JP4497686B2 - 磁気共鳴イメージング装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被検体の磁気共鳴現象に基づいて被検体内部を画像化する磁気共鳴イメージング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気共鳴イメージング(MRI)は、静磁場中に置かれた被検体の原子核スピンをそのラーモア周波数の高周波信号で磁気的に励起し、この励起に伴って発生するMR信号して画像を再構成する撮像法である。
【0003】
この磁気共鳴イメージングにおいて、エコープラナー法に代表される超高速撮影法が実用化されている。このエコープラナー法は、周知の通り、スピンエコータイプであれば、励起用の90°RFパルスを印加して、エコー時間TEの1/2の時間経過後に、位相反転用の180°RFパルスを印加する。そして90°RFパルスからエコー時間TEの時点を中心として、その前後でデフェーズ(de-phase)とインフェーズ(in-phase)のために傾斜磁場を高速でスイッチングし、それにより連続的にエコーを発生させサンプリングする。また、フィールドエコータイプであれば、励起用の90°RFパルスを印加した後に、デフェーズ(de-phase)とインフェーズ(in-phase)のために傾斜磁場を高速でスイッチングし、それにより連続的にエコーを発生させサンプリングする。
【0004】
このようにエコープラナー法では、傾斜磁場を高速でスイッチングするため、磁場強度の時間変動(dB/dt)が非常に高くなる。一般的に人体正面から背面にかける向き(Y軸方向)で傾斜磁場の高速スイッチングを行うと、被検体に渦電流のループが形成されやすい。そのため被検体の特に末梢神経に刺激を感じることがある。
【0005】
傾斜磁場強度が最大となるのは、イメージングで使用しない傾斜磁場コイルの中心軸上であることが分かっており、例えば腹部撮影において、左右方向(仰向けでX軸方向)に傾斜磁場を印加したとき、特に強度変動が強くなる眉間付近で刺激を感じやすくなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、エコーを連続的に発生するために傾斜磁場の高速スイッチングを利用したイメージング法を実行するに際して強い磁場時間変動による被検体の刺激を軽減することのできる磁気共鳴イメージング装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、エコーを連続的に発生するために傾斜磁場の高速スイッチングを利用したイメージング法により被検体を撮影する磁気共鳴イメージング装置において、前記傾斜磁場の向きを基準方向から、前記被検体の左右方向に関する前記傾斜磁場の磁場強度の時間変動に対するしきい値と、前記被検体の正面背面方向に関する前記傾斜磁場の磁場強度の時間変動に対するしきい値とに応じた角度傾けることを特徴とする。
【0008】
また本発明は、エコーを連続的に発生するために傾斜磁場の高速スイッチングを利用したイメージング法により被検体を撮影する磁気共鳴イメージング装置において、前記被検体に対して各種情報を表示するためにガントリ内部に設けられているインジケータと、前記インジケータの表示を制御する制御部とを具備し、前記制御部は、前記被検体が頭部又は体全体を傾ける指標を前記インジケータに表示させ、前記指標の表示終了後に前記インジケータに前記撮影の残り時間を表示させることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明による磁気共鳴イメージング装置を好ましい実施形態により説明する。
【0010】
図1は本実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置の構成図である。ガントリ20に設置される略円筒状の静磁場磁石1と、この磁石1内に配置される傾斜磁場コイルユニット2、シムコイル3およびRFコイル4とを備える。傾斜磁場コイルユニット2は、互いに直交する、磁場強度が変化する向きがX、Y、Z軸方向の3種類の傾斜磁場を発生させるために3組(種類)のX、Y、Zコイルを備えている。通常、被検体はその体軸がZ軸に略一致し、被検体の左右方向がX軸に略一致し、そして被検体の前後方向がY軸に略一致するようにガントリ20内部に挿入される。
【0011】
傾斜磁場コイル電源5は、XYZコイル各々に対応する3系統の電源部分を装備している。シーケンス制御部8の制御のもとで、傾斜磁場コイル電源5からXコイルとYコイルに供給されるパルス電流の割合を変えることにより、X,Y方向の傾斜磁場を合成して、位相エンコード方向傾斜磁場Ge、および読出し方向(周波数エンコード方向)傾斜磁場GrをZ軸を中心として任意に傾ける(オブリークする)ことができる。
【0012】
送信部6は、磁石1内の撮影空間にて被検体Pの近傍に配設されるRFコイル4にシーケンス制御部8の制御のもとで磁気共鳴(MR)を励起させるためのラーモア周波数のRF電流パルスを供給する。受信部7は、RFコイル4を介してMR信号(高周波信号)を受信し、検波等の各種の信号処理を施して、対応するデジタル信号(MRデータ)を形成する。このMRデータはデータ収集部11を経由して画像生成処理部12に送られる。画像生成処理部12ではMRデータを2DFT(2次元フーリエ変換処理)にかけて、T1強調画像、T2強調画像、密度画像等のMR画像データを生成する。このMR画像データは画像回転処理部13で適宜、操作パネル10から供給された傾斜磁場の軸回転の向き及び角度に従って回転処理を受けてから画像表示部14に送られ表示される。
【0013】
以上が典型的な磁気共鳴イメージング装置が備えている基本的な構成である。以下に、エコーを連続的に発生するために傾斜磁場の高速スイッチングを利用したイメージング法を実行するに際して強い磁場時間変動による被検体の刺激を軽減するための構成について説明する。
【0014】
従来でも説明した通り、例えば腹部撮影に際して被検体は特に頭部の眉間に強い刺激を感じることが知られている。この眉間への刺激を軽減するために、ここでは2種類の対応策(2種類の動作モード)を提案する。この2種類の動作モードはともに基本的に装置に装備されており、操作パネル10を介して操作者により選択的に使用される。しかし、これに限定されることは無く、いずれか一方だけを装備するようにしてもよい。
【0015】
まず、第1の動作モードは、図2に示すように、位相エンコード用傾斜磁場PE(初期的には被検体の正面背面方向に略平行なY軸方向に一致)及び周波数エンコード用傾斜磁場RO(初期的には被検体の左右方向に略平行なX軸方向に一致)をスライス選択用傾斜磁場のZ軸を中心として任意角度だけ軸回転(オブリーク、傾ける)することにより、磁気的に磁場強度の時間変動(dB/dt)が非常に高くなる場所を被検体の頭部眉間から、ずらすことにより、被検体が感じる磁気的な刺激を実効的に軽減するものである。
【0016】
まず、操作パネル10を介して操作者により刺激軽減モードボタンが押されると、第1の動作モードと第2の動作モードの選択メニューが表示される。ここで第1の動作モードが選択された場合、オブリーク角θの指定画面が表示される。ここでオブリーク角θは、SRxth はX方向(被検体の左右方向)に関して被検体が末梢神経刺激を受けるdB/dtのしきい値、SRyth はY方向(被検体の正面背面方向)に関して被検体が末梢神経刺激を受けるdB/dtのしきい値として、
θ=tan−1(SRyth /SRxth)
の式で与えられる。この式に従ってオブリーク角が設定されるが、ここではこの設定操作を簡易化するために、GUI(グラフィカルユーザインタフェース)が採用される。
【0017】
基本的には、しきい値SRxth、SRyth は、経験則やシュミレーション等により、撮影部位及び被検体の体格(身長)に応じて決まる。これらしきい値SRxth、SRyth を、事前に、撮影部位及び被検体の体格の組み合わせごとに求め、そして最終的に必要なこれらしきい値に応じたオブリーク角θを撮影部位及び被検体の体格の組み合わせに関連付け、その情報を操作パネル10に与えておくとともに、撮影部位及び被検体の体格を選択及び数値入力するためのポップアップメニューを操作パネル10に構築しておく。そして、操作者によりメニュー上で操作パネル10を介して、撮影部位及び被検体の体格が選択または数値入力されると、それらに関連付けられているオブリーク角θが設定される。なお、このメニュー上でオブリーク角は、初期的に30°に設定されていて、殆どケースではこの初期角度(30°)のままでかまわないことと想定され、特に、撮影部位及び被検体の体格を選択するケースとしては、被検体の体格等の条件が一般的ではない場合に限られると考えられる。
【0018】
以上のように設定が完了するとシーケンスデータ生成部9は、オブリーク角θに従って、標準的なシーケンスデータを更新する。標準的なシーケンスデータは、位相エンコード用傾斜磁場PEが被検体の正面背面方向に略平行なY軸方向に一致し、且つ周波数エンコード用傾斜磁場ROが被検体の左右方向に略平行なX軸方向に一致するように組まれていて、当該更新処理、つまりオブリーク角θを使った回転行列による回転処理により、周波数エンコード用傾斜磁場ROがオブリーク角θだけX軸から所定方向に回転され、そして周波数エンコード用傾斜磁場ROに直交関係を保つために、位相エンコード用傾斜磁場PEも、Y軸方向に対してオブリーク角θだけ所定方向に回転される。
【0019】
この更新されたシーケンスデータでは、図2に示すように、周波数エンコード用傾斜磁場ROの磁場傾斜方向がX軸からオブリーク角θだけオブリークされ、そして位相エンコード用傾斜磁場PEの磁場傾斜方向もY軸からオブリーク角θだけオブリークされる。
【0020】
シーケンス制御部8は、シーケンスデータ生成部9からの当該更新シーケンスデータに従って送信部6、受信部7及び傾斜磁場電源5を制御して、RFパルス(高周波磁場パルス)及び傾斜磁場パルスをシーケンスデータに示された手順で発生させ、周波数エンコード用傾斜磁場ROの高速スイッチングにより連続的に発生する磁気共鳴信号をサンプリングする。
【0021】
このように第1動作モードによれば、位相エンコード用傾斜磁場PE(初期的には被検体の正面背面方向に略平行なY軸方向に一致)及び周波数エンコード用傾斜磁場RO(初期的には被検体の左右方向に略平行なX軸方向に一致)が、スライス選択用傾斜磁場のZ軸を中心として任意角度だけオブリークされるので、磁気的に磁場強度の時間変動(dB/dt)が非常に高くなる場所が、被検体の頭部眉間から外れて、被検体が感じる磁気的な刺激が実効的に軽減される。
【0022】
ここで、画像表示に関して、初期的には、X軸方向が画面の左右方向に、またY軸方向が画面の上下方向に合わされた状態で表示される。しかし、この初期状態のままで、上述のようにオブリークをかけた場合は、画面に対して被検体が傾いた姿勢で表示されてしまう。これを解決するために、画像回転処理部13が設けられており、画像回転処理部13では、操作パネル10から供給されるオブリーク角θの情報に基づいて、画像に回転処理を施す、つまり被検体の上下左右方向が画面の上下左右方向に略一致させるために回転角θを巻き戻すように、今度は(−θ)で回転処理を画像に施す。これにより被検体の上下左右方向を、画面の上下左右方向に略一致させて、画像が傾いていることによる見難さを解消することができる。
【0023】
次に第2の動作モードについて説明する。第1の動作モードは上述したように傾斜磁場をオブリークさせるものであったが、この第2の動作モードは、傾斜磁場にはオブリークをかけないで、つまりシーケンスデータの更新は行わず、RFパルス及び傾斜磁場パルスを標準的なシーケンスデータに従って、位相エンコード用傾斜磁場PEは被検体の正面背面方向に略平行なY軸方向に一致させ、そして周波数エンコード用傾斜磁場ROは被検体の左右方向に略平行なX軸方向に一致させた標準のままで発生する。このように傾斜磁場は標準のままで、被検体の姿勢を全体的又は撮影部位だけを部分的に傾けることで、刺激軽減を図るが、第2の動作モードは被検体にどの程度姿勢を傾ければよいか、その指標を被検体に与えるものである。
【0024】
例えば図3に示すように、被検体が挿入される円筒の内部表面30であって、内部に挿入された被検体が視認可能な円筒上半分の場所に、複数のインジケータ16が取り付けられている。これらインジケータ16は、磁場に影響を与えないように複数の光ファイバー17で構成される。これら光ファイバー17は、Z軸を中心として円弧状に一定間隔(例えば10°)で、最高位置を0°として+90°から−90°の範囲内に制限と配置されている。
【0025】
インジケータ制御部15は、操作パネル10からオブリーク角θの情報を受け取り、そのオブリーク角θに対応する角度位置に取り付けられている1つの光ファイバー17から光を出力させる。被検体は当該1つの光ファイバー17からの光を正面に見るように姿勢を傾ければよい。なお、撮影部位の姿勢を傾けたときの画像回転処理部13の画像回転処理は第1モードと同様であるので、説明は省略する。この第2モードでも第1モードと同様の効果を奏することができる。
【0026】
ここで、インジケータ16としては、光ファイバー17に限定されるものではなく、円筒外部に配置された液晶プロジェクターから当該円筒内部表面30に光点等のマークを投影するようにしてもよいし、角度ごとに色分けされたテープ(例えば0°を白色テープ、±10°を黄色テープ、±20°を青色テープ)を円筒内部表面30に貼り付けておき、撮影時に口頭でいずれか色のテープを注視してもらうように促すようにしてもよい。
【0027】
また、インジケータ16は、被検体がインジケータ16に従って姿勢を変えた後は、基本的には、その役割が完了しているので、この後には、他の用途に使用することができる。例えば、撮影残り時間情報を被検体に提供する用途に用いることができる。例えば、撮影残り時間が5分以上の時には当該オブリークインデック用の光ファイバー17を連続的に点灯させ、5分をきった時には当該光ファイバー17を例えば5秒点灯と1秒消燈とを交互に繰り返し、さらに1分をきった時には当該光ファイバー17の点灯時間を3秒に短縮し、そして撮影終了した時点では完全に消燈する。また、撮影残り時間の減少に応じて発光色を変えるようにしてもよい。
【0028】
また、インジケータ16を、EPI(エコープラナーイメージング法)等の傾斜磁場の高速スイッチングを伴うパルスシーケンスを実行する直前に、当該オブリークインデック用の光ファイバー17からの出力光を例えば発光色を赤に変えて、被検体に「多少の刺激を感じるようなパルスシーケンスをこれから実行する」ことを知らせて、心的な準備を促して、刺激に対する心的な態勢をとってもらうようにしてもよい。また、造影剤注入状況を知らせる用途として、注入直前に、当該オブリークインデック用の光ファイバー17からの出力光を例えば発光色を青色に変え、注入中は黄色、そして注入完了後は赤色に変えていくようにしてもよい。
【0029】
こちろんこれら残り時間や造影剤注入等に関する情報は、点滅態様や表示色を変えることで提供するかわりに、液晶プロジェクターでもに情報として表示するようにしてもよい。
【0030】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することが可能である。さらに、上記実施形態には種々の段階が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されてもよい。
【0031】
【発明の効果】
本発明によれば、傾斜磁場の向き又は被検体のからだの向きを傾けることで刺激を強く感じる例えば眉間を磁場時間変動が強い個所からずらすことで、被検体の刺激を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態による磁気共鳴イメージング装置の構成図。
【図2】図1のシーケンスデータ生成部により回転された傾斜磁場を模式的に示す図。
【図3】図1のインジケータの構成例を示す図。
【符号の説明】
1…静磁場磁石、
2…傾斜磁場コイルユニット、
3…シムコイル、
4…RFコイル、
5…傾斜磁場電源、
6…送信部、
7…受信部
8…シーケンス制御部、
9…シーケンスデータ生成部
10…操作パネル、
11…データ収集部、
12…画像生成処理部、
13…画像回転処理部、
14…画像表示部、
15…インジケータ制御部、
16…インジケータ。
Claims (7)
- エコーを連続的に発生するために傾斜磁場の高速スイッチングを利用したイメージング法により被検体を撮影する磁気共鳴イメージング装置において、
前記傾斜磁場の向きを基準方向から、前記被検体の左右方向に関する前記傾斜磁場の磁場強度の時間変動に対するしきい値と、前記被検体の正面背面方向に関する前記傾斜磁場の磁場強度の時間変動に対するしきい値とに応じた角度傾けることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。 - 前記被検体が頭部又は体全体を傾ける指標としてのインジケータがガントリ内部に設けられていることを特徴とする請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置。
- 前記イメージング法に従って生成された画像を、前記傾きに従って表示画面に対して回転させて表示することを特徴とする請求項1又は2記載の磁気共鳴イメージング装置。
- 前記インジケータを使って前記撮影の残り時間が表示されることを特徴とする請求項2記載の磁気共鳴イメージング装置。
- 前記撮影の残り時間を表示するためインジケータがガントリ内部に設けられていることを特徴とする請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置。
- 前記被検体の左右方向に関するしきい値と、前記被検体の正面背面方向に関するしきい値とは、撮影部位と前記被検体の体格との少なくとも一方に応じて決定されることを特徴とする請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置。
- 前記インジケータの表示を制御するものであり、前記被検体が頭部又は体全体を傾ける指標を前記インジケータに表示させ、前記指標の表示終了後に前記インジケータに前記撮影の残り時間を表示させる制御部をさらに備えることを特徴とする請求項5記載の磁気共鳴イメージング装置。
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