JP4501541B2 - 光学活性シクロプロパンカルボン酸の製造方法 - Google Patents
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で示される(1R)−トランス−2,2−ジメチル−3−(ベンジルオキシメチル)シクロプロパン−1−カルボン酸は、優れた殺虫効力を有するいわゆる合成ピレスロイドと総称されるエステルの酸成分の中間体となる。
1.一般式 化2
で示される2,2−ジメチル−3−(ベンジルオキシメチル)シクロプロパン−1−カルボン酸エステルに、当該エステルを不斉水解して、(1R)−トランス−2,2−ジメチル−3−(ベンジルオキシメチル)シクロプロパン−1−カルボン酸とそのジアステレオマーのエステルとに分割する能力を有し、下記のアミノ酸配列群の中から選ばれるアミノ酸配列を有する酵素又は当該酵素を産生する微生物(以下、総じて本生物的触媒と記すこともある。)を作用させる工程、(1R)−トランス−2,2−ジメチル−3−(ベンジルオキシメチル)シクロプロパン−1−カルボン酸とそのジアステレオマーのエステルとを分割する工程、分割された(1R)−トランス−2,2−ジメチル−3−(ベンジルオキシメチル)シクロプロパン−1−カルボン酸を回収する工程、を有することを特徴とする(1R)−トランス−2,2−ジメチル−3−(ベンジルオキシメチル)シクロプロパン−1−カルボン酸の取得方法(以下、本発明取得方法と記すこともある。)
<アミノ酸配列群>
(a)配列番号1で示されるアミノ酸配列
(b)配列番号1で示されるアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸配列が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を有する酵素のアミノ酸配列
(c)配列番号2で示される塩基配列によりコードするアミノ酸配列
(d)配列番号2で示される塩基配列に対し相補性を有する塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドの塩基配列によりコードされるアミノ酸配列;
2.前記アミノ酸配列群の中から選ばれるアミノ酸配列を有する酵素又は当該酵素を産生する微生物が、前記能力を人為的に付与されてなる組み換え体微生物又はその死菌化細胞であることを特徴とする前項1記載の取得方法;
3.組み換え体微生物が、2,2−ジメチル−3−(ベンジルオキシメチル)シクロプロパン−1−カルボン酸エステルを不斉水解して、(1R)−トランス−2,2−ジメチル−3−(ベンジルオキシメチル)シクロプロパン−1−カルボン酸とそのジアステレオマーのエステルとに分割する能力を有し、前記アミノ酸配列群の中から選ばれるアミノ酸配列を有する酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するプラスミドが導入されてなる組み換え体微生物であることを特徴とする前項2記載の取得方法;
4.組み換え体微生物が大腸菌であることを特徴とする前項2又は3記載の取得方法;
5.2,2−ジメチル−3−(ベンジルオキシメチル)シクロプロパン−1−カルボン酸エステルを不斉水解して、(1R)−トランス−2,2−ジメチル−3−(ベンジルオキシメチル)シクロプロパン−1−カルボン酸とそのジアステレオマーのエステルとに分割する能力を有する酵素が、配列番号1で示されるアミノ酸配列を有する酵素であることを特徴とする前項1記載の取得方法;
6.2,2−ジメチル−3−(ベンジルオキシメチル)シクロプロパン−1−カルボン酸エステルを不斉水解して、(1R)−トランス−2,2−ジメチル−3−(ベンジルオキシメチル)シクロプロパン−1−カルボン酸とそのジアステレオマーのエステルとに分割する能力を有する酵素が、配列番号2で示される塩基配列によりコードされるアミノ酸配列であることを特徴とする前項1記載の取得方法;
7.一般式化2で示される2,2−ジメチル−3−(ベンジルオキシメチル)シクロプロパン−1−カルボン酸エステルを不斉水解して、(1R)−トランス−2,2−ジメチル−3−(ベンジルオキシメチル)シクロプロパン−1−カルボン酸とそのジアステレオマーのエステルとに分割するための触媒としての、当該2,2−ジメチル−3−(ベンジルオキシメチル)シクロプロパン−1−カルボン酸エステルを不斉水解して、(1R)−トランス−2,2−ジメチル−3−(ベンジルオキシメチル)シクロプロパン−1−カルボン酸とそのジアステレオマーのエステルとに分割する能力を有し、前記アミノ酸配列群の中から選ばれるアミノ酸配列を有する酵素又は当該酵素を産生する微生物の使用;
8.一般式化2で示される2,2−ジメチル−3−(ベンジルオキシメチル)シクロプロパン−1−カルボン酸エステルを不斉水解して、(1R)−トランス−2,2−ジメチル−3−(ベンジルオキシメチル)シクロプロパン−1−カルボン酸とそのジアステレオマーのエステルとに分割するための触媒としての、当該2,2−ジメチル−3−(ベンジルオキシメチル)シクロプロパン−1−カルボン酸エステルを不斉水解して、(1R)−トランス−2,2−ジメチル−3−(ベンジルオキシメチル)シクロプロパン−1−カルボン酸とそのジアステレオマーのエステルとに分割する能力を有し、下記の塩基配列群から選ばれる塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するプラスミドが導入されてなる組み換え体微生物又はその死菌化細胞の使用
<塩基配列群>
(c’)配列番号2で示される塩基配列
(d’)配列番号2で示される塩基配列に対し相補性を有する塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドの塩基配列;
等を提供するものである。
本発明製造方法で用いられる酵素は、一般式 化2で示される2,2−ジメチル−3−(ベンジルオキシメチル)シクロプロパン−1−カルボン酸エステル(以下、本エステルと記すことがある。)を不斉分解して、(1R)−トランス−2,2−ジメチル−3−(ベンジルオキシメチル)シクロプロパン−1−カルボン酸(以下、本カルボン酸と記すこともある。)とそのジアステレオマーのエステルとに分割する能力を有する酵素である(以下、本酵素と記すこともある。)。このような酵素は、本酵素を産生する微生物等から通常の生化学的な手法や遺伝子工学的な手法等を利用して調製することができる。例えば、本酵素を産生する微生物が形質転換体である場合には、当該形質転換体としては、本エステルを不斉分解して、本カルボン酸とそのジアステレオマーのエステルとに分割する能力を有する酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるDNAを含有するプラスミドが少なくとも導入されてなる形質転換体(以下、本形質転換体と記すこともある。)等をあげることができる。また、本酵素を産生する微生物が非形質転換体(即ち、前記能力が人為的に付与されていないにも係わらず、予め当該能力を有する微生物)である場合には、当該非形質転換体としては、後述の実施例のように、市販の微生物又は土壌等から前記能力を指標にしてスクリーニングすることにより単離された微生物等があげられる。このような微生物の例としては、アルスロバクター(Arthrobacter)属に属する微生物等をあげることができる。
このような微生物の具体的な例としては、例えば、アルスロバクタ−(Arthrobacter)SC−6−98−28株(FERM BP−3658;特開平4−234991号公報に記載されるFERM P−11851号に基づき国際寄託へ移管された微生物)等を挙げることができる。また当該微生物が産生する本酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有する遺伝子が導入されてなる形質転換体(例えば、特開平5−56787号公報参照)も挙げられる。
<アミノ酸配列群>
(a)配列番号1で示されるアミノ酸配列
(b)配列番号1で示されるアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸配列が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列であって、かつ、(一般式化2で示される)2,2−ジメチル−3−(ベンジルオキシメチル)シクロプロパン−1−カルボン酸エステル(即ち、本エステル)を不斉水解して、(1R)−トランス−2,2−ジメチル−3−(ベンジルオキシメチル)シクロプロパン−1−カルボン酸とそのジアステレオマーのエステルとに分割する能力を有する酵素のアミノ酸配列
(c)配列番号2で示される塩基配列によりコードするアミノ酸配列
(d)配列番号2で示される塩基配列に対し相補性を有する塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドの塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を有し、かつ、(一般式化2で示される)2,2−ジメチル−3−(ベンジルオキシメチル)シクロプロパン−1−カルボン酸エステル(即ち、本エステル)を不斉水解して、(1R)−トランス−2,2−ジメチル−3−(ベンジルオキシメチル)シクロプロパン−1−カルボン酸とそのジアステレオマーのエステルとに分割する能力を有する酵素のアミノ酸配列
前記(b)にある「(アミノ酸が)欠失、置換若しくは付加(された)」(以下、総じてアミノ酸の改変と記すこともある。)を人為的に行う場合の手法としては、例えば、配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNAに対して慣用の部位特異的変異導入を施し、その後このDNAを常法により発現させる手法が挙げられる。ここで部位特異的変異導入法としては、例えば、アンバー変異を利用する方法(ギャップド・デュプレックス法、Nucleic Acids Res.,12,9441-9456(1984))、変異導入用プライマーを用いたPCRによる方法等が挙げられる。
前記で改変されるアミノ酸の数については、少なくとも1残基、具体的には1若しくは数個、又はそれ以上である。かかる改変の数は、本エステルを不斉水解して、本カルボン酸とそのジアステレオマーのエステルとに分割する能力を見出すことのできる範囲であればよい。
また前記欠失、置換若しくは付加のうち、特にアミノ酸の置換に係る改変が好ましい。当該置換は、疎水性、電荷、pK、立体構造上における特徴等の類似した性質を有するアミノ酸への置換がより好ましい。このような置換としては、例えば、(1)グリシン、アラニン;(2)バリン、イソロイシン、ロイシン;(3)アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン;(4)セリン、スレオニン;(5)リジン、アルギニン;(6)フェニルアラニン、チロシンのグループ内での置換が挙げられる。
ここで「配列同一性」とは、2つのDNA又は2つの蛋白質間の配列の同一性及び相同性をいう。前記「配列同一性」は、比較対象の配列の領域にわたって、最適な状態にアラインメントされた2つの配列を比較することにより決定される。ここで、比較対象のDNA又は蛋白質は、2つの配列の最適なアラインメントにおいて、付加又は欠失(例えばギャップ等)を有していてもよい。このような配列同一性に関しては、例えば、Vector NTIを用いて、ClustalWアルゴリズム(Nucleic Acid Res.,22(22):4673-4680(1994)を利用してアラインメントを作成することにより算出することができる。尚、配列同一性は、配列解析ソフト、具体的にはVector NTI、GENETYX-MACや公共のデータベースで提供される解析ツールを用いて測定される。前記公共データベースは、例えば、ホームページアドレスhttp://www.ddbj.nig.ac.jpにおいて、一般的に利用可能である。
前記(d)にある「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする」に関して、ここで使用されるハイブリダイゼーションは、例えば、Sambrook J., Frisch E. F., Maniatis T.著、モレキュラークローニング第2版(Molecular Cloning 2nd edition)、コールド スプリング ハーバー ラボラトリー発行(Cold Spring Harbor Laboratory press)に記載される方法や、「クローニングとシークエンス」(渡辺格監修、杉浦昌弘編集、1989年、農村文化社発行)に記載されているサザンハイブリダイゼーション法等の通常の方法に準じて行うことができる。また「ストリンジェントな条件下」とは、例えば、6×SSC(900mM NaCl、90mM クエン酸三ナトリウムを含む溶液。尚ここでは、NaCl175.3g、クエン酸三ナトリウム88.2gを含む溶液を水800mlで溶解し、10N NaClでpHを調製した後、全量を1000 mlとした溶液を20×SSCとする。)中で65℃にてハイブリッドを形成させた後、2×SSCで50℃にて洗浄するような条件(Molecular Biology, John Wiley & Sons, N. Y. (1989), 6.3.1-6.3.6)等を挙げることができる。洗浄ステップにおける塩濃度は、例えば、2×SSCで50℃の条件(低ストリンジェンシーな条件)から0.1×SSCで65℃までの条件(高ストリンジェンシーな条件)から選択することができる。洗浄ステップにおける温度は、例えば、室温(低ストリンジェンシーな条件)から65℃(高ストリンジェンシーな条件)から選択することができる。また、塩濃度と温度の両方を変えることもできる。
アルスロバクター属に属する微生物等から通常の遺伝子工学的手法に準じて染色体DNAを調製し、調製された染色体DNAを鋳型として、かつ適切なプライマーを用いてPCRを行うことにより、配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるDNA、配列番号1で示されるアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるDNA、配列番号2で示される塩基配列を有するDNA等を増幅して本酵素遺伝子を調製する。
ここでアルスロバクター属に属する微生物由来の染色体DNAを鋳型として、かつ配列番号3に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと配列番号4に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドとをプライマーに用いてPCRを行う場合には、配列番号2で示される塩基配列からなるDNAを増幅して本酵素遺伝子を調製することになる。
当該PCRの条件としては、例えば、4種類のdNTPを各々20μM、2種類のオリゴヌクレオチドプライマーを各々15pmol、Taqpolymeraseを1.3U及び鋳型となるcDNAライブラリーを混合した反応液を97℃(2分間)に加熱した後、97℃(0.25分間)−50℃−(0.5分間)−72℃(1.5分間)のサイクルを10回、次いで97℃(0.25分間)−55℃(0.5分間)−72℃(2.5分間)のサイクルを20回行い、さらに72℃で7分間保持する条件が挙げられる。
尚、当該PCRに用いるプライマーの5’末端側には、制限酵素認識配列等を付加していてもよい。
上記のようにして増幅されたDNAを、Sambrook J., Frisch E. F., Maniatis T.著「Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd edition」(1989), Cold Spring Harbor Laboratory Press、「Current Protocols in Molecular Biology」(1987), John Wiley & Sons, Inc. ISBNO-471-50338-X等に記載されている方法に準じてベクターにクローニングして組換ベクターを得ることができる。用いられるベクターとしては、具体的には、例えば、pUC119(宝酒造社製)、pTV118N(宝酒造社製)、pBluescriptII (東洋紡社製)、pCR2.1-TOPO(Invitrogen社製)、pTrc99A(Pharmacia社製)、pKK223-3(Pharmacia社製)等が挙げられる。このようにしてベクターに組み込んだ形態で本酵素遺伝子を調製すれば、後の遺伝子工学的手法における使用において便利である。
上記の組換プラスミドとしては、例えば、宿主細胞中で複製可能な遺伝情報を含み、自立的に増殖できるものであって、宿主細胞からの単離・精製が容易であり、宿主細胞中で機能可能なプロモーターを有し、検出可能なマーカーを持つ発現ベクターに、本酵素をコードする遺伝子が機能可能な形で導入されたものを好ましく挙げることができる。尚、発現ベクターとしては、各種のものが市販されている。
ここで、「機能可能な形で」とは、上記の組換プラスミドを宿主細胞に導入することにより宿主細胞を形質転換させた際に、本酵素遺伝子が、プロモーターの制御下に発現するようにプロモーターと結合された状態にあることを意味する。プロモーターとしては、大腸菌のラクトースオペロンのプロモーター、大腸菌のトリプトファンオペロンのプロモーター、又は、tacプロモーターもしくはtrcプロモーター等の大腸菌内で機能可能な合成プロモーター等をあげることができる。またコリネバクテリウム・シュードジフテリティカム、ペニシリウム・シトリナム、バシラス・メガテリウムにおいて本酵素遺伝子の発現を制御しているプロモーターを利用してもよい。
また発現ベクターとしては、選択マーカー遺伝子(例えば、カナマイシン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子等の抗生物質耐性付与遺伝子等)を含むベクターを用いると、当該ベクターが導入された形質転換体を当該選択マーカー遺伝子の表現型等を指標にして容易に選択することができる。
さらなる高発現を導くことが必要な場合には、本酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有する遺伝子の上流にリボゾーム結合領域を連結してもよい。用いられるリボゾーム結合領域としては、Guarente L.ら(Cell 20, p543)や谷口ら(Genetics of Industrial Microorganisms, p202, 講談社)による報告に記載されたものを挙げることができる。
宿主細胞としては、原核生物(例えば、Escherichia属、Bacillus属、Corynebacterium属、Staphylococcus属、Streptomyces属)もしくは真核生物(例えば、Saccharomyces属、Kluyveromyces属、Aspergillus属)である微生物細胞、昆虫細胞又は哺乳動物細胞等を挙げることができる。例えば、本形質転換体の大量調製が容易になるという観点では、大腸菌等を好ましく挙げることができる。
本酵素が宿主細胞中で発現できるようなプラスミドを宿主細胞に導入する方法としては、用いられる宿主細胞に応じて通常使われる導入方法であればよく、例えば、「Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd edition」(1989), Cold Spring Harbor Laboratory Press、「Current Protocols in Molecular Biology」(1987), John Wiley & Sons, Inc. ISBNO-471-50338-X等に記載される塩化カルシウム法や、「Methods in Electroporation:Gene Pulser /E.coli Pulser System」 Bio-Rad Laboratories, (1993)等に記載されるエレクトロポレーション法等をあげることができる。
宿主細胞において本酵素遺伝子が宿主細胞中で発現できるようなプラスミドが導入された形質転換体を選抜するには、前記の如く、例えば、ベクターに含まれる選択マーカー遺伝子の表現型を指標にして選抜すればよい。
プラスミドが導入された宿主細胞(即ち、形質転換体)が本酵素遺伝子を保有していることは、例えば、「Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd edition」(1989), Cold Spring Harbor Laboratory Press等に記載される通常の方法に準じて、制限酵素部位の確認、塩基配列の解析、サザンハイブリダイゼーション、ウエスタンハイブリダイゼーション等を行うことにより、確認することができる。
培養温度は、本形質転換体が生育可能な範囲で適宜変更できるが、通常約10〜50℃、好ましくは約20〜40℃である。
培地のpHは約6〜8の範囲が好ましい。
培養時間は、培養条件によって異なるが通常約1日〜約5日が好ましい。
本形質転換体を培養するための培地としては、例えば、微生物等の宿主細胞の培養に通常使用される炭素源や窒素源、有機塩や無機塩等を適宜含む各種の培地を用いることができる。
炭素源としては、例えば、グルコース、デキストリン、シュークロース等の糖類、グリセロール等の糖アルコール、フマル酸、クエン酸、ピルビン酸等の有機酸、動物油、植物油及び糖蜜が挙げられる。これらの炭素源の培地への添加量は培養液に対して通常0.1〜30%(w/v)程度である。
窒素源としては、例えば、肉エキス、ペプトン、酵母エキス、麦芽エキス、大豆粉、コーン・スティープ・リカー(Corn Steep Liquor)、綿実粉、乾燥酵母、カザミノ酸等の天然有機窒素源、アミノ酸類、硝酸ナトリウム等の無機酸のアンモニウム塩、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機酸のアンモニウム塩、フマル酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム等の有機酸のアンモニウム塩及び尿素が挙げられる。これらのうち有機酸のアンモニウム塩、天然有機窒素源、アミノ酸類等は多くの場合には炭素源としても使用することができる。これらの窒素源の培地への添加量は培養液に対して通常0.1〜30%(w/v)程度である。
有機塩や無機塩としては、例えば、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、鉄、マンガン、コバルト、亜鉛等の塩化物、硫酸塩、酢酸塩、炭酸塩及びリン酸塩を挙げることができる。具体的には、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、塩化コバルト、硫酸亜鉛、硫酸銅、酢酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸水素一カリウム及びリン酸水素二カリウムが挙げられる。これらの有機塩及び/又は無機塩の培地への添加量は培養液に対して通常0.0001〜5%(w/v)程度である。
さらに、tacプロモーター、trcプロモーター及びlacプロモーター等のアロラクトースで誘導されるタイプのプロモーターと、本酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有する遺伝子とが機能可能な形で接続されてなるDNAが導入されてなる形質転換体の場合には、本酵素の生産を誘導するための誘導剤として、例えば、isopropyl thio-β-D-galactoside(IPTG)を培地中に少量加えることもできる。
まず、微生物の培養物から遠心分離等により菌体を集めた後、これを超音波処理、ガラスビーズ処理、ダイノミル処理、フレンチプレス処理等の物理的破砕方法又はリゾチーム等の菌体溶菌酵素処理等によって破砕する。得られた破砕液から遠心分離、メンブレンフィルターろ過等により不溶物を除去して無細胞抽出液を調製し、これを陽イオン交換クラマトグラフィー、陰イオン交換クラマトグラフィー、疎水クラマトグラフィー、ゲルクロマトグラフィー等の分離精製方法を適宜用いて分画することによって本酵素を精製することができる。例えば、カルボキシルメチル(CM)基、DEAE基、フェニル基、またはブチル基等が導入されたセルロース、デキストラン又はアガロース等の樹脂担体が挙げられる。市販の担体充填済みカラムを用いることができ、例えば、Hiload 16/10 Q Sepharose HP、Phenyl-Sepahrose HP(商品名、いずれもアマシャム ファルマシア バイオテク社製)、TSK−gel G3000SW(商品名、東ソー社製)等が挙げられる。
本エステルに、当該エステルを不斉水解して、本カルボン酸とそのジアステレオマーのエステルとに分割する能力を有する酵素を産生する微生物の、本発明取得方法の不斉水解反応に用いる形態には、例えば、(1)培養液をそのまま用いる形態、(2)培養液の遠心分離等により菌体を集め、当該菌体を緩衝液若しくは水で洗浄することにより得られた湿菌体を用いる形態、等の培養により得られた微生物の菌体をその用いる形態が含まれる。
本エステルに、当該エステルを不斉水解して、本カルボン酸とそのジアステレオマーのエステルとに分割する能力を有する酵素又は当該酵素を産生する微生物の処理物の、本発明取得方法の不斉水解反応に用いる形態には、例えば、培養液の遠心分離等により菌体を集め、当該菌体を緩衝液若しくは水で洗浄した湿菌体を、(1)有機溶媒(アセトン、エタノール等)処理することにより得られたものを用いる形態や(2)凍結乾燥処理することにより得られたものを用いる形態や(3)アルカリ処理することにより得られたものを用いる形態や(4)菌体を物理的に又は酵素的に破砕することにより得られたものを用いる形態、さらには、これらのものを公知の方法により固定化処理することにより得られたものを用いる形態も含まれる。
死菌化処理方法としては、例えば、物理的殺菌法(加熱、乾燥、冷凍、光線、超音波、濾過、通電)や、化学薬品を用いる殺菌法(アルカリ、酸、ハロゲン、酸化剤、硫黄、ホウ素、砒素、金属、アルコール、フェノール、アミン、サルファイド、エーテル、アルデヒド、ケトン、シアン及び抗生物質)をあげることができる。尚、これらの殺菌法のうちできるだけ本酵素の酵素活性を失活させず、かつ反応系への残留、汚染などの影響が少ない処理方法を各種の反応条件に応じて適宜選択することがよい。
本発明取得方法において本エステルを不斉水解して、本カルボン酸を生じさせる反応は、本酵素若しくは当該酵素を産生する微生物、又はそれらの処理物を作用させることによって達成される。尚、本エステルとしては、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル等が挙げられるが、メチルエステル、エチルエステルが好適である。
当該反応は、通常、水の存在下で行われる。水は緩衝液の形態であってもよく、この場合に用いられる緩衝剤としては、例えば、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム等のリン酸アルカリ金属塩、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等の酢酸のアルカリ金属塩が挙げられる。
尚、緩衝液を溶媒として用いる場合、その量は本エステル1重量部に対して、通常、1〜300重量倍、好ましくは5〜100重量倍である。
当該反応に際しては、本エステルを反応系内に連続又は逐次加えてもよい。尚、当該反応中は、本エステルと本生物的触媒とがよく混合するように、攪拌又は振とう等の操作を用いることがよい。
反応pHとしては、反応が進行する範囲内で適宜変化させることができるが、例えば、pH4〜11を挙げることができる。好ましくはpH7〜10が挙げられる。
反応に使用する有機溶媒の量は、本エステルに対して、通常、100重量倍以下であり、好ましくは70重量倍以下である。
例えば、まず反応液をヘキサン、ヘプタン、tert−ブチルメチルエーテル、酢酸エチル、エ−テル、トルエン等の有機溶媒で未反応のエステルを抽出することにより、当該エステルを分割・回収する。必要に応じて抽出操作で用いられた有機層を乾燥した後、濃縮物として当該化合物を回収することができる。次いで水層をろ過した後、塩酸、硫酸等の無機酸又は酢酸等の有機酸を加えてpHを酸性とし、ヘキサン、ヘプタン、tert−ブチルメチルエーテル、酢酸エチル、エ−テル、トルエン等の有機溶媒で目的とするカルボン酸を抽出することにより、当該カルボン酸を分割・回収する。さらに分割・回収されたカルボン酸は、必要に応じて抽出操作で用いられた有機層を乾燥した後、濃縮物として当該化合物を回収することができる。回収された化合物は、さらに必要に応じて、カラムクロマトグラフィー等により高度に精製することもできる。尚、上記の分割・回収工程の一部として、上記抽出操作の前に、例えば、上記反応液を濾過したり、又は遠心分離等の処理により不溶物を除去する操作を実施してもよい。
因みに、未反応のエステルは、ラセミ化等の処理を施した後、本発明取得方法における原料として再利用することができ、また、目的により、これを加水分解等の処理を施した後、ピレスロイドエステルに導くこともできる。
後述の参考例1で製造された死菌化細胞液の希釈液(0.2Mグリシン緩衝液、pH10.0)0.94mlに2,2−ジメチル−3−(ベンジルオキシメチル)シクロプロパン−1−カルボン酸メチルエステル(1R体/1S体=32/68、トランス体/シス体=60/40)50mgを加えた後、当該混合物を40℃で24時間攪拌した。攪拌後、当該混合物に少量の塩酸を加えることにより酸性とした後、トルエン抽出した。当該抽出物に内部標準物質(テトラデカン)を加えた後、これをガスクロマトグラフィ−(カラム:DB−210 0.53φ 30m 1ミクロン J&W Scientific製)により生じたカルボン酸の量を測定することにより、上記反応における加水分解率を算出したところ17%であった。
さらに当該2,2−ジメチル−3−(ベンジルオキシメチル)シクロプロパン−1−カルボン酸を液体クロマトグラフィ−(カラム:Chromolith Performance RP−18e 4.6φ×100mm メルク製、 CHIRALCEL OD−RH 3.0φ×150mm ダイセル製)で分析することにより、その立体異性体比を算出したところ、1R−トランス体/1S−トランス体/1R−シス体/1S−シス体=100/0/0/0であった。
参考例1 (死菌化細胞液の製造方法)
上記の実施例1で使用されたアルスロバクタ−SC−6−98−28株由来のエステラ−ゼ遺伝子が導入された組み換え体大腸菌株は、特開平5−56787号公報記載の方法に準じて調製された。即ち、特開平5−56787号公報記載のアルスロバクターSC−6−98−28株由来のエステラーゼ遺伝子を含むプラスミドpAGE−1を、制限酵素Nsp(7524)V及びHindIIIで消化することにより、エステラーゼ遺伝子の翻訳領域を含むDNA断片を切り出した。切り出されたDNA断片と、特開平5−56787号公報記載のように、エステラーゼ遺伝子の開始コドン、その近傍のDNA配列を変換するために合成したDNA断片及びlacプロモーターが挿入された発現ベクターpUC118(宝酒造株式会社)の制限酵素BamHI−HindIII消化物とをライゲーションした。この様にして、lacプロモーターの下流にアルスロバクターSC−6−98−28株由来のエステラーゼ遺伝子を有する大腸菌用発現プラスミドを調製し、これをエシェリキア コリ(Escherichia coli)JM105株に導入した。
500ml三角フラスコに入れて滅菌された100mlの液体培地(調製法:水1Lにグリセロ−ル5g、酵母エキス6g、リン酸1カリウム9g及びリン酸2カリウム4gを溶解し、pH7.0とする。)に、アンピシリンを50μg/mlになるように加えた。これに、上記で調製されたアルスロバクタ−SC−6−98−28株由来のエステラ−ゼ遺伝子が導入された組み換え体大腸菌株(斜面培養物)1白金耳を接種し、30℃で24時間回転振とう培養した。次に3L容の小型培養槽(丸菱バイオエンジ社製、MDL型)に入れて滅菌された1500mlの液体培地(調製法:水1Lにグリセロ−ル15g、酵母エキス25g、リン酸1カリウム0.4g、硫酸マグネシウム2gおよび硫酸第一鉄0.1gを溶解し、pH7.0とする。)に、上記のようにして得られた15mlの培養液を接種し、30℃で通気攪拌培養した。培養途中、対数増殖期中期(培養開始10〜15時間後)にIPTG(イソプロピルチオ−β−D−ガラクトシド)を終濃度1mMとなるように液体培地に添加した後、滅菌された上記の液体培地を培養槽内に流加しながら40時間培養することにより、培養液を得た。この培養液に28%アンモニア水300gを加えてpH9.6となるように調整しながら28℃で24時間攪拌することにより、死菌化細胞液を得た。
PCRのために設計されたプライマーであるオリゴヌクレオチド
配列番号4
PCRのために設計されたプライマーであるオリゴヌクレオチド
Claims (8)
- 一般式 化1
[式中、RはC1〜C4のアルキル基を表す。]
で示される2,2−ジメチル−3−(ベンジルオキシメチル)シクロプロパン−1−カルボン酸エステルに、当該エステルを不斉水解して、(1R)−トランス−2,2−ジメチル−3−(ベンジルオキシメチル)シクロプロパン−1−カルボン酸とそのジアステレオマーのエステルとに分割する能力を有し、下記のアミノ酸配列群の中から選ばれるアミノ酸配列を有する酵素又は当該酵素を産生する微生物を作用させる工程、
(1R)−トランス−2,2−ジメチル−3−(ベンジルオキシメチル)シクロプロパン−1−カルボン酸とそのジアステレオマーのエステルとを分割する工程、
分割された(1R)−トランス−2,2−ジメチル−3−(ベンジルオキシメチル)シクロプロパン−1−カルボン酸を回収する工程、
を有することを特徴とする(1R)−トランス−2,2−ジメチル−3−(ベンジルオキシメチル)シクロプロパン−1−カルボン酸の取得方法。
<アミノ酸配列群>
(a)配列番号1で示されるアミノ酸配列
(b)配列番号1で示されるアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸配列が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を有する酵素のアミノ酸配列
(c)配列番号2で示される塩基配列によりコードするアミノ酸配列
(d)配列番号2で示される塩基配列に対し相補性を有する塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドの塩基配列によりコードされるアミノ酸配列 - 前記アミノ酸配列群の中から選ばれるアミノ酸配列を有する酵素又は当該酵素を産生する微生物が、前記能力を人為的に付与されてなる組み換え体微生物又はその死菌化細胞であることを特徴とする請求項1記載の取得方法。
- 組み換え体微生物が、2,2−ジメチル−3−(ベンジルオキシメチル)シクロプロパン−1−カルボン酸エステルを不斉水解して、(1R)−トランス−2,2−ジメチル−3−(ベンジルオキシメチル)シクロプロパン−1−カルボン酸とそのジアステレオマーのエステルとに分割する能力を有し、前記アミノ酸配列群の中から選ばれるアミノ酸配列を有する酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するプラスミドが導入されてなる組み換え体微生物であることを特徴とする請求項2記載の取得方法。
- 組み換え体微生物が大腸菌であることを特徴とする請求項2又は3記載の取得方法。
- 2,2−ジメチル−3−(ベンジルオキシメチル)シクロプロパン−1−カルボン酸エステルを不斉水解して、(1R)−トランス−2,2−ジメチル−3−(ベンジルオキシメチル)シクロプロパン−1−カルボン酸とそのジアステレオマーのエステルとに分割する能力を有する酵素が、配列番号1で示されるアミノ酸配列を有する酵素であることを特徴とする請求項1記載の取得方法。
- 2,2−ジメチル−3−(ベンジルオキシメチル)シクロプロパン−1−カルボン酸エステルを不斉水解して、(1R)−トランス−2,2−ジメチル−3−(ベンジルオキシメチル)シクロプロパン−1−カルボン酸とそのジアステレオマーのエステルとに分割する能力を有する酵素が、配列番号2で示される塩基配列によりコードされるアミノ酸配列であることを特徴とする請求項1記載の取得方法。
- 一般式 化2
[式中、RはC1〜C4のアルキル基を表す。]
で示される2,2−ジメチル−3−(ベンジルオキシメチル)シクロプロパン−1−カルボン酸エステルを不斉水解して、(1R)−トランス−2,2−ジメチル−3−(ベンジルオキシメチル)シクロプロパン−1−カルボン酸とそのジアステレオマーのエステルとに分割するための触媒としての、当該2,2−ジメチル−3−(ベンジルオキシメチル)シクロプロパン−1−カルボン酸エステルを不斉水解して、(1R)−トランス−2,2−ジメチル−3−(ベンジルオキシメチル)シクロプロパン−1−カルボン酸とそのジアステレオマーのエステルとに分割する能力を有し、下記のアミノ酸配列群の中から選ばれるアミノ酸配列を有する酵素又は当該酵素を産生する微生物の使用。
<アミノ酸配列群>
(a)配列番号1で示されるアミノ酸配列
(b)配列番号1で示されるアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸配列が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を有する酵素のアミノ酸配列
(c)配列番号2で示される塩基配列によりコードするアミノ酸配列
(d)配列番号2で示される塩基配列に対し相補性を有する塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドの塩基配列によりコードされるアミノ酸配列 - 一般式 化3
[式中、RはC1〜C4のアルキル基を表す。]
で示される2,2−ジメチル−3−(ベンジルオキシメチル)シクロプロパン−1−カルボン酸エステルを不斉水解して、(1R)−トランス−2,2−ジメチル−3−(ベンジルオキシメチル)シクロプロパン−1−カルボン酸とそのジアステレオマーのエステルとに分割するための触媒としての、当該2,2−ジメチル−3−(ベンジルオキシメチル)シクロプロパン−1−カルボン酸エステルを不斉水解して、(1R)−トランス−2,2−ジメチル−3−(ベンジルオキシメチル)シクロプロパン−1−カルボン酸とそのジアステレオマーのエステルとに分割する能力を有し、下記の塩基配列群から選ばれる塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するプラスミドが導入されてなる組み換え体微生物又はその死菌化細胞の使用。
<塩基配列群>
(c’)配列番号2で示される塩基配列
(d’)配列番号2で示される塩基配列に対し相補性を有する塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドの塩基配列
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