JP4497611B2 - 超音波診断装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、微小気泡を主成分とする超音波造影剤を被検体に投与してコントラストエコー法に拠る画像化を行う超音波イメージングの分野に属し、詳しくは、その微小気泡の消失の状態を監視するための新規な手法を採用した超音波診断装置に関する。本発明は、とくに、コントラストエコー法の一形態であるフラッシュエコーイメージング(FEI)法を実施するときに好適である。
【0002】
【従来の技術】
超音波信号の医学的な応用は種々の分野にわたり、超音波診断装置もその1つである。超音波診断装置は超音波信号の送受により画像信号を得る装置であり、超音波信号の非侵襲性を利用して種々の態様で使用されている。
【0003】
この超音波診断装置の主流は、超音波パルス反射法を用いて生体の軟部組織の断層像を得るタイプである。この撮像法は無侵襲で組織の断層像を得ることができ、X線診断装置、X線CTスキャナ、MRI装置、および核医学診断装置など、ほかの医用モダリティに比べて、リアルタイム表示が可能、装置が小形で比較的安価、X線などの被曝が無い、超音波ドプラ法に拠り血流イメージングができるなど、多くの利点を有している。このため心臓、腹部、乳腺、泌尿器、および産婦人科などの診断において広く利用されている。特に、超音波プローブを体表に当てるだけの簡単な操作により、心臓の拍動や胎児の動きをリアルタイムに観察でき、また被曝なども無いから何度も繰り返して検査でき、さらに装置をベッドサイドに移動させて容易に検査できるという種々の利点も持ち合わせている。
【0004】
この超音波診断装置の分野において、最近では、心臓や腹部臓器などの検査を実施する際、静脈から超音波造影剤を注入して血流動態の評価を行うコントラストエコー法が注目を浴びている。造影剤を静脈から注入する手法は、動脈から注入する手法に比べて、侵襲性が低く、この評価法による診断が普及しつつある。
超音波造影剤の主要成分は微小気泡(マイクロバブル)であり、これが超音波信号を反射する反射源になっている。造影剤の注入量や濃度が高いほど造影効果も大きくなるが、造影剤の気泡の性質上、超音波照射の状態によっては造影効果時間が短縮するなどの事態も発生する。このような状況に鑑み、近年、持続性および耐圧型の造影剤も開発されているが、造影剤が体内に長く止まることは侵襲性の増大につながる懸念もある。
【0005】
このコントラストエコー法を実施する場合、被検体部位の関心領域には血流によって造影剤が次々に供給される。このため、超音波を照射して一度、気泡を消失させても、次の超音波照射の時点では新しい気泡がその関心領域に流入していれば造影効果は維持されると想定される。しかし、実際には、超音波の送受信は通常、1秒間に数千回行われること、及び、血流速度が遅い臓器実質や比較的細い血管の血流動態が存在することを考えると、これらの診断画像上では造影剤による輝度増強を確認する前に次々と気泡が消失し、造影効果が瞬時に減弱することになる。
【0006】
造影剤を用いた診断法の内、最も基本的な診断法は、造影剤に拠る輝度増強の有無を調べることにより診断部位の血流の有無を知るというものである。さらに進んだ診断法は、診断部位における輝度変化の広がりや輝度増強の程度から造影剤の空間分布の時間変化を知るという手法や、造影剤が注入されてから関心領域に到達するまでの時間、及び、ROI内の造影剤によるエコー輝度の経時変化(Time Intensity Curve :TIC)、または最大輝度などを求める手法である。
【0007】
このコントラストエコー法はまた、超音波エコー信号の非基本波成分を用いて画像化するハーモニックイメージング法に拠っても効果的に実施できる。ハーモニックイメージング法は、造影剤の主要成分である微小気泡が超音波励起されたときに生じる非線形挙動に因る非基本波成分のみを分離・検出するイメージング法である。生体臓器は比較的、非線形挙動を起こし難いため、このハーモニックイメージング法によって良好なコントラスト比の造影剤画像を得ることができる。
【0008】
さらに、上述のように超音波の照射によって微小気泡が消失してしまう現象を利用して、フラッシュエコーイメージング(Flash Echo Imaging)法(又は、トランジェントレスポンスイメージング法とも呼ばれる)と呼ばれる撮像手法が提案されており、これにより輝度増強を改善できることが報告されている(例えば、文献「67−95 フラッシュエコー映像法の検討(1)、神山直久等、第67回日本超音波医学会研究発表会、1996年6月」、又は、特開平8−280674号公報参照)。このイメージング法は原理的には、従来型の1秒間に数十フレームといった連続スキャンに代えて、数秒間に1フレームの割合で間欠的に送信にするもので、その間欠時間の間、割らずに密集させた微小気泡を一度に消滅させて、高いエコー信号を得ようとする手法である。
【0009】
さらに、特開平8−280674号公報には、マルチショット法と呼ばれるイメージング法が提案されている。このマルチショット法によれば、間歇送信法に基づき微小気泡を密集させた後、複数フレーム分の超音波送受信が順次実行される。この複数フレームの画像を観察すると、第1フレームの画像は高いエコー信号による高い輝度を呈し、続く第2フレーム以降の画像は微小気泡が消失しながら収集されるので、徐々に信号値が低下して観測される。したがって、この複数フレームに渡る画像値の変化は、結果として、超音波照射に因って生じるスキャン面の微小気泡の消失程度を示している。
【0010】
このマルチショット法の第1の利点は、複数フレームの画像の輝度差(信号差)を利用できる点に在る。ハーモニック像は、超音波造影剤由来のハーモニック信号と、組織の非線形性に因る、いわゆるティッシュハーモニック信号とが混在して生成される。被検体によっては、ティッシュハーモニック信号成分の強度が比較的大きいことがあり、そのような場合、画像の輝度(信号値)が真に造影剤に拠るものか否かが判別不能になり、信頼性の点において血流動態の検出に対する懸念が生じることがある。これに対し、マルチショット法により収集された複数フレームの画像によれば、微小気泡(血流)の信号はフレーム数が進むほど輝度が低下するので、画像の輝度差を比較することで、微小気泡の存在を容易に確認でき、かかる判別を確実に行なうことができる。
【0011】
マルチショット法の第2の利点は、最適な送信音圧の設定に在る。コントラストエコー法を行なうとき、その装置の送信音圧を最適レベルに決めることが重要である。送信音圧が低すぎると、上述した高輝度なフラッシュエコー信号は検出できない。反対に、送信音圧が高すぎると、必要以上に微小気泡が消失してしまい、染影効果が逆に低下する。最適な送信音圧レベルは超音波造影剤の種類毎に異なる傾向にあり、明確な値は未だ解明されていない。一方で、被検体の超音波信号に対する減衰定数は個人差が在ることなどの理由により、最適な送信音圧レベルを診断前に特定しておくことは非常に困難である。かかる様々な状況において、マルチショット法を用いると、複数フレームの画像の輝度変化によって微小気泡の消失の様子を観測できることから、その消失具合から送信音圧レベルを調整し、最適値を特定することが可能である。
【0012】
このようにマルチショットエコー法を使うと、その連続的に撮像される複数フレームの画像を相互に比較することによって微小気泡の消失に関する情報を得て、様々な状況で有効に使用できる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
従来のマルチショット法の場合、その撮像法を有効に利用するには、複数フレームの画像を相互に比較観察する必要がある。この比較観察は、診断中に記録された画像を、診断を中止して又は診断後に呼び出して行なわなければならない。
何ゆえなら、操作者は診断中には診断に関するほかの様々なことに留意する必要があるからである。
【0014】
しかし、この途中呼出し又は事後呼び出しの場合、リアルタイムな送信音圧の最適設定には適用できず、撮像された画像の関心領域の部位が血流であるか又は組織であるかを判別する程度の用途に限定される。
【0015】
加えて、リアルタイム診断では無いので、診断中に撮像し直したい又は別の角度から撮像したいと思っても、その場では行なえないから、新たに、再スキャンを行なう必要がある。
【0016】
そこで、上記比較観察の別の方法として、撮像時に複数フレームの画像をスキャンと同時に表示し、これらを比較観察しながら、リアルタイムに診断を行なう方法も技術的には可能である。
【0017】
しかし、このリアルタイム診断の場合、操作者は例えば3フレームの画像を比較観察しながら、プローブを片手でホールドし、且つ、もう一方の手でコンソールをも操作しなければならない。このため、操作に非常な熟練を要し、操作性が良くない。また、操作者は複数フレームの画像を相互に比較しつつ、且つ、関心領域も観察や読影を行なう必要があり、診断に伴う労力が非常に大きくなる。また、そのような労力の多さに起因して、見落とし等が発生する率も高く、診断に対する信頼性の面でも十分とは言えない。
【0018】
一般論から言っても、画像診断は、臓器の造影パターンから質的診断を行う、若しくは、血管の走行状態の観察など、視覚に大きく依存するので、視覚の負担はなるべく減らしたいという状況にある。
【0019】
本発明の1つの目的は、コントラストエコー法を実施するに際し、実際に診断しているその場でリアルタイムに微小気泡の消失の程度に関する情報を直感的(感覚的)に得て、この情報を有効に利用した超音波診断を行なうことができる超音波診断装置を提供することである。
【0020】
また、本発明の別の目的は、コントラストエコー法を実施するに際し、操作者の操作上の負担や労力が少くて済み、操作に要する熟練度も低くて済む超音波診断装置を提供することである。
【0021】
さらに、本発明の別の目的は、コントラストエコー法を実施するに際し、実際に診断しているその場でリアルタイムに微小気泡の消失の程度に関する情報を得て、この情報に基づいた診断能の高い画像を得ると共にその情報に基づいた確実なスキャン準備を行なうことができ、且つ、操作者の操作上の負担や労力が少くて済み、操作に要する熟練度も低くて済む超音波診断装置を提供することである。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上述した種々の目的を達成するため、本発明の超音波診断装置は、その1つの態様によれば、微小気泡を主成分とする超音波造影剤を投与した被検体に超音波パルス信号を送信するとともに、この送信に伴って当該被検体から発生するエコー信号を受信する送受信手段と、前記エコー信号から前記超音波造影剤の消失の程度を表す画像以外のデータを得る取得手段と、このデータを体感情報として操作者に伝達する伝達手段とを備えたことを特徴とする。
【0023】
このため、操作者は超音波造影剤の消失の程度を例えば音などの体感情報(感覚情報)として、そのスキャンの場でリアルタイムに得ることができる。このため、操作者は、体感情報がそのような状態を呈したときに、どのような消失程度であるかを予め知っておくことにより、スキャンしながらその場で送信条件を変えるなど、必要な措置をタイムリーに講じることができる。したがって、再スキャンを行わなければならない状況も格段に少なくなるから、操作者の手間や労力が少なくなり、全体の撮像時間も少なくて済む。一方、スキャン中に複数のモニタ画面を黙視で観察し且つ相互に比較するといった複雑な作業も不要になり、音などの体感情報に応じて直感的に(感覚的に)造影剤の消失状態を判断でき、送信条件を調節するなどの措置が可能になる。これにより、操作が簡単で、操作に要求される熟練度の度合いも低くて済む。
【0024】
上述した基本構成は、さらに以下のような種々の態様に展開できる。
【0025】
好適には、前記送受信手段は、送信停止期間の経過毎に前記超音波パルス信号の送信を指令するとともに、その送信時には複数フレームの画像を得るために前記超音波パルスを順次送信させる送信制御手段を有する。
【0026】
また、好適には、前記取得手段は、前記超音波造影剤の消失の程度を表すデータとして、前記複数フレーム分のエコー信号からフレーム間の信号強度差を得る手段である。
【0027】
このとき、例えば、前記取得手段は、前記フレーム間の信号強度差として、その各フレームの信号強度の総和の差を演算する手段、その各フレームによる画像の一部に設定される関心領域内の信号強度の総和の差を演算する手段、又は、その各フレームに対して設定される走査線上の信号強度の総和の差を演算する手段である。
【0028】
また、前記取得手段は、前記フレーム間の信号強度差として、任意フレーム間でそれらフレームの信号強度差を複数、演算する手段であってもよい。このとき、一例として、前記取得手段は、前記複数の信号強度差として、隣接するフレーム間で順次、組合せを変更して信号強度差を演算する手段、又は、各フレームの画像を深さ方向の複数領域に分割した、各領域毎に信号強度差を演算する手段である。
【0029】
さらに、好適な態様によれば、上述した各構成において、前記体感情報は音情報である。この場合、前記伝達手段は、前記超音波造影剤の消失の程度を表すデータを前記音情報のデータに生成する生成手段と、この音情報のデータを音として出力する出力手段とを備えることが望ましい。一例として、前記生成手段は、基準となる音波形の振幅又は時間の項に前記超音波造影剤の消失の程度を表すデータを反映させて前記音情報のデータを生成する手段である。
【0030】
さらに、好適な態様によれば、前記体感情報は図形で表示される視覚情報であってもよい。
【0031】
さらに、前記体感情報に関するデモンストレーション用情報を発生させるデモ手段を備えていてもよい。このデモ手段を使用すれば、オペレータは事前に音などの体感情報を、デモ用サウンドとして診断前に聞くことができる。したがって、これにより音感を確認又は養うことができ、診断中のより迅速且つ的確な操作に寄与可能になる。
【0032】
本発明の超音波診断装置は、別の態様によれば、微小気泡を主成分とする超音波造影剤を投与した被検体を診断する装置であり、前記被検体にプローブを介して超音波パルス信号を送信する送信ユニットと、この送信に伴って前記被検体から発生するエコー信号を前記プローブを介して受信すると共に当該エコー信号を遅延加算する受信ユニットと、この受信ユニットで遅延加算されたエコー信号を検波するレシーバと、前記受信ユニット又は前記レシーバの出力信号からフレーム画像間の信号差を検出する差分検出回路と、この差分検出回路で検出された信号差を音データに変換するサウンドプロセッサと、このサウンドプロセッサで変換された音データを音として出力するスピーカとを備えたことを特徴とする。これによっても、前述した装置と同等の作用効果を発揮する。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態を図面に基づき説明する。
【0036】
(第1の実施形態)
第1の実施形態を、図1〜4を参照して説明する。この実施形態に係る超音波診断装置は、被検体に超音波造影剤を投与し、その染影度から血流状態を観察する場合の関心部位全てに適用できるが、以下では、肝臓実質または心臓筋肉に流入する造影剤(パフュージョン)の染影度に基づき血流動態のデータを得て異常部位を同定する機能を有する超音波診断装置について説明する。
【0037】
図1に、第1の実施形態に係る超音波診断層装置の全体構成を概略的に示す。
図1に示す超音波診断装置は、装置本体11と、この装置本体11に接続された超音波プローブ12、操作パネル13、およびECG(心電計)14とを備える。
【0038】
操作パネル13は、キーボード13A、トラックボール13B、マウス13C、及び操作パネル回路13Dを備えて、又は接続可能になっている。これらの操作デバイスは、オペレータが従来装置と同様に患者情報、装置条件、ROI(関心領域)などを入力又は設定するために使用されるほか、本発明に係る種々の設定条件を変更するために使用される。
【0039】
超音波プローブ12は、被検体との間で超音波信号の送受信を担うデバイスであり、電気/機械可逆的変換素子としての圧電セラミックなどの圧電振動子を有する。好適な一例として、複数の圧電振動子がアレイ状に配列されてプローブ先端に装備され、フェーズドアレイタイプのプローブ12が構成されている。これにより、プローブ12は装置本体11から与えられるパルス駆動電圧を超音波パルス信号に変換して被検体内の所望方向に送信する一方で、被検体で反射してきた超音波エコー信号をこれに対応する電圧のエコー信号に変換する。
【0040】
ECG14は、主に被検体の体表に接触させて使用され、被検体の心臓の拍動に伴うECG(心電波形)信号を得る。
【0041】
装置本体11は、本実施形態では、イメージングモードとして、「Bモード」及び「CFM(Color Flow Mapping )モード」の間の切換を指令することができるようになっている。
【0042】
具体的には、装置本体11は、プローブ12に接続された送信ユニット21および受信ユニット22、この受信ユニット22の出力側に置かれたレシーバユニット23、Bモード用DSC(デジタル・スキャン・コンバータ)24、ドプラユニット25、データ合成器26、表示器27、及びイメージメモリ28を備える。
【0043】
また装置本体11は、レシーバユニット23の出力段に順に設けた差分検出回路29、サウンドプロセッサ30、及びスピーカ31、操作パネル13からの操作信号を受ける制御回路32、この制御回路32の指示に応答して動作するデータ発生回路33、並びにECG14からのECG(心電図)信号を受ける心拍検出ユニット34を備える。
【0044】
この内、制御回路32、差分検出回路29、サウンドプロセッサ30、及びスピーカ31は本発明の特徴を実現する主要素であり、その動作は後述される。
【0045】
制御回路32は、CPU及びメモリを備えたコンピュータ構成で成り、予めプログラムされている手順にしたがって、装置全体の動作を制御する。この制御動作には、送信ユニット21に対する送信制御(送信タイミング、送信遅延など)、受信ユニット22に対する受信制御(受信遅延など)、データ発生器33に対する表示データ生成の指令、その他の要素に対するタイミング制御などを含む。
【0046】
この内、送信制御は、本発明の特徴を成す送信タイミングの制御法の実施をも含む。すなわち、この送信タイミングは、マルチショット法を用いた、間歇送信法を基本とするフラッシュエコーイメージング(FEI)法により制御される。
この送信タイミングの概念を図2に示す。
【0047】
同図において、1フレーム分のスキャン(送受信)タイミングを模式的に1つの黒印三角形で示す。この制御によれば、変更可能な一定期間Tiだけスキャンが休止された後、スキャンされる間歇送信に拠るフラッシュエコーイメージングが行なわれる。休止期間Tiの間は超音波送信が停止されるので、造影剤の微小気泡を関心領域に密集させることができる。
【0048】
休止期間Tiは、例えば心拍検出ユニット34からの心拍タイミング信号をトリガ信号として設定される。一例として、休止期間Tiは、1心拍毎、5心拍毎、…、10心拍毎のように、適宜な心拍数に対応した期間として設定される。
【0049】
また、心拍タイミング信号を用いない場合には、例えば、制御回路32のコンピュータが内蔵するクロックを利用し、任意の時間、例えば0.1秒毎、1秒毎、…、10秒毎のように、休止期間Tiを設定すればよい。
【0050】
なお、この休止期間Tiは毎回同じ値である必要は無く、例えば、1秒から10秒まで休止毎に1秒ずつ増加させるように予めプログラムしておいてもよい。
【0051】
さらに、スキャンは、比較的短い周期Tfで連続的に複数フレーム(例えばフレーム数N=3)がスキャンされるマルチショット法に拠っている。つまり、図2に示すように、送信休止後のトリガ信号に同期して、連続するNフレームの超音波画像が得られる。この周期Tfは、1フレームの画像を生成するのに必要な時間であり、一般に、フレームレートFrの逆数(Tf=1/Fr)として表される。なお、このフレームレートFrは、一般的には(従来では)10〜100Hz程度の比較的速い繰返し周波数である。フレーム数Nは、例えば操作パネル13を介して任意の複数値に変更・設定できる。
【0052】
図1に戻って、データ発生回路33は、制御回路32からの表示データ生成の指令に応答して、指定ROI(関心領域)の図形データやアノテーションなどのデータを生成してデータ合成器26に送る。
【0053】
ECG14は、ECG(心電波形)信号を得て、これを心拍検出ユニット34に送る。心拍検出ユニット34は、ECG14からのECG信号を入力し、その波形データをデータ合成器28に表示用として送出する一方で、拍動のタイミングを検出し、このタイミング信号を心電同期スキャン用の信号として制御回路32に送る。通常、この拍動のタイミングとして、ECG信号中のR波のタイミングが検出される。しかし、オペレータは操作パネル13を介して、R波からの任意の遅延時間を指定できるようになっているので、結果として、任意の心拍時相のタイミングを指定することができる。
【0054】
このような制御系の管理下に置かれる送受信系の構成は、以下のようになっている。
【0055】
送信ユニット21は、図示しないパルス発生器、送信遅延回路、およびパルサを有する。パルス発生器は一定のパルス繰返し周波数(PRF:pulse repetition frequency)に拠るレートパルスを発生する。このレートパルスは、送信チャンネル数分に分配されて送信遅延回路に送られる。
送信遅延回路には、遅延時間を決めるタイミング信号が制御回路32から送信チャンネル毎に供給されるようになっている。これにより、送信遅延回路はレートパルスに指令遅延時間をチャンネル毎に付与する。遅延時間が付与されたレートパルスが送信チャンネル毎にパルサに供給される。パルサはレートパルスを受けたタイミングでプローブ12の圧電振動子(送信チャンネル)毎に電圧パルスを与える。これにより、超音波信号がプローブ12から放射される。超音波プローブ12から送信された超音波信号は被検体内でビーム状に集束されかつ送信指向性が指令されたスキャン方向に設定される。
【0056】
送信された超音波パルス信号は、被検体内の音響インピーダンスの不連続面で反射される。この反射超音波信号は再びプローブ12で受信され、対応する電圧量のエコー信号に変換される。このエコー信号はプローブ12から受信チャンネル毎に受信ユニット22に取り込まれる。
【0057】
受信ユニット22は、その入力側から順に、プリアンプ、A/D変換器、受信遅延回路、および加算器(いずれも図示せず)を備える。プリアンプ、A/D変換器、及び受信遅延回路はそれぞれ、受信チャンネル分の回路を内蔵しており、デジタルタイプの受信ユニットに形成されている。受信遅延回路の遅延時間は、所望の受信指向性に合わせて遅延時間パターンの信号として制御回路31から与えられる。このため、エコー信号は、受信チャンネル毎に、プリアンプで増幅され、A/D変換器でデジタル信号に変換され、さらに受信遅延回路により遅延時間が与えられた後、加算器で相互に加算される。この加算により、所望の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調される。送信指向性と受信指向性の性能を総合することにより、送受信の超音波ビームの総合的な性能が得られる。
【0058】
受信ユニット22の加算器の出力端は、レシーバユニット23及びBモードDSC24を順に経由して表示データ合成器28に至る。
【0059】
レシーバユニット23は、図示しないが、対数増幅器、包絡線検波器などを備える。なお、ハーモニックイメージング法を実施する装置の場合、このレシーバユニット27には、超音波パルス信号の送信周波数の、例えば2倍の高調波成分のみを通過させる帯域通過型フィルタが追加的に装備される。このレシーバユニット23により、受信指向性が与えられた方向のエコーデータがデジタル量で生成され、BモードDSC24に送られる。
【0060】
BモードDSC24はエコーデータを超音波スキャンのラスタ信号列からビデオフォーマットのラスタ信号列に変換し、これをデータ合成器28に送るようになっている。
【0061】
イメージメモリ28はBモードDSC24に接続され、このDSCの処理信号(超音波スキャンのラスタ信号列、ビデオフォーマットのラスタ信号列の何れか又は両者)を記録するメモリ素子及びその書込み・読出し制御回路を備える。このメモリ素子に記録されたエコーデータは、スキャン(診断)の最中又はその後にフレーム単位で読み出して利用可能になっている。この読出しデータは、BモードDSC24および表示データ合成器28を経由して表示器29に送られて表示される。
【0062】
また、レシーバユニット23の出力側にはドプラユニット27が設けられている。このドプラユニット27は、受信ユニット22で処理される加算エコー信号を受信する。このユニット27は、図示しないが、直交検波器、クラッタ除去フィルタ、ドプラ偏移周波数解析器、平均速度などの演算器、DSC、カラー処理回路などを備え、ドプラ偏移周波数すなわち血流の速度情報やそのパワー情報などがカラーフローマッピングデータ(CFMデータ)として得られる。このカラーフローマッピングデータは、ドプラユニット27に内蔵のDSCにてノイズキャンセルなどの処理を受けるとともに、その走査方式が変換されてデータ合成器26に送られる。このカラーフローマッピングデータは、イメージメモリ25に送って記憶させることもできる。
【0063】
データ合成器28は、BモードDSC24から送られてくるBモード画像データ(グレースケール画像)、ドプラユニット27から送られてくるCFMモード画像データ(カラーフロー画像)、心拍検出ユニット32から送られてくる心電図波形データ、および/または所望の設定パラメータを並べる、あるいは重ねるなどの処理によって1フレームの画像データに再構築する。このフレーム画像データは表示器29により順次読み出される。表示器29では、画像データを内蔵D/A変換器でアナログ量に変換し、TVモニタなどのディスプレイに被検体の組織形状の断層像を表示する。
【0064】
次に、図1に示すサブ検出回路29、サウンドプロセッサ30、及びスピーカ31を説明する。
【0065】
差分検出回路29は、図示しない複数のフレームメモリ、その書込み・読出し回路、信号強度の差分を演算する演算器を備える。このため、差分検出回路29は、レシーバユニット23から送られてくるエコー信号を入力し、一時的に記憶してフレームに格納する。そして、適宜なタイミングでフレーム間の信号強度の差分を適宜な演算モードで演算する。
【0066】
この演算モードは種々のものがあり、その演算モードは操作パネル13を介して制御回路32から指定される。なお、この演算モードはデフォルトとして設定しておいてもよい。
【0067】
まず、差分がスカラ量diのときの演算モードの種類としては、(1):フレーム信号強度の総和の差分(第1の演算モード)、(2):フレーム内に設定した関心領域の信号強度の差分(第2の演算モード)、(3):フレーム内に指定した1走査線の信号強度の差分、を演算する方法がある(第3の演算モード)。
【0068】
第1の演算モードは、図3(A)に模式的に示す如く、例えば第1フレームと第Nフレーム(最終フレーム)との各画素の信号強度をそれぞれ総和演算し、その総和値の差diを求める手法である。差分処理に付するフレームは、隣接フレーム同士或は任意の組合せのフレーム同士でもよい。第2の演算モードによれば、図3(B)に模式的に示す如く、予め画像の一部にROI(関心領域)を設定させる。ROIは円、楕円、四角形などの形状を有する。そして、例えば、第1フレーム及び第NフレームのROI内の信号強度(輝度)をそれぞれ演算し、それらの差diを演算する。さらに第3の演算モードによれば、図3(C)に模式的に示す如く、各フレームの1本(又は複数本)の走査線に注目し、その走査線上の画素の信号強度を演算する。そして、フレーム間で、その信号強度の差分diを演算する。
【0069】
差分検出回路29は、複数の信号強度差di1,di2,…,dinを得ることもできる。その1つの演算法(第4の演算モード)は、各回のマルチショット法で得た複数の連続フレームNのエコー信号に対して、隣接フレーム同士で差分を採る手法である。例えば、第1フレームと第2フレームとの信号強度差をdi1,第2フレームと第3フレームとのそれをdi2,…,第n−1フレームと第nフレームとのそれをdi(n−1)とする手法である。ただし、この第4の演算モードは、前述した第1〜第3の演算モードの何れかを指定し、それと組み合わせて実施される(勿論、その組合せは予め設定しておいてもよい)。図4(A)は、第1演算モードに基づき第4の演算モードで差分演算するときの概念を模式的に示している。
【0070】
さらに、複数の信号強度差を得る別の演算法(第5の演算モード)は、例えば第1フレームと第Nフレームとの間で、図4(B)に説明する如く、一定幅の深度毎に分割した領域を対象とする手法である。例えば体表から0〜1cmの深度領域に着目して演算した信号強度差をdi1、1〜2cmの深度領域に着目して演算したそれをdi2,…,n〜n+1cmの深度領域に着目して演算したそれをdinとする。
【0071】
このようにして得られた差分情報di又はdi1,di2,…,dinは、サウンドプロセッサ30に送られる。サウンドプロセッサ30は、入力した差分情報を使って、所定の生成モードの元に音信号を生成する。本実施形態では、この生成モードとして以下の3モードが用意されており、オペレータの指令に応えて、制御回路32が所望の生成モードをサウンドプロセッサ30に指定するように構成されている。勿論、サウンドプロセッサ30の生成モードは予め固定してあってもよい。
【0072】
第1の生成モードは、差分情報diの値が一つのときのモードで、基準のサウンド波形「B(t):t=時間」を使用するものである。すなわち、生成されるサウンドをS(t)とすると、
【数1】
S(t)=di・B(t)
の式に基づき、差分情報diを反映させたサウンドS(t)を生成する。この基準波形B(t)は任意のものでよい。一例として、長くて1秒程度の波形信号であると都合がよく、例えば現在パーソナルコンピュータで用いられている、いわゆるビープ音(「プー、プー」といった警告音、「ピョーン」、「ポーン」といった落下音、破裂音など)が好適である。この第1の生成モードは最も簡単な演算で済む方法であり、振幅が差分情報diに比例したサウンドS(t)が得られる。
【0073】
第2の生成モードは、差分情報diの値が一つのときのモードで、
【数2】
に基づき、時間のファクタに差分情報diを反映させたサウンドS(t)を生成する手法である。つまり、差分情報diの値が大きくなるほど、基準サウンドB(t)のピッチ(周波数)が大きく又は小さくなる。
【0074】
一方、第3の生成モードは、複数の差分情報の値di1,di2,…,dinに適したモードである。このモードによれば、上記第1又は第2の生成モードに拠る演算が行なわれ、その結果生成されたサウンドS(t)を微小時間毎に繋げて全体として1つのサウンドが生成される。例えば、di1,di2,…,di6の差分値の夫々について、
【数3】
の演算を行なう。そして、S1〜S6のサウンドを例えば200msec毎に繋げて合計1200msecのサウンドを生成する。
【0075】
このように何れかの生成モードで生成されたサウンドSのデータはスピーカ31に送られ、差分情報に反応した短めのサウンドが発生される。
【0076】
本実施形態の作用効果を説明する。
【0077】
いま、微小気泡を主成分とする超音波造影剤を持続投与しながら、例えば心臓筋肉に流入する造影剤、すなわち組織血流のパフュージョンを、マルチショット法を用いたフラッシュエコーイメージング法で観察しているとする。
【0078】
この場合、図2に示す如く、休止時間Tiの後、複数フレーム分の超音波送受信が連続的に行なわれ、間歇送信に拠る複数枚の画像のデータに得られる。この画像はBモード像又はCFM像として表示器27に表示される。
【0079】
このとき、マルチショット法で得られる複数フレームの画像には、造影剤を成す微小気泡の消失程度が輝度(信号強度)として反映されている。
【0080】
例えば、第1フレームの画像では微小気泡由来の高い輝度のエコー信号が観察されるが、第2フレームではこのエコー信号が消失してしまうことがある。また、微小気泡が比較的に壊れ易かったり、投与濃度が低い場合には、第1フレームの画像で殆どの微小気泡は消失し、その後の第2フレームと第3フレームの画像の輝度状態が殆ど変わらないという状態もあり得る。反対に、微小気泡が比較的強靭な場合、第1フレームでは微小気泡は全て消失せずに残り、第2フレーム以降のフレームにおいて、フレームが進むにつれて、徐々に輝度が低下することもあり得る。当然に、送信音圧や造影剤濃度によって、上記の中間的な状態もとり得る。
【0081】
かかる状況において、本実施形態では、スキャン中に、微小気泡の消失程度を反映させた情報として、フレーム間の信号強度の差分情報が差分検出回路29から得られる。この差分値の数は演算モードに応じて変わる。この差分情報は、サウンドプロセッサ30によってサウンドデータに変換され、次いでスピーカ31からサウンドとして発生される。
【0082】
差分情報は、フレーム、すなわち時間が進んだときの微小気泡の消失程度を表しているので、スピーカ31から発生するサウンド(音)は、気泡消失の大小の状態を体感できる情報としてオペレータに伝わる。例えば、第1の生成モードで差分情報diが生成された場合、気泡消失の程度が大きいほど、操作者には大きなサウンドが聞こえる。
【0083】
したがって、現在の送信条件が最適なものであるか否かは、操作者がサウンドの強弱、音色などに応じてその場で直感的に(感覚的に)判断できる。なお、どの程度の強弱、音色などのサウンドが聞こえたときに、最も高輝度なエコー信号が造影剤から得られる状態(最適状態)であるかの判断は、若干の訓練を通じて、予め知っておくことが望ましい。
【0084】
かかる直感的判断により、操作者はその場で、送信音圧を上下させるなど、送信条件を最適状態にしてそのまま診断用のスキャンに移行できる。例えば、造影剤を持続投与していると、その染影効果は10分程度、持続するので、投与後の僅かな時間帯に、上述したサウンドに拠る送信条件の最適化を終え、そのまま引き続いて本スキャンに移行できる。
【0085】
これにより、個々の被検体の個体差、投与した造影剤濃度等を加味した最適な送信条件が短時間にその場でリアルタイムに設定できるので、投与した造影剤に対して最も高輝度な信号が得られる最適条件で撮像ができる。
【0086】
このため、従来のように、一度撮像した画像データを後から読み出す必要も無いので、撮像及び診断が短時間で、かつ容易に行える。
【0087】
また、得られる画像に関しては、血流と組織との目視識別が容易になるなど、最初から高い診断能の画像が得られるので、再撮像の必要性も格段に減り、その分、操作者の負担や労力が減少し、患者スループットも向上する。
【0088】
さらに、微小気泡の消失の状態を認識するために、スキャンしながら複数フレームの画像を同時に表示して比較観察するといった、複雑で操作者に負担の多い作業が不要になる。本実施形態のようにサウンドを使用すると、そのサウンドの特質の判断さえ習得しておけばよく、両手をスキャン操作に使いながら複数画面を目視しなければならないこともなく、操作に必要な熟練度も大幅に緩和され、診断に伴う労力が大きく減少し、かつ作業効率も良くなる。操作者の負担が減るので、観察時の異常部位の見落とし等が発生する率も低下し、診断に対する信頼性確保の面でも有効である。
【0089】
なお、上記第1の実施形態では、微小気泡の消失現象を効果的に認識する手法をフラッシュエコーイメージングに適用する例で説明したが、通常のスキャン法においても本手法を実施することができる。
【0090】
例えば、通常の連続的送信法の場合に、造影剤が充満した肝臓などの臓器実質に対してスキャン断面を少しずつ変更していくと、スキャンした断面の微小気泡は消失するが、スキャン断面が未消失の新たな断面に次々に移行していくので、その新しい断面で気泡消失現象が次々と起こる。このようなイメージングのときに、操作者がプローブを手動操作してスキャン断面を移動させるときの移動速度が不均一であると、消失の度合いも変わる。このため、撮像された複数の画像に染影度の違いが発生し、診断に影響することがある。
【0091】
本発明は、このようなスキャン状態に因る不都合をも解消することができる。
すなわち、本発明をかかる通常の連続的送信に拠るスキャンに適用することで、次々に消失する断面の気泡の度合いが一定であれば、発生する音も殆ど一定の大きさになる。この音という、操作者にとって直感的な情報は、画像取得後にその画像を見直して吟味する場合よりも、その場で簡単に気泡消失の程度を把握して、送信音圧を上下させるなどの必要な措置をタイムリーに行なうことができる。
【0092】
また、本発明に係る実施形態の変形例として、第1の実施形態の超音波診断装置にデモンストレーション用のサウンドを発生させる機能を付加することができる。このデモ用サウンドは、上述した適宜な差分情報di(>0)に対応するサウンドである。例えば、図1に示す如く、操作パネル13にデモ提示用ボタン13Eを装備し、このボタン13Eからの操作情報を制御回路32を介してサウンドプロセッサ30が受けるように構成し、サウンドプロセッサ30がスピーカ31を介してデモ用サウンドを発生させればよい。勿論、制御回路32が直接にスピーカ31の動作を制御してもよい。
【0093】
このため、診断前にオペレータがこのボタン13Eを押すと、サウンドを事前に聞くことができる。したがって、診断に入ってから聞くことになるサウンド感を事前に確認又は養うことができる。加えて、デモ用サウンドの強弱、音色などを適宜に変化させるように構成しておくことで、オペレータは診断前に超音波造影剤の消失状態の変化幅を音を通して感覚的に確認しておくことができ、診断に移行した後の操作をより迅速に且つ的確に行なうことが可能になる。
【0094】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る超音波診断装置を図5に基づき説明する。
【0095】
この超音波診断装置は、前述した第1の実施形態の超音波診断装置と同等の機能を有するが、相違する点は、図5に示す如く、差分検出回路29への信号取り出し位置にある。すなわち、図1の装置構成に比べて、差分検出回路29の入力端を超音波受信ユニット22の出力段、すなわちレシーバユニット23の前段に置いている。その他の構成は図1のものと同一又は同等である。
【0096】
これにより、差分検出回路29は、単に受信遅延加算されただけのRF信号の状態のエコー信号を入力する。つまり、差分検出回路29はこのRF信号を使って前述した各種の演算モードの差分演算を行なう。この差分演算により、エコー信号の位相乱れ等の情報が得られる。この情報は微小気泡のサイズ変化、振動など、消失現象以外のランダムな挙動を反映したものとなる。そこで、この情報に基づいてサウンドプロセッサ30が前述と同様に動作し、音信号がスピーカ31から出力される。
【0097】
本実施形態によれば、差分検出回路はエコー信号をRF信号として記憶する必要があるため、記憶に必要なデータ量は多くなるものの、RF信号の状態で検出することから、音圧に対して敏感な微小気泡の検出能が良くなり、微小気泡の消失の程度をより精度良く反映させた音を聞くことができる。
【0098】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る超音波診断装置を図6,7に基づき説明する。
【0099】
この超音波診断装置は、差分によって得た微小気泡の消失具合の情報を出力する仕方に特徴を有する。
【0100】
この装置は、前述した第1の実施形態のそれとと比べて、サウンドプロセッサをインジケータ生成回路35に置き換え、この生成回路35の出力先をデータ合成器26としている。
【0101】
インバータ生成回路35は、差分検出回路29により検出されたスカラ量に変換された輝度差diの情報を入力し、この情報を対応する数値又はレベルメータ情報に変換する。この変換情報はデータ合成器26を介して表示器27に表示される。図7(A),(B)には、レベルメータ形式で表示される2つの例を示す。このレベルメータ形式は日常良く目にするものであるから、操作者は、これを見て、微小気泡の消失状態を直感的に把握することができる。
【0102】
なお、表示器27には、マルチショット法を用いたフラッシュエコー法で得られた第1フレーム画像と第Nフレーム画像とを並べて表示し、輝度差を目視で判別するようにしてもよいが、本実施形態のようにスカラ量diを表示することで、より定量的な値を直感的に知らせることができる。このスカラ量の表示の場合、診断画像としては、最も高輝度であることが多い第1フレームの画像のみを表示すれば足りる。
【0103】
上述した各実施形態は単なる例示であって、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲の記載にしたがって決まるもので、本発明の範囲を逸脱しない範囲において様々な態様のものを実施することができる。
【0104】
【発明の効果】
以上説明したように、本願発明に係る超音波診断装置によれば、微小気泡を主成分とする超音波造影剤を被検体に投与して行なうコントラストエコー法において、微小気泡の消失の程度を音などの体感情報に変化させて出力するので、操作者は造影剤が関心領域に流入していることを直感的に知ることができる。
【0105】
また、操作者は、かかる微小気泡の消失の程度を、連続したフレーム画像を見なくても、スキャン時において、感覚的に認識(判別)することができる。そこで、例えば、操作者は、大きい音(周波数が高い音)ならば、気泡消失の程度が大き過ぎると直感的に判断して送信パルスの出力を下げ、反対に、小さい音ならば、気泡消失の程度が小さ過ぎると直感的に判断して送信パルスの出力を上げる。この操作をその場でリアルタイムに繰り返すことができ、これにより、気泡消失と画質のバランスをとり、最終的に最適な送信音圧に設定することができる。
【0106】
したがって、従来のように撮像後に画像を読み出して相互比較して微小気泡の消失の程度を読み出す必要が無く、スキャン時にその場でタイムリーに、音などに応じて必要な措置を講じることができる。このため、1回の撮像で済むので、再撮像の必要性も格段に小さくなり、操作の手間も減少し、操作時間や撮像時間も節約できる。また、関心領域の血流・組織の判別は勿論、送信条件の設定にも適用でき、汎用性も高い。
【0107】
加えて、スキャン中に複数のモニタ画像を黙視で相互に比較する必要もないので、操作が簡単になってその労力が少なくなり、要求される熟練度も格段に低くて済み、さらに診断に対する信頼性も高くなる。
【0108】
これにより、血管部の血流動態の情報やパフュージョンの検出による臓器実質レベルの血行動態の情報をより高精度且つ高精細に定量化するできる。この結果、血流情報の定量化、鑑別診断に詳細な情報を確実に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る超音波診断装置のブロック図。
【図2】マルチショット法を用いたフラッシュエコーイメージングの超音波送受信のタイミングを説明する図。
【図3】エコー信号に対する種々の差分演算のモード(第1〜第3の演算モード)を説明する図。
【図4】エコー信号に対する種々の差分演算のモード(第1〜第3の演算モード)を説明する図。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る超音波診断装置のブロック図。
【図6】本発明の第6の実施形態に係る超音波診断装置のブロック図。
【図7】微小気泡の消失状態をレベルメータ方式で表すときの表示の説明図。
【符号の説明】
11 装置本体
12 超音波プローブ(送受信手段)
13 操作パネル
14 ECGセンサ
21 送信ユニット(送受信手段)
22 受信ユニット(送受信手段)
23 レシーバユニット(送受信手段)
24 BモードDSC
25 ドプラユニット
26 データ合成器
27 表示器
28 イメージメモリ
29 差分検出回路(取得手段)
30 サウンドプロセッサ(伝達手段・生成手段)
31 スピーカ(伝達手段・出力手段)
32 制御回路(送信制御手段を含む。取得手段及び伝達手段の一部を成す。)
33 データ発生回路
34 心拍検出ユニット
35 インジータ生成回路(伝達手段・生成手段)
Claims (11)
- 微小気泡を主成分とする超音波造影剤を投与した被検体に超音波パルス信号を送信停止期間の経過毎に送信するとともに、その送信時には複数フレームの画像を得るために前記超音波パルスを順次送信させ、この送信に伴って当該被検体から発生するエコー信号を受信する送受信手段と、
前記エコー信号から前記超音波造影剤の消失の程度を表すデータとして、前記複数フレーム分のエコー信号からフレーム間の信号強度差を得る取得手段と、
このデータを体感情報として操作者に伝達する伝達手段とを備えたことを特徴とする超音波診断装置。 - 請求項1記載の超音波診断装置において、
前記取得手段は、前記フレーム間の信号強度差として、その各フレームの信号強度の総和の差を演算する手段である超音波診断装置。 - 請求項1記載の超音波診断装置において、
前記取得手段は、前記フレーム間の信号強度差として、その各フレームによる画像の一部に設定される関心領域内の信号強度の総和の差を演算する手段である超音波診断装置。 - 請求項1記載の超音波診断装置において、
前記取得手段は、前記フレーム間の信号強度差として、その各フレームに対して設定される走査線上の信号強度の総和の差を演算する手段である超音波診断装置。 - 請求項1記載の超音波診断装置において、
前記取得手段は、前記フレーム間の信号強度差として、任意フレーム間でそれらフレームの信号強度差を複数、演算する手段である超音波診断装置。 - 請求項5記載の超音波診断装置において、
前記取得手段は、前記複数の信号強度差として、隣接するフレーム間で順次、組合せを変更して信号強度差を演算する手段である超音波診断装置。 - 請求項5記載の超音波診断装置において、
前記取得手段は、前記複数の信号強度差として、各フレームの画像を深さ方向の複数領域に分割した、各領域毎に信号強度差を演算する手段である超音波診断装置。 - 請求項1乃至7の何れか一項に記載の超音波診断装置において、
前記体感情報は音情報である超音波診断装置。 - 請求項8記載の超音波診断装置において、前記伝達手段は、前記超音波造影剤の消失の程度を表すデータを前記音情報のデータに生成する生成手段と、この音情報のデータを音として出力する出力手段とを備える超音波診断装置。
- 請求項9記載の超音波診断装置において、
前記生成手段は、基準となる音波形の振幅又は時間の項に前記超音波造影剤の消失の程度を表すデータを反映させて前記音情報のデータを生成する手段である超音波診断装置。 - 微小気泡を主成分とする超音波造影剤を投与した被検体を診断する超音波診断装置において、
前記被検体にプローブを介して超音波パルス信号を送信する送信ユニットと、
この送信に伴って前記被検体から発生するエコー信号を前記プローブを介して受信すると共に当該エコー信号を遅延加算する受信ユニットと、
この受信ユニットで遅延加算されたエコー信号を検波するレシーバと、
前記受信ユニット又は前記レシーバの出力信号からフレーム画像間の信号差を検出する差分検出回路と、
この差分検出回路で検出された信号差を音データに変換するサウンドプロセッサと、
このサウンドプロセッサで変換された音データを音として出力するスピーカとを備えたことを特徴とする超音波診断装置。
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