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JP4510190B2 - 抗酸化剤およびその製造法 - Google Patents
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JP4510190B2 - 抗酸化剤およびその製造法 - Google Patents

抗酸化剤およびその製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、抗酸化剤およびその製造方法に関するものである。さらに詳細には、超臨界水分解法を用いることにより、海藻に含まれているポリフェノールの重合体から抗酸化活性を損なうことなく、低分子化したポリフェノール化合物を製造する方法およびその方法によって得られる化合物に関する。本発明の方法により得られた抗酸化活性を有するポリフェノール化合物は、低分子化されているため、食品、化粧品および医薬品に容易に添加し、または加工しやすいという効果を有する。
【0002】
【従来の技術】
生体にとって酸素は必要不可欠なものであるが、酸素が生体内で還元されて活性酸素と呼ばれる一群の反応性の高い分子種になると、生体内でタンパク質、核酸、脂質などの標的分子を酸化し、障害を与えることが知られている。生物はこの酸素による障害を防ぐため、活性酸素の生成量を低く保ち、さらに生成した活性酸素を消去することによって標的分子の酸化を防いでいる。
【0003】
活性酸素として、還元分子種であるスーパーオキシドアニオンラジカル(O2 -)、過酸化水素(H2O2)、ヒドロキシラジカル(・OH)および励起分子種である一重項酸素(1O2)などが知られる他、細胞成分、例えば不飽和脂肪酸の酸化物である不飽和脂肪酸ペルオキシラジカル(LOO・)、不飽和脂肪酸ラジカル(L・)、不飽和脂肪酸ヒドロペルオキシド(LOOH)、不飽和脂肪酸アルコキシラジカル(LO・)なども同じ酸化障害作用を示す物質として知られている。
【0004】
生体内における活性酸素の生成抑制や消去が十分に機能しない場合や、また活性酸素の生成が増加する物理的あるいは化学的な環境条件下では、活性酸素がタンパク質、核酸、脂質などの標的分子を酸化する。その結果、例えば老化、発癌、炎症、虚血性臓器障害、動脈硬化などの種々の障害や疾患が引き起こされる。生体内におけるこれらの活性酸素を消去する機構として、比較的寿命の長いO2 -、H2O2、LOOHは酵素により、その他の寿命の短い活性酸素はアスコルビン酸などの低分子化合物により消去される機構が考えられている。
【0005】
例えば赤血球内で生成したO2 -はほとんどすべてスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)で消去され、H2O2はカタラーゼやペルオキシダーゼによって消去される。一方、1O2はβ−カロチンやトコフェロールによって消去される。また消去作用を有する低分子化合物には、活性酸素のみならず脂質ラジカルを含め有機ラジカルの消去にも作用するものもあり、したがって活性酸素の生成抑制にも作用する場合も多い。
【0006】
これらの知見をもとにして、これまでに各種の抗酸化剤が開発されてきた。しかしながら実用化されているのは化学合成により工業的に製造されているものがほとんどである。例えば、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)やブチルヒドロキシトルエン(BHT)などの合成抗酸化剤が一般に用いられている。しかし、これらの合成抗酸化剤は発癌性の面から安全性に問題があるとされている。
【0007】
一方、天然物由来の抗酸化剤は、野菜、果実、海藻、ハーブ、香辛料などから抗酸化成分を抽出し、これらに安定剤、賦形剤を混合して粉粒状、錠剤または液体状の形態にして用いられている。
【0008】
天然物からも様々な抗酸化成分が見出されている。特に植物に広く含まれているフラボノイド類、例えば茶葉などに含まれているカテキンの抗酸化活性に関しては多くの報告がある(Chem. Pharm. Bull., 47, p.279−283 (1999);Biochimica et Biophysica Acta, 1427, p.13−23 (1999);および特開昭59-45385)。また、海藻由来の抗酸化剤として、特開平6-340621、特開平9-77768に記載されているようなインドール化合物や特開平6-298753に記載のクロマノール誘導体といった低分子化合物あるいは特開平4-239593に記載されているヒバマタ科海藻の抽出物における抗酸化作用の報告がある。さらに、ホンダワラ科、コンブ科、ヒバマタ科に属する海藻にはフロロタンニンと呼ばれるポリフェノール化合物が含まれていることが広く報告されている(Chem. Pharm. Bull., 37, p.2438-2440 (1989);Phytochemistry, 30, p.3423-3427 (1991);Phytochemistry, 38, p.975-985 (1995);Natural Toxins, 5, p.58-63 (1997);Phytochemistry, 14, p.1403-1405 (1975))。しかしながら、これらの海藻を原料にした抗酸化剤は、水またはアルコール等の有機溶剤などを用いて海藻より抽出した抽出物そのものを抗酸化剤として用いているため、活性物質が特定できないものが多かった。
【0009】
超臨界流体に関しては、抽出、精製、合成、分解と様々な応用研究がなされている。超臨界水に関しては、PCBやダイオキシンの無害化などの研究(特開平9-327678)がなされている。また、バイオマスの分解反応についても研究され、特開平5-31000には超臨界水を溶媒として用い、天然または合成高分子化合物を選択的に加水分解または熱分解してポリマー類を構成単位もしくはそれらのオリゴマー程度の結合体まで分解する方法、具体的には紙、木材、わらなどのポリマー資源中に大量に含まれているセルロースからのグルコース生成、あるいはリグニン系材料の低分子化が報告されている。特開平9-268166にはタンパク質を超臨界状態の水で加水分解して種々のアミノ酸を製造する方法が記載されている。特開平10-97819には超臨界水分解反応を用いて植物体からフェニルプロパノイド類、ピロガロール誘導体またはピロカテコール誘導体が得られることが示されている。
【0010】
しかしながら、海藻由来の抽出物から得られるフロログルシノールを基本骨格とする高分子量のポリフェノール化合物を、超臨界水分解反応を利用して生理活性を保持したまま低分子化できることは知られていなかった。
【0011】
【発明により解決すべき課題】
抗酸化成分である高分子ポリフェノール類、特にタンニンと呼ばれている高分子量のポリフェノールは、一般的にタンパク質との親和性が高く、飲料等に添加した場合に共存するタンパク質などを沈殿させるため、飲食品への配合や製剤化などへの実用化が困難な場合が多かった。また、高分子ポリフェノールは非常に渋いため、飲食品の香味に多大な影響を与える場合が多い。このように、高分子量のポリフェノールは抗酸化活性に優れているとの報告が多いものの、上記のような理由により実用化が困難であった。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決する手段として、超臨界水を用いてポリフェノール重合体を含む海藻抽出物を処理することにより、抽出物中の高分子抗酸化成分を分解して低分子化した抗酸化剤を簡便に得ることができることを見出し、本発明を完成した。
【0013】
より具体的には、ポリフェノール重合体を含む海藻抽出物について超臨界水分解反応を行うことにより、下記の一般式(I):
【0014】
【化7】
Figure 0004510190
【0015】
〔式中、R1〜R6は、独立してHまたはOHを表し、R1〜R6の少なくとも1つはOHである〕
で示されるジベンゾフラン骨格を有する抗酸化化合物が簡便に得られる方法を開発し、さらにこれら化合物の商業的利用を図るものである。
【0016】
【発明の実施の態様】
生体にとって酸素は必要不可欠なものである。酸素は生体内で還元されて活性酸素と呼ばれる一群の反応性の高い分子種となる。活性酸素には還元分子種であるO2 -、H2O2、・OHおよび励起分子種である一重項酸素1O2があり、タンパク質、核酸、脂質などの標的分子を酸化することにより障害を与えることが知られている。また、細胞成分、例えば不飽和脂肪酸の酸化物であるLOO・、L・、LOOH、LO・も同じ酸化障害作用を示すことが知られている。
【0017】
生物はこの酸素による障害を防ぐため、活性酸素の生成量を低く保ち、さらに生成した活性酸素を消去することによって標的分子の酸化を防いでいる。活性酸素の生成抑制や消去が十分に機能しない場合や、また活性酸素の生成が増加する物理的あるいは化学的な環境条件下では、活性酸素が標的分子を酸化し、それによって、例えば老化、発癌、炎症、虚血性臓器障害、動脈硬化などの種々の障害や疾患が引き起こされる。
【0018】
これら活性酸素の生体内での消去機構として、比較的寿命の長いO2 -、H2O2、LOOHは酵素によって消去され、その他の寿命の短い活性酸素はアスコルビン酸などの低分子化合物によって消去されると考えられている。例えば赤血球内で生成したO2 -はほとんどすべてスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)で消去され、H2O2はカタラーゼやペルオキシダーゼによって消去される。また、1O2はβ-カロチンやトコフェロールによって消去される。
【0019】
しかしながら、活性酸素のうち、反応性が高く、生物に対する障害作用が最も大きいものは・OHであるにもかかわらず、・OHは細胞成分とほとんど拡散律速に近い速度で反応するため寿命が短く、これを消去する特別の機構を生物は持っていないといわれる。そのため、スーパーオキシドジスムターゼやカタラーゼなどの酵素を用いてO2 -やH2O2をできるだけ完全に消去し、さらに遷移金属イオンを・OH生成を触媒しない形で存在させることにより、・OHの生成を抑制し酸素障害を防いでいると考えられている。したがって、有効な抗酸化作用を示すためには、・OHの前駆体であるO2 -をできるだけ速やかに消去させうる能力を持った化合物が有望である。
【0020】
使用する材料
本発明では、上述した有効な抗酸化作用を有する化合物を天然物から得るため、抗酸化作用を持つことが知られる海藻に注目して、抗酸化剤を探索した。本発明において使用することができる海藻としては、抗酸化活性成分を含有することが知られる褐藻類、例えば、ホンダワラ科、ヒバマタ科、コンブ科に属する海藻などがある。下記の表1にも記載したように、海藻ホンダワラ科オオバモクの抽出物中には、他の海藻抽出物と比較して有意に多くのポリフェノールが含まれている。したがって、本発明においては特に、オオバモクを使用することが好ましい。
【0021】
【表1】
Figure 0004510190
【0022】
本発明の方法では、これら海藻のいずれの部分を使用してもよい。またこれらの海藻は、生のまたは乾燥させた海藻を直接超臨界水分解反応に供しても、あるいはあらかじめ水またはアルコール、アセトンなどの有機溶媒にて抽出した抽出物を超臨界水分解反応に供してもよい。好ましくは、アルコール、アセトンなどの有機溶媒にて抽出した抽出液を材料として使用して超臨界水分解反応を行う。
【0023】
あるいは、オオバモクの抽出物には、上述したように多量のポリフェノールが含まれているため、本発明においては、オオバモクの抽出物を抗酸化剤としてそのまま食品に添加してもよい。
【0024】
超臨界水分解反応の条件
本発明で用いることのできる超臨界水分解反応は、酸触媒を用いずに加水分解反応を行うことができる超臨界状態の水の性質を利用したものである。物質には固体、液体、気体の3つの状態がある。気体と液体が混じり合っている状態で徐々に温度を上げ、ある特定の温度と圧力(臨界点)を超えると、気体と液体の境界面が消失して両者が渾然一体となった流体の状態となる。こうした流体は超臨界流体といわれ、気体と液体の中間の性質を持つ高密度の流体である。すなわち液体のように種々の物質を溶解する性質とともに気体のように高い流動性を持っている。
【0025】
水の臨界点は温度374℃及び圧力221気圧であり、超臨界水とは、この臨界点を超えた特定の範囲の温度および圧力状態での水を意味する。超臨界水は温度、圧力に依存して密度、粘度、誘電率、イオン積および拡散係数等の値が連続的に変化する。反応溶媒として重要な指標である超臨界水への溶質の溶解度は密度の増大とともに大きくなることが知られている。溶解性にかかわるもう一つの重要な要素は誘電率である。誘電率は密度の増大とともに大きくなり、温度の上昇につれて減少することが知られている。
【0026】
超臨界状態のように温度が充分に高ければ誘電率は非常に小さくなり、超臨界水はイオン間の静電気力を遮蔽することがほとんどできなくなる。この条件下では溶解しているイオン種の多くはイオン対として存在することになり、したがって超臨界水は極性物質というよりも非極性物質として挙動する。超臨界状態の水のpHは4であり、したがって水素イオン濃度は1/1000となるが、同時に水酸イオン濃度も1/1000である。このように超臨界水は常温の液体での水と全く異なる性状であることがわかる。
【0027】
超臨界水分解反応に際して、分解反応させる化合物と水は、例えば化合物1に対して水を約1から1000の割合、好ましくは水約5から200の割合で混合する。反応容器は超臨界水反応を行うために適する任意のものでよく、製造規模に応じて適宜選択できる。例えば容量が約1 mlから10 L、好ましくは約10 mlから1 Lの密閉容器(好ましくはSUS合金等の金属製)を使用する。
【0028】
この容器中におおよそ30から40%(V/V)、好ましくは32から35%(V/V)の水を充填し、これに上記の割合で反応させる化合物を添加する。また、超臨界水分解反応は嫌気状態で行うことが好ましく、そのために容器内を脱気するか、窒素あるいはアルゴン等の不活性ガスで充分に容器内部及び水を置換して密閉する。反応は約374℃の温度(このときの圧力は約221気圧以上とする)から約500℃の温度(約300気圧以上)下において、水がいわゆる超臨界状態にある条件下で、あるいは約300℃(約150〜200気圧)を超えるいわゆる亜臨界状態の条件下で行うことができる。処理時間は、亜臨界状態または超臨界状態に達した後10分以内、好ましくは亜臨界状態または超臨界状態に達した後60秒以内である。処理の時間及び温度の条件は反応させる化合物の種類及び目的とする構造体により、あるいは製造規模などの各種条件によって、上記範囲から適宜選択することができる。反応時間の短縮あるいは反応温度を低温に設定することによりポリフェノール重合体の部分分解物の大きさを調節することも可能である。
【0029】
抗酸化剤
本発明の一態様では、ポリフェノール重合体を含む海藻抽出物を超臨界水分解反応することにより、抽出物中の高分子抗酸化成分を分解して低分子化された抗酸化剤を製造した。具体的には、ポリフェノールを含む海藻の抽出物、例えばホンダワラ科、ヒバマタ科、コンブ科に属する海藻を、水またはアルコール、アセトンなどの有機溶媒にて抽出し、次いで得られた抽出物を超臨界水分解反応することにより、一般式(I):
【0030】
【化8】
Figure 0004510190
【0031】
〔式中、R1〜R6は、独立してHまたはOHを表し、R1〜R6の少なくとも1つはOHである〕
で示される化合物が得られる。このようにして得られた一般式(I)の化合物は原材料に含まれている高分子量のフロロタンニンほどの渋味を持たず、タンパク質を共沈させることが少ないことがわかった。
【0032】
本発明の態様においては、式(I)の化合物のうち、式(II):
【0033】
【化9】
Figure 0004510190
【0034】
および式(III):
【0035】
【化10】
Figure 0004510190
【0036】
で示される化合物が好ましい。
本発明の方法で得られる抗酸化組成物は、超臨界水により加水分解されて得られたものであるため、酸またはアルカリ等の加水分解触媒の生体毒性を有する物質を全く含まないことを特徴としている。したがって、得られた抗酸化組成物は、医薬品、化粧品、食品等のいずれの分野においても安全に使用することができる。
【0037】
本発明の方法で得られる抗酸化組成物は、活性酸素の影響により体内で生じる老化、発癌、炎症、虚血性臓器障害、動脈硬化などの種々の障害や疾患に対する治療用および/または予防用組成物として使用することができる。抗酸化組成物の投与経路は、経口投与が最も好ましいが、静脈内投与、腹腔内投与、皮下投与、筋肉内投与などであってもよい。経口投与に適した製剤には、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、溶液剤、シロップ剤などが含まれるが、これに限定されない。治療用および/または予防用組成物には、薬剤的に許容できる担体として、当該技術分野で公知の適当な賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着香料、着色剤、溶解補助剤、懸濁剤、コーティング剤などを含んでもよい。
【0038】
本発明の方法で得られた抗酸化組成物は、皮膚または粘膜の老化、発癌または炎症、もしくは皮膚の日焼けなどの皮膚または粘膜に関する種々の症状を治療しまたは改善するための経皮投与用外用医薬品または化粧品として使用することもできる。外用医薬品または化粧品として適した財形としては溶液剤、パップ剤、貼布剤などが含まれる。外用医薬品には、薬剤的に許容できる担体として、賦形剤、着香料、着色剤、溶解補助剤、懸濁剤などを含んでもよい。
【0039】
本発明の超臨界水分解反応により得られた抗酸化組成物あるいはオオバモクの抽出物自体は、食品の形で提供することもできる。好ましい食品の形態としては粉末、顆粒、ペースト状、ゼリー状などが挙げられる。さらに顆粒等にする場合は、甘味を加えるために乳糖などの糖類を加えることもできる。また、本発明の超臨界水分解反応で得られた抗酸化剤またはオオバモク抽出物自体は、飲料の形で提供することもできる。このような食品または飲料には、海藻由来の抗酸化剤またはオオバモク抽出物自体の他に、ビタミン剤、カルシウムなどの無機成分、アルコール類などを追加してもよい。この食品または飲料には、特定保健用食品、病者用食品等の範疇にあるものも含まれる。
【0040】
式(I)、式(II)および式(III)で表される化合物は、例えば特開平11-80146号に記載される抗菌剤化合物を化学合成する場合などに、その中間体化合物として使用することもできる。
【0041】
【実施例】
本発明を以下の実施例によりさらに詳しく説明するが、これにより本発明の範囲を限定するものではない。本発明の方法を種々変更、修飾して使用することが当業者には可能であり、これらも本発明の範囲に含まれる。
【0042】
実施例1 オオバモクからの抗酸化組成物の製造
方法
ホンダワラ科の褐藻類であるオオバモク(Sargassum ringgoldianum)の234 g(湿重量)を10倍量のアセトンにより、室温で3日間静置して抽出を行った。抽出物はろ過を行った後、減圧濃縮し、酢酸エチルによる分配を行った。酢酸エチル層を分別し、無水硫酸ナトリウムによって残留する水を除去した後、ろ過を行い、ろ液を減圧濃縮した。残渣にヘキサンを適量加え、ヘキサンに可溶性の物質をろ過により除去した後、沈殿物を9.6 g得た。
【0043】
このオオバモク抽出物に対して次に示す方法で超臨界水分解反応を行った。オオバモク抽出物100 mgをSUS合金製の反応容器(内容量10 ml)に入れ、窒素置換した蒸留水3.2 mlを添加し、反応器内を窒素封入した後、熱電対を取り付けたネジ蓋にて完全に密封した。別途準備した400℃に保温中の樹脂製バスに反応容器を入れ、反応液の温度が水の臨界点である374℃に到達してから直ちに反応器を取り出し氷冷した。
【0044】
反応物はエタノールを用いて回収した後、下記のように精製し同定した。超臨界水分解物の分析は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて以下の条件で行った。カラム:ODS-UG-5(4.6φ×150 mm、野村化学社製)、流速:1ml/min、検出:280 nmで10%から90%アセトニトリル(0.05%TFA含有)のグラジェント溶出を行った。その結果、オオバモク抽出物100 mgから図1に示したピークF1及びピークF2から9.3 mgの化合物F1及び3.2 mgの化合物F2を得た。
【0045】
図1のクロマトグラムに示された2つのピーク(F1、F2)についてESIによる質量分析の結果、化合物F1および化合物F2の分子量はそれぞれ248と232であると決定した。さらに両化合物をNMRスペクトル解析に供し、その結果を以下に記した。
【0046】
化合物の分析結果
化合物 F1 (式( II )の化合物)
化合物F1の質量分析 (M−H)-=247
化合物F1の核磁気共鳴スペクトル
1H NMR(CD3OD中, TMS標準);6.49 ppm(s, 1H), 6.40 ppm(d, J = 2.0 Hz, 1H)、6.21 ppm(d, J = 2.0 Hz, 1H)
13C NMR(CD3OD中, TMS標準);159.8 ppm, 159.2 ppm, 151.6 ppm, 151.5 ppm, 147.7 ppm, 139.4 ppm, 130.6 ppm, 107.1 ppm, 106.7 ppm, 98.6 ppm, 92.4 ppm, 92.3 ppm
化合物 F2 (式( III )の化合物)
化合物F2の質量分析 (M−H)-=231
化合物F2の核磁気共鳴スペクトル
1H NMRスペクトル(CD3OD中, TMS標準);6.42 ppm(d, J = 2.0 Hz, 2H), 6.22 ppm(d, J = 2.0 Hz, 2H)
13C NMR(CD3OD中, TMS標準);159.6 ppm, 159.3 ppm, 151.7 ppm, 106.3 ppm, 98.9 ppm, 92.4 ppm
上記のNMRスペクトルを解析の結果、オオバモク抽出物の超臨界水分解反応物である化合物F1及び化合物F2の構造は、それぞれ式(II)で示される1,2,3,7,9-ペンタヒドロキシジベンゾフラン及び式(III)で示される1,3,7,9-テトラヒドロキシジベンゾフランであった。
【0047】
抗酸化活性の評価
本発明の方法で得られた2種類の化合物について、スーパーオキシドアニオンラジカル消去活性を以下に示すような方法で測定し評価した。2 mMのヒポキサンチン(0.1 M リン酸緩衝液、pH7.4、に溶解)50μl、5.5 mM のジエチレントリアミン五酢酸(同0.1 M リン酸緩衝液に溶解)35μl、200μMのサンプル(アセトニトリルに溶解)50μl、8.97 Mの5,5-ジメチル-1-ピロリン-N-オキシド(DMPO)15μlをマイクロチューブに添加して攪拌後、0.4 unit/mlのキサンチンオキシダーゼ(XOD)を50μl加えて更に10秒間攪拌する。反応液をフラットセルに入れ、ESR装置にセットし、キサンチンオキシダーゼを添加した時点から60秒後に磁場掃引を開始した。DMPO-OOHの4組のESRシグナルのうち最も定磁場側のシグナルの、内部標準のMn2+のシグナルの高さに対する比(S/M)をO2 -量とし、次式で表すように消去活性を算出した。
【0048】
O2 -消去活性(%)
=100−[100×(サンプル存在下のS/M)/(サンプル非存在下のS/M)]
上記の方法で測定したスーパーオキシドアニオンラジカル消去活性の結果を、50%のラジカル消去率を示す各試料の濃度をμg/mlで以下に示した。
【0049】
【表2】
Figure 0004510190
【0050】
この結果から、本発明により得られた式(II)および式(III)で示される化合物は、抗酸化剤として報告があるカテキンと比較しても遜色ない活性を示した。一方、同様に評価したα−トコフェロールは21.5μg/ml(50μM)ではほとんどスーパーオキシドアニオンラジカルの消去活性を示さなかった。なお、オオバモクの抽出物そのものも抗酸化活性を有していることが示される。
【0051】
実施例2 抗酸化組成物を含有する飴の製造
オオバモク抽出物の超臨界水分解反応混合物より得られた式(II)の化合物および式(III)の化合物の混合物(3:1)1 g、砂糖50 g、水飴66.6 g(固形分75%)に水を20〜30 ml加えて、145℃まで釜にて加熱し、水分が3%以下になるまで混和した。冷却後、さらに均一に混合し、一粒が約4 gとなるように切断、成形した。
【0052】
実施例3 抗酸化組成物を含有する飲料水の製造
果糖37 g、クエン酸12 g、クエン酸三ナトリウム0.2 g、各種フレーバー(レモンフレーバー、グレープフルーツフレーバー、スウィーティーフレーバー)0.2 ml、アスコルビン酸0.35 gに本発明化合物である超臨界水分解反応混合物より得られた式(II)の化合物および式(III)の化合物の混合物(3:1)300 mgを添加し、全量を水で1000 mlとし、160 ml瓶に分注後、85℃、10分間の浸漬殺菌を行った。
【0053】
【発明の効果】
本発明によって、高分子のポリフェノールを含有する海藻抽出物から超臨界水分解反応法を用いることにより、抗酸化活性を有する低分子化されたポリフェノールを得ることができる。本発明により得られたジベンゾフラン誘導体は抗酸化作用を有し、飲料、食品、化粧品および医薬品等に配合する抗酸化剤として活用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例における超臨界水分解反応物のHPLCクロマトグラムを示す。矢印で示したピークF1及びF2が低分子化された抗酸化活性を有するジベンゾフラン誘導体のピークである。

Claims (15)

  1. ポリフェノール重合体と超臨界水とを反応させることにより、以下の式(II):
    Figure 0004510190
    または、以下の式(III):
    Figure 0004510190
    で示される抗酸化活性を有する低分子化合物を製造する方法。
  2. ポリフェノール重合体が海藻抽出物である、請求項1に記載の方法。
  3. 海藻が、褐藻類であることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
  4. 褐藻類が、ホンダワラ科、ヒバマタ科またはコンブ科から選択されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
  5. ホンダワラ科の海藻がオオバモクである、請求項4に記載の方法。
  6. ポリフェノール重合体がフロログルシノール骨格を有する高分子であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. ポリフェノール重合体と超臨界水とを反応させることにより得られる以下の式(II):
    Figure 0004510190
    または、以下の式(III):
    Figure 0004510190
    で示される化合物を含有する、抗酸化組成物。
  8. ポリフェノール重合体が海藻抽出物である、請求項7に記載の抗酸化組成物。
  9. 海藻が、褐藻類であることを特徴とする、請求項8に記載の抗酸化組成物。
  10. 褐藻類が、ホンダワラ科、ヒバマタ科またはコンブ科から選択されることを特徴とする、請求項9に記載の抗酸化組成物。
  11. ホンダワラ科の海藻がオオバモクである、請求項10に記載の抗酸化組成物。
  12. ポリフェノール重合体がフロログルシノール骨格を有する高分子であることを特徴とする、請求項7〜11のいずれか1項に記載の抗酸化組成物。
  13. 請求項7〜12に記載の抗酸化組成物を含有する飲食物。
  14. 請求項7〜12に記載の抗酸化組成物を含有する化粧品。
  15. 請求項7〜12に記載の抗酸化組成物を含有する医薬組成物。
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