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JP4485066B2 - 安定性を増大させたrnaポリメラーゼ変異体 - Google Patents
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JP4485066B2 - 安定性を増大させたrnaポリメラーゼ変異体 - Google Patents

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Description

【0001】
本出願は、例えば、高温条件下での増大した安定性を有する、バクテリオファージから得られる変異型RNAポリメラーゼに関する。バクテリオファージによってコードされるRNAポリメラーゼの一例がT7RNAポリメラーゼである。T7は、大腸菌細胞に感染し得るバクテリオファージである。大腸菌に感染する他のT7様バクテリオファージの例には、T3、φI、φII、W31、H、Y、A1、croC21、C22およびC23がある。Salmonella typhimuriumに感染するバクテリオファージの例がSP6である。
【0002】
バクテリオファージのRNAポリメラーゼは、自身のプロモーター配列に対する高い選択性を有している。T7RNAポリメラーゼは、T7RNAポリメラーゼのプロモーター配列には結合するが、それ以外のバクテリオファージのプロモーター配列のいずれとも結合しない。この高いプロモーター特異性により、バクテリオファージの転写反応が、宿主のゲノムに対してではなく、自身のゲノムに対して確実に向けられている。T7バクテリオファージの全ヌクレオチド配列は知られており、このファージのRNAポリメラーゼはT7遺伝子1によってコードされている。T7RNAポリメラーゼと類似する他のRNAポリメラーゼには、バクテリオファージSP6およびバクテリオファージT3のRNAポリメラーゼがある。T3RNAPはT7RNAPと約80%の相同性を示す。
【0003】
T7遺伝子1はクローニングされ、細菌において発現され、酵素の大量製造が可能になっている(Studier他、米国特許第4952496号)。T7RNAポリメラーゼは、分子量が98.6Kdaである883アミノ酸の単鎖タンパク質である。T7RNAポリメラーゼは、正確な転写のために何らかの補助因子を必要としない。この酵素は単独で、そのプロモーターを認識して、転写を開始させ、RNA転写物を伸長させ、かつ転写を終結させることができる。T7RNAポリメラーゼは、自身のプロモーターからDNAを転写させることが非常に効率的であり、大腸菌のRNAポリメラーゼと比較して5倍早くRNAを伸長させる。完全な転写物を産生させるその選択性、活性および能力により、バクテリオファージから得られるポリメラーゼは様々な目的に関して非常に役立つ。
【0004】
本発明は、T7様バクテリオファージの変異させたRNAポリメラーゼに関する。
【0005】
T7様バクテリオファージのRNAポリメラーゼのいくつかの具体的な変異体が記載されている。例えば、国際特許公開WO91/05866には、別の発現システムが記載されている。このシステムは、クローニングされた遺伝子を細菌において転写させるためにバクテリオファージのT7RNAプロモーターを使用しようとするものである。このシステムは短縮型のT7RNAポリメラーゼを使用し、その遺伝子は、ヌクレオチド(野生型T7RNAポリメラーゼ遺伝子の塩基3809および塩基3877に対応する1つまたは2つ以上の塩基)を欠失させることによって変異している。この欠失はフレームシフトを生じさせ、その結果、新しい翻訳停止コドンが作出される。米国特許第5385834号には、変異型のT7RNAPもまた記載されている。米国特許第5385834号に記載されている変異体は、グルタミン酸(222)をリシンに変換するT7遺伝子1のヌクレオチド664におけるGからAへのトランジションである。この変異体は、変化したプロモーター認識を示している。従って、この変異体は、通常は不活性であるT7プロモーターの点変異部から転写を開始させることができる。
【0006】
Ikeda他(Ikeda,R.A.他、Biochemistry、31:9073〜9080、1992;およびIkeda,R.A.他、Nucl.Acid.Res.、20:2517〜2524、1992)は、変異型T7RNAPの遺伝子配列およびプロモーター配列の活性をスクリーニングするために使用できる2つの適合性プラスミドを記載している。第1のプラスミドは、大腸菌のtacプロモーターに連結されたT7遺伝子1(T7RNAポリメラーゼをコードする遺伝子)を有し、第2のプラスミドは、T7プロモーターに連結されたCAT(クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ)をコードする遺伝子を有する。これらの2つのプラスミドを有する大腸菌細胞は、T7ポリメラーゼがT7プロモーターと相互作用して、CAT遺伝子が第2のプラスミドから転写された場合にCAM(クロラムフェニコール)耐性になる。T7プロモーターまたはT7RNAポリメラーゼのいずれかが不活性である場合、CAT遺伝子は転写されず、従って、大腸菌細胞はcam感受性である。Ikeda他はこれらのプラスミドを使用して、T7RNAポリメラーゼプロモーターの活性に対するいくつかの変異の影響を調べた。T7RNAポリメラーゼ遺伝子1が好適なプロモーターの制御下で一方のプラスミドに存在し、T7RNAポリメラーゼプロモーターがCATのような耐性遺伝子を制御する別のプラスミドに存在するIkeda他により記載されたシステムのようなプラスミドシステムを用いて、変異型のT7RNAポリメラーゼ自体をその活性について同様にスクリーニングすることができる。
【0007】
バクテリオファージによりコードされるRNAポリメラーゼ(例えば、T7RNAポリメラーゼ、T3RNAポリメラーゼおよびSP6RNAポリメラーゼ)を利用したインビトロ転写は分子生物学で広く適用される手段になっている。自身に対するインビトロ転写と並んで、RNAポリメラーゼは、所要量のRNAバクテリオファージを短時間で作製する手段として核酸増幅反応の一部になっている。そのような方法は、例えば、NASBA、3RSおよびTMAである。インビトロ転写はまた、PCR増幅後のさらなる線形増幅工程としてPCRとの組合せで記載されている。
【0008】
上記の適用のすべてに関して、等温的な増幅方法(NASBA、3RSおよびTMA)がより高い温度で実施できることは、反応温度を高くすることができ、その結果、転写反応の速度論がより良好になり、かつより重要になる場合には好都合である。等温的な増幅反応のインキュベーション温度をこのように高くすることは、構造化したRNAの増幅をより効率的にすることができる。このことが重要である適用は、長いRNA配列(>500ヌクレオチド)の増幅であり、多重反応(すなわち、1つの反応混合物中における多数のRNA配列の増幅)である。
【0009】
本発明は、T7様バクテリファージに由来し、増大した安定性を有するRNAポリメラーゼの変異体に関する。
【0010】
無作為に変異させたT7RNAポリメラーゼ変異体の分析により、T7RNAポリメラーゼタンパク質に対する安定化作用を有し、かつ通常(通常とは37℃〜41℃である)よりも高い温度での酵素活性を可能にする多数の可能な変異が明らかにされた。無作為に変異させたT7RNAポリメラーゼの配列を、Bacillus stearothermophilusにおいて、Ikeda他(1992)に記載されているような2つのプラスミドのシステムで配列をスクリーニングすることによって分析した。Bacillus stearothermophilus細胞を高温(45℃〜50℃)で生育させた。その際、変異型のT7配列が、このような温度でポリメラーゼ活性を可能にするより安定なT7RNAポリメラーゼをコードする場合にだけ、CAM耐性が得られる。このBacillus stearothermophilusのシステムにおいて、一方のプラスミドは、T7プロモーターの制御下に抗生物質耐性遺伝子(CAT)を含み、もう一方のプラスミドは、Bacillusプロモーターの制御下にT7RNAポリメラーゼの変異ライブラリーを含む。変異によりT7RNAポリメラーゼが高い温度で機能的になり得るそのような場合に、Bacillus stearothermophilusはCAM耐性になる。上記に記載されるシステムを使用して、43クローンのT7RNAポリメラーゼ遺伝子が見出された。この集団の中で、12クローンをさらに詳しく分析した。すなわち、コードする遺伝子のヌクレオチド配列を決定した。分析された11クローンの集団は、アミノ酸の変化をもたらす変異とサイレントな変異との両方からなった(表1参照)。アミノ酸の変化をもたらす変異をさらに調べた。
【0011】
【表1】
Figure 0004485066
【0012】
上記の変異を含むT7RNAポリメラーゼのクローンをさらに調べ、酵素活性および熱安定性に関してこれらの変異型T7ポリメラーゼの特性を明らかにすることができる。
【0013】
本発明による好ましい変異型RNAポリメラーゼは、T7バクテリオファージまたはSP3バクテリオファージに由来する変異型RNAポリメラーゼである。これらの酵素間の大きな相同性のために、T7遺伝子1の配列における変異は、T3バクテリオファージの対応する遺伝子配列において同じ効果を有すると考えられる。本発明の特に好ましい実施形態は、タンパク質におけるセリンからプロリンへのアミノ酸変化をアミノ酸配列の633位に有するT7RNAポリメラーゼである。T7RNAポリメラーゼとT3RNAポリメラーゼとの相同性は80%であるので、T7遺伝子における633位のセリンからプロリンへの変異の同じ効果が、T3RNAポリメラーゼにおける634位のセリンからプロリンへのアミノ酸の変異について予想され得る。
【0014】
RNAポリメラーゼをコードする遺伝子であって、野生型のタンパク質と比較したときにそのコードされるRNAポリメラーゼの増大した安定性をもたらす1つまたは2以上の変異を含む遺伝子は、同様に本発明の一部である。特に、T7RNAポリメラーゼまたはT3RNAポリメラーゼをコードする遺伝子が本発明では関連する。
【0015】
T7RNAポリメラーゼのアミノ酸配列の633位におけるセリンからプロリンへのアミノ酸の変化は、T7RNAポリメラーゼのヌクレオチド配列の1897位におけるTからCへの変異の結果である。
【0016】
従って、T7RNAポリメラーゼのヌクレオチド配列の1897位におけるTからCへの変異を有する変異型T7ポリメラーゼの遺伝子は、同様に本発明の一部である。変異は、Dunn,J.J.およびStudier,F.W.[(1983)バクテリオファージT7DNAの完全なヌクレオチド配列およびT7遺伝子エレメントの位置、J.Mol.Biol.166(4)、477〜535]によって発表されているT7RNAポリメラーゼの野生型配列と比較して評価される。この場合、1位はT7RNAポリメラーゼ遺伝子の最初のヌクレオチドンであり、これはバクテリオファージT7の完全なゲノム配列におけるヌクレオチド番号3171である。
【0017】
本発明はさらに、本発明による変異型RNAポリメラーゼを発現させるための発現ベクターに関する。
【0018】
遺伝子を発現させるために、遺伝子は、その遺伝子によってコードされるタンパク質の発現を可能にする調節配列の制御下に置かれる。通常、これは、発現させる遺伝子をそのような調節配列の下流にクローニングすることによって行われる。遺伝子または遺伝子フラグメントの発現を可能にする調節配列は、例えば、エンハンサー配列と組み合わせたプロモーター配列であってもよく、あるいはプロモーター配列はエンハンサー配列と組み合わせなくてもよい。
【0019】
これらの配列は、その天然の形態で遺伝子に結合していることが見出されているプロモーター配列であり得る。あるいは、異種のプロモーターであり得る。異種のプロモーターを使用することの利点は、そのようなプロモーターにより、遺伝子本来のプロモーターを認識しない宿主細胞において遺伝子を発現させる可能性が得られることである。さらに、異種のプロモーターは誘導可能なプロモーターであり得る。その結果、遺伝子の発現を任意の所望するときに開始させることができる。
【0020】
プロモーター部位は、RNAポリメラーゼが転写に先立って結合する配列である。プロモーター部位は様々なタイプで存在する。すなわち、細胞のタイプに依存して、プロモーター部位が考え出されている。様々なプロモーター配列が、原核生物、真核生物およびウイルスを起源とするプロモーターについて記載されている。上記に言及されたタイプの組換えDNA分子は、例えば、好適な制限酵素で好適なDNAフラグメントを切断し、調節配列を含むフラグメントを同じ酵素で切断し、その後、発現させる核酸がプロモーター配列の制御下にあるような方法で両フラグメントを連結することによって作製することができる。有用な組換え体を作製するための多くの異なる方法がSambrook(Sambrook他、Molecular cloning、a laboratory manual、Cold Spring Laboratory Press、Cold Spring Harbor、New York(1989))に記載されている。
【0021】
一般に、組換え核酸配列は、いわゆるベクター分子にクローニングされる。そのときに形成された組換えベクター分子は、多くの場合、好適な宿主細胞内で自己複製することができ、クローニングされた核酸配列を細胞内に入れるために使用することができる。これは、組換えベクター分子の複製が生じる細胞であり得る。それはまた、ベクターの調節配列が認識され、その結果、本発明による変異型RNAポリメラーゼが発現する細胞でもあり得る。広範囲のベクターが現在知られており、これには、細菌において使用されるベクター、例えば、pBR322、pBR325およびpBR328、様々なpUCベクター(すなわち、pUC8、pUC9、pUC18、pUC19)、特異的な発現ベクター;pGEM、pGEXおよびBluescript(登録商標)、バクテリオファージに基づくベクター;λ−gtWes、Charon28、M13由来ファージ、SV40またはパピローマウイルスまたはアデノウイルスまたはポリオーマウイルスに基づくウイルス配列を含む真核生物における発現用ベクターが含まれる(Rodriquez,R.L.およびDenhardt,D.T.編、Vectors:A survey of molecular cloning vectors and their uses、Butterworths(1988);Lenstra他、Arch.Virol.、110:1〜24(1990))。変異型RNAポリメラーゼの発現を可能にする調節配列の制御下に核酸配列を含む組換え分子はすべて本発明の一部と見なされる。
【0022】
さらに、本発明は、変異型RNAポリメラーゼをコードする核酸配列、または変異型RNAポリメラーゼをコードする組換え核酸分子を、変異型RNAポリメラーゼの発現を可能にする調節配列の制御下に含む宿主細胞を含む。
【0023】
本発明はまた、変異型RNAポリメラーゼをコードする核酸配列、または変異型RNAポリメラーゼをコードする組換え核酸分子を、変異型RNAポリメラーゼの発現を可能にする調節配列の制御下に含むウイルスベクターを含む宿主細胞を含む。
【0024】
頻繁に使用される発現システムは、細菌、酵母、真菌、昆虫および哺乳動物細胞の発現システムである。そのようなシステムは当分野ではよく知られており、容易に入手することができ、例えば、Clontech Laboratories,Inc.(4030 Fabian Way、Palo Alto、California 94303−4607、米国)から市販されている。
【0025】
宿主細胞は、pBR322のような細菌型ベクター、またはpGEXのような細菌発現ベクター、またはバクテリオファージと組み合わせた細菌起源の細胞、例えば、大腸菌、枯草菌およびラクトバチルス種の細胞であり得る。宿主細胞はまた、真核生物起源であってもよく、例えば、酵母に特異的なベクター分子と組み合わせた酵母細胞、あるいはベクターまたは組換えバキュロウイルスと組み合わせた昆虫細胞のような高等真核生物細胞(Luckow他、Bio−technology、6:47〜55(1988))、あるいは例えばTiプラスミド型ベクターまたは植物ウイルスベクターと組み合わせた植物細胞(Barton,K.A.他、Cell、32:1033(1983))、あるいは適切なベクターまたは組換えウイルスと同様に組み合わせたHela細胞、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)またはCrandellネコ腎臓細胞のような哺乳動物細胞である。
【0026】
従って、本発明によるRNAポリメラーゼをコードする遺伝子と好適な発現制御配列とを含む発現ベクターは、それで形質転換された宿主細胞と同様に、同様に本発明の一部である。
【0027】
本発明による変異型RNAポリメラーゼは、RNAポリメラーゼが通常使用され、そしてそのRNAポリメラーゼが、例えば、高い温度で使用され、従って、改善された安定性が好都合であるすべてのプロセスにおいて使用される。
【0028】
本発明による変異型RNAポリメラーゼは、核酸の増幅に関する等温的な転写に基づく増幅プロセスにおいて特に有用である。従って、等温的な転写に基づく増幅方法における本発明によるRNAポリメラーゼの使用もまた本発明の一部である。
【0029】
転写に基づく増幅技術には、RNAポリメラーゼによって認識されるプロモーターを含むテンプレートから多数のRNAコピーを転写することが含まれる。このような方法の場合、多数のRNAコピーが、RNAポリメラーゼによって認識される機能的なプロモーターを含むDNAテンプレートから転写される。そのようなコピー体は、新たな量のDNAテンプレートが得られる標的などとして再び使用される。そのような方法は、Gingeras他による国際特許公開WO88/10315、およびBurg他による国際特許公開WO89/1050に記載されている。等温的な転写に基づく増幅技術は、Davey他による欧州特許EP第323822号(NASBA法に関連する)、Gingeras他による欧州特許EP第373960号、およびKacian他による欧州特許EP第408295号に記載されている。転写に基づく増幅反応はまた、熱に安定な酵素を用いて行うことができる。転写に基づく増幅は、通常、約37℃〜41℃の温度で行われる。このような熱に安定な酵素により、反応をより高い温度(>41℃)で行うことができる。そのような熱に安定な酵素は、Toyo Boseki KKの名で出願された欧州特許EP第682121号に記載されている。
【0030】
欧州特許EP第323822号、同第373960号および同第408295号に記載されている方法は等温的な連続方法である。これらの方法の場合、4つの酵素活性が、増幅を達成するために必要である:RNA依存性DNAポリメラーゼ活性、DNA依存性DNAポリメラーゼ活性、RNase(H)活性、およびRNAポリメラーゼ活性。これらの活性のいくつかは1つの酵素で併せ持つことができ、従って、通常的には2つまたは3つの酵素が必要になるだけである。RNA依存性DNAポリメラーゼ活性を有する酵素は、DNAをRNAテンプレートから合成する酵素である。従って、DNA依存性DNAポリメラーゼにより、DNAがDNAテンプレートから合成される。転写に基づく増幅反応では、AMV(トリ骨髄芽球症ウイルス)逆転写酵素またはMMLV(モロニーネズミ白血病ウイルス)逆転写酵素などの逆転写酵素がこれらの活性のために使用され得る。そのような酵素は、RNA依存性およびDNA依存性の両方のDNAポリメラーゼ活性を有するが、固有のRNaseH活性をも有する。さらに、大腸菌のRNaseHなどのRNaseHを転写に基づく増幅反応の反応混合物に加えることができる。
【0031】
転写に基づく増幅方法とともに広く使用されているRNAポリメラーゼは、T7RNAポリメラーゼである。従って、RNAの多数のコピーを転写するために使用されるテンプレートに組み込まれるプロモーターは、むしろT7プロモーターである。プロモーターを含むテンプレートは、通常、標的配列を含む核酸から出発して作出しなければならない。そのような核酸は、増幅反応の情報源として使用される出発材料に存在し得る。出発材料に存在する核酸には、通常、標的配列がはるかにより長い配列の一部として含まれる。さらなる核酸配列が、標的配列の3’末端および5’末端の両方に存在し得る。増幅反応は、出発材料に由来するこのような核酸、上記の活性をともに提供する適切な酵素、および少なくとも1つ(通常的には2つ)のオリゴヌクレオチドを一緒にすることによって開始させることができる。このようなオリゴヌクレオチドの少なくとも1つは、プロモーターの配列を含まなければならない。
【0032】
転写に基づく増幅方法は、情報源物質が単鎖RNAである場合には特に有用である。しかし、単鎖または二本鎖のDNAを情報源物質として同様に使用することができる。転写に基づく増幅方法が、標的配列の3’末端および5’末端の両方に存在するさらなる配列とともに、(「プラス」センスの)単鎖RNAを有するサンプルに対して実施される場合、先行技術に記載されている方法とともに都合よく使用される1対のオリゴヌクレオチドは、下記のオリゴヌクレオチドからなる:
・標的配列の3’末端にハイブリダイゼーションし得る第1のオリゴヌクレオチド(これは、通常、「プロモーターオリゴヌクレオチド」と呼ばれる)。そのようなオリゴヌクレオチドは、その5’末端に結合させたプロモーター(好ましくは、T7プロモーター)の配列を有する(このオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション部分は、情報源物質として使用されたプラスRNAと逆の極性を有する)。
【0033】
・標的配列の3’末端を含む第2のオリゴヌクレオチド(「プライマー」)(このオリゴヌクレオチドはプラスRNAと同じ極性を有する)。
【0034】
そのような1対のオリゴヌクレオチドが、適切な活性を有するすべての酵素と、必要なリボヌクレオチドおよびデオキシリボヌクレオチドの十分な供給量と一緒に1つの反応混合物に入れられ、適切な条件(すなわち、適切な緩衝剤条件および適切な温度)のもとで十分な時間にわたって保たれた場合、等温的な連続増幅反応が生じる。
【0035】
本発明によるRNAポリメラーゼはまた、他の核酸増幅プロセスと一緒に使用することができる。ポリメラーゼ連鎖反応の場合、バクテリオファージのRNAポリメラーゼに対するプロモーター配列、特に、T7RNAポリメラーゼに対するプロモーター配列が組み込まれているプライマーが使用されることがある。これにより、RNAをPCR反応のDNA産物から転写させることができる。再度ではあるが、本発明によるRNAポリメラーゼは同様に適用することができる。
【0036】
従って、等温的な転写に基づく増幅反応において使用される酵素混合物であって、本発明によって提供されるRNAポリメラーゼ、逆転写酵素活性を有する酵素、およびRNaseH活性を有する酵素を含む酵素混合物は、同様に本発明の一部である。
【0037】
図面の簡単な説明
図1は、野生型酵素および変異型酵素を比較する46℃におけるT7RNAポリメラーゼ転写反応を示す。RNA産生は、反応のRNA産物に対する特異的な分子ビーコンを用いてリアルタイムで測定される。
図2は、41℃、43℃または45℃で野生型T7RNAポリメラーゼまたは変異型T7RNAポリメラーゼのいずれかを用いた反応のNASBA増幅結果を示す。
【0038】
本発明を下記の実施例によりさらに説明する。
【0039】
実施例1
T7RNAポリメラーゼのアミノ酸位置633におけるセリンからプロリンへの置換を、QuickChange部位特異的変異誘発キット(STRATAGENE)を使用して部位特異的変異誘発によって行った。全手順を、キットに同封された製造者のプロトコルに従って行った。変異を導入するために使用されたオリゴプライマーを下記に示す。
【0040】
A:5’−GTG−TGA−CTA−AGC−GTC−CGG−TCA−TGA−CGC−TGG−3’
B:5’−CCA−GCG−TCA−TGA−CCG−GAC−GCT−TAG−TCA−CAC−3’
オリゴヌクレオチドBはオリゴヌクレオチドAに対して相補的である。下線部の配列はMspIの制限部位を示す。この制限部位は、TからCへの変異をT7RNAポリメラーゼのヌクレオチド配列の1897位に有するオリゴヌクレオチド配列を得るために変異体クローンをスクリーニングするために使用される。
【0041】
PCR反応混合物および反応条件は下記の通りであった。
10xPfu緩衝液 5μl
オリゴヌクレオチドA(100ng/ul) 1.25μl
オリゴB 1.25μl
2mM dNTPs 1.25μl
プラスミドテンプレート 1μl
O 41μl
合計 50μl。
【0042】
プラスミドテンプレートは、その後の手順における簡便な精製を行うためのヒスチジン標識に融合させた、データベースに発表されている完全なT7RNAポリメラーゼの野生型の遺伝子配列(Dunn,J.J.およびStudier,F.W.(1983)バクテリオファージT7DNAの完全なヌクレオチド配列およびT7遺伝子エレメントの位置、J.Mol.Biol.166(4)、477〜535)を含む。T7RNAポリメラーゼ遺伝子は、T7DNA(Sigma D4931)をテンプレートとして使用するPCRによってクローニングされた。次いで、PCR増幅したT7RNAポリメラーゼのDNAを、pUC18のマルチクローニング部位(MCS)内に標識配列を挿入することによって事前に作製されたpUC18(tag)プラスミドの適切な制限部位にクローニングした。T7RNAP遺伝子のDNA配列を配列決定によって確認した後、Tag−T7RNAポリメラーゼの融合遺伝子をpKK223−3発現プラスミド(Pharmacia Biotech 27−4935−01)の適切な部位にサブクローニングして、Tag−T7RNAP/pKK223−3を作製した。
【0043】
PCR反応を、下記の温度サイクルプロトコルを用いて行った:
95℃ 30秒
55℃ 1分
68℃ 14分 /18サイクル
PCR反応後、10ユニットのDpnI制限酵素を加え、37℃で1時間インキュベーションした。次いで、DpnI処理したDNAの1μlを大腸菌JM109の形質転換に使用した。最後に、変異型T7RNAポリメラーゼのクローンを、MspI制限酵素を使用してプラスミドDNAをスクリーニングし、制限部位、従ってTからCへの変異をT7RNAポリメラーゼのヌクレオチド配列の1897位に含むそのようなプラスミドを選択することによって単離した。
【0044】
実施例2
変異型T7RNAポリメラーゼを、下記のプロトコルを用いて単離した:
1.TからCへの変異をT7RNAポリメラーゼのヌクレオチド配列の1897位に有するTag−T7RNAポリメラーゼ/pKK223−3プラスミドを有する大腸菌JM109を、50ug/mlのアンピシリンを含有する3.5mlの2xYTブロス(16g/Lのバクトトリプトン、10g/Lのバクト酵母抽出物、10g/LのNaCl)において37℃で16時間〜24時間培養する。
2.細胞を遠心分離によって1.5mlのエッペンドルフチューブに集め、ペレットを一旦凍結する。
3.1mlの氷冷した精製緩衝液(50mMのTris−HCl(pH8.0)、1MのNaCl、0.1%のTriton)を加える。
4.細胞を4℃で1.5分間の超音波処理を行うことによって溶解する。
5.チューブを15,000rpmで10分間遠心分離し、上清(細胞抽出物)を新しいチューブに移す。
6.100ulのアフィニティー樹脂懸濁物(TALON:Clontech)を加え、ヒスチジン標識物を結合させる。
7.チューブを回転式振とう器によって4℃で30分間穏やかに攪拌する。
8.樹脂を遠心分離によって集め、樹脂ペレットを0.5mlの精製緩衝液で2回洗浄する。
9.300ulの溶出緩衝液(50mMのTris−HCl(pH=8.0)、1MのNaCl、0.1%のTriton、100mMのイミダゾール)を加え、樹脂を穏やかなボルテックスによって懸濁する。
10.チューブを室温で30秒間インキュベーションして、15,000rpmで3分間遠心分離する。
11.上清を新しいチューブに移す。
12.限外ろ過メンブラン(Microcon50、Millipore)を使用することによって酵素を濃縮し、同時に緩衝液を2x保存緩衝液(20mMのKPO(pH7.5)、100mMのNaCl、0.1mMのEDTA、1mMのDTT)に置換する。
13.Bio−Radタンパク質アッセイ試薬を使用することによってタンパク質濃度を測定し、濃度を2x保存緩衝液で0.5mg/mlに調節する。
14.等量のグリセロールを加える。
15.酵素溶液を−20℃で保存する。
【0045】
実施例3
下記のプロトコルを使用して、T7RNAポリメラーゼの酵素的転写活性を測定する。
1.下記の反応混合物を調製する。
【0046】
(1アッセイ分) (10アッセイ分)
10x転写緩衝液(2) 5μl 50μl
100mMのrNTP混合物(25mMの各rNTP)
0.8μl 8μl
T7DNA(Sigma D4931)(0.5ug/ul)
2μl 20μl
BSA(1mg/ml) 2.5μl 25μl
H2O 34.2μl 342μl
[3H]rUTP(NEN:NET−287)
0.5μl 5μl
合計 45μl 450μl
2.45μlの上記反応混物を2mlのエッペンドルフチューブに分注する。
3.混合物を37℃で3分間インキュベーションする(プレインキュベーション)。
4.アッセイする酵素溶液の5μlを加え、簡潔かつ十分に混合する。
5.37℃で10分間インキュベーションする。
6.反応を停止させるために1.5mlの3.6%PCA溶液(3.6%の過塩素酸、0.1MのNa)を加え、氷上で10分間インキュベーションする。
7.ろ過し、標準的な方法に従って[3H]を測定する。
【0047】
このアッセイでは、転写活性は、下記の式を使用することにより計算される:活性(ユニット/μl)=[cpm(サンプル)−cpm(ブランク)]x24/cpm(全体)
(1ユニットは、1nmolの標識されたヌクレオチド三リン酸が60分間で酸不溶物に取り込まれることを触媒する活性として定義される)。
【0048】
実施例4
この実施例では、種々のT7RNAポリメラーゼの半減期T1/2が、下記のプロトコルを使用することによって測定される。
1.下記の反応混合物を調製する。
(1アッセイ分)
10x転写緩衝液 10μl
0.5M KCl 14μl
BSA(1mg/ml) 10μl
H2O 56μl
合計 90μl
(転写緩衝液:400mMのtris(pH=8.0)、200mMのMgCl、および50mMのDTT)
2.アッセイする酵素溶液の10μlを加え、十分に混合する。
3.適切な温度でインキュベーションする。
4.5分毎または10分毎に5μlを取り出し、直ちに転写活性アッセイの反応混合物(実施例3)に移して(残存)活性を測定する。
5.ln[[cpm(t=T)−cpm(ブランク)]/[cpm(t=0)−cpm(ブランク)]]をT(インキュベーション時間)に対してプロットする。
6.T1/2(分)をe(=2.718)/傾きとして求める。
【0049】
野生型T7RNAポリメラーゼと変異型(1897位におけるTからCへの変異)との比較結果を下記の表2に示す。
【0050】
【表2】
Figure 0004485066
【0051】
実施例5
この実施例では、インビトロ転写反応を、反応時におけるリアルタイム蛍光によってRNA合成量を測定するために分子ビーコン(Tyagi&Kramer[1995]、分子ビーコン:ハイブリダイゼーションしたときに蛍光を発するプローブ、Nature Biotechnology、14:303〜308)を加えることによって分析した。この反応におけるテンプレートDNAは、T7プロモーターの下流にサイトメガロウイルス(CMV)即時初期抗原(IEA)配列を含むプラスミドであり、分子ビーコン(5’フルオレセイン−CCT CGC ATG AGA ACT ACA TTG TAC CTG CGA GG−ダブシル3’)は、CMV RNAが形成されるとすぐにCMV RNAにハイブリダイゼーションする。反応物(40mMのtris(pH=8.5)、12mMのMgCl、70mMのKCl、5mMのDTT、1mMの各dNTP、2mMのrATP、2mMのrCTP、2mMのrUTP、1.5mMのrGTP、0.5mMのITP、0.1μgのプラスミドDNA、および0.1μMの分子ビーコン)を65℃で5分間インキュベーションし、その後、適量のT7RNAポリメラーゼを加え、反応物を45℃でさらにインキュベーションした。蛍光量を5分毎に蛍光計で測定した。この結果を図1に示す。結果は、変異体7−7のT7RNAポリメラーゼが、野生型酵素と比較して、46℃でより大きな酵素活性を有していることを明瞭に示している。
【0052】
実施例6
変異型T7RNAポリメラーゼはまた、高温でのNASBA増幅反応の一部として使用された。NASBA反応では、HCV配列の一部を、アンプリコン領域に対する2つの特異的なオリゴヌクレオチドプライマーを使用して増幅した。NASBA反応物(40mMのTris−HCl(pH=8.5)、12mMのMgCl、70mMのKCl、5mMのDTT、1mMの各dNTP、2mMのrATP、2mMのrUTP、2mMのrCTP、1.5mMのrGTP、0.5mMのITP、0.75mMのEDTA、15%v/vのDMSO、0.2mMのオリゴヌクレオチドHCP1、0.2mMのオリゴヌクレオチドHCP2、0.375Mのソルビトール)を65℃で5分間インキュベーションし、続いて、41℃、43℃または45℃で5分間インキュベーションした。次いで、酵素混合物(2.1mgのBSA、0.01ユニットのRNaseH、10ユニット〜50ユニットの適切なT7RNAポリメラーゼ、7.5ユニットのAMV−RT)を加え、反応物を、軽くたたくことによって穏やかに混合した後、41℃、43℃または45℃で90分間インキュベーションした。適切なプローブとハイブリダイゼーションさせた後、増幅反応物の10倍希釈物をMarkI装置(東洋紡(株)、大阪、日本)で分析することによって増幅産物を検出した。図2に示される結果は、変異体7−7のT7RNAポリメラーゼが、野生型T7RNAポリメラーゼを含有する標準的な反応と比較して45℃ではるかに良好に増幅したことを明瞭に示している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 野生型酵素および変異型酵素を比較する46℃におけるT7RNAポリメラーゼ転写反応を示す。RNA産生は、反応のRNA産物に対する特異的な分子ビーコンを用いてリアルタイムで測定される。
【図2】 41℃、43℃または45℃で野生型T7RNAポリメラーゼまたは変異型T7RNAポリメラーゼのいずれかを用いた反応のNASBA増幅結果を示す。
【配列表】
Figure 0004485066
Figure 0004485066

Claims (7)

  1. アミノ酸配列の633位においてセリンからプロリンへのアミノ酸変化を有しているように変異しているT7 RNAポリメラーゼ。
  2. 請求項1に記載のT7 RNAポリメラーゼをコードする遺伝子。
  3. ヌクレオチド配列の第1897位においてT→C変異を有し、その結果、T7 RNAポリメラーゼのアミノ酸配列の第633位においてセリンからプロリンへのアミノ酸変化がおきていることを特徴とする請求項2に記載の遺伝子。
  4. 請求項2または3に記載の遺伝子および適当な発現調節配列を含むことを特徴とする発現ベクター。
  5. 請求項4に記載のベクターで形質転換され、変異RNAポリメラーゼを発現し得る細胞。
  6. 等温的な転写に基く核酸増幅反応における請求項1に記載のRNAポリメラーゼの使用。
  7. 等温的な転写に基く増幅反応において使用するための酵素混合物であって、
    − 請求項1に記載のRNAポリメラーゼ、
    − 逆転写酵素活性および必要に応じてRnase H活性を有する酵素
    を含むことを特徴とする上記酵素混合物。
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