JP4507411B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、チューブレスタイヤとして好適な空気入りタイヤに関し、更に詳しくは、タイヤ性能を低下させることなくタイヤ重量を軽減するようにした空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、空気入りタイヤでは、左右一対のビード部間にカーカス層が装架され、その両端部がビード部に埋設されたビードコアの周りにタイヤ内側から外側に折り返されている。トレッド部におけるカーカス層の外周側にはベルト層が設けられ、カーカス層の内側にはタイヤ内側空間に面して気体を保持するインナーライナー層が配置されている。
【0003】
ところで、近年、車両の燃費向上やABS(Anti-Lock Brake System)に対するばね下質量低減などの面から、タイヤの軽量化が強く求められている。従来、その手法としては、タイヤを構成する部品点数の削減や薄肉化が有効であるが、それに伴ってタイヤ性能が低下するため、他の部品で補う必要があり、その結果、タイヤ重量を効果的に軽減できないという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、タイヤ性能を低下させることなく効果的に軽量化することを可能にした空気入りタイヤを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤは、左右一対のサイドウォール部を経て左右一対のビード部間にカーカス層を装架し、該カーカス層を前記ビード部に埋設されたビードコアの周りにタイヤ内側から外側に折り返した空気入りタイヤにおいて、前記カーカス層をタイヤ内側空間に面して配置し、該カーカス層の外側に前記左右一対のビード部間にわたって気体透過防止層を設け、該気体透過防止層を前記カーカス層の折り返し部分のタイヤ幅方向外側に配置すると共に、前記サイドウォール部において前記気体透過防止層が前記カーカス層からタイヤ外表面までのゴム部を形成するようにした空気入りタイヤであって、前記気体透過防止層がブチルゴムを含有するゴム組成物からなり、前記気体透過防止層のゴム100重量部当たりの平均ブチル量V(phr) と該気体透過防止層の最小厚さt(cm)に基づいてγ=1/(V×t)から求まるブチル量指数γが0.10〜0.28(phr-1・cm-1) であることを特徴とするものである。
【0006】
このようにカーカス層をタイヤ内側空間に面して設け、その外側に気体透過防止層を配置することにより、カーカス層からタイヤ表面までの厚さを同じにした従来の同サイズのタイヤに対して、インナーライナー層がない分だけタイヤ重量を大きく軽減することができる。また、インナーライナー層を削減しても耐空気漏れ性が悪化することがなく、更にカーカス層からタイヤ表面までの厚さを従来と同じ厚さだけ確保することができるので、カーカス層に対する耐外傷性が低下することがない。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0008】
図1は本発明を説明するための空気入りタイヤの一例を示し、1はトレッド部、2はサイドウォール部、3はビード部、CLはタイヤセンターラインである。左右一対のビード部3,3間にはカーカス層4が装架され、そのタイヤ幅方向の両端部4aがビード部3に埋設されたビードコア5の周りにビードフィラー6を挟み込むようにしてタイヤ内側から外側に折り返されている。トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には複数のベルト層7が配設されている。
【0009】
カーカス層4は、タイヤ内側空間Sに面するタイヤ最内側位置に配置され、その外側に気体透過防止層8が設けられている。気体透過防止層8は、カーカス層4の外側に隣接しながらトレッド部1でベルト層7の内周側に配置されるようにして、左右一対のサイドウォール部2を経て左右一対のビード部3,3間にわたって延設されている。トレッド部1及びサイドウォール部2のゴム部1A,2Aの肉厚は、気体透過防止層8の肉厚の分だけ従来よりも薄く、トータル(ゴム部1A,2Aの肉厚+気体透過防止層8の肉厚)で、従来のゴム部と同じ肉厚を確保し、カーカス層4からタイヤ表面までの厚さを従来の同サイズのタイヤと同じにしている。
【0010】
このようにカーカス層4の外側に気体透過防止層8を設けることにより、トレッド部1及びサイドウォール部2でのゴム部1A,2Aと気体透過防止層8のトータルの厚さを従来と同じにしながら、カーカス層内側に配置されるインナーライナー層を削減することができるので、タイヤ重量を大きく軽減することができる。
【0011】
また、カーカス層4の外側に気体透過防止層8を設けても、耐空気漏れ性が悪化することがなく、更にサイドウォール部2において、気体透過防止層8の肉厚の分だけサイドウォール部2のゴム部2Aの肉厚を薄くしても、トータルとして従来と同じ厚さを確保することができるので、カーカス層4に対する耐外傷性の悪化を招くことがない。トレッド部1は、初めからゴム部の肉厚が大きいため、気体透過防止層8の肉厚分だけ薄くしても何ら悪影響を招くことがない。
【0012】
なお、カーカス層4のコートゴムに気体透過防止機能を持たせた場合、カーカスコードとコートゴムとの接着性が不十分になり、耐久性の面で不利になる。しかしながら、本発明では気体透過防止層8をカーカス層4に対して独立に設けているため、カーカス層4の耐久性を損なうこともない。
【0013】
図2は、本発明の空気入りタイヤの一例を示し、上述した形態において、気体透過防止層8とサイドウォール部2のゴム部2Aとを一体的に構成し、サイドウォール部2のゴム部2Aを含めて気体透過防止層8としたものである。これにより、上述した効果に加えて、タイヤの製造工程において、気体透過防止層8とサイドウォール部2のゴム部2Aとを一度の工程で成形することができるので、製造工程の短縮が可能になる。
【0015】
本発明において、上記気体透過防止層はゴム組成物から構成することができる。
【0017】
ゴム組成物に用いられるゴム成分としては、例えば、エポキシ化天然ゴム、ブチルゴム(IIR)、イソブチレンと芳香族ビニル又はジエン系モノマー共重合体、アクリルゴム(ACM)、アイオノマー、含ハロゲンゴム〔例えばBr−IIR、Cl−IIR、イソブチレンパラメチルスチレン共重合体の臭素化物(Br−IPMS)〕などを挙げることができる。
【0019】
なお、前記ゴム組成物には、ゴム成分のほか、加硫または架橋剤、加硫または架橋促進剤、老化防止剤、充填剤、軟化剤等の公知の配合剤を配合できる。
【0020】
気体透過防止層のガスバリア指数βとしては、0.1×10-10 〜1.8×10-10(ml/cm2・sec ・cmHg) の範囲が好ましい。このガスバリア指数βが0.1×10-10 より小さいと耐外傷性等のタイヤ性能が不十分になり、逆に1.8×10-10 より大きいと気体の透過を防止することが難しくなる。なお、ここで言うガスバリア指数βは、気体透過防止層の気体透過係数α (ml・cm/cm2・sec ・cmHg) と気体透過防止層の最小厚さt(cm)に基づいて、β=α/tから求めた指数である。
【0021】
但し、気体透過防止層の気体透過係数αは、ASTM D814−95に示される差圧法により測定するものとする。また、気体透過防止層の最小厚さtは、ビード部における気体透過防止層の端末部分を除いた箇所で測定するものとする。最小厚さtの定義は、以下に示すブチル量指数の場合も同様である。
【0022】
上記気体透過防止層がブチルゴムを含有するゴム組成物から構成される場合には、そのブチル量指数γを0.10〜0.28(phr-1・cm-1) の範囲にすることが好ましい。ブチル量指数が0.10より小さいと耐外傷性等のタイヤ性能が不十分になり、逆に0.28より大きいと気体透過防止効果を得ることが困難になる。なお、ここで言うブチル量指数γは、気体透過防止層のゴム100重量部当たりの平均ブチル量V(phr) と気体透過防止層の最小厚さt(cm)に基づいて、γ=1/(V×t)から求めた指数である。
【0023】
本発明は、上記実施形態では、カーカス層からタイヤ表面までの厚さを同じにした従来の同サイズのタイヤに対して、効果的に軽量化できる例を示したが、タイヤ重量を同じにしたタイヤの場合には、サイドウォール部のゴム部分の厚さを従来よりも厚くすることができるので、耐外傷性を向上することができる。
【0024】
【実施例】
タイヤサイズを205/65R15で共通にし、タイヤ内部構造だけを下記のように種々異ならせた従来タイヤ、本発明タイヤ、比較タイヤをそれぞれ製作した。
【0025】
従来タイヤ:
カーカス層の内側にブチルゴムを含有するゴム組成物(ブチル量70phr )からなる厚さ0.05cmのインナーライナー層を配置すると共に、サイドウォール部を通常のゴム組成物(ブチル量0phr )から構成し、そのゴム部の最小厚さを0.20cmとした。
【0026】
本発明タイヤ:
図2のようにカーカス層をタイヤ内側空間に面して配置し、その外側にブチルゴムを含有するゴム組成物(ブチル量50phr )からなる気体透過防止層を設け、該気体透過防止層のベルト下での最小厚さを0.10cmとし、サイドウォール部での最小厚さを0.20cmとした。
【0027】
比較タイヤ:
カーカス層の内側にブチルゴムを含有するゴム組成物(ブチル量50phr )からなる厚さ0.05cmのインナーライナー層を配置すると共に、サイドウォール部を通常のゴム組成物(ブチル量0phr )から構成し、そのゴム部の最小厚さを0.14cmとした。
【0028】
これら各試験タイヤを以下に示す測定条件により、耐空気漏れ性、耐外傷性、及びタイヤ質量の評価試験を行ったところ、表1に示す結果を得た。この表1には、気体透過防止層又はインナーライナー層の気体透過係数、ガスバリア指数、ブチル量指数を併せて示した。
【0029】
耐空気漏れ性:
各試験タイヤをリムサイズ15×6・1/2 JJのリムに装着し、空気圧を250kPa にして、その空気圧を1ヶ月間計測し、空気漏れ率(低下圧力/初期圧力×100%)を測定した。この値が小さいほど空気圧が低下せず耐空気漏れ性が良い。
【0030】
耐外傷性:
各試験タイヤをリムサイズ15×6・1/2 JJのリムに装着し、空気圧を250kPa にして、メリーゴーランド式耐外傷試験機に取り付け、バーストする速度を測定した。この速度値が高いほど耐外傷性が良い。なお、メリーゴーランド式耐外傷試験機は、試験タイヤを周回路で走行させると共に、その周回路に刃物を突出させ、該刃物を弾性的に伸縮自在に保持した装置である。
【0031】
タイヤ質量:
各試験タイヤの質量を測定した。
【0032】
【表1】
この表1から判るように、本発明タイヤは耐空気漏れ性及び耐外傷性の低下を招くことなくタイヤ質量を従来タイヤに比べて低減することができた。一方、比較タイヤは軽量化されているものの耐外傷性が悪化していた。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、左右一対のサイドウォール部を経て左右一対のビード部間にカーカス層を装架し、該カーカス層を前記ビード部に埋設されたビードコアの周りにタイヤ内側から外側に折り返した空気入りタイヤにおいて、前記カーカス層をタイヤ内側空間に面して配置し、該カーカス層の外側に前記左右一対のビード部間にわたって気体透過防止層を設け、該気体透過防止層を前記カーカス層の折り返し部分のタイヤ幅方向外側に配置すると共に、前記サイドウォール部において前記気体透過防止層が前記カーカス層からタイヤ外表面までのゴム部を形成するようにし、前記気体透過防止層をブチルゴムを含有するゴム組成物から構成し、前記気体透過防止層のゴム100重量部当たりの平均ブチル量V(phr) と該気体透過防止層の最小厚さt(cm)に基づいてγ=1/(V×t)から求まるブチル量指数γを0.10〜0.28(phr-1・cm-1) としたので、タイヤ性能を低下させることなくタイヤを効果的に軽量化することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を説明するための空気入りタイヤの一例を示すタイヤ子午線半断面図である。
【図2】 本発明の空気入りタイヤの一例を示すタイヤ子午線半断面図である。
【符号の説明】
1 トレッド部
1A ゴム部
2 サイドウォール部
2A ゴム部
3 ビード部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 空気透過防止層
CL タイヤセンターライン
S タイヤ内側空間
Claims (3)
- 左右一対のサイドウォール部を経て左右一対のビード部間にカーカス層を装架し、該カーカス層を前記ビード部に埋設されたビードコアの周りにタイヤ内側から外側に折り返した空気入りタイヤにおいて、前記カーカス層をタイヤ内側空間に面して配置し、該カーカス層の外側に前記左右一対のビード部間にわたって気体透過防止層を設け、該気体透過防止層を前記カーカス層の折り返し部分のタイヤ幅方向外側に配置すると共に、前記サイドウォール部において前記気体透過防止層が前記カーカス層からタイヤ外表面までのゴム部を形成するようにした空気入りタイヤであって、前記気体透過防止層がブチルゴムを含有するゴム組成物からなり、前記気体透過防止層のゴム100重量部当たりの平均ブチル量V(phr) と該気体透過防止層の最小厚さt(cm)に基づいてγ=1/(V×t)から求まるブチル量指数γが0.10〜0.28(phr-1・cm-1) である空気入りタイヤ。
- トレッド部における前記カーカス層の外周側にベルト層を設け、前記気体透過防止層を該ベルト層の内周側に配置した請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記気体透過防止層の気体透過係数α (ml・cm/cm2・sec ・cmHg) と該気体透過防止層の最小厚さt(cm)に基づいて、β=α/tから求まるガスバリア指数βが0.1×10-10 〜1.8×10-10(ml/cm2・sec ・cmHg) である請求項1又は請求項2に記載の空気入りタイヤ。
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