電波の周波数に従って、電波タグに備えられた電波吸収材の周波数特性を持って発熱することで、その発熱パターンを赤外線カメラから、2次元赤外線分布データとして測定する事で、電波タグの位置情報を得ることが可能な、優れた電波タグシステムを提供することができる。
また、電波タグ走査処理装置が電波を放出せず、電波タグが発熱する前の2次元赤外線分布データと、電波走査装置から電波が放出され、その電波の周波数と吸収特性が一致した電波吸収材を備える電波タグの発熱パターンを含む2次元赤外線分布データとの差分を取ることで、活性化して発熱した電波タグの位置情報を抽出することができる。
また、予め電波タグに備えられた電波吸収材固有の形状パターンを分類記憶し、活性化発熱する電波タグの発熱パターンを赤外線カメラから、2次元赤外線分布データとして測定し、その分布データから電波タグの位置情報を得、また配置方向情報を得、さらに形状データの相関により電波タグを分類することができる。
また、本発明によれば、複数の電波タグに備えられた電波吸収材の発熱パターンの相対温度差から、複数の電波タグの奥行き方向の順序の情報を得ることができる。
また、本実施形態による電波タグシステムでは、電波タグ上に備える電波吸収材を2次元コード化することで、電波タグ固有の情報を得ることができる。
また、異なる電波吸収特性を示す電波吸収材を複数の電波タグに備え、電波タグ走査装置から放射される電波の周波数に従った、周波数特性を持った電波吸収材による電波の吸収と発熱から、電波タグの識別と分類を行うことができる。
上記では、本発明の非接触タグシステムについて、具体的な実施の形態を示して説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。当業者であれば、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、上記各実施形態又は他の実施形態にかかる発明の構成及び機能に様々な変更・改良を加えることが可能である。