JP4485013B2 - プレート型ヒートパイプ及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、半導体素子等の発熱体から生じる熱を放熱するヒートパイプ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子機器に搭載される半導体素子等の発熱体の冷却には、従来よりヒートシンクが使用されている。このヒートシンクの一種にヒートパイプを用いるものがある。ヒートパイプとは、内部の密閉空間を真空に引いた後に、水やブタン、アルコール等の熱媒体を封入したものである。ヒートパイプの発熱体が取り付けられた部分は受熱部となり、発熱体から熱が伝えられる。受熱部に伝えられた熱は、受熱部のヒートパイプ内の熱媒体を蒸発させる。蒸気はヒートパイプの放熱部に移動して放熱し、蒸気は液体に戻る。この密閉空間内の熱媒体の相の変化や移動により、発熱体の熱が拡散する。このヒートパイプによって、発熱体から伝えられた熱は、同ヒートパイプの全面に広げられて放熱する。
【0003】
このようなヒートパイプの一種として蛇行細孔ヒートパイプがある。この蛇行細孔ヒートパイプは以下の特性を有する(特開平4−190090号参照)。
(1)細孔(熱媒体通路)の両端末が相互に流通自在に連結されて密閉されている。
(2)細孔のある部分は受熱部、他のある部分は放熱部となっている。
(3)受熱部と放熱部が交互に配設されており、両部の間を細孔が蛇行している。
(4)細孔内には2相凝縮性熱媒体が封入されている。
(5)細孔の内壁は、上記熱媒体が常に孔内を閉塞した状態のままで循環又は移動することが出来る最大直径以下の直径である。
【0004】
プレート型の蛇行細孔ヒートパイプの代表的製造方法には、従来以下の2つが知られている。
(1)特開平7−63487号に開示された溝加工平板を用いる方法:
図6は、特開平7−63487号に開示されているヒートパイプの製造方法を示す図であり、図6(A)は断面図、図6(B)は内部構造を示す一部破断平面図である。
この方法では、最初に、熱伝導性の良好な金属製薄板53の表面に、一連の蛇行細溝54を、切削や放電加工により形成する。次に、この薄板53の表面に平薄板55を重ね、ろう付けにより両板53、55を積層化する。薄板53に形成された細溝54は、積層化により密閉蛇行細孔(熱媒体通路)56となる。このトンネル56内に熱媒体が封入される。
【0005】
(2)特開平9−49692号に開示された押し出し材の多孔扁平管を用いる方法:
図7は、特開平9−49692号に開示されているヒートパイプの製造方法を示す図であり、図7(A)は第一工程を説明するための平面断面図、図7(B)は第二工程を説明するための平面断面図である。
第一工程においては、原材料としてアルミニウムやマグネシウム等の軽金属の多孔扁平管63を用いる。この多孔扁平管63は、全体として平板状の外形を有し、内部に平行に配置された多数の貫通細孔64が押し出し成形により形成されている。その後、細孔64の端面の隔壁66を一条おきに所定の深さの切除部66aだけ切除し、反対側の端面では一条ずつずらせて切除部66bを切除する。第二工程において、切除部66a、66bの最深部から所定の長さを残して、両端面に端縁部68a、68bを溶接する。各細孔64は端部で連通して一連の蛇行細孔(熱媒体通路)となり、ここに熱媒体が封入される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記製造方法には次の不十分な点がある。
上記(2)の方法では、押し出し成形を用いるため、その溝数やピッチ、隔壁の肉厚あるいは材質等は自由に選択することができず、種類の限られた市販品から選択しなければならない。さらに、両端の切除には放電加工が必要で、特殊なノウハウや設備が必要である。
一方、上記(1)の平板に溝を切削加工する方法では、溝の長さや数等に応じて加工費が増大し、安価な量産品の工程には向かない。
【0007】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、安価に大量に生産することができるプレート型ヒートパイプ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明のベースとなるプレート型ヒートパイプは、 熱媒体が封入される蛇行細孔の側壁を構成する波形曲げ加工された中板と、 該中板の表裏面に該中板を覆うように接合された表板と、を具備することを特徴とする。
平板をプレス曲げ加工することにより細孔の側壁を形成するため、切削加工に比べて製造コストが安い。また、プレス曲げ加工時のプレス型の高さや幅、形状を変えることにより、任意の大きさ及び形状の細孔を形成することができる。
【0009】
本発明においては、上記中板の端部において、プレス抜き加工により上記蛇行細孔の連通路を形成することができる。中板にプレス加工で連通路を形成すれば、放電加工などを用いるのと比べて蛇行細孔のターン部を容易に構成することができる。
【0010】
本発明のベースとなるプレート型ヒートパイプ製造方法は、 熱媒体が封入される蛇行細孔を有するプレート型ヒートパイプの製造方法であって、 中板の両端にプレス抜き加工により連通路を形成し、 該中板を波状に曲げ、 該中板の表裏面に該中板を覆うように表板を接合し、 接合した上記中板と上記表板の積層体の端部を、片方の端部の上記表板と上記中板によって形成された細孔の一つの口を残して潰して封止し、 該残された細孔の口から熱媒体を封入して密閉することを特徴とする。
プレート型の蛇行細径ヒートパイプを簡単な方法で作製することができ、大量生産が可能になる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の実施例に係るプレート型ヒートパイプの構造を示す分解図である。文中の上下左右は図の上下左右方向を示す。
プレート型ヒートパイプ1は、中板3と、この中板3を挟む二枚の表板5、7からなる積層構造を有する。中板3及び表板5、7は熱伝導性の高いアルミニウム等の材料から作製される。この例では、中板3及び表板5、7の厚さは0.3mmである。なお、図1において、中板3の端部の細い形状は図示省略してある。
【0012】
中板3は、矩形波状に連続して折り曲げられている。そして、中板3の側面は、コの字が交互に逆に並んだ形状となっている。コの字の両側辺がプレート型ヒートパイプ1の細孔の側壁となり、中辺が細孔の上壁又は下壁となる。
【0013】
中板3の端部の形状と折り曲げ方法について詳細に説明する。
図2は、本発明のプレート型ヒートパイプの一例に係る中板の端部を拡大して示す斜視図である。
中板3は、前述のように矩形波状に折り曲げられている。中板3は、上下面3a、3a'、長い切り欠き15bが形成された側面3b、短い切り欠き15cが形成された側面3cから構成されている。両切り欠きは、両端プレス時の逃げの役割を果たす。長い切り欠き15bは熱媒体の連通路となる(詳細後述)。
【0014】
図3(A)は、図2の中板を折り曲げる前の平板状の状態を示す平面図であり、図3(B)は折り曲げられた中板の側面図である。
この中板3は、図3(A)に示す平板9から作製される。この平板9には、長さ方向に平行な複数の折り曲げ線(二点鎖線)11が記されている。この二つの折り曲げ線11の間の平板の部分が、細孔の側壁及び上下壁を形成する部分となる。各列の両端には、短い切り欠き15cと、長い切り欠き15bとが、切り欠きが形成されていない列13を挟んで、交互にプレス抜き加工により形成されている。さらに、切り欠きが形成された列は、列の両端に、短い切り欠き15dと長い切り欠き15cが対に形成されている。つまり、一端に長い切り欠き15cが形成された列は、他端では短い切り欠き15dが形成されている。切り欠きが形成されていない列13は両端ともストレートである。
【0015】
平板9を折り曲げる際は、折り曲げ線11に沿って、切り欠きが形成されていない列13が矩形の上下辺、切り欠きが形成された列が矩形の側辺となるように、矩形波状にプレス曲げ加工によって折り曲げる。すなわち、切り欠きが形成されていない列13の両側の折り曲げ線を図の手前方向から見て山に折り、次の切り欠きが形成されていない列13の両側を谷に折る。これを繰り返すことにより、平板9は、切り欠きが形成されていない列13が上下辺、切り欠きが形成された列が側辺となる側面断面が矩形波状に折り曲げられる。
【0016】
図3(B)は折り曲げられた平板9の側面を示している。図中の黒く塗られた片側の側辺は、長い切り欠き15bが形成された側辺である。上述のように、矩形部の上下辺は切り欠きが形成されていない列13であり、黒い側辺は長い切り欠き15bが形成された列であり、他の側辺は短い切り欠き15cが形成された列である。長い切り欠き15bが形成された辺と短い切り欠き15cが形成された辺は、切り欠きが形成されていない辺を挟んで交互に配置されることとなる。なお、図3(B)において、切り欠きが形成されていない列13は、図2において上下面3a、3a'に相当し、長い切り欠き15bが形成された列は側面3bに相当し、短い切り欠き15cが形成された列は側面3cに相当する。
【0017】
上述のように作製された中板3には、上下から表板5、7がろう付けにより接合されて、積層体が形成される。
図4は、積層体を模式的に示す図であり、(A)は平面断面図、(B)は正面図、(C)は側面断面図である。
図4(C)に示すように、折り曲げられた中板3の上下面3a、3a'は表板5、7に接触している。この接合により、二枚の表板5、7間に、中板3の側面3b、3cで隔された複数の平行な細孔17が形成される。図4(A)に示すように、細孔17の側壁は、長い切り欠き15bが形成されて短くなっている部分と、短い切り欠き15bが形成されて長くなっている部分がある。各切り欠きは積層体の一端で交互に位置している。また、各切り欠きは、同積層体の両端においては、長い側壁と短い側壁が一つずつずれて位置している。
【0018】
積層体は両端から所定の長さのプレス面19(図4(A)、(B)参照)分だけプレスされる。プレス長さは、端部から、短い切り欠き15cの長さにほぼ等しく、長い切り欠き15bの長さよりは短い。両端部の側壁には長短の切り欠きが形成されているため、上下壁を支える側壁が端部からある長さ分(短い切り欠きの長さ)だけ存在しないこととなり(図2参照)、上下からプレスされる際に比較的簡単につぶすことができる。プレス面19がプレスされた後、プレス面19の端部はレーザ溶接により接合される。
【0019】
この状態において、図4(A)に示すように、長い切り欠きが形成された面3bのなす側壁の端部と、プレス面19間には空間21が形成される。この空間21は積層体の両端で一列ずれて位置しており、細孔の一つの列から次の列への連通路となる。このように形成された細孔から形成される熱媒体の管路は、積層体の長さ方向に延びて、同積層体の両端部で交互にターンして蛇行する一連の蛇行細孔となる。
【0020】
なお、プレス時に、形成された細孔の一つはプレスされずに残される。この残された細孔の開口部から水やブタン等の熱媒体が注入される。熱媒体が注入された後、この細孔はレーザ溶接等により密閉され、プレート型の蛇行細孔ヒートパイプが作製される。
【0021】
上述の方法により形成されたプレート型蛇行細孔ヒートパイプは、長さが200mm、幅が60mm、厚さが2mm(中板及び表板の厚さ0.3mmを含む)であり、一つの細孔の開口部の大きさは高さ1.1mm、幅が1.1mmである。
なお、細孔の開口部の大きさは、平板をプレス加工により折り曲げる際のプレス型の高さや幅を変えることにより変更できる。
【0022】
図5(A)、(B)は、本発明の他の実施例に係る中板の折り曲げ形状を示す側面図である。
中板は、図5(A)に示すような三角波状や、図5(B)に示すような蛇行状に折り曲げられてもよい。このような場合も、折り曲げ部の頂部がロウ付け等によって表板3、5に接合されて、プレート型ヒートパイプの積層体が作製される。
【0023】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明のヒートパイプでは、押し出し成形や切削加工ではなく、平板をプレス曲げ加工することにより細孔の側壁を形成するので、ヒートパイプを安価に量産できる。さらに、中板の端部にプレス抜き加工により連通路を形成することにより、蛇行細孔のターン部を能率よく形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係るプレート型ヒートパイプの構造を示す分解図である。
【図2】本発明のプレート型ヒートパイプの一例に係る中板の端部を拡大して示す斜視図である。
【図3】図3(A)は、図2の中板を折り曲げる前の平板状の状態を示す平面図であり、図3(B)は折り曲げられた中板の側面図である。
【図4】積層体を模式的に示す図であり、(A)は平面断面図、(B)は正面図、(C)は側面断面図である。
【図5】図5(A)、(B)は、本発明の他の実施例に係る中板の折り曲げ形状を示す側面図である。
【図6】特開平7−63487号に開示されているヒートパイプの製造方法を示す図であり、図6(A)は断面図、図6(B)は内部構造を示す一部破断平面図である。
【図7】特開平9−49692号に開示されているヒートパイプの製造方法を示す図であり、図7(A)は第一工程を説明するための平面断面図、図7(B)は第二工程を説明するための平面断面図である。
【符号の説明】
1 プレート型ヒートパイプ 3 中板
5、7 表板 9 平板
11 折り曲げ線 13 列
15 切り欠き 17 細孔
19 プレス面
Claims (2)
- 熱媒体が封入される蛇行細孔の側壁を構成する波形曲げ加工された中板と、
該中板の表裏面に該中板を覆うように接合された表板と、
を具備し、
上記中板は折り曲げられて複数の平行な細孔が形成されており、
上記中板の端部には切り欠きが形成されていて、該切り欠きは、熱媒体の連通路となって蛇行細孔のターン部を構成し、
このように形成された細孔から形成される熱媒体の管路が、上記両端部で交互にターンして蛇行する一連の蛇行細孔となるプレート型ヒートパイプであって、
上記中板の両端部には、短い切り欠きと、長い切り欠きとが、切り欠きが形成されていない列を挟んで交互に形成されており、
切り欠きが形成された列は、列の両端に、前記短い切り欠きと前記長い切り欠きが対に形成されており、
前記中板と前記表板との積層体の両端部から、前記短い切り欠きの長さにほぼ等しい部分がプレスされていて、プレスされた面の端部は接合されており、
前記短い切り欠きと前記長い切り欠きは、両端プレス時の逃げの役割を果たし、
前記長い切り欠きは熱媒体の連通路となることを特徴とするプレート型ヒートパイプ。 - 熱媒体が封入される蛇行細孔を有する請求項1記載のプレート型ヒートパイプの製造方法であって、
中板の端部に、プレス抜き加工により前記短い切り欠きと前記長い切り欠きを形成し、
該長い切り欠きが隣り合う細孔の連通路となるように、該中板を波状に曲げて複数の平行な細孔の壁を形成し、
該中板の表裏面に該中板を覆うように表板を接合することにより複数の平行な細孔を形成し、
前記中板と前記表板との積層体の両端部から、前記短い切り欠きの長さにほぼ等しい部分をプレスするとともに、プレスされた面の端部を接合し、
接合した上記中板と上記表板の両端部を、上記表板と上記中板によって形成された細孔の一つの口を残して潰して封止して、上記両端部で交互にターンして蛇行する一連の蛇行細孔となし、
該残された細孔の口から熱媒体を封入して密閉することを特徴とするプレート型ヒートパイプの製造方法。
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