JP4483041B2 - ラマン増幅器およびラマン増幅伝送システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コイル状に巻かれた光ファイバにおいて信号光をラマン増幅する集中定数型のラマン増幅器、および、光伝送路として敷設された光ファイバにおいて信号光をラマン増幅する分布定数型のラマン増幅伝送システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバに高パワーの光(ラマン増幅用励起光)を入射させると、光ファイバのガラス構造の振動等に因る散乱が生じて、入射光の波長より長波長側または短波長側に波長シフトした散乱成分が発生する。長波長側の散乱成分はストークス光と呼ばれ、短波長側の散乱成分は反ストークス光と呼ばれる。ストークス光は、反ストークス光と比べてパワーが強く、ストークス光の発生と同時に同一波長の信号光を光ファイバに入射させると、誘導ラマン散乱が発生して、この信号光は光ファイバを伝搬する際にラマン増幅される。このことを利用して、集中定数型のラマン増幅器や分布定数型のラマン増幅伝送システムが実現される。
【0003】
このラマン増幅器やラマン増幅伝送システムにおけるラマン増幅のゲインスペクトルは、光ファイバが石英ガラスを主成分とするものである場合、ラマン増幅用励起光の波長より約14THzだけ長波長側にピークを有する。したがって、光ファイバに添加された希土類元素のエネルギ準位間遷移を利用して信号光を光増幅する希土類元素添加光ファイバ増幅器と比較すると、ラマン増幅器やラマン増幅伝送システムは、ラマン増幅用励起光の波長を適切に選択することにより任意の波長の信号光をラマン増幅することができるという特徴を有する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ラマン増幅用励起光および信号光それぞれの波長については種々の制約がある。第1に、信号光を効率よくラマン増幅するために、ラマン増幅用励起光の波長は信号光の波長より14THz(100nm)程度短いことが必要である。第2に、非線形光学現象の1種である四光波混合に因る信号光の波形劣化を回避するために、信号光の波長は光ファイバの零波長分散の近傍に存在しないことが必要である。第3に、受信端においてS/N比よく信号光を受信するために、また、非線形光学現象の1種である相互位相変調や四光波混合に因る信号光の波形劣化を回避するために、ラマン増幅用励起光の波長は信号光の波長に重ならないことが必要である。このことから、従来のラマン増幅器およびラマン増幅伝送システムでは、波長帯域を効率的に利用することができない場合があった。
【0005】
例えば、一般に光伝送システムでは、石英ガラスを主成分とする光ファイバの伝送損失が波長1.55μm付近で最小となることから、信号光の波長帯域として1.55μm帯が用いられる場合が多い。また、波長1.50μm付近において波長分散が零であり波長1.55μmにおいて波長分散が数ps/nm/km程度であるノンゼロ分散シフト光ファイバが用いられる場合が多い。このような場合には、ラマン増幅用励起光として波長1.45μm付近のものが用いられる。しかし、伝送容量の更なる拡大を図るべく、ラマン増幅用励起光の波長として1.45μm付近に加えて1.40μm付近をも用い、信号光の波長帯域として1.55μm帯に加えて1.50μm帯をも利用しようとすると、ノンゼロ分散シフト光ファイバが波長1.50μm付近において波長分散が零であるから、波長1.50μm帯の信号光は、ラマン増幅することができるものの、四光波混合に因る信号光の波形劣化が生じ易い。
【0006】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、波長帯域を効率的に利用することができるラマン増幅器およびラマン増幅伝送システムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るラマン増幅器は、コイル状に巻かれた光ファイバにラマン増幅用励起光を供給して、この光ファイバを伝搬する信号光をラマン増幅する集中定数型のラマン増幅器であって、光ファイバが波長間隔50nm〜80nmの複数の零分散波長を有し、各々の零分散波長と略一致する波長のラマン増幅用励起光を前記光ファイバに供給することを特徴とする。また、本発明に係るラマン増幅伝送システムは、光伝送路として敷設された光ファイバにラマン増幅用励起光を供給して、この光ファイバを伝搬する信号光をラマン増幅する分布定数型のラマン増幅伝送システムであって、光ファイバが波長間隔50nm〜80nmの複数の零分散波長を有し、各々の零分散波長と略一致する波長のラマン増幅用励起光を前記光ファイバに供給することを特徴とする。特に、光ファイバの波長分散の絶対値が0.3ps/nm/km以下である波長範囲にラマン増幅用励起光の波長が存在するのが好適である。このラマン増幅器またはラマン増幅伝送システムによれば、光ファイバの零分散波長付近は、四光波混合に因る信号光の波形劣化が生じることから信号光波長帯域としては利用することができないが、このようにラマン増幅用励起光波長として利用することで、波長帯域を効率的に利用することができる。
【0008】
また、本発明に係るラマン増幅器またはラマン増幅伝送システムは、ラマン増幅用励起光が複数の波長成分を含むことを特徴とする。この場合にも、波長帯域を効率的に利用することができる。また、ラマン増幅用励起光の複数の波長成分それぞれのパワーを適切に設定することで、信号光波長帯域を広くすることができ、また、ゲインスペクトルを広い帯域で平坦にすることができる。
【0010】
また、本発明に係るラマン増幅器では、光ファイバは、実効断面積が20μm2以下であり、信号光の波長における伝送損失が1dB/km以下であり、信号光の波長における偏波モード分散が0.2ps/km1/2以下であり、長さが5km以下であることを特徴とする。この場合には、この光ファイバは、長さが5km以下であることにより、コイル状に巻かれて収納される上で好適であり、実効断面積が20μm2以下であることにより、ラマン増幅用励起光のパワー密度を高めることができるので、長さ5km以下であっても充分な光増幅のゲインを得ることができる。また、この光ファイバは、信号光波長における偏波モード分散が0.2ps/km1/2以下であることにより、10Gb/s以上のビットレートであっても信号光の伝送損失が優れる。
【0011】
また、本発明に係るラマン増幅伝送システムでは、光ファイバは、実効断面積が45μm2以上であり、信号光の波長における伝送損失が0.3dB/km以下であり、信号光の波長における偏波モード分散が0.2ps/km1/2以下であり、長さが10km以上であることを特徴とする。この場合には、この光ファイバは、中継区間に敷設されるものであって長尺であり、実効断面積が45μm2以上であることにより、単位長さ当たりの光増幅のゲインが小さいものの、全体としては充分な光増幅のゲインを得ることができる。この光ファイバは、実効断面積が45μm2以上であることにより、自己位相変調等の非線形光学現象の発生が抑制される。この光ファイバは、信号光波長における伝送損失が0.3dB/km以下であることにより、中継区間に敷設され長尺であっても、全体の伝送損失が小さい。また、この光ファイバは、信号光波長における偏波モード分散が0.2ps/km1/2以下であることにより、10Gb/s以上のビットレートであっても信号光の伝送損失が優れる。
【0012】
また、本発明に係るラマン増幅器またはラマン増幅伝送システムでは、光ファイバは、ラマン増幅用励起光の波長における分散スロープの絶対値が0.01ps/nm2/km以上0.1ps/nm2/km以下であることを特徴とする。この場合には、信号光波長帯域における光ファイバの波長分散の絶対値が好適な範囲となり、四光波混合に因る信号光の波形劣化が抑制され、且つ、分散補償が容易であって低コストである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0014】
先ず、本実施形態に係るラマン増幅器1およびラマン増幅伝送システム2それぞれの構成について説明する。
【0015】
図1は、本実施形態に係るラマン増幅器1の構成図である。このラマン増幅器1は、コイル状に巻かれたラマン増幅用の光ファイバ11、光カプラ12および励起光源13を備えている。励起光源13から出力されたラマン増幅用励起光は、光カプラ12を経て光ファイバ11に供給される。入射端1aに入射した信号光は光ファイバ11を伝搬するとともにラマン増幅され、このラマン増幅された信号光は光カプラ12を経て出射端1bより出射される。すなわち、このラマン増幅器1は、コイル状に巻かれた光ファイバ11にラマン増幅用励起光を供給して、この光ファイバ11を伝搬する信号光をラマン増幅する集中定数型のラマン増幅器である。
【0016】
図2は、本実施形態に係るラマン増幅伝送システム2の構成図である。このラマン増幅伝送システム2は、中継器(または送信器)3と中継器(または受信器)4との間の中継区間に信号光伝送用の光ファイバ21が敷設されたものである。また、中継器4内には光カプラ22および励起光源23が設けられている。励起光源23から出力されたラマン増幅用励起光は、光カプラ22を経て光ファイバ21に供給される。中継器3から送出された信号光は、光ファイバ21を伝搬する際に光ファイバ21の固有の伝送損失を被るとともに、この光ファイバ21においてラマン増幅されることで、伝送損失が補償されて充分なパワーで中継器4に到達する。そして、中継器4に到達した信号光は、この中継器4内の光カプラ22を経て受信され或いは後段へ送出される。すなわち、このラマン増幅伝送システム2は、中継器3と中継器4との間の中継区間に光伝送路として敷設された光ファイバ21にラマン増幅用励起光を供給して、この光ファイバ21を伝搬する信号光をラマン増幅する分布定数型のラマン増幅伝送システムである。
【0017】
次に、本実施形態に係るラマン増幅器1およびラマン増幅伝送システム2それぞれにおける光ファイバ11,21の波長分散特性、信号光波長およびラマン増幅用励起光波長の間の関係について、図3〜図8を用いて説明する。図3〜図8それぞれは、横軸に波長をとり、光ファイバ11,21の波長分散特性を曲線で示し、信号光波長帯域を両矢印で示し、ラマン増幅用励起光波長を上向き矢印で示している。
【0018】
図3に示すように、本実施形態においては、光ファイバ11,21の波長分散が零となる波長(零分散波長)とラマン増幅用励起光波長とが互いに略一致している。ラマン増幅用励起光の波長は、光ファイバ11,21の波長分散の絶対値が0.3ps/nm/km以下である波長範囲に存在するのが好適である。この図では、ラマン増幅用励起光の波長を1450nmとしている。また、信号光波長帯域は、ラマン増幅用励起光波長より100nm程度長い波長1550nmを含む帯域である。光ファイバ11,21の零分散波長付近は、四光波混合に因る信号光の波形劣化が生じることから信号光波長帯域としては利用することができないが、このようにラマン増幅用励起光波長として利用する。このようにすることで、波長帯域を効率的に利用することができる。
【0019】
また、図4に示すように、ラマン増幅用励起光が複数の波長成分を含むのも好適である。ラマン増幅用励起光の複数の波長成分のうち何れかの波長成分は光ファイバ11,21の零分散波長と略一致する。また、ラマン増幅用励起光の各波長成分は、光ファイバ11,21の波長分散の絶対値が0.3ps/nm/km以下である波長範囲に存在するのが好適である。この図では、ラマン増幅用励起光の各波長成分を1450nmおよびその近傍としている。また、信号光波長帯域は、ラマン増幅用励起光波長より100nm程度長い波長1550nmを含む帯域である。この場合にも、波長帯域を効率的に利用することができる。また、ラマン増幅用励起光の複数の波長成分それぞれのパワーを適切に設定することで、図3に示したものと比較して、信号光波長帯域を広くすることができ、また、ゲインスペクトルを広い帯域で平坦にすることができる。なお、このような複数の波長成分を含むラマン増幅用励起光を供給するには、例えば、出力波長が互いに異なる複数の半導体レーザ光源を用い、これら複数の半導体レーザ光源それぞれから出力された光を合波して、この合波したものをラマン増幅用励起光として光ファイバ11,21に供給する。
【0020】
また、図5および図6それぞれに示すように、光ファイバ11,21が複数の零分散波長を有し、各々の零分散波長と略一致する波長のラマン増幅用励起光を光ファイバ11,21に供給するのも好適である。
【0021】
図5に示す例では、光ファイバ11,21が2つの零分散波長(1450nmおよび1610nm)を有しており、各々の零分散波長と略一致する波長λ1およびλ2のラマン増幅用励起光を光ファイバ11,21に供給する。信号光波長帯域Λ1は、ラマン増幅用励起光波長λ1(=1450nm)より100nm程度長い波長1550nmを含む帯域である。また、信号光波長帯域Λ2は、ラマン増幅用励起光波長λ2(=1610nm)より100nm程度長い波長1710nmを含む帯域である。
【0022】
図6に示す例では、光ファイバ11,21が3つの零分散波長(1335nm,1465nmおよび1600nm)を有しており、各々の零分散波長と略一致する波長λ1,λ2およびλ3のラマン増幅用励起光を光ファイバ11,21に供給する。信号光波長帯域Λ1は、ラマン増幅用励起光波長λ1(=1335nm)より100nm程度長い波長1435nmを含む帯域である。信号光波長帯域Λ2は、ラマン増幅用励起光波長λ2(=1465nm)より100nm程度長い波長1565nmを含む帯域である。また、信号光波長帯域Λ3は、ラマン増幅用励起光波長λ3(=1600nm)より100nm程度長い波長1700nmを含む帯域である。
【0023】
これら図5および図6それぞれに示した場合にも、波長帯域を効率的に利用することができる。また、図3および図4それぞれに示した場合には、信号光波長帯域における光ファイバ11,21の波長分散が5ps/nm/km〜10ps/nm/km程度であるので、端局での分散補償量が大きい。これに対して、図5および図6それぞれに示した場合には、広い波長帯域で光ファイバ11,21の波長分散の絶対値が小さく、信号光波長帯域における光ファイバ11,21の波長分散の絶対値が0.5ps/nm/km〜2ps/nm/km程度とすることができるので、端局での分散補償量が比較的小さく、この点でも好適である。さらに、図5および図6それぞれに示した場合には、信号光波長帯域において光ファイバ11,21が+0.5ps/nm/km程度の異常分散であることが要求されるソリトン伝送を行う上で有効である。
【0024】
光ファイバ11,21が複数の零分散波長を有する場合には以下の点に注意を要する。すなわち、図7に示すように、或る零分散波長と他の零分散波長との間の波長間隔が100nm程度である場合には、一方の短波長側の零分散波長と略一致する波長のラマン増幅用励起光を光ファイバ11,21に供給すれば、このラマン増幅用励起光により光増幅され得る信号光波長帯域は他方の長波長側の零分散波長を含むことになり、四光波混合や相互位相変調に因る信号光の波形劣化が生じ易い。したがって、或る零分散波長と他の零分散波長との間の波長間隔が100nm程度であることは避けるべきである。
【0025】
これに対して、図8に示すように、或る零分散波長と他の零分散波長との間の波長間隔が50nm〜80nm程度である場合には、上記の問題は生じない。この図に示す例では、光ファイバ11,21が2つの零分散波長(1450nmおよび1510nm)を有しており、各々の零分散波長と略一致する波長λ1およびλ2のラマン増幅用励起光を光ファイバ11,21に供給する。信号光波長帯域Λ1は、ラマン増幅用励起光波長λ1(=1450nm)より100nm程度長い波長1550nmを含む帯域である。また、信号光波長帯域Λ2は、ラマン増幅用励起光波長λ2(=1510nm)より100nm程度長い波長1610nmを含む帯域である。これら信号光波長帯域Λ1およびΛ2それぞれは、光ファイバ11,21の零分散波長を含まない。したがって、四光波混合や相互位相変調に因る信号光の波形劣化が抑制される。
【0026】
むしろ、図8に示す場合には以下のような利点がある。すなわち、波長λ1のラマン増幅用励起光に因るラマン散乱の帯域内に波長λ2のラマン増幅用励起光が存在することとなり、これにより、波長λ2のラマン増幅用励起光がラマン増幅される。その結果、信号光波長帯域Λ2における光増幅のゲインが大きくなる。
【0027】
次に、本実施形態に係るラマン増幅器1およびラマン増幅伝送システム2それぞれにおける光ファイバ11,21の好適な構造について説明する。光ファイバ11,21の屈折率プロファイルは任意であるが、諸特性は以下のとおりであるのが好適である。
【0028】
集中定数型のラマン増幅器1に用いられる光ファイバ11は、コイル状に巻かれて収納されるものであるから、実効断面積が20μm2以下であり、信号光波長における伝送損失が1dB/km以下であり、信号光波長における偏波モード分散が0.2ps/km1/2以下であり、長さが5km以下であるのが好適である。このように、光ファイバ11は、長さが5km以下であることにより、コイル状に巻かれて収納される上で好適である。この光ファイバ11は、実効断面積が20μm2以下であることにより、ラマン増幅用励起光のパワー密度を高めることができるので、長さ5km以下であっても充分な光増幅のゲインを得ることができる。また、この光ファイバ11は、信号光波長における偏波モード分散が0.2ps/km1/2以下であることにより、10Gb/s以上のビットレートであっても信号光の伝送損失が優れる。
【0029】
一方、分布定数型のラマン増幅伝送システム2に用いられる光ファイバ21は、中継区間に信号光伝送用として敷設されるものであるから、実効断面積が45μm2以上であり、信号光波長における伝送損失が0.3dB/km以下であり、信号光波長における偏波モード分散が0.2ps/km1/2以下であり、長さが10km以上であるのが好適である。このように、光ファイバ21は、中継区間に敷設されるものであって長尺であり、実効断面積が45μm2以上であることにより、単位長さ当たりの光増幅のゲインが小さいものの、全体としては充分な光増幅のゲインを得ることができる。この光ファイバ21は、実効断面積が45μm2以上であることにより、自己位相変調等の非線形光学現象の発生が抑制される。この光ファイバ21は、信号光波長における伝送損失が0.3dB/km以下であることにより、中継区間に敷設され長尺であっても、全体の伝送損失が小さい。また、この光ファイバ21は、信号光波長における偏波モード分散が0.2ps/km1/2以下であることにより、10Gb/s以上のビットレートであっても信号光の伝送損失が優れる。
【0030】
また、光ファイバ11,21は、ラマン増幅用励起光の波長における分散スロープの絶対値が0.01ps/nm2/km以上0.1ps/nm2/km以下であるのが好適である。このようにすることで、ラマン増幅用励起光波長より100nm程度長い波長を含む信号光波長帯域において、光ファイバ11,21の波長分散の絶対値は0.5ps/nm/km以上10ps/nm/km以下となる。そして、信号光波長帯域における光ファイバ11,21の波長分散の絶対値がこの範囲であることにより、四光波混合に因る信号光の波形劣化が抑制される。
【0031】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したとおり、本発明によれば、ラマン増幅用励起光の波長と光ファイバの零分散波長とが互いに略一致し、好適には、光ファイバの波長分散の絶対値が0.3ps/nm/km以下である波長範囲にラマン増幅用励起光の波長が存在する。したがって、光ファイバの零分散波長付近は、四光波混合に因る信号光の波形劣化が生じることから信号光波長帯域としては利用することができないが、このようにラマン増幅用励起光波長として利用することで、波長帯域を効率的に利用することができる。
【0032】
また、ラマン増幅用励起光が複数の波長成分を含む場合にも、波長帯域を効率的に利用することができる。また、ラマン増幅用励起光の複数の波長成分それぞれのパワーを適切に設定することで、信号光波長帯域を広くすることができ、また、ゲインスペクトルを広い帯域で平坦にすることができる。
【0033】
また、光ファイバが複数の零分散波長を有し、各々の零分散波長と略一致する波長のラマン増幅用励起光を光ファイバに供給するのが好適である。この場合には、波長帯域を更に効率的に利用することができる。また、広い波長帯域で光ファイバの波長分散の絶対値が小さく、信号光波長帯域における光ファイバの波長分散の絶対値が0.05ps/nm/km〜2ps/nm/km程度とすることができるので、分散補償の為のコストが比較的小さい。
【0034】
また、本発明に係るラマン増幅器では、コイル状に巻かれる光ファイバは、実効断面積が20μm2以下であり、信号光の波長における伝送損失が1dB/km以下であり、信号光の波長における偏波モード分散が0.2ps/km1/2以下であり、長さが5km以下であるのが好適である。この場合には、この光ファイバは、コイル状に巻かれて収納される上で好適であり、ラマン増幅用励起光のパワー密度を高めることができるので、比較的短尺であっても充分な光増幅のゲインを得ることができる。また、この光ファイバは、10Gb/s以上のビットレートであっても信号光の伝送損失が優れる。
【0035】
また、本発明に係るラマン増幅伝送システムでは、中継区間に光伝送路として敷設される光ファイバは、実効断面積が45μm2以上であり、信号光の波長における伝送損失が0.3dB/km以下であり、信号光の波長における偏波モード分散が0.2ps/km1/2以下であり、長さが10km以上であるのが好適である。この場合には、この光ファイバは、中継区間に敷設されるものであって長尺であり、単位長さ当たりの光増幅のゲインが小さいものの、全体としては充分な光増幅のゲインを得ることができる。この光ファイバは、自己位相変調等の非線形光学現象の発生が抑制される。この光ファイバは、中継区間に敷設され長尺であっても、全体の伝送損失が小さい。また、この光ファイバは、10Gb/s以上のビットレートであっても信号光の伝送損失が優れる。
【0036】
また、光ファイバは、ラマン増幅用励起光の波長における分散スロープの絶対値が0.01ps/nm2/km以上0.1ps/nm2/km以下であるのが好適であり、この場合には、信号光波長帯域における光ファイバの波長分散の絶対値が好適な範囲となり、四光波混合に因る信号光の波形劣化が抑制され、且つ、分散補償が容易であって低コストである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係るラマン増幅器1の構成図である。
【図2】本実施形態に係るラマン増幅伝送システム2の構成図である。
【図3】本実施形態における光ファイバ11,21の波長分散特性、信号光波長およびラマン増幅用励起光波長の間の関係の第1の好適例について説明する図である。
【図4】本実施形態における光ファイバ11,21の波長分散特性、信号光波長およびラマン増幅用励起光波長の間の関係の第2の好適例について説明する図である。
【図5】本実施形態における光ファイバ11,21の波長分散特性、信号光波長およびラマン増幅用励起光波長の間の関係の第3の好適例について説明する図である。
【図6】本実施形態における光ファイバ11,21の波長分散特性、信号光波長およびラマン増幅用励起光波長の間の関係の第4の好適例について説明する図である。
【図7】本実施形態における光ファイバ11,21の波長分散特性、信号光波長およびラマン増幅用励起光波長の間の関係の参考例について説明する図である。
【図8】本実施形態における光ファイバ11,21の波長分散特性、信号光波長およびラマン増幅用励起光波長の間の関係の第5の好適例について説明する図である。
【符号の説明】
1…ラマン増幅器、2…ラマン増幅伝送システム、3,4…中継器、11…ラマン増幅用光ファイバ、12…光カプラ、13…励起光源、21…信号光伝送用光ファイバ、22…光カプラ、23…励起光源。
Claims (10)
- コイル状に巻かれた光ファイバにラマン増幅用励起光を供給して、この光ファイバを伝搬する信号光をラマン増幅する集中定数型のラマン増幅器であって、
前記光ファイバが波長間隔50nm〜80nmの複数の零分散波長を有し、各々の零分散波長と略一致する波長の前記ラマン増幅用励起光を前記光ファイバに供給する
ことを特徴とするラマン増幅器。 - 前記光ファイバの波長分散の絶対値が0.3ps/nm/km以下である波長範囲に前記ラマン増幅用励起光の波長が存在することを特徴とする請求項1記載のラマン増幅器。
- 前記ラマン増幅用励起光が複数の波長成分を含むことを特徴とする請求項1記載のラマン増幅器。
- 前記光ファイバは、実効断面積が20μm2以下であり、前記信号光の波長における伝送損失が1dB/km以下であり、前記信号光の波長における偏波モード分散が0.2ps/km1/2以下であり、長さが5km以下であることを特徴とする請求項1記載のラマン増幅器。
- 前記光ファイバは、前記ラマン増幅用励起光の波長における分散スロープの絶対値が0.01ps/nm2/km以上0.1ps/nm2/km以下であることを特徴とする請求項1記載のラマン増幅器。
- 光伝送路として敷設された光ファイバにラマン増幅用励起光を供給して、この光ファイバを伝搬する信号光をラマン増幅する分布定数型のラマン増幅伝送システムであって、
前記光ファイバが波長間隔50nm〜80nmの複数の零分散波長を有し、各々の零分散波長と略一致する波長の前記ラマン増幅用励起光を前記光ファイバに供給する
ことを特徴とするラマン増幅伝送システム。 - 前記光ファイバの波長分散の絶対値が0.3ps/nm/km以下である波長範囲に前記ラマン増幅用励起光の波長が存在することを特徴とする請求項6記載のラマン増幅伝送システム。
- 前記ラマン増幅用励起光が複数の波長成分を含むことを特徴とする請求項6記載のラマン増幅伝送システム。
- 前記光ファイバは、実効断面積が45μm2以上であり、前記信号光の波長における伝送損失が0.3dB/km以下であり、前記信号光の波長における偏波モード分散が0.2ps/km1/2以下であり、長さが10km以上であることを特徴とする請求項6記載のラマン増幅伝送システム。
- 前記光ファイバは、前記ラマン増幅用励起光の波長における分散スロープの絶対値が0.01ps/nm2/km以上0.1ps/nm2/km以下であることを特徴とする請求項6記載のラマン増幅伝送システム。
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