JP4482966B2 - El表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はEL表示デバイスの構造と製造方法に関するものであリ、特に多色表示機能に関する。
【0002】
【従来の技術】
ドットマトリクス型ディスプレイでは、表示単位であるピクセルを構成するRGB(赤、緑、青)各ドットの光強度を組み合わせることで様々な色を合成することが可能となる。
【0003】
一方、主に数字やアルファベットを表示するため、表示単位の組み合わせとしての7セグメント表示、あるいは11セグメント表示は通常単色であり、表示面の様々な場所で異なる色を表示させるためには複数の発光色素子で構成するか、もしくは複数のフィルターを形成する必要があった。こうした状況はステレオ、カーステレオ、ビデオ、レーザーディスクプレイヤー、DVDなどのいわゆるAV機器の表示パネルにおいても同様である。
【0004】
一般的に、自発光表示装置においては、複数の発光色を呈する素子を形成することは高価になるため、従来のセグメント型ディスプレイでは単色発光素子とカラーフィルターもしくは蛍光フィルターの組み合わせで多色表示することが普通であり、そうした場合には表示色の数だけフィルターが必要であった。
【0005】
1セグメントを多数の画素で構成するように設計すれば、ドットマトリクス型ディスプレイのように多数の色を表現できる。
【0006】
複数の発光色が得られるドットマトリクス型ディスプレイを製造する方法としては、例えば、特開平5−258859号公報、特開平8−227276号公報、特開平8−315981号公報、特開平9−102393号公報、USP5641611号、特開平10−223371号公報などの方法が知られている。
【0007】
しかしながら、特開平5−258859号公報、USP5641611号、特開平8−227276号公報、特開平10−223371号公報、特開平8−315981号公報、特開平9−102393号公報などの方法では、高価な発光材料をRGBの各色を3回、真空蒸着などの薄膜技術によって成膜する必要があった。特に、特開平5−258859号公報、USP5641611号、特開平10−223371号公報の方法は、蒸着材料が対向電極の一方に付着するのを基板上に突出する隔壁と斜方蒸着法を併用して制限しつつ任意の材料を所定の領域のみに形成する方法であり、通常、一辺が300mm以上のガラス基板を用いる量産工程には使用することが非常に困難である。
【0008】
これらの方法を用い、多色の発光材料を成膜して製造きれたディスプレイにおける駆動回路は、多数のピクセルを駆動するドットマトリクスディスプレイの駆動回路と同様のものが必要となるため、高価になる。さらに、こうした方法では各ピクセルを電気的に分離する必要があるため、やや広い非発光領域が必要となり、有効な表示領域(いわゆる液晶ディスプレイで言うところの開口率)が少なくなりやすく表示が暗くなってしまう。
【0009】
また、有機EL素子の代表的な不良である、長時間表示させると表示領域が段々小さくなる(シュリンク)という不良モードを考慮すると、発光単位である1素子のサイズを小さくすることは早くその素子が発光しなくなることを意味するため、上記のように1セグメントを複数の素子から構成することは信頼性の面からみて望ましくない構造と言える。
【0010】
先に述べたように、こうした方法では高価な有機材料を多数回成膜する必要があり、非常に高価になってしまうことは明らかである。
【0011】
すなわち、従来の技術では表示色数分のフィルター膜形成工程が必要となり、様々な色数が表示できる情報量の多いディスプレイは高コストになってしまう。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、少ないフィルター材料数でフィルターの材料数より多くの色を表現できる表示装置を安価に提供可能なEL表示装置を実現することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、下記の構成によって達成される。
(1) EL素子単位の光取り出し側に並列に配置された1または2種以上の色フィルターを有するEL表示装置であって、
前記EL素子単位が発する光が、オーバーコート層で形成された当該光を白色に表示する無色を含む2種以上の異なる色フィルターを透過して表示単位を構成し、
前記表示単位内の色フィルターは、ストライプ状、モザイク状、またはデルタ状に配置されているEL表示装置。
(2) EL素子の透明電極の端部は絶縁膜で被覆されている上記(1)のEL表示装置。
(3) 前記色フィルターは、カラーフィルターまたは蛍光変換フィルターである上記(1)または(2)のEL表示装置。
(4) 前記色フィルターは、そのサイズが0.25mm2〜0.0001mm2でモザイク状、あるいはデルタ状に配置されている、または、500μm〜50μmのピッチでストライプ状に配置されている上記(1)〜(3)のいずれかのEL表示装置。
(5) 4色以上の表示色を有する上記(1)〜(4)のいずれかのEL表示装置。
(6) 前記色フィルターのいずれかは、少なくとも可視光に対し透明な部分を有し、この透明部分からEL素子単位の発光色が変化せずに外部に取り出される上記(1)〜(5)のいずれかのEL表示装置。
(7) 前記2種以上の色フィルターの面積比により、表示単位の色調を調整する上記(1)〜(6)のいずれかのEL表示装置。
(8) 前記EL素子単位の発光機能を有する部分は有機材料を主成分とする上記(1)〜(7)のいずれかのEL表示装置。
(9) 前記EL素子単位の発光機能を有する部分は、ドーパント濃度により表示単位の色調を調整する上記(8)のEL表示装置。
(10) セグメント表示部とドットマトリクス表示部を有し、
前記セグメント表示部のフィルター材料が、ドットマトリクス表示部のフィルター材料の色数以下のフィルター材料で構成されている上記(1)〜(9)のEL表示装置。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明のEL表示装置は、EL素子単位の光取り出し側に並列に配置された1または2以上の色フィルターを有するEL表示装置であって、前記EL素子単位が発する光が無色を含む2以上の異なる色フィルターを透過して表示単位を構成するものである。
【0015】
発光スペクトルが広い波長領域に渡る発光が得られるEL素子から、任意のスペクトル領域のみを取り出すためにはカラーフィルターを用いる方法が一般的である。有機EL素子の発光色が白色であり、赤緑青の三原色のカラーフィルターを用いた表示パネルを製造するとき、それらの3色以外に、例えば紫色を表示したい素子を形成したい場合には、その素子の光取り出し側に素子より充分小さいサイズの赤と青を交互に配置すればよい。発光素子自体は複数に分割する必要はないので発光領域が小さくなる不良が発生してもより長期に渡り発光させることが可能になる。
【0016】
本発明のEL表示素子は、EL素子単位の光取り出し側に並列に配置された1または2以上の色フィルターを有する。
【0017】
EL素子単位とは、表示要素として最小限のEL素子要素をいい、より具体的には、複数の画素、あるいはセグメントに分割されている場合の、個々の画素、セグメントを構成するEL素子の部分をいう。
【0018】
色フィルターには、液晶ディスプレイ等で用いられているカラーフィルターを用いれば良いが、EL素子の発光する光に合わせて色フィルターの特性を調整し、取り出し効率・色純度を最適化すればよい。
【0019】
また、EL素子材料や蛍光変換層が光吸収するような短波長の外光をカットできる色フィルターを用いれば、素子の耐光性・表示のコントラストも向上する。
【0020】
また、誘電体多層膜のような光学薄膜を用いてカラーフィルターの代わりにしても良い。
【0021】
蛍光変換フィルター層は、EL発光の光を吸収し、蛍光変換膜中の蛍光体から光を放出させることで、発光色の色変換を行うものであるが、組成としては、バインダー、蛍光材料、光吸収材料の三つから形成される。
【0022】
蛍光材料は、基本的には蛍光量子収率が高いものを用いれば良く、EL発光波長域に吸収が強いことが望ましい。実際には、レーザー色素などが適しており、ローダミン系化合物・ペリレン系化合物・シアニン系化合物・フタロシアニン系化合物(サブフタロシアニン等も含む)ナフタロイミド系化合物・縮合環炭化水素系化合物・縮合複素環系化合物・スチリル系化合物・クマリン系化合物等を用いればよい。
【0023】
バインダーは、基本的に蛍光を消光しないような材料を選べば良く、フォトリソグラフィー・印刷等で微細なパターニングが出来るようなものが好ましい。また、隣接して成膜される電子注入電極や、ITO、IZO等のホール注入電極材料の成膜時にダメージを受けないような材料が好ましい。
【0024】
光吸収材料は、蛍光材料の光吸収が足りない場合に用いるが、必要のない場合は用いなくても良い。また、光吸収材料は、蛍光性材料の蛍光を消光しないような材料を選べば良い。
【0025】
前記EL素子単位が発する光は、無色を含む2種以上の異なる色フィルターを透過して表示単位を構成する。このように、2種以上の色フィルターを透過させることにより、2種以上の色が表示単位のなかで渾然一体となって認識され、発光色や個々の色フィルター自体の色とは異なった種々の色を表示することができる。色フィルターは有色の物でも、発光した光をそのまま透過させる無色の物であってもよい。
【0026】
ここで表示単位とは、表示要素として最小限の画面ないし表示要素をいい、より具体的には、複数の画素、あるいはセグメントに分割されている場合の、個々の画素、セグメントの部分をいう。そしてこの表示単位部分において、複数のフィルターを透過した発光が渾然と混じり合い、観者からは単一の色として認識される。
【0027】
色フィルターの色は、必要とする表示色に合わせて、ELの発光色と、フィルター自体の色の組み合わせにより決定される。例えば、水色(cyan)を発光させたい場合には、EL素子単位、表示単位内に緑と青、または、青とフィルターのない部分、または、緑と青とフィルターのない部分を配置すればよい。
【0028】
EL素子単位、表示単位の配置としては、ストライプ配列、デルタ配列、モザイク配列などを挙げることができる。これら、ストライプ配列、デルタ配列、モザイク配列とは、例えば、”液晶ディスプレイ製造装置用語辞典”(社)日本半導体製造学会偏 日刊工業新聞社、61ページに記載されているような色の配置をいう。この文献では、R,G,B各色の表示のみ記載されているが、本願ではこれらに限定されるものではない。
【0029】
色調はEL素子単位、表示単位内のこれらのフィルターの配置やそれぞれのサイズの比、つまり面積比を適当な値にすればよい。フィルターのサイズはそのパネルの使用目的によって異なるが、使用時に目視で各フィルターがはっきり認識されないサイズであれば良く、例えば、パネルとの距離が数十センチから1メートル程度と近い場合には、デルタ配列やモザイク配列では好ましくは0.25mm2 以下、より好ましくは0.1〜0.0001mm2 の面積で、ストライプ配置では好ましくは500μm 以下、より好ましくは300〜50μm のピッチで配置するのが好ましい。また、フィルターの色により透過する発光の強度が異なるため、暗い色はより面積(幅)を広くする必要があり、透明や明るい色のフィルターは面積(幅)を狭くすることが必要である。各フィルターの間隔は離れていても重なっていても良いが、重なった部分はより光を通しにくくなることを考慮に入れて設計するべきである。
【0030】
色フィルター上には色フィルター表面を平坦にするためにオーバーコートを形成することが好ましい。オーバーコートは樹脂やSOG(spin on glass)などの、塗布する事で形成することができる膜が好ましい。樹脂膜を形成する場合にはさらにその上にSlO2 、SiON、SiNx 、Al203 、窒化アルミニウムなどの無機材料からなる保護膜を成摸することが望ましい。これらの手法はカラー液晶ディスプレイにおいて既に実用化されている方法である。
【0031】
EL素子単位から発する光は、単一色あるいは白色であることが好ましい。EL素子単位から複数の発光を生じさせることも可能であるが、素子構造が複雑となり、高価な有機材料を余計に使用することとなる。EL素子から発する光としてはEL素子構成などにより異なるが、例えば、代表的な有機EL素子では、白色発光で400〜700nm、単色発光で400〜600nm、500〜700nm等の波長範囲の光である。
【0032】
次に、図を参照しつつ本発明のEL表示装置の具体的な構成について説明する。
【0033】
図1および2は、本発明のEL表示装置の第1の構成例を示したもので、図1は平面図、図2は図1のA−A’断面矢視図である。
【0034】
この例では、基板1上に青色フィルター2Bと、緑色フィルター2Gとをストライプ状に配置し、EL素子10からの概ね白色である発光がこれらのフィルター2B,2Gを透過することにより、薄い青ないし水色(cyan)として認識されるようになっている。
【0035】
図3および4は、本発明のEL表示装置の第2の構成例を示したもので、図3は平面図、図4は図3のA−A’断面矢視図である。
【0036】
この例では、基板1上に青色フィルター2Bと、オーバーコート層3とを形成し、青色フィルター2B部分と、フィルターがなく、オーバーコート層のみの部分とをストライプ状に配置し、EL素子10からの概ね白色である発光がこれらのフィルター2B、オーバーコート層3を透過することにより、薄い青ないし水色(cyan)として認識されるようになっている。
【0037】
図5および6は、本発明のEL表示装置の第3の構成例を示したもので、図5は平面図、図6は図5のA−A’断面矢視図である。
【0038】
この例では、基板1上に青色フィルター2Bと、緑色フィルター2Gと、オーバーコート層3とを形成し、青色フィルター2Bおよび緑色フィルター2G部分と、フィルターがなく、オーバーコート層のみの部分とをストライプ状に配置し、EL素子10からの概ね白色である発光がこれらのフィルター2B,2G、オーバーコート層3を透過することにより、水色(cyan)として認識されるようになっている。
【0039】
これらは、本発明の構成例にすぎず、いずれの構成を選択するかはEL素子の発光色や、求められる表示色により最適な構成を適宜選択すればよい。
【0040】
EL素子単位は、ブロードな面発光が可能な素子が好ましい。具体的には、電界発光素子として、発光層に無機材料を用いた無機EL素子と、少なくとも発光層に有機材料を用いた有機EL素子とがある。本発明では、特に有機EL素子を用いることが好ましい。
【0041】
<有機EL素子>
有機EL素子は、通常の単色発光、あるいは白色発光の素子構成を有する物であれば、その構成態様は特に限定される物ではない。好ましい素子構成として特に発光層に隣接するホール輸送層および/または電子輸送層中のホール注入輸送性化合物および/または電子注入輸送性化合物をホスト材料とする青色発光層を有するものであるか、あるいはまた青色発光層を有し、かつ陰極材料としてアルカリ金属の塩化物および酸化物から選ばれる化合物を用いたものである。また、より好ましくは、これらの構成を併せもつものであり、青色発光層は、前記のホール注入輸送性化合物と電子注入輸送性化合物との混合層である。
さらに詳述する。
【0042】
<青色発光層>
本発明に用いられる有機EL素子は青色発光層を有することが好ましい。この場合の青色発光する化合物としてはフェニルアントラセン誘導体が好ましく用いられる。これらについては特開平8−12600号公報に記載されている。なかでも、フェニルアントラセン誘導体としては式(A)で表される化合物が好ましい。
A1 −L−A2 (A)
【0043】
式(A)において、A1 およびA2 は、各々モノ(オルト置換フェニル)アントリル基またはジ(オルト置換フェニル)アントリル基を表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。Lは単結合または二価の連結基を表す。
【0044】
A1 、A2 で表されるモノ(オルト置換フェニル)フェニルアントリル基またはジ(オルト置換フェニル)フェニルアントリル基は、フェニル基の2位または6位(アントラセン環への結合位置に対してオルト位)に、アリール基、複素芳香環基もしくはアリールエテニル基を有するものである。また、オルト位以外に置換基を有するものであってもよく、置換基を有する場合の置換基としては、アルキル基、アリール基、アリールエテニル基、アルコキシ基、アミノ基等が挙げられ、これらの置換基はさらに置換されていてもよい。これらの置換基については後述する。
【0045】
また、アントラセン環におけるフェニル基の結合位置はアントラセン環の9位、10位であることが好ましい。
【0046】
式(A)において、Lは単結合または二価の基を表すが、Lで表される二価の基としてはアルキレン基等が介在してもよいアリーレン基が好ましい。このようなアリーレン基については後述する。
【0047】
式(A)で示されるフェニルアントラセン誘導体のなかでも、式(A−1)、式(A−2)で示されるものが好ましい。
【0048】
【化1】
【0049】
【化2】
【0050】
式(A−1)において、Ar1 〜Ar4 は、各々水素原子、アリール基、複素芳香環基またはアリールエテニル基を表し、Ar1 およびAr2 の少なくとも一方、ならびにAr3 およびAr4 の少なくとも一方は、各々アリール基、複素芳香環基またはアリールエテニル基である。R51およびR52は、各々アルキル基、アリール基、アリールエテニル基、アルコキシ基、またはアミノ基を表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。p1およびp2は、各々、0〜3の整数を表し、p1およびp2が、各々、2以上の整数であるとき、R51同士およびR52同士は各々同一でも異なるものであってもよい。R53は、アルキル基またはアリール基を表し、p3は、各々、0〜3の整数を表す。p3が、2以上の整数であるとき、R53は各々同一でも異なるものであってもよい。L1 は単結合またはアリーレン基を表し、アリーレン基はアルキレン基、−O−、−S−または−NR−(ここで、Rはアルキル基またはアリール基を表す。)が介在するものであってもよい。
【0051】
式(A−2)において、Ar5 およびAr6 は、各々水素原子、アリール基、複素芳香環基またはアリールエテニル基を表し、Ar5 およびAr6 の少なくとも一方はアリール基、複素芳香環基またはアリールエテニル基である。R54は、各々アルキル基、アリール基、アリールエテニル基、アルコキシ基、またはアミノ基を表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。p4は、各々、0〜3の整数を表し、p4が、各々、2以上の整数であるとき、R54同士は各々同一でも異なるものであってもよい。R55は、アルキル基またはアリール基を表し、p5は、各々、0〜4の整数を表す。p5が、2以上の整数であるとき、R55は各々同一でも異なるものであってもよい。L2 は単結合またはアリーレン基を表し、アリーレン基はアルキレン基、−O−、−S−または−NR−(ここで、Rはアルキル基またはアリール基を表す。)が介在するものであってもよい。L2 は単結合またはアリーレン基を表し、アリーレン基はアルキレン基、−O−、−S−または−NR−(ここで、Rはアルキル基またはアリール基を表す。)が介在するものであってもよい。
【0052】
Ar1 〜Ar4 およびR51〜R53で表されるアリール基としては、炭素数6〜20のものが好ましく、さらにはフェニル基、トリル基等の置換基を有するものであってもよい。具体的には、フェニル基、(o−,m−,p−)トリル基、ピレニル基、ナフチル基、アントリル基、ビフェニル基、フェニルアントリル基、トリルアントリル基等が挙げられる。
【0053】
Ar1 〜Ar4 で表される複素芳香環基としては、フリル基、ベンゾフリル基、チエニル基、ビチエニル基、ベンゾチエニル基、ピロリル基、N-アリルピロリル基、インドリル基、ピリジル基、ビピリジル基、キノリル基、キノキサリル基、オキサゾール基、ベンゾオキサゾール基、オキサジアゾール基、チアゾール基、ベンゾチアゾール基、チアジアゾール基、イミダゾール基等が好ましく、さらには、炭素数42以下のアリール基、炭素数12以下のアルキル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基等の置換基を有するものであってもよい。具体的には、置換基として、フェニル基、(o−,m−,p−)ビフェニル基、(1,2)ナフチル基、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、(o−,m−,p−)トリル基等が挙げられる。
【0054】
Ar1 〜Ar4 、R51およびR52で表されるアリールエテニル基としては、2−フェニルエテニル基、2,2−ジフェニルエテニル基等が好ましく、さらにはアリール基、アルキル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基等の置換基を有するものであってもよい。具体的には、置換基として、フェニル基、(o−,m−,p−)ビフェニル基、(1,2)ナフチル基、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、(o−,m−,p−)トリル基等が挙げられる。
【0055】
R51〜R53で表されるアルキル基としては、直鎖状でも分岐を有するものであってもよく、炭素数1〜10、さらには1〜4の置換もしくは無置換のアルキル基が好ましい。特に、炭素数1〜4の無置換のアルキル基が好ましく、具体的にはメチル基、エチル基、(n−,i−)プロピル基、(n−,i−,s−,t−)ブチル基等が挙げられる。
【0056】
R51およびR52で表されるアルコキシ基としては、アルキル基部分の炭素数が1〜6のものが好ましく、具体的にはメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。アルコキシ基は、さらに置換されていてもよい。
【0057】
R51およびR52で表されるアミノ基は、無置換でも置換基を有するものであってもよいが、置換基を有することが好ましく、この場合の置換基としてはアルキル基(メチル基、エチル基等)、アリール基(フェニル基等)などが挙げられる。具体的にはジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジ(m−トリル)アミノ基等が挙げられる。
【0058】
式(A−1)において、p1およびp2は、各々、0または1〜3の整数を表し、特に、0〜2であることが好ましい。p1およびp2が、各々、1〜3の整数、特に1または2であるとき、R51およびR52は、各々、メチル基、フェニル基であることが好ましい。
【0059】
式(A−1)において、p3は、各々、0〜3の整数を表し、特に、0〜2であることが好ましい。p3が、各々、1〜3の整数、特に1または2であるとき、R53は、各々、メチル基、フェニル基であることが好ましい。
【0060】
式(A−1)において、R51〜R53は同一でも異なるものであってもよく、R51、R52とR53とが各々複数存在するとき、R51同士、R52同士、R53同士は各々同一でも異なるものであってもよい。
【0061】
式(A−1)において、L1 は単結合またはアリーレン基を表す。L1 で表されるアリーレン基としては、無置換であることが好ましく、具体的にはフェニレン基、ビフェニレン基、アントリレン基等の通常のアリーレン基の他、2個ないしそれ以上のアリーレン基が直接連結したものが挙げられる。L1 としては、単結合、p−フェニレン基、4,4′−ビフェニレン基等が好ましい。
【0062】
また、L1 で表されるアリーレン基は、2個ないしそれ以上のアリーレン基がアルキレン基、−O−、−S−または−NR−が介在して連結するものであってもよい。ここで、Rはアルキル基またはアリール基を表す。アルキル基としてはメチル基、エチル基等が挙げられ、アリール基としてはフェニル基等が挙げられる。なかでも、アリール基が好ましく、上記のフェニル基のほか、A1 、A2 であってもよく、さらにはフェニル基にA1 またはA2 が置換したものであってもよい。また、アルキレン基としてはメチレン基、エチレン基等が好ましい。
このようなアリーレン基の具体例を以下に示す。
【0063】
【化3】
【0064】
次に、式(A−2)について説明すると、式(A−2)において、R54は式(A−1)におけるR51またはR52と、またR55は式(A−1)におけるR53と、p4は式(A−1)におけるp1またはp2と、さらにL2 は式(A−1)におけるL1とそれぞれ同義であり、好ましいものも同様である。
【0065】
また、式(A−2)において、p5は、各々、0〜4の整数を表し、特に、0〜2であることが好ましい。p5が、各々、1〜3の整数、特に1または2であるとき、R55は、各々、メチル基、フェニル基であることが好ましい。
【0066】
式(A−2)において、R54とR55とは同一でも異なるものであってもよく、R54とR55が各々複数存在するとき、R54同士、R55同士は、各々同一でも異なるものであってもよい。
【0067】
式(A−1)において、Ar1 およびAr2 の少なくとも一方、Ar3 およびAr4 の少なくとも一方がフェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、スチリル基、フェニルスチリル基、ジフェニルスチリル基、チエニル基、メチルチエニル基、フェニルチエニル基またはフェニルビチエニル基であることが好ましい。さらにはAr1 およびAr2 の少なくとも一方、Ar3 およびAr4 の少なくとも一方がフェニル基、ビフェニル基またはターフェニル基であり、L1 は単結合であることが好ましい。
【0068】
式(A−2)において、Ar5 およびAr6 の少なくとも一方がフェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、スチリル基、フェニルスチリル基、ジフェニルスチリル基、チエニル基、メチルチエニル基、フェニルチエニル基またはフェニルビチエニル基であることが好ましい。さらにはAr5 およびAr6 の少なくとも一方がフェニル基、ビフェニル基またはターフェニル基であり、L2 は単結合であることが好ましい。
【0069】
本発明に用いるフェニルアントラセン誘導体の合成法については、特開平8−12600号公報等を参照することができる。
【0070】
これらの化合物は1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。
【0071】
フェニルアントラセン誘導体を青色発光化合物として用い、青色発光層とする場合の膜厚としては1〜500nmが好ましく、より好ましくは10〜200nmである。
【0072】
このような発光層には青色発光を保持することが可能な形でドーパントをドープしてもよい。このようなドーパントとしてはWO98/08360号や特開平8-239655号に開示のスチリル系アミン化合物等が挙げられる。スチリル系アミン化合物については後述する。ドーパントの使用量は発光層中において0.1〜20wt% であることが好ましい。ドーパントの使用により発光効率や素子の安定性が向上する。
【0073】
また、青色発光層は発光層に隣接して設けられる電子輸送層、ホール輸送層に用いられる電子注入輸送性化合物あるいはホール注入輸送性化合物をホスト材料として含有するものであってもよい。具体的には電子輸送層に用いたフェニルアントラセン誘導体をホスト材料として用いることなどが挙げられる。フェニルアントラセン誘導体は青色発光特性を有するものであるので、それ自体で青色発光させることが可能であるが、ホスト材料が青色発光特性を有しないものであるときは、ドーパントを使用することにより発光特性をかえ、青色発光するようにしてもよい。このようなドーパントしては前述のスチリル系アミン化合物などが挙げられる。
【0074】
こうした構成では、ホスト材料となる化合物を含有する電子輸送層あるいはホール輸送層と発光層との膜厚比を、発光層厚/電子輸送層あるいはホール輸送層厚が1/100〜100/1となるようにすることが好ましい。
【0075】
また、青色発光層は電子注入輸送性化合物とホール注入輸送性化合物との混合層であってもよく、このような態様は好ましい。なかでも、電子注入輸送性化合物、ホール注入輸送性化合物のいずれか一方の化合物は、発光層に隣接して設けられる電子輸送層、ホール輸送層に用いられた化合物と同じものが好ましい。特に好ましくは、発光層に隣接して電子輸送層とホール輸送層とを設け、これらの層中の電子注入輸送性化合物とホール注入輸送性化合物とを用い、これらの化合物の混合物とすることである。
【0076】
具体的には、電子輸送層中のフェニルアントラセン誘導体を電子注入輸送性化合物として用い、ホール輸送層中の芳香族三級アミンをホール注入輸送性化合物として用いることが好ましい。フェニルアントラセン誘導体として前述の式(A)の化合物が好ましい。芳香族三級アミンとしては、式(1)で表されるテトラアリールベンジジン誘導体が好ましい。
【0077】
【化4】
【0078】
式(1)について説明すると、R1 〜R4 は、それぞれアリール基、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基またはハロゲン基を表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。r1〜r4は、それぞれ0〜5の整数であり、r1〜r4がそれぞれ2以上の整数であるとき、隣接するR1同士、R2同士、R3同士、R4同士は、それぞれ互いに結合して環を形成してもよい。R5 およびR6 は、それぞれアルキル基、アルコキシ基、アミノ基またはハロゲン基を表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。r5およびr6は、それぞれ0〜4の整数である。
【0079】
R1 〜R4 で表されるアリール基としては、単環もしくは多環のものであってよく、縮合環や環集合も含まれる。総炭素数は6〜20のものが好ましく、置換基を有していてもよい。この場合の置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。具体的には、フェニル基、(o−,m−,p−)トリル基、ピレニル基、ペリレニル基、コロネニル基、ナフチル基、アントリル基、ビフェニリル基、フェニルアントリル基、トリルアントリル基等が挙げられ、特にフェニル基が好ましく、アリール基、特にフェニル基の結合位置は3位(Nの結合位置に対してメタ位)または4位(Nの結合位置に対してパラ位)であることが好ましい。
【0080】
R1 〜R4 で表されるアルキル基としては、直鎖状でも分岐を有するものであってもよく、炭素数1〜10のものが好ましく、置換基を有していてもよい。この場合の置換基としてはアリール基と同様のものが挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基、(n−,i−)プロピル基、(n−,i−,s−,t−)ブチル基等が挙げられる。
【0081】
R1 〜R4 で表されるアルコキシ基としては、アルキル部分の炭素数1〜6のものが好ましく、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、t−ブトキシ基等が挙げられる。アルコキシ基はさらに置換されていてもよい。
【0082】
R1 〜R4 で表されるアリールオキシ基としては、フェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−(t−ブチル)フェノキシ基等が挙げられる。
【0083】
R1 〜R4 で表されるハロゲン基としては、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
【0084】
式(1)のなかでも、好ましい態様としては、r1〜r4のいずれかが2以上の整数であり、R1同士、R2同士、R3同士およびR4同士のなかのいずれかが互いに結合して環(例えばベンゼン環)を形成する場合が挙げられる。
【0085】
また、別の好ましい態様としてはR1 〜R4 のうちの少なくとも1個はアリール基である場合である。すなわち、r1〜r4は同時に0になることはない。従って、r1+r2+r3+r4は1以上の整数であり、少なくとも1つのアリール基が存在する条件を満たす数である。
【0086】
R1 〜R4 のうちの少なくとも1個はアリール基であるとき、特にR1 〜R4 として1分子中にアリール基が2〜4個存在することが好ましく、r1〜r4の中の2〜4個が1以上の整数であることが好ましい。特に、アリール基は分子中に総計で2〜4個存在し、好ましくはr1〜r4の中の2〜4個が1であり、さらに好ましくはr1〜r4が1であり、含まれるR1 〜R4 のすべてがアリール基であることも好ましい。すなわち、分子中のR1 〜R4 が置換していてもよい4個のベンゼン環には総計で2〜4個のアリール基が存在し、2〜4個のアリール基は4個のベンゼン環の中で同一のものに結合していても、異なるものに結合していてもよいが、特に2〜4個のアリール基がそれぞれ異なるベンゼン環に結合していることが好ましい。そして、さらに少なくとも2個のアリール基がNの結合位置に対してパラ位またはメタ位に結合していることがより好ましい。また、この際アリール基としては少なくとも1個がフェニル基であることが好ましく、すなわちアリール基とベンゼン環が一緒になってN原子に対し4−または3−ビフェニリル基を形成することが好ましい。特に2〜4個が4−または3−ビフェニリル基であることが好ましい。4−または3−ビフェニリル基は一方のみでも両者が混在していてもよい。また、フェニル基以外のアリール基としては、特に(1−,2−)ナフチル基、(1−,2−,9−)アントリル基、ピレニル基、ペリレニル基、コロネニル基などが好ましく、フェニル基以外のアリール基もNの結合位置に対しパラ位またはメタ位に結合することが好ましい。これらのアリール基もフェニル基と混在していてもよい。
【0087】
式(1)において、R5 、R6 で表されるアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子としては、R1 〜R4 のところで挙げたものと同様のものが挙げられる。
【0088】
R5 、R6 で表されるアミノ基としては、無置換でも置換基を有するものであってもよいが、置換基を有するものが好ましく、具体的にはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ジビフェニリルアミノ基、N−フェニル−N−トリルアミノ基、N−フェニル−N−ナフチルアミノ基、N−フェニル−N−ビフェニリルアミノ基、N−フェニル−N−アントリルアミノ基、N−フェニル−N−ピレニルアミノ基、ジナフチルアミノ基、ジアントリルアミノ基、ジピレニルアミノ基等が挙げられる。
【0089】
r5、r6は、ともに0であることが好ましく、2つのアリールアミノ基を連結するビフェニレン基は無置換のものが好ましい。
【0090】
なお、r1〜r4が2以上の整数のとき、各R1 〜R4 同士は各々同一でも異なるものであってもよい。また、r5、r6が2以上の整数のとき、R5 同士、R6 同士は同一でも異なるものであってもよい。
【0091】
これらの化合物の中でも、下記式(1−1)で表される化合物が好ましい。
【0092】
【化5】
【0093】
式(1−1)について説明すると、A11〜A14は、それぞれNの結合位置に対してパラ位(4位)またはメタ位(3位)に結合するフェニル基または水素原子を表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。ただし、A11〜A14の2個以上はフェニル基であることが好ましい。これらのフェニル基はさらに置換基を有していてもよく、この場合の置換基としてはR1 〜R4 で表されるアリール基のところで挙げた置換基と同様のものを挙げることができる。
【0094】
R7 〜R10は、それぞれアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基またはハロゲン基を表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。これらの具体例としては式(1)のR1 〜R4 のところで挙げたものと同様のものを挙げることができる。
【0095】
r7〜r10は、それぞれ0〜4の整数であり、r7〜r10は0であることが好ましい。
【0096】
なお、r7〜r10が各々2以上の整数であるとき、各R7 〜R10同士は同一でも異なるものであってもよい。
【0097】
また、式(1−1)において、R5 、R6 、r5およびr6は式(1)のものと同義であり、r5=r6=0であることが好ましい。
【0098】
式(1)で表されるテトラアリールベンジジン誘導体は1種のみ用いても2種以上併用してもよい。
【0099】
混合層における電子注入輸送性化合物とホール注入輸送性化合物との混合比(体積比)は電子注入輸送性化合物/ホール注入輸送性化合物が10/90〜90/10であることが好ましく、さらに好ましくは20/80〜80/20である。
【0100】
このような混合層において、電子輸送性化合物に前述のフェニルアントラセン誘導体を用いる場合は、これ自身を青色発光化合物とすることができる。このようにフェニルアントラセン誘導体を青色発光化合物とし、テトラアリールベンジジン誘導体と混合して青色発光層とする場合、フェニルアントラセン誘導体/テトラアリールベンジジン誘導体(体積比)は95/5〜30/70が好ましく、90/10〜40/60がより好ましい。
【0101】
また、上述のような混合層において、さらにドーパントをドープしてもよく、ドーパントのドープは発光効率の向上および素子の安定性の点で好ましい。ドーパントの使用量は混合層中において0.1〜20wt% であることが好ましい。
【0102】
このようなドーパントとしては前述のスチリル系アミン化合物が好ましく用いられる。特に式(S)で表される化合物が好ましい。
【0103】
【化6】
【0104】
式(S)について説明すると、式(S)中、R61は水素またはアリール基を表す。R61で表されるアリール基としては置換基を有するものであってもよく、総炭素数6〜30のものが好ましく、例えばフェニル基等が挙げられる。
【0105】
R62、R63は各々水素、アリール基またはアルケニル基を表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。
【0106】
R62およびR63で表されるアリール基としては置換基を有するものであってもよく、総炭素数6〜70のものが好ましい。具体的にはフェニル基、ナフチル基、アントリル基等が挙げられ、置換基としてはアリールアミノ基、アリールアミノアリール基等が好ましい。また置換基にはスチリル基が含まれることも好ましく、このような場合式(S)で示される化合物から誘導される一価の基同士が、それ自体でまたは連結基を介して結合したような構造であることも好ましい。
【0107】
R62、R64で表されるアルケニル基としては置換基を有するものであってもよく、総炭素数2〜50のものが好ましく、ビニル基等が挙げられ、ビニル基とともにスチリル基を形成していることが好ましく、このような場合、式(S)で示される化合物から誘導される一価の基同士が、それ自体でまたは連結基を介して結合したような構造であることも好ましい。
【0108】
R64はアリールアミノ基またはアリールアミノアリール基を表し、これらにはスチリル基を含んでいてもよく、このような場合、上記の同じく、式(S)で示される化合物から誘導される一価の基同士がそれ自体でまたは連結基を介して結合したような構造であることも好ましい。
【0109】
式(S)のスチリル系アミン化合物の具体例を以下に示す。
【0110】
【化7】
【0111】
【化8】
【0112】
これらの化合物は1種のみ用いても2種以上併用してもよい。
【0113】
上記のような混合層において、電荷移動度と電荷密度の積がほぼ等しくなるように電子注入輸送性化合物およびホール注入輸送性化合物を選ぶことが好ましい。さらに好ましくは前記の条件を満たしかつ電荷移動度もほぼ等しいことが好ましい。この場合、電荷移動度は、タイムオブフライト法等により求めたものであり、1×10-1〜1×10-5cm2/V・sの範囲にあることが好ましい。このように電荷移動度が近くなるように化合物を選ぶことによって、i)キャリアの再結合確率を向上させることが発光効率を向上させること、ii)発光層からキャリアの突抜けが少なくなり、キャリア輸送層のダメージが小さくなり、素子の発光寿命を長寿命化できる利点がある。また、ホール注入輸送性化合物と電子注入輸送性化合物を混合することで、各電子とホールの移動度が低下し、再結合確率が向上する等の利点もある。
【0114】
混合層において、電子注入輸送性化合物とホール注入輸送性化合物とは均一に混合していてもよく、膜厚方向に濃度分布をもち、ホール輸送層側にてホール注入輸送性化合物の濃度が高く、電子輸送層側に向かってその濃度が漸減し、一方電子輸送層側にて電子注入輸送性化合物の濃度が高く、ホール輸送層側に向かってその濃度が漸減する傾斜膜としてもよい。傾斜膜において、電子注入輸送性化合物は電子輸送層側の混合層の1/2領域に混合層全体に存在する電子注入輸送性化合物の95〜50wt% 程度存在することが好ましく、ホール注入輸送性化合物についても同様の関係が成立することが好ましい。
【0115】
以上のような混合層からなる青色発光層は、電子とホールとが発光層全体に分布しており、再結合ポイントおよび発光ポイントが発光層内全体に拡がっており、層間界面近傍のみならず混合層全体で発光している。このことは実測の発光スペクトルと、発光領域を仮定して各光学界面での反射光と直接光の光学干渉シミュレーションを行った発光スペクトルをフィッティングすることで容易に確認することができる。このように層全体で発光することが可能であるため、積層した数種の波長の異なる発光を一つの素子から安定に取り出すことができ、かつ素子の発光寿命を延ばす等の利点が得られる。
【0116】
本発明における青色発光層の発光極大波長は400〜500nmである。
【0117】
上述のような混合層の厚さは1〜500nm、さらには20〜200nmであることが好ましい。
【0118】
<その他の発光色>
本発明の有機EL素子は、青色発光層のほかに、これとは発光波長の異なる少なくとも1層の発光層を有する多色発光に対応したものであることが好ましい。このような発光層は、赤(発光極大波長600〜700nm)、緑(発光極大波長500〜560nm)などの発光光を発するものであってよい。
【0119】
また、これらの発光層において、青色発光層と同じホスト材料を用いた混合層とし、ドーパントを加えることによって青色とは異なる色の発光光を発する発光層とすることが好ましい。これにより再結合領域が広がり、励起子の生成上好ましいものとなる。
【0120】
例えば、このような混合層の好ましい一態様として、前記のフェニルアントラセン誘導体とテトラアリールベンジジン誘導体との混合物に対し、ドーパントとしてナフタセン誘導体をドープした混合層がある。例えばナフタセン誘導体としてルブレンを用いた場合赤(発光極大波長540〜600nm)の発光が可能になる。ナフタセン誘導体の添加は素子の長寿命化の観点から好ましい。このほかペンタセン誘導体も同様の利点が得られる。これらについては、特開平8−311442号公報、WO98/08360号、特願平10−137505号等に記載されている。
【0121】
ナフタセン誘導体としては式(N)で表される化合物が好ましい。
【0122】
【化9】
【0123】
式(N)において、Ra、Rb、RcおよびRdはそれぞれ非置換、または置換基を有するアルキル基、アリール基、アミノ基、複素環基およびアルケニル基のいずれかを表し、アリール基、アミノ基、複素環基およびアルケニル基のいずれかであることが好ましい。
【0124】
Ra、Rb、RcおよびRdで表されるアリール基としては、単環もしくは多環のものであってよく、縮合環や環集合も含まれる。総炭素数は、6〜30のものが好ましく、置換基を有していてもよい。
【0125】
Ra、Rb、RcおよびRdで表されるアリール基としては、好ましくはフェニル基、(o−,m−,p−)トリル基、ピレニル基、ペリレニル基、コロネニル基、(1−,2−)ナフチル基、アントリル基、(o−,m−,p−)ビフェニリル基、ターフェニル基、フェナントリル基等である。
【0126】
Ra、Rb、RcおよびRdで表されるアミノ基としては、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アラルキルアミノ基等いずれでもよい。これらは、総炭素数1〜6の脂肪族、および/または1〜4環の芳香族炭素環を有することが好ましい。具体的には、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ビスジフェニリルアミノ基、ビスナフチルアミノ基等が挙げられる。
【0127】
Ra、Rb、RcおよびRdで表される複素環基としては、ヘテロ原子としてO,N,Sを含有する5員または6員環の芳香族複素環基、および炭素数2〜20の縮合多環芳香複素環基等が挙げられる。芳香族複素環基および縮合多環芳香複素環基としては、例えばチエニル基、フリル基、ピロリル基、ピリジル基、キノリル基、キノキサリル基等が挙げられる。
【0128】
Ra、Rb、RcおよびRdで表されるアルケニル基としては、少なくとも置換基の1つにフェニル基を有する(1−、および2−)フェニルアルケニル基、(1,2−、および2,2−)ジフェニルアルケニル基、(1,2,2−)トリフェニルアルケニル基等が好ましいが、非置換のものであってもよい。
【0129】
Ra、Rb、RcおよびRdが置換基を有する場合、これらの置換基のうちの少なくとも2つがアリール基、アミノ基、複素環基、アルケニル基およびアリーロキシ基のいずれかであることが好ましい。アリール基、アミノ基、複素環基およびアルケニル基については上記Ra、Rb、RcおよびRdと同様である。
【0130】
Ra、Rb、RcおよびRdの置換基となるアリーロキシ基としては、総炭素数6〜18のアリール基を有するものが好ましく、具体的には(o−,m−,p−)フェノキシ基等が挙げられる。
【0131】
これら置換基の2種以上が縮合環を形成していてもよい。また、さらに置換されていてもよく、その場合の好ましい置換基としては上記と同様である。
【0132】
Ra、Rb、RcおよびRdが置換基を有する場合、少なくともその2種以上が上記置換基を有することが好ましい。その置換位置としては特に限定されるものではなく、メタ、パラ、オルト位のいずれでもよい。また、RaとRd、RbとRcはそれぞれ同じものであることが好ましいが、異なっていてもよい。
【0133】
Re、Rf、RgおよびRhは、それぞれ水素または置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、アミノ基およびアルケニル基のいずれかを表す。
【0134】
Re、Rf、RgおよびRhで表されるアルキル基としては、炭素数が1〜6のものが好ましく、直鎖状であっても分岐を有していてもよい。アルキル基の好ましい具体例としては、メチル基、エチル基、(n,i)−プロピル基、(n,i,sec,tert)−ブチル基、(n,i,neo,tert)−ペンチル基等が挙げられる。
【0135】
Re、Rf、RgおよびRhで表されるアリール基、アミノ基、アルケニル基としては、上記Ra、Rb、RcおよびRdの場合と同様である。また、ReとRf、RgとRhは、それぞれ同じものであることが好ましいが、異なっていてもよい。
【0136】
混合層におけるナフタセン誘導体の使用量は0.1〜20wt% であることが好ましい。
【0137】
また、このような混合層におけるフェニルアントラセン誘導体とテトラアリールベンジジン誘導体との混合比はフェニルアントラセン誘導体/テトラアリールベンジジン誘導体の体積比が90/10〜10/90であることが好ましい。その厚さは1〜500nm、さらには10〜200nmであることが好ましい。
【0138】
本発明では、青色発光層を含め、2層あるいは3層の発光層を設け、白色発光するような素子を構成することができる。
【0139】
<ホール輸送および/または注入層>
本発明では、一部前記したが、ホール輸送および/または注入層を設けることが好ましい。ホール輸送層を設け、その層中のホール注入輸送性化合物を発光層のホスト材料として用いるような態様でない場合においても、ホール輸送および/または注入層(ホール注入輸送層という場合もある)を設けることが好ましい。この場合のホール注入輸送性化合物としては芳香族三級アミンを用いることが好ましく、式(1)で表されるテトラアリールベンジジン誘導体および式(2)で表されるトリフェニルアミン誘導体が好ましい。式(1)については前述のとおりである。式(2)について説明する。
【0140】
【化10】
【0141】
式(2)において、2つのΦはフェニレン基を表す。Φ−Φのビフェニレン基としては、4,4’−ビフェニレン基、3,3’−ビフェニレン基、3,4’−ビフェニレン基、2,2’−ビフェニレン基、2,3’−ビフェニレン基、2,4’−ビフェニレン基のいずれであってもよいが、特に4,4’−ビフェニレン基が好ましい。
【0142】
また、R01,R02,R03およびR04は、それぞれ、ジアリールアミノアリール基、
【0143】
【化11】
【0144】
のいずれかを表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。R011,R012,R013,R014,R015,R016およびR017で表されるアリール基は、それぞれ、無置換であっても置換基を有するものであってもよい。
【0145】
R011,R012,R013,R014,R015,R016およびR017で表されるアリール基としては、単環または多環のものであってよく、総炭素数6〜20のものが好ましく、具体的には、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基、ペリレニル基およびo−,m−またはp−ビフェニル基等が挙げられる。これらアリール基はさらに置換されていてもよく、このような置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基、無置換もしくは置換基を有するアリール基またはアルコキシ基、アリーロキシ基および−N(R021)R022等が挙げられる。ここで、R021およびR022は、それぞれ、無置換または置換基を有するアリール基を表す。
【0146】
R021およびR022で表されるアリール基としては、単環または多環のものであってよく、総炭素数6〜20のものが好ましく、具体的には、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基、ペリレニル基およびo−,m−またはp−ビフェニル基等が挙げられ、特に好ましくはフェニル基が挙げられる。これらアリール基はさらに置換されていてもよく、このような置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基、無置換または置換基を有するアリール基等が挙げられる。前記アルキル基としては好ましくはメチル基が挙げられ、前記アリール基としては好ましくはフェニル基が挙げられる。
【0147】
また、R01,R02,R03およびR04で表されるジアリールアミノアリール基は、例えばジアリールアミノフェニル基であり、このような基においてジアリールアミノ基が式(2)で表される骨格に対してメタ位(3位)またはパラ位(4位)に結合しているものが好ましい。このときのフェニル基は、さらに置換基を有していてもよいが、ジアリールアミノ基のみを有することが好ましい。
【0148】
ジアリールアミノ基中のアリール基としては、単環または多環のものであってよく、総炭素数6〜20のものが好ましく、具体的には、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基、ペリレニル基およびo−,m−またはp−ビフェニル基等が挙げられ、特に好ましくはフェニル基が挙げられる。これらアリール基はさらに置換されていてもよく、このような置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基、無置換または置換基を有するアリール基等が挙げられる。前記アルキル基としては好ましくはメチル基が挙げられ、前記アリール基としては好ましくはフェニル基が挙げられる。また、アリール基の置換基としては、式(2)中のR01〜R04で表されるジアリールアミノアリール基以外の上記の基も好ましい。置換基を2以上有する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。また、置換基は、Nの結合位置に対してメタ位あるいはパラ位に結合していることが好ましい。
【0149】
また、式(2)において、r01,r02,r03およびr04は、それぞれ、0〜5、好ましくは0〜2の整数を表すが、特に0または1であることが好ましい。そして、r01+r02+r03+r04は、1以上、特に1〜4、さらには2〜4が好ましい。前記R01,R02,R03およびR04は、Nの結合位置に対してメタ位あるいはパラ位に結合し、R01,R02,R03およびR04の全てがメタ位、R01,R02,R03およびR04の全てがパラ位、あるいは、R01,R02,R03およびR04がメタ位あるいはパラ位に結合していても、これらが混在していてもよい。r01,r02,r03またはr04が2以上である場合、R01同士,R02同士,R03同士またはR04同士は同一でも異なっていてもよい。
【0150】
発光層側から、ホール輸送層、ホール注入層を順に設けるときは、ホール輸送層に式(1)の化合物を用い、ホール注入層に式(2)の化合物を用いることが好ましい。このような化合物を組み合わせることにより電子をブロックする機能が向上する。いずれにせよ、ホール輸送層にはベンジジン骨格を有し、フェニレンジアミン骨格をもたない芳香族三級アミンを用いることが好ましく、ホール注入層にはフェニレンジアミン骨格をもつ芳香族三級アミンを用いることが好ましい。
【0151】
ホール注入層の厚さは1〜1000nm、さらには1〜100nmが好ましく、ホール輸送層の厚さは1〜200nm、さらには5〜100nmが好ましい。これらの層を1層のみ設けるときは1〜1000nm、さらには10〜500nmの厚さとすることが好ましい。
【0152】
<電子輸送および/または注入層>
本発明では、一部前記したが、電子輸送および/または注入層を設けることが好ましい。電子輸送層を設け、その層中の電子注入輸送性化合物を発光層のホスト材料として用いるような態様でない場合においても、電子輸送および/または注入層(電子注入輸送層という場合もある)を設けることが好ましい。この場合の電子注入輸送性化合物としては前記のフェニルアントラセン誘導体のほか、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3 )等の8−キノリノールないしその誘導体を配位子とする有機金属錯体などのキノリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ペリレン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、キノキサリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体等を用いることができる。
【0153】
特に、式(A)のジフェニルアントラン誘導体と8−キノリノールないしその誘導体を配位子とするアルミニウム錯体(特にトリス(8−キノリノラト)アルミニウム)とを用い、前者を発光層側の電子輸送層に用い、後者を陰極側の電子注入層に用いることも好ましい。なお、8−キノリノール)ないしその誘導体を配位子とするアルミニウム錯体についてはWO98/08360号等に開示されている。
【0154】
電子注入層の厚さは1〜1000nm、さらには1〜100nmが好ましく、電子輸送層の厚さは1〜500nm、さらには1〜100nmが好ましい。これらの層を1層のみ設けるときは1〜1000nm、さらには1〜100nmの厚さとすることが好ましい。
【0155】
<陰極>
陰極は低抵抗金属であることが望ましい。これは複数の発光素子に一度に電流を供給するような駆動方法を採る場合にはより重要になる。あるいは有機層に電子を注入しやすい材料を選択しても良いし、その上にさらに低抵抗金属を積層しても良い。
【0156】
本発明において用いられる陰極材料には、アルカリ金属(Li、Na、K、Rb、Cs等)のハロゲン化物、酸化物を用いることが好ましい。具体的にはフッ化リチウム(LiF)、塩化リチウム(LiCl)、臭化リチウム(LiBr)、ヨウ化リチウム(LiI)、フッ化ナトリウム(NaF)、塩化ナトリウム(NaCl)、臭化ナトリウム(NaBr)、ヨウ化ナトリウム(NaI)、フッ化ルビジウム(RbF)、塩化ルビジウム(RbCl)、臭化ルビジウム(RbBr)、ヨウ化ルビジウム(RbI)、フッ化セシウム(CsF)、塩化セシウム(CsCl)、臭化セシウム(CsBr)、ヨウ化セシウム(CsI)のハロゲン化物や、酸化リチウム(Li2O)、酸化ナトリウム(Na2O)等の酸化物が挙げられる。特にRb、Cs等のハロゲン化物、とりわけ塩化物、ヨウ化物が好ましい。
【0157】
アルカリ金属のハロゲン化物、酸化物を下層とし、さらに仕事関数の小さい材料(例えば、Li、Na、K、Mg、Al、Ag、In、あるいは、これらの1種以上を含む合金)で積層してもよい。陰極は、結晶粒が細かいことが好ましく、特にアモルファス状態であることが好ましい。陰極の合計厚さは10〜1000nm程度とすることが好ましい。下層を用いた構成での下層の厚さは0.1〜1nm程度である。
【0158】
陰極材料としてアルカリ金属のハロゲン化物、酸化物を用いることは、青色発光層を有する素子では特に有効であり、青色発光光を安定して得ることができる。青色発光系ではホストのエネルギーギャップが緑系に比べ大きいので、より高効率の電子注入性とホール注入性が要求される。従来のMgAgのような陰極では電子注入効率が悪く、これにかわる高効率な材料としてアルカリ金属系が有効である。それは仕事関数が小さいためである。また、ハロゲン化物、酸化物の形態をとっても仕事関数は変化しないし、あるいは電界がかかったときに還元等が起こり金属になり得る。よって取り扱いが容易な電子注入材料として最適である。また、有機膜と電極との密着向上の効果もある。
【0159】
アルカリ金属のハロゲン化物、酸化物を陰極材料として用いることは、特に、青色発光層にその隣接層となる電子輸送層やホール輸送層の電子注入輸送性化合物やホール注入輸送性化合物をホスト材料として用いない態様においては必須である。
【0160】
また、陰極界面の有機物層にLi等の金属をドープしてもよい。
【0161】
さらに、水分や酸素に触れないように、ガラス板や金属缶を接着し、充分乾燥した稀ガスやN2 のような安定なガスを封入して封止すればよい。
【0162】
また、電極形成の最後にAlや、フッ素系化合物を蒸着・スパッタすることで封止効果が向上する。
【0163】
なお、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(AlQ3)等を電子注入および/または輸送層に用い、陰極をスパッタにより形成するような場合、電子注入および/または輸送層に対するスパッタによるダメージを防止するために、電子注入および/または輸送層と陰極との間にルブレン等のナフタセン誘導体(前記)の層を0.1〜20nm厚に形成することができる。
【0164】
<陽極>
有機EL素子を面発光させるためには、少なくとも一方の電極が透明ないし半透明である必要があり、上記のように陰極の材料には制限があるので、好ましくは発光光の透過率が80%以上となるように陽極の材料および厚さを決定することが好ましい。具体的には、例えば、ITO(錫ドープ酸化インジウム)、IZO(亜鉛ドープ酸化インジウム)、SnO2 、Ni、Au、Pt、Pd、ドーパントをドープしたポリピロールなどを陽極に用いることが好ましく、特にITO、IZOが好ましい。ITOは、通常In2 O3 とSnO2 とを化学量論組成で含有するが、酸素量は多少これから偏倚していてもよい。IZOは、通常In2 O3 とZnOとを化学量論組成で含有するが、酸素量は多少これから偏倚していてもよい。In2 O3 に対するSnO2 の混合比は、1〜20wt%、さらには5〜12wt%が好ましい。また、IZOでのIn2 O3 に対するZnOの混合比は、通常、12〜32wt%程度である。また、陽極の厚さは10〜500nm程度とすることが好ましい。また、素子の信頼性を向上させるために駆動電圧が低いことが必要であるが、好ましいものとして10〜30Ω/□または10Ω/□以下(通常0.1〜10Ω/□)のITOが挙げられる。
【0165】
また、ディスプレイのような大きいデバイスにおいては、ITOの抵抗が大きくなるのでAl配線をしてもよい。
【0166】
上記陽極の透明導電膜は、通常オーバーコート層上に成膜され、パターニングされる。これらの透明導電膜の抵抗値が高すぎる場合には補助配線としてより低抵抗率の良導体を発光領域以外の部分に形成し透明導電膜と接続することで、電圧降下を抑制することが可能である。低抵抗率金属としてはAl、Ag、Au、Cu、Mo、W、Ta、Ni、Crなど金属や、これらを主成分とする合金、あるいは低抵抗率のシリサイドを用いることができる。
【0167】
EL素子、特に有機EL素子の陽極、陰極間の漏れ電流の抑制が必要な場合には透明導電膜の端部や補助配線を絶縁膜で被覆する。絶縁膜が透明導電膜の発光面と接する部分の段差は60度以下の順テーパーにする事でさらに漏れ電流を抑制することが可能となる。
【0168】
必要で有れば隣り合う素子の陰極を分離するための素子分離構造体を形成することが可能である。
【0169】
素子分離構造体は歩留まり良くパネルを生産するためにオーバーハング部を有することが、実用上は必須と言える。
【0170】
この後に発光機能を有する有機物を含む材料を成膜する。この材料は単層でも複数層でも良く、また、複数層である場合は少なくとも発光機能領域が有機物であればよい。
【0171】
さらに、素子の有機層や電極の劣化を防ぐために、素子を封止板等により封止することが好ましい。封止板は、湿気の浸入を防ぐために、接着性樹脂層を用いて、封止板を接着し密封する。封止ガスは、Ar、He、N2 等の不活性ガス等が好ましい。また、この封止ガスの水分含有量は、100ppm 以下、より好ましくは10ppm 以下、特には1ppm 以下であることが好ましい。この水分含有量に下限値は特にないが、通常0.1ppm 程度である。
【0172】
封止板の材料としては、好ましくは平板状であって、ガラスや石英、樹脂等の透明ないし半透明材料が挙げられるが、特にガラスが好ましい。このようなガラス材として、コストの面からアルカリガラスが好ましいが、この他、ソーダ石灰ガラス、鉛アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸ガラス、シリカガラス等のガラス組成のものも好ましい。特に、ソーダガラスで、表面処理の無いガラス材が安価に使用でき、好ましい。封止板としては、ガラス板以外にも、金属板、プラスチック板等を用いることもできる。
【0173】
封止板は、スペーサーを用いて高さを調整し、所望の高さに保持してもよい。スペーサーの材料としては、樹脂ビーズ、シリカビーズ、ガラスビーズ、ガラスファイバー等が挙げられ、特にガラスビーズ等が好ましい。スペーサーは、通常、粒径の揃った粒状物であるが、その形状は特に限定されるものではなく、スペーサーとしての機能に支障のないものであれば種々の形状であってもよい。その大きさとしては、円換算の直径が1〜20μm 、より好ましくは1〜10μm 、特に2〜8μm が好ましい。このような直径のものは、粒長100μm 以下程度であることが好ましく、その下限は特に規制されるものではないが、通常直径と同程度以上である。
【0174】
なお、封止板に凹部を形成した場合には、スペーサーは使用しても、使用しなくてもよい。使用する場合の好ましい大きさとしては、前記範囲でよいが、特に2〜8μm の範囲が好ましい。
【0175】
スペーサーは、予め封止用接着剤中に混入されていても、接着時に混入してもよい。封止用接着剤中におけるスペーサーの含有量は、好ましくは0.01〜30wt%、より好ましくは0.1〜5wt%である。
【0176】
接着剤としては、安定した接着強度が保て、気密性が良好なものであれば特に限定されるものではないが、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を用いることが好ましい。
【0177】
本発明において、有機EL構造体を形成する基板としては、非晶質基板たとえばガラス、石英など、結晶基板たとえば、Si、GaAs、ZnSe、ZnS、GaP、InPなどがあげられ、またこれらの結晶基板に結晶質、非晶質あるいは金属のバッファ層を形成した基板も用いることができる。また金属基板としては、Mo、Al、Pt、Ir、Au、Pdなどを用いることができ、好ましくはガラス基板が用いられる。基板は、光取り出し側となる場合、上記電極と同様な光透過性を有することが好ましい。
【0178】
本発明のEL表示装置に用いられる有機EL素子は、通常、直流駆動型、パルス駆動型のEL素子として用いられるが、交流駆動とすることもできる。印加電圧は、通常、2〜30V 程度とされる。
【0179】
有機EL素子は、例えば基板/ホール注入電極/ホール注入輸送層/発光層/電子注入輸送層/陰電極(電子注入電極)/保護層とが順次積層された構成とすることができる。
【0180】
また、上記発明の素子は、膜厚方向に多段に重ねてもよい。このような素子構造により、発光色の色調調整や多色化を行うこともできる。
【0181】
<無機EL素子>
無機EL素子は、電気絶縁性基板と所定のパターンに形成された第1電極と第1絶縁体層とからなる構造体と、さらにその上に設けられた真空蒸着、スパッタリング法、CVD法等で形成されるエレクトロルミネセンスを生じる発光層と第2絶縁体層と、好ましくは透明電極からなる第2電極層とを有する基本構造を有する。また、第1絶縁体層および第2絶縁体層の少なくとも一方の材質が、次ぎに詳細に説明するような特定組成物であることが好ましい。
【0182】
発光層は、通常のEL素子と同様であり、第2電極は通常の薄膜プロセスを使って設けられるITO膜等を用いる。
【0183】
好ましい発光層の材料としては、例えば、月刊ディスプレイ ’98 4月号最近のディスプレイの技術動向 田中省作 p1〜10に記載されているような材料を挙げることができる。具体的には、赤色発光を得る材料として、ZnS、Mn/CdSSe等、緑色発光を得る材料として、ZnS:TbOF、ZnS:Tb、ZnS:Tb等、青色発光を得るための材料として、SrS:Ce、(SrS:Ce/ZnS)n、CaCa2S4:Ce、Sr2Ga2S5:Ce等を挙げることができる。
【0184】
また、白色発光を得るものとして、SrS:Ce/ZnS:Mn等が知られている。
【0185】
これらのなかでも、上記IDW(International Display Workshop)’97 X.Wu "Multicolor Thin-Film Ceramic Hybrid EL Displays" p593 to 596 で検討されている、SrS:Ceの青色発光層を有するELに本発明を適用することにより特に好ましい結果を得ることができる。
【0186】
発光層の膜厚としては、特に制限されるものではないが、厚すぎると駆動電圧が上昇し、薄すぎると発光効率が低下する。具体的には、蛍光材料にもよるが、好ましくは100〜1000nm、特に150〜500nm程度である。
【0187】
発光層の形成方法は、気相堆積法を用いることができる。気相堆積法としては、スパッタ法や蒸着法等の物理的気相堆積法や、CVD法等の化学的気相堆積法を挙げることができる。これらのなかでもCVD法等の化学的気相堆積法が好ましい。
【0188】
また、特に上記IDWに記載されているように、SrS:Ceの発光層を形成する場合には、H2S雰囲気下、エレクトロンビーム蒸着法により形成すると、高純度の発光層を得ることができる。
【0189】
発光層の形成後、好ましくは加熱処理を行う。加熱処理は、基板側から電極層、絶縁層、発光層と積層した後に行ってもよいし、基板側から電極層、絶縁層、発光層、絶縁層、あるいはこれに電極層を形成した後にキャップアニールしてもよい。通常、キャップアニール法を用いることが好ましい。熱処理の温度は、好ましくは600〜基板の焼結温度、より好ましくは600〜1300℃、特に800〜1200℃程度、処理時間は10 〜600分、特に30〜180分程度である。アニール処理時の雰囲気としては、N2 、Ar、HeまたはN2 中にO2 が0.1%以下の雰囲気が好ましい。
【0190】
透明電極材料は、電界を効率よく発生させるため、比較的低抵抗の物質が好ましい。具体的には、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO)、酸化インジウム(In2O3 )、酸化スズ(SnO2 )および酸化亜鉛(ZnO)のいずれかを主組成としたものが好ましい。これらの酸化物はその化学量論組成から多少偏倚していてもよい。In2 O3 に対するSnO2 の混合比は、1〜20wt%、さらには5〜12wt%が好ましい。また、IZOでのIn2 O3 に対するZnOの混合比は、通常、12〜32wt%程度である。
【0191】
第1絶縁体層に以下に詳細に説明する特定組成の強誘電体材料を用いる場合、基板、第1電極、第1絶縁体層が積層セラミック構造体であることが好ましい。この場合、第1絶縁体層と基板に同一の材料または同一の材料系を用いることができる。
【0192】
第1絶縁体層は、チタン酸バリウム系の強誘電体からなり、主成分としてチタン酸バリウム、副成分として酸化マグネシウムと、酸化マンガンと、酸化バリウムおよび酸化カルシウムから選択されるすくなくとも1種と、酸化ケイ素とを含有する。チタン酸バリウムをBaTiO3に、酸化マグネシウムをMgOに、酸化マンガンをMnOに酸化バリウムをBaOに酸化カルシウムをCaOに、酸化ケイ素をSiO2 にそれぞれ換算したとき、絶縁体層中における各化合物の比率は、BaTiO3100モルに対しMgO:0.1〜3モル、好ましくは0.5〜1.5モル、MnO:0.05〜1.0モル、好ましくは0.2〜0.4モル、BaO+CaO:2〜12モル、SiO2:2〜12モルである。
【0193】
(BaO+CaO)/SiO2は特に限定されないが、通常、0.9〜1.1とすることが好ましい。BaO、CaO、SiO2は、(BaxCa1-xO)y・SiO2として含まれていてもよい。この場合、緻密な焼結体を得るためには、0.3≦x≦0.7、0.95≦y≦1.05とすることが好ましい。
【0194】
(BaxCa1-xO)y・SiO2の含有量は、BaTiO3、MgOおよびMnOの合計に対し、好ましくは、1〜10重量%、より好ましくは4〜6重量%である。
【0195】
なお、各酸化物の酸化状態は特に限定されず、各酸化物を構成する金属元素の含有量が上記範囲であればよい。
【0196】
第1絶縁体層には、BaTiO3に換算したチタン酸バリウム100モルに対し、Y2O3に換算して1モル以下の酸化イットリウムが副成分として含まれることが好ましい。Y2O3含有量の下限は特にないが、十分な効果を実現するためには、0.1モル以上含まれることが好ましい。酸化イットリウムを含む場合、(BaxCa1-xO)y・SiO2の含有量は、BaTiO3、MgO、MnOおよびY2O3の合計に対し、好ましくは、1〜10重量%、より好ましくは4〜6重量%である。
【0197】
なお、第1絶縁体層には他の化合物が含まれてもよいが、酸化コバルトは容量変化を増大させるので実質的に含まれないことが好ましい。
【0198】
上記各副成分の限定理由は下記のとおりである。
酸化マグネシウムの含有量が前記範囲未満であると、容量の温度特性が劣化する。酸化マグネシウムの含有量が前記範囲を越えると、焼結性が急激に悪化し、緻密化が不十分となって絶縁耐圧の経時変化が大きくなり、薄い膜厚で使うことが難しくなる。
【0199】
酸化マンガンの含有量が前記範囲未満であると、良好な耐還元性が得られず、第1電極に酸化されやすいNiを使ったときに、絶縁耐圧の経時変化が大きくなり、薄い膜厚で使うことが難しくなる。酸化マンガンの含有量が前記範囲を越えていると、容量の経時変化が大きくなり、発光素子の発光輝度の経時変化が大きくなる。
【0200】
BaO+CaOや、SiO2、(BaxCa1-xO)y・SiO2の含有量が少なすぎると容量の経時変化が大きくなり、発光素子の発光輝度の経時変化が大きくなる。含有量が多すぎると誘電率が急激に低下し、発光開始電圧が上昇し、また輝度が低下する。
【0201】
酸化イットリウムは、絶縁耐圧の耐久性を向上させる。 酸化イットリウムの含有量が前記範囲を越えると、容量が減少し、また、焼結性が低下して緻密化が不十分となることがある。
【0202】
また、第1絶縁層中には、酸化アルミニウムが含有されていてもよい。酸化アルミニウムの添加は、焼結温度を低下させることができる。Al2O3に換算したときの酸化アルミニウムの含有量は、第1絶縁体層材料全体の1重量%以下が好ましい。酸化アルミニウムの含有量が多すぎると、逆に第1絶縁体層の焼結を阻害する。
【0203】
第1絶縁体層の平均結晶粒径は、特に限定されるものではないが、上記組成とすることにより、微細な結晶が得られる。通常、平均結晶粒径は0.2〜0.7μm 程度である。
【0204】
上記の積層セラミック構造体を用いる場合の第1電極層の導電材料は、特に限定されないが、主成分としてAg、Au、Ni、Pd、Pt、Cu、Fe、Co、Mo、W等の金属の1種または2種以上や、これらの合金等を用いることができる。
【0205】
基板の材料は、上記の積層セラミック構造体を用いる場合、特に限定されないが、Al2O3、及びAl2O3に種々の目的、例えば焼成温度を調整する目的等でSiO2、MgO、CaO等添加したものを等を用いる。積層セラミック構造体を用いない場合には、通常のEL素子で使われているガラス基板を用いることができるが、より高温での処理が可能な高融点ガラスが好ましい。
【0206】
上記の積層セラミック構造体は、通常の記載方法により製造される。即ち基板となるセラミック原料粉末にバインダー混合してペーストを作り、キャスティング成膜し、グリーンシートを製造する。セラミックの内部電極となる第1電極は、グリーンシート上にスクリーン印刷法等により印刷される。
【0207】
次いで、必要により、焼成を行ったのち、そのうえに、高誘電体材料粉末にバインダーを混合して作製されたペーストをスクリーン印刷法等で印刷して、焼成し積層セラミック構造体が作製される。
【0208】
焼成は、脱バインダー処理を行ったのち、1200〜1400℃、好ましくは1250〜1300℃で数十〜数時間行う。
【0209】
また、焼成では、酸素分圧を10-8〜10-12気圧とすることが好ましい。この条件下では第1絶縁体層が還元雰囲気であるため、電極に安価な卑金属、例えばNi、Cu、W、Moのいずれか1種またはこれらのいずれか1種以上を主成分とする合金等を使用することができる。この場合、必要に応じて、グリーンシートと第1電極のパターンの間に酸素の拡散防止層、例えば第1絶縁体層と同じ層を設けて焼成することができる。
【0210】
還元性雰囲気中で焼成した場合、複合基板にはアニールを施すことが好ましい。アニールは、第1絶縁体層を再酸化するための処理であり、これにより絶縁耐圧の経時変化を小さくすることができる。
【0211】
アニール雰囲気中の酸素分圧は、10-6気圧以上、特に10-5〜10-4気圧とすることが好ましい。酸素分圧が前記範囲未満であると絶縁体層または誘電体層の再酸化が困難であり、前記範囲を超えると内部導体が酸化する傾向にある。
【0212】
アニールの際の保持温度は、1100℃以下、特に500〜1000℃とすることが好ましい。保持温度が前記範囲未満であると絶縁体層または誘電体層の酸化が不十分となって寿命が短くなる傾向にあり、前記範囲を超えると電極層が酸化し、容量が低下するだけでなく、絶縁体素地、誘電体素地と反応してしまい、寿命も短くなる傾向にある。
【0213】
なお、アニール工程は昇温および降温だけから構成してもよい。この場合、温度保持時間は零であり、保持温度は最高温度と同義である。また、温度保持時間は、0〜20時間、特に2〜10時間が好ましい。雰囲気用ガスには、加湿したN2 ガス等を用いることが好ましい。
【0214】
積層セラミック構造体の作製法は、この外にも種々の方法を採用することができる。例えば、
【0215】
(1)PET等のフィルムシートを用意し、その上に第1絶縁体層用の所定の誘電体材料を含むペーストを印刷法等で全面に印刷し、その上に第1電極用の導電材料を含むペーストのパターンをスクリーン印刷法等で形成し、その上に基板用のアルミナその他の添加物等含むペーストからなるグリーンシートを形成した積層体を作り、フィルムシートからはずして、焼結する。この場合には、フィルムシートと接していた面に発光層等を設けることになるが、この方法では、非常に平坦な面が得られるのが特徴である。
【0216】
(2)予め焼成されたアルミナ等のセラミック基板を用意し、基板面に第1電極用の導電材料を含むペーストのパターンを印刷法等で形成し、その上に第1絶縁体層用の所定の誘電体材料を含むペーストをスクリーン印刷等で全面に印刷し、基板ごと焼結する方法
等を採用することができる。
【0217】
EL素子では、互いに直交する第1電極と第2電極で画定された部分で発光表示を行うものであり、電極は電流供給の機能と画素表示の機能を兼ねるものであり、必要に応じて任意のパターンに形成される。
【0218】
基板、第1電極、第1絶縁体層を積層セラミック構造体として作製する場合、第1電極のパターンはスクリーン印刷法により容易に形成できる。通常、EL素子のディスプレイにおいては極端に微細な電極パターンが要求されることはほとんどなく、スクリーン印刷法で十分であり、大面積に低コストで電極形成できる利点を有している。微細な電極パターンが要求される場合にはフォトリソグラフ技術を用いることもできる。
【0219】
以上説明した積層セラミック構造体の上に、蒸着やスパッタ等の薄膜プロセスにより、発光層等を形成し無機EL素子が得られる。
【0220】
【実施例1】
図7〜14に3色のカラーフィルターを用いて、5色の表示色を得る例を示す。ここで、図7,9,11,13は平面図。図8,10,12,14は、それぞれ図7,9,11,13のA−A’断面矢視図である。図7,8は、基板1上に顔料分散型カラーフィルターを、上段から順に青2Bと緑2Gとの混在、青2B、緑2G、赤2R、カラーフィルター無し(オーバーコートのみ)3aの状態に形成したものを示している。緑と青は150μm のピッチでストライプ状に形成した。カラーフィルター上にはオーバーコート層3が形成されており、さらに保護膜4としてSiO2 を成膜した。
【0221】
図9,10は、透明導電膜5としてITOを成膜して、パターニングした状態を示す。ITOは100nmの膜厚に成膜し、フォトリソグラフイーにより短冊状にレジストパターンを形成して、市販の薬液、HCl:HNO3 :H2O=6:1:19の比率の混酸でエッチングした。
【0222】
レジスト除去後に、有機層6として発光機能を有する有機物を含む材料を成膜した状態を図11,12に示す。材料は、ホール注入層としてポリ(チオフェン−2,5−ジイル)を10nmの厚さに、ホール輸送層兼黄色発光層としてTPDにルブレンを1wt%の割合でドープしたものを共蒸着で5nmの膜厚に成膜した。ルブレンの濃度は0.1〜10wt%程度が好ましく、この濃度で高効率で発光する。濃度は発光色の色バランスより決定すればよく、この後成膜する青色発光層の光強度と波長スペクトルにより左右される。さらに青色発光層としても4‘−ビス[(1,2,2−トリフェニル)エテニル]ビフェニルを50nm、電子輸送層としてAlq3 を10nm成摸した。
【0223】
最後に、図13,14に示すように陰極7としてAl・Li合金及びAlを真空蒸着した。
【0224】
こうして得られたパネルを発光させると、目視で順に水色、青、緑、赤、白の発光が観察された。
【0225】
【実施例2】
図15に、カーステレオ用の表示パネルを構成した例を示す。図に示した文字情報表示部は101白色表示、スペクトルインジケーター部103は、上部103aが黄色、下部103bが水色、ピークインジケーター部102は、上部102aが赤、中央部102bを黄色、下部102cを青とした。さらに、パネル中央の時間表示部104は緑色とした。電源表示、動作モード等を表す他部分の色配置の説明は略す。
【0226】
黄色は緑と赤のカラーフィルターを1:2で、水色は青フィルターとカラーフィルター無しの部分を4:1の面積比率でモザイク配置し形成した。形成方法は実施例1と同様である。
【0227】
透明導電膜として成膜したITOを所望の形状にパターニングし、補助配線としてTiNを50nm、Alを300nm積層してパターニングした。さらに発光部分と配線の引き出し部分を除いて絶縁膜としてポジレジストを1μm 形成した。ポジレジストは180℃の温度で完全硬化させた。
【0228】
次に、陰極を分離するための素子分離構造体を形成した。まず、ポリイミドを2μm 塗布し、115℃で乾燥後にレジストを3μm 塗布し、フォトリソグラフイーによりパターンを形成した。十分な時間現像液に浸漬することにより、レジストの下のポリイミドがエッチングされ、レジストがオーバーハングするような構造を形成することができた。これは特開平9−330792号公報、特開平10−172765号公報に示した構造、方法である。さらに特開平9−41663号公報に示したようなひさし構造を持つメタルマスクを用いて、実施例1と同様にホール注入層、ホール輸送層兼黄色発光層、青色発光層を成膜し、引き続き真空を破らずにAl・Li合金を5nm、Alを300nmスパッタ法により成膜した。さらにSiONを50nmやはりスパッタ法で成膜した。
【0229】
AlとSiONは素子分離構造体のひさしの下まで充分回り込み、有機層とAl・Liを完全に覆う状態になった。
【0230】
水分や酸素に触れないように、ガラス板を接着し、充分乾燥した稀ガスやN2 のような安定なガスを封入して封止してパネルを完成させた。
【0231】
パネルは3色しかカラーフィルターを用いていないにも関わらず、カラーフィルターの配置を工夫することにより白、赤、緑、青、黄色、水色の6色を表示させることができ、視認性がよく、情報量の多い表示パネルとすることが可能となった。
【0232】
【発明の効果】
本発明によって、少ないフィルター材料数でフィルターの材料数より多くの色を表現できる表示装置を安価に提供可能なEL表示装置を実現することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1のカラーフィルターの配置例を示した平面図である。
【図2】第1のカラーフィルターの配置例を示した図1のA−A’断面矢視図である。
【図3】第2のカラーフィルターの配置例を示した平面図である。
【図4】第2のカラーフィルターの配置例を示した図3のA−A’断面矢視図である。
【図5】第3のカラーフィルターの配置例を示した平面図である。
【図6】第3のカラーフィルターの配置例を示した図5のA−A’断面矢視図である。
【図7】本発明の実施例1のカラーフィルターの配置を示した平面図である。
【図8】図7のA−A’断面矢視図である。
【図9】本発明の実施例1のカラーフィルター上に透明導電膜を配置した状態を示した平面図である。
【図10】図9のA−A’断面矢視図である。
【図11】本発明の実施例1の有機層を配置した状態を示した平面図である。
【図12】図11のA−A’断面矢視図である。
【図13】本発明の実施例1の陰極を成膜した状態を示した平面図である。
【図14】図13のA−A’断面矢視図である。
【図15】本発明の実施例2のパネルを示した平面図である。
【符号の説明】
1 基板
2B 青色カラーフィルター
2G 緑色カラーフィルター
2R 赤色カラーフィルター
3 オーバーコート
4 保護膜
5 透明導電膜(陽極)
6 有機層
7 陰極
Claims (10)
- EL素子単位の光取り出し側に並列に配置された1または2種以上の色フィルターを有するEL表示装置であって、
前記EL素子単位が発する光が、オーバーコート層で形成された当該光を白色に表示する無色を含む2種以上の異なる色フィルターを透過して表示単位を構成し、
前記表示単位内の色フィルターは、ストライプ状、モザイク状、またはデルタ状に配置されているEL表示装置。 - EL素子の透明電極の端部は絶縁膜で被覆されている請求項1のEL表示装置。
- 前記色フィルターは、カラーフィルターまたは蛍光変換フィルターである請求項1または2のEL表示装置。
- 前記色フィルターは、そのサイズが0.25mm2〜0.0001mm2でモザイク状、あるいはデルタ状に配置されている、または、500μm〜50μmのピッチでストライプ状に配置されている請求項1〜3のいずれかのEL表示装置。
- 4色以上の表示色を有する請求項1〜4のいずれかのEL表示装置。
- 前記色フィルターのいずれかは、少なくとも可視光に対し透明な部分を有し、この透明部分からEL素子単位の発光色が変化せずに外部に取り出される請求項1〜5のいずれかのEL表示装置。
- 前記2種以上の色フィルターの面積比により、表示単位の色調を調整する請求項1〜6のいずれかのEL表示装置。
- 前記EL素子単位の発光機能を有する部分は有機材料を主成分とする請求項1〜7のいずれかのEL表示装置。
- 前記EL素子単位の発光機能を有する部分は、ドーパント濃度により表示単位の色調を調整する請求項8のEL表示装置。
- セグメント表示部とドットマトリクス表示部を有し、
前記セグメント表示部のフィルター材料が、ドットマトリクス表示部のフィルター材料の色数以下のフィルター材料で構成されている請求項1〜9のEL表示装置。
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