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JP4497753B2 - 走査型プローブ顕微鏡の物理特性測定方法及びプログラムならびに走査型プローブ顕微鏡装置 - Google Patents
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JP4497753B2 - 走査型プローブ顕微鏡の物理特性測定方法及びプログラムならびに走査型プローブ顕微鏡装置 - Google Patents

走査型プローブ顕微鏡の物理特性測定方法及びプログラムならびに走査型プローブ顕微鏡装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、SPMの物理特性測定方法、走査型プローブ顕微鏡装置およびSPMの物理特性測定プログラムに関し、更に詳しくは、試料−カンチレバー間無通電状態かつ試料−カンチレバー間非接触状態で試料表面の形状を測定する技術に係り、特に、ICチップ等の配線を有する試料を観察するのに有用な技術である。
【0002】
【従来の技術】
一般に、走査型プローブ顕微鏡(以下「SPM(Scanning Probe Microscope)」という。)は、先端部に探針(「チップ」ともいう。)を設けたカンチレバーを試料表面に沿って平行に走査して、試料表面の形状測定を行う。
【0003】
SPMには、原理や用途によって、走査型トンネル顕微鏡(以下「STM(Scanning Tunneling Microscope)」という。)、原子間力顕微鏡(以下「AFM(Atomic Force Microscope)」という。)、磁気力顕微鏡(以下「Magnetic Force Microscope」という。)または走査型近視野原子間力顕微鏡(以下「SNOAM(S canning Near field Optical Atomic Force Microscope)」という。)などがある。
【0004】
近年、AFMは、原理的に探針と試料との間を通電しなくても形状測定を行え、また、カンチレバーを交換すればMFMなどの他の機能の顕微鏡(測定機器)としても使用できるなどのため、SPMの中でも特に注目されている。AFMは、カンチレバーの探針を観測対象の試料表面に沿って一定の高さを保って走査し、試料表面と探針との間に発生するファンデルワールス力に基づく原子間力(引力または斥力)をカンチレバーの撓み量として検出することで試料表面の形状測定を行う。
【0005】
このため、AFMは、原理的に探針と試料との間を通電しなくても形状測定を行えるため、絶縁物の試料の表面を観察したり、また、ICチップの配線に通電した状態での形状測定や各種測定を行うようになっている。
【0006】
また、AFMやMFM等は、原理的に、試料−カンチレバー間無通電状態かつ試料−カンチレバー間非接触状態で試料表面の形状を測定するため、ICチップ等の配線を有する試料を観察する際に、配線に通電した状態で形状測定とともに各種測定を行うマルチ測定機器として市販されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、一般に、AFMは、ICチップのように配線に通電した状態で形状を測定する場合には、通電に伴う配線や欠陥部分の発熱によって、カンチレバーを反らせてしまい、形状測定を正確に行うことができない。このため、従来のAFMでは、配線に通電する入力電圧や入力電流を低くしたり、試料−カンチレバー間距離を離して熱による反りの現象を相殺するようにしていた。
【0008】
しかしながら、従来のAFMのように、入力電圧等を低くすると、測定条件が制限されてしまい、多様な測定を行うことができない問題点がある。また、試料−カンチレバー間距離を離してしまうと、適正な原子間力が発生しないため、分解能が低くなってしまう問題点がある。一方、一般に、MFMの場合にも、AFMと同様の問題点がある。
【0009】
そこで、この発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、試料の配線に通電した状態のままでも、入力電圧等を低くしたり、全般的に試料−カンチレバー間距離を離さないで、発熱による力の作用をキャンセルして測定することが可能なSPMの物理特性測定方法、走査型プローブ顕微鏡装置およびSPMの物理特性測定プログラムを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、この発明によるSPMの物理特性測定方法は、先端部に探針を設けたカンチレバーを試料の表面に沿って移動させて行なう走査型プローブ顕微鏡の表面形状、磁気特性および電気特性を示す物理特性の測定方法において、前記試料の同一範囲に対して無通電および通電の両方の場合でのそれぞれの物理特性測定値を測定する工程と、該通電時の物理特性測定値が前記無通電時のそれよりも大きな値となる座標を特定して記憶する工程と、該座標における前記2つの物理特性測定値の差分を特定して記憶する工程と、前記試料に通電した状態で再度の前記カンチレバーによる物理特性測定値の測定を行う再測定の工程と、を含み、前記再測定の工程が、前記カンチレバーと前記試料間距離を一定に保持するために前記特定した座標位置において測定した物理特性測定値から前記差分だけをキャンセルして本来の前記試料の表面形状に沿わせる工程を有することを特徴とする。なお、そのキャンセルは、通電時の測定値から前記差分だけ差し引いた値を正規の測定値するように算出しても、また、カンチレバーと試料との間の距離を離間する補正を行って走査するようにしてもよい。
【0011】
つぎの発明による走査型プローブ顕微鏡装置は、先端部に探針を設けたカンチレバーを試料の表面に沿って移動させ該試料の表面形状、磁気特性および電気特性を示す物理特性の測定を行う走査型プローブ顕微鏡において、前記試料の同一範囲に対して無通電および通電の両方の場合でのそれぞれの物理特性値を測定する物理特性測定手段と、該通電時の物理特性値が前記無通電時のそれよりも大きな値となる座標を特定して記憶する座標記憶手段と、該座標における前記2つの物理特性値の差分を特定して記憶する差分記憶手段と、再度の通電時の測定において、前記カンチレバーと前記試料間距離を一定に保持するために前記特定した座標位置において計測した物理特性値から前記差分だけをキャンセルするキャンセル処理手段と、を有することを特徴とする。なお、そのキャンセル処理手段は、通電時の測定値から前記差分だけ差し引いた値を正規の測定値するように算出しても、また、カンチレバーと試料との間の距離を離間する補正を行って走査するようにしてもよい。
【0012】
なお、前記物理特性としては、試料の表面形状を表すTOPO信号、磁気特性信号、電位または電流とすれば良い。
【0013】
また、つぎの発明のSPMの物理特性測定プログラムは、前記SPMの物理特性測定方法の手順をコンピュータに実行させるためのプログラムとしたことを特徴とする。
【0014】
このプログラムによれば、コンピュータを利用してSPMの物理特性測定方法を提供できる。つまり、また、CPUがROMやRAMに記録された上記方法の手順を記述したプログラムを読み出して実行することで前記各手段を実現して、該方法を実施する該顕微鏡を提供する。
【0015】
なお、「プログラム」とは、任意の言語や記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードやバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は、必ずしも単一的に構成されるものに限らず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OS(Operating System)に代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。また、実施の形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的構成、読み取り手順、あるいは、読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0017】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態に使用する走査型プローブ顕微鏡装置のブロック構成図である。この走査型プローブ顕微鏡装置100は、カンチレバー11と、三次元試料ステージ12と、アクチュエータ駆動増幅器13と、走査信号発生部14と、測定部15と、基準値発生部16と、比較器17,18と、制御部19とを主に有する構成である。
【0018】
前記カンチレバー11は、先端部を先鋭化して形成した探針11aを有している。この探針11aは、芯部分をSiなどで構成し、その上に導電材料や磁性材料をコートして構成される。このカンチレバー11には、試料Xが対向して配置される。
【0019】
そして、試料Xの表面と探針11aとの間に電圧を掛けたり、電流を流す場合には、探針11aに導電材料をコートしたカンチレバー11を使用する。また、試料Xの表面と探針11aとの間の磁気力を計測する場合(MFM)には、探針11aに磁性材料をコートしたカンチレバー11を使用する。なお、AFMだけに使用する場合には、探針11aには、各種材料をコートしないカンチレバー11を使用しても良い。
【0020】
また、カンチレバー11の自由端側には、図示しないピエゾ抵抗体をその表面に設けてある。前記ピエゾ抵抗体は、試料Xの表面の形状測定中に、カンチレバー11が試料Xの表面との間で原子間力が働いて撓んだときに、その撓みによって同時に変形させられる。すると、ピエゾ抵抗体は、その変形にともなう応力に応じて電圧を発生する。
【0021】
前記三次元試料ステージ12は、その上に試料Xを載せて固定し、その試料Xの上方に配置される前記カンチレバー11に対して試料Xを三次元の範囲で移動させる。X軸やY軸方向に移動する場合は、試料Xの表面をカンチレバー11で走査するときなどである。また、Z軸方向に移動する場合は、試料Xとカンチレバー11との間を調整するときである。
【0022】
前記アクチュエータ駆動増幅器13は、前記制御部19からの制御信号を増幅して前記三次元試料ステージ12の駆動させる。
【0023】
前記走査信号発生部14は、試料XのXY平面内の微動を制御する微動信号をアクチュエータ駆動増幅器13へ供給するとともに、図示しないCRTへラスタ走査信号を供給する。
【0024】
前記測定部15は、カンチレバー11にバイアス信号を印加したり、カンチレバー11の変位に応じた出力信号を増幅したり、TOPO信号(試料Xの凹凸信号)・電圧・電流・磁束などの測定信号を増幅する。そして、増幅した各種測定信号などは、前記比較器17,18の非反転入力端子(+)に入力される。
【0025】
前記基準値発生部16は、カンチレバー11の各種測定信号に関する基準値を発生し、前記比較器17,18の反転入力端子(−)に入力する。
【0026】
前記比較器17,18は、各種測定値と基準値と比較し、基準値との差を誤差信号として制御部19に出力する。なお、前記基準値は、例えば、撓み量が0の時に出力が0になるような値である。
【0027】
前記制御部19は、三次元試料ステージ12の駆動制御、測定部15から入力される測定信号によって試料Xの表面の測定結果を導出する処理、上記測定結果に基づいて、試料Xの表面の状態を画像表示するための画像信号の生成およびその画像信号の図示しないCRTへの出力、前記比較器17,18からの誤差信号が0に近付くようにアクチュエータ駆動増幅器13の制御などを行う。
【0028】
特に、形状測定時には、試料Xとカンチレバー11との間の距離が一定になるように、つまり、誤差信号が0に近づくように三次元試料ステージ12をZ方向に制御する。そして、このZ方向の変位量が、試料Xの凹凸を表すため、カンチレバー11の感知した三次元像として図示しないCRT上に表示される。
【0029】
また、前記制御部19は、CPU20が、ROM21またはRAM22から各種プログラムや各種データを読み出して実行することによって、上述の各種処理を行う。なお、制御部19は、専用のハードウエアにより実現されるものであってもよい。
【0030】
またI/F23が、前記比較器17,18や前記アクチュエータ駆動増幅器13や図示しないCRTとの間のデータやり取りを行う。さらに、この走査型プローブ顕微鏡装置100は、三次元試料ステージ12上にセットした試料Xに対して配線に通電するための図示しない端子と、その端子を介して通電する図示しない通電装置とを有している。
【0031】
次に、この発明の実施の形態1のカンチレバーの走査制御処理を説明する。図2は、この発明の実施の形態1のカンチレバーの走査制御処理のフローチャートである。図3は、この発明の実施の形態1のカンチレバーの走査制御処理の概念を説明する図である。
【0032】
まず、ユーザが、検査対象のICチップなどの試料Xを三次元試料ステージ12上にセットして(ステップSa1)、図示しないボタンを押下して検査開始命令を図示しない端末から入力すると、その検査開始命令が制御部19に入力される(ステップSa2)。なお、三次元試料ステージ12上の試料Xは、図示しない端子に配線を接続してセットする。
【0033】
すると、まず、制御部19は、配線に通電しない状態で、三次元試料ステージ12を移動させて試料Xの表面の形状測定を行い、測定値を無通電時TOPO信号として取得して記録する(ステップSa3,Sa4)。
【0034】
次に、制御部19は、図示しない通電装置を稼動して、試料Xの配線に図示しない端子を介しての通電を開始し(ステップSa5)、この通電状態で、三次元試料ステージ12を移動させて試料Xの表面の形状測定を行い、通電時TOPO信号として測定値を取得して記録する(ステップSa6,Sa7)。
【0035】
続いて、制御部19は、前記無通電時TOPO信号と、前記通電時TOPO信号とを比較し、通電磁TOPO信号が無通電時TOPO信号以上の範囲の信号がある場合には、その範囲の信号の余分な分だけキャンセルするように試料Xとカンチレバー11との間の距離を離す(これをオフセットするという。)(ステップSa8,Sa9,Sa10)。なお、前記範囲以外の信号は、正常信号とする。
【0036】
例えば、図3において、(c)に示す試料X上の配線X1の通電時TOPO信号(a)は、通電時は発熱によって、無通電時TOPO信号(b)よりも範囲αだけ大きくなっている。上述の処理では、この範囲αだけキャンセルするように、この範囲α部分の試料Xとカンチレバー11との間の距離を離す。
【0037】
そして、制御部19は、通電時TOPO信号が無通電時TOPO信号以上の範囲の信号の余分な分だけキャンセルするように試料Xとカンチレバー11との間の距離を離すために、通電状態での走査(スキャニング)時の探針11a−試料X間の距離およびその範囲の座標とどれだけ離すかのZ軸方向の変位量(上記範囲α)を補正信号として記憶する(ステップSa11,Sa12)。
【0038】
その後、制御部19は、前記補正信号を読出し(ステップSa13)、この補正信号に基づいて、通電状態で、三次元試料ステージ12を移動させて試料Xの表面の形状測定を行い、正しい形状をあらわす通電時TOPO信号として測定値を取得して記録する(ステップSa14,Sa15)。
【0039】
次に、この発明の実施の形態1のカンチレバーの走査制御処理の他例を説明する。図4は、この発明の実施の形態1のカンチレバーの走査制御処理の他例の概念を説明する図である。
【0040】
図4において、(c)に示す試料X上の配線X1の通電時TOPO信号(a)は、通電時は発熱によって、無通電時TOPO信号(b)よりも範囲αだけ大きくなるとともに、左右方向にも範囲β,γだけ広がっている。この他例の場合は、上述した処理のように範囲αだけをキャンセルするのではなく、範囲β,γの分もキャンセルする。これによって、発熱に伴う分解能の補正を行うことができるため、高分解能での測定を行うことができるようになる。
【0041】
ここで、この発明の実施の形態1のカンチレバーの走査制御処理時の様子を説明する。図5は、この発明の実施の形態1のカンチレバーの走査制御処理時の様子を説明する図である。
【0042】
図5において、無通電時には(a)に示すように、試料Xの配線X1からの発熱による力の作用が少なく、通電時には(b)に示すように、試料Xの配線X1からの発熱による力の作用が大きいため、無通電時よりも通電磁の方がカンチレバー11が撓んでいる。この発明の実施の形態では、試料への通電時にスキャンする場合に、補正信号によって発熱による撓みの影響を取り除く処理を行う。
【0043】
上記実施の形態1によれば、試料の配線に通電した状態のままでも、入力電圧等を低くしたり、発熱部位以外の試料−カンチレバー間距離を離さなくても、発熱による力の作用をキャンセルして測定することができるようになる。
【0044】
このため、測定条件を制限することなく、多様な測定を行うことができるようになり、また、正しい通電時TOPO信号を取得することができる効果が得られ、さらに、高分解能にすることができる効果が得られる。
【0045】
(実施の形態2)
この実施の形態2は、上記実施の形態1ではTOPO信号の場合を説明したが、この実施の形態2では、磁気特性信号の場合である。なお、上記実施の形態1で説明した走査型プローブ顕微鏡装置100のブロック構成は、同一であるため以下の説明でも図1を適宜参照する。但し、カンチレバー11の探針11aは、磁性コートをしてあるものとする。
【0046】
図6は、この発明の実施の形態2のカンチレバーの走査制御処理のフローチャートである。まず、ユーザが、検査対象のICチップなどの試料Xを三次元試料ステージ12上にセットして(ステップSb1)、図示しないボタンを押下して検査開始命令を図示しない端末から入力すると、その検査開始命令が制御部19に入力される(ステップSb2)。なお、三次元試料ステージ12上の試料Xは、図示しない端子に配線を接続してセットする。
【0047】
すると、まず、制御部19は、配線に通電しない状態で、三次元試料ステージ12を移動させて試料Xの表面の磁気特性測定を行い、測定値(磁束)を無通電時磁気特性信号として取得して記録する(ステップSb3,Sb4)。
【0048】
次に、制御部19は、図示しない通電装置を稼動して、試料Xの配線に図示しない端子を介しての通電を開始し(ステップSb5)、この通電状態で、三次元試料ステージ12を移動させて試料Xの表面の磁気特性測定を行い、通電時磁気特性信号として測定値を取得して記録する(ステップSb6,Sb7)。
【0049】
続いて、制御部19は、前記無通電時磁気特性信号と、前記通電時磁気特性信号とを比較し、通電時磁気特性信号が無通電時磁気特性信号以上の範囲の信号がある場合には、その範囲の信号の余分な分だけキャンセルするように試料Xとカンチレバー11との間の距離を離す(これをオフセットするという。)(ステップSb8,Sb9,Sb10)。なお、前記範囲以外の信号は、正常信号とする。
【0050】
そして、制御部19は、通電時磁気特性信号が無通電時磁気特性信号以上の範囲の信号の余分な分だけキャンセルするように試料Xとカンチレバー11との間の距離を離すために、通電状態での走査(スキャニング)時の探針11a−試料X間の距離およびその範囲の座標とどれだけ離すかのZ軸方向の変位量を補正信号として記憶する(ステップSb11,Sb12)。
【0051】
その後、制御部19は、前記補正信号を読出し(ステップSb13)、この補正信号に基づいて、通電状態で、三次元試料ステージ12を移動させて試料Xの表面の磁気特性測定を行い、正しい磁気特性をあらわす通電時磁気特性信号として測定値を取得して記録する(ステップSb14,Sb15)。
【0052】
上記実施の形態2によれば、試料の配線に通電した状態のままでも、入力電圧等を低くしたり、発熱部位以外の試料−カンチレバー間距離を離さなくても、発熱による力の作用をキャンセルして測定することができるようになる。
【0053】
このため、測定条件を制限することなく、多様な測定を行うことができるようになり、また、正しい通電時磁気特性信号を取得することができる効果が得られ、さらに、高分解能にすることができる効果が得られる。
【0054】
(実施の形態3)
この実施の形態3は、上記実施の形態1ではTOPO信号の場合、上記実施の形態2では磁気特性信号を説明したが、この実施の形態2では、電位,電流の場合である。なお、上記実施の形態1で説明した走査型プローブ顕微鏡装置100のブロック構成は、同一であるため以下の説明でも図1を適宜参照する。但し、カンチレバー11の探針11aは、導電材をコートをしてあるものとする。図7は、この発明の実施の形態3のカンチレバーの走査制御処理のフローチャートである。
【0055】
まず、ユーザが、検査対象のICチップなどの試料Xを三次元試料ステージ12上にセットして(ステップSc1)、図示しないボタンを押下して検査開始命令を図示しない端末から入力すると、その検査開始命令が制御部19に入力される(ステップSc2)。なお、三次元試料ステージ12上の試料Xは、図示しない端子に配線を接続してセットする。
【0056】
すると、まず、制御部19は、配線に通電しない状態で、三次元試料ステージ12を移動させて試料Xの表面の電位,電流測定を行い、無通電時電位,電流として測定値を取得して記録する(ステップSc3,Sc4)。
【0057】
次に、制御部19は、図示しない通電装置を稼動して、試料Xの配線に図示しない端子を介しての通電を開始し(ステップSc5)、この通電状態で、三次元試料ステージ12を移動させて試料Xの表面の電位,電流測定を行い、通電時電位,電流として測定値を取得して記録する(ステップSc6,Sc7)。
【0058】
続いて、制御部19は、前記無通電時電位,電流と、前記通電時電位,電流とを比較し、通電時電位,電流が無通電時電位,電流以上の範囲の信号がある場合には、その範囲の信号の余分な分だけキャンセルするように試料Xとカンチレバー11との間の距離を離す(これをオフセットするという。)(ステップSc8,Sc9,Sc10)。なお、前記範囲以外の信号は、正常信号とする。
【0059】
そして、制御部19は、通電時電位,電流が無通電時電位,電流以上の範囲の電位,電流の余分な分だけキャンセルするように試料Xとカンチレバー11との間の距離を離すために、通電状態での走査(スキャニング)時の探針11a−試料X間の距離およびその範囲の座標とどれだけ離すかのZ軸方向の変位量を補正信号として記憶する(ステップSc11,Sc12)。
【0060】
その後、制御部19は、前記補正信号を読出し(ステップSc13)、この補正信号に基づいて、通電状態で、三次元試料ステージ12を移動させて試料Xの表面の電位,電流測定を行い、正しい電位,電流をあらわす通電時電位,電流として測定値を取得して記録する(ステップSc14,Sc15)。なお、電位,電流のいずれか一方のみを測定するようにしても良い。
【0061】
上記実施の形態3よれば、試料の配線に通電した状態のままでも、入力電圧等を低くしたり、発熱部位以外の試料−カンチレバー間距離を離さなくても、発熱による力の作用をキャンセルして測定することができるようになる。
【0062】
このため、測定条件を制限することなく、多様な測定を行うことができるようになり、また、正しい通電時電位,電流を取得することができる効果が得られ、さらに、高分解能にすることができる効果が得られる。
【0063】
なお、上記実施の形態で説明した走査型プローブ顕微鏡装置は、上述した機能等と同一となる構成であれば上述した構成に限らない。また、上記実施の形態では、カンチレバーの撓みを検出する手段として、カンチレバー自身にピエゾ抵抗体を生め込んだ自己検知型の場合を説明したが、撓みを検知するのであれば、レーザ光源からカンチレバーの自由端近傍にレーザ光を照射し、その反射光を検出器で検出して、撓みを検出するようにしても良い。
【0064】
また、上記実施の形態では、再度、通電時に、カンチレバーを試料の表面に沿って移動させて物理特性を測定していく際に、特定した物理特性の範囲の座標ではカンチレバーと試料との間の距離を離す補正を行って走査することによって無通電時の物理特性との差分だけキャンセルするようにした場合を説明したが、これに限らず、そのキャンセルは、通電時の測定値から前記差分だけ差し引いた値を正規の測定値として算出するようにしてもよい。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、試料の配線に通電した状態のままでも、入力電圧等を低くしたり、発熱部位以外の試料−カンチレバー間距離を離さなくても、発熱による力の作用をキャンセルして測定することができるようになる。
【0066】
このため、測定条件を制限することなく、多様な測定を行うことができるようになり、また、正しい通電時の試料表面形状を表すTOPO信号、通電時磁気特性信号、通電時電位,電流などの物理特性信号を取得することができる効果が得られ、さらに、高分解能にすることができる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態に使用する走査型プローブ顕微鏡装置のブロック構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1のカンチレバーの走査制御処理のフローチャートである。
【図3】この発明の実施の形態1のカンチレバーの走査制御処理の概念を説明する図である。
【図4】この発明の実施の形態1のカンチレバーの走査制御処理の他例の概念を説明する図である。
【図5】この発明の実施の形態1のカンチレバーの走査制御処理時の様子を説明する図である。
【図6】この発明の実施の形態2のカンチレバーの走査制御処理のフローチャートである。
【図7】この発明の実施の形態3のカンチレバーの走査制御処理のフローチャートである。
【符号の説明】
100 走査型プローブ顕微鏡装置
11 カンチレバー
11a 探針
12 三次元試料ステージ
13 アクチュエータ駆動増幅器
19 制御部
X 試料
X1 配線

Claims (8)

  1. 先端部に探針を設けたカンチレバーを試料の表面に沿って移動させて行なう走査型プローブ顕微鏡の表面形状、磁気特性および電気特性のうちいずれかを示す物理特性の測定方法において、
    前記試料の同一範囲に対して無通電および通電の両方の場合でのそれぞれの前記物理特性の測定値を測定する工程と、
    該通電時の物理特性の測定値が前記無通電時のそれよりも大きな値となる座標を特定して記憶する工程と、
    該座標における前記2つの物理特性の測定値の差分を特定して記憶する工程と、
    前記試料に通電した状態で再度の前記カンチレバーによる物理特性の測定値の測定を行う再測定の工程と、を含み、
    前記再測定の工程が、前記特定した座標位置において測定した物理特性測定値から前記差分だけをキャンセルして前記カンチレバーと前記試料間距離を一定に保持した状態とする工程を有することを特徴とする走査型プローブ顕微鏡の物理特性測定方法。
  2. 前記キャンセルが、再度の前記試料への通電時の測定に際して、予め前記カンチレバーと前記試料間の距離を前記差分相当の距離だけ離間する補正を行い、前記特定した座標位置では、当該差分相当の距離だけ前記離間をキャンセルして本来の前記試料の表面形状に沿わせるようにした請求項1に記載の走査型プローブ顕微鏡の物理特性測定方法。
  3. 前記物理特性測定値が、試料表面形状を表すTOPO信号、磁気特性信号、電気特性として電位または電流である請求項1または2に記載の走査型プローブ顕微鏡の物理特性測定方法。
  4. 先端部に探針を設けたカンチレバーを試料の表面に沿って移動させ該試料の表面形状、磁気特性および電気特性のうちいずれかを示す物理特性の測定を行う走査型プローブ顕微鏡において、
    前記試料の同一範囲に対して無通電および通電の両方の場合でのそれぞれの物理特性値を測定する物理特性測定手段と、
    該通電時の物理特性値が前記無通電時のそれよりも大きな値となる座標を特定して記憶する座標記憶手段と、
    該座標における前記2つの物理特性値の差分を特定して記憶する差分記憶手段と、
    再度の通電時の測定において、前記カンチレバーと前記試料間距離を一定に保持するために前記特定した座標位置において計測した物理特性値から前記差分だけをキャンセルするキャンセル処理手段と、を有することを特徴とする走査型プローブ顕微鏡装置。
  5. 該キャンセル処理手段が、予め前記カンチレバーと前記試料間の距離を前記差分相当の距離だけ離間する補正を行い、前記特定した座標位置では、当該差分相当の距離だけ前記離間をキャンセルするように補正する請求項4に記載の走査型プローブ顕微鏡装置。
  6. 前記物理特性値が、試料の表面形状を表すTOPO信号、磁気特性信号、電気特性として電位または電流である請求項4または5に記載の走査型プローブ顕微鏡装置。
  7. 先端部に探針を設けたカンチレバーを試料の表面に沿って移動させて行なう走査型プローブ顕微鏡による前記試料の表面形状、磁気特性および電気特性のうちいずれかを示す物理特性の測定方法の手順をコンピュータが実行実行可能なプログラムであって、
    前記試料の同一範囲に対して無通電および通電の両方の場合でのそれぞれの物理特性値を測定する物理特性測定手段に測定させる手順と、
    該通電時の物理特性値が前記無通電時のそれよりも大きな値となる座標を特定して記憶する座標記憶手段に前記座標の特定と記憶をさせる手順と、
    該座標における前記2つの物理特性値の差分を特定して記憶する差分記憶手段に前記差分の特定と記憶をさせる手順と、
    前記試料に通電した状態での前記カンチレバーによる物理特性値の再測定を前記物理特性測定手段により測定させる手順と、を含み、
    前記再測定の際、前記カンチレバーと前記試料間距離を一定に保持するために前記特定した座標位置において測定した物理特性値から前記差分だけをキャンセルするキャンセル処理手段に処理をさせる手順と、を有することを特徴とするプログラム。
  8. 該キャンセル処理手段に処理をさせる手順が、予め前記カンチレバーと前記試料間の距離を前記差分相当の距離だけ離間する補正を行い、前記特定した座標位置では、当該差分相当の距離だけ前記離間をキャンセルするように補正する請求項7に記載のプログラム。
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