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JP4489602B2 - ソテー玉葱及びその製造方法 - Google Patents
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Description

本発明は、カレー、シチュー、ハヤシ等の煮込み料理の原料に使用されるソテー玉葱及びその製造法に関する
一般に、カレー、シチュー(特にビーフシチュー等)を作る際には、その原料としてソテー玉葱が使用されることは広く知られている。ソテー玉葱を含有させるとカレー、シチュー等に香ばしい風味を与えると共に、深いコクを与える効果があるからである。このため料理人(シェフ)はじっくりと時間をかけ丁寧に玉葱をソテーし、独自の美味しさを作りこんでいく。ところが、かかる原料として玉葱をソテーする際、簡単に前記シェフの作るような玉葱を得ることは出来ない。例えば一般家庭のような小さいスケールでやる場合も、鍋の伝熱性能選択、火加減、またじっくりやるための長時間の調理が必要な点でそこにはあきらかにコツが存在し、誰もが、簡単に達成出来る物ではない。工業的規模でソテーをする場合はさらに困難が伴う。これは、工業的にソテーを行なう場合、いわゆる平釜と呼ばれるソテー機を使用し製造することが一般的であるが、機械の構造上、加熱面(伝熱面積)が狭く、且つ撹拌効率が悪いために滞留する部分もあり、均一な加熱が出来ない為、ソテー状態と言うよりは煮込み状態となり、また部分的には焦げなども見られ、出来上がった玉葱は目標とするソテーも糖度も十分なものとは状態が大きく異なる。このような玉葱では食品に加えた際に当初述べたような良好な風味、コク味を与えることができず、品質の良いカレーやシチューを安価に大量に供給することは困難と言わざるを得ない。
こうした現状を克服しようと、商業的規模での風味の良いソテー玉葱の製造方法がこれまでに数多く試されてきた。カットした玉葱を炒め機として平釜を用い、カットした後の玉葱を速やかに炒め機に投入し、投入後玉葱を35分以内に90℃まで昇温し、炒め処理を90℃〜102℃で10分から120分間行なう方法(特許文献1)、皮をむいた生の玉葱を所定形状にカットし、玉葱100重量部あたり50〜100重量部の熱水と接触させ、ついで3〜20重量部の食用油の共存下で品温90℃〜102℃で70〜170分間炒める方法。(特許文献2)、生またはカットされたタマネギをマイクロ波処理し、その後タマネギを炒める方法(特許文献3)などが開示されている。しかしながら、これらの方法では風味の改善は見られるものの、シェフの作るソテー玉葱よりも美味しいソテーも糖度も十分なソテー玉葱を作ることは出来ず、25℃での糖度はせいぜい20〜30であった。
特開2000−14352号公報 特開2000−23633号公報 特開2000−93109号公報
本発明の目的は、甘味に優れ、苦味等の雑味の無い美味しいソテー玉葱を提供することを目的とする。また、上記玉葱の工業的な製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、玉葱を加熱面に均等に接触、循環させることで効率よく昇温させ、さらに特定の温度と時間で炒めることで水分蒸発量をコントロールし、甘味に優れ雑味を抑えたソテー玉葱を製造する事が可能になることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の第1は、品温が25℃の時の糖度(Brix値)が40以上であり、ソテー度が50以下であり、かつ色差計により測定した明るさ(L値)が40〜50であることを特徴とするソテー玉葱に関する。本発明の第2は、ソテー後の玉葱全体中の水分含有量が70〜80重量%の間になるまでは、水分蒸発速度が0.1〜0.4重量%/分であり、それ以降に、ソテー後の玉葱全体中の水分含有量が45〜55%の間になるまでは、水分蒸発速度が0.4〜1.0重量%/分であることを特徴とするソテー玉葱の製造方法に関する。
本発明によれば、これまでに無い甘味に優れ、苦味やエグミ等の無い高品質の炒め玉葱が得られる。これを使用したシチュー、カレー等の食品に深みのある風味を与える事が可能となる。
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。本発明における品温が25℃の時の糖度(Brix値)とは、ソテーした玉葱をデジタル糖度計(株式会社アタゴ社製、型番:PR−101〜301)で測定したBrix値のことである。測定のために試料は全てすり鉢等で均一のペースト状になるまで押しつぶした。また、温度を一定にして測定の精度を保つため25℃の恒温器(島津科学社製)に2時間保管し温度を一定にした。本発明のソテー玉葱は、従来のものよりも糖度が高く、製造の容易さから考えた実用性から考えると、品温が25℃の時の糖度(Brix値)が30〜60であり、より好ましくは40〜58である。糖度(Brix値)が30未満のものについては本発明の特徴である風味のよさ(甘味、おいしさ)が出ない場合があり、また60を超えるものを作製しようとすると焦げが顕著に発生しソテーを継続することが出来ない場合がある。
本発明におけるソテー玉葱のソテー度とは、ソテー前の仕込み時の原料の総重量とソテー後の原料の総重量を測定し、(ソテー後の原料の総重量)/(ソテー前の仕込み時の原料の総重量)×100を算出したものである。例えば、ソテー後の原料の総重量が50kgで、ソテー前の仕込み時の原料の総重量が100kgであれば、ソテー度50%と表す。従って、ソテーが進むと、ソテー度を示す数値は小さくなっていく。上記ソテー前後での重量変化の殆どは水分量によるものである。そしてこのソテー度は、50%以下であることが好ましい。実用性の観点から25〜50%がより好ましく、さらには25〜40%が好ましい。ソテー度が上記範囲にあれば、より甘味に優れ、苦味やエグミ等の無い高品質の炒め玉葱が得られ、これを使用したシチュー、カレー等の食品により大きな深みのある風味を与える事が可能となる。ソテー度が25〜40%の時に、品温が25℃の時の糖度(Brix値)が好ましくは30〜60であり、より好ましくは40〜58であれば、ソテー玉葱は、これまでに無い甘味に特に優れ、苦味やエグミ等の無い高品質を有する。
本発明におけるソテー玉葱の明るさとは、色彩色差計CR−200(コニカミノルタ社製)を用いて、プラスチック状の使い捨てシャーレ(直径80mm、高さ8mm)に隙間の無いようにいっぱいに詰めたサンプルのL値を測定したものである。この際、サンプルの形態は特に限定は無い。測定は5ポイントの測定値の平均で算出した。その明るさは、40〜50が好ましい。明るさが40より低ければ焦げを生じている場合があり、50より大きければソテー度が低い場合がある。
上記より、特に甘味に優れ、苦味やエグミ等の無い高品質なソテー玉葱を得る有効手段は、焦げを生じさせないで、できるだけソテー度を上げ、その結果糖度を上げることである。
本発明におけるソテー玉葱の製造方法について以下に説明する。まず、生の玉葱を剥皮して、カットする。この場合カットする大きさ、形状については特に限定されないが、好ましくはダイス状、スライス状等の一般的なカットがよい。次にカットした玉葱を炒め機で炒める。炒め機としては、攪拌機、加熱機の付加された釜で玉葱を容器内で高速に攪拌でき、玉葱を循環可能な構造を有するものが好ましい。この装置に用いる熱源としては、特に限定は無いが、ガスによる直火、電気式、電磁誘導式、ジャケット式の蒸気方式等が挙げられる。
即ち、カットした玉葱を入れてから、攪拌装置を高速で回転させる事で加熱面に玉葱を押し付け、循環させることで焦げを生じずに玉葱をソテーするができる。ここで循環可能な構造とは、常に加熱面に押し付けられている玉葱が、滞留することなく移動していくことを意味する。例えば、スパイラル形状の羽根を有する撹拌機を付加された炒め機を使用できる。玉葱の品温、ソテー時間とも規定の温度、時間を超えると焦げによる雑味が生じ、目的とするソテー玉葱が得られない。
ソテー処理にはサラダ油、ラード、牛脂、バター等の各種油脂、食塩、胡椒等を好みにより加えることができる。油脂は玉葱100重量部に対して好ましくは0.1〜30重量部、より好ましくは1〜10重量部加える。油脂を加えすぎると油脂の風味が玉葱の風味を凌駕し好ましい結果が得られない。ソテー処理した後は玉葱の水分が蒸発して減少するが、ソテー度が50%以下となるように行なうのが好ましい。ソテー度が50%を超えると、水くさい風味の玉葱となり、本発明のソテー玉葱を得ることが出来ない。
ソテーの条件としては、ソテー後の玉葱全体中の水分含有量が70〜80重量%の間になるまでは、水分蒸発速度が0.1〜0.4重量%/分であり、それ以降に、ソテー後の玉葱全体中の水分含有量が45〜55%の間になるまでは、水分蒸発量が0.4〜1.0重量%/分になるよう水分蒸発速度をコントロールすることが好ましい。尚ここで玉葱全体中の水分含有量の測定は、水分固形分計(製品名:SMART System5、CEM社製)を用いて、マニュアル通りにサンプルをセットし、加熱して水分を飛ばす前後の重量を求め、(サンプリングした玉葱の重量−加熱して水分を飛ばした後の玉葱の重量)/(サンプリングした玉葱の重量)×100の式に従って算出した値を玉葱全体中の水分含有量とした。また、水分蒸発速度は、ソテー10分ごとに玉葱をサンプリングし、前記水分固形分計を用いてソテー後の玉葱中の水分含有量を求め、(10分前にサンプリングした玉葱全体中の水分含有量−サンプリング時の玉葱全体中の水分含有量)/(ソテー時間(10分))、の式に従って算出した。水分蒸発速度をコントロールする際、保有の装置と仕込み原料によって、その条件出し(撹拌回転数、加熱温度、加熱時間など)を行い、適宜温度、時間で管理すればよい。また、装置の観点からは、ソテー玉葱の品温が95℃〜100℃に達するまでは、炒め機に蓋をし、その後は蓋の開閉をすることで水分蒸発速度をコントロールすることが好ましい。
以上を実施することで得られた玉葱は、これまでに無く甘く(品温25℃の時の糖度が40以上)、苦味等雑味の無い高品質な物となる。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例において「部」や「%」は重量基準である。
<カレーの品質評価>
実施例4〜6及び比較例2で作製したカレーを10人のパネラーにより官能評価した。その際の評価基準は以下の通りである。◎:非常にコクがあって、味のバランスが良く非常に旨い、○:コクがあって、味のバランスが良く旨い、△:コクがややあるが味のバランスが悪くあまり旨くない、×:コクが無く、味のバランスが悪いために不味い。
(実施例1)
1)剥皮した生の玉葱を15mm角のダイス状にカットした。
2)炒め機として容量600kgで攪拌、ジャケット式蒸気加熱装置の付加された蓋付きの横型ニーダー釜(カジワラ社製)を用意し、この釜に上記のカットした直後の玉葱を80kgとサラダ油8kgを投入し加熱を開始した。加熱の度合いの目安として、10分で80℃以上、30分で95℃以上になるように加熱を調整した。
3)上記投入後より攪拌スピードを高速(約60回転/秒)にし、出来る限り玉葱を伝熱面に押し付け熱交換を速やかに行なった。その際、釜の蓋を閉めることで初期の水分蒸発を極力抑えた。
4)焦げないように品温を調整しながら、98℃に達温後、釜の蓋を調節し、具体的には釜の蓋部分に直径5cm程度の開閉可能な穴をあけておき、品温が95℃を超えるまでは全く穴を閉じておき(カット玉葱を投入後、約30分)、その後、蓋を半開にした。それから、カット玉葱を投入後80分を越えたところで蓋を全開にして蒸発水分量の調整を行った。
5)その後、カット玉葱投入時より110分までソテー処理を行なった(到達品温:102℃)。このときソテー度は35%であった。
6)上記のようにして製造されたソテー玉葱は品温を25℃に再調整した時の糖度が40であり、甘味に優れ苦味やエグミのない美味しいソテーオニオンが得られた。
尚、各データは抜き取りで手早く行いソテー全体への影響が少ないように配慮して行った。サンプリングデータはソテー終了後まとめて測定した。
Figure 0004489602
(実施例2)
最終ソテー時間を120分間にした以外は実施例1と同様に玉葱をソテーした(到達品温:102℃)。その結果、Brixが45の甘味に優れ苦味やエグミのない美味しいソテーオニオンが得られた。その結果は、表2に示す。
Figure 0004489602
(実施例3)
最終ソテー時間を130分間にした以外は実施例1と同様に玉葱をソテーした(到達品温:102℃)。その結果、Brixが57の甘味に優れ苦味やエグミのない美味しいソテーオニオンが得られた。その結果は、表3に示す。
Figure 0004489602
(比較例1)
1)剥皮した生の玉葱を15mm角のダイス状にカットした。
2)炒め機として容量600kgで攪拌、ジャケット式蒸気加熱装置の付加された平釜を用意し、この釜に上記のカットした直後の玉葱を200kgとサラダ油4kgを投入し加熱を開始した。
3)焦げないように品温を調整しながら、実施例1と水分蒸発量をあわせるため、ソテー度を35%となるようにした。この際、ソテー時間は実施例より長くかかり、180分であった(到達品温:90℃)。
6)上記のようにして製造されたソテー玉葱は25℃のBrixが19であり、甘味もあるものの苦味やエグミも感じる良品ではないものであった。
(実施例4)
実施例1で得られたソテー玉葱10重量部、ルウ7重量部、香辛料、塩等からなる粉体原料6重量部、野菜、果実ペースト等の液体調味料15重量部、水62重量部からなる原料を90℃まで加熱攪拌し、約30分間でカレーを得た。
(実施例5)
実施例2で得られたソテー玉葱10重量部、ルウ7重量部、香辛料、塩等からなる粉体原料6重量部、野菜、果実ペースト等の液体調味料15重量部、水62重量部からなる原料を90℃まで加熱攪拌し、約30分間でカレーを得た。
(実施例6)
実施例3で得られたソテー玉葱10重量部、ルウ7重量部、香辛料、塩等からなる粉体原料6重量部、野菜、果実ペースト等の液体調味料15重量部、水62重量部からなる原料を90℃まで加熱攪拌し、約30分間でカレーを得た。
(比較例2)
比較例1で得られたソテー玉葱を10重量部使用し、それ以外は実施例2と同様の配合でカレーソースを作製したところ実施例4〜6で得られたような深いコクは感じられず、まとまりのない味であった。
以上、実施例4〜6、及び比較例2の評価結果は表4に示した。
Figure 0004489602

Claims (2)

  1. 品温が25℃の時の糖度(Brix値)が40以上であり、ソテー度が50%以下であり、かつ色差計により測定した明るさ(L値)が40〜50であるソテー玉葱。
  2. ソテー後の玉葱全体中の水分含有量が70〜80重量%の間になるまでは、水分蒸発速度が0.1〜0.4重量%/分であり、それ以降に、ソテー後の玉葱全体中の水分含有量が45〜55%の間になるまでは、水分蒸発速度が0.4〜1.0重量%/分であることを特徴とするソテー玉葱の製造方法。
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