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JP4500985B2 - インクライン台車 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクライン設備における延設途中のインクライン架台の上を走行するインクライン台車に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ダム工事やトンネルの斜坑掘削など斜面上での工事では、支持脚を有し上面にレールが敷かれたインクライン架台を斜面に沿って敷設し、このインクライン架台に載せたインクライン台車で必要機材や人員を運搬する所謂インクライン設備が設置されている。
【0003】
このインクライン設備を斜面上方へ延長構築して行くには、施工済みのインクライン設備部分の上方先端部へインクライン台車を上昇移動させ、インクライン台車に乗せた機器を使って次のスパンとなるインクライン架台を延設し、このインクライン架台の延設工程と延設されたインクライン架台の上でのインクライン台車の上昇移動を繰り返すことにより設備の延長が図られている。
【0004】
インクライン設備におけるインクライン台車の上昇方法として、特開平9−71923号公報には、施工済みインクライン設備の先端に、走行可能なシー台車を固定し、シーブ台車とインクライン台車との間に捲回したワイヤーロープの端をウインチに繋ぎ、ウインチを駆動源とすることによりインクライン台車を移動させる方法が開示されている。
【0005】
また、特開平11−256552号公報には、インクライン架台のレールに所定間隔をおいて突起を設け、インクライン台車の下部には前記レールに沿って伸縮し、且つ前記突起に係止するストッパを有するジャッキを設けておき、インクライン台車を上昇させる場合は、ジャッキを斜面の上方に伸長し、前記ストッパを前記突起に掛止させた状態で、ジャッキを斜面の上方に収縮させてインクライン台車を移動させる方法が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記シー台車を用いてウインチを駆動源としてインクライン台車を昇降させる方法では、次のスパンの作業に入る際、インクライン台車に積み込んだクレーンを使ってシー台車を前方に移動させるものである。従って、移動の度にワイヤーロープを緩めるので、その都度インクライン台車を固定して滑り落ち対策をしなければならないうえに、シー台車を移動し固定した後、シーブ台車とインクライン台車との間に発生するワイヤーロープの緩みを張る作業を毎回しなければならなかった。従って、時間と労力を多く必要とするうえに作業員の安全性を含めて作業負担が極めて大きかった。
【0007】
また、インクライン台車の前方には常にシー台車とワイヤーロープが存在するので、インクライン台車上からの延設作業の邪魔になるうえにワイヤーロープを損傷する恐れもある
【0008】
また、ジャッキを用いてインクライン台車を昇降させる方法では、インクライン台車はストッパの掛け外しとジャッキの伸縮を何度も繰り返しながら昇降するので、移動に時間がかかり移動のための作業性が悪かった。
【0009】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたもので、インクライン架台上で移動と停止が簡単にできるとともに円滑に昇降走行するインクライン設備における延設作業性に優れたインクライン台車を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記問題を解決するために、ラックの外側に駆動用レールが敷設され前記駆動用レールの外側に走行用レールが敷設されたインクライン架台の上を走行するインクライン台車において、台車本体にリンク機構を介して連結配置された前記駆動用レールを走行する駆動車に、下端に前記ラックと水平方向に噛合するピニオン歯車を有する駆動軸を垂下する減速機における回転軸の先端にブレーキ付き三重籠型モータを連結した駆動装置と、下端に前記ラックと水平方向に噛合するピニオン歯車を有する駆動軸を垂下する減速機における回転軸の先端にディスクブレーキを連結した非常用制動装置を備えた。通常の運転では三重籠型モータのブレーキを使ってピニオン歯車でインクライン台車を制動し停止させ、非常の場合には、非常制動装置の減速機の回転軸の先端に設けたディスクブレーキが作動することにより、減速機を介してピニオン歯車で制動する。特に、インクライン台車が何らかの原因で所定制限速度を越えたとき、その検出信号により作動して、三重籠型モータ側のブレーキと共に全ブレーキが協動してインクライン台車の走行を停止する。また、三重籠型モータ側の通常ブレーキが何らかの原因で作動しない場合にも作動し、非常制動装置は単独でもインクライン台車を停止するブレーキ力を有している。
【0011】
インクライン台車は、台車本体にリンク装置を介して連結配置された駆動車のラックに噛合するピニオン歯車を駆動装置によって回転させることによりインクライン架台のレール上を昇降走行し、ラックとピニオン歯車の噛み合いで制動し停止状態を維持する。走行中のインクライン台車にはレールの敷設時の誤差などにより横揺れが発生するが、横揺れによるレールに直交方向への荷重は、リンク装置の平行運動で緩和され、駆動装置は台車本体の横揺れによる荷重から保全されている。従って、ラックとピニオン歯車の噛合い部分にコジリ等による無理な荷重が発生せず、円滑な走行性が確保される。
【0012】
また、前記駆動装置の原動機に三重籠型モータを使用することが好ましい。この原動機の特性から、起動電流が抑制され電源装置や給電設備を小さくすることができるとともに、起動時間を短くして高頻度の起動が可能となり、始動トルクも一定に保つので、インクライン台車における長い引き回しケーブルの使用が可能となる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のインクライン台車の好適な実施の形態を添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
図1乃至図5は、本発明のインクライン台車の好適な実施の形態を示しており、インクライン装置における延設途中のインクライン架台1の上を走行するインクライン台車Dは、台車本体10と前記台車本体の中央部にリンク装置30を介して連結配置された駆動車20とで構成されている。
【0015】
インクライン架台1は、山の傾斜面に所定間隔を置いて立設された架台脚(図示省略)の上に、山の斜面に沿ってH鋼材などによって構築されている。インクライン架台1の上面中央には、中心を挟んで両外側へ歯3a、3aを向けたラック3が敷設され、ラック3の両側には所定間隔をおいて駆動用レール2、2が平行して敷設され、更にその外側には走行用レール4、4が敷設されている。
【0016】
インクライン台車Dにおける台車本体10は、鋼材を用いてインクライン架台1の横幅とほぼ同幅に形成された基枠11の上方に支柱12で支持された作業台13が立設されているとともに、基枠11における最外方の桁11a、11aの下方に走行用レール4、4の上を走行する車輪14、14を備えている。作業台13には、インクライン架台最先端の延設作業現場において使用するクレーン車(図示省略)やインクライン装置の延設に必要な諸機材や人員が搭載される。
【0017】
また、台車本体10の前方部の横桁17には、主としてインクライン設備が完成した後、インクライン台車Dの昇降に使用するシー15が設置されている。また、後方部には、インクライン台車Dにおける駆動車20の駆動装置Kに電力を供給するケーブルリール16が設置されている。
【0018】
台車本体10の中央部にリンク装置30を介して連結配置された駆動車20は、減速機22を有する2対のブレーキ付き三重籠型モータ23からなる駆動装置Kと、減速機24にディスクブレーキ25を設けてなる非常制動装置Bと、前記駆動装置Kと非常用制動装置Bを支持する車台21とを備えて構成されており、非常制動装置Bが支持されている車台21の下方には駆動用レール2、2の上を走行する車輪5、5が設けられている。
【0019】
駆動装置Kは、減速機22から垂下する駆動軸27の下端にラック3と水平方向で噛み合うピニオン歯車26を有し、駆動軸27を回転することにより水平回転するピニオン歯車26でインクライン台車Dを走行させる。通常の運転では三重籠型モータ23のブレーキを使ってピニオン歯車26でインクライン台車Dを制動し停止させる。
【0020】
非常制動装置Bは、減速機24から垂下する駆動軸28の下端にラック3と噛み合うピニオン歯車29を有し、減速機24の回転軸の先端に設けたディスクブレーキ25が作動することにより、減速機24を介してピニオン歯車2で制動する。
【0021】
インクライン台車Dが何らかの原因で所定制限速度を越えたとき、その検出信号により作動して、三重籠型モータ23側のブレーキと共に全ブレーキが協動してインクライン台車Dの走行を停止する。また、三重籠型モータ23側の通常ブレーキが何らかの原因で作動しない場合にも作動し、単独でもインクライン台車Dを停止するブレーキ力を有している。
【0022】
駆動装置Kにおいて使用する三重籠型モータ23は、特開平6−205570号公報に開示されたかご形誘導電動機であり、始動時から中間時を経て定格運転時に到る領域における電流値を小さくして、必要以上の電源装置、配線の使用を不要にするとともに、発熱量を小さくし、しかも全領域におけるトルクをほぼ一定に保って、始動時間を短くし、高頻度の起動が可能で、効率がよいと言う特性を有している。
【0023】
従って、インクライン装置の基端からケーブルを使って電力の供給を受けるインクライン台車Dに採用することにより、ケーブルの引き回し距離が長くなっても通常のモータを使用した場合に比較してケーブルリール16が小形化される。
【0024】
上記の駆動車20と台車本体10を連結しているリンク装置30は、駆動車20の車台21の先端に突設した二つの連結突起31、31のそれぞれに、一対の連結板32、32の一端部を軸ピン33、33で回動可能に軸止すると共に連結板32、32のもう一端部を平面コの字形の金物34の先端部に軸ピン35、35で回動可能に軸止して対向する節が同じ寸法の四節機構を構成し、前記金物34の中央を台車本体10前方部に架け渡された横桁17の中央から後方に突出する台車本体10側の連結突起36に連結ピン37で回動可能に軸着することにより構成されている。
【0025】
走行中の台車本体Dには、駆動用レール2、走行用レール4の敷設誤差や車輪14、14の取付誤差などが起因して左右の横揺れが伴う。この横揺れによりラック3とピニオン歯車26の噛み合い部分にこじり等による無理な荷重が発生すると、ピニオン歯車26の欠損や駆動モータ23の損傷等、難しい修理を伴う事故を引き起こす。
【0026】
本発明のインクライン台車Dでは、台車本体10と駆動装置Kを有する駆動車20を独立して設け、台車本体10の中央部に駆動車20を配設して、リンク装置30を介して連結ピン37で連結しており、これにより、台車本体10の横揺れによって発生するレール2、4に直交方向の荷重による影響は、リンク装置30における対向する節の平行運動で緩和される。台車本体10と駆動車20はそれぞれ走行用レールと駆動用レール上を無理なく走行し、駆動装置Kは台車本体10の横揺れの荷重から保全されている。従って、ラック3とピニオン歯車26の噛合い部分に無理な荷重がかからないことから故障のない円滑な走行性が確保されている。
【0027】
以上のように構成された本実施の形態のインクライン台車Dにあっては、駆動車20の駆動装置Kによりラック3と噛み合うピニオン歯車26を回転させることにより自走し、給電用ケーブル(図示省略)をケーブルリール16で巻き延ばししながら、駆動車20は駆動用レール2上を走行し、台車本体10は走行用レール4上を走行する。
【0028】
電動により自走するので昇降移動が迅速にして円滑に行われるとともに、制動も停止の維持もラック3とピニオン歯車26、29の噛み合いで行われるので作動が確実で作業員による複雑な操作を必要としない。
【0029】
また、駆動装置Kの原動機に三重籠型モータ23を使用したので、その特性から、給電ケーブルや搭載ケーブルリール16等の設備が小さくなり、従来よりも経済的なサイズのケーブルの使用を可能としている。また、頻度の高い起動ができるので駆動を繰り返してインクライン台車Dを移動することにより正確な位置に停止させることができる。
【0030】
また、従来のように、インクライン台車の前方にシー台車を設置する必要がないので、延設中のインクライン架台1の最先端にインクライン台車Dを移動させることがきる。従って、周辺機器の損傷を心配することなく作業を進めることができるとともに、一回の移動での作業範囲が広くなるので作業効率がよい。
【0031】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0032】
インクライン架台の上を、ラックに噛合するピニオン歯車を駆動して自走するようにしたので、昇降移動が迅速化されると共に確実な制動と正確な位置での停止が可能となり、インクライン台車の固定や移動に伴う従来の複雑な作業が著しく軽減して、作業を効率化することができる。
【0033】
しかも、台車本体の中央部に駆動装置を備えた駆動車を配置しリンク装置を介して連結したので、走行中の横揺れでラックとピニオン歯車の噛合い部分に無理な荷重が発生せず、駆動装置の故障が少ない円滑な運転ができる。
【0034】
また、前記駆動装置の原動機に三重籠型モータを使用したので、必要以上の電源装備や給電ケーブルの使用が不要となり、使用するケーブルサイズが小さくなることで搭載ケーブルの引き回しスパンが大きくなってインクライン台車の活動が効率化する。また、小さな移動を短時間に繰り返すことができるので、正確な位置に停止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクライン台車の実施の形態の概要を示す説明図。
【図2】図1のインクライン台車の上部設備を取り除いた状態の概要を示す平面図。
【図3】図2のX矢視方向を示す拡大断面図。
【図4】図2のY矢視方向を示す拡大断面図。
【図5】本発明のインクライン台車におけるリンク装置を示す断面図。
【符号の説明】
1 インクライン架台,2 駆動用レール,3 ラック,4 走行用レール,10 台車本体,13 作業台,14 車輪,20 駆動車,23 三重籠型モータ,26 ピニオン歯車,30 リンク装置,

Claims (2)

  1. ラックの外側に駆動用レールが敷設され前記駆動用レールの外側に走行用レールが敷設されたインクライン架台の上を走行するインクライン台車において、台車本体にリンク機構を介して連結配置された前記駆動用レールを走行する駆動車に、下端に前記ラックと水平方向に噛合するピニオン歯車を有する駆動軸を垂下する減速機における回転軸の先端にブレーキ付き三重籠型モータを連結した駆動装置と、下端に前記ラックと水平方向に噛合するピニオン歯車を有する駆動軸を垂下する減速機における回転軸の先端にディスクブレーキを連結した非常用制動装置を備えたことを特徴とするインクライン台車。
  2. 前記駆動車と台車本体を連結しているリンク装置は、駆動車の車台の先端に突設した二つの連結突起のそれぞれに、一対の連結板の一端部を軸ピンで回動可能に軸止すると共に連結板のもう一端部を平面コの字形の金物の先端部に軸ピンで回動可能に軸止して対向する節が同じ寸法の四節機構を構成し、前記金物の中央を台車本体前方部に架け渡された横桁の中央から後方に突出する前記台車本体側の連結突起に連結ピンで回動可能に軸着することにより構成されていることを特徴とする請求項1に記載のインクライン台車。
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