本発明は被照射面におけるビームスポットのエネルギー分布をある特定の領域で均一化するビームホモジナイザに関する。また、前記ビームスポットを前記被照射面に照射するレーザ照射装置及びそれを用いた半導体装置の作製方法に関する。
近年、ガラス等の絶縁基板上に形成された非晶質半導体膜や結晶性半導体膜(単結晶でない、多結晶、微結晶等の結晶性を有する半導体膜)に対し、レーザアニールを施す技術が、広く研究されている。上記半導体膜には、珪素膜がよく用いられる。なお、ここでいうレーザアニールとは、半導体基板又は半導体膜に形成された損傷層やアモルファス層を再結晶化する技術や、基板上に形成された非晶質半導体膜を結晶化させる技術を指している。また、半導体基板又は半導体膜の平坦化や表面改質に適用される技術も含んでいる。
ガラス基板は、従来よく使用されてきた石英基板と比較し、安価で加工性に富んでおり、大面積基板を容易に作製できる利点を持っている。このため、上記研究が盛んに行われている。結晶化に好んでレーザが使用されるのは、ガラス基板の融点が低いからである。レーザは基板の温度をあまり変えずに非単結晶半導体膜にのみ高いエネルギーを与えることができる。
レーザアニールを施して形成された結晶性珪素膜は、高い移動度を有する。そのため、この結晶性珪素膜を用いた薄膜トランジスタ(TFT)は盛んに利用され、例えば、一枚のガラス基板上に、画素用と駆動回路用のTFTを作製する、モノリシック型の液晶電気光学装置や発光装置等に盛んに利用されている。前記結晶性珪素膜は多数の結晶粒からできているため、多結晶珪素膜、あるいは多結晶半導体膜と呼ばれる。
また、エキシマレーザ等の出力の大きいパルス発振式のレーザビームを、被照射面において、数cm角の四角いスポットや、長辺方向の長さ10cm以上の長方形状となるように光学系にて加工し、ビームスポットの照射位置を被照射面に対して相対的に走査させて、レーザアニールを行う方法が、量産性が良く、工業的に優れているため、好んで使用される。なお、長方形状のビームスポットの内、特にアスペクト比が高いものを線状のビームスポットと呼ぶこととする。
特に、線状のビームスポットを用いると、前後左右の走査が必要な点状のビームスポットを用いた場合とは異なり、線状のビームスポットのビーム幅が長い方向に直角な方向だけの走査で大面積の被照射面にレーザビームを照射することができるため、高い量産性が得られる。ビーム幅の長い方向に直角な方向に走査するのは、それが最も効率のよい走査方向であるからである。この高い量産性により、現在レーザアニールにはパルス発振のエキシマレーザのビームスポットを適当な光学系で加工した線状のビームスポットを使用することが主流になりつつある。
図7に、被照射面においてビームスポットの断面形状を線状に加工するための光学系の例を示す。図7中に示す光学系はきわめて一般的なものである。前記光学系は、ビームスポットの断面形状を線状に変換するだけでなく、同時に、被照射面におけるビームスポットのエネルギー均一化を果たすものである。一般に、ビームスポットのエネルギー分布を均一化する光学系を、ビームホモジナイザと呼ぶ。図7に示した光学系もビームホモジナイザである。
XeClエキシマレーザ(波長308nm)を光源に使用するならば、上記光学系の母材は例えばすべて石英とするとよい。なぜならば、高い透過率が得られるからである。また、コーティングは、使用するエキシマレーザの波長に対する透過率が99%以上得られるものを使用するとよい。その他のエキシマレーザで、さらに短波長のものを光源とする場合は、フローライトやMgF2などの母材を用いれば高い透過率を得ることが可能である。しかしながら、これらの母材は結晶であるため、切断面やコーティングの選択などに注意する必要がある。
まず、図7(a)の側面図について説明する。レーザ発振器1201から射出されたレーザビームは、シリンドリカルレンズアレイ1202aと1202bにより、前記レーザビームのスポットを1方向に分割する。前記方向を、縦方向と呼ぶことにする。前記縦方向は、光学系の途中でミラーが入ったとき、前記ミラーが曲げた光の方向に曲がるものとする。この構成では、4分割となっている。これらの分割されたスポットは、シリンドリカルレンズ1204により、いったん1つのスポットにまとめられる。再び分離したスポットはミラー1207で反射され、その後、ダブレットシリンドリカルレンズ1208により、被照射面1209にて再び1つのスポットに集光される。ダブレットシリンドリカルレンズとは、2枚のシリンドリカルレンズで構成されているレンズのことをいう。これにより、線状のビームスポットの縦方向のエネルギー均一化がなされ、縦方向の長さが決定される。
次に、図7(b)の上面図について説明する。レーザ発振器1201から出たレーザビームは、シリンドリカルレンズアレイ1203により、前記レーザビームのスポットを、前記縦方向に対し直角方向に分割する。前記直角方向を、横方向と呼ぶことにする。前記横方向は、光学系の途中でミラーが入ったとき、前記ミラーが曲げた光の方向に曲がるものとする。この構成では、7分割となっている。その後、シリンドリカルレンズ1205にて、7分割された前記スポットは被照射面1209にて1つに合成される。ミラー1207以降が破線で示されているが、前記破線は、ミラー1207を配置しなかった場合の正確な光路とレンズや被照射面の位置を示している。これにより、線状のビームスポットの横方向のエネルギーの均一化がなされ、横方向の長さが決定される。
上述したように、シリンドリカルレンズアレイ1202aとシリンドリカルレンズアレイ1202bとシリンドリカルレンズアレイ1203とがレーザビームのスポットを分割するレンズとなる。これらの分割数により、得られる線状ビームスポットのエネルギー分布の均一性が決まる。
上記の諸レンズは、XeClエキシマレーザに対応するため合成石英製である。また、該エキシマレーザをよく透過するように表面にコーティングを施してあり、これにより、レンズ1つあたりのエキシマレーザの透過率は99%以上となる。
上記の構成で加工された線状のビームスポットをそのビームスポットの短辺方向に徐々にずらしながら重ねて照射する。そうすると、例えば非単結晶珪素膜全面に対しレーザアニールを施して結晶化させたり結晶性を向上させることができる。
ビームホモジナイザには、反射鏡を用いているものがある(例えば、特許文献1参照。)。
現在は、量産工場において、上記のような光学系により長く線状に加工されたビームスポットを使って半導体膜のアニールが行われている。しかしながら、パルス発振式のエキシマレーザの繰り返し周波数により、均一なビームスポットの得られる面の位置が変化したり、エキシマレーザのレーザ媒質であるガスと外気を遮断するウインドウのクリーニングにより、被照射面におけるビームスポットの均一性が悪化したりするなど、量産装置としての完成度はあまり高いものとは言えない。
本発明は上記の問題点を鑑みて、エキシマレーザの発振状態の変化や、メンテナンス前後において、被照射面におけるビームスポットのエネルギー分布の変化を極力抑えることを目的とする。
本発明において、被照射面におけるビームスポットのエネルギー分布を均一化する方法には、光導波路を用いた。光導波路とは、放射光を一定領域に閉じ込め、そのエネルギーの流れを経路の軸に平行に案内して伝送する能力を持った回路である。
本発明が開示するビームホモジナイザは、向い合う2つの反射面が形成され、一方の端面からレーザビームを入射させ、他方の端面から前記レーザビームを射出する光導波路を備え、前記他方の端面は、曲面形状に成形されていることを特徴とする。
本発明において、前記光導波路におけるレーザビームの射出側の端面が曲率を有する理由は以下のとおりである。本発明人はレーザビームが光学系によって長方形状に長く伸ばされ、レーザビームの広がる角度が著しく大きくなることがエネルギー分布を不均一にさせる原因の一つではないかと考えた。つまり、長方形状ビームの中央付近と長方形状ビームの長辺方向における両端では、前記光導波路から射出されるレーザビームを被照射面に投影するレンズの焦点の位置が異なっているのではないかと推測した。そこで、長方形状の長辺方向に長く伸ばされた光線と長方形状の中央付近に到達する光線とが同じ被照射面上で焦点を結ぶよう前記光導波路のレーザビームの射出側の端面を曲面形状とし、前記光導波路の射出口から被照射面までの距離を、長方形状ビームスポットの両端部分と中央付近で異なるようにする。これにより、長辺方向全長において、同じ被照射面上が焦点位置となり、エネルギー分布を均一化することが可能となる。
つまり、本発明が開示するビームホモジナイザにおけるレーザビームの射出側の端面が有する曲面形状は、前記光導波路から射出されたレーザビームを投影レンズで投影する際、前記レーザビームの中央と端の焦点位置が被照射面に合うようにする曲面形状であることを特徴とする。
本発明の他の構成は、上記のビームホモジナイザにおいて、被照射面におけるビームスポットの短辺方向のエネルギー分布を均一化する光導波路を、ライトパイプに置き換えたものである。ライトパイプとは、通常、全反射によって一端から他端に光を送る円錐形、ピラミッド形、円柱形などの形状に引き出される透明部材のことをいう。なお、光伝送にはミラーによる反射を用いてもよい。
本発明が開示するレーザ照射装置の構成は、レーザ発振器と、ビームホモジナイザと、前記被照射面において、前記ビームホモジナイザから射出されるレーザビームを集光させる一つもしくは複数のシリンドリカルレンズとを有し、前記ビームホモジナイザは、向い合う2つの反射面が形成され、一方の端面からレーザビームを入射させ、他方の端面から前記レーザビームを射出する光導波路を備え、前記他方の端面は、曲面形状に成形されていることを特徴とする。
上記レーザ照射装置の発明の構成において、前記ビームホモジナイザのレーザビームの射出側の端面が有する曲面形状は、前記光導波路から射出されたレーザビームを投影レンズで投影する際、前記レーザビームの中央と端の焦点位置が被照射面に合うようにする曲面形状であることを特徴とする。
上記レーザ照射装置の発明の構成において、前記レーザ発振器は、エキシマレーザ、YAGレーザ、ガラスレーザ、YVO4レーザ、YLFレーザ、Arレーザのいずれかであることを特徴としている。
本発明が開示するレーザ照射装置の他の発明の構成は、上記のビームホモジナイザにおいて、被照射面におけるビームスポットの短辺方向のエネルギー分布を均一化する光導波路を、ライトパイプに置き換えたものである。
本発明が開示する半導体装置の作製方法に関する発明の構成は、基板上に非晶質半導体膜を成形する工程と、レーザ発振器で発振したレーザビームを、前記非晶質半導体膜を被照射面として、シリンドリカルレンズアレイ及びビームホモジナイザを用いて前記被照射面において長方形状のビームスポットに整形して、前記ビームスポットの位置を移動させながら前記非晶質半導体膜をレーザアニールする工程とを有し、前記シリンドリカルレンズアレイは前記長方形状のビームスポットの長辺方向に作用し、前記ビームホモジナイザは前記長方形状のビームスポットの短辺方向に作用し、向い合う2つの反射面が形成され、一方の端面からレーザビームを入射させ、他方の端面から前記レーザビームを射出する光導波路を備え、前記他方の端面は曲面形状に成形されている前記ビームホモジナイザによってエネルギー分布が均一されたレーザビームを用いて、前記非晶質半導体膜をレーザアニールすることを特徴とする半導体装置の作製方法。
上記半導体装置の作製方法に関する発明の構成において、前記レーザ発振器は、エキシマレーザ、YAGレーザ、ガラスレーザ、YVO4レーザ、YLFレーザ、Arレーザのいずれかであることを特徴としている。
本発明が開示する半導体装置の作製方法の他の発明の構成は、上記のビームホモジナイザにおいて、被照射面におけるビームスポットの短辺方向のエネルギー分布を均一化する光導波路を、ライトパイプに置き換えたものである。
本発明が開示する光導波路を用いた長方形状のビームスポットを形成するビームホモジナイザを用いれば、短辺方向のエネルギー分布が均一かつ長辺方向のエネルギー分布が均一な長方形状のビームスポットを被照射面において形成することが可能となる。また、被照射面上に形成されるビームスポットの位置及びエネルギー分布がレーザ発振器の発振状態の影響を受けにくくなるため、ビームの安定性を高めることが可能となる。
本発明が開示する光学系を用いたレーザ照射装置から射出される長方形状のビームスポットを、半導体膜に長方形状の短辺方向に走査すると、ビームスポットのエネルギー分布の不均一性に起因する結晶性の不均一性の発生を抑制することができ、基板面内の結晶性の均一性を向上させることができる。また、本発明により、レーザ照射装置としての高い安定性が確保でき、またメンテナンス性の向上により、ランニングコストの低減が図れる。本発明を、低温ポリシリコンTFTの量産ラインに適用すれば、動作特性の高いTFTを効率良く生産することが可能となる。
最初に、図6を用いて、光導波路によるビームスポットのエネルギー分布の均一化の方法を説明する。まず、図6(a)の側面図について説明する。向い合う2つの反射面602a、602bを有する光導波路602、被照射面603を用意し、光線を紙面左側から入射させる。前記光線は、光導波路602が存在するときの光線を実線601aで、光導波路602が存在しないときの光線を破線601bで示す。光導波路602が存在しないとき紙面左側から入射する光線は、破線601bで示したように、被照射面603a、603b及び603cの領域に到達する。
一方、光導波路602が存在するときには、実線601aで示したように、光線は光導波路602の反射面によって反射され、すべての光線が被照射面603bの領域に到達する。つまり、光導波路602が存在するときには、光導波路602が存在しないときに被照射面603a及び603cの領域に到達する光線が、すべて被照射面603bの領域に到達する。従って、光導波路602に光線を入射すると、前記光導波路内において反射を繰り返し、射出口に至る。つまり入射する光線が折りたたまれるように、同じ位置である被照射面603bに重ね合わされることになる。この例において、光導波路がない場合の被照射面603での光の拡がり603a、603b、603cをあわせた長さをAとし、光導波路がある場合の被照射面603での光の拡がり603bの長さをBとしたとき、A/Bが従来技術で述べたホモジナイザの分割数に相当する。このように、入射する光線を分割し、分割される光線を同じ位置に重ね合わせることで、重ね合わされた位置における光線のエネルギー分布は均一化される。
ホモジナイザは一般的に光線の分割数が多くなるほど、分割された光線が重ね合わされた位置でのエネルギー分布の均一性は高くなる。上記光導波路602において、光線の分割数を多くするには、上記光導波路602内での反射回数を多くすることで可能となる。つまり、光導波路が有する2つの反射面の光線入射方向における長さを長くするとよい。また、向い合う反射面の間隔を小さくすることでも分割数を大きくすることができる。あるいは、入射する光線のNA(開口数)を大きくすることによっても分割数を大きくすることができる。
本発明で開示する長方形状のビームスポット形成光学系を、図3を用いて説明する。まず、図3(b)の側面図について説明する。レーザ発振器131から出たレーザビームは図3中、矢印の方向に伝搬される。まず、レーザビームは球面レンズ132a及び132bにより拡大される。この構成は、レーザ発振器131から出るビームスポットが十分に大きい場合には必要ない。
レーザビームはシリンドリカルレンズ134により、長方形の短辺方向にビームスポットを絞られ、シリンドリカルレンズ134の後方に配置された向い合う2つの反射面135a及び135bを有する光導波路135に入射する。前記光導波路135の射出面に長方形状のビームスポットの短辺方向のエネルギー分布の均一面が形成される。
光導波路135の入射方向への長さが長ければ長いほど、また、シリンドリカルレンズ134の焦点距離が短ければ短いほどエネルギー分布の均一化は進む。しかしながら、光学系の大きさを考えて実際の系は作製されなければならないため、前記光導波路の長さや、前記焦点距離は系の大きさに合わせて実際的なものとしなくてはならない。
図3中、光導波路135の後方に配置したダブレットシリンドリカルレンズ136により、前記ダブレットシリンドリカルレンズの後方に配置した被照射面に光導波路135直後に形成された前記均一面を投影する。ダブレットシリンドリカルレンズとは、2枚のシリンドリカルレンズ136a、136bで構成されているレンズのことをいう。これにより、光導波路135の射出面に形成された均一面を他の面(被照射面)に投影することができる。すなわち、前記均一な面と、被照射面137とは、ダブレットシリンドリカルレンズ136に対して共役な位置にある。光導波路135とダブレットシリンドリカルレンズ136により、長方形状のビームスポットの短辺方向のエネルギー分布の均一化がなされ、短辺方向の長さが決定される。なお、被照射面においてビームスポットの均一性をあまり要求しない場合、あるいはダブレットシリンドリカルレンズのF値が非常に大きい場合は、シングレットシリンドリカルレンズを用いても良い。
次に、図3(a)の上面図について説明する。レーザ発振器131から出たレーザビームは、シリンドリカルレンズアレイ133により、スポットが長方形の長辺方向に分割される。シリンドリカルレンズアレイ133は、シリンドリカルレンズを曲率方向に並べたものである。本実施形態においては、5個シリンドリカルレンズを並べたシリンドリカルレンズアレイを用いている。これにより、長方形状のビームスポットの長辺方向のエネルギー分布の均一化がなされ、長辺方向の長さが決定される。なお、シリンドリカルレンズアレイの後方に前記シリンドリカルレンズアレイによって分割された光線を合成するシリンドリカルレンズを配置してもよい。
シリンドリカルレンズアレイ133から出たレーザビームは後方に配置した光導波路135に入射する。光導波路135を構成する向い合う2つの反射面135a及び135bのレーザビームの射出側の端面に曲率を持たせる。図1及び図2を用いて、光導波路135のレーザビームの射出側の端面に曲率をつける理由を説明する。図2において、実線で示した光線101は長方形状ビームの中央付近を形成する光線であり、点線で示した光線102は長方形状ビームの長辺方向における両端部分を形成する光線である。向い合う2つの反射面を有する光導波路103から射出した光線は、投影レンズ104によって被照射面105に長方形状ビームを形成する。光線102は被照射面105上において焦点を結んでいるのに対して、光線101は被照射面105の手前で焦点を結んでいる。
一方、図1は、光導波路113の形状以外は図2で示した光学系と同じ構成を示し、長方形状の長辺方向に長く伸ばされた光線112と長方形状の中央付近に到達する光線111とが同じ照射面上で焦点を結ぶよう光導波路113の光線の射出側の端面を曲面とする。曲面は、長辺方向のみに曲率を付けた円筒面とする。
図1に示されるような構成により、向い合う2つの反射面を有する光導波路113からの光線の射出位置を、長方形状の長辺方向における中央と両端とで差をつけることができる。これにより、投影レンズ114による被照射面115上での焦点位置を長方形状の長辺方向における中央と両端とで同一にすることが可能となる。したがって、長辺方向全長においてエネルギー分布が均一化された長方形状のビームスポットを成形することができる。
光導波路を使用する利点は、均一面の位置が光学系により完全に固定されることである。すなわち、光導波路の射出面に均一面が形成されるため、レーザ発振器から射出されるビームの特性がパルス毎及びメンテナンス等によって変化しても前記均一面の位置は全く変化しない。つまりポインティングスタビリティーの影響を受けにくい。これにより、レーザ発振器の状態の変化に左右されない均一なビームを被照射面に得ることが可能となる。
本発明のビームホモジナイザと組み合わせるレーザ発振器は、大出力でかつ半導体膜によく吸収される波長域が好ましい。半導体膜として珪素膜を用いた場合、吸収率を考慮し、用いるレーザ発振器の出すレーザビームの波長は600nm以下であることが好ましい。このようなレーザビームを出すレーザ発振器には、例えば、エキシマレーザ、YAGレーザ(高調波)、ガラスレーザ(高調波)がある。
また、現在の技術ではまだ大出力は得られていないが、珪素膜の結晶化に適当な波長のレーザビームを発振するレーザ発振器として、例えば、YVO4レーザ(高調波)、YLFレーザ(高調波)、Arレーザがある。
以下、本発明のビームホモジナイザ及びレーザ照射装置を用いた本発明の半導体装置の作製方法について説明する。まず、基板としてガラス基板を用意する。この基板には600℃までの温度であれば充分な耐久性のあるものを使用する。前記ガラス基板上に下地膜として酸化珪素膜を200nm成膜する。さらに、その上から非晶質珪素膜を成膜する。成膜は、共にスパッタ法にて行う。あるいはプラズマCVD法にて成膜してもよい。
次に、上記成膜済の基板に、窒素雰囲気中で加熱処理を施す。本工程は非晶質珪素膜中の水素濃度を減らすための工程である。膜中の水素が多すぎると膜がレーザエネルギーに対して耐えきれないので本工程をいれる。 前記膜内の水素の濃度は1020atoms/cm3オーダーが適当である。ここで、1020atoms/cm3とは、1cm3あたりに水素原子が1020個存在するという意味である。
本実施の形態では、レーザ発振器として、XeClエキシマレーザを使う。前記エキシマレーザは、パルスレーザである(発振波長は308nm)。基板1枚をレーザ処理する間、該パルスレーザの1パルスごとのエネルギー変動は、±5%以内、好ましくは±2%以内に収まっていると、均一な結晶化が行える。
ここで述べているレーザエネルギーの変動は、以下のように定義する。すなわち、基板1枚を照射している期間のレーザエネルギーの平均値を基準とし、その期間の最小エネルギーまたは最大エネルギーと前記平均値との差を%で表したものである。
レーザビームの照射は例えば、図3に示した被照射面137をのせたステージを長方形の短辺方向に走査させながら行う。このとき、被照射面におけるビームスポットのエネルギー密度や、走査のスピードは、実施者が適宜決めればよい。だいたいの目安は、エネルギー密度200mJ/cm2〜1000mJ/cm2の範囲である。走査のスピードは、長方形状のビームスポットの短辺方向の幅が90%程度もしくはそれ以上で互いに重なり合う範囲で適当なものを選ぶと、均一なレーザアニールを行える可能性が高い。最適な走査スピードは、レーザ発振器の周波数に依存し、前記周波数に比例すると考えてよい。
こうして、レーザアニール工程が終了する。上記工程を繰り返すことにより、多数の基板を処理できる。前記基板を利用して例えばアクティブマトリクス型の液晶ディスプレイや、発光素子として有機EL素子を用いた有機ELディスプレイ等を公知の方法に従って作製することができる。
上記の例ではレーザ発振器にエキシマレーザを用いた。エキシマレーザはコヒーレント長が数μmと非常に小さいため、上記例の光学系に適している。以下に示すレーザにはコヒーレント長が長いものもあるが、作為的にコヒーレント長を変えたものを用いればよい。YAGレーザの高調波やガラスレーザの高調波を用いても同様な大出力が得られ、かつ珪素膜にレーザビームのエネルギーが良く吸収されるので好ましい。珪素膜の結晶化に適当なレーザ発振器として、YVO4レーザ(高調波)、YLFレーザ(高調波)、Arレーザなどがある。これらのレーザビームの波長域は珪素膜によく吸収される。
上記の例では、非単結晶半導体膜には非晶質珪素膜を使ったが、本発明は他の非単結晶半導体にも適用できることが容易に推測できる。例えば、非単結晶半導体膜に非晶質珪素ゲルマニウム膜などの非晶質構造を有する化合物半導体膜を使用しても良い。あるいは、非単結晶半導体膜に多結晶珪素膜を使用してもよい。
〔比較例〕
本比較例では、レーザビームの照射対象となる半導体膜の典型的な作製方法を示す。まず基板として、厚さ0.7mm、127mm角のコーニング1737基板を用意した。基板にプラズマCVD装置を用いて、厚さ200nmのSiO2膜(酸化珪素膜)を成膜し、SiO2膜表面に厚さ50nmの非晶質珪素膜(以下、a-Si膜と表記する)を成膜した。基板を、温度500℃の窒素雰囲気に1時間さらして、膜中の水素濃度を減らした。前記膜内の水素の濃度は1020atoms/cm3オーダーが適当である。ここで、1020atoms/cm3とは、1cm3あたりに水素原子が1020個存在するという意味である。これにより、膜の耐レーザ性が著しく向上した。
次に、前記a-Si膜をレーザアニールするのに適当なレーザの仕様の例を示す。レーザ発振器は、例えば、ラムダ社製のXeClエキシマレーザ(波長308nm、パルス幅30ns)L4308を使用すると十分な出力とスループットが得られるため好ましい。前記レーザ発振器はパルス発振レーザを発し、1パルスあたり670mJのエネルギーを出す能力を持っている。レーザビームのスポットサイズは、レーザビームの出口で、およそ10×30mm(共に半値幅)である。レーザビームの出口は、レーザ発振器からレーザビームが出た直後における、レーザビームの進行方向に垂直な平面で定義する。
エキシマレーザの発生するレーザビームの形状は一般的に長方形状であり、アスペクト比で表現すると、1〜5位の範囲に入る。レーザビームのスポットの強度は、レーザビームのスポットの中央ほど強い、ガウシアンの分布を示す。前記レーザビームのスポットサイズは、図7に示した光学系により、エネルギー分布が一様のスポット形状125mm×0.4mmの線状のビームスポットに変換される。
本発明人の実験によると、上述の半導体膜に対しレーザビームを照射する場合、重ね合わせのピッチは線状のビームスポットの短幅(半値幅)の1/10前後が最も適当であった。これにより、前記半導体膜内における結晶性の均一性が向上した。上記の例では、前記半値幅が0.4mmであったので、エキシマレーザのパルス周波数を30Hz、走査速度を1.0mm/sとし、レーザビームを照射した。このとき、レーザビームの被照射面におけるエネルギー密度は450mJ/cm2とした。これまで述べた方法は線状のビームスポットを使って半導体膜を結晶化するために用いられる極めて一般的なものである。
図4に本実施例で説明する光学系の例を示す。まず、図4(b)の側面図について説明する。レーザ発振器151から出たレーザビームは図4中、矢印の方向に伝搬される。まず、レーザビームは球面レンズ152a及び152bにより拡大される。この構成は、レーザ発振器151から出るビームスポットが十分に大きい場合には必要ない。
第2面が曲率半径−194.25mm、厚さ20mmのシリンドリカルレンズ155により、長方形の短辺方向にビームスポットを絞る。曲率半径の符号は、曲率中心がレンズ面に対して光線の射出側にある時が正、曲率中心がレンズ面に対して入射側にある時を負とする。また、レンズ面は光が入射する面を第1面、射出する面を第2面とする。シリンドリカルレンズ155の後方428.8mmに配置された向い合う2つの反射面156a及び156bを有する光導波路156により、被照射面における長方形状のビームスポットの短辺方向のエネルギー分布が均一化される。こうして、光導波路156の射出口に均一な面が形成される。前記光導波路156は光線の入射方向に長さ300mm、反射面間の距離が0.4mmとする。
光導波路156の400mm後方に配置したダブレットシリンドリカルレンズ157(2枚のシリンドリカルレンズ157a及び157bからなる)により、前記ダブレットシリンドリカルレンズ157から後方416.9mmに配置した被照射面158に長方形の短辺方向に光導波路156から射出される光線を集光する。ダブレットシリンドリカルレンズとは、2枚のシリンドリカルレンズで構成されているレンズのことをいう。前記ダブレットシリンドリカルレンズを構成する2枚のシリンドリカルレンズは、1枚は第1面の曲率半径が+122.99mm、第2面の曲率半径が+90.12mm、厚さ10mmのシリンドリカルレンズであり、もう1枚は第1面の曲率半径が+142.32mm、第2面の曲率半径が−165.54mm、厚さ20mmのシリンドリカルレンズであり、2枚のシリンドリカルレンズの間隔は5mmである。これにより、光導波路156の射出面に形成された均一面を被照射面に投影することができる。光導波路156とダブレットシリンドリカルレンズ157により、長方形状のビームスポットの短辺方向のエネルギー分布の均一化がなされ、短辺方向の長さが決定される。
次に、図4(a)の上面図について説明する。レーザ発振器151から出たレーザビームは、シリンドリカルレンズアレイ153により、スポットが長方形の長辺方向に分割される。シリンドリカルレンズアレイ153は、第1面の曲率半径が+24.5mmで、厚さが5mm、幅6.5mmのシリンドリカルレンズを曲率方向に5個並べたものである。
シリンドリカルレンズアレイ153の後方500mmに配置されたシリンドリカルレンズ154によって前記シリンドリカルレンズアレイ153によって分割された光線が被照射面158上で重ね合わされる。これにより、長方形状のビームスポットの長辺方向のエネルギー分布の均一化がなされ、長辺方向の長さが決定される。シリンドリカルレンズ154は、発明実施の形態においては、用いていない。このレンズが入ることにより長方形のビームスポットの長辺方向における両端で発生する、エネルギーの減衰部分を少なくすることが可能になる。しかしながら、装置構成上、本レンズの焦点距離が著しく長くなる場合があり、このようなときは、本レンズの効果が薄くなるため用いなくてもよいことがある。
シリンドリカルレンズ154から出たレーザビームは1900.8mm後方に配置した光導波路156に入射する。光導波路156を構成する向い合う2つの反射面156a及び156bの後面に+3751.5mmの曲率を持たせる。これにより、長方形状の長辺方向における中央と両端部分で入射位置に差を設けることができる。よって、被照射面上が、長方形状の長辺方向における中央及び両端ともに焦点位置にすることが可能となり、長辺方向全長においてエネルギー分布が均一化された長方形状(300mm×0.4mm)のビームスポットを成形することができる。
本実施例で示した光学系を利用して、例えば発明実施の形態に従った方法にて、半導体膜のレーザアニールを行う。前記半導体膜を利用して例えばアクティブマトリクス型のディスプレイや発光装置を作製することができる。前記作製は、実施者が公知の方法に従って行えばよい。
本実施例では、実施の形態に記載した光学系とは別の光学系の例を挙げる。図5に本実施例で説明する光学系の例を示す。
図5中、光導波路165以外は、図3に示した光学系と全く同じ光路を通る。つまり、レーザ発振器161から出たレーザビームは球面レンズ162a及び162bにより拡大され、シリンドリカルレンズアレイ163により長辺方向のエネルギー分布が均一化される。そして、シリンドリカルレンズ164により、長方形の短辺方向にビームスポットを絞られ、シリンドリカルレンズ164の後方に配置された光導波路165に入射する。そして、光導波路165の後方に配置したダブレットシリンドリカルレンズ166(シリンドリカルレンズ166a、166bで構成されている)により、前記ダブレットシリンドリカルレンズの後方に配置した被照射面167に光導波路165直後に形成された前記均一面を投影する。
光導波路165は、光導波路135と同様に向い合う2つの反射面165a及び165bを有する。光導波路135は向い合う2つの反射面間の空間が中空である一方で、光導波路165の反射面間の空間は屈折率nの媒質165cで満たされている。この点で両者は異なる。媒質の屈折率nが反射面の材質の屈折率よりも大きければ、光線が臨界角以下の角度で前記光導波路165に入射すると、反射面において光線は全反射する。つまり、このときは光導波路の光線の透過率は全反射しない場合と比べて高くなる。従って、より高効率で光源であるレーザ発振器161からの光線を被照射面167に集光することができる。
図5に示した光学系により、短辺方向の長さが0.4mm、長辺方向の長さが300mmのエネルギー分布が均一な長方形状ビームスポットを形成することができる。例えば媒質には、紫外光に対する屈折率が1.52であり、透過率が高いHOYA製BSC7などを用いるのがよい。
本実施例で示した光学系を利用して、例えば発明実施の形態に従った方法にて、半導体膜のレーザアニールを行う。前記半導体膜を利用して例えばアクティブマトリクス型の液晶ディスプレイや、発光素子として有機EL素子を用いた有機ELディスプレイ等を作製することができる。前記作製は、実施者が公知の方法に従って行えばよい。
本実施例では、本発明のレーザ照射装置を用いて結晶性半導体膜を作製し、半導体装置とするところまでを図8及び図9を参照しながら述べる。
まず、基板1100上に下地絶縁膜1101a、1101bを形成する。基板の材料としては、ガラス基板、石英基板、結晶性ガラスなどの絶縁性基板や、セラミック基板、ステンレス基板、金属基板(タンタル、タングステン、モリブデン等)、半導体基板、プラスチック基板(ポリイミド、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン等)等を用いることができるが、少なくともプロセス中に発生する熱に耐えうる材料を使用する。本実施例においてはガラス基板を使用する。
下地絶縁膜1101a、1101bとしては酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜などが使用でき、これら絶縁膜を単層又は2以上の複数層で形成する。これらはスパッタ法や減圧CVD法、プラズマCVD法等公知の方法を用いて形成する。本実施例では2層の積層構造としているが、もちろん単層でも3層以上の複数層でも構わない。本実施例においては1層目の絶縁膜1101aとして窒化酸化シリコン膜を50nm、2層目の絶縁膜1101bとして酸化窒化シリコン膜を100nmで形成した。なお、窒化酸化シリコン膜と酸化窒化シリコン膜はその窒素と酸素の割合が異なっていることを意味しており、前者の方がより窒素の含有量が高いことを示している。
次いで、非晶質半導体膜を形成する。非晶質半導体膜はシリコンまたはシリコンを主成分とする材料(例えばSixGe1-x等)で25〜80nmの厚さに形成すればよい。作製方法としては、公知の方法、例えばスパッタ法、減圧CVD法、またはプラズマCVD法等が使用できる。本実施例では、アモルファスシリコンにより膜厚66nmに形成する。
続いて、アモルファスシリコンの結晶化を行う。本実施例においては、レーザアニールし結晶化を行う工程を説明する。
レーザアニールは、本発明のレーザ照射装置を用いる。レーザ発振装置としては、エキシマレーザ、YAGレーザ、ガラスレーザ、YVO4レーザ、YLFレーザ、Arレーザ等を用いればよい。
本発明のレーザ照射装置を用いてレーザアニールしアモルファスシリコンの結晶化を行う。より具体的には、実施例1及び実施例2に記載されている方法で行えばよい。例えば、エネルギー密度200mJ/cm2〜1000mJ/cm2で、ショット数10〜50shotsで行えばよい。
次いで、結晶性半導体膜をエッチングにより所望の形状1102a〜1102dとする。続いて、ゲート絶縁膜1103を形成する。膜厚は115nm程度とし、減圧CVD法またはプラズマCVD法、スパッタ法などでシリコンを含む絶縁膜を形成すれば良い。本実施例では酸化シリコン膜を形成する。この場合、プラズマCVD法でTEOS(Tetraethyl Ortho Silicate)とO2とを混合し、反応圧力40Pa、基板温度300〜400℃の条件下で、高周波(13.56MHz)電力密度0.5〜0.8W/cm2で放電させることで形成する。このようにして作製される酸化シリコン膜は、その後400〜500℃の加熱処理によりゲート絶縁膜として良好な特性を得ることができる。
本発明のレーザ照射装置を用いて半導体膜を結晶化することにより、ビームスポットのエネルギー分布の不均一性に起因する結晶性の不均一性を抑制することができ、良好で均一な特性を持つ結晶質半導体を得ることができる。
次いで、ゲート絶縁膜上に第1の導電層として膜厚30nmの窒化タンタル(TaN)とその上に第2の導電層として膜厚370nmのタングステン(W)を形成する。TaN膜、W膜共スパッタ法で形成すればよく、TaN膜はTaのターゲットを用いて窒素雰囲気中で、W膜はWのターゲットを用いて成膜すれば良い。ゲート電極として使用するには抵抗が低いことが要求され、特にW膜の抵抗率は20μΩcm以下であることが望ましいため、Wのターゲットは高純度(99.99%)のターゲットを用いることが望ましく、成膜時の不純物混入にも注意をはらわなければならない。こうして形成されたW膜の抵抗率は9〜20μΩcmとすることが可能である。
なお、本実施例では第1の導電層を膜厚30nmのTaN、第2の導電層を膜厚370nmのWとしたが、これに限定されず、第1の導電層と第2の導電層は共にTa、W、Ti、Mo、Al、Cu、Cr、Ndから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で形成してもよい。また、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶珪素膜に代表される半導体膜を用いてもよい。また、AgPdCu合金を用いてもよい。さらに、その組み合わせも適宜選択すればよい。膜厚は第1の導電層が20〜100nm、第2の導電層が100〜400nmの範囲で形成すれば良い。また、本実施例では、2層の積層構造としたが、1層としてもよいし、もしくは3層以上の積層構造としてもよい。
次に、前記導電層をエッチングして電極及び配線を形成するため、フォトリソグラフィーにより露光工程を経てレジストからなるマスクを形成する。第1のエッチング処理では第1のエッチング条件と第2のエッチング条件でエッチングを行う。レジストによるマスクを用い、エッチングし、ゲート電極及び配線を形成する。エッチング条件は適宜選択すれば良い。
本法では、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合プラズマ)エッチング法を使用した。第1のエッチング条件として、エッチング用ガスにCF4、Cl2とO2を用い、それぞれのガス流量を25/25/10(sccm)とし、1.0Paの圧力でコイル型電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成してエッチングを行う。基板側(試料ステージ)にも150WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。この第1のエッチング条件によりW膜をエッチングして第1の導電層の端部をテーパー形状とする。第1のエッチング条件でのW膜に対するエッチング速度は200nm/min、TaNに対するエッチング速度は80nm/min、でありTaNに対するWの選択比は約2.5である。また、この第1のエッチング条件によって、W膜のテーパー角度は約26°となる。
続いて、第2のエッチング条件に移ってエッチングを行う。レジストからなるマスクを除去せず、のこしたまま、エッチング用ガスにCF4とCl2を用い、それぞれのガス流量を30/30(sccm)、圧力1.0Paでコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成して約15秒程度のエッチングを行う。基板側(試料ステージ)にも20WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。CF4とCl2を混合した第2のエッチング条件ではW膜及びTaN膜とも同程度にエッチングされる。
第2のエッチング条件でのWに対するエッチング速度は59nm/min、TaNに対するエッチング速度は66nm/minである。なお、ゲート絶縁膜上に残渣を残すことなくエッチングするためには、10〜20%程度の割合でエッチング時間を増加させると良い。この第1のエッチング処理において、電極に覆われていないゲート絶縁膜は20nm〜50nm程度エッチングされる。
上記の第1のエッチング処理においては、基板側に印加されたバイアス電圧の効果により第1の導電層及び第2の導電層の端部はテーパー状となる。
次いで、レジストからなるマスクを除去せずに第2のエッチング処理を行う。第2のエッチング処理では、エッチング用のガスにSF6とCl2とO2を用い、それぞれのガス流量を24/12/24(sccm)とし、1.3Paの圧力でコイル側の電力に700WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを発生して25秒程度エッチングを行う。基板側(試料ステージ)にも10WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加した。このエッチング条件ではW膜が選択的にエッチングされ、第2形状の導電層を形成した。このとき第1の導電層はほとんどエッチングされない。第1、第2のエッチング処理によって第1の導電層1104a〜1104d、第2の導電層1105a〜1105dよりなるゲート電極が形成される。
そして、レジストからなるマスクを除去せず、第1のドーピング処理を行う。これにより、結晶性半導体層にN型を付与する不純物が低濃度に添加される。第1のドーピング処理はイオンドープ法又はイオン注入法で行えば良い。イオンドープ法の条件はドーズ量が1×1013〜5×1014ions/cm2、加速電圧が40〜80kVで行えばよい。本実施例では加速電圧を50kVとして行った。N型を付与する不純物元素としては15族に属する元素を用いることができ、代表的にはリン(P)または砒素(As)が用いられる。本実施例ではリン(P)を使用した。その際、第1の導電層をマスクとして、自己整合的に低濃度の不純物が添加されている第1の不純物領域(N--領域)を形成した。
続き、レジストからなるマスクを除去する。そして新たにレジストからなるマスクを形成して第1のドーピング処理よりも高い加速電圧で、第2のドーピング処理を行う。第2のドーピング処理もN型を付与する不純物を添加する。イオンドープ法の条件はドーズ量を1×1013〜3×1015ions/cm2、加速電圧を60〜120kVとすれば良い。本実施例ではドーズ量を3.0×1015ions/cm2とし、加速電圧を65kVとして行った。第2のドーピング処理は第2の導電層を不純物元素に対するマスクとして用い、第1の導電層の下方に位置する半導体層にも不純物元素が添加されるようにドーピングを行う。
第2のドーピングを行うと、結晶性半導体層の第1の導電層と重なっている部分のうち、第2の導電層に重なっていない部分もしくはマスクに覆われていない部分に、第2の不純物領域(N-領域、Lov領域)が形成される。第2の不純物領域には1×1018〜5×1019atoms/cm3の濃度範囲でN型を付与する不純物が添加される。また、結晶性半導体膜のうち、第1形状の導電層にもマスクにも覆われておらず、露出している部分(第3の不純物領域:N+領域)には1×1019〜5×1021atom/cm3の範囲で高濃度にN型を付与する不純物が添加される。また、半導体層にはN+領域が存在するが、一部マスクのみに覆われている部分がある。この部分のN型を付与する不純物の濃度は、第1のドーピング処理で添加された不純物濃度のままであるので、引き続き第1の不純物領域(N--領域)と呼ぶことにする。
なお、本実施例では2回のドーピング処理により各不純物領域を形成したが、これに限定されることは無く、適宜条件を設定して、一回もしくは複数回のドーピングによって所望の不純物濃度を有する不純物領域を形成すれば良い。
次いで、レジストからなるマスクを除去した後、新たにレジストからなるマスクを形成し、第3のドーピング処理を行う。第3のドーピング処理により、Pチャネル型TFTとなる半導体層に前記第1の導電型及び前記第2の導電型とは逆の導電型を付与する不純物元素が添加された第4の不純物領域(P+領域)及び第5の不純物領域(P-領域)が形成される。
第3のドーピング処理では、レジストからなるマスクに覆われておらず、更に第1の導電層とも重なっていない部分に、第4の不純物領域(P+領域)が形成され、レジストからなるマスクに覆われておらず、且つ第1の導電層と重なっており、第2の導電層と重なっていない部分に第5の不純物領域(P-領域)が形成される。P型を付与する不純物元素としては、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)など周期律表第13族の元素が知られている。
本実施例では、第4の不純物領域及び第5の不純物領域を形成するP型の不純物元素としてはホウ素(B)を選択し、ジボラン(B2H6)を用いたイオンドープ法で形成した。イオンドープ法の条件としては、ドーズ量を1×1016ions/cm2とし、加速電圧を80kVとした。
なお、第3のドーピング処理の際には、Nチャネル型TFTを形成する半導体層1102a,1102cはレジストからなるマスクに覆われている。
ここで、第1及び第2のドーピング処理によって、第4の不純物領域(P+領域)及び第5の不純物領域(P-領域)にはそれぞれ異なる濃度でリンが添加されている。しかし、第4の不純物領域(P+領域)及び第5の不純物領域(P-領域)のいずれの領域においても、第3のドーピング処理によって、P型を付与する不純物元素の濃度が1×1019〜5×1021atoms/cm3となるようにドーピング処理される。そのため、第4の不純物領域(P+領域)及び第5の不純物領域(P-領域)は、Pチャネル型TFTのソース領域及びドレイン領域として問題無く機能する。
なお、本実施例では、第3のドーピング一回で、第4の不純物領域(P+領域)及び第5の不純物領域(P-領域)を形成したが、これに限定はされない。ドーピング処理の条件によって適宜複数回のドーピング処理により第4の不純物領域(P+領域)及び第5の不純物領域(P-領域)を形成してもよい。
これらのドーピング処理によって、第1の不純物領域(N--領域)1112b、第2の不純物領域(N-領域、Lov領域)1111b、第3の不純物領域(N+領域)1111a、1112a、第4の不純物領域(P+領域)1113a、1114a、及び第5の不純物領域(P-領域)1113b、1114bが形成される。
次いで、レジストからなるマスクを除去して第1のパッシベーション膜1120を形成する。この第1のパッシベーション膜としてはシリコンを含む絶縁膜を100〜200nmの厚さに形成する。成膜法としてはプラズマCVD法や、スパッタ法を用いればよい。本実施例では、プラズマCVD法により膜厚100nmの酸化窒化珪素膜を形成した。酸化窒化シリコン膜を用いる場合には、プラズマCVD法でSiH4、N2O、NH3から作製される酸化窒化シリコン膜、またはSiH4、N2Oから作製される酸化窒化シリコン膜を形成すれば良い。この場合の作製条件は反応圧力20〜200Pa、基板温度300〜400℃とし、高周波(60MHz)電力密度0.1〜1.0W/cm2である。また、第1のパッシベーション膜としてSiH4、N2O、H2から作製される酸化窒化水素化シリコン膜を適用しても良い。もちろん、第1のパッシベーション膜1120は、本実施例のような酸化窒化シリコン膜の単層構造に限定されるものではなく、他のシリコンを含む絶縁膜を単層構造、もしくは積層構造として用いても良い。
その後、本発明のレーザ照射装置を用いてレーザアニール法を行い、半導体層の結晶性の回復、半導体層に添加された不純物元素の活性化を行う。例えば、エネルギー密度100mJ/cm2〜1000mJ/cm2で、ショット数10〜50shotsで行えばよい。なお、レーザアニール法の他に、熱処理法、又はラピッドサーマルアニール法(RTA法)を適用することができる。
また、第1のパッシベーション膜1120を形成した後で熱処理を行うことで、活性化処理と同時に半導体層の水素化も行うことができる。水素化は、第1のパッシベーション膜に含まれる水素によって、半導体層のダングリングボンドを終端するものである。
また、第1のパッシベーション膜1120を形成する前に加熱処理を行ってもよい。但し、第1の導電層1104a〜1104d及び第2の導電層1105a〜1105dを構成する材料が熱に弱い場合には、本実施例のように配線などを保護するため、第1のパッシベーション膜1120を形成した後で熱処理を行うことが望ましい。さらに、この場合、第1のパッシベーション膜がないため、当然パッシベーション膜に含まれる水素を利用しての水素化は行うことができない。
この場合は、プラズマにより励起された水素を用いる手段(プラズマ水素化)を用いての水素化や、3〜100%の水素を含む雰囲気中において、300〜450℃で1〜12時間の加熱処理による水素化を用いれば良い。
次いで、第1のパッシベーション膜1120上に、第1の層間絶縁膜1121を形成する。第1の層間絶縁膜としては、無機絶縁膜や有機絶縁膜を用いることができる。無機絶縁膜としては、CVD法により形成された酸化シリコン膜や、SOG(Spin On Glass)法により塗布された酸化シリコン膜などを用いることができ、有機絶縁膜としてはポリイミド、ポリアミド、BCB(ベンゾシクロブテン)、アクリルまたはポジ型感光性有機樹脂、ネガ型感光性有機樹脂等の膜を用いることができる。また、アクリル膜と酸化窒化シリコン膜の積層構造を用いても良い。
また、層間絶縁膜は、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成され、置換基に少なくとも水素を含む材料で形成することができる。さらには、置換基にフッ素、アルキル基、または芳香族炭化水素のうち少なくとも1種を有する材料で形成することができる。これらの材料の代表例としては、シロキサン系ポリマーが挙げられる。
シロキサン系ポリマーは、その構造により、例えば、シリカガラス、アルキルシロキサンポリマー、アルキルシルセスキオキサンポリマー、水素化シルセスキオキサンポリマー、水素化アルキルシルセスキオキサンポリマーなどに分類することができる。
また、Si−N結合を有するポリマー(ポリシラザン)を含む材料で層間絶縁膜を形成してもよい。
上記の材料を用いることで、膜厚を薄くしても十分な絶縁性および平坦性を有する層間絶縁膜を得ることができる。また、上記の材料は耐熱性が高いため、多層配線におけるリフロー処理にも耐えうる層間絶縁膜を得ることができる。さらに、吸湿性が低いため、脱水量の少ない層間絶縁膜を形成することができる。
本実施例では、膜厚1.6μmの非感光性アクリル膜を形成した。第1の層間絶縁膜によって、基板上に形成されたTFTによる凹凸を緩和し、平坦化することができる。とくに、第1の層間絶縁膜は平坦化の意味合いが強いので、平坦化されやすい材質の絶縁膜を用いることが好ましい。
その後、第1の層間絶縁膜上に窒化酸化シリコン膜等からなる第2のパッシベーション膜(図示せず)を形成する。膜厚は10〜200nm程度で形成すれば良く、第2のパッシベーション膜によって第1の層間絶縁膜へ水分が出入りすることを抑制することができる。第2のパッシベーション膜には、他にも窒化シリコン膜、窒化アルミニウム膜、酸化窒化アルミニウム膜、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜やカーボンナイトライド(CN)膜も同様に使用できる。
またRFスパッタ法を用いて成膜された膜は緻密性が高く、バリア性に優れている。RFスパッタの条件は、例えば酸化窒化珪素膜を成膜する場合、Siターゲットで、N2、Ar、N2Oをガスの流量比が31:5:4となるように流し、圧力0.4Pa、電力3000Wとして成膜する。また、例えば窒化珪素膜を成膜する場合、Siターゲットで、チャンバー内のN2、Arをガスの流量比が1:1となるように流し、圧力0.8Pa、電力3000W、成膜温度を215℃として成膜する。本実施例では、RFスパッタ法を用いて、酸化窒化シリコン膜を70nmの膜厚で形成した。
次いで、エッチングにより第2のパッシベーション膜、第1の層間絶縁膜及び第1のパッシベーション膜をエッチングし、第3の不純物領域及び第4の不純物領域に達するコンタクトホールを形成する。
続いて、各不純物領域とそれぞれ電気的に接続する配線及び電極1122〜1128を形成する。なお、これらの配線は、膜厚50nmのTi膜と膜厚500nmの合金膜(AlとTi)との積層膜をパターニングして形成する。もちろん、に2層構造に限らず、単層構造でも良いし、3層以上の積層構造にしても良い。また、配線材料としては、AlとTiに限らない。例えばTaN膜上にAl膜やCu膜を形成し、更にTi膜を形成した積層膜をパターニングして配線を形成しても良い。
このように本発明のレーザ照射装置を用いて作製された半導体装置は良好で均一な特性をしめすため、様々な電子機器や特に表示装置に好適に利用することができる。また、製品の信頼性も高くなる。
本発明の手段を説明する図。
本発明の課題を説明する図。
本発明が開示するレーザ照射装置の例を示す図。
本発明が開示するレーザ照射装置の例を示す図。
本発明が開示するレーザ照射装置の例を示す図。
光導波路によるエネルギー分布の均一化を説明する図。
従来技術を説明する図。
本発明が開示する半導体装置の作製方法を示す図。
本発明が開示する半導体装置の作製方法を示す図。