JP4512077B2 - 刃先交換型切削チップ - Google Patents
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Description
本発明の刃先交換型切削チップは、基材と該基材上に形成された被覆層とを有するものである。図1に示したように、このような刃先交換型切削チップ1は、基材の上面2から下面3に達する貫通孔4を有するものであるが、この上面2(および下面3)は、被削材を切削する際に切り屑と接触する側に位置し、すくい面と呼ばれる。また、この上面2と下面3とに交差する側面7は、切削加工時被削材自体と接触する側に位置することになり、これを逃げ面と呼ぶ。そして、すくい面と逃げ面とが交差する稜8に相当する部分が刃先稜線部と呼ばれ、切削に中心的に関与する部位となる。
本発明の基材は、上面から下面に達する貫通孔を有するものである。本発明の刃先交換型切削チップは、この貫通孔にピンやビス等を挿入することにより切削工具(たとえば、バイト、カッター、ホルダなど)に取り付けられる。その取り付け方法としては、たとえばクランプオン式、レバーロック式、ピンロック式、ねじ止め式等が知られている。
本発明の被覆層は、基材上に形成されるものであり、靭性や耐摩耗性等の特性を向上させ、刃先交換型切削チップの耐久性(寿命)を向上させる作用等を目的として形成されるものである。なお、このような被覆層は、基材上に形成されるものであるが、その基材に設けられている貫通孔の壁面に対しては形成されていても良いし、形成されていなくても良い。すなわち、本発明の被覆層は、基材の全面を覆うようにして形成されることが好ましいが、貫通孔の壁面やその他の部分において基材上に被覆層が形成されていない部分が含まれていても本発明の範囲を逸脱するものではない。
本発明の被覆層において孔周辺領域の最外層は、引張残留応力を有していることを要する。この引張残留応力は、1.0GPa以下の応力であることが好ましく、より好ましくは0.5GPa以下、さらに好ましくは0.3GPa以下の応力である。1.0GPaを超える引張残留応力を有すると、十分な靭性を得ることができない場合があり、また0.01GPa未満ではチップの破損の可能性を低下させる効果が低減する場合がある。
本発明の被覆層において外周領域の最外層は、残留応力を有していないかまたは圧縮残留応力を有していることを要する。特に、圧縮残留応力を有していることが好ましく、その絶対値が0.1GPa以上の応力であることが好ましい。より好ましくはその絶対値が0.2GPa以上、さらに好ましくは0.5GPa以上の応力である。この圧縮残留応力の絶対値が大きくなる程刃先交換型切削チップの靭性は向上するため、靭性向上の観点からは該絶対値は大きければ大きい程好ましいが、その絶対値が8GPaを超えるとこの最外層自体が剥離する場合があるため8GPaを超えないようにすることが好ましい。
本発明の被覆層は、基材と最外層との間に下層を形成することが好ましい。これにより、基材と最外層との密着性をさらに向上させることができる。このような下層は、1以上の層により形成することができ、その組成は特に限定されない。たとえば、上記の孔周辺領域の最外層を構成する化合物と同様の化合物により形成することができる。そのような化合物としてはたとえば、TiN、TiCN、TiBN、TiBNO、TiC、ZrCN、TiZrCN等を挙げることができる。これらの化合物は、とりわけ外周領域の最外層としてAl2O3を含む層が形成されている場合に、この層と基材との密着性を好適に向上させることができるため好ましい。
本発明の被覆層の上記構成、特に孔周辺領域と外周領域の構成は、基材の上面または下面のいずれか一方の面において構成されていれば良いが、上面および下面の双方において構成されていても良い。
本発明の刃先交換型切削チップは、次のようにして製造することができる。すなわち、まず基材上に被覆層を化学的蒸着(CVD)法により形成する。この場合、図4に示したように、基材10の全面に対して下層23を形成し、その全面に対して第2最外層22を形成し、さらにその全面に対して第1最外層21を形成する。化学的蒸着法の条件としては特に限定なく従来公知の条件を採用することができる。ただし下層23は、少なくともその1層をMT−CVD(medium temperature CVD)法により形成することが好ましく、特にその方法により形成した耐摩耗性に優れるTiCN(炭窒化チタン)層を備えることが最適である。従来のCVD法は、約1020〜1030℃で成膜を行なうのに対して、MT−CVD法は約850〜950℃という比較的低温で行なうことができるため、成膜の際加熱による基材のダメージを低減することができるからである。したがって、MT−CVD法により形成した層は、基材に近接させて備えることがより好ましい。また、成膜の際に使用するガスは、ニトリル系のガス、特にアセトニトリル(CH3CN)を用いると量産性に優れて好ましい。
(1)各種研磨材の粒子を、圧縮空気で被処理物の表面に吹き付ける。
(2)各種研磨材の粒子を、回転翼により被処理物の表面に連続して投射する。
(3)各種研磨材の粒子を含有する液体(水)を、高圧で被処理物の表面に吹き付ける。
まず、2質量%のTaC、9質量%のCo、およびその残部がWCからなる組成の超硬合金粉末をプレスし、続けて真空雰囲気中で1400℃、1時間の条件で焼結を行ない、その後刃先稜線部に対してSiCブラシホーニング処理により刃先処理(上面/下面と側面との交差部各々に対して半径が約0.05mmのアール(R)を付与したもの)をすることにより、切削チップCNMA120408(JIS B 4120−1998)の形状と同形状の超硬合金製の刃先交換型切削チップの基材を得た。この基材は、1つの上面と1つ下面と4つの側面とを有し、上面の中央部において上面から下面に達する貫通孔(直径5.16mm)を有していた。
実施例1において、第1最外層である0.2μmのTiNを、0.2μmのZrNに変更することを除き、他は全て実施例1と同様にして本発明の刃先交換型切削チップを得た。
実施例1において、第1最外層である0.2μmのTiNを、0.2μmのTi2O3およびその上にさらに形成した0.2μmのTiN(すなわち第1最外層を0.2μmのTi2O3と0.2μmのTiNの2層としたもの。最外層という表現はその定義からすれば原則として1層を示すものであるが、この第1最外層(孔周辺領域の最外層)についてはこのように複数の層により形成される場合を含むものとする)に変更することを除き、他は全て実施例1と同様にして本発明の刃先交換型切削チップを得た。
実施例1において、第1最外層である0.2μmのTiNを、0.2μmのTiCNに変更することを除き、他は全て実施例1と同様にして本発明の刃先交換型切削チップを得た。
実施例1において、第1最外層である0.2μmのTiNを、0.2μmのTiZrCNに変更することを除き、他は全て実施例1と同様にして本発明の刃先交換型切削チップを得た。
実施例1において、異なった治具20を用いることおよびウェットブラスト法の条件を代えることにより以下のような残留応力を付与したことを除き、他は全て実施例1と同様にして本発明の刃先交換型切削チップを得た。この刃先交換型切削チップの最外層の残留応力を実施例1と同様にして測定したところ、孔周辺領域の最外層が0.3GPaの引張残留応力を有しており、外周領域の最外層が−0.9GPaの圧縮残留応力を有していた。なお、この刃先交換型切削チップの孔周辺領域の幅は、0〜0.9mmであった(ただし、その幅が0mmとなるのは一部分のみであった)。
実施例2において、異なった治具20を用いることおよびウェットブラスト法の条件を代えることにより以下のような残留応力を付与したことを除き、他は全て実施例2と同様にして本発明の刃先交換型切削チップを得た。この刃先交換型切削チップの最外層の残留応力を実施例1と同様にして測定したところ、孔周辺領域の最外層が0.2GPaの引張残留応力を有しており、外周領域の最外層が−0.9GPaの圧縮残留応力を有していた。なお、この刃先交換型切削チップの孔周辺領域の幅は、0〜0.9mmであった(ただし、その幅が0mmとなるのは一部分のみであった)。
実施例3において、異なった治具20を用いることおよびウェットブラスト法の条件を代えることにより以下のような残留応力を付与したことを除き、他は全て実施例3と同様にして本発明の刃先交換型切削チップを得た。この刃先交換型切削チップの最外層の残留応力を実施例1と同様にして測定したところ、孔周辺領域の最外層が0.3GPaの引張残留応力を有しており、外周領域の最外層が−0.9GPaの圧縮残留応力を有していた。なお、この刃先交換型切削チップの孔周辺領域の幅は、0〜0.9mmであった(ただし、その幅が0mmとなるのは一部分のみであった)。
実施例4において、異なった治具20を用いることおよびウェットブラスト法の条件を代えることにより以下のような残留応力を付与したことを除き、他は全て実施例4と同様にして本発明の刃先交換型切削チップを得た。この刃先交換型切削チップの最外層の残留応力を実施例1と同様にして測定したところ、孔周辺領域の最外層が0.2GPaの引張残留応力を有しており、外周領域の最外層が−0.9GPaの圧縮残留応力を有していた。なお、この刃先交換型切削チップの孔周辺領域の幅は、0〜0.9mmであった(ただし、その幅が0mmとなるのは一部分のみであった)。
実施例5において、異なった治具20を用いることおよびウェットブラスト法の条件を代えることにより以下のような残留応力を付与したことを除き、他は全て実施例5と同様にして本発明の刃先交換型切削チップを得た。この刃先交換型切削チップの最外層の残留応力を実施例1と同様にして測定したところ、孔周辺領域の最外層が0.3GPaの引張残留応力を有しており、外周領域の最外層は残留応力を有していなかった。なお、この刃先交換型切削チップの孔周辺領域の幅は、0〜0.9mmであった(ただし、その幅が0mmとなるのは一部分のみであった)。
実施例1において、ウェットブラスト法による処理を行なわないことを除き、他は全て実施例1と同様にして刃先交換型切削チップを得た。この刃先交換型切削チップは、その全面が実施例1の第1最外層で覆われており、実施例1と同じ測定箇所で残留応力を測定したところ、孔周辺領域の最外層も外周領域の最外層も(いずれの最外層も第1最外層である)いずれも0.3GPaの引張残留応力を有していた。
実施例1において、治具20によるチャックを行なうことなく基材の上面、下面および側面に対してウェットブラスト法による処理を行なうことにより基材の上面、下面および側面において第1最外層を除去することを除き、他は全て実施例1と同様にして刃先交換型切削チップを得た。この刃先交換型切削チップは、その上面、下面および側面が実施例1の第2最外層で覆われており、実施例1と同じ測定箇所で残留応力を測定したところ、孔周辺領域の最外層も外周領域の最外層も(いずれの最外層も第2最外層である)いずれも−0.2GPaの圧縮残留応力を有していた。
実施例1の被覆層において第1最外層としての0.2μmのTiNを形成せず、かつウェットブラスト法による処理を行なわないことを除き、他は全て実施例1と同様にして刃先交換型切削チップを得た。この刃先交換型切削チップは、その全面が実施例1の第2最外層で覆われており、実施例1と同じ測定箇所で残留応力を測定したところ、孔周辺領域の最外層も外周領域の最外層も(いずれの最外層も第2最外層である)いずれも0.3GPaの引張残留応力を有していた。
実施例1で用いた治具20とは異なった治具を用いてチャックを行なうことにより孔周辺領域の幅を1.5〜4.5mmとしたことを除き、他は全て実施例1と同様にして刃先交換型切削チップを得た。この刃先交換型切削チップの最外層の残留応力を実施例1と同様にして測定したところ、孔周辺領域の最外層が0.3GPaの引張残留応力を有しており、外周領域の最外層が−0.2GPaの圧縮残留応力を有していた。
実施例1〜10および比較例1〜4の刃先交換型切削チップを各々100個ずつ準備した。そして、それぞれの刃先交換型切削チップ100個について、工作機械のコレットに取り付けられたホルダPCLNR2525−43(住友電工ハードメタル(株)製)に対して取り付けおよび取り外しを行なった(作業場所の照度は200luxであった)。各刃先交換型切削チップは4コーナーが切れ刃となるためこのような取り付けおよび取り外しは合計400回行ない、その所要時間、チップが作業台から落下した回数、およびチップ破損が発生した個数を測定した。その結果を以下の表1に示す。
実施例1〜10および比較例1〜4の刃先交換型切削チップを各々準備した。そして、それぞれの刃先交換型切削チップ1個を、工作機械のコレットに取り付けられたホルダPCLNR2525−43(住友電工ハードメタル(株)製)に取り付け、以下の条件による切削試験を行なった。
被削材:機械部品(FCD450断続有り)
切削速度:145m/分
送り:0.4mm/rev.
切込み:2.0mm
乾式/湿式:湿式(水溶性油)
切削時間:10分
そして、刃先の状態を観察するとともに逃げ面平均摩耗量(VB)を測定した。その結果を以下の表1に示す。刃先の状態の観察においてチッピングが発生しないもの程靭性に優れていることを示し、被削材の溶着が少ないもの程被削材の加工面が美麗でありバリの発生も軽微であった。また、逃げ面平均摩耗量が小さいもの程耐摩耗性に優れていることを示している。
実施例1において、切削チップの形状をCNMA120408に代えてSEET13T3AGSN−N(住友電工ハードメタル(株)製)と同形状のものとすることおよび異なった治具20を用いることを除き、他は全て実施例1と同様にして本発明の刃先交換型切削チップ(1つの上面と1つの下面と4つの側面とを有し、上面の中央部に上面から下面に達する貫通孔を有する)を得た。この刃先交換型切削チップは、孔周辺領域の幅(上面および下面で同じ。以下の実施例において同じ)が0〜1.3mmであり、孔周辺領域の最外層が0.3GPaの引張残留応力を有しており、外周領域の最外層が−0.2GPaの圧縮残留応力を有していた。なお、残留応力の測定は実施例1と同様にして行なったが、外周領域の圧縮残留応力の測定箇所は図6(上面2のコーナー部)のスポットT(直径:0.5mm)とした。
実施例2において、切削チップの形状をCNMA120408に代えてSEET13T3AGSN−N(住友電工ハードメタル(株)製)と同形状のものとすることおよび異なった治具20を用いることを除き、他は全て実施例2と同様にして本発明の刃先交換型切削チップ(1つの上面と1つの下面と4つの側面とを有し、上面の中央部に上面から下面に達する貫通孔を有する)を得た。この刃先交換型切削チップは、孔周辺領域の幅が0〜1.3mmであり、孔周辺領域の最外層が0.2GPaの引張残留応力を有しており、外周領域の最外層が−0.2GPaの圧縮残留応力を有していた。なお、残留応力の測定は実施例11と同様にして行なった。
実施例3において、切削チップの形状をCNMA120408に代えてSEET13T3AGSN−N(住友電工ハードメタル(株)製)と同形状のものとすることおよび異なった治具20を用いることを除き、他は全て実施例3と同様にして本発明の刃先交換型切削チップ(1つの上面と1つの下面と4つの側面とを有し、上面の中央部に上面から下面に達する貫通孔を有する)を得た。この刃先交換型切削チップは、孔周辺領域の幅が0〜1.3mmであり、孔周辺領域の最外層が0.3GPaの引張残留応力を有しており、外周領域の最外層が−0.2GPaの圧縮残留応力を有していた。なお、残留応力の測定は実施例11と同様にして行なった。
実施例4において、切削チップの形状をCNMA120408に代えてSEET13T3AGSN−N(住友電工ハードメタル(株)製)と同形状のものとすることおよび異なった治具20を用いることを除き、他は全て実施例4と同様にして本発明の刃先交換型切削チップ(1つの上面と1つの下面と4つの側面とを有し、上面の中央部に上面から下面に達する貫通孔を有する)を得た。この刃先交換型切削チップは、孔周辺領域の幅が0〜1.3mmであり、孔周辺領域の最外層が0.2GPaの引張残留応力を有しており、外周領域の最外層が−0.2GPaの圧縮残留応力を有していた。なお、残留応力の測定は実施例11と同様にして行なった。
実施例5において、切削チップの形状をCNMA120408に代えてSEET13T3AGSN−N(住友電工ハードメタル(株)製)と同形状のものとすることおよび異なった治具20を用いることを除き、他は全て実施例5と同様にして本発明の刃先交換型切削チップ(1つの上面と1つの下面と4つの側面とを有し、上面の中央部に上面から下面に達する貫通孔を有する)を得た。この刃先交換型切削チップは、孔周辺領域の幅が0〜1.3mmであり、孔周辺領域の最外層が0.3GPaの引張残留応力を有しており、外周領域の最外層が−0.2GPaの圧縮残留応力を有していた。なお、残留応力の測定は実施例11と同様にして行なった。
実施例11において、異なった治具20を用いることおよびウェットブラスト法の条件を代えることにより以下のような残留応力を付与したことを除き、他は全て実施例11と同様にして本発明の刃先交換型切削チップを得た。この刃先交換型切削チップの最外層の残留応力を実施例11と同様にして測定したところ、孔周辺領域の最外層が0.3GPaの引張残留応力を有しており、外周領域の最外層が−1.2GPaの圧縮残留応力を有していた。なお、この刃先交換型切削チップの孔周辺領域の幅は、0.2〜2.0mmであった。
実施例12において、異なった治具20を用いることおよびウェットブラスト法の条件を代えることにより以下のような残留応力を付与したことを除き、他は全て実施例12と同様にして本発明の刃先交換型切削チップを得た。この刃先交換型切削チップの最外層の残留応力を実施例11と同様にして測定したところ、孔周辺領域の最外層が0.2GPaの引張残留応力を有しており、外周領域の最外層が−1.2GPaの圧縮残留応力を有していた。なお、この刃先交換型切削チップの孔周辺領域の幅は、0.2〜2.0mmであった。
実施例13において、異なった治具20を用いることおよびウェットブラスト法の条件を代えることにより以下のような残留応力を付与したことを除き、他は全て実施例13と同様にして本発明の刃先交換型切削チップを得た。この刃先交換型切削チップの最外層の残留応力を実施例11と同様にして測定したところ、孔周辺領域の最外層が0.3GPaの引張残留応力を有しており、外周領域の最外層が−1.2GPaの圧縮残留応力を有していた。なお、この刃先交換型切削チップの孔周辺領域の幅は、0.2〜2.0mmであった。
実施例14において、異なった治具20を用いることおよびウェットブラスト法の条件を代えることにより以下のような残留応力を付与したことを除き、他は全て実施例14と同様にして本発明の刃先交換型切削チップを得た。この刃先交換型切削チップの最外層の残留応力を実施例11と同様にして測定したところ、孔周辺領域の最外層が0.2GPaの引張残留応力を有しており、外周領域の最外層が−1.2GPaの圧縮残留応力を有していた。なお、この刃先交換型切削チップの孔周辺領域の幅は、0.2〜2.0mmであった。
実施例15において、異なった治具20を用いることおよびウェットブラスト法の条件を代えることにより以下のような残留応力を付与したことを除き、他は全て実施例15と同様にして本発明の刃先交換型切削チップを得た。この刃先交換型切削チップの最外層の残留応力を実施例11と同様にして測定したところ、孔周辺領域の最外層が0.3GPaの引張残留応力を有しており、外周領域の最外層は残留応力を有していなかった。なお、この刃先交換型切削チップの孔周辺領域の幅は、0.2〜2.0mmであった。
実施例11において、ウェットブラスト法による処理を行なわないことを除き、他は全て実施例11と同様にして刃先交換型切削チップを得た。この刃先交換型切削チップは、その全面が実施例11の第1最外層で覆われており、実施例11と同じ測定箇所で残留応力を測定したところ、孔周辺領域の最外層も外周領域の最外層も(いずれの最外層も第1最外層である)いずれも0.3GPaの引張残留応力を有していた。
実施例11において、治具20によるチャックを行なうことなく基材の上面、下面および側面に対してウェットブラスト法による処理を行なうことにより基材の上面、下面および側面において第1最外層を除去することを除き、他は全て実施例11と同様にして刃先交換型切削チップを得た。この刃先交換型切削チップは、その上面、下面および側面が実施例11の第2最外層で覆われており、実施例11と同じ測定箇所で残留応力を測定したところ、孔周辺領域の最外層も外周領域の最外層も(いずれの最外層も第2最外層である)いずれも−0.2GPaの圧縮残留応力を有していた。
実施例11の被覆層において第1最外層としての0.2μmのTiNを形成せず、かつウェットブラスト法による処理を行なわないことを除き、他は全て実施例11と同様にして刃先交換型切削チップを得た。この刃先交換型切削チップは、その全面が実施例11の第2最外層で覆われており、実施例11と同じ測定箇所で残留応力を測定したところ、孔周辺領域の最外層も外周領域の最外層も(いずれの最外層も第2最外層である)いずれも0.3GPaの引張残留応力を有していた。
実施例11で用いた治具とは異なった治具を用いてチャックを行なうことにより孔周辺領域の幅を1.3〜4.6mmとしたことを除き、他は全て実施例11と同様にして刃先交換型切削チップを得た。この刃先交換型切削チップの最外層の残留応力を実施例11と同様にして測定したところ、孔周辺領域の最外層が0.3GPaの引張残留応力を有しており、外周領域の最外層が−0.2GPaの圧縮残留応力を有していた。
実施例11〜20および比較例5〜8の刃先交換型切削チップを各々100個ずつ準備した。そして、それぞれの刃先交換型切削チップ100個について、カッターWGC4100R(住友電工ハードメタル(株)製;刃先交換型切削チップを5個取り付けられる)に対して取り付けおよび取り外しを行なった(作業場所の照度は180luxであった)。該カッターの刃先交換型切削チップの取り付け個数は5個であるため、合計20セットについて取り付けおよび取り外しを行ない、その所要時間、チップが作業台から落下した回数、およびチップ破損が発生した個数を測定した。その結果を以下の表2に示す。
実施例11〜20および比較例5〜8の刃先交換型切削チップを各々準備した。そして、それぞれの刃先交換型切削チップ1個を、上記の脱着試験で用いたカッターに取り付け、以下の条件による切削試験を行なった。
被削材:機械部品(FCD450断続有り)
切削速度:145m/分
送り:0.4mm/刃
切込み:2.0mm
乾式/湿式:湿式(水溶性油)
切削長:5m
そして、刃先の状態を観察するとともに逃げ面平均摩耗量(VB)を測定した。その結果を以下の表2に示す。刃先の状態の観察においてチッピングが発生しないもの程靭性に優れていることを示し、被削材の溶着が少ないもの程被削材の加工面が美麗でありバリの発生も軽微であった。また、逃げ面平均摩耗量が小さいもの程耐摩耗性に優れていることを示している。
Claims (5)
- 基材と、該基材上に形成された被覆層とを有する刃先交換型切削チップであって、
前記基材は、上面から下面に達する貫通孔を有しており、
前記被覆層は、複数の層により構成されるものであって、前記上面または前記下面において前記貫通孔の周囲を4mm以下の幅をもって取り囲む孔周辺領域と、それ以外の領域である外周領域とにおいて最外層の組成が異なっており、
前記孔周辺領域の最外層は、引張残留応力を有しており、
前記外周領域の最外層は、残留応力を有していないかまたは圧縮残留応力を有していることを特徴とする刃先交換型切削チップ。 - 前記孔周辺領域の最外層は、元素周期律表のIVa族元素、Va族元素、VIa族元素、Al、Si、およびBからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、酸素および硼素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素とにより構成される化合物によって形成される層であることを特徴とする請求項1記載の刃先交換型切削チップ。
- 前記孔周辺領域の最外層は、TiまたはZrの少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、酸素および硼素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素とにより構成される化合物によって形成される層であることを特徴とする請求項2記載の刃先交換型切削チップ。
- 前記外周領域の最外層は、Al2O3を含む層であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の刃先交換型切削チップ。
- 前記孔周辺領域の最外層は、前記外周領域の最外層と異なった色彩を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の刃先交換型切削チップ。
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