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JP4492774B2 - 光情報記録媒体用カバー層フィルム - Google Patents
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JP4492774B2 - 光情報記録媒体用カバー層フィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、本発明は、光学記録媒体に関し、特に光を透過する光透過層を介してレーザ光が信号記録層に照射され、情報信号の記録及び/又は再生が行われる光情報記録媒体を製造するのに好適な成形性、透明性を有すると共に、複屈折が低減されたポリカーボネートからなることを特徴とする光情報記録媒体用カバー層フィルムに関する。
【0002】
ビスフェノールA型ポリカーボネートは、その透明性、耐熱性、耐加水分解性、寸法安定性などの特徴を生かして、最近は位相差フィルム、光ディスク基板、光ディスクカバー層フィルム等の光学用材料として広く用いられるようになった。特に近年、ハイビジョンデジタル映像が放送開始されるなど、マルチメディア時代が一般的になりつつある中、音声、動画などの大容量な情報を記録可能なような種々の技術が開発されている。
【0003】
光ディスクの大容量化は、波長400nm程の青色レーザの採用と共に、▲1▼多層の情報を読み出す多層光ディスク技術、▲2▼高いNA(開口数)の特殊対物レンズと光透過カバー層フィルムの特殊ディスクを用いる技術等が考案されており、さらにその先には近接場光を利用した情報を読み書きする光ディスク技術が考案されている。
しかしながら、片面から多層の情報を読み書きする多層光ディスク技術で使用される光記録媒体用カバー層フィルムにビスフェノールA型ポリカーボネートを用いる場合、いくつかの問題点があった。
【0004】
ビスフェノールA型ポリカーボネートによるフィルムを製造する方法として、溶剤を用いる湿式成形法による製造方法と溶融押出法による製造方法の2つがある。有機溶剤を用いる湿式成形法では、得られるフィルムの残留応力歪などがなく、入射した光の性質を変化させてしまう複屈折(Δn)は生じにくく、リターデーション値〔Δn×d、d=フィルムの厚み(nm)〕の低い光学的に優れたフィルムを得ることができる。しかし、有機溶剤を用いることから溶剤回収設備、高価な成膜設備、溶剤の揮発・拡散が律速となること、フィルムが厚くなるほど生産性が落ちるなどの欠点があり、従って溶融押出法より生産されるフィルムより高価になる。また本質的に有機溶剤を使用することは避けられないので、環境汚染を及ぼす可能性があるといった問題点もある。
【0005】
一方、溶融押出法では、延伸しながらフィルムにするため、残留応力歪を生ずることになる。光学材料としてこのような性質のフィルムを用いると、入射した光の性質を変化させてしまう複屈折を残してしまい、リターデーション値の低い光学的に優れたフィルムを得ることはできない問題点があった。
【0006】
かかる溶融押出法により製造されるフィルムにおいて、残留応力歪が生じたとしても、ある特定の構造を有するビスフェノールを用いることにより、低複屈性を有し、リターデーション値の低い光学的に優れたフィルムを得る方法として、フルオレン構造を有する光学シートが開示されている(特開平7−179592、特開平9−7222)。
【0007】
しかしながら、特開平9−7222記載の材料は、フルオレン類の含有量を増すと、ガラス転移点の上昇および流動性の低下を招くことから、リターデーション値を抑えるために必要不可欠なフルオレン類を十分に導入することができず、リターデーション値の低減が十分でない。また特開平7−179592記載の材料は、前記リターデーション値を抑えるために必要不可欠なフルオレン類を十分に導入することが達成しており、リターデーション値が低い材料であるが、溶融押出法によるフィルムは、成形性が悪く厚みムラが生じやすく、フィルムの光透過率が十分でないという問題点があった。また分子量調節剤としてヒドロキシルアルコールとラクトンとの反応混合物を用いていることから、得られるポリマーの分子量がばらつき易いという欠点がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、溶融押出法により安価で、かつ簡便にリターデーション値の低い光学フィルムを製造することが求められており、透明性、成形性等が良好なバランスのとれた光情報記録媒体用カバー層フィルムを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、従来の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の2、又は3種類のビスフェノール類より誘導された共重合ポリカーボネート樹脂、及び該ポリカーボネート樹脂と従来のビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂の組成物は、低複屈折性と良好な透明性、成形性などを兼ね備えた良質の光学フィルムとなることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0010】
【発明の実施の形態】
即ち、本発明は、一般式(A)と一般式(B)、または一般式(A)と一般式(B)と一般式(C)で表される化合物を、炭酸エステル形成化合物と反応させて得られるポリカーボネートであって、一般式(B)が全モノマー成分〔一般式(A)+一般式(B)+一般式(C)〕に対して、20〜60wt%であり、かつ極限粘度[η]が、0.2〜1.0[dl/g]であるポリカーボネート樹脂よりなる光情報記録媒体用カバー層フィルムである。
【0011】
【化5】
Figure 0004492774
(式中、R1 〜R4 は、各々独立して、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、又は炭素数7〜17のアラルキル基を表す。これらの基に炭素原子を有する場合には置換基として、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基を有することもできる。)
【0012】
【化6】
Figure 0004492774
(式中、R5 〜R8 は、各々独立して、水素、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、または炭素数7〜17のアラルキル基であり、これらの基に炭素原子を有する場合には置換基として、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基を有することもできる。R9 〜R12は、水素、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基又は炭素数7〜17のアラルキル基であり、これらの基に炭素原子を有する場合には置換基として、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基を有することもできる。R13は炭素数1〜6の脂肪族基を表すか単に結合を表す。Xは、−SiO(R14)(R15)−および/または−SiO(R16)(R17)−の単独重合体、ブロック共重合体またはランダム共重合体を表し、重合度は0〜200であり、R14〜R17は、各々独立して水素、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、又は炭素数7〜17のアラルキル基であり、これらの基に炭素原子を有する場合には置換基として、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基を有することもできる。)
【0013】
【化7】
Figure 0004492774
(式中、R18〜R19は、各々独立して、水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数7〜17のアラルキル基であり、これらの基に炭素原子を有する場合には置換基として、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基を有することもできる。Yは、
【化8】
Figure 0004492774
であり、ここにR20,R21はそれぞれ、水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基を表すか、R20とR21が一緒に結合して、炭素数3〜6の炭素環または複素環を形成する基を表し、これらの基に炭素原子を有する場合には置換基として、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基を有することもできる。aは0〜20の整数を表す。)
【0014】
本発明の光情報記録媒体用カバー層フィルムに用いられるポリカーボネート樹脂は、前記の一般式(A)と一般式(B)、または一般式(A)と一般式(B)と一般式(C)の化合物とを、炭酸エステル形成化合物と反応させることによって、製造することができるものであり、ビスフェノールAから誘導されるポリカーボネートを製造する際に用いられている公知の方法、例えばビスフェノール類とホスゲンとの直接反応(ホスゲン法)、あるいはビスフェノール類とビスアリールカーボネートとのエステル交換反応(エステル交換法)などの方法を採用することができる。
【0015】
本発明に用いられる一般式(A)の化合物としては、具体的には9,9−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、3,6−ジメチル−9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−エトキシ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、4,5−ジメチル−9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、3,6−ジメチル−9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン及び3,6−ジフェニル−9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン等を挙げることができる。中でも特に、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)フルオレンが好ましい。これらの化合物は2種類以上併用して使用することも可能である。
【0016】
本発明に用いられる一般式(B)の化合物としては、具体的には、下記のものが例示される。
【0017】
【化9】
Figure 0004492774
【0018】
これらは、2種類以上併用することも可能である。Xには、ジメチルシロキサンが1〜100個またはジフェニルシロキサンが1〜100個含まれるものおよびそれらのランダム共重合体が好ましい。中でも、特に、α,ω−ビス[3-(o-ヒドロキシフェニル)プロピル]ポリジメチルジフェニルランダム共重合シロキサン、α,ω−ビス[3-(o-ヒドロキシフェニル)プロピル]ポリジメチルシロキサンが好ましい。
【0019】
本発明中の一般式(C)の化合物としては、具体的には4,4'−ビフェニルジオール、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシ−3-メチルフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルファイド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ケトン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノ−ルA;BPA )、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノ−ルZ;BPZ )、2,2-ビス(4-ヒドロキシ−3-メチルフェニル)プロパン(ジメチルビスフェノールA)、2,2-ビス(4-ヒドロキシ−3,5-ジメチルフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)−1-フェニルエタン(ビスフェノールAP;BPAP)、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ−3-アリルフェニル)プロパン、3,3,5-トリメチル−1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(トリメチルビスフェノール−Z;TMBPZ )などが例示される。これらは、2種類以上併用することも可能である。また、これらの中でも特に2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンが好ましい。
【0020】
また、本発明中の炭酸エステル形成化合物としては、例えばホスゲンや、ジフェニルカーボネート、ジ−p−トリルカーボネート、フェニル−p−トリルカーボネート、ジ−p−クロロフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネートなどのビスアリルカーボネートが挙げられる。これらの化合物は2種類以上併用して使用することも可能である。
【0021】
ホスゲン法とエステル交換法では、一般式(A)の化合物および一般式(B)の化合物の反応性を考慮した場合、ホスゲン法の方が好ましい。
【0022】
前者のホスゲン法においては、通常酸結合剤および溶媒の存在下において、本発明における一般式(A)の化合物と一般式(B)の化合物、または一般式(A)の化合物と一般式(B)の化合物と一般式(C)の化合物とを、ホスゲンと反応させる。酸結合剤としては、例えばピリジンや、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物などが用いられ、また溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン、キシレンなどが用いられる。さらに、縮重合反応を促進するために、トリエチルアミンのような第三級アミンなどの触媒を、また重合度調節には、フェノール、p−t−ブチルフェノール、p-クミルフェノール、アルキル置換フェノール類、ヒドロキシ安息香酸アルキル類やアルキルオキシフェノール類などの一官能基化合物を分子量調節剤として加える。さらに、所望に応じ亜硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイトなどの酸化防止剤や、フロログルシン、イサチンビスフェノール、1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、α,α',α"-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-1,3,5-トリイソプロピルベンゼンなど分岐化剤を小量添加してもよい。反応は通常0〜150℃、好ましくは5〜40℃の範囲とするのが適当である。反応時間は反応温度によって左右されるが、通常0.5分〜10時間、好ましくは1分〜2時間である。また、反応中は、反応系のpHを10以上に保持することが望ましい。
【0023】
一方、後者のエステル交換法においては、本発明における一般式(A)の化合物と一般式(B)の化合物または一般式(A)の化合物と一般式(B)の化合物と一般式(C)の化合物とをビスアリールカーボネートと混合し、減圧下で高温において反応させる。この時、フェノール、p−t−ブチルフェノール、p-クミルフェノール、アルキル置換フェノール類、ヒドロキシ安息香酸アルキル類やアルキルオキシフェノール類などの一官能基化合物を分子量調節剤として加えてもよい。反応は通常150〜350℃、好ましくは200〜300℃の範囲の温度において行われ、また減圧度は最終で好ましくは1mmHg以下にして、エステル交換反応により生成した該ビスアリールカーボネートから由来するフェノール類を系外へ留去させる。反応時間は反応温度や減圧度などによって左右されるが、通常1〜10時間程度である。反応は窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましく、また、所望に応じ、酸化防止剤や分岐化剤を添加して反応を行ってもよい。
【0024】
本発明においてホスゲン法を採用する場合は、用いられる三級アミン重合触媒として、例えばトリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、N,N'-ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N'-ジエチルアニリン、ジエチルアミノピリジン等があるが、触媒活性や洗浄除去の問題からトリエチルアミンが好ましい。重合触媒の添加量は、使用される全ビスフェノール類に対して、0.001〜5mol%が好ましい。
【0025】
本発明においてホスゲン法を採用する場合は、反応を効率よく行うため第四級アンモニウム塩を少量添加してもよい。具体的には、テトラメチルアンモニウムクロライド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムアイオダイドなどが例示され、これらのうちトリメチルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライドが好ましい。この第四級アンモニウム塩は、使用される全ビスフェノール類に対して、一般に0.005〜5mol%使用されることが好ましい。
【0026】
更に、本発明に分子量調節剤を用いる場合には特に一価フェノールが好ましく、具体的にはフェノールやブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、デカニルフェノール、テトラデカニルフェノール、ヘプタデカニルフェノール、オクタデカニルフェノール等のアルキル置換フェノール;ヒドロキシ安息香酸ブチル、ヒドロキシ安息香酸オクチル、ヒドロキシ安息香酸ノニル、ヒドロキシ安息香酸デカニル、ヒドロキシ安息香酸ヘプタデカニル等のヒドロキシ安息香酸アルキルエステル;ブトキシフェノール、オクチルオキシフェノール、ノニルオキシフェノール、デカニルオキシフェノール、テトラデカニルオキシフェノール、ヘプタデカニルオキシフェノール、オクタデカニルオキシフェノール等のアルキルオキシフェノール類が例示される。この分子量調節剤の添加量は全ビスフェノール類に対して0.1〜50mol%である。好ましくは、0.5〜10mol%である。
【0027】
これらの反応で合成された本発明のポリカーボネート樹脂は、光情報記録媒体用カバー層フィルムとして成形するための溶融押出フィルム成形、射出フィルム成形、圧縮フィルム成形、湿式フィルム成形など公知の成形法で成形可能であるが、溶融押出フィルム成形により、光記録媒体用カバー層フィルムとして成形されるには、容易に溶融押出フィルム成形できることが望ましく、極限粘度が0.2〜1.0dl/gの範囲であることが好ましい。
【0028】
また、前記一般式(B)の使用量は光記録媒体用カバー層フィルムの強度を考慮すると、前記一般式(A)及び一般式(B)及び一般式(C)の合計量に対して20〜60重量%が好ましい。前記一般式(B)が20重量%未満では、剛直に成りすぎて脆く、60重量%を越えると光記録媒体用カバー層フィルムとして必要な耐熱性が不足する。
【0029】
前記の一般式(C)の使用は、諸性能の向上やコスト低減等のため使用可能であるが、特にビスフェノールAを用いた場合、従来のビスフェノールA型ポリカーボネートとの相溶性がよく、リサイクル性や他品種押出機内の樹脂置換性が向上する利点を有する。光記録媒体用カバー層フィルムのリターデーション値を考慮すると、前記の一般式(C)は、前記の一般式(A)及び一般式(C)の合計量に対して50重量%未満が好ましい。前記の一般式(C)が前記の一般式(A)及び一般式(C)の合計量に対して50重量%以上ではリターデーション値が著しく悪化し不充分となる。
【0030】
本発明のポリカーボネート樹脂は、従来の光記録媒体用カバー層フィルムの材料であるポリカーボネート樹脂と同様に高度に精製されたものが好ましい。具体的には、直径50μm以上のダストが実質上検出されず、直径0.5〜50μmのダストが3×104 以下、無機および有機残留塩素が2ppm以下、残留アルカリ金属が2ppm以下、残存水酸基200ppm以下、残存窒素量5ppm以下、残存モノマー20ppm以下等の基準を可能な限り満たすように精製される。また、低分子量体除去や溶媒除去のため抽出等の後処理が行われる場合もある。また、原材料の一般式(A)、一般式(B)および一般式(C)の化合物や炭酸エステル形成化合物等についても不純物や異性体などを極力低減した材料を用いることが好ましい。
【0031】
本発明のポリカーボネート樹脂は光記録媒体用カバー層フィルム成形時に必要な安定性や離型性を確保するため、所望に応じて、ヒンダードフェノール系やホスファイト系酸化防止剤;シリコン系、脂肪酸エステル系、脂肪酸系、脂肪酸グリセリド系、密ろう等天然油脂などの滑剤や離型剤;ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ジベンゾイルメタン系、サリチレート系等の光安定剤;ポリアルキレングリコール、脂肪酸グリセリド等帯電防止剤などを適宜併用してよい。
【0032】
さらにはコスト低減等の目的で、本発明のポリカーボネート樹脂と従来のビスフェノールA型ポリカーボネートと性能を損なわない範囲で任意に混合して使用する事も可能である。
【0033】
本発明のポリカーボネート樹脂を用いた光記録媒体用カバー層フィルムは、通常溶融押出フィルム成形で成形する場合には、230〜380℃の範囲で成形されることが好ましく、溶融粘度が高化式フローテスター(280℃、15.7MPa 、ノズル径1mm×10mm)の1×10-2ml/sec以上であることがあることが好ましい。1×10-2ml/sec未満では溶融粘度が大きすぎるため押出が難しく、成形温度や分子量により調整し、物性を損なわない範囲で成形可能な流動性を得ることが好ましい。
【0034】
本発明の光記録媒体用カバー層フィルムは、接着層を介して記録面と接触するが、記録媒体外部に使用されるのみならず、多層化された記録面との間にも使用することができる。ここで用いられるフィルムは、光学的入出力信号を忠実に伝送することが必要であり、光学的等方性が求められるので、フィルム面に対して垂直方向、及びフィルム面の垂直方向から数10°傾いた方向からシングルパスで通過する光に対し、リターデーション値20nm以下、好ましくは10nm以下が好ましい。さらにフィルム内でのリターデーション値のバラツキは5nm以下が好ましい。
【0035】
本発明の光記録媒体用カバー層フィルムの厚みは、20〜200μmであるが、好ましくは50〜150μm、より好ましくは60〜100μmである。
【0036】
本発明の光記録媒体用カバー層フィルムの光透過率が350〜700nmの領域において70%以上であることが、光学的入出力信号を忠実に伝送するために必要であるが、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上である。
【0037】
また、本発明の光記録媒体用カバー層フィルムは、二次元の記録面からなる多層ディスクのみならず、ディスクの穴や溝の中の化学物質による三次元蛍光発光を読み取る方式の蛍光多層ディスクにも使用することができる。
【0038】
【実施例】
次に実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
【0039】
実施例1
8.8%(w/v) の水酸化ナトリウム水溶液49リットルに9,9-ビス(4-ヒドロキシ−3-メチルフェニル)フルオレン3.5kg(以下、BCFLと略称)とハイドロサルファイト10gを加え溶解した。これにメチレンクロライド25リットルを加え、15℃に保ちながら撹拌しつつ、ホスゲン2.3kgを30分かけて吹き込んだ。
吹き込み終了後、1分間激しく撹拌して反応液を乳化させ、p-ターシャルブチルフェノール84g(以下、PTBPと略称)と下記ポリシロキサン化合物3.5kg(以下、Si1 と略称)とを加え、さらに10分間撹拌後、20mlのトリエチルアミンを加え、さらに60分撹拌を継続し重合させた。
重合液を水相と有機相に分離し、有機相をリン酸で中和し、洗液の導電率が10μS/cm 以下になるまで水洗を繰り返した後、精製樹脂液を得た。得られた精製樹脂液0.5 μm径テフロンフィルターで濾過後、強攪拌されている60℃の純水に樹脂液をゆっくり滴下し、溶媒を除去しつつ重合物を固形化した。固形物を濾過後、乾燥して白色粉末状重合体を得た。
この重合体は、メチレンクロライドを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の温度20℃(ハギンズ定数0.45)における極限粘度[η]は0.38dl/gであった。
【0040】
【化10】
Figure 0004492774
【0041】
得られたポリカーボネート粉末にステアリン酸モノグリセリド300ppmを添加し、50μmポリマーフィルターを付けたベント付き50mm押出機にて280℃で押出し、溶融ペレット化を行った。
【0042】
得られたペレットを、水辺3本鏡面仕上げロールを備えた溶融フィルム押出機にて280℃で押出し、150mm幅の溶融成形フィルムを得た。得られたフィルムを2日間室温放置後、フィルムの厚み、幅方向の厚みムラ、633nmにおけるリターデーション値、光透過率(波長350〜700nm)を測定した。
また、得られたペレットの一部を樹脂温度300℃で、金型温度100℃、成形サイクル50秒/枚の条件で、3mm厚の板状品を成形し、光線透過率、及びヘーズの測定を行った。
【0043】
実施例2
Si1 の代わりに下記ポリシロキサン化合物2.3kg(以下、Si2 と略称)に変更し、PTBPを48g に変更し、さらにBCFL投入と同時にトリエチルベンジルアンモニウムクロライド0.5g加えた以外は実施例1と同様に重合反応を行った。
得られた重合体の極限粘度[η]は0.28dl/gであった。実施例1と同様に成形後、物性測定を行った。
【0044】
【化11】
Figure 0004492774
【0045】
実施例3
Si1 の代わりに下記ポリシロキサン化合物3.5Kg(以下Si3 と略称)に変更し、PTBPの代わりにフェノール48g(以下PHと略称)に変更した以外は実施例1と同様に重合反応を行った。
得られた重合体の極限粘度[η]は0.29dl/gであった。実施例1と同様に成形後、物性測定を行った。
【0046】
【化12】
Figure 0004492774
【0047】
実施例4
BCFLを2.5kg、Si1 を1.8kgに変更し、さらにBCFL投入と同時に2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン0.60kg(以下BPA と略称)を加えた以外は、実施例1と同様に重合反応を行った。
得られた重合体の極限粘度[η]は0.35dl/gであった。実施例1と同様に成形後、物性測定を行った。
【0048】
比較例1
実施例1のポリカーボネートの代わりに、市販のビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学(株)製ユーピロンS-2000)を用いた以外は実施例1と同様に成形後、物性測定を行った。
【0049】
比較例2
BCFLの代わりに、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン2.6kg(以下BFL と略称)とBPA 2.5kgを用い、PTBPの代わりにm-ヒドロキシベンジルアルコールとカプロラクトンの反応物(モル比1/20)2.0kgに変更し、Si1 を用いなかった以外は、実施例1と同様に反応重合を行った。
得られた重合体の極限粘度[η]は0.56dl/gであった。実施例1と同様に成形後、物性測定を行った。得られたフィルムは、厚みムラが大きく、また表面外観が悪かったので、リターデーション値及び光透過率の測定が出来なかった。
【0050】
比較例3
BCFLの代わりに、BFL 0.63kgとBPA 3.8kgを用い、PTBPを49g に変更し、Si1 を用いなかった以外は、実施例1と同様に反応重合を行った。
得られた重合体の極限粘度[η]は0.73dl/gであった。実施例1と同様に成形後、物性測定を行った。
【0051】
実施例1〜4および比較例1〜3の各試験後の物性を表1に示す。
【0052】
【表1】
Figure 0004492774
【0053】
(表の説明)
(A)共重合比:請求項1記載の一般式(A)、(B)及び(C)の合計量に対する一般式(A)の重量比(重量%)
極限粘度:0.5g/100ml ジクロロメタン樹脂溶液を20℃、ハギンズ定数0.45で極限粘度[η](dl/g)を求めた。
フィルム厚み:デジタルマイクロノギスにて測定。
幅方向厚みムラ:10mm間隔でフィルム厚みを幅方向に測定し、フィルム厚みのバラツキを示した。
リターデーション値:(株)溝尻光学工業製、自動エリプソメーター使用。
測定波長632.8nm。
Re0:フィルム面に対し垂直方向からレーザー光を通過させ測定したリターデーション値。
Re45:フィルム面に対し垂直方向から45°傾け、レーザー光を通過させ測定したリターデーション値。
光透過率:島津UV-240にて350〜700nmの光透過率の測定を行った。
成形性:フィルム成形品の外観を観察した。
成形機(板状品):日精樹脂工業(株)製FS120S18ASEを使用。
光線透過率及びヘーズ:村上色彩技術研究所製HM−100を使用して、19mmφ透過光での光線透過率とヘーズを測定した。
【0054】
【発明の効果】
本発明より、溶融押出法により安価で、かつ簡便にリターデーションの低い光学フィルムを製造することが可能であり、透明性、成形性などが良好なバランスのとれた光情報記録媒体用カバー層フィルムを作成できる。

Claims (13)

  1. 一般式(A)と一般式(B)、または一般式(A)と一般式(B)と一般式(C)で表される化合物を、炭酸エステル形成化合物と反応させて得られるポリカーボネートであって、一般式(B)が全モノマー成分〔一般式(A)+一般式(B)+一般式(C)〕に対して、20〜60wt%であり、かつ極限粘度[η]が、0.2〜1.0[dl/g]であるポリカーボネート樹脂よりなる光情報記録媒体用カバー層フィルム。
    Figure 0004492774
    (式中、R1 〜R4 は、各々独立して、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、又は炭素数7〜17のアラルキル基を表す。これらの基に炭素原子を有する場合には置換基として、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基を有することもできる。)
    Figure 0004492774
    (式中、R5 〜R8 は、各々独立して、水素、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、または炭素数7〜17のアラルキル基であり、これらの基に炭素原子を有する場合には置換基として、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基を有することもできる。R9 〜R12は、水素、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基又は炭素数7〜17のアラルキル基であり、これらの基に炭素原子を有する場合には置換基として、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基を有することもできる。R13は炭素数1〜6の脂肪族基を表すか単に結合を表す。Xは、−SiO(R14)(R15)−および/または−SiO(R16)(R17)−の単独重合体、ブロック共重合体またはランダム共重合体を表し、重合度は0〜200であり、R14〜R17は、各々独立して水素、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、又は炭素数7〜17のアラルキル基であり、これらの基に炭素原子を有する場合には置換基として、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基を有することもできる。)
    Figure 0004492774
    (式中、R18〜R19は、各々独立して、水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数7〜17のアラルキル基であり、これらの基に炭素原子を有する場合には置換基として、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基を有することもできる。Yは、
    Figure 0004492774
    であり、ここにR20,R21はそれぞれ、水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基を表すか、R20とR21が一緒に結合して、炭素数3〜6の炭素環または複素環を形成する基を表し、これらの基に炭素原子を有する場合には置換基として、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基を有することもできる。aは0〜20の整数を表す。)
  2. 一般式(A)が、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、及び9,9−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)フルオレンの群から選ばれた少なくとも1種である請求項1記載の光情報記録媒体用カバー層フィルム。
  3. 炭酸エステル形成化合物がホスゲンである請求項1記載の光情報記録媒体用カバー層フィルム。
  4. 一般式(B)のR9 〜R12がメチル基およびフェニル基から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の光情報記録媒体用カバー層フィルム。
  5. 一般式(B)が、α,ω位に3-(o-ヒドロキシフェニル)プロピル基を有するジメチルシロキサンとジフェニルシロキサンのランダム共重合体およびα,ω−ビス[3-(o-ヒドロキシフェニル)プロピル]ポリジメチルシロキサンの群より誘導された少なくとも1種である請求項1記載の光情報記録媒体用カバー層フィルム。
  6. 一般式(C)が2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンである請求項1記載の光情報記録媒体用カバー層フィルム。
  7. 一般式(C)の割合が、重量比で一般式(C)/〔一般式(A)+一般式(C)〕の値が0.5以下である請求項1記載の光情報記録媒体用カバー層フィルム。
  8. 請求項1記載のポリカーボネート樹脂と2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導されたポリカーボネート樹脂を混合したポリカーボネート樹脂組成物を用いた請求項1記載の光情報記録媒体用カバー層フィルム。
  9. 該ポリカーボネートのフィルムが溶融押出法により成形されたフィルムである請求項1記載の光情報記録媒体用カバー層フィルム。
  10. 該ポリカーボネートのフィルムが読み取り光波長でのリターデーション値が20nm以下である請求項1記載の光情報記録媒体用カバー層フィルム。
  11. 該ポリカーボネートのフィルムの厚みが20〜200μmである請求項1記載の光情報記録媒体用カバー層フィルム。
  12. 該ポリカーボネートの100μm厚フィルムの光透過率が波長350nm〜700nmの領域において70%以上とされていることを特徴とする請求項1記載の光情報記録媒体用カバー層フィルム。
  13. 近接場光を利用した情報を読み書きする光記録媒体に使用される請求項1記載の光情報記録媒体用カバー層フィルム。
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