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JP4508370B2 - インクジェットヘッド - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録紙にインク滴を所定パターンに付着させて画像を形成するインクジェットヘッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、記録紙に画像を形成するための記録デバイスとしてインクジェットヘッドが用いられている。
【0003】
インクジェットヘッドの記録方式には、インク滴を記録紙に向けて吐出・飛翔させるのに発熱抵抗体の発する熱エネルギーを利用するものや圧電素子の変形を利用するもの,更には電磁波の照射に伴って発生する熱を利用するもの等があり、これらの中でも発熱抵抗体の熱エネルギーを利用するサーマルジェットタイプのものは、発熱抵抗体のパターン形成が容易であることに加え、発熱抵抗体の面積が小さくても比較的大きな熱エネルギーを発生させることができることから高密度記録への対応に適したものとして注目されている。
【0004】
かかるサーマルジェットタイプのインクジェットヘッドとしては、例えば、多数の発熱抵抗体及びこれら発熱抵抗体を被覆する保護膜が設けられている基板と、前記発熱抵抗体と1対1に対応する多数のインク吐出孔が穿設されている天板とを、間に所定の間隔を空けて配置させるとともに、前記基板及び天板間の隙間にインクを充填させた構造のものが知られており、記録紙を前記天板の上面に沿って搬送しながら、多数の発熱抵抗体を画像データに基づいて個々に選択的に発熱させ、この熱エネルギーによってインク中に気泡を発生させるとともに、該発生した気泡による圧力でもってインクの一部を天板のインク吐出孔より外部に吐出させ、これを記録紙に付着させることによって所定の画像が記録される。
【0005】
尚、前記インクをインク吐出孔より外部に吐出した後、基板と天板との間には吐出したインクと同じ量のインクが流入して補充されるようになっており、これによって上述の記録動作を連続的に繰り返すことができるようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来のインクジェットヘッドにおいては、発熱抵抗体の熱エネルギーによってインク滴を吐出させた後、基板−天板間の気泡は上述したインクの補充によってその大部分が消滅するものの、細かな気泡が残ってしまうことがある。このような残留気泡を含んだ基板−天板間のインクは、次ラインの記録動作が開始されるまでの間、そのまま同じ場所にあるため、発熱抵抗体を再び発熱させて新たな気泡を発生させると、インクが小さな残留気泡を含んだまま外部に吐出されてしまったり、或いは、新たに発生した気泡と残留気泡とが合体することにより大きな気泡を形成する等してインクの吐出量にバラツキを生じ、画像の濃度むらが形成される欠点を有していた。
【0007】
また上述した従来のインクジェットヘッドの基板−天板間に充填されているインクは、気泡発生の際やインク補充の際を除けば流動することが殆どなく、インクや基板中には熱がこもり易くなっている。それ故、インクジェットヘッドを長時間にわたって使用すると、基板等の温度が過度に高温となり、これによってもインクの吐出量にバラツキを生じて濃度むらが形成されたり、或いは不要なインクが外部に吐出される等の不具合を生じる欠点を有していた。
【0008】
そこで上記欠点を解消するために、基板−天板間に充填されているインクを流動させることでインク吐出孔−発熱抵抗体間より残留気泡を除去し、同時に基板−天板間を流動するインクで基板中の熱を吸収することにより基板を冷却することが検討されている。
【0009】
しかしながら、上述したインクジェットヘッドにおいては、インクが基板−天板間の狭い隙間に充填されていることから、インクを高速で流動させると、インク中では発熱抵抗体やインク吐出孔付近において渦巻き状の流れができ、該渦巻きの発生によってインクの流れが止まるという不都合を生じる。この場合、残留気泡を除去するのに要する時間が長くなってしまう上に基板を短時間で冷却するのに必要なインクの流速が得られず、高速記録に供することが不可となる欠点が誘発される。
【0010】
また上述した従来のインクジェットヘッドにおいては、記録動作に伴い、基板の温度が主走査方向の両端域に比し中央域で高温となる傾向があり、そのような温度分布をもったまま記録動作を続けると、基板温度が高い領域、即ち、主走査方向の中央域ではインク中に発生する気泡の大きさが大きくなり、インク吐出孔より吐出されるインクの量が多くなる。このため、記録紙に形成される画像の濃度が主走査方向の中央域で濃くなってしまう欠点が誘発される。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記欠点に鑑み案出されたもので、本発明のインクジェットヘッドは、主走査方向に直線状に配列した多数の発熱抵抗体及びこれら発熱抵抗体を被覆する保護膜を有する基板と、前記発熱抵抗体と1対1に対応する多数のインク吐出孔が穿設されている天板とを、前記インク吐出孔が前記発熱抵抗体の上部に位置するようにして間に所定の間隔を空けて配置させるとともに、前記基板及び天板間に形成される隙間にインクを充填させてなり、前記インクを発熱抵抗体の配列と直交する方向に流動させながら前記発熱抵抗体の発する熱エネルギーによって前記インク吐出孔よりインク滴を吐出させて画像を形成するインクジェットヘッドであって、前記インクと接する保護膜の表面に、インクの流動方向に沿った多数の溝が形成されており、かつ該溝の深さ及び/又は形成密度が主走査方向の両端域に比し中央域で大となしてあることを特徴とするものである。
【0012】
また本発明のインクジェットヘッドは、前記インクの流速が、少なくとも発熱抵抗体−インク吐出孔間の領域で50μm/sec〜2000μm/secに制御されることを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の一形態に係るインクジェットヘッドの分解斜視図、図2は図1のインクジェットヘッドの副走査方向にかかる断面図、図3は図1のインクジェットヘッドの主走査方向にかかる要部拡大断面図であり、1は基板、3は発熱抵抗体、5は保護膜、6は保護膜表面の溝、7は天板、8はインク吐出孔、9はインクである。
【0014】
前記基板1は、アルミナセラミックス等の電気絶縁性材料によって矩形状をなすように形成され、その上面でグレーズ層2や多数の発熱抵抗体3等を支持するための支持母材として機能する。
【0015】
尚、前記基板1は、例えばアルミナセラミックスから成る場合、アルミナ、シリカ、マグネシア等のセラミックス原料粉末に適当な有機溶剤、溶媒を添加・混合して泥漿状に成すとともに、これを従来周知のドクターブレード法やカレンダーロール法等を採用することによってセラミックグリーンシートを得、しかる後、前記セラミックグリーンシートを所定形状に打ち抜いた上、高温で焼成することによって矩形状をなすように製作される。
【0016】
また前記基板1の上面には、一方の長辺に沿って断面山状のグレーズ層2が帯状に形成され、更にその頂部には多数の発熱抵抗体3が直線状に被着・配列される。
【0017】
前記グレーズ層2は、ガラス等によって断面山状をなすように形成されており、その表面は極めて平滑であることから、該グレーズ層2上に従来周知のフォトリソグラフィー等によって多数の発熱抵抗体3をパターン形成する際、発熱抵抗体3の微細加工を比較的容易に行うことができる。
【0018】
尚、前記グレーズ層2は、ガラスから成る場合、ガラス粉末に適当な有機溶剤、有機バインダー等を添加・混合して得た所定のガラスペーストを、前記基板1の上面に、従来周知のスクリーン印刷等によって帯状に印刷・塗布し、これを高温で焼き付けることにより断面山状をなすように形成される。
【0019】
また前記グレーズ層2上に被着されている多数の発熱抵抗体3は、例えば600dpiのドット密度で主走査方向に直線状に配列されており、TaN系やTaSiO系,TaSiNO系,TiSiO系,TiSiCO系,NbSiO系等の電気抵抗材料から成っているため、各発熱抵抗体3の両端に電気的に接続されている電極層4,4を介して発熱抵抗体3に電源電力が供給されるとジュール発熱を起こし、インク9中で気泡Aを形成するのに必要な熱エネルギーを発生する作用を為す。
【0020】
尚、前記発熱抵抗体3は、従来周知の薄膜手法、具体的にはスパッタリング、フォトリソグラフィー技術及びエッチング技術等を採用し、前述の電気抵抗材料をグレーズ層2の上面に所定厚み、所定パターンに被着させることにより形成される。
【0021】
更に前記発熱抵抗体3等の上面には窒化珪素等から成る保護膜5が略一定の厚みに被着され、該保護膜5によって発熱抵抗体3や電極4,4を被覆している。
【0022】
前記保護膜5は、発熱抵抗体3や電極層4,4をインク10の接触による腐食から保護するためのものであり、従来周知のスパッタリング等によって発熱抵抗体3等の上面に例えば2.0μm〜20.0μmの厚みに被着される。
【0023】
また前記保護膜5の表面には、発熱抵抗体3の配列と直交する方向(副走査方向)に多数の溝6が形成されており、これらの溝6はその深さが図3(a)(b)に示す如く、主走査方向の両端域(基板1の両端から例えば30%〜35%の領域)に比し中央域(基板1の中心から両側に例えば15%〜20%の領域)で大となしてある。
【0024】
前記多数の溝6は、主走査方向の形成密度が例えば6本/mm〜300本/mmに、個々の溝6の主走査方向の幅が例えば3μm〜160μmに設定されており、少なくとも発熱抵抗体3上の領域に、発熱抵抗体3の配列と直交する方向(副走査方向)に設けられているため、後述するインク9を溝6の形成方向に沿って良好かつ安定的に流動させる作用を為す。
【0025】
また前記多数の溝6は、前述した如く、その深さが主走査方向の両端域に比し中央域で大となしてあり、インク9が接する保護膜5の表面積は主走査方向の中央域で広くなっている。従って、記録動作時、基板1やグレーズ層2中に蓄積されている熱は主走査方向の中央域で両端域よりも効率良くインク9側に吸収されることとなる。
【0026】
尚、前記多数の溝6は、従来周知のフォトリソグラフィー技術及びドライエッチング技術を採用することによって形成される。このとき、溝6の深さを主走査方向の中央域で両端域よりも深くするには、保護膜両端域に溝6を形成する際のエッチング時間を中央域に溝6を形成する際よりも長く設定すればよい。これにより、主走査方向の両端域の溝6の深さは例えば0.1μm〜4.0μm、中央域の溝6の深さは例えば5.0μm〜10.0μmとなる。
【0027】
そして上述した基板1上には、発熱抵抗体3と1対1に対応する多数のインク吐出孔8を有した天板7が、間に所定の間隔を空けて、基板上面と略平行に配置される。
【0028】
前記天板7は、インク吐出孔8が対応する発熱抵抗体3の上部に位置するように位置合わせされており、その下面には基板1−天板7間の間隔を略一定に保つための図示しないスペーサが天板7の外周に沿って配され、該スペーサによって基板1−天板7間に所定の隙間を形成するようにしている。
【0029】
また前記天板7に穿設されているインク吐出孔8は、インクジェットヘッドの記録動作時、インク滴iを記録紙に向けて吐出するためのものであり、発熱抵抗体3と1対1に対応するように、発熱抵抗体3と略等しい密度、例えば600dpiのドット密度で主走査方向に直線状に配列されている。
【0030】
尚、前記天板7は、モリブデン等の金属やアルミナセラミックス等の電気絶縁性材料から成り、例えばモリブデンから成る場合、モリブデンのインゴット(塊)を従来周知の金属加工法によって所定厚みの板体と成し、得られた板体に従来周知のレーザー加工等によって直径50μm〜110μmのインク吐出孔8を複数個、穿設することにより製作される。
【0031】
そして前記天板7と基板1との間に形成される隙間にはインク9が充填される。
前記インク9としては、例えば顔料タイプの油性インクや水性染料インク等が使用され、該インク9は図示しないインクタンクから基板1−天板7間に供給され、前述した発熱抵抗体3の熱エネルギーによってインク9中に気泡Aが発生すると、該気泡Aによる圧力でもってインク9の一部がインク滴iとなってインク吐出孔9より外部に吐出される。
【0032】
またこのようなインク9は、インク吐出孔8の配列と直交する方向(副走査方向)に流動させる図示しない循環ポンプ等によってインクタンクとの間で循環される。
【0033】
前記インク9は、発熱抵抗体3とインク吐出孔8との間の領域において、例えば50μm/sec〜2000μm/secの流速で流動するように制御されており、かかるインク9の流れは、発熱抵抗体3の駆動状態にかかわらず、発熱抵抗体3が発熱しているときも、発熱していないときも常に略等しい流速に保たれる。
【0034】
このため、発熱抵抗体3からの熱エネルギーによってインク滴を吐出させた後、基板1−天板7間にいくつかの細かな気泡aが残留したとしても、これらの残留気泡aは基板1−天板8間を流動するインク9と共にインク吐出孔8の配列と直交する方向に移動して、次ラインの記録動作が開始されるまでの間に、発熱抵抗体3とインク吐出孔8との間の領域から速やかに排除される。従って、次ラインの記録動作に伴い発熱抵抗体3を再び発熱させて新たな気泡を発生させた際、インク吐出孔8より吐出されるインク滴iの中に細かな残留気泡aが含まれたり、新たに発生した気泡Aと残留気泡aとが合体することにより大きな気泡を形成したりすることは殆どなく、これによりインク9の吐出量を略一定として濃度むらの少ない良好な画像を形成することが可能となる。
【0035】
尚、インク9の流動方向を副走査方向以外の方向、例えばインク吐出孔8の配列と平行な主走査方向に設定した場合、インク9の流動に伴って残留気泡aが移動する方向には他のインク吐出孔8が多数配置されることとなるので、全ての残留気泡aを発熱抵抗体3とインク吐出孔8との間の領域から排除するには次ラインの記録動作が開始されるまでの間にインク9を主走査方向にわたって流動させる必要があり、この場合、次ラインの記録動作を開始するまでに極めて長時間を要し、高速記録に供しなくなる。従って、残留気泡aをインク吐出孔8の直下より速やかに取り除くにはインク9の流動方向を副走査方向と合致させておくことが重要である。
【0036】
また前記インク9は、発熱抵抗体3や基板1を被覆する保護膜5と接した状態で流動するようになっていることから、インクジェットヘッドを長時間にわたって使用する場合であっても、発熱抵抗体3や基板1,グレーズ層2等の内部に蓄積される熱は保護膜5を介してインク9側に良好に吸収され、基板1やグレーズ層2等の温度が過度に高温となることはない。従って、各ラインの記録動作の間に十分な冷却時間を設けなくても、発熱抵抗体3の温度を記録動作に適した温度に維持してインク9の吐出量を常に略一定になすことができ、高速記録への対応が可能となる。
【0037】
しかも本形態においては、前記保護膜5の表面にインク9の流動方向に沿った多数の溝6が形成されており、インク9が溝6の形成方向、即ち、副走査方向に沿って良好かつ安定的に流動するようになっている。このため、インク9を比較的速い流速(50μm/sec〜2000μm/sec)で流動させても、インク9中で渦巻き状の流れが発生することは殆どなく、インク9の流れが局所的に止まるといった不都合も有効に防止されるようになる。従って、インク9中の残留気泡aを発熱抵抗体3−インク吐出孔8間より短時間で良好に除去するとともに基板1を流動するインク9で速やかに冷却するのに必要な所定の流速を得ることができる。
【0038】
また本形態においては、上述した如く、保護膜表面の溝6が主走査方向の両端域に比し中央域で深く形成されており、基板1やグレーズ層2等からインク9中への放熱が主走査方向の中央域で大となって中央域の放熱特性が向上されていることから、記録動作が比較的長時間に及んでも、基板1等の温度を主走査方向にわたり略一定に保つことができ、これによってもインク9の吐出量を均一化することができる。
【0039】
尚、前記インク9は、基板1と天板7との間を通過した後、一旦、前述のインクタンクに戻って、再度、基板1と天板7との間に供給されるようになっており、これによってインク9が基板1−天板7間の領域とインクタンクとの間を繰り返し循環することとなる。
【0040】
また基板1−天板7間を流動するインク9が基板1等から吸収した熱は、前述の如き循環経路を流動する過程で外部に放散され、再び基板1−天板7間に供給されるまでの間に十分に低い温度まで冷却される。
【0041】
かくして上述したインクジェットヘッドは、記録紙を天板7の上面に沿ってインク吐出孔8の配列方向と直交する方向に搬送しながら、多数の発熱抵抗体3を外部からの画像データに基づき個々に選択的に発熱させ、該発生した熱エネルギーによって発熱抵抗体3上に気泡Aを発生させるとともに、この気泡Aによる圧力でもってインク9の一部を天板7のインク吐出孔8より外部に吐出させ、吐出したインク滴iを記録紙に付着させることによって所定の画像が記録される。
【0042】
尚、本発明は上述の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。
【0043】
例えば上述の形態においては、保護膜5の表面に溝6を形成するのにフォトリソグラフィー技術及びエッチング技術を採用するようにしたが、これに代えて、樹脂フィルムの表面に酸化アルミニウムやシリコンカーバイド,ダイヤモンド等から成る硬質の無機質微粒子が接着されているラッピングフィルムで保護膜5の表面を副走査方向に擦ることにより溝6を形成するようにしても構わない。このとき、主走査方向の中央域に形成される溝6の深さと両端域に形成される溝6の深さを異ならせるには、粒度の異なる無機質微粒子が接着された2種類のラッピングフィルムを用いる。
【0044】
また上述の形態においては、保護膜表面に形成される溝6の深さを主走査方向の中央域と両端域とで変えることにより中央域の放熱特性を向上させるようにしたが、これに代えて、保護膜表面の溝6の形成密度(主走査方向の形成密度)を主走査方向の中央域で両端域に比し大となしたり、或いは、溝6の形成密度と溝6の深さの双方を主走査方向の中央域で両端域に比し大となすようにしても主走査方向の中央域の放熱特性が向上されて上述の形態と同様の効果を奏することができる。
【0045】
更に上述の形態において、金属材料やセラミック材料から成る天板8の上面に更にポリイミド樹脂製のフィルムを被着させておいても構わない。この場合、前記フィルムには、インク吐出孔9の形成箇所に該吐出孔9よりも一回り小さなインク吐出孔が形成され、インク滴iは前記フィルムに設けたインク吐出孔より記録紙に向けて吐出されることとなる。
【0046】
また更に上述の形態において、基板1−天板7間のインク9が全てのインク吐出孔8の直下領域で常に流動されるようになしておけば、発熱抵抗体3の発した熱等によってインク9中の水分もしくは油分がインク吐出孔8から多量に蒸発し、インク吐出孔8内のインク9の粘度が上昇しようとしても、この部分にはインク吐出孔8の直下を流れるインク9から水分もしくは油分が順次補給されることによりインク9がインク吐出孔8付近で固まってしまうことはなく、インク吐出孔8の目詰まりを有効に防止することができる。この場合、画像データに対応した正確な画像を形成することができ、インクジェットヘッドの信頼性が向上される利点もある。
【0047】
【発明の効果】
本発明のインクジェットヘッドによれば、基板及び天板間のインクを、インク吐出孔の配列と直交する方向に流動させるようになしたことから、発熱抵抗体の熱エネルギーによってインク滴を吐出させた後、基板−天板間にいくつかの細かな気泡が残留したとしても、これらの気泡は基板−天板間を流動するインクと共にインク吐出孔の配列と直交する方向に移動して、次ラインの記録動作が開始されるまでの間に、発熱抵抗体とインク吐出孔との間の領域から速やかに排除される。従って、次ラインの記録動作に伴い発熱抵抗体を再び発熱させて新たな気泡を発生させた際、インク吐出孔より吐出されるインク滴の中に細かな残留気泡が含まれたり、新たに発生した気泡と残留気泡とが合体することにより大きな気泡を形成したりすることは殆どなく、これによりインクの吐出量を略一定として濃度むらの少ない良好な画像を形成することが可能となる。
【0048】
また本発明のインクジェットヘッドによれば、インクが発熱抵抗体を被覆する保護膜と接触した状態で流動するようになっていることから、インクジェットヘッドを長時間にわたって使用する場合であっても、発熱抵抗体や基板等の内部に蓄積される熱は保護膜を介してインクに良好に吸収され、基板の温度が過度に高温となることはない。従って、各ラインの記録動作の間に十分な冷却時間を設けなくても、発熱抵抗体の温度を記録動作に適した温度に維持してインクの吐出量を略一定になすことができ、これによって高速記録への対応が可能となる。
【0049】
更に本発明のインクジェットヘッドにおいては、インクと接する保護膜の表面に、インクの流動方向に沿って延びる多数の溝を形成するようにしたことから、基板−天板間のインクを比較的速い流速で所定の方向に良好かつ安定的に流動させることができるようになり、インク中で渦巻き状の流れが発生するのを有効に防止することができる。従って、インク中の残留気泡を発熱抵抗体−インク吐出孔間より短時間で良好に除去するとともに基板を速やかに冷却するのに必要な所定の流速を得ることができる。
【0050】
また更に本発明のインクジェットヘッドにおいては、前記溝該溝の深さ及び/又は形成密度を主走査方向の両端域に比し中央域で大となすようにしたことから、インクと接する保護膜の表面積は主走査方向の中央域で広くなり、中央域での放熱特性が向上される。従って、記録動作が比較的長時間に及んでも、基板等の温度を主走査方向にわたり略一定に保つことができるようになり、これによってもインクの吐出量を均一化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一形態に係るインクジェットヘッドの分解斜視図である。
【図2】図1のインクジェットヘッドの副走査方向にかかる断面図である。
【図3】図1のインクジェットヘッドの主走査方向にかかる断面を部分的に示し、(a)は主走査方向の中央域における拡大断面図、(b)は主走査方向の両端域における拡大断面図である。
【符号の説明】
1・・・基板、3・・・発熱抵抗体、5・・・保護膜、6・・・溝、7・・・天板、8・・・インク吐出孔、9・・・インク

Claims (2)

  1. 主走査方向に配列した多数の発熱抵抗体及びこれら発熱抵抗体を被覆する保護膜を有する基板と、前記発熱抵抗体と1対1に対応する多数のインク吐出孔が穿設されている天板とを、前記インク吐出孔が前記発熱抵抗体の上部に位置するようにして間に所定の間隔を空けて配置させるとともに、前記基板及び天板間に形成される隙間にインクを充填させてなり、前記インクを発熱抵抗体の配列と直交する方向に流動させながら前記発熱抵抗体の発する熱エネルギーによって前記インク吐出孔よりインク滴を吐出させて画像を形成するインクジェットヘッドであって、
    前記インクと接する保護膜の表面に、インクの流動方向に沿った多数の溝が形成されており、かつ該溝の深さ及び/又は形成密度が主走査方向の両端域に比し中央域で大となしてあることを特徴とするインクジェットヘッド。
  2. 前記インクの流速が、少なくとも発熱抵抗体−インク吐出孔間の領域で50μm/sec〜2000μm/secに制御されることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッド。
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