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JP4479217B2 - インバータ制御方法及び多相電流供給回路 - Google Patents
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JP4479217B2 - インバータ制御方法及び多相電流供給回路 - Google Patents

インバータ制御方法及び多相電流供給回路 Download PDF

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Description

この発明はインバータ技術に関する。
平滑コンデンサの容量を著しく小さくし、しかも力率改善用リアクトルを用いず、単相交流電源から多相交流電流を得る技術が、例えば特許文献1や非特許文献1に開示されている。この技術においては、単相交流電源から与えられる入力電圧の位相に同期させて負荷電力を脈動させることにより、多相交流電流を出力するインバータに対して印加される直流電圧は、単相交流電源のほぼ2倍の周波数で大きく脈動する。
かかる脈動によって、単相交流電源から与えられる入力電流の導通幅を拡げることができ、力率が改善される。一方、インバータに対して印加される直流電圧がかかる脈動を有していても、当該インバータにおけるスイッチングを適切に制御することにより、多相交流電流を出力できる。かかるスイッチング制御をここでは単相コンデンサレスインバータ制御と称する。
単相コンデンサレスインバータ制御では、平滑コンデンサを小型化でき、しかもリアクトルをも必要としないので、整流回路及びインバータを含む回路の全体を小型化し、コストダウンを招来する。
しかし平滑コンデンサの容量が小さいと、交流電源のリアクトルとの共振周波数は電源周波数よりも高くなり、入力電流の高調波成分が突出して出現することになる。そこでこれを抑制するために、特許文献1や非特許文献1では、入力電流をフィードバックして、これを正弦波となるような電力制御が提案されている。
特開2002−51589号公報 芳賀仁、齋藤和夫、高橋勲「単相ダイオード整流回路の電解コンデンサレス高力率インバータ制御法」、平成15年電気学会全国大会論文集4−069(平成15年3月)、第99頁
しかしながら、マイクロコンピュータなどを用いてデジタル制御でフィードバック制御を実現する場合、その制御周期に依存して制御帯域が制限され、高周波の共振の抑制は容易ではない。この共振は負荷が軽くなるほどに顕著となる傾向がある。
本発明は、かかる共振を容易に軽減する技術を提供することを目的としている。
この発明にかかるインバータ制御方法は、交流電源(1)から入力電圧(vin)及び入力電流(iin)を受けて全波整流を行うダイオード群(2)と、前記ダイオード群の出力を受けるコンデンサ(31)を有する平滑回路(3)と、前記平滑回路の出力を受け、多相の交流電流(iu,iv,iw)を出力するインバータ(4)とを用いて多相駆動部(5)を駆動する際に前記インバータのスイッチングを制御する方法である。
そしてその第1の態様は、(a)前記多相駆動部の回転角速度(ωm)、前記回転角速度の指令値(ωm *)、及び前記入力電圧(vin)の位相角(θin)に基づいて前記多相駆動部の駆動電流の指令値(idq *)を生成するステップと、(b)前記駆動電流の指令値に基づいて前記インバータのスイッチング動作の指令値(Tu,Tv,Tw)を生成するステップとを備える。但し、前記ステップ(a)は(a−1)前記多相駆動部の回転角速度(ωm)と前記回転角速度の指令値(ωm *)との差に基づいて第1の電流指令値(im *)を生成するステップと、(a−2)前記第1の電流指令値を、前記入力電圧の周期の半分の周期で変化する変調係数(r)(|sinθin|;sin2θin)に基づいて変調して第2の電流指令値(iT *)を生成するステップと、(a−3)前記入力電流の絶対値の立ち上がりを妨げる補正電流指令値(icorr *)を前記第2の電流指令値に加えて前記駆動電流の指令値(idq *)を生成するステップとを有する。
この発明にかかるインバータ制御方法の第2の態様は、第1の態様であって、前記補正電流指令値(icorr *)は正弦波の半周期分の波形を呈し、前記入力電流の絶対値(|iin|)の立ち上がり時から立ち下がり、前記正弦波の半周期は前記入力電流の絶対値の振動周期の半分である。
この発明にかかるインバータ制御方法の第3の態様は、第1の態様であって、前記補正電流指令値(icorr *)は正弦波の半周期分の波形を呈し、前記入力電流の絶対値(|iin|)の立ち上がり時から前記半周期分が経過してから立ち上がり、前記正弦波の半周期は前記入力電流の絶対値の振動周期の半分である
この発明にかかるインバータ制御方法の第4の態様は、第1乃至第3の態様であって、前記ステップ(a)は、(a−4)前記入力電流の絶対値の指令値(|iin *|)と前記入力電流の絶対値(|iin|)との差に基づいた補償信号(icomp *)を前記駆動電流の指令値(idq *)に加算して、前記駆動電流の指令値(idq *)を更新するステップを更に有する。
この発明にかかるインバータ制御方法の第5の態様は、第4の態様であって、前記ステップ(a−4)は、(a−4−1)前記入力電圧の位相角の正弦値(sinθin)と前記入力電流(iin)との積を平均化した値の2倍を第1の値(iin1)として求めるステップと、(a−4−2)前記変調係数(r)に前記第1の値を乗じて前記入力電流の絶対値の指令値(|iin *|)を求めるステップとを含む。
この発明にかかる多相電流供給回路は、交流電源(1)から入力電圧(vin)及び入力電流(iin)を受けて全波整流を行うダイオード群(2)と、前記ダイオード群の出力を受けるコンデンサ(31)を有する平滑回路(3)と、前記平滑回路の出力を受け、スイッチング制御を行って多相駆動部へと多相の交流電流(iu,iv,iw)を出力するインバータ(4)とを備える多相電流供給回路である。
そしてその第1の態様は、前記多相駆動部の回転角速度(ωm)と前記回転角速度の指令値(ωm *)との差に基づいて第1の電流指令値(im *)を生成する速度制御演算部(63)と、前記第1の電流指令値を、前記入力電圧の周期の半分の周期で変化する変調係数(r)(|sinθin|;sin2θin)に基づいて変調して第2の電流指令値(iT *)を生成する電流指令値変調部(641)と、前記入力電流の絶対値の立ち上がりを妨げる補正電流指令値(icorr *)を前記第2の電流指令値に加えて前記駆動電流の指令値(idq *)を生成する駆動電流指令値生成部(642)と、前記駆動電流の指令値に基づいて前記インバータのスイッチング動作の指令値(Tu,Tv,Tw)を生成する指令値信号生成手段(60)とを備える。
この発明にかかる多相電流供給回路の第2の態様は、第1の態様であって、前記補正電流指令値(icorr *)は正弦波の半周期分の波形を呈し、前記入力電流の絶対値(|iin|)の立ち上がり時から立ち下がり、前記正弦波の半周期は前記入力電流の絶対値の振動周期の半分である。
この発明にかかる多相電流供給回路の第3の態様は、第1の態様であって、前記補正電流指令値(icorr *)は正弦波の半周期分の波形を呈し、前記入力電流の絶対値(|iin|)の立ち上がり時から前記半周期分が経過してから立ち上がり、前記正弦波の半周期は前記入力電流の絶対値の振動周期の半分である。
この発明にかかる多相電流供給回路の第4の態様は、第1乃至第3の態様であって、前記入力電流の絶対値の指令値(|iin *|)と前記入力電流の絶対値(|iin|)との差に基づいた補償信号(icomp *)を前記駆動電流の指令値(idq *)に加算して、前記駆動電流の指令値(idq *)を更新する駆動電流指令値更新部(643)を更に備える。
この発明にかかる多相電流供給回路の第5の態様は、第4の態様であって、前記駆動電流指令値更新部(644)は、前記入力電圧の位相角の正弦値(sinθin)と前記入力電流(iin)との積を平均化した値の2倍を第1の値(iin1)として求める平均化部(643a)と、前記変調係数に前記第1の値を乗じて前記入力電流の絶対値の指令値(|iin *|)を求める乗算器(643b)とを有する。
この発明にかかるインバータ制御方法の第1の態様及び多相電流供給回路の第1の態様によれば、補正電流指令値によって入力電流の立ち上がりを妨げることにより、入力電流の共振を抑制することができる。
この発明にかかるインバータ制御方法の第2の態様及び多相電流供給回路の第2の態様によれば、入力電流の絶対値が急峻に立ち上がることを抑制できるので、高調波を抑制する効果が高い。
この発明にかかるインバータ制御方法の第3の態様及び多相電流供給回路の第3の態様によれば、電力の回生を必要としないので運転状態によらずに採用することができる。
この発明にかかるインバータ制御方法の第4の態様及び多相電流供給回路の第4の態様によれば、入力電流の絶対値の指令値に対する、入力電流の絶対値の追従性を改善し、共振を抑制する。
この発明にかかるインバータ制御方法の第5の態様及び多相電流供給回路の第5の態様によれば、入力電流の絶対値の指令値を求めることができる。
図1は本発明の実施の形態にかかる駆動装置を例示する回路図である。当該駆動装置は多相駆動部たるモータ5と、これに多相電流を供給する多相電流供給回路とを備えている。
多相電流供給回路はダイオードブリッジ2、平滑回路3、インバータ4、制御回路6を備えている。ダイオードブリッジ2には単相交流の電源1が接続され、単相交流の入力電圧vin及び単相交流の入力電流iinが供給される。電源1は理想的交流電圧源11と、誘導性リアクトル12との直列接続として示されている。
ダイオードブリッジ2は全波整流を行う機能を有し、入力電圧vinを全波整流して平滑回路3に入力する。平滑回路3はコンデンサ31を有している。具体的にはコンデンサ31の両端の間にダイオードブリッジ2の出力を受け、コンデンサ31の両端に生じた整流電圧(両端電圧)vdcがインバータ4に出力される。
インバータ4は平滑回路3の出力を受け、コンデンサ31の一端(ダイオードブリッジ2を構成するダイオードのカソード側)からインバータ4へと電流iinvが入力する。コンデンサ31の容量は、両端電圧vdcが入力電圧vinの周波数の2倍の周波数で大きく脈動するように設定される。例えばコンデンサ31の容量として数十μF程度が設定される。
インバータ4は三相の電流iu,iv,iwをモータ5に供給する。電流iu,iv,iwはそれぞれU相、V相、W相に対応する。インバータ4は、いずれもコンデンサ31の一端に接続されるコレクタを有する3個のトランジスタ(アッパーアーム側トランジスタ)と、いずれもコンデンサ31の他端(ダイオードブリッジ2を構成するダイオードのアノード側)に接続されるエミッタを有する3個のトランジスタ(ローワーアーム側トランジスタ)とを備えている。
アッパーアーム側トランジスタのそれぞれは、ローワーアーム側トランジスタのそれぞれと相毎に対をなす。対を形成するアッパーアーム側トランジスタのエミッタと、ローワーアーム側トランジスタのコレクタとは共通に接続され、その接続点から電流iu,iv,iwが出力される。アッパーアーム側トランジスタ及びローワーアーム側トランジスタのそれぞれは、制御回路6からのスイッチング動作の指令値信号Tu、Tv、Twに基づいてオン/オフのスイッチングが制御される。指令値信号Tu、Tv、TwはそれぞれU相、V相、W相に対応する。
なお、モータ5からの回生電流を流すため、アッパーアーム側トランジスタ及びローワーアーム側トランジスタのそれぞれに対して、エミッタに接続されたアノードと、コレクタに接続されたカソードとを有するフリーホイールダイオードが設けられている。
制御回路6は電流iu,iv,iw及びモータ5の回転子の回転角(機械角)θm、並びに入力電圧の位相角θin及びコンデンサ31の両端電圧vdcを入力する。これらの諸量は周知の技術を用いて検出することができる。制御回路6にはモータ5の速度である回転角速度(機械角の角速度)の指令値ωm *、電流位相指令値β*も入力する。そしてこれらの値に基づいて、指令値信号Tu、Tv、Twを後述する計算に基づいて生成する。
図2は制御回路6の構成を例示するブロック図である。制御回路6は、位置・速度演算部61、d−q座標変換部62、速度制御演算部63、指令値電流演算部64、dq軸電流制御部65、PWM(Pulse Width Modulation)演算部66、PWMタイマ部67を備えており、それぞれ下記の計算を実行する機能を有している。
位置・速度演算部61はモータ5の回転子の機械角θmに基づいて、モータ5の回転子の回転角(電気角)θeと、モータ5の速度である回転角速度(電気角の角速度)ωe及び回転角速度(機械角の角速度)ωmを求めて出力する。d−q座標変換部62は電流iu,iv,iwとモータ5の電気角θeとから、式(1)に基づいていわゆるd軸電流id及びq軸電流iqを求める。
Figure 0004479217
速度制御演算部63は減算器63aと、PI演算部63bとを有している。減算器63aはモータ5の機械角の角速度の指令値ωm *と機械角の角速度ωmとの差を採り、当該差がPI演算部63bによって比例・積分演算(PI演算)が施されて第1の電流指令値im *が出力される。
指令値電流演算部64は電流指令値変調部641、共振抑制補正部642、電流指令値補償部643、dq電流指令値生成部644を有している。電流指令値変調部641は第1の電流指令値im *を後に詳述する変調係数rを用いて変調し、第2の電流指令値iT *を生成する。共振抑制補正部642は第2の電流指令値iT *に後述する補正電流指令値icorr *を加えて駆動電流指令値idq *を生成する。この意味で、共振抑制補正部642は駆動電流指令値生成手段として把握することもできる。電流指令値補償部643は、入力電流iinの絶対値|iin|とその指令値|iin *|との差に基づいて、後に詳述する補償電流指令値icomp *を加算することにより駆動電流指令値idq *を更新する。この意味で、電流指令値補償部643は、駆動電流の指令値を更新する駆動電流指令値更新手段として把握することもできる。
dq電流指令値生成部644は駆動電流指令値idq *と電流位相指令値β*とを用い、式(2)に基づいてd軸電流指令値id *及びq軸電流iq *を出力する。つまり駆動電流指令値idq *に対して所定値(−β*)の正弦値(−sinβ*)と余弦値(cosβ*)とを乗じて、それぞれd軸電流指令値id *とq軸電流指令値iq *とを生成する。
Figure 0004479217
dq軸電流制御部65は、d軸電流id及びq軸電流iq並びにd軸電流指令値id *及びq軸電流iq *並びに電気角の角速度ωeを入力し、式(3)に基づいてd軸電圧指令値vd *及びq軸電圧指令値vq *を出力する。但し、式(3)においてKd,Kqはそれぞれd軸及びq軸の比例ゲインであり、Ld,Lqはそれぞれd軸及びq軸のモータインダクタンスであり、φaはモータ逆起電圧定数である。
Figure 0004479217
PWM演算部66には、回転子の回転角(電気角)θe並びにd軸電圧指令値vd *及びq軸電圧指令値vq *を入力し、式(4)に基づいて各相電圧指令値vu *,vv *,vw *を生成する。
Figure 0004479217
更に、PWM演算部66には両端電圧vdcも入力し、これと各相電圧指令値vu *,vv *,vw *とを用いて、式(5)に基づいて、各相のアッパーアーム側トランジスタのオン時間τj(j=u,v,w)を求める。但し式(5)において、キャリア周期Tcを導入している。またオン時間τjがキャリア周期Tcを越える場合にはその値を強制的にTcにし、オン時間τjが0未満となる場合にはその値を強制的に0にする。
Figure 0004479217
PWMタイマ部67はオン時間τu,τv,τwをキャリア周期Tc毎に記憶し、記憶された時間に応答して各相トランジスタをオン・オフする制御信号Tu,Tv,Twをインバータ4に与える。
位置・速度演算部61、d−q座標変換部62、dq軸電流制御部65、PWM演算部66、PWMタイマ部67のまとまりは、d軸電流指令値id *及びq軸電流指令値iq *に基づいて指令値信号Tu,Tv,Twを生成する指令値信号生成手段60として把握することができる。
電流指令値変調部641は変調係数生成部641aと乗算器641bとを備えている。変調係数生成部641aは電圧vinの位相角θinを入力して変調係数rを生成する。乗算器641bは変調係数rを第1の電流指令値im *に乗じて第2の電流指令値iT *を生成する。
さて、理想的な入力電流iin0が実現されるのであれば、入力電流iinの高調波成分を顕著に抑制できる。この場合に入力される電力Pinは、式(6)で表すことができる。
Figure 0004479217
このように入力電力Pinは入力電圧vinの位相θinの正弦波の二乗に比例するので、入力電圧vinの周波数の2倍の周波数で変動する。
また、式(7)で示されるようにモータ5での消費電力Pmはモータ5のトルクτmと回転角周波数ωmの積である一方、入力電力Pinにインバータ4の効率η4とモータ5の効率η5を乗じた電力としても把握できる。
Figure 0004479217
モータ5には慣性が生じるため、回転角周波数ωmはほぼ一定に保たれる。従って、モータのトルクτmを入力電圧vinの周波数の2倍の周波数で変動させることは、入力電流iinを理想的な入力電流iin0へと制御する観点から望ましい。かかる制御は例えば上述の特許文献1に紹介されている。
そしてモータ5のトルクτmは、モータに流す電流の位相β(この指令値が電流位相指令値β*である)が一定であれば、式(8)に示されるように駆動電流idq(この指令値が駆動電流指令値idq *である)に比例する。
Figure 0004479217
よって駆動電流指令値idq *を入力電圧vinの周波数の2倍の周波数で変動させることは、入力電流iinを理想的な入力電流iin0へと制御する観点から望ましい。そこで変調係数rとして電圧vinの周波数の2倍の周波数で変動する非負の係数を採用する。
図3は変調係数生成部641aの構成を例示するブロック図である。変調係数生成部641aは正弦値生成部6410と絶対値生成部6411を有している。正弦値生成部6410は位相角θinを入力してその正弦値sinθinを生成し、これを受けて絶対値生成部6411が変調係数rとして|sinθin|を生成する。
このほか、絶対値生成部6411に代えて、入力の二乗を生成する機能を用いてもよい。この場合、変調係数rとしてsin2θinが採用されることになる。
理想的な場合には第2の電流指令値iT *を駆動電流指令値idq *に採用すればよい。しかし共振を抑制するためには第2の電流指令値iT *に補正を行って駆動電流指令値idq *を生成する必要がある。
図2に戻り、共振抑制補正部642は絶対値生成部642aと共振抑制パターン重畳部642bと、加算器642cとを有している。絶対値生成部642aは入力電流iinの絶対値|iin|を生成し、これを受けて共振抑制パターン重畳部642bが補正電流指令値icorr *を生成する。加算器642cは第2の電流指令値iT *に補正電流指令値icorr *を加算して駆動電流指令値idq *を生成する。
図4は共振抑制パターン重畳部642bの構成を例示するブロック図である。共振抑制パターン重畳部642bは共振位相算出部6421とパターン生成部6422とを有している。共振位相算出部6421は絶対値生成部642aから得た入力電流iinの絶対値|iin|に基づいて、共振位相θrを生成する。パターン生成部6422は共振位相θrに基づいて、補正電流指令値icorr *を生成する。
図5乃至図7は補正電流指令値icorr *の挙動及びその効果を説明するグラフである。図5は補正電流指令値icorr *を加算することなく第2の電流指令値iT *をそのまま駆動電流指令値idq *に採用した場合を、図6は補正電流指令値icorr *として共振位相θrが0〜π(rad)の間で実効的な場合を、図7は補正電流指令値icorr *として共振位相θrがπ〜2π(rad)の間で実効的な場合を、それぞれ示している。
入力電流iinの絶対値|iin|の立ち上がりが、共振位相θrの基準(0rad)として採用される。ダイオードブリッジ2を構成するダイオードに順方向電流が流れる際に、ダイオードに印加される電圧は入力電圧vinや両端電圧vdcと比較して非常に小さく無視できるので、入力電圧vinが両端電圧vdcを越えた時点を共振位相θrの基準として把握することもできる。
補正電流指令値icorr *は、例えば共振位相θr=0から所定の期間内2Δにおいて、実効的な値を採る。図6及び図7のいずれにおいても補正電流指令値icorr *が実効的な値を採る期間はΔであり、図6及び図7ではそれぞれ当該期間Δの起点としてθr=0,πが採用される場合が例示されている。
補正電流指令値icorr *は周期2Δの正弦波形から期間Δを取り出した波形を有しており、その周期2Δは2π(LC)1/2で与えられる。ここで値Lは誘導性リアクトル12のインダクタンスを、値Cはコンデンサ31の容量値を、それぞれ採用することができる。また補正電流指令値icorr *の振幅は、コンデンサ31の容量値C、入力電圧vinの実効値Vin及び角周波数ωinを用いて、Kr=31/2・ωinCVinを採用することができる。よって補正電流指令値icorr *は式(9)で表される。
Figure 0004479217
但し、tは時刻を示し、その基準(値0)を入力電流iinの絶対値|iin|の立ち上がりとして採用する。そして図6ではt=0〜π(LC)1/2以外において、また図7ではt=π(LC)1/2〜2π(LC)1/2以外において、いずれもicorr *=0となる。
なお期間Δを実験的に求めてもよい。例えば図5に示された入力電流の絶対値|iin|の振動から求めることができる。また補正電流指令値icorr *の振幅も実験的に求めてもよい。
入力電流iinの絶対値|iin|が立ち上がってから期間Δの間(共振位相θrが0〜π(rad)の間)で補正電流指令値icorr *が実効的な値を採る場合(図6)には、入力電流iinの絶対値|iin|が急峻に立ち上がることを抑制できるので、高調波を抑制する効果は高い。しかし負荷側からインバータ側へと電力を回生させることになるので、運転状態、例えば回転数の大きさによっては、容易には実現されない場合もあり得る。
入力電流iinの絶対値|iin|が立ち上がってから期間Δが経過した後の更に期間Δの間(共振位相θrがπ〜2π(rad)の間)で補正電流指令値icorr *が実効的な値を採る場合(図7)には、入力電流iinの絶対値|iin|の急峻な立ち上がりを抑制できないものの、負荷電力を増加させることになるので、電力の回生を必要とせず、よって運転状態によらずに採用することができる。
もちろん、本発明では入力電流の絶対値の立ち上がりを妨げる補正電流指令値icorr *であれば、その実効的な値を採る期間が限定されるものではなく、その波形も正弦波に限定されるものではない。式(9)で表された補正電流指令値icorr *は好適な例示に過ぎない。
図8は制御回路6の動作を例示するフローチャートである。まずステップS11において速度制御演算部63により、第1の電流指令値im *が生成される。次にステップS12において電流指令値変調部641によって第2の電流指令値iT *が生成される。次にステップS13において共振抑制補正部642によって補正電流指令値icorr *が第2の電流指令値iT *に加算され、駆動電流指令値idq *が生成される。次にステップS14において電流指令値補償部643によって、後述する補償電流指令値icomp *が加算されて駆動電流指令値idq *が更新される。次にステップS15においてdq電流指令値生成部644、dq軸電流制御部65によって電流制御が行われ、更にステップS16においてPWM演算部66、PWMタイマ部67によって指令値信号Tu、Tv、Twが生成される。
図9はステップS13の詳細を例示するフローチャートである。ステップS13はステップS130〜S139を有している。ステップS13ではまずステップS130において、駆動電流指令値idq *として第2の電流指令値iT *を採用する。次にステップS131において入力電圧vinの位相θinが零であるか否かを判断する。もちろん、位相θinが零であるか否かの判断には、実際上は、位相θinが所定の正値よりも小さいことを採用することが望ましい。そして位相θinが零であればステップS132へと処理が進む。ステップS132では共振位相θrの仮の値として、2π以上の値Θを代入する。またフラグflgに値1を与える。その後はステップS133へとと処理が進む。位相θinが零以外であればステップS132を経由することなく(即ちフラグflgに値1が強制的に与えられることなく)ステップS133へと処理が進む。
ステップS133ではフラグflgの値が1であって、かつ入力電流iinの絶対値|iin|が非零であるかが判断される。つまり位相θinが零となった後に入力電流iinの絶対値|iin|の立ち上がりが検出されたかどうかが判断される。もちろん、入力電流iinの絶対値|iin|が非零であるかの判断には、実際上は、絶対値|iin|が所定の正値よりも大きいことを採用することが望ましい。
入力電流iinの絶対値|iin|の立ち上がりが検出された場合、ステップS133の判断結果がYesとなってステップS134へと処理が進み、共振位相θrに初期値零が設定される。そしてフラグflgの値を零にする。
ステップS134が実行されたのち、ステップS135に処理が移行する。またステップS133において判断結果がNoであった場合にもステップS135に処理が移行する。ステップS135において共振位相θrは、増分2πfr/fcだけ増加する。ここで周波数fr,fcはそれぞれ共振周波数及びキャリア周波数であり、1/{2π(LC)1/2},1/Tcで表される。もちろん、周波数frについては期間Δと同様に実験的に定めてもよい。
ステップS135が実行された後、ステップS136によって図6に示された手法と図7に示された手法とが選択される。図9中、記号(i)(ii)はそれぞれ図6に示された手法と図7に示された手法とを採用する場合の分岐を示している。
図6に示された手法を採用する場合、既述のように補正電流指令値icorr *として共振位相θrが0〜π(rad)の間で実効的な値を採る。よってステップS137へと処理が進み、共振位相θrが0〜πであればステップS138へと処理が進み、式(9)に示された補正電流指令値icorr *に相当した増分で駆動電流指令値idq *を増加させる。それ以外の場合にはステップS13の処理は終了する。同様にして図7に示された手法を採用する場合、既述のように補正電流指令値icorr *として共振位相θrがπ〜2π(rad)の間で実効的な値を採る。よってステップS139へと処理が進み、共振位相θrがπ〜2πであればステップS138へと処理が進む。
なお、ステップS133において入力電流iinの絶対値|iin|の立ち上がりがまだ生じていない場合には、ステップS132が実行されたままステップS134が実行されていないので、位相θrは値Θを採って2π以上である。よってステップS137,S139のいずれの判断においてもステップS138へとは処理が進まず、よって補正電流指令値icorr *の加算は実質的には行われない。
また、一旦、補正電流指令値icorr *が実効的な値を採った後もステップS135によって位相θrは増加し続ける場合も同様である。そしてこれは処理がステップS133からステップS134を経由して位相θrが零に設定されるまで続き、補正電流指令値icorr *の加算は実質的には行われない。
もちろん、図6に示された手法と図7に示された手法とのうち、いずれか採用する方が定まっていれば、ステップS136は不要であり、従ってステップS137,S139のいずれか一方も不要である。
図2に戻り、電流指令値補償部643の構成及びその動作について説明する。電流指令値補償部643は補償電流指令値icomp *を生成する入力電流補償部643dと、これを共振抑制補正部642の出力として得られた駆動電流指令値idq *に加算して更新する加算機643eとを有している。
理想的な場合には第2の電流指令値iT *を駆動電流指令値idq *に採用すればよい。しかし、このように駆動電流指令値idq *を設定しても、インバータ4やモータ5の動作点の変動に依存して効率η4,η5(式(7)参照)が変動したり、コンデンサ31への充電電流に依存して入力電流iinは理想的な入力電流iin0から歪んでしまう。
そこで、補償電流指令値icomp *を加えて駆動電流指令値idq *を更新する。理想的には入力電力Pinが駆動電流idqと比例するのであるから、入力電流iinが理想的な入力電流iin0よりも大きい場合には、補償電流指令値icomp *を小さくし、入力電流iinが理想的な入力電流iin0よりも小さい場合には、補償電流指令値icomp *を大きくする。
電流指令値補償部643は、入力電流iinの絶対値|iin|とその指令値|iin *|との差に基づいて補償電流指令値icomp *を生成するために、減算器643cを備えており、その出力が入力電流補償部643dに与えられている。減算器643cは入力電流iinの絶対値|iin|をその指令値|iin *|から差し引き、その結果に対して入力電流補償部642eがPI制御、例えば比例制御を行い、補償電流指令値icomp *が生成される。入力電流iinの絶対値|iin|は電流指令値補償部643内で別途に生成してもよいが、共振抑制補正部642が備える絶対値生成部642aからの出力を利用したり、絶対値生成部642aを共振抑制補正部642と電流指令値補償部643とで共有してもよい。
電流指令値補償部643は、入力電流iinの絶対値の指令値|iin *|を生成するため、平均化部643aと乗算器643bとを有している。平均化部643aは入力電流iinの平均化を行って、その基本周波数成分の振幅iin1を生成する。乗算器643bは、電流指令値変調部641が備える変調係数生成部641aから得た変調係数rと基本周波数成分の振幅iin1との積として入力電流iinの絶対値の指令値|iin *|を生成する。変調係数生成部641aは電流指令値補償部643において別途に設けてもよいし、電流指令値変調部641と電流指令値補償部643との間で共有されてもよい。
図10は平均化部643aの構成を例示するブロック図である。平均化部643aは正弦値生成部6430と、乗算器6431と積分計算部6432とを有している。基本周波数成分の振幅iin1は式(10)によって計算される。
Figure 0004479217
正弦値生成部6430は入力電圧vinの位相角θinの正弦値sinθinを生成し、乗算器6431は入力電流iinと正弦値sinθinの積を採り、積分計算部6432は当該積を位相角θinについて区間0〜2πまで積分した結果をπで除して基本周波数成分の振幅iin1を得る。
以上のようにして、補償電流指令値icomp *を加えることにより駆動電流指令値idq *を更新し、これに基づいてインバータ4のスイッチング制御を行うことにより、入力電流iinの指令値iin *に対する入力電流iinの追従性を改善し、共振しにくい制御系を構築することができる。
本発明の実施の形態にかかる駆動装置を例示する回路図である。 制御回路6の構成を例示するブロック図である。 変調係数生成部641aの構成を例示するブロック図である。 共振抑制パターン重畳部642bの構成を例示するブロック図である。 補正電流指令値icorr *の挙動及びその効果を説明するグラフである。 補正電流指令値icorr *の挙動及びその効果を説明するグラフである。 補正電流指令値icorr *の挙動及びその効果を説明するグラフである。 制御回路6の動作を例示するフローチャートである。 制御回路6の動作を例示するフローチャートである。 平均化部643aの構成を例示するブロック図である。
符号の説明
1 交流電源
2 ダイオードブリッジ
3 平滑回路
31 コンデンサ
4 インバータ
5 モータ
6 制御回路
60 指令値信号生成手段
641 電流指令値変調部
642 共振抑制補正部(駆動電流指令値生成手段)
643 電流指令値補償部(駆動電流指令値更新手段)
643a 平均化部
643b 乗算器

Claims (10)

  1. 交流電源(1)から入力電圧(vin)及び入力電流(iin)を受けて全波整流を行うダイオード群(2)と、
    前記ダイオード群の出力を受けるコンデンサ(31)を有する平滑回路(3)と、
    前記平滑回路の出力を受け、多相の交流電流(iu,iv,iw)を出力するインバータ(4)と
    を用いて多相駆動部(5)を駆動する際に前記インバータのスイッチングを制御する方法であって、
    (a)前記多相駆動部の回転角速度(ωm)、前記回転角速度の指令値(ωm *)、及び前記入力電圧の位相角(θin)に基づいて前記多相駆動部の駆動電流の指令値(idq *)を生成するステップと、
    (b)前記駆動電流の指令値に基づいて前記インバータのスイッチング動作の指令値(Tu,Tv,Tw)を生成するステップと
    を備え、
    前記ステップ(a)は
    (a−1)前記多相駆動部の回転角速度(ωm)と前記回転角速度の指令値(ωm *)との差に基づいて第1の電流指令値(im *)を生成するステップと、
    (a−2)前記第1の電流指令値を、前記入力電圧の周期の半分の周期で変化する変調係数(r)(|sinθin|;sin2θin)に基づいて変調して第2の電流指令値(iT *)を生成するステップと、
    (a−3)前記入力電流の絶対値の立ち上がりを妨げる補正電流指令値(icorr *)を前記第2の電流指令値に加えて前記駆動電流の指令値(idq *)を生成するステップと
    を有するインバータ制御方法。
  2. 前記補正電流指令値(icorr *)は正弦波の半周期分の波形を呈し、前記入力電流の絶対値(|iin|)の立ち上がり時から立ち下がり、前記正弦波の半周期は前記入力電流の絶対値の振動周期の半分である、請求項1記載のインバータ制御方法。
  3. 前記補正電流指令値(icorr *)は正弦波の半周期分の波形を呈し、前記入力電流の絶対値(|iin|)の立ち上がり時から前記半周期分が経過してから立ち上がり、前記正弦波の半周期は前記入力電流の絶対値の振動周期の半分である、請求項1記載のインバータ制御方法。
  4. 前記ステップ(a)は、
    (a−4)前記入力電流の絶対値の指令値(|iin *|)と前記入力電流の絶対値(|iin|)との差に基づいた補償信号(icomp *)を前記駆動電流の指令値(idq *)に加算して、前記駆動電流の指令値(idq *)を更新するステップ
    を更に有する、請求項1乃至3のいずれか一つに記載のインバータ制御方法。
  5. 前記ステップ(a−4)は、
    (a−4−1)前記入力電圧の位相角の正弦値(sinθin)と前記入力電流(iin)との積を平均化した値の2倍を第1の値(iin1)として求めるステップと、
    (a−4−2)前記変調係数(r)に前記第1の値を乗じて前記入力電流の絶対値の指令値(|iin *|)を求めるステップと
    を含む、請求項4記載のインバータ制御方法。
  6. 交流電源(1)から入力電圧(vin)及び入力電流(iin)を受けて全波整流を行うダイオード群(2)と、
    前記ダイオード群の出力を受けるコンデンサ(31)を有する平滑回路(3)と、
    前記平滑回路の出力を受け、スイッチング制御を行って多相駆動部へと多相の交流電流(iu,iv,iw)を出力するインバータ(4)と
    を備える多相電流供給回路であって、
    前記多相駆動部の回転角速度(ωm)と前記回転角速度の指令値(ωm *)との差に基づいて第1の電流指令値(im *)を生成する速度制御演算部(63)と、
    前記第1の電流指令値を、前記入力電圧の周期の半分の周期で変化する変調係数(r)(|sinθin|;sin2θin)に基づいて変調して第2の電流指令値(iT *)を生成する電流指令値変調部(641)と、
    前記入力電流の絶対値の立ち上がりを妨げる補正電流指令値(icorr *)を前記第2の電流指令値に加えて前記駆動電流の指令値(idq *)を生成する駆動電流指令値生成部(642)と、
    前記駆動電流の指令値に基づいて前記インバータのスイッチング動作の指令値(Tu,Tv,Tw)を生成する指令値信号生成手段(60)と
    を備える多相電流供給回路。
  7. 前記補正電流指令値(icorr *)は正弦波の半周期分の波形を呈し、前記入力電流の絶対値(|iin|)の立ち上がり時から立ち下がり、前記正弦波の半周期は前記入力電流の絶対値の振動周期の半分である、請求項6記載の多相電流供給回路。
  8. 前記補正電流指令値(icorr *)は正弦波の半周期分の波形を呈し、前記入力電流の絶対値(|iin|)の立ち上がり時から前記半周期分が経過してから立ち上がり、前記正弦波の半周期は前記入力電流の絶対値の振動周期の半分である、請求項6記載の多相電流供給回路。
  9. 前記入力電流の絶対値の指令値(|iin *|)と前記入力電流の絶対値(|iin|)との差に基づいた補償信号(icomp *)を前記駆動電流の指令値(idq *)に加算して、前記駆動電流の指令値(idq *)を更新する駆動電流指令値更新部(643)
    を更に備える、請求項6乃至8のいずれか一つに記載の多相電流供給回路。
  10. 前記駆動電流指令値更新部(643)は、
    前記入力電圧の位相角の正弦値(sinθin)と前記入力電流(iin)との積を平均化した値の2倍を第1の値(iin1)として求める平均化部(643a)と、
    前記変調係数に前記第1の値を乗じて前記入力電流の絶対値の指令値(|iin *|)を求める乗算器(643b)と
    を有する、請求項9記載の多相電流供給回路。
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