JP4512173B2 - 測距装置 - Google Patents
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Description
【発明の技術分野】
本発明は、複数の測距エリアについて測距可能な測距装置に関する。
【0002】
【従来技術およびその問題点】
近年では、複数の測距エリアについて測距可能な測距装置が種々開発されており、このような測距装置を備えたカメラでは、複数の測距エリアから自動的または手動で選択した測距エリアの測距値に基づいて被写体に合焦させ撮影を行っている。使用者がカメラに測距エリアを自動的に選択させるときには、測距エリア内に存在する被写体の中で使用者の所望する被写体が最もカメラの近くに存在していることを前提として、求めた測距値の有効性を判断し、有効な測距値の中で最も近距離側の測距値を選択させているものもある。しかし、測距値の信頼性を考慮することなく最も近距離側の測距値を選択していた従来構成では、所望する被写体からピントがずれてしまうことがあった。
【0003】
【発明の目的】
本発明は、測距精度を向上させることができる測距装置を提供することを目的とする。
【0004】
【発明の概要】
上記問題点を解決するために、本発明は、複数の測距エリアについて測距値する測距手段と、前記測距手段が測距した測距値の有効性を判断し、有効と判断した測距値の信頼性を求める信頼性測定手段と、該信頼性測定手段が有効と判断した測距値の中で最至近距離の測距値及び該最至近距離から所定の範囲内にある測距値の中から、最も信頼性の高い測距値を択一的に選択する選択手段とを有することに特徴を有する。
また、本発明は、前記所定値を前記最至近距離の測距値の被写体の距離に応じて変更する構成とすることもできる。
前記測距手段は、前記複数の測距エリア内の被写体の像をそれぞれ一対のラインセンサの対応する受光領域に投影して該各一対の受光領域から画素単位で出力するセンサ手段と、前記一対の受光領域の一方の受光領域から出力された信号と他方の受光領域から出力された信号の画素毎の差分の絶対値の総和を求める演算を、前記一方の受光領域から出力された信号を基準として他方の受光領域から出力された信号を画素単位でずらしながら実行して、該ずらし量と前記総和に関する相関関数を求め、さらに該相関関数の値が画素単位で最小となる第1の値と2番目に小さい第2の値を求め、該第1の値と該第2の値を挟む第3の値と第4の値を求め、該第1の値及び該第1の値に近い第3の値を通る第1の直線と該第2の値及び該第2の値に近い第4の値を通る第2の直線の交点を求め、該交点に対応するずらし量から前記各測距エリア内の被写体の像の間隔を求め、該像の間隔に基づいて被写体の距離を演算する演算手段とを備えていることが望ましく、また前記信頼性測定手段は、前記演算手段が前記測距値を検出するために設定した2直線の傾きの急峻度を求め、該急峻度に基づいて信頼性を判断することが望ましい。なお、2直線の傾きの急峻度とは、言い替えれば、前記演算手段が前記像の間隔を検出するために設定した2直線のなす角度の小ささのことで、該角度が小さい程急峻であり、前記信頼性測定手段は、2直線の傾きの平均値が急峻であるほど信頼性が高いと判断する。
上記の構成によれば、より信頼性の高い測距値を得ることができ、測距精度の向上を図ることができる。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下図面に基づいて本発明を説明する。図1〜図3は、本発明を適用したレンズシャッタ式カメラの一実施の形態を示す外観図である。このレンズシャッタ式カメラのカメラボディ1は、図1に示すように、正面にズームレンズ2を備え、その上方には、AF用補助投光窓3、パッシブAF受光窓4、ファインダ窓5、測光窓6を備えている。なお、これらの窓3〜6の後方カメラボディ1内には、図示しないが公知のように、AF用補助光源、測距センサ、ファインダ光学系、測光センサがそれぞれ配置されている。
【0006】
カメラボディ1の上飾り板7には、レリーズボタン8が設けられている。レリーズボタン8は、測光スイッチSWS及びレリーズスイッチSWRと連動していて、半押しで測光スイッチSWSがオンし、全押しでレリーズスイッチSWRがオンする。カメラボディ1の背面には、その中央部に電源をオン/オフするメインスイッチレバー10が設けられ、その上部にテレ側またはワイド側に倒すとズームレンズ2をテレ方向またはワイド方向にズーミングできるズームレンズレバー9が設けられている。このズームレンズレバー9は、テレスイッチSWT及びワイドスイッチSWWと連動していて、ズームレンズレバー9がテレ側に倒されるとテレスイッチSWTがオンし、ワイド側に倒されるとワイドスイッチSWWがオンする。また、カメラボディ1の背面の接眼窓12近傍には点灯または点滅により測距結果を報知する緑ランプ11が設けられている。
【0007】
次に、カメラボディ1の制御系の構成について、図4に示したブロック図を参照してより詳細に説明する。CPU21は、カメラの機能に関するプログラム等が書き込まれたROM及び制御用または演算用の各種パラメータなどを一時的に記憶するRAMを内蔵しており、カメラボディ1の動作を総括的に制御する制御手段として機能するほかに、信頼性測定手段、選択手段、変更手段としての機能も有する。
【0008】
CPU21には、スイッチ類として、メインスイッチレバー10に連動するメインスイッチSWM、ズームレンズレバー9に連動するテレスイッチSWT及びワイドスイッチSWW、レリーズボタン8に連動する測光スイッチSWS及びレリーズスイッチSWRが接続されている。
メインスイッチレバー10がオン操作されてメインスイッチSWMがオンすると、CPU21は、電池23を電源として、各入出力ポートに接続されている周辺回路に電力供給を開始し、操作されたスイッチに応じた処理を実行する。
ズームレバー9に連動するテレスイッチSWTまたはワイドスイッチSWWがオンすると、CPU21はズームレンズ駆動回路29を介してズームモータ30を駆動させ、ズームレンズ2をテレズームまたはワイドズームさせる。ズームモータ30は、電源オフ時にはズームレンズ2のレンズ鏡筒がカメラボディ1の外観内に収まる収納位置まで駆動し、電源オン時にはズームレンズ2がワイド端位置に移動するまで駆動する。ズームレンズ2の焦点距離は、ズームコード入力回路43によって検知される。
【0009】
レリーズボタン8が半押しされて測光スイッチSWSがオンすると、先ず、CPU21は測光回路37を介して被写体輝度を求める。測光回路37は、図示しない測光センサを備えていて、測光窓6から入射した被写体光を測光センサで受光し、被写体輝度に応じた測光信号をCPU21に出力する回路である。
CPU21は、求めた被写体輝度及びDXコード入力回路45を介して入力したISO感度などに基づいて適正シャッタ速度及び適正絞り値を演算する。DXコード入力回路45は、カメラボディ1に装填されたフィルムのパトローネに書き込まれたDXコードを読み込み、ISO感度、撮影枚数などの情報をCPU21に出力する回路である。
【0010】
そして、CPU21は、測距回路35から測距データを入力し、入力した測距データに基づいて測距演算を実行して測距値を求め、後述する所定条件を満たす測距値を選択できたときは、フォーカスモータ32のフォーカシングレンズ駆動量を算出し、フォーカス駆動回路31を介して駆動するとともに、緑ランプ11を点灯させる。所定条件を満たす測距値を選択できなかったときは、緑ランプ11を点滅させて測距エラーを報知し、使用者に注意を促す。
【0011】
測距回路35は、各測距エリアに含まれる被写体の焦点状態を検出する回路であり、被写体光束を受光し電気的な測距データに変換して出力する測距センサ36を有している。この測距センサ36は、図5に示すように、被写体光束を一対のセパレータレンズ(結像レンズ)36aによって分割して、Aセンサ及びBセンサからなる一対のラインセンサ36b上で受光する。一対のセパレータレンズ36aは、被写体距離に応じた間隔で一対の被写体像をラインセンサ36b上に形成し、ラインセンサ36bは、詳細は図示しないが、多数の光電変換素子(受光素子)を有し、各光電変換素子が被写体光束を受光して光電変換し、光電変換した電荷を積分(蓄積)して、積分した電荷を画素単位の信号(測距データ)として順番に出力する。また、測距回路35は、被写体輝度に応じてラインセンサ36bの積分時間をコントロールするモニタセンサ(図示せず)を備えている。CPU21は、モニタセンサの出力を検知して、ラインセンサ36bの積分時間、つまり積分終了をコントロールする。
本実施形態では、撮影画面に対応させて5個の測距エリアE[0]〜E[4]を設定してある。CPU21は、各測距エリア内E[0]〜E[4]の被写体の像が形成される一対のラインセンサ36a、36bの各受光領域e[0]〜e[4]から出力される測距データに基づいて被写体像の間隔を求め、さらに被写体の距離を求めている。図7に、5個の測距エリアE[0]〜E[4]と一方のラインセンサの受光領域e[0]〜e[4]との関係を示した。
【0012】
AF補助投光回路39は、被写体輝度が低いとき、または被写体のコントラストが低いとCPU21が判断したときに、CPU21の制御下で被写体に向けてコントラストパターンを照射する回路である。
【0013】
レリーズボタン8が全押しされてレリーズスイッチSWRがオンすると、CPU21は、算出した適正絞り値に基づいて絞り制御回路25を作動させてズームレンズ2の絞りを絞り込み、シャッタ速度に基づいてシャッタ制御回路33を介してシャッタモータ34を駆動させて露出する。露出が終了すると、CPU21はフィルム給送信号入力回路41によりフィルム給送信号を入力し、フィルム給送回路27を介してフィルム給送モータ28を作動させてフィルムを1コマ分巻き上げるが、フィルム残量がないときは、フィルム給送回路27を介してフィルム給送モータ28を作動させてフィルムの巻戻しを行う。
【0014】
以上は、本カメラの主要部材であるが、本カメラは、セルフタイマ動作を表示するセルフランプ、CPU21の制御下でストロボを発光させるストロボ装置、各種情報を表示するLCD表示パネルなど、公知の部材を備えている。
【0015】
図6には、CPU21が測距処理で測距値を選択する概要を示してある。図において、縦軸は測距値の信頼度を、横軸は被写体の距離を表している。CPU21は、各測距エリアE[0]〜E[4]の各測距データに基づき測距演算を実行して測距値SE[0]〜SE[4]を求めるとともに、その有効性及び信頼性を判断する。有効性及び信頼性の判断についての詳細は後述するが、図6では、CPU21が信頼性なしと判断する信頼性のデフォルト範囲を斜線部で表してあり、求めた測距値SE[0]〜SE[4]を丸印で表してある。
【0016】
次にCPU21は、最も近距離側の測距値(以下、「最近距離測距値」という。)を検出する。本実施形態では、各測距エリアに対応する受光領域上に結像した被写体像の像間隔を検出し、その像間隔を測距値としている。したがって、測距値は、近距離側ほど大きな値になるので、CPU21は最も値の大きい測距値を最近距離測距値として検出する。図6では、測距値SE[2]が最近距離測距値として検出される。最近距離測距値を検出すると、次にCPU21は、最近距離測距値が得られた被写体よりも遠方に位置する被写体の測距値であるが、その差が所定値Lよりも小さい範囲(以下、「近距離範囲」という。)に含まれる測距値を検出する。図6では、近距離範囲は網掛部で示される。
【0017】
そしてCPU21は、この近距離範囲内で最も信頼性が高い測距値を選択する。図6(a)では、近距離範囲内に測距値SE[2]しか含まれないので測距値SE[2](図中;黒丸)を選択する。図6(b)では、近距離範囲内に測距値SE[2]と測距値SE[1]の2点が含まれる。この場合、測距値SE[2]は最近測距値ではあるが、より信頼性の高い測距値SE[1](図中;黒丸)を選択する。被写体が複数存在する場合に、使用者の所望する被写体が必ずしもカメラに対して最も近距離側に位置しているとは限らないので、近距離側で最も信頼性の高い測距値を選択し、測距精度を向上させるためである。なお、所定値Lを一定とすると、最近距離測距値が小さい場合、つまり被写体の距離が遠い場合には、近距離範囲が広くなり過ぎる。これを防ぐため、本実施形態では、最近距離測距値の被写体の距離に応じて所定値Lを変更する構成とし、近距離範囲を制限している。
【0018】
次に、測距演算及び測距値の有効性・信頼性の判断について説明する。CPU21は、先ず、一対の測距データに基づいて相関関数f(N)を求める。相関関数f(N)は、ラインセンサ36bのAセンサデータとBセンサデータを重ね合わせて各画素データ毎の差分の絶対値の総和(これを「相関値」という。)を求める演算を、Aセンサデータを基準としてBセンサデータを1画素分ずつずらしながら実行することにより得られる関数であり、このずらし量と相関値に関する関数である。CPU21は、この相関関数f(N)の極小値を検出し、この極小値をとるときのAセンサデータに対するBセンサデータのずらし量、即ち像間隔を測距値として検出する。なお、この相関関数f(N)からはラインセンサ36bの光電変換素子単位でしか相関値を求めることができないため、通常は、さらに、得られた相関関数f(N)に基づいて補間計算を実行し、より精度の高い極小値を求める。図8には、相関関数f(N)から補間計算により極小値を求める概要を示してある。補間計算では、光電変換素子単位で相関値が最小となる第1の点(x1,y1)と相関値が2番目に小さい第2の点(x2,y2)の2点を求め、さらに、求めた2点(x1,y1)、(x2,y2)を挟む第3の点(x0,y0)と第4の点(x3,y3)を求め、この合計4点を使って、極小値を求める。即ち、第1の点(x1,y1)及びこの第1の点(x1,y1)に近い第3の点(x0,y0)を通る第1の直線と第2の点(x2,y2)及びこの第2の点に近い第4の点(x3,y3)を通る第2の直線の交点(x,y)を求め、この交点のX座標を像間隔、即ち測距値として求めている。また、補間計算では、この2直線の傾きD1、D2を求めている。
なお、図において、X座標はAセンサデータとBセンサデータのずらし量(間隔)、Y座標は差分の絶対値の総和(相関値)を示している。
【0019】
測距値が求められると、CPU21は、先ず、各測距値の有効性を判断する。測距値が有効であるか否かは、相関関数f(N)の極小値の数、相関関数f(N)の極小値の大きさに基づいて判断される。CPU21が有効でないと判断する場合としては、例えば、相関関数f(N)の極小値が2つ以上存在する場合や極小値の値が予め設定されている所定値よりも大きかった場合等である。
次に、CPU21は、有効と判断した各測距値の信頼性を判断する。測距値の信頼性の高さは、補間計算(図8)で求めた2直線の傾きの絶対値(以下、「相関関数f(N)の傾き」という。)D1、D2に基づいて判断される。相関関数f(N)の傾きD1、D2は以下により求められる。
D1=|(y1−y0)/(x1−x0)|
D2=|(y3−y2)/(x3−x2)|
CPU21は、この傾きD1、D2を平均した値が大きいほど測距値の信頼性は高いと判断する。
なお、信頼性の判断は、求めた極小値の大小比較などに行っても良いが、本実施形態のように相関関数f(N)の傾きの急峻度に基づいて判断したほうが検出精度の点で優れており、望ましい。
【0020】
次に、カメラボディ1の動作について、図9〜図15に示したフローチャートを参照してより詳細に説明する。図9は、撮影処理に関するフローチャートであり、この処理は測光スイッチSWSがオンされたときに実行される。
この処理に入ると先ず、測光処理を実行して被写体輝度を求め、測距処理を実行して測距値を求める(S11、S13)。測距処理は、詳細は後述するが、各測距エリアの測距データから測距値を演算し、各測距値から所定条件を満たす測距値を選択し、選択した測距値に基づいて図示しないフォーカシングレンズを移動させる処理である。
【0021】
測距処理後、測距エラーフラグがセットされているかどうかをチェックする(S15)。測距エラーフラグがセットされているとき、つまり測距処理で所定条件を満たす測距値を選択できなかったときは、使用者に注意を促すため緑ランプ11を点滅し、AE演算処理を実行して適正シャッタ速度及び絞り値を設定する(S15;Y、S19、S21)。測距エラーフラグがクリアされているときは、緑ランプ11を点灯してAE演算処理を実行する(S15;N、S17、S21)。
【0022】
そして、測光スイッチSWSがオンしているかどうかをチェックする(S23)。測光スイッチSWSがオンしていないときは、そのままリターンする(S23;N)。測光スイッチSWSがオンしているときは、レリーズスイッチSWRがオンしているかどうかをチェックする(S23;Y、S25)。レリーズスイッチSWRがオンしていないときは、S23へ戻り、レリーズ指令待機状態となる(S25;N、S23)。レリーズスイッチSWRがオンしているときは、緑ランプ11を消灯し、算出した適正絞り値に基づいて絞り制御回路25を作動させてズームレンズ2の絞りを絞り込み、適正シャッタ速度に基づいてシャッタ制御回路33を介してシャッタモータ34を駆動させて露出する露出制御処理を実行する(S25;Y、S27、S29)。露出制御処理終了後は、フィルム給送回路27を介してフィルム給送モータ28を作動させてフィルムを1コマ分巻き上げるが、フィルム残量がない場合は、フィルムをすべて巻戻しリターンする(S31)。
【0023】
S13で実行される測距処理について図10に示されるフローチャートを参照してより詳細に説明する。この処理に入ると先ず、S11で求めた被写体輝度が所定値以上かどうかをチェックする(S51)。被写体輝度が所定値よりも低かったときは、AF用補助投光装置39を介して補助光を所定間隔で所定時間発光させて(S51;Y、S53)、被写体輝度が所定値以上であったときは補助光を発光させずに(S51;N)、ラインセンサ36bのAセンサ及びBセンサが被写体光を受光し光電変換して積分した積分値を、Aセンサデータ及びBセンサデータとして入力する(S55)。
【0024】
CPU21は、入力したAセンサデータ及びBセンサデータに基づき相関関数f(N)を算出して測距値を求める測距演算を実行する(S57)。測距値が求まると、次に測距値選択処理を実行する(S59)。測距値選択処理では、詳細は後述するが、求めた測距値の中から、近距離範囲内で最も信頼性の高い測距値を検出して選択する処理である。
【0025】
測距値選択処理(S59)を実行した結果、近距離範囲内で最も信頼性の高い測距値を選択できたときは、測距エラーフラグをクリアし、選択した測距値からLLデータ(フォーカスモータ30を駆動させるパルス数)を算出し、求めたLLデータに基づきフォーカスモータ30を駆動させ、図示しないフォーカシングレンズを合焦位置まで移動させるレンズ駆動処理を実行してリターンする(S61;Y、S63、S65、S67)。測距値を選択できなかったときは、測距エラーフラグをセットしてリターンする(S61;N、S69)。
【0026】
S59で実行される測距値選択処理について図11に示されるフローチャート及び図6(b)を参照してより詳細に説明する。この処理では、先ず求めた測距値から有効と判断する有効測距値を抽出し、次に求めた有効測距値の中から最近距離測距値を検出し、そして検出した最近距離測距値と所定の近距離範囲内に含まれる測距値の中で信頼性が最も高い測距値を選択する。
【0027】
この処理に入ると、変数i及び変数jに初期値0を設定して(S101)、有効測距値抽出ループ処理を実行する。ただし、変数iは、測距値レジスタSEにメモリされている測距値のアドレス番号で、変数jは有効測距値レジスタSにメモリした測距値の総数である。
【0028】
このループ処理に入ると先ず、測距値レジスタSEにメモリされているi番目の測距値SE[i]が有効かどうかをチェックする(S103)。CPU21は、測距値を得た相関関数f(N)の極小値が2つ以上存在する場合、極小値が所定値よりも大きい場合等に有効でないと判断する(図6参照)。測距値SE[i]が有効であると判断したときは、有効測距値レジスタSに測距値SE[i]をメモリし、変数jに1加算して、S107に進む(S103;Y、S105)。測距値SE[i]を有効でないと判断したときは(S103;N)、S105をスキップしてS107に進む。そして、変数iに1加算して(S107)、変数iが変数kより小さいかどうかをチェックする(S109)。変数kは、測距エリアの総数である。なお、本実施形態では5個の測距エリアを有するので、変数kには、5がメモリされる。
変数iが変数kより小さいときは、次の測距値SE[i]をチェックするために、S103へ戻り、上記処理を繰り返す(S109;Y、S103)。
この処理により、求めた測距値の中から有効測距値のみを抽出できる。図6(b)の場合では、測距値SE[0]〜SE[3]の4個が有効であると判断され、測距値SE[0]〜SE[3]は有効測距値S[0]〜S[3]としてメモリされる。また、このとき変数jには有効と判断された測距値の総数4がメモリされている。
【0029】
変数iが変数k以上になったとき、本実施形態では変数iが5になったときは、メモリされている全ての測距値について上記のチェックを行ったので、次に変数jが0であるかどうかをチェックする(S109;N、S111)。変数jが0であったときは(S111;Y)、有効測距値レジスタSにはなにもメモリされていないので、リターンする。この場合、リターン後にS61でEf測距値なしと判断される。変数jが0でなかったときは、次に変数jが1であるかどうかをチェックする(S111;N、S113)。変数jが1であったときは、有効測距値レジスタSにメモリされているのは有効測距値S[0]だけなので、最近距離測距値sdataに有効測距値S[0]をメモリしてリターンする(S113;Y、S115)。この場合、リターン後のS61でEf測距値ありと判断される。
【0030】
変数jが1でなかったときは(S113;N)、有効測距値レジスタSにメモリした測距値SE[i]が2つ以上あるので、その中から最も近距離側の測距値;最近距離測距値sdataを選択するため、最近距離測距値sdataに先ず有効測距値S[0]をメモリし、変数hに1を設定し、変数dirに0を設定して(S117)、最近距離測距値検出ループ処理を実行する。ただし、変数hは有効測距値レジスタSのアドレス番号、変数dirは最近距離測距値sdataにメモリした有効測距値S[h]のアドレス番号であり、変数jは有効測距値レジスタSにメモリされている測距値の総数である。なお本実施形態では、ラインセンサ36b上の像間隔を測距値として検出しているため、近距離側の測距値ほど大きな値をとる。
【0031】
このループ処理に入ると先ず、最近距離測距値sdataの値が有効測距値レジスタSのアドレス番号hにメモリされている有効測距値S[h]の値より小さいかどうかをチェックする(S119)。最近距離測距値sdataが有効測距値S[h]より小さいときは(S119;Y)、より近距離側の測距値を検出するため最近距離測距値sdataに有効測距値S[h]を上書きし、最近距離測距値sdataにメモリしてある有効測距値S[h]を識別できるように変数dirにこのときの変数hをメモリして(S121)、S123へ進む。最近距離測距値sdataが有効測距値S[h]以上であるときは(S119;N)、最近距離測距値sdataのほうが近距離側なので、S121をスキップしてS123へ進む。
そして、変数hに1加算し(S123)、変数hが変数jより小さいかどうかをチェックする(S125)。変数hが変数jよりも小さいときは、S119のチェックを実行していない有効測距値S[h]があるので、S119に戻る(S125;Y)。
この処理により、最も値の大きい有効測距値を最近距離測距値sdataとして最終的に検出することができる。図6(b)の場合では、有効測距値S[2](測距値SE[2])が最近距離測距値sdataとしてメモリされ、変数dirにはこのアドレス番号2がメモリされる。
【0032】
そして変数hが変数j以上となったときは、変数hを0にセットしなおし、近距離範囲設定処理を実行する(S125;N、S127、S129)。近距離範囲設定処理は、図12に示すように、最近距離測距値sdataの値の大きさ、すなわち被写体の距離に応じて近距離範囲を規制する所定値Lを設定して、近距離範囲が広くなり過ぎないように制限する処理である。なお、本実施形態では最近距離測距値sdataを3つの距離範囲に分割し、近距離側の範囲に含まれる測距値ほど所定値Lが大きい値をとるように設定してある。図12では、最近距離測距値sdataの距離範囲を設定する定数A、B、所定値Lを設定する定数a、b、cの大小関係をA<B、0<a<b<cとしている。
【0033】
この処理に入ると先ず、最近距離測距値sdataの値が定数Aより小さいかどうかをチェックする(S201)。最近距離測距値sdataが定数Aより小さいときは、最近距離測距値sdataがやや遠距離側なので、所定値Lに1番小さい定数aを設定してリターンする(S201;Y、S203)。最近距離測距値sdataが定数A以上であるときは、次に定数Bより小さいかどうかをチェックする(S205)。最近距離測距値sdataが定数Bより小さいときは、最近距離測距値sdataが比較的近距離側なので、所定値Lに定数bを設定してリターンする(S205;Y、S207)。最近距離測距値sdataが定数B以上であるときは、最近距離測距値sdataはより近距離側なので、所定値Lに1番大きい定数cを設定してリターンする(S205;N、S209)。
【0034】
そして、Ef測距値検出ループ処理に入ると、先ず、変数dirと変数hが一致しているかどうかをチェックする(S131)。変数dirと変数hが一致しているときは、最近距離測距値sdataとしてメモリされている有効測距値とS133またはS137で比較する有効測距値S[h]が同じなので、S133〜S139をスキップしてS141に進む(S131;Y)。変数dirと変数hが一致していないときは(S131;N)、最近距離測距値sdataと有効測距値S[h]の差がS129で設定した所定値Lよりも小さいかどうかをチェックする(S133)。最近距離測距値sdataと有効測距値S[h]の差が所定値L以上であったときは(S133;N)、有効測距値S[h]は近距離範囲内に含まれていないので、S135〜S139をスキップしてそのままS141に進む。最近距離測距値sdataと有効測距値S[h]の差が所定値Lより小さいときは(S133;Y)、有効測距値S[h]は近距離範囲内に含まれているので、次に最近距離測距値sdataと有効測距値S[h]の信頼性の高さを判断するため、信頼性演算処理を実行する(S135)。
【0035】
信頼性演算処理では、図13に示すように、最近距離測距値sdataを得た測距エリアの相関関数fs(N)において、相関関数fs(N)の傾きDs1,Ds2の平均値dsを求める(S301)。また、有効測距値S[h]を得た測距エリアの相関関数fh(N)において、相関関数fh(N)の傾きDh1,Dh2の平均値dhを求める(S302)(図8参照)。なお、相関関数fs(N)またはfh(N)の傾きの平均値dsまたはdhは、その値が大きいほど、信頼性が高いということができる。
【0036】
そして、有効測距値S[h]の信頼性dhが最近距離測距値sdataの信頼性dsより高いかどうかをチェックする(S137)。有効測距値S[h]の信頼性dhが最近距離測距値sdataの信頼性dsよりも高かったときは、より信頼性の高い測距値を得るため、最近距離測距値sdataに有効測距値S[h]を上書きしてS141に進む(S137;Y、S139)。有効測距値S[h]の信頼性dhが最近距離測距値sdataの信頼性ds以下であったときは、S139をスキップしてそのままS141に進む(S137;N)。
【0037】
そして、変数hに1加算し(S141)、変数hが変数jより小さいかどうかをチェックする(S143)。変数hが変数jより小さいときは、S133またはS137のチェックを実行していない有効測距値S[h]があるので、S129へ戻り、上記の処理を繰り返す(S143;Y、S129)。そして、変数hが変数j以上となったときは、リターンする(S143;N)。この場合、リターン後のS61でEf測距値ありと判断される。
図6(b)の場合では、近距離範囲内に最近距離測距値sdata(測距値SE[2])のほかに有効測距値S[1](測距値SE[1])が含まれるので、より信頼性の高い有効測距値S[1]が最近距離測距値sdataとして上書きメモリされ、この有効測距値S[1]が最終的に選択される。
【0038】
以上のように、本実施形態では、最近距離測距値sdata及び最近距離測距値sdataとのラインセンサ36b上の間隔が所定値Lよりも小さい近距離範囲内に含まれる測距値の中から、最も信頼性の高い測距値を選択するので、測距精度を向上させることができる。
なお、以上では、本発明をレンズシャッタ式カメラに適用した形態について説明したが、本発明はこれに限定されないのは勿論であり、一眼レフカメラ等にも適用可能である。
【0039】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなとおり、本発明は、有効と判断した測距値の中で最至近距離の測距値及び該最至近距離から所定の範囲内にある測距値の中から、最も信頼性の高い測距値を択一的に選択するので、測距精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を適用したレンズシャッタ式カメラの正面図を示す図である。
【図2】 同レンズシャッタ式カメラの上面図を示す図である。
【図3】 同レンズシャッタ式カメラの背面図を示す図である。
【図4】 同レンズシャッタ式カメラの制御系の主要構成の一実施の形態をブロックで示す図である。
【図5】 同レンズシャッタ式カメラの測距センサの概要を示す図である。
【図6】 同レンズシャッタ式カメラの測距処理により測距値を選択する概要を示す図である。
【図7】 測距エリアとラインセンサ上の受光領域との関係を示す図である。
【図8】 相関関数f(N)から補間計算により極小値を求める概要を示す図である。
【図9】 同レンズシャッタ式カメラの撮影処理に関するフローチャートを示す図である。
【図10】 同レンズシャッタ式カメラの測距処理に関するフローチャートを示す図である。
【図11】 同レンズシャッタ式カメラの測距値選択処理に関するフローチャートの一部を示す図である。
【図12】 同レンズシャッタ式カメラの近距離範囲設定処理に関するフローチャートを示す図である。
【図13】 同レンズシャッタ式カメラの信頼性演算処理に関するフローチャートを示す図である。
【符号の説明】
1 カメラボディ
2 ズームレンズ
9 レリーズボタン
21 CPU
25 絞り制御回路
29 ズームレンズ駆動回路
31 フォーカス駆動回路
35 測距回路
36 測距センサ
36a セパレータレンズ
36b ラインセンサ
37 測光回路
Claims (4)
- 複数の測距エリアについて測距する測距手段と、
該測距手段が測距した測距値の有効性を判断し、有効と判断した測距値の信頼性を求める信頼性測定手段と、
前記信頼性測定手段が有効と判断した測距値の中で最至近距離の測距値及び該最至近距離から所定の範囲内にある測距値の中から、最も信頼性の高い測距値を択一的に選択する選択手段と、
を有することを特徴とする測距装置。 - 請求項1記載の測距装置において、前記最至近距離の測距値の被写体の距離に応じて、前記所定値を変更する変更手段を有することを特徴とする測距装置。
- 請求項1または2記載の測距装置において、前記測距手段は、前記複数の測距エリア内の被写体の像をそれぞれ一対のラインセンサの対応する受光領域に投影して該各一対の受光領域から画素単位で出力するセンサ手段と、前記一対の受光領域の一方の受光領域から出力された信号と他方の受光領域から出力された信号の画素毎の差分の絶対値の総和を求める演算を、前記一方の受光領域から出力された信号を基準として他方の受光領域から出力された信号を画素単位でずらしながら実行して、該ずらし量と前記総和に関する相関関数を求め、さらに該相関関数の値が画素単位で最小となる第1の値と2番目に小さい第2の値を求め、該第1の値と該第2の値を挟む第3の値と第4の値を求め、該第1の値及び該第1の値に近い第3の値を通る第1の直線と該第2の値及び該第2の値に近い第4の値を通る第2の直線の交点を求め、該交点に対応するずらし量から前記各測距エリア内の被写体の像の間隔を求め、該像の間隔に基づいて被写体の距離を演算する演算手段とを備え、
前記信頼性測定手段は、前記第1の直線または前記第2の直線のうち少なくとも一方の直線の傾きの急峻度を求め、該急峻度に基づいて信頼性を求めることを特徴とする測距装置。 - 請求項3の測距装置において、前記信頼性測定手段は、前記第1の直線及び前記第2の直線の傾きの急峻度をそれぞれ求め、該急峻度の平均値に基づいて信頼性を求めることを特徴とする測距装置。
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