JP4479642B2 - 発光素子の製造方法 - Google Patents
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Description
現在、より高性能な有機EL素子を得るため、材料の開発・改良をはじめ、様々なデバイス構造が提案されており、活発な研究が行われている。
そして、実用化に向けて、さらなる発光効率および耐久性(寿命)の向上を目指し、種々の研究がなされている。
本発明の発光素子の製造方法は、複数の陽極の一方の面側に、目的とするポリシロキサン誘導体に対応するモノマーを付与し、該モノマーをプラズマ重合法により重合して、前記ポリシロキサン誘導体を主材料として構成された被膜を前記複数の陽極を連続して覆うように形成する第1の工程と、
前記被膜のうち、前記複数の陽極に対応する領域に対して選択的に紫外線を照射して、前記被膜中のポリシロキサン誘導体をSiO2に変化させることにより、前記領域に対応する陽極バッファ層を形成する第2の工程と、
前記陽極バッファ層上に、少なくとも発光層を備える半導体層を形成する第3の工程と、
該半導体層の前記陽極と反対側に、陰極を形成する第4の工程とを有することを特徴とする。
これにより、発光効率および耐久性(寿命)に優れる発光素子を製造することができる。
本発明の発光素子の製造方法では、前記第1の工程において、さらに、前記複数の陽極のそれぞれを隔離するように、隔壁部を形成し、
前記複数の陽極と前記隔壁部とを連続して覆うように、前記被膜を形成することが好ましい。
本発明の発光素子の製造方法では、前記ポリシロキサン誘導体は、置換基として、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシル基およびハロゲン基のうちの少なくとも1つを含むことが好ましい。
これらの置換基を有するポリシロキサン誘導体は、特に撥液性の高いものとなる。その結果、ポリシロキサン誘導体は、本工程の途中で、吸湿による変質・劣化を防止し得るものとなる。
これにより、Si−O結合が実質的に切断されることなく、Siと置換基との結合を選択的に切断することができる。その結果、ポリシロキサン誘導体をより効果的にSiO2に変化させ、陽極バッファ層を形成することができる。
これにより、酸素などによる紫外線の吸収、オゾンの発生を防止し、ポリシロキサン誘導体を効果的にSiO2に変化させ、紫外線の照射により生成したSiO2が、水蒸気の影響により変質・劣化するのをより確実に防止することができる。
これにより、SiO2が吸湿および不純物が付着し得る時間を短くし、これらに伴う陽極バッファ層の変質・劣化、半導体層との接触不良を防止することができる。
本発明の発光素子の製造方法では、前記第2の工程の後、大気中において、5分以内に、前記第3の工程を開始することが好ましい。
このような短時間の暴露であれば、陽極バッファ層は、大気中であっても吸湿をより確実に防止することができ、その変質・劣化を防止することができる。
これにより、陽極バッファ層は、有機EL素子の駆動電圧の著しい増大を防止しつつ、陽極から正孔輸送層へ正孔を注入する正孔注入機能をより確実に発揮することができる。
<第1実施形態>
まず、本発明の発光素子の製造方法により製造された発光素子を有する発光装置を適用したアクティブマトリクス型表示装置の第1実施形態と、このアクティブマトリクス型表示装置が有する前記発光素子を適用した有機EL素子とその製造方法の第1実施形態とについて説明する。
図1は、本発明の発光素子の製造方法により製造された発光素子を有する発光装置を適用したアクティブマトリクス型表示装置の第1実施形態を示す縦断面図、図2〜図4は、図1に示すアクティブマトリクス型表示装置の製造方法を説明するための図であり、図5は、プラズマ重合装置の構成を示す模式図である。なお、以下の説明では、図1〜図5中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
TFT回路基板20は、基板21と、この基板21上に形成された回路部22とを有している。
また、本実施形態の表示装置10は、基板21側から光を取り出す構成(ボトムエミッション型)であるため、基板21は、実質的に透明(無色透明、着色透明、半透明)とされ、一方、上基板9は、特に、透明性は要求されない。
このような基板21には、各種ガラス材料基板および各種樹脂基板のうち比較的硬度の高いものが好適に用いられる。
回路部22は、基板21上に形成された下地保護層23と、下地保護層23上に形成された駆動用TFT(スイッチング素子)24と、第1層間絶縁層25と、第2層間絶縁層26とを有している。
このような回路部22上に、各駆動用TFT24に対応して、それぞれ、有機EL素子1が設けられている。また、隣接する有機EL素子1同士は、第1隔壁部31および第2隔壁部32により構成される隔壁部(バンク)35により区画されている。
表示装置10は、単色表示であってもよく、各有機EL素子1に用いる発光材料を選択することにより、カラー表示も可能である。
図1に示すように、有機EL素子1は、陽極3と、陰極6と、陽極3と陰極6との間に、陽極3側から正孔輸送層4および発光層5の順で積層された有機半導体層(積層体)が設けられている。また、陽極3と正孔輸送層4との間に、陽極バッファ層8が設けられている。
この陽極3の構成材料(陽極材料)としては、仕事関数が大きく、導電性に優れ、また透光性を有する材料を用いるのが好ましい。
このような陽極材料としては、例えば、ITO(酸化インジウムと酸化亜鉛との複合物)、SnO2、Sb含有SnO2、Al含有ZnO等の酸化物、Au、Pt、Ag、Cuまたはこれらを含む合金等が挙げられ、これらのうちの少なくとも1種を用いることができる。
一方、陰極6は、後述する発光層5に電子を注入する電極である。この陰極6の構成材料としては、仕事関数の小さい材料を用いるのが好ましい。
陰極6の構成材料としては、例えば、Li、Mg、Ca、Sr、La、Ce、Er、Eu、Sc、Y、Yb、Ag、Cu、Al、Cs、Rbまたはこれらを含む合金等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば、複数層の積層体等)用いることができる。
このような陰極6の平均厚さは、特に限定されないが、100〜10000nm程度であるのが好ましく、200〜500nm程度であるのがより好ましい。
なお、本実施形態の発光素子1は、ボトムエミッション型であるため、陰極6に、光透過性は、特に要求されない。
正孔輸送層4は、陽極3から注入された正孔を発光層5まで輸送する機能を有するものである。
このような正孔輸送層4の平均厚さは、特に限定されないが、10〜150nm程度であるのが好ましく、50〜100nm程度であるのがより好ましい。
なお、陰極6と発光層5との間には、例えば、陰極6から注入された電子を発光層5まで輸送する機能を有する電子輸送層を設けるようにしてもよい。さらには、この電子輸送層と陰極6との間に、陰極6から電子輸送層への電子の注入効率を向上させる電子注入層を設けるようにしてもよい。
電子輸送層の平均厚さは、特に限定されないが、1〜100nm程度であるのが好ましく、20〜50nm程度であるのがより好ましい。
このような無機絶縁材料としては、例えば、アルカリ金属カルコゲナイド(酸化物、硫化物、セレン化物、テルル化物)、アルカリ土類金属カルコゲナイド、アルカリ金属のハロゲン化物およびアルカリ土類金属のハロゲン化物等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらを主材料として電子注入層を構成することにより、電子注入性をより向上させることができる。
アルカリ土類金属カルコゲナイドとしては、例えば、CaO、BaO、SrO、BeO、BaS、MgO、CaSe等が挙げられる。
アルカリ金属のハロゲン化物としては、例えば、CsF、LiF、NaF、KF、LiCl、KCl、NaCl等が挙げられる。
また、無機半導体材料としては、例えば、Ba、Ca、Sr、Yb、Al、Ga、In、Li、Na、Cd、Mg、Si、Ta、SbおよびZnのうちの少なくとも1つの元素を含む酸化物、窒化物または酸化窒化物等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
ここで、本実施形態の有機EL素子1には、図1に示すように、陽極3と正孔輸送層4とに接触する陽極バッファ層8が設けられている。
また、陽極バッファ層8の平均厚さは、できるだけ薄いことが好ましく、具体的には、10nm以下であるのが好ましく、7nm以下であるのがより好ましい。これにより、キャリアが陽極バッファ層8を確実に通過することができ、トンネル電流が生起される。その結果、陽極バッファ層8は、有機EL素子1の駆動電圧の著しい増大を防止しつつ、陽極3から正孔輸送層4へ正孔を注入する正孔注入機能をより確実に発揮することができる。
[1]まず、図2(a)に示すようなTFT回路基板20を用意する。
[1−A]まず、基板21を用意し、基板21上に、例えば、TEOS(テトラエトキシシラン)や酸素ガスなどを原料ガスとして、プラズマCVD法等により、平均厚さが約200〜500nmの酸化シリコンを主材料として構成される下地保護層23を形成する。
[1−Ba]まず、基板21を約350℃に加熱した状態で、下地保護層23上に、例えばプラズマCVD法等により、平均厚さが約30〜70nmのアモルファスシリコンを主材料として構成される半導体膜を形成する。
[1−Bb]次いで、半導体膜に対して、レーザアニールまたは固相成長法等により結晶化処理を行い、アモルファスシリコンをポリシリコンに変化させる。
ここで、レーザアニール法では、例えば、エキシマレーザでビームの長寸が400mmのラインビームを用い、その出力強度は、例えば200mJ/cm2程度に設定される。また、ラインビームについては、その短寸方向におけるレーザー強度のピーク値の90%に相当する部分が各領域毎に重なるようにラインビームを走査する。
[1−Bd]次いで、ゲート絶縁層上に、例えば、スパッタ法等により、アルミニウム、タンタル、モリブデン、チタン、タングステンなどの金属を主材料として構成される導電膜を形成した後、パターニングし、ゲート電極243を形成する。
[1−Be]次いで、この状態で、高濃度のリンイオンを打ち込んで、ゲート電極243に対して自己整合的にソース・ドレイン領域を形成する。なお、不純物が導入されなかった部分がチャネル領域となる。
[1−Ca]まず、ゲート電極243を覆うように、第1層間絶縁層25を形成した後、コンタクトホールを形成する。
[1−Cb]次いで、コンタクトホール内にソース電極244およびドレイン電極245を形成する。
[1−Da]まず、第1層間絶縁層25上に、第2層間絶縁層26を形成した後、コンタクトホールを形成する。
[1−Db]次いで、コンタクトホール内に配線27を形成する。
以上のようにして、TFT回路基板20が得られる。
[2−A]まず、図2(b)に示すように、TFT回路基板20が備える第2層間絶縁層26上に、配線27に接触するように陽極(画素電極)3を形成する。
この陽極3は、例えば、スパッタ法、真空蒸着法、CVD法等を用いた気相プロセスや、スピンコート法(パイロゾル法)、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法等を用いた液相プロセス等で形成することができる。
なお、これらの方法は、陽極3の構成材料の熱安定性や、溶媒への溶解性等の物理的特性および/または化学的特性を考慮して選択される。
隔壁部35は、第2層間絶縁膜26上に第1隔壁部31を形成した後、この第1隔壁部31上に、第2隔壁部32を形成することにより得ることができる。
なお、第1隔壁部31は、陽極3および第2層間絶縁膜26を覆うように絶縁膜を形成した後、フォトリソグラフィー法等を用いてパターニングすること等により形成することができる。また、第2隔壁部32は、陽極3および第1隔壁部31を覆うように絶縁膜を形成した後、第1隔壁部31を形成したのと同様にして得ることができる。
具体的には、第1隔壁部31の構成材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂のような有機材料や、SiO2のような無機材料が挙げられ、これらの中でも、特に、陽極3が酸化物材料を主材料として構成される場合には、SiO2を用いるのが好ましい。これにより、陽極3と第1隔壁部31との密着性の向上を図ることができる。
また、隔壁部35の開口の形状は、例えば、円形、楕円形、四角形、六角形等の多角形等、いかなるものであってもよい。
このような隔壁部31の高さは、陽極3、陽極バッファ層8、正孔輸送層4および発光層5の合計の厚さに応じて適宜設定され、特に限定されないが、30〜500nm程度とするのが好ましい。かかる高さとすることにより、十分に隔壁(バンク)としての機能が発揮される。
[2−Ca]まず、隔壁部35の内側の空間の、陽極3上に、ポリシロキサン誘導体を主材料として構成された被膜を形成する(第1の工程)。
この被膜は、たとえば、図5に示すプラズマ重合装置100を用いてプラズマ重合法により形成される。
電極130は、真空チャンバ120の上部に絶縁体121を介して取り付けられ、真空チャンバ120の外部に配設された高周波電源150に接続されている。この高周波電源150により高周波電力が出力される。
この高周波電力の出力(プラズマ出力)は、5〜500W程度であるのが好ましく、50〜200W程度であるのがより好ましい。
ステージ140は、第1隔壁部31が形成されたTFT回路基板20(被処理基板)が載置されるものであり、真空チャンバ120の下部に、電極130と対向するように配設されている。このステージ140には、TFT回路基板20の温度を調整する温度調節機構が設けられている。
ガス供給管160には、ガス供給源180が流量制御弁161を介して接続されている。この流量制御弁161の開閉操作によって、真空チャンバ120へ供給されるガスの流量が調整される。
また、ガス供給源180より供給する添加ガスとしては、例えば、アルゴン、ヘリウム、窒素等が挙げられるが、これらの中でも、アルゴンを用いるのが好ましい。
原料ガスは、真空チャンバ120の負圧により吸引され、原料供給管170を通って真空チャンバ120に供給される。この真空チャンバ120へ供給される原料ガスの流量は、流量制御弁171の開閉操作によって制御される。
まず、前記工程[2−B]で陽極3を形成したTFT回路基板20を、真空チャンバ120内のステージ140上に配置する。
次に、原料ガスを原料容器190内に導入する。
その後、ポンプ110を作動させることにより、真空チャンバ120内の圧力を設定値まで減圧する。
この減圧による真空チャンバ120内の圧力は、1Torr程度以下であるのが好ましく、1×10−4Torr程度以下であるのがより好ましい。
このTFT回路基板20の温度は、25℃以上であるのが好ましく、25〜100℃程度であるのがより好ましい。
次に、必要に応じて、酸素ガスをガス供給管160から真空チャンバ120内に供給する。
そして、第1隔壁部31の表面に対して、一般的な酸素プラズマ処理を施す。これにより、第1隔壁部31の表面に水酸基等の官能基を導入することができ、後述する第2隔壁部32との密着性を高めることができる。
酸素プラズマ処理の後、必要に応じて、再度、真空チャンバ120内の圧力を設定値まで減圧する。
添加ガスの流量は、10〜500sccm程度であるのが好ましい。
一方、原料ガスの流量は、1〜100sccm程度であるのが好ましく、30〜70sccm程度であるのがより好ましい。
また、原料ガスの供給後の真空チャンバ120内の雰囲気圧力は、0.01〜1Torr程度であるのが好ましく、0.1〜0.5Torr程度であるのがより好ましい。
ここで、原料ガスとしては、目的とするポリシロキサン誘導体に対応する前駆体(モノマー)を含むものが用いられる。
この前駆体は、プラズマ重合により、ポリシロキサン誘導体(重合物)に変化する。これにより、ポリシロキサン誘導体を主材料として構成された緻密質の被膜を形成することができる。そして、プラズマ重合によって生成されたポリシロキサン誘導体は、後述する工程でSiO2に変化した際に、ボイド等の構造欠陥の発生を抑制することができる。
この置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシル基、ハロゲン基等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
このうち、メチル基を導入したポリシロキサン誘導体としては、例えば、メチルポリシロキサンが挙げられる。メチルポリシロキサンは、例えば、オクタメチルトリシロキサンを前駆体として生成される重合物である。このオクタメチルトリシロキサン(OMTS)は、特に化学的安定であり、安価であるため、前駆体として好ましく用いられる。
次に、フォトリソグラフィー法とエッチング法とを組み合わせることにより、隔壁部35上に形成された被膜を除去する。
ポリシロキサン誘導体は、紫外線を照射されることにより、その紫外線のエネルギーに応じて、各原子同士の結合手が切断される。これにより、Si−O結合の結合エネルギーに比べて小さい、Siと前述の各置換基との結合が、高い割合で切断され、新たにSi−O結合が形成される。その結果、被膜中のポリシロキサン誘導体は、徐々にSiO2に変化する。
また、紫外線の照射は、実質的に酸素を含まない雰囲気中で行われるのが好ましい。これにより、酸素による紫外線の吸収、オゾンの発生を防止し、ポリシロキサン誘導体を効果的にSiO2に変化させ、紫外線の照射により生成したSiO2が、水蒸気の影響により変質・劣化するのをより確実に防止することができる。
この雰囲気中のガスとしては、紫外線を吸収しないガスが好ましい。具体的には、窒素、希ガスのようなシグマ結合のみで形成される気体が好ましく、また、前記雰囲気は減圧雰囲気であってもよい。
そこで、本発明では、半導体層形成の直前に、紫外線照射によってSiO2化を図ることとした。これにより、常圧下で処理ができ、しかも前述の熱影響も防止することができるため、容易に処理が行える。また、減圧状態から常圧状態への復帰等の手間が不要であるため、より短時間に次工程に移行することができるという利点もある。
ここで、前述したように、前記工程[2−Cb]で形成した陽極バッファ層8は、SiO2を主材料として構成されている。
一方、前記工程[2−Ca]で形成したポリシロキサン誘導体は、撥水性に優れており、大気中に放置しても、吸湿に伴う変質・劣化を生じ難いものである。
このようなことから、本工程は、前記工程[2−Cb]の直後に行うことが好ましい。すなわち、本工程における正孔輸送層4および発光層5の形成は、前記工程[2−Cb]でポリシロキサン誘導体をSiO2に変化させた後、陽極バッファ層8に、吸湿による変質や不純物の付着が生じる前に、できるだけ速やかに開始するのが好ましい。
このようにして得られた陽極バッファ層8は、プラズマ重合によって形成された緻密質のポリシロキサン誘導体から生成された構造欠陥の少ないSiO2で構成されているため、吸湿性が特に低下するとともに、特に優れた正孔注入特性を発揮することができる。また、このような陽極バッファ層8を有する表示装置10は、発光効率の高いものとなる。
この正孔輸送層4は、真空蒸着法などの気相プロセスや、スピンコート法などの液相プロセスにより形成することができる。本実施形態においては、インクジェット法(液滴吐出法)を用いた液相プロセスにより形成する。インクジェット法を用いることにより、正孔輸送層4の薄膜化、画素サイズの微小化を図ることができる。また、正孔輸送層形成用の液状材料を、隔壁部35の内側に選択的に供給することができるため、液状材料のムダを省くことができる。
この脱溶媒または脱分散媒は、減圧雰囲気に放置する方法、熱処理(例えば50〜60℃程度)による方法、窒素ガスのような不活性ガスのフローによる方法等が挙げられる。さらに、追加の熱処理(150℃程度で短時間)で行うことにより、残存溶媒を除去する。
この発光層5も、液相プロセスにより形成することができるが、前述したのと同様に、インクジェット法(液滴吐出法)を用いた液相プロセスにより形成するのが好ましい。
また、複数色の発光層5を設ける場合には、インクジェット法を用いることにより、各色毎にパターンの塗り分けを容易に行うことができるという利点もある。
この陰極6は、例えば、ゲート電極243と同様にして形成することができる。
なお、本実施形態では、発光層5および隔壁部35の全面に、陰極6を形成することから、マスクを用いる必要がないため、これらの形成には、真空蒸着法を用いた気相プロセス等が好適に用いられる。
以上のようにして、有機EL素子1が製造される。
この陰極6と上基板9との接合は、陰極6と上基板9との間に、エポキシ系の接着剤を介在させた状態で、この接着剤を乾燥させること等により行うことができる。
この上基板9は、有機EL素子1を保護する保護基板としての機能を有する。このような上基板9を、陰極6上に設けることにより、有機EL素子1が酸素や水分に接触するのを防止または低減できることから、有機EL素子1の信頼性の向上や、変質・劣化の防止等の効果を得ることができる。
以上のような工程を経て、表示装置10を製造することができる。
次に、本発明の発光素子の製造方法により製造された発光素子を有する発光装置を適用したアクティブマトリクス型表示装置の第2実施形態と、このアクティブマトリクス型表示装置が有する前記発光素子を適用した有機EL素子とその製造方法の第2実施形態とについて説明する。
図6は、本発明の発光素子の製造方法により製造された発光素子を有する発光装置を適用したアクティブマトリクス型表示装置の第2実施形態を示す縦断面図である。なお、以下の説明では、図5中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
本実施形態の表示装置10は、陽極バッファ層8の構成が異なる以外は、前記第1実施形態と同様である。
すなわち、本実施形態では、図5に示すように、陽極バッファ層8が、陽極3上と第1隔壁部31上とを覆うように、連続して形成されている。そして、第2隔壁部32は、この陽極バッファ層8上に形成されている。
このような表示装置10は、前記工程[2−B]において、第1隔壁部31を形成した後、第2隔壁部32を形成するのに先立って、前記工程[2−C]を行うことにより製造される。かかる製造方法によれば、陽極バッファ層8のパターニングの工程が不要となるため、製造工程の簡略化を図ることができる。
また、プラズマ重合膜の形成後、その全面に紫外線を照射するようにしてもよい。これにより、プラズマ重合膜の全体がSiO2に変化して親液性を示すため、スピンコート法やディップコート法等のより生産効率の高い液体材料供給方法と、その後のパターニングとによって、効率よく第2隔壁部32を形成することができる。
次に、本発明の発光素子の製造方法により製造された発光素子を有する発光装置を適用したアクティブマトリクス型表示装置の第3実施形態と、このアクティブマトリクス型表示装置が有する前記発光素子を適用した有機EL素子とその製造方法の第3実施形態とについて説明する。
図6は、本発明の発光素子の製造方法により製造された発光素子を有する発光装置を適用したアクティブマトリクス型表示装置の第3実施形態を示す縦断面図である。なお、以下の説明では、図6中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
本実施形態の表示装置10は、陽極バッファ層8の構成が異なる以外は、前記第1実施形態と同様である。
すなわち、本実施形態では、図6に示すように、陽極バッファ層8が、陽極3上と隔壁部35(第1隔壁部31および第2隔壁部32)上とを覆うように、連続して形成されている。
なお、この場合、陽極3上と隔壁部35上とを覆うようにプラズマ重合膜を形成後、陽極3上および第1隔壁部31の露出部に選択的に紫外線を照射するのが好ましい。これにより、この領域のみがSiO2に変化して親液性を示すため、正孔輸送層4および発光層5の形成の際に、インクジェット法やミスト法等の液体材料供給方法によって容易に形成することができる。
また、本実施形態では、第1隔壁部31および第2隔壁部32がいずれも陽極バッファ層8で被覆された状態となるため、これらを個別に設けなくてもよい。したがって、前記工程[2−B]において、例えば、第1隔壁部31を形成する際に、隔壁部35と同等のパターンを形成するようにしてもよい。これにより、第2隔壁部35を省略することができ、製造工程のさらなる簡素化を図ることができる。
このような表示装置(本発明の発光素子の製造方法により製造された発光素子を有する発光装置)10は、各種の電子機器に組み込むことができる。
図8は、本発明の発光素子の製造方法により製造された発光素子を有する電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
このパーソナルコンピュータ1100において、表示ユニット1106が備える表示部が前述の表示装置10で構成されている。
この図において、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206とともに、表示部を備えている。
携帯電話機1200において、この表示部が前述の表示装置10で構成されている。
ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、ディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
ディジタルスチルカメラ1300において、この表示部が前述の表示装置10で構成されている。
また、ケース1302の正面側(図示の構成では裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
撮影者が表示部に表示された被写体像を確認し、シャッタボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、回路基板1308のメモリに転送・格納される。
以上、本発明の発光素子の製造方法を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものでない。
例えば、本発明の発光素子の製造方法は、任意の目的の工程が1または2以上追加されていてもよい。
1.サンプルの製作
以下の各実施例および参考例では、それぞれ、10個のサンプルを製作した。
(実施例1A)
以下に示すような方法により、陽極バッファ層を形成し、サンプルを製作した。
<2a> 次に、プラズマ重合装置の真空チャンバ内を9×10−5Torrまで減圧した後、真空チャンバ内に酸素ガスを導入しつつ、以下の条件で酸素プラズマ処理を施した。
・酸素ガス流量 :100sccm
・プラズマ出力 :100W
・高周波電力周波数 :13.56MHz
・処理時間 :1分間
・アルゴンガス流量 :10sccm
・OMTSガス流量 :50sccm
・プラズマ出力 :100W
・高周波電力周波数 :13.56MHz
・処理時間 :6分40秒
・成膜速度 :6nm/min
・紫外線の波長 :365nm
・紫外線の照度 :10mW/cm2
・紫外線の照射時間 :1分
・紫外線の照射雰囲気:大気雰囲気
紫外線の照射時間を10分とした以外は、前記実施例1Aと同様にしてサンプルを製作した。
(実施例3A)
紫外線の光源を2種類用意し、波長254nmと波長184nmの紫外線を同時に照射するようにした以外は、前記実施例1Aと同様にしてサンプルを製作した。
紫外線の照射時間を、10分、20分、40分、120分とした以外は、前記実施例3Aと同様にして、それぞれサンプルを製作した。
(実施例8A)
紫外線の波長を172nmとし、紫外線の照射雰囲気を窒素雰囲気とした以外は、前記実施例1Aと同様にしてサンプルを製作した。
なお、窒素雰囲気は、実質的に水蒸気が存在しない乾燥窒素によるものである。
紫外線の照射時間を、10分、20分、40分とした以外は、前記実施例8Aと同様にして、それぞれサンプルを製作した。
(参考例A)
前記工程<4a>を省略し、プラズマ重合膜を陽極バッファ層とした以外は、前記実施例1Aと同様にしてサンプルを製作した。
2−1.キシレン接触角の測定・評価
各実施例1A〜11Aおよび参考例Aで製作したサンプルにおいて、キシレンに対する接触角の測定を行った。
なお、接触角の測定は、JIS R 3257(基板ガラス表面の濡れ性試験方法)に規定の方法に準じて行った。
そして、液滴としてキシレンを用い、静滴法により、サンプル表面と液滴の曲面の接線とのなす角度(接触角)を求めた。
各実施例1A〜11Aおよび参考例Aで製作したサンプルにおいて、紫外線照射後のプラズマ重合膜の膜厚変化量を求めた。
以上、2−1および2−2の評価結果を表1に示す。
これらの結果は、紫外線の照射により、サンプル表面のポリシロキサン誘導体がSiO2に変化する際に、紫外線のエネルギーに応じて、変化の効率が異なることを示すものである。
これは、紫外線の照射によるポリシロキサン誘導体からSiO2への変化が、プラズマ重合膜の表面から膜全体へと進行する過程において、各種置換基等が気体となって被膜中から放出されることにより、その分の膜厚が減少しているためと推察される。
このような評価結果から、ポリシロキサン誘導体のSiO2化には、短波長の紫外線が好ましく、本実施例においては、評価した紫外線のうちで最も短い波長172nmの紫外線が好ましいことが明らかとなった。
2.のサンプルの評価結果を踏まえつつ、以下の各実施例および比較例では、それぞれ、10個の有機EL装置(発光装置)を製造した。
(実施例1B)
<1b> まず、平均厚さ5mmの透明なガラス基板を用意し、このガラス基板上に、前述したようにして回路部を形成した。
<2b> 次に、回路部上に、スパッタ法により、平均厚さ150nmのITO膜を形成し、その後、パターニングして、陽極を得た。
<4b> 次に、第1隔壁部上に、平均厚さ1.5μmのフッ素系樹脂の被膜を形成した後、パターニングして、第2隔壁部を形成した。
<5b> 次に、第2隔壁部を形成したガラス基板を、図5に示すプラズマ重合装置に収納した。
そして、9×10−5Torrまで減圧した後、真空チャンバ内に酸素ガスを導入しつつ、以下の条件で酸素プラズマ処理を施した。
・酸素ガス流量 :100sccm
・プラズマ出力 :100W
・高周波電力周波数:13.56MHz
・処理時間 :1分間
・アルゴンガス流量:10sccm
・OMTSガス流量:50sccm
・プラズマ出力 :100W
・高周波電力周波数:13.56MHz
・処理時間 :70秒
・成膜速度 :6nm/min
・紫外線の波長 :172nm
・紫外線の照度 :10mW/cm2
・紫外線の照射時間 :20分
・紫外線の照射雰囲気:大気雰囲気
<9b> 次に、真空蒸着法により、平均厚さ20nmのCa膜と、平均厚さ200nmのAl膜とを成膜し、陰極を形成した。
<10b> 次に、陰極上に、エポキシ系接着剤を介して、平均厚さ1mmのポリイミド基板を接着した。これにより、有機EL装置を製造した。
紫外線の照射雰囲気を窒素雰囲気と、紫外線の照射時間を1分とした以外は、前記実施例2Bと同様にして有機EL装置を製造した。
なお、窒素雰囲気は、実質的に水蒸気が存在しない乾燥窒素によるものである。
(実施例3B)
紫外線の照射時間を20分とした以外は、前記実施例2Bと同様にして有機EL装置を製造した。
前記工程<5b>の酸素プラズマ処理を省略した以外は、前記実施例3Bと同様にして有機EL装置を製造した。
(実施例5B)
陽極バッファ層の平均厚さが12nmとなるようにプラズマ重合の処理時間を設定した以外は、前記実施例3Bと同様にして有機EL装置を製造した。
前記工程<7b>から5分後に、前記工程<8b>を開始したこと以外は、前記実施例3Bと同様にして有機EL装置を製造した。
(実施例7B)
前記工程<7b>から10分後に、前記工程<8b>を開始したこと以外は、前記実施例3Bと同様にして有機EL装置を製造した。
前記工程<5b>〜<7b>に代えて、スパッタ法により、SiO2膜を形成し、陽極バッファ層を得るようにした以外は、前記実施例3Bと同様にして有機EL装置を製造した。
なお、陽極バッファ層の平均厚さが3nmとなるように、スパッタ条件を設定した。
4−1.有機EL装置の輝度−電圧特性の評価
まず、各実施例1B〜7Bおよび比較例Bで製造した有機EL装置において、陽極と陰極との間に直流電圧を印加し、徐々に昇圧したときの輝度の変化(輝度−電圧特性)を測定した。そして、所定の電圧における各有機EL装置の輝度を、実施例3Bの場合を100とする相対輝度として求めた。
◎:相対輝度90以上
○:相対輝度70以上90未満
△:相対輝度50以上70未満
×:相対輝度50未満
まず、各実施例1B〜7Bおよび比較例Bで製造した有機EL装置において、陽極と陰極との間に直流電圧を印加した。このとき、各有機EL装置が所定の輝度になるように、電圧・電流を設定し、その状態における輝度の経時変化を測定した。発光輝度が初期状態の50%まで低下するのに要する時間(半減寿命)を求めた。なお、半減寿命は、実施例3Bの場合を100とする相対寿命として求めた。
◎:相対寿命90以上
○:相対寿命70以上90未満
△:相対寿命50以上70未満
×:相対寿命50未満
以上、4.1および4.2の評価結果を表2に示す。
一方、比較例Bの有機EL装置は、発光効率に劣り、輝度が低かった。これは、スパッタ法により形成したSiO2の極薄膜が、各実施例の陽極バッファ層に比べて被覆性、平坦性、均一性に乏しく、正孔注入特性が劣っていたためと考えられる。
これに対し、比較例Bは、実施例3Bの半分以下の寿命であり、実用寿命としては不十分なものであった。
Claims (9)
- 複数の陽極の一方の面側に、目的とするポリシロキサン誘導体に対応するモノマーを付与し、該モノマーをプラズマ重合法により重合して、前記ポリシロキサン誘導体を主材料として構成された被膜を前記複数の陽極を連続して覆うように形成する第1の工程と、
前記被膜のうち、前記複数の陽極に対応する領域に対して選択的に紫外線を照射して、前記被膜中のポリシロキサン誘導体をSiO2に変化させることにより、前記領域に対応する陽極バッファ層を形成する第2の工程と、
前記陽極バッファ層上に、少なくとも発光層を備える半導体層を形成する第3の工程と、
該半導体層の前記陽極と反対側に、陰極を形成する第4の工程とを有することを特徴とする発光素子の製造方法。 - 前記被膜のうち、前記陽極バッファ層を形成した領域のみが親液性を示すことを利用して、前記第3の工程において、前記陽極バッファ層上に液状材料供給方法を用いて半導体層を選択的に形成する請求項1に記載の発光素子の製造方法。
- 前記第1の工程において、さらに、前記複数の陽極のそれぞれを隔離するように、隔壁部を形成し、
前記複数の陽極と前記隔壁部とを連続して覆うように、前記被膜を形成する請求項1または2に記載の発光素子の製造方法。 - 前記ポリシロキサン誘導体は、置換基として、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシル基およびハロゲン基のうちの少なくとも1つを含む請求項1ないし3のいずれかに記載の発光素子の製造方法。
- 前記照射される紫外線のエネルギーは、Siと前記置換基との結合エネルギーより大きく、Si−Oの結合エネルギーより小さい請求項1ないし4のいずれかに記載の発光素子の製造方法。
- 前記紫外線は、酸素を含まない雰囲気中で照射される請求項1ないし5のいずれかに記載の発光素子の製造方法。
- 前記第2の工程の後、前記陽極バッファ層に、吸湿による変質または不純物付着が生じる前に、前記第3の工程を開始する請求項1ないし6のいずれかに記載の発光素子の製造方法。
- 前記第2の工程の後、大気中において、5分以内に、前記第3の工程を開始する請求項7に記載の発光素子の製造方法。
- 前記陽極バッファ層の平均厚さが、10nm以下となるように形成する請求項1ないし8のいずれかに記載の発光素子の製造方法。
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