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JP4492066B2 - 電気光学装置およびそれを用いた電子機器 - Google Patents
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JP4492066B2 - 電気光学装置およびそれを用いた電子機器 - Google Patents

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Description

本発明は、駆動電圧が相違する複数の相補回路を同一基板上に備えた電気光学装置、およびこの電気光学装置を用いた電子機器に関するものである。
アクティブマトリクス型液晶装置や、有機エレクトロルミネッセンス表示装置などの電気光学装置では、電気光学物質を保持する基板上に、画素スイッチング用のアクティブ素子として複数の薄膜トランジスタ(電界効果型トランジスタ/以下、TFT(Thin Film Transistor)という)が形成されているとともに、同一基板上に駆動回路を構成する駆動回路用TFTが形成される場合があり、このようなタイプの電気光学装置は、駆動回路内蔵型電気光学装置と称せられる。
このような駆動回路では、図12(A)、(B)に示すように、Nチャネル型TFTとPチャネル型TFTとによって相補回路が構成されており、このような相補回路では、動作の高速化および低消費電力化の観点から、TFTのしきい値電圧の絶対値をできるだけ0Vに近づける構成、Nチャネル型TFTとPチャネル型TFTのしきい値電圧をできるだけ等しい電圧値とする構成、Nチャネル型TFTやPチャネル型TFTのしきい値電圧のばらつきを小さくする構成などが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
また、駆動回路内蔵型電気光学装置では、画素スイッチング用のTFTにオフ電流が小さいことが求められ、駆動回路用TFTではオン電流が大きいことが求められることから、画素スイッチング用のTFTと駆動回路用TFTとでトランジスタの特性を異なるように構成することも提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
さらにしきい値の制御、あるいはオン電流とオフ電流の両立のためにトランジスタにバックゲートを設けて4端子構造とすることも提案されている(例えば、特許文献3を参照)。
ここで、相補回路の駆動電圧は当該回路に入力される複数の電源や信号の最大電位差で定義されるもので、従来、液晶などといった電気光学物質をオンオフさせるためのしきい値電圧やICの出力信号レベルなどといった外的要因によって決定されている。一般的に、ICから出力される制御入力信号、すなわち、クロック信号やスタートパルス信号は、1V〜5V位の比較的小さな電圧振幅である。また、回路の消費電力は駆動電圧の2乗に比例するので、可能な限り、低い電圧で駆動することが好ましい。それ故、シフトレジスタなどといった論理回路では、TFTの特性が許容する限り、駆動電圧を低い電圧に設定するのが望ましい。但し、回路が高周波(高速動作)であるほど、高い駆動電圧を必要とする。また、液晶の配向状態などを黒レベルと白レベルとに切換えるには電位差として3V〜5V程度必要であり、極性を反転させる必要から、電圧振幅のトータル幅としては6V〜10V程度必要であるが、走査バスラインに印加される信号の振幅は、画素スイッチング用トランジスタのしきい値電圧を考慮するとそれより高い必要があるため、8V〜20V程度が必要である。それ故、走査線駆動回路とデータ線駆動回路を比較した場合、データ線駆動回路では駆動電圧が低く、走査線駆動回路では駆動電圧が高くすることが本来は好ましい。
しかしながら、従来はそもそもTFTの特性が低く、内蔵できる回路が限られていた上に回路の駆動電圧がほとんどTFT特性によって決まっていたため、このように駆動電圧を回路によって変えることはあまり一般的では無かった。
特開平7−273349号公報 特開平9−266316号公報 特開2001−51292号公報
従来は、TFTのしきい値電圧が全体的に高く、相補回路の低電圧化が難しかったため、表示装置全体を8V〜12Vで駆動せざるを得なかった。このため、内蔵周辺回路の駆動電圧と表示部への印加電圧のバランスがある程度、確保されていたので、低消費電力化や保持容量低減などの観点からTFTのしきい値電圧の絶対値をできるだけ0Vに近づける、あるいは画素スイッチング用のTFTと駆動回路用TFTとでしきい値電圧を異なる値に設定するなどの検討しかなされていなかった。しかしながら、近年、ポリシリコン膜の結晶化技術やゲート絶縁膜形成技術が向上し、しきい値電圧の低いTFTの製造が可能になり、内蔵の周辺回路の駆動電圧と表示部への印加電圧のバランスが大きく崩れつつある。
すなわち、周辺の論理回路は7V以下での回路駆動も可能になっており、消費電流の低減などの観点から、今後ますます駆動電圧が低下していくことが予想されるが、電気光学装置においては、電気光学物質のしきい値電圧があるために表示部へ印加する電圧は一定以下にできない事情があり、回路によって駆動電圧が大きく異なる回路が混在する傾向にある。しかも、今後さらに、SOPに向けて多くの回路を同一基板上に集積していくと、ますます回路によって駆動電圧が相違する状態になっていかざるを得ない。例えば、高周波数で駆動する回路にはトランジスタのオン電流が必要なためにより高い駆動電圧が必要であるし、低周波数回路は消費電力低減のため、低い駆動電圧で動作させたいという事情がある。
このような状況下で、電気光学装置全体をしきい値電圧の低いTFTで構成した場合、駆動電圧が高い相補回路では、誤動作が発生するという問題点がある。この点について、図面を参照して説明する。
図12(A)に示すような相補回路によってインバータを構成して駆動電圧10Vで使用する場合、入力信号INを周期的にハイレベルとローレベルとに切換えるに伴って、出力信号OUTは、理想的には、図13(A)に示すようになる。ところが、実際の回路では、図13(B)に示すように、配線の抵抗や寄生容量の影響により、入力信号INは、電圧が急峻に立ち上がる、あるいは立ち下がる訳ではなく、なだらなか勾配をもって変化する。従って、Nチャネル型のTFTのしきい値電圧が+1V〜+3V程度で、Pチャネル型のTFTのしきい値電圧が−1V〜−3V程度であった場合、例えば、各々が+2V、−2Vであった場合、入力電圧INが(ハイレベル側電源電圧+Pチャネル型TFTのしきい値電圧)と(ローレベル側電源電圧+Nチャネル型TFTのしきい値電圧)との間にある期間、すなわち2V〜8Vの区間では、Nチャネル型のTFT、およびPチャネル型のTFTの双方においてチャネルに反転層が形成されている状態となり、双方のTFTが低抵抗状態になる。このため、出力信号OUTがハイレベルとローレベルとの中間電圧をとることになってしまい、回路において誤動作や誤作動を招来させてしまうという問題点がある。
また、図12(B)に示すようなCMOSクロックドインバータにおいて、Nチャネル型TFT、およびPチャネル型TFTのしきい値電圧がそれぞれ+2V、−2Vである場合、信号遅延によりクロック信号CLKが5V、その反転信号であるCLKXが5Vという瞬間があったとき、図12(B)に示すクロックド・インバーターも、図12(B)に対してCLKとCLKXを入れ替えたクロックド・インバーターも同時に動作してしまい、正しく信号選択動作やラッチ動作が行われないという問題点がある。このような問題点は相補型伝送ゲートでも同様である。
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、相補回路を構成する電界効果型トランジスタのしきい値電圧を駆動電圧に対応させて最適化することにより、相補回路の動作の安定性を向上した電気光学装置、およびそれを備えた電気光学装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明では、電気光学物質を保持するための基板上には、マトリクス状に配置された複数の画素の各々に対応する画素スイッチング用の電界効果型トランジスタと、前記複数の画素を駆動するための駆動回路を構成する駆動回路用の電界効果型トランジスタとが形成され、前記複数の電界効果型トランジスタには、入力される信号並びに電源の最大電圧差で定義される駆動電圧が異なる第1の相補回路、および第2の相補回路を構成するNチャネル型電界効果型トランジスタおよびPチャネル型電界効果型トランジスタが含まれた電気光学装置において、
前記Nチャネル型電界効果型トランジスタおよび前記Pチャネル型電界効果型トランジスタについては、バックゲートを備えた4端子構造として構成するとともに、
前記4端子構造のNチャネル型電界効果型トランジスタのバックゲート−ソース間に印加される電位の平均値で定義されるバックゲート電位、および前記4端子構造のPチャネル型電界効果型トランジスタのバックゲート−ソース間に印加される電位の平均値で定義されるバックゲート電位をそれぞれVb-NchおよびVb-Pchとしたとき、
同一の相補回路を構成する前記4端子構造のNチャネル型電界効果型トランジスタおよび前記4端子構造のPチャネル型電界効果型トランジスタでは、バックゲート電位Vb-Nchとバックゲート電位Vb-Pchが相違し、かつ、
前記第1の相補回路と前記第2の相補回路とでは、前記4端子構造のNチャネル型電界効果型トランジスタのバックゲート電位Vb-Nchまたは前記4端子構造のPチャネル型電界効果型トランジスタのバックゲート電位Vb-Pchの少なくとも一方が相違していることを特徴とする。
本願明細書では、駆動電圧が互いに相違する相補回路を第1の相補回路および第2の相補回路というのであって、相補回路が2種類に限ることを意味するものではない。また、電気光学装置上の全ての電界効果型トランジスタを4端子とすることを意味するものでもない。
本発明において、前記4端子構造のNチャネル型電界効果型トランジスタでバックゲートをソース電位と短絡させた状態でチャネルに反転層が形成されるときのゲート電圧の最小値、および前記4端子構造のPチャネル型電界効果型トランジスタでバックゲートをソース電位と短絡させた状態でチャネルに反転層が形成されるときのゲート電圧の最大値をそれぞれVth-NchおよびVth-Pchとしたとき、
前記第1の相補回路および前記第2の相補回路のうちの少なくとも一方の相補回路では、以下の式
|((Vth-Nch)−(Vb-Nch))−((Vth-Pch)−(Vb-Pch))|
で求められる値Vth-d(バックゲートによって制御された状態におけるしきい値電圧の差の絶対値)が当該相補回路の駆動電圧に対して0.25倍から1倍の範囲であることが好ましい。このように、Nチャネル型電界効果型トランジスタのバックゲートで制御した状態におけるしきい値電圧と、Pチャネル型電界効果型トランジスタのバックゲートで制御した状態におけるしきい値電圧の差の絶対値を駆動電圧に対応させて適正化した場合には、電界効果型トランジスタのしきい値電圧の低電圧化を図った場合でも、駆動電圧としきい値電圧とのバランスを確保できるので、誤動作の発生を防止できる。

本発明において、前記第1の相補回路および前記第2の相補回路のうちの少なくとも一方の相補回路では、前記の値Vth-dが当該相補回路の駆動電圧に対して0.5倍から1倍の範囲であることが好ましい。
本発明において、前記第1の相補回路および前記第2の相補回路のうちの少なくとも一方の相補回路は、
|((Vth-Nch)−(Vb-Nch))+((Vth-Pch)−(Vb-Pch))|
で求められる値が当該相補回路の駆動電圧の1/4倍以下であることが好ましい。
本発明において、しきい値電圧Vth-Nch、Vth-Pchがばらついているときには、前記4端子構造のNチャネル型電界効果型トランジスタでバックゲートをソース電位と短絡させた状態でチャネルに反転層が形成されるときのゲート電圧の最小値、および前記4端子構造のPチャネル型電界効果型トランジスタでバックゲートをソース電位と短絡させた状態でチャネルに反転層が形成されるときのゲート電圧の最大値をそれぞれVth-NchおよびVth-Pchとすることが好ましい。これにより、回路内でトランジスタのしきい値電圧がばらついている場合も所望の効果を得ることが出来る。
本発明によれば、前記第1の相補回路および前記第2の相補回路のうちの少なくとも一方の相補回路では、値Vth-dが前記第1の相補回路および前記第2の相補回路の駆動電圧の最大値の半分以下である電気光学装置に適用した場合でも、駆動電圧と、しきい値電圧の絶対絶の和Vth-dのバランスが確保されているので、誤動作の発生を防止できる。それ故、このようなしきい値電圧の低い電界効果型トランジスタを用いた電気光学装置に本発明を適用すると、その効果が特に顕著である。
本発明において、前記第1の相補回路および前記第2の相補回路のうちの少なくとも一方の相補回路では、((Vth-Nch)−(Vb-Nch))が正の値であり、((Vth-Pch)−(Vb-Pch))が負の値であることが好ましい。このように構成すると、ゲート電圧が0Vのときの電流(漏れ電流)のレベルを低減することができる。このため、少なくとも一方の相補回路では、Vb-Nchが正の値であり、Vb-Pchが負の値であることが好ましい。
上記発明では、物理的な意味でのしきい値電圧をパラメータにして構成を規定したが、回路動作として規定してもよい。
すなわち、本発明では、前記4端子構造のNチャネル型電界効果型トランジスタでバックゲートをソース電位と短絡させた状態で、ドレイン・ソース間に所定の一定電圧Vds-Nchを印加したときのドレイン・ソース間抵抗をチャネル幅で割った値が所定の値Ron-offとなるときのゲート電圧、および前記4端子構造のPチャネル型電界効果型トランジスタでバックゲートをソース電位と短絡させた状態で、ドレイン・ソース間に所定の一定電圧Vds-Pchを印加したときのドレイン・ソース間抵抗をチャネル幅で割った値が所定の値Ron-offとなるときのゲート電圧をそれぞれVon-off-NchおよびVon-off-Pchとしたとき、
前記第1の相補回路および前記第2の相補回路のうちの少なくとも一方の相補回路では、以下の式
|((Von-off-Nch)−(Vb-Nch))−((Von-off-Pch)−(Vb-Pch))|
で求められる値Von-off-d(バックゲートによって制御された状態における回路動作面でのしきい値電圧の差の絶対値)が当該相補回路の駆動電圧に対して0.25倍から1倍の範囲であることが好ましい。このように、Nチャネル型電界効果型トランジスタのバックゲートで制御した状態におけるしきい値電圧と、Pチャネル型電界効果型トランジスタのバックゲートで制御した状態におけるしきい値電圧の差の絶対値を駆動電圧に対応させて適正化した場合には、電界効果型トランジスタのしきい値電圧の低電圧化を図った場合でも、駆動電圧としきい値電圧とのバランスを確保できるので、誤動作の発生を防止できる。
本発明において、前記第1の相補回路および前記第2の相補回路のうちの少なくとも一方の相補回路では、前記の値Von-off-dが当該相補回路の駆動電圧に対して0.5倍から1倍の範囲であることが好ましい。
本発明において、前記第1の相補回路と前記第2の相補回路のうちの少なくとも一方の相補回路では、以下の式
|((Von-off-Nch)−(Vb-Nch))+((Von-off-Pch)−(Vb-Pch))|
で求められる値が当該相補回路の駆動電圧に対して1/4倍以下であることが好ましい。
本発明によれば、前記第1の相補回路および前記第2の相補回路のうちの少なくとも一方の相補回路では、値Von-off-dが前記第1の相補回路および前記第2の相補回路の駆動電圧の最大値の半分以下である電気光学装置に適用した場合でも、駆動電圧と、回路動作面での値Von-off-dとのバランスが確保されているので、誤動作の発生を防止できる。それ故、このようなしきい値電圧の低い電界効果型トランジスタを用いた電気光学装置に本発明を適用すると、その効果が特に顕著である。
本発明において、前記第1の相補回路および前記第2の相補回路のうちの少なくとも一方の相補回路では、((Von-off-Nch)−(Vb-Nch))が正の値であり、((Von-off-Pch)−(Vb-Pch))が負の値であることが好ましい。このように構成すると、ゲート電圧が0Vのときの電流(漏れ電流)のレベルを低減することができる。このため、少なくとも一方の相補回路では、Vb-Nchが正の値であり、Vb-Pchが負の値であることが好ましい。
本発明において、回路動作面でのしきい値電圧Von-off-Nch、Von-off-Pchがばらついているときには、前記4端子構造のNチャネル型電界効果型トランジスタでバックゲートをソース電位と短絡させた状態で、ドレイン・ソース間に所定の一定電圧Vds-Nchを印加したときのドレイン・ソース間抵抗をチャネル幅で割った値が所定の値Ron-offとなるときのゲート電圧の最小値、および前記4端子構造のPチャネル型電界効果型トランジスタでバックゲートをソース電位と短絡させた状態で、ドレイン・ソース間に所定の一定電圧Vds-Pchを印加したときのドレイン・ソース間抵抗をチャネル幅で割った値が所定の値Ron-offとなるときのゲート電圧の最大値をそれぞれVon-off-NchおよびVon-off-Pchとすることが好ましい。これにより、回路内でトランジスタのしきい値電圧がばらついている場合も所望の効果を得ることが出来る。
本発明において、前記所定の一定電圧Vds-Nchが+1Vから+20Vであり、かつ前記所定の一定電圧Vds-Pchが−1Vから−20Vであり、かつ前記所定の値Ron-offが1MΩ/μmから1GΩ/μmであることが好ましい。
本発明において、前記第1の相補回路および前記第2の相補回路は、例えば前記駆動回路に構成されている。但し、画素において、画素スイッチング用の電界効果型トランジスタが相補回路を構成している場合があり、このような場合、第1の相補回路、および第2の相補回路のうちの一方の相補回路が画素に構成され、他方の相補回路が駆動回路に構成されている場合に本発明を適用してもよい。
本発明において、前記第1の相補回路および前記第2の相補回路のうちの少なくとも一方の相補回路では、駆動電圧が駆動電圧の最大値の半分以下である。
本発明において、前記電界効果型トランジスタは、例えば、能動層が多結晶シリコンからなる薄膜トランジスタである。
本発明において、前記電気光学物質は、例えば、前記電気光学装置用基板と対向基板との間に保持された液晶である。
本発明において、前記電気光学物質は、例えば、前記電気光学装置用基板上で発光素子を構成する有機エレクトロルミネッセンス材料である。
本発明を適用した電気光学装置は、携帯電話機やモバイルコンピュータなどといった電子機器に用いられる。
本発明において、駆動電圧が相違する第1および第2の相補回路では、Nチャネル型電界効果型トランジスタ、およびPチャネル型電界効果型トランジスタをしきい値電圧制御用のバックゲートを備えた4端子構造とし、かつ、バックゲート電位を各電界効果型トランジスタで相違させて適正化したため、Nチャネル型電界効果型トランジスタのバックゲートで制御した状態におけるしきい値電圧と、Pチャネル型電界効果型トランジスタのバックゲートで制御した状態におけるしきい値電圧の差の絶対値を駆動電圧に対応させて相違させ、適正化することができる。このため、高速動作・低消費電力を達成するために、電界効果型トランジスタのしきい値電圧の低電圧化を図った場合でも、個々の相補回路では、駆動電圧としきい値電圧とのバランスが確保されているので、相補回路において誤動作が発生しない。とりわけ、電気光学装置では、多数の画素を駆動するにもかかわらず、スペース的な余裕がないため、配線などがかなり微細化されているので、駆動周波数が高いわりには配線幅が狭い上に特に直視型表示ディスプレイに使用する場合は装置自体が大型であるために配線長も長くなるなどの理由で入力信号波形にRC遅延による歪みが発生しやすいが、このようなときでも、相補回路に誤動作が発生しない。それ故、電気光学装置において、画素数の増加、画面の大型化、高速動作化、低消費電力化を図った場合でも、高い信頼性を確保することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
[実施の形態1]
本発明が適用される駆動回路内蔵型アクティブマトリクス型液晶装置(電気光学装置)の具体的な構成については後述するが、対向基板との間に電気光学物質としての液晶を保持するためのTFTアレイ基板(アクティブマトリスク基板)上に、画素スイッチング用TFTとともに、素子基板の周辺領域には、駆動回路を構成する駆動回路用TFTが形成されている。この種の駆動回路では、Nチャネル型TFTとPチャネル型TFTとを備えた相補回路(以下、CMOS回路という)によってシフトレジシタなどを備えた走査線駆動回路およびデータ線駆動回路が構成されている。ここで、駆動回路には、駆動電圧が相違するCMOS回路が含まれている。例えば、データ線駆動回路には、駆動電圧が12VのCMOS回路が含まれ、走査線駆動回路には、駆動電圧が5VのCMOS回路が含まれている。従来ではこのような構成をとった装置では駆動電圧が低い(5V)走査線駆動回路にあわせてしきい値電圧を低減すべく製造しており、これが駆動電圧の高い(12V)データ線駆動回路で誤動作を引き起す要因となっていた。
このような技術背景のもと、本発明では、CMOS回路毎にその駆動電圧に対応する、適正なしきい値電圧を有するTFTを用いることに特徴を有し、その詳細を以下に説明する。
(TFTのしきい値電圧と駆動電圧との関係)
図1(A)、(B)はそれぞれ、本発明を適用したCMOS回路を用いたインバータ回路、およびクロックドインバータ回路の説明図である。以下の説明では、駆動電圧が互いに相違するCMOS回路を第1のCMOS回路および第2のCMOS回路という。なお、ここでいう「第1」および「第2」とは、あくまで駆動電圧が相違することを意味し、CMOS回路が2種類に限らず、3種類以上存在することがあることをも意味する。
本発明では、まず、図1(A)、(B)に示すように、入力される信号並びに電源の最大電圧差で定義される駆動電圧が異なる第1のCMOS回路、および第2のCMOS回路を構成するNチャネル型TFT、およびPチャネル型TFTについては、しきい値電圧制御用のバックゲートを備えた4端子構造とし、各々のバックゲートに対して、しきい値制御用信号線111、112から所定のバックゲート電位を印加する。なお、以下の説明ではバックゲートへ印加される電位は固定(DC)であるとして扱うが、各種駆動を補助するためになんらかの信号を付与しても差し支えない。
また、4端子構造のNチャネル型TFTのバックゲートに印加される電位の平均値であるバックゲート電位をVb-Nchとし、前記4端子構造のPチャネル型TFTのバックゲートに印加される電位の平均値であるバックゲート電位をVb-Pchとしたとき、同一のCMOS回路を構成する4端子構造のNチャネル型TFTおよび4端子構造のPチャネル型TFTでは、バックゲート電位Vb-Nchとバックゲート電位Vb-Pchを相違させる。
また、第1のCMOS回路と第2のCMOS回路とでは、4端子構造のNチャネル型TFTのバックゲート電位Vb-Nchが相違し、4端子構造のPチャネル型TFTのバックゲート電位Vb-Pchが相違している構成とする。
ここで、Nチャネル型TFTのバックゲート電位Vb-Nchについては負の電位に設定され、Pチャネル型TFTのバックゲート電位Vb-Pchについては正の電位に設定される。
また、4端子構造のNチャネル型TFTでバックゲートをソース電位と短絡させた状態でチャネルに反転層が形成されるときのゲート電圧(バックゲートにより制御しない状態における物理的なしきい値電圧)、および4端子構造のPチャネル型TFTでバックゲートをソース電位と短絡させた状態でチャネルに反転層が形成されるときのゲート電圧(バックゲートにより制御しない状態における物理的なしきい値電圧)をそれぞれVth-NchおよびVth-Pchとしたとき、第1のCMOS回路および第2のCMOS回路のうちの少なくとも一方のCMOS回路、本形態では、第1のCMOS回路および第2のCMOS回路の双方のCMOS回路において、以下の式
|((Vth-Nch)−(Vb-Nch))−((Vth-Pch)−(Vb-Pch))|
で求められる値Vth-d(TFTのバックゲートにより制御された状態におけるしきい値電圧の差の絶対値/以下、単に「しきい値電圧の差の絶対値」という)が当該CMOS回路の駆動電圧に対して、例えば、0.25倍から1倍の範囲、好ましくは0.5倍から1倍の範囲に設定する。
例えば、第1のCMOS回路の駆動電圧が5Vの場合、このCMOS回路を構成するTFTのしきい値電圧の差の絶対値Vth-dは、1.25V〜5Vの範囲、好ましくは、2.5V〜5Vの範囲である。これに対して、第2のCMOS回路の駆動電圧が例えば、12Vの場合、しきい値電圧の差の絶対値Vth-dは、3V〜12Vの範囲、好ましくは、6V〜12Vの範囲である。すなわち、好ましい構成を取る場合、第1のCMOS回路を構成するトランジスタと第2のCMOS回路を構成するTFTのしきい値電圧の差の絶対値(Vth-d)を異なった値をとらなくてはならない。例えば、第1のCMOS回路における((Vth-Nch)−(Vb-Nch))と((Vth-Pch)−(Vb-Pch))をそれぞれ+2Vと−2V、第2のCMOS回路における((Vth-Nch)−(Vb-Nch))と((Vth-Pch)−(Vb-Pch))をそれぞれ+5Vと−5Vなどとすれば良い。より具体的には、第1のCMOS回路と第2のCMOS回路におけるTFTのしきい値はほぼ同じであり、Vth-Nch=1.5V、Vth-Pch=−1.5Vであったとするなら、第1のCMOS回路のバックゲート電圧をそれぞれVb-Nch=−0.5VとVb-Pch=+0.5V、第2のCMOS回路のバックゲート電圧をそれぞれVb-Nch=−3.5V、Vb-Pch=+3.5Vとすればよい。
このようにして、しきい値電圧の差の絶対値Vth-dを、各々のCMOS回路の駆動電圧に対応させて最適化すれば、駆動回路の誤動作を防止することができる。すなわち、図1(A)に示すようなCMOS回路によってインバータを構成した場合、図13(C)に示すように、配線の抵抗や寄生容量の影響により、入力信号INの波形が歪んで立ち上がりあるいは立下りが急峻でない場合でもしきい値電圧の差の絶対値Vth-dを電源電圧と同等にした場合、例えば、駆動電圧、Nチャネル型TFTの制御後のしきい値電圧((Vth-Nch)−(Vb-Nch))、およびPチャネル型TFTの制御後のしきい値電圧(Vth-Pch)−(Vb-Pch))を各々、10V、+5V、−5Vとした場合には、しきい値電圧の差の絶対値Vth-dは、CMOS回路の駆動電圧と等しくなり、Nチャネル型TFTとPチャネル型TFTが同時にONあるいはOFFすることは無くなり、図13(C)に示すように、立ち上がりあるいは立下りが急峻な出力波形を得ることができる。
ここで、しきい値電圧の差の絶対値Vth-dは、CMOS回路の駆動電圧に近いほど誤動作の発生を防止できるが、しきい値電圧の差の絶対値Vth-dが、CMOS回路の駆動電圧を超える場合、両方のTFTがOFFしている出力無しのタイミングがあり、またオン電流も十分確保できないためにこれも好ましくない。従って、しきい値電圧の差の絶対値Vth-dが、CMOS回路の駆動電圧をわずかに下回るレベルに設定すればよい。
また、各TFTにおいて、しきい値電圧にはばらつきが必ず存在するため、しきい値電圧の差の絶対値Vth-dを求めるにあたっては、バックゲートをソース電位と短絡させた状態でNチャネル型TFTのチャネルに反転層が形成されるしきい値電圧の最小値、およびバックゲートをソース電位と短絡させた状態でPチャネル型TFTのチャネルに反転層が形成されるしきい値電圧の最大値をそれぞれVth-NchおよびVth-Pchとし、これらの値を用いて、しきい値電圧の差の絶対値Vth-dを求めることが好ましい。
また、しきい値電圧の差の絶対値Vth-dが許容される範囲は、入力信号INの傾きが大きいほど、許容範囲は狭くなる。すなわち、入力信号INが(ハイレベル側駆動電圧+Pチャネル型TFTのしきい値)から(ローレベル側駆動電圧+Nチャネル型TFTのしきい値)の間をとる時間が誤動作を引き起してしまう時間より短ければよい。ここで、入力信号INの傾きは、配線の緩和時間τ=RC(R:配線抵抗、C:寄生容量)に反比例するので、配線の引き回し長、配線材料、層間絶縁膜の膜厚・誘電率などに依存して決まる。本形態では、低温ポリシリコンを用いた液晶装置の素子基板に対して、波形計測結果を行った結果に基づいて、しきい値電圧の差の絶対値Vth-dをCMOS回路の駆動電圧に対して0.25倍から1倍の範囲、好ましくは、0.5倍から1倍の範囲に設定してある。
それ故、上記の設定から、しきい値電圧の差の絶対値Vth-dの回路間での比が2倍以上異なる場合に本発明の効果が顕著であることがわかる。よって、本形態によれば、駆動電圧が他のCMOS回路より2以上のCMOS回路を含む場合でも、バックゲートによりしきい値電圧を制御することにより、電圧側回路の誤動作を防止できる。また、本形態によれば、第1のCMOS回路および第2のCMOS回路のうちの少なくとも一方のCMOS回路で、しきい値電圧の差の絶対値Vth-dが他のCMOS回路の駆動電圧の半分以上である場合でも、CMOS回路毎に、駆動電圧と、しきい値電圧の差の絶対値Vth-dとのバランスが確保されているので、誤動作の発生を防止できる。それ故、このようなしきい値電圧の低いTFTを用いた電気光学装置に本発明を適用すると、その効果が顕著である。
さらに、電気光学装置のように、多数の画素がマトリクス状に配置されているため、配線の抵抗や寄生容量の影響により、入力信号INが歪んで立ち上がり、あるいは立下りが急峻でなくなりやすい場合でも、本形態では、TFTのしきい値電圧と駆動電圧との関係を適正化してあるので、CMOS回路の誤動作が発生しない。
(TFT同士のしきい値電圧のバランス)
このように構成したCMOS回路において、誤動作を防止するという観点からすれば、Nチャネル型TFTの制御後のしきい値電圧の絶対値と、Pチャネル型TFTの制御後のしきい値電圧の絶対値との差が小さいことが好ましい。具体的には発明者の測定によると、
|((Vth-Nch)−(Vb-Nch))+((Vth-Pch)−(Vb-Pch))|
の最大値がそのCMOS回路の駆動電圧の1/4倍以下であれば誤動作を確実に防止でき好ましい。
また、第1のCMOS回路および前記第2のCMOS回路のうちの少なくとも一方のCMOS回路では、Nチャネル型TFTの制御後のしきい値電圧((Vth-Nch)−(Vb-Nch))が正の値であり、Pチャネル型TFTのしきい値電圧((Vth-Pch)−(Vb-Pch))が負の値であれば確実に定常状態でのリーク電流を防止でき、この観点からVb-Nchが負、Vb-Pchは正であることが好ましい。
(本形態の効果)
以上説明したように、本形態の電気光学装置では、駆動電圧が相違する第1および第2のCMOS回路では、Nチャネル型TFT、およびPチャネル型TFTをしきい値電圧制御用のバックゲートを備えた4端子構造とし、かつ、バックゲート電位を各TFTで相違させて適正化したため、Nチャネル型TFTのバックゲートで制御した状態におけるしきい値電圧と、Pチャネル型TFTのバックゲートで制御した状態におけるしきい値電圧の差の絶対値を駆動電圧に対応させて相違させ、適正化することができる。例えば、データ線駆動回路には、駆動電圧が12VのCMOS回路が含まれ、走査線駆動回路には、駆動電圧が5VのCMOS回路が含まれているが、個々のCMOS回路において、駆動電圧と、しきい値電圧の差の絶対値Vth-dとのバランスが確保するため、例えば走査線駆動回路のシフトレジスタを構成するTFTに印加されるバックゲート電圧の平均値はVb-Nch=−0.5VとVb-Pch=+0.5V、データ線駆動回路の伝送ゲート部に印加されるバックゲート電圧の平均値はVb-Nch=−3.5VとVb-Pch=+3.5Vとされているので、誤動作の発生を防止できる。それ故、高速動作を達成するためにTFTのしきい値電圧の低電圧化を図った場合(本実施例ではNチャネルのVth=1.5V、PチャネルのVth=−1.5V)でも、また様々な要求に対応してCMOS回路の駆動電圧を相違させた場合でも、個々のCMOS回路においては、あくまで、駆動電圧と、しきい値電圧の差の絶対値Vth-dとのバランスが確保されているので、誤動作の発生を防止できる。また、画素数の増大に伴ってスペース的な余裕がなくて配線などがかなり微細化された結果、駆動周波数が高いわりには配線幅が狭い、あるいは表示部分を大型化した結果、配線の引き回し長が長くなったなどの理由で信号波形に歪みが発生した場合でも、駆動電圧と、しきい値電圧の差の絶対値Vth-dとのバランスが確保されているので、誤動作の発生を防止できる。
[実施の形態2]
図2は、TFTの回路動作面でのしきい値電圧Von-offの説明図である。図3は、TFTにおける回路動作面でのしきい値電圧Von-offと、反転層の形成に基づく物理的なしきい値電圧Vthとの対応を示すグラフである。
上記構成では、TFTの物理的なパラメータであるしきい値電圧(Vth)でCMOS回路の駆動電圧とTFTの構成との関係を規定した。物理的なTFTのしきい値電圧(Vth)とは、チャネルに反転層が形成されるゲート電圧を指すが、実験的に求めるには様々な手法があり、最も簡易な手段としては例えば飽和領域(Vgs−Vth<Vds)のドレイン・ソース間電流Idsを測定し、Idsの平方根を縦軸、Vgsを横軸にプロットしたときにカーブに接する直線が横軸と交わるVgsの最大値をVthとするなどの方法がある。なお、上でVgsはゲート・ソース間電圧を意味する。
しかしながら、特にポリシリコン薄膜TFTの場合、実験的に精度良くしきい値電圧Vthを求めるのは難しく、手法によって値が異なった結果になる事も多い。そこでしきい値電圧(Vth)に代わる簡易なパラメーターとして回路動作面でのオン・オフのしきい値電圧Von-offを用いて駆動電圧との関係を規定してもよい。
本形態の駆動回路内蔵型アクティブマトリクス型液晶装置でも、実施の形態1と同様、素子基板(アクティブマトリスク基板)上に、画素スイッチング用TFTとともに、素子基板の周辺領域には、駆動回路を構成する駆動回路用TFTが形成されている。また、駆動回路では、Nチャネル型TFTとPチャネル型TFTとを備えたCMOS回路が複数、構成されているとともに、複数のCMOS回路には、入力される信号並びに電源の最大電圧差で定義される駆動電圧が相違する第1のCMOS回路と第2のCMOS回路とが含まれている。
このような構成の液晶装置において、本形態では、実施の形態1と同様、第1のCMOS回路、および第2のCMOS回路を構成するNチャネル型TFT、およびPチャネル型TFTについては、しきい値電圧制御用のバックゲートを備えた4端子構造として構成する。
また、4端子構造のNチャネル型TFTのバックゲートに印加されるバックゲート電位をVb-Nchとし、前記4端子構造のPチャネル型TFTのバックゲートに印加されるバックゲート電位をVb-Pchとしたとき、同一のCMOS回路を構成する4端子構造のNチャネル型TFTおよび4端子構造のPチャネル型TFTでは、バックゲート電位Vb-Nchとバックゲート電位Vb-Pchを相違させる。
また、第1のCMOS回路と第2のCMOS回路とでは、4端子構造のNチャネル型TFTのバックゲート電位Vb-Nchをさせ、4端子構造のPチャネル型TFTのバックゲート電位Vb-Pchを相違させる。
ここで、Nチャネル型TFTのバックゲート電位Vb-Nchについては負の電位に設定され、Pチャネル型TFTのバックゲート電位Vb-Pchについては正の電位に設定される。
また、図2に示すドレイン・ソース間電圧(Vds)をそれぞれ一定の値に固定したときのTFTのVgs−Ids特性において、4端子構造のNチャネル型TFTでバックゲートをソース電位と短絡させた状態で、ドレイン・ソース間に所定の一定電圧Vds-Nchを印加したときのドレイン・ソース間抵抗をチャネル幅で割った値が所定の値Ron-offとなるときのゲート電圧、および4端子構造のPチャネル型TFTでバックゲートをソース電位と短絡させた状態で、ドレイン・ソース間に所定の一定電圧Vds-Pchを印加したときのドレイン・ソース間抵抗をチャネル幅で割った値が所定の値Ron-offとなるときのゲート電圧をそれぞれVon-off-NchおよびVon-off-Pchとしたとき、
第1のCMOS回路および第2のCMOS回路のうちの少なくとも一方のCMOS回路、本形態では、第1のCMOS回路および第2のCMOS回路の双方において、以下の式
|((Von-off-Nch)−(Vb-Nch))−((Von-off-Pch)−(Vb-Pch))|
で求められる値Von-off-d(TFTのバックゲートにより制御された状態における回路動作面でのしきい値電圧の差の絶対値/以下、単に「回路動作面でのしきい値電圧の差の絶対値」という)が当該CMOS回路の駆動電圧に対して0.25倍から1倍の範囲、好ましくは、0.5倍から1倍の範囲に入るように、回路動作面でのしきい値電圧を最適化してある。
例えば、第1のCMOS回路の駆動電圧が例えば、5Vの場合、このCMOS回路を構成するTFTの回路動作面でのしきい値電圧の差の絶対値Von-off-dは、1.25V〜5Vの範囲、好ましくは、2.5V〜5Vの範囲である。これに対して、第2のCMOS回路の駆動電圧が例えば、12Vの場合、このCMOS回路を構成するTFTの回路動作動作面でのしきい値電圧の差の絶対値Von-off-dは、3V〜12Vの範囲、好ましくは、6V〜12Vの範囲である。
ここで、回路動作面でのしきい値電圧Von-offは、ドレイン・ソース間電圧(Vds)をそれぞれ一定の値に固定したときのTFTチャネル幅当りのドレイン・ソース間抵抗(Rds)が一定値になるゲート電圧を意味する。ドレイン・ソース間電圧(Vds)並びにドレイン・ソース間抵抗(Rds)の一定値については、回路の駆動周波数、チャネル長によって相違するが、ガラス基板上に低温ポリシリコンTFTにより形成したCMOSデジタル論理回路では、Ron-offの値として1MΩ/μmから1GΩ/μm程度、Vdsの値としてNchは1から20V、Pchは−1から−20Vに設定するのが適切であり、このような条件範囲であれば、回路動作面でのしきい値電圧Von-offは、図3にドレイン・ソース間抵抗(Rds)の一定値が小のとき(Rds〜1MΩ/μm程度)と、大のとき(Rds〜1GΩ/μm程度)の各々について複数のTFTの測定結果をプロットしたグラフを示すように、物理的なしきい値電圧Vthと十分、相関していることが確認できている。
それ故、本形態のように、回路動作動作面でのしきい値電圧の差の絶対値Von-off-dを上記のように設定することによっても、例えば、駆動電圧の比が2倍以上異なるCMOS回路での誤動作を防止できる。また、本形態によれば、第1のCMOS回路および第2のCMOS回路のうちの少なくとも一方のCMOS回路では、回路動作面でのしきい値電圧の差の絶対値Von-off-dが他の回路の駆動電圧の半分以下である場合でも、誤動作の発生を防止できるなど、実施の形態1と同様な効果を奏する。
なお、各TFTにおいて、回路動作面でのしきい値電圧にはばらつきが必ず存在するため、本形態でも、回路動作面でのしきい値電圧の差の絶対値Von-off-dを求めるにあたっては、Nチャネル型TFTでバックゲートをソース電位と短絡させた状態で、ドレイン・ソース間に所定の一定電圧Vds-Nchを印加したときのドレイン・ソース間抵抗をチャネル幅で割った値が所定の値Ron-offとなるときのゲート電圧の最小値、およびPチャネル型TFTでバックゲートをソース電位と短絡させた状態で、ドレイン・ソース間に所定の一定電圧Vds-Pchを印加したときのドレイン・ソース間抵抗をチャネル幅で割った値が所定の値Ron-offとなるときのゲート電圧の最大値をそれぞれVon-off-NchおよびVon-off-Pchとして用いて、回路動作動作面でのしきい値電圧の差の絶対値Von-off-dを求めることが好ましい。
また、誤動作を防止するという観点からすれば、Nチャネル型TFTの制御した状態における回路動作面でのしきい値電圧の絶対値と、Pチャネル型TFTの制御した状態における回路動作面でのしきい値電圧の絶対値との差が小さいことが好ましい。すなわち、
|((Von-off-Nch)−(Vb-Nch))+((Von-off-Pch)−(Vb-Pch))|
の最大値がそのCMOS回路の駆動電圧の1/4倍以下であることが好ましい。
[電気光学装置の具体的構成]
(全体構成)
図4は、本発明を適用した電気光学装置をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図であり、図5は、対向基板を含めて示す図4のH−H′断面図である。図6は、電気光学装置の画像表示領域を構成するためにマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線などの等価回路図である。
図4において、本形態の電気光学装置100は、アクティブマトリクス型の液晶装置であり、TFTアレイ基板10の上には、シール材107が対向基板20の縁に沿うように設けられている。シール材107の外側の領域には、データ線駆動回路101および実装端子102(信号入力端子)がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられており、走査線駆動回路104が、この一辺に隣接する2辺に沿って形成されている。更にTFTアレイ基板10の残る一辺には、画像表示領域10aの両側に設けられた走査線駆動回路104間をつなぐための複数の配線105が設けられており、更に、額縁108の下などを利用して、プリチャージ回路や検査回路が設けられることもある。また、対向基板20のコーナー部の少なくとも1箇所においては、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的導通をとるための上下導通材106が形成されている。
そして、図5に示すように、図4に示したシール材107とほぼ同じ輪郭をもつ対向基板20がこのシール材107によりTFTアレイ基板10に固着されている。なお、シール材107は、TFTアレイ基板10と対向基板20とをそれらの周辺で貼り合わせるための光硬化樹脂や熱硬化性樹脂などからなる接着剤である。
詳しくは後述するが、TFTアレイ基板10には、画素電極9aがマトリクス状に形成されている。これに対して、対向基板20には、シール材107の内側領域に遮光性材料からなる額縁108が形成され、その内側が画像表示領域10aとされている。さらに、TFTアレイ基板10に形成されている画素電極(後述する)の縦横の境界領域と対向する領域にブラックマトリクス、あるいはブラックストライプなどと称せられる遮光膜23が形成され、その上層側には、ITO膜からなる対向電極21が形成されている。
図6において、電気光学装置100の画像表示領域10aにおいて、マトリクス状に形成された複数の画素の各々には、画素電極9a、および画素電極9aを制御するための画素スイッチング用のTFT30が形成されており、画素信号を供給するデータ線6aが当該TFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画素信号S1、S2・・・Snは、この順に線順次に供給する。また、TFT30のゲートには走査線3aが電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線3aにパルス的に走査信号G1、G2・・・Gmを、この順に線順次で印加するように構成されている。画素電極9aは、TFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけそのオン状態とすることにより、データ線6aから供給される画素信号S1、S2・・・Snを各画素に所定のタイミングで書き込む。このようにして画素電極9aを介して液晶に書き込まれた所定レベルの画素信号S1、S2、・・・Snは、対向基板20に形成された対向電極21(図5参照)との間で一定期間保持される。
ここで、保持された画素信号がリークするのを防ぐことを目的に、画素電極9aと対向電極との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70(キャパシタ)を付加することがある。この蓄積容量70によって、画素電極9aの電圧は、例えば、ソース電圧が印加された時間よりも3桁も長い時間だけ保持される。これにより、電荷の保持特性は改善され、コントラスト比の高い表示を行うことのできる電気光学装置が実現できる。なお、蓄積容量70を形成する方法としては、容量を形成するための配線である容量線3bとの間に形成する場合、あるいは前段の走査線3aとの間に形成する場合もいずれであってもよい。
このように構成した電気光学装置100において、データ線駆動回路101は、シフトレジスタ101a、レベルシフタ101b、および映像信号伝送ゲート部101cを有しており、シフトレジスタ101a、および映像信号伝送ゲート部101cは、後述する駆動回路用TFTを備えたCMOS回路を有している。ここで、シフトレジスタ101aのCMOS回路の駆動電圧は8Vであり、映像信号伝送ゲート部101cのCMOS回路の駆動電圧は12Vであり、駆動電圧が相違している。従って、レベルシフタ101bは、8Vから12Vへのレベルシフトを行っている。
また、走査線駆動回路104は、シフトレジスタ104a、およびレベルシフタ104bを有しており、シフトレジスタ104aは、後述する駆動回路用TFTを備えたCMOS回路を有している。ここで、シフトレジスタ104aのCMOS回路の駆動電圧は5Vであり、レベルシフタ104bは、5Vから12Vへのレベルシフトを行っている。
このようにデータ線駆動回路101および走査線駆動回路104では、シフトレジスタ101a、映像信号伝送ゲート部101c、およびシフトレジスタ104aで用いられるCMOS回路の駆動電圧はそれぞれ、8V、12V、5Vである。従って、本形態では、シフトレジスタ101a、映像信号伝送ゲート部101cおよびシフトレジスタ104aを構成するTFTにおいて、実施の形態1、2で説明したように、TFTをしきい値電圧制御用のバックゲートを備えた4端子構造とするとともに、しきい値電圧制御用信号線73、74により所定のバックゲート電位をバックゲートに印加することにより、TFTをCMOS回路毎にその駆動電圧に適合するしきい値電圧で作動するように構成する。
(画素の構成)
図7(A)、(B)は、データ線、走査線、画素電極などが形成されたTFTアレイ基板において相隣接する画素の平面図、およびA−A′線に相当する位置での電気光学装置を切断したときの断面を示す説明図である。なお、これらの図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。
図7(A)、(B)において、電気光学装置100のTFTアレイ基板10上には、マトリクス状に複数の透明な画素電極9a(点線で囲まれた領域)が画素毎に形成され、画素電極9aの縦横の境界領域に沿ってデータ線6a(一点鎖線で示す)、走査線3a(実線で示す)、および容量線3b(実線で示す)が形成されている。
TFTアレイ基板10の基体は、石英基板や耐熱性ガラス板などの透明基板10bからなり、対向基板20の基体は、石英基板や耐熱性ガラス板などの透明基板20bからなる。TFTアレイ基板10には画素電極9aが形成されており、その上側には、ラビング処理等の所定の配向処理が施されたポリイミド膜などからなる配向膜16が形成されている。画素電極9aは、たとえばITO(Indium Tin Oxide)膜等の透明な導電性膜からなる。また、配向膜16は、たとえばポリイミド膜などの有機膜に対してラビング処理を行うことにより形成される。なお、対向基板20において、対向電極21の上層側にも、ポリイミド膜からなる配向膜22が形成され、この配向膜22も、ポリイミド膜に対してラビング処理が施された膜である。
TFTアレイ基板10には、透明基板10bの表面に下地絶縁膜11が形成されているとともに、その表面側において、各画素電極9aに隣接する位置に、各画素電極9aをスイッチング制御する三端子構造の画素スイッチング用のTFT30が形成されている。
図7に示すように、半導体膜1aには、走査線3aからの電界によりチャネルが形成されるチャネル領域1a′、高濃度ソース領域1d、並びに高濃度ドレイン領域1eが形成されている。また、半導体膜1aの上層側には、この半導体膜1aと走査線3aとを絶縁するゲート絶縁膜2が形成されている。
このように構成したTFT30の表面側には、シリコン酸化膜からなる層間絶縁膜4、7が形成されている。層間絶縁膜4の表面には、データ線6aが形成され、このデータ線6aは、層間絶縁膜4に形成されたコンタクトホール5を介して高濃度ソース領域1dに電気的に接続している。層間絶縁膜7の表面にはITO膜からなる画素電極9aが形成されている。画素電極9aは、層間絶縁膜7に形成されたコンタクトホール7aを介してドレイン電極6bに電気的に接続し、このドレイン電極6bは、層間絶縁膜4およびゲート絶縁膜2に形成されたコンタクトホール8を介して高濃度ドレイン領域1eに電気的に接続している。この画素電極9aの表面側にはポリイミド膜からなる配向膜16が形成されている。
また、高濃度ドレイン領域1eからの延設部分1f(下電極)に対しては、ゲート絶縁膜2aと同時形成された絶縁膜(誘電体膜)を介して、走査線3aと同層の容量線3bが上電極として対向することにより、蓄積容量70が構成されている。
なお、本形態では、TFT30のゲート電極(走査線3a)をソース−ドレイン領域の間に1個のみ配置したシングルゲート構造としたが、これらの間に2個以上のゲート電極を配置してもよい。この際、各々のゲート電極には同一の信号が印加されるようにする。このようにデュアルゲート(ダブルゲート)、あるいはトリプルゲート以上でTFT30を構成すれば、チャネルとソース−ドレイン領域の接合部でのリーク電流を防止でき、オフ時の電流を低減することが出来る。これらのゲート電極の少なくとも1個をLDD構造或いはオフセット構造にすれば、さらにオフ電流を低減でき、安定したスイッチング素子を得ることができる。
なお、図7(B)において、対向基板20では、TFTアレイ基板10に形成されている画素電極9aの縦横の境界領域と対向する領域にブラックマトリクス、あるいはブラックストライプなどと称せられる遮光膜23が形成され、その上層側には、ITO膜からなる対向電極21が形成されている。また、対向電極21の上層側には、ポリイミド膜からなる配向膜22が形成され、この配向膜22は、ポリイミド膜に対してラビング処理が施された膜である。
このように構成したTFTアレイ基板10と対向基板20とは、画素電極9aと対向電極21とが対面するように配置され、かつ、これらの基板間には、前記のシール材53(図4および図5を参照)により囲まれた空間内に電気光学物質としての液晶50が封入され、挟持されている。液晶50は、画素電極9aからの電界が印加されていない状態で配向膜により所定の配向状態をとる。液晶50は、例えば一種または数種のネマティック液晶を混合したものなどからなる。
(周辺回路の構成)
再び図4および図6において、本形態の電気光学装置100では、TFTアレイ基板10の表面側のうち、画像表示領域10aの周辺領域を利用してデータ線駆動回路101および走査線駆動回路104が形成されている。このようなデータ線駆動回路101および走査線駆動回路104は、基本的には、図8および図9に示すNチャネル型のTFTとPチャネル型のTFTとによって構成されている。
図8および図9は、走査線駆動回路104およびデータ線駆動回路101等の周辺回路を構成するTFTによる相補型インバーター回路の構成を示す平面図、およびこのインバーター回路を構成するTFTをB−B′線で切断したときの断面図である。
図8および図9において、周辺回路を構成するTFTは、Pチャネル型のTFT80とNチャネル型のTFT90とからなるCMOS型TFTとして構成されている。これらの駆動回路用のTFT80、90を構成する半導体膜60(図8には輪郭を点線で示す)は、透明基板10bの下地絶縁膜11の表面に島状に形成されている。
TFT80、90には、高電位線71と低電位線72がコンタクトホール63、64を介して、半導体膜60のソース領域に電気的にそれぞれ接続されている。また、入力配線66は、共通のゲート電極65にそれぞれ接続されており、出力配線67は、コンタクトホール68、69を介して、半導体膜60のドレイン領域に電気的にそれぞれ接続されている。
このような周辺回路領域にも、層間絶縁膜4、5およびゲート絶縁膜2が形成されている。また、駆動回路用のTFT80、90はLDD構造を有しており、チャネル領域81、91の両側には、高濃度ソース領域82、92および低濃度ソース領域83、93からなるソース領域と、高濃度ドレイン領域84、94および低濃度ドレイン領域85、95からなるドレイン領域とを備えている。
さらに、本形態では、Pチャネル型のTFT80およびNチャネル型のTFT90のいずれにおいても、チャネル領域81、91の下層側に、バックゲート用ゲート絶縁膜12、およびしきい値電圧制御用のバックゲート76、77を備えており、バックゲート76、77には、それぞれしきい値電圧制御用信号線73、74から所定のバックゲート電位が印加されるようになっている。
従って、TFT80、90のバックゲート76、77に印加されるバックゲート電位Vb-Nch、Vb-PchをCMOS回路毎に最適な値に設定することにより、実施の形態1、2で説明したように、TFT80、90のしきい値電圧を適正化することができる。
[その他の実施の形態]
上記形態では、駆動電圧が相違する第1のCMOS回路と第2のCMOS回路として、走査線駆動回路とデータ線駆動回路に形成されるCMOS回路を例に説明したが、画素において、画素スイッチング用のTFTがCMOS回路を構成している場合がある。このような場合、第1のCMOS回路、および第2のCMOS回路のうちの一方のCMOS回路が画素スイッチング用であって、他方のCMOS回路が駆動回路用であってもよい。
また、上記形態では、電気光学装置として、駆動回路内蔵型のアクティブマトリクス型液晶装置を例に説明したが、液晶以外の電気光学物質を用いた電気光学装置、例えば、図10を参照して以下に説明する有機エレクトロルミネッセンス表示装置に用いるTFTアレイ基板、あるいは電気光学装置以外の薄膜半導体装置の製造などに本発明を適用してもよい。
なお、本発明は前記の実施形態に限るものではなく、アモルファスシリコンを用いたTFTに適用しても良いし、絶縁基板上でなくシリコンウェハー上に電気光学装置を形成する場合にも適用できる。また、内蔵回路の形態として、シフトレジスタなどの単純な回路だけでなく、映像信号をデジタル・アナログ変換するDAC回路やデコーダ回路、あるいはグラフィックメモリさらにはCPUなどの高度な回路を内蔵する場合に適用しても良い。また、全てのCMOS回路を4端子構造トランジスタで作成するのではなく、CMOS回路の一部分のみを4端子構造トランジスタとしてもよいし、逆に片ch構成の回路部分も含めて4端子構造トランジスタとしてもよい。
図10は、電荷注入型の有機薄膜エレクトロルミネッセンス素子を用いたアクティブマトリクス型電気光学装置のブロック図である。
図10に示す電気光学装置100pは、有機半導体膜に駆動電流が流れることによって発光するEL(エレクトロルミネッセンス)素子、またはLED(発光ダイオード)素子などの発光素子をTFTで駆動制御するアクティブマトリクス型の表示装置であり、このタイプの電気光学装置に用いられる発光素子はいずれも自己発光するため、バックライトを必要とせず、また、視野角依存性が少ないなどの利点がある。
ここに示す電気光学装置100pでは、TFTアレイ基板10p上に、複数の走査線3pと、走査線3pの延設方向に対して交差する方向に延設された複数のデータ線6pと、これらのデータ線6pに並列する複数の共通給電線23pと、データ線6pと走査線3pとの交差点に対応する画素領域15pとが構成されている。データ線6pに対しては、シフトレジスタ、レベルシフタ、ビデオライン、アナログスイッチを備えるデータ側駆動回路101pが構成されている。走査線3pに対しては、シフトレジスタおよびレベルシフタを備える走査側駆動回路104pが構成されている。
また、画素領域15pの各々には、走査線3pを介して走査信号がゲート電極に供給される第1のTFT31pと、この第1のTFT31pを介してデータ線6pから供給される画像信号を保持する保持容量33pと、この保持容量33pによって保持された画像信号がゲート電極に供給される第2のTFT32p(薄膜半導体素子)と、第2のTFT32pを介して共通給電線23pに電気的に接続したときに共通給電線23pから駆動電流が流れ込む発光素子40pとが構成されている。
このような電気光学装置100pのTFTアレイ基板10pにおいても、シフトレジスタ、レベルシフタ、ビデオライン、アナログスイッチを備えるデータ側駆動回路101p、およびシフトレジスタおよびレベルシフタを備える走査側駆動回路104pでは、駆動電圧が異なるCMOS回路がTFTにより形成される。従って、電気光学装置100pでも、CMOS回路を構成するTFTについては、しきい値電圧制御用のバックゲートを備えた4端子構造とし、バックゲートに印加されるバックゲート電位をCMOS回路毎に最適な値に設定することにより、実施の形態1、2で説明したように、TFTのしきい値電圧を適正化すればよい。
[電子機器への適用]
次に、本発明を適用した電気光学装置100、100pを備えた電子機器の一例を、図11(A)、(B)を参照して説明する。
図11(A)、(B)はそれぞれ、本発明に係る電気光学装置を用いた電子機器の一例としてのモバイル型パーソナルコンピュータの説明図、および携帯電話機の説明図である。
本発明を適用した電気光学装置が搭載される電子機器としては、投射型液晶表示装置(液晶プロジェクタ)、マルチメディア対応のパーソナルコンピュータ(PC)、およびエンジニアリング・ワークステーション(EWS)、ページャ、あるいは携帯電話、ワードプロセッサ、テレビ、ビューファインダ型またはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、電子手帳、電子卓上計算機、カーナビゲーション装置、POS端末、タッチパネルなどを挙げることができる。例えば、図11(A)に示すように、パーソナルコンピュータ180は、キーボード181を備えた本体部182と、表示ユニット183とを有する。表示ユニット183は、前述した電気光学装置100、100pを含んで構成される。また、図11(B)に示すように、携帯電話機190は、複数の操作ボタン191と、前述した電気光学装置100、100pからなる表示部とを有している。
以上説明したように、本発明において、駆動電圧が相違する第1および第2の相補回路では、Nチャネル型電界効果型トランジスタ、およびPチャネル型電界効果型トランジスタをしきい値電圧制御用のバックゲートを備えた4端子構造とし、かつ、バックゲート電位を各電界効果型トランジスタで相違させて適正化したため、Nチャネル型電界効果型トランジスタのバックゲートで制御した状態におけるしきい値電圧と、Pチャネル型電界効果型トランジスタのバックゲートで制御した状態におけるしきい値電圧の差の絶対値を駆動電圧に対応させて相違させ、適正化することができる。このため、高速動作・低消費電力を達成するために、電界効果型トランジスタのしきい値電圧の低電圧化を図った場合でも、個々の相補回路では、駆動電圧としきい値電圧とのバランスが確保されているので、相補回路において誤動作が発生しない。それ故、電気光学装置において、画素数の増加、高速動作化、低消費電力化を図った場合でも、高い信頼性を確保することができる。
(A)、(B)はそれぞれ、本発明を適用したCMOS回路を用いたインバータ回路、およびクロックドインバータ回路の説明図である。 TFTの回路動作面でのしきい値電圧Von-offの説明図である。 TFTにおける回路動作面でのしきい値電圧Von-offと、反転層の形成に基づく物理的なしきい値電圧Vthとの対応を示すグラフである。 本発明が適用される液晶装置(電気光学装置)をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図である。 図4のH−H′断面図である。 図4に示す電気光学装置の画像表示領域において、マトリクス状に配置された複数の画素に形成された各種素子、配線などの等価回路図である。 (A)、(B)は、図4に示す電気光学装置において、TFTアレイ基板に形成された各画素の構成を示す平面図、およびA−A′線に相当する位置で電気光学装置を切断したときの断面図である。 図4に示す電気光学装置の画像表示領域の周辺領域に形成した回路の平面図である。 図8のB−B’断面図である。 電荷注入型の有機薄膜エレクトロルミネセンス素子を用いたアクティブマトリクス型電気光学装置のブロック図である。 (A)、(B)はそれぞれ、本発明に係る電気光学装置を用いた電子機器の一実施形態としてのモバイル型のパーソナルコンピュータを示す説明図、および携帯電話機の説明図である。 (A)、(B)はそれぞれ、従来のCMOS回路を用いたインバータ回路、およびクロックドインバータ回路の説明図である。 (A)、(B)、(C)はそれぞれ、CMOS回路に対する入力信号と出力信号との関係を示す波形図である。
符号の説明
3a 走査線、3b 容量線、6a データ線、9a 画素電極、10、10p TFTアレイ基板(薄膜半導体装置)、30、31p、32p、80、90 TFT(電界効果型トランジスタ)、73、74、111、112 しきい値電圧制御用信号線、76、77 バックゲート、100、100p 電気光学装置

Claims (10)

  1. 電気光学物質を保持するための基板上には、マトリクス状に配置された複数の画素の各々に対応する画素スイッチング用の電界効果型トランジスタと、前記複数の画素を駆動するための駆動回路を構成する駆動回路用の電界効果型トランジスタとが形成され、
    前記複数の電界効果型トランジスタには、入力される信号並びに電源の最大電圧差で定義される駆動電圧が異なる第1の相補回路、および第2の相補回路を構成するNチャネル型電界効果型トランジスタおよびPチャネル型電界効果型トランジスタが含まれた電気光学装置において、
    前記Nチャネル型電界効果型トランジスタおよび前記Pチャネル型電界効果型トランジスタについては、しきい値電圧制御用のバックゲートを備えた4端子構造として構成するとともに、
    前記4端子構造のNチャネル型電界効果型トランジスタのバックゲート−ソース間に印加される電位の平均値で定義されるバックゲート電位、および前記4端子構造のPチャネル型電界効果型トランジスタのバックゲート−ソース間に印加される電位の平均値で定義されるバックゲート電位をそれぞれVb-NchおよびVb-Pchとしたとき、
    同一の相補回路を構成する前記4端子構造のNチャネル型電界効果型トランジスタおよび前記4端子構造のPチャネル型電界効果型トランジスタでは、バックゲート電位Vb-Nchとバックゲート電位Vb-Pchが相違し、かつ、
    前記第1の相補回路と前記第2の相補回路とでは、前記4端子構造のNチャネル型電界効果型トランジスタのバックゲート電位Vb-Nchまたは前記4端子構造のPチャネル型電界効果型トランジスタのバックゲート電位Vb-Pchの少なくとも一方が相違していることを特徴とする電気光学装置。
  2. 請求項1において、前記4端子構造のNチャネル型電界効果型トランジスタでバックゲートをソース電位と短絡させた状態でチャネルに反転層が形成されるときのゲート電圧の最小値、および前記4端子構造のPチャネル型電界効果型トランジスタでバックゲートをソース電位と短絡させた状態でチャネルに反転層が形成されるときのゲート電圧の最大値をそれぞれVth-NchおよびVth-Pchとしたとき、
    前記第1の相補回路および前記第2の相補回路のうちの少なくとも一方の相補回路では、以下の式
    |((Vth-Nch)−(Vb-Nch))−((Vth-Pch)−(Vb-Pch))|
    で求められる値Vth-dが当該相補回路の駆動電圧に対して0.25倍から1倍の範囲であることを特徴とする電気光学装置。
  3. 請求項2において、前記第1の相補回路および前記第2の相補回路のうちの少なくとも一方の相補回路では、前記の値Vth-dが当該相補回路の駆動電圧に対して0.5倍から1倍の範囲であることを特徴とする電気光学装置。
  4. 請求項2または3において、前記第1の相補回路および前記第2の相補回路のうちの少なくとも一方の相補回路は、
    |((Vth-Nch)−(Vb-Nch))+((Vth-Pch)−(Vb-Pch))|
    で求められる値が当該相補回路の駆動電圧の1/4倍以下であることを特徴とする電気光学装置。
  5. 請求項1ないしのいずれかにおいて、前記第1の相補回路および前記第2の相補回路のうちの少なくとも一方の相補回路では、前記4端子構造のNチャネル型電界効果型トランジスタのバックゲート電位Vb-Nchが負の電位であり、前記4端子構造のPチャネル型電界効果型トランジスタのバックゲート電位Vb-Pchが正の電位であることを特徴とする電気光学装置。
  6. 請求項1ないしのいずれかにおいて、前記第1の相補回路および前記第2の相補回路は、いずれも前記駆動回路に構成されていることを特徴とする電気光学装置。
  7. 請求項1ないしのいずれかにおいて、前記電界効果型トランジスタは、能動層が多結晶シリコンからなる薄膜トランジスタであることを特徴とする電気光学装置。
  8. 請求項1ないしのいずれかにおいて、前記電気光学物質は、前記電気光学装置用基板と対向基板との間に保持された液晶であることを特徴とする電気光学装置。
  9. 請求項1ないしのいずれかにおいて、前記電気光学物質は、前記電気光学装置用基板上で発光素子を構成する有機エレクトロルミネッセンス材料であることを特徴とする電気光学装置。
  10. 請求項1ないしのいずれかに規定する電気光学装置を用いたことを特徴とする電子機器。
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