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JP4517066B2 - 微量のアジ化物を含有する酵素活性測定試薬及び測定方法 - Google Patents
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JP4517066B2 - 微量のアジ化物を含有する酵素活性測定試薬及び測定方法 - Google Patents

微量のアジ化物を含有する酵素活性測定試薬及び測定方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、血清や尿等の生体試料中の各種酵素活性を測定するための試薬及び方法に関し、400〜500nmの波長域での酵素活性の測定における溶血した試料において生じる誤差を回避するものである。
【0002】
【従来の技術】
血清や尿等の生体試料中のγ−グルタミルトランスペプチダーゼ、α−アミラーゼやロイシンアミノペプチダーゼ等の酵素活性を測定するには、ニトロフェニル基又はニトロアニリン基等を有する基質にこれらの酵素が反応して生ずる4−ニトロフェノール、2−クロロ−4−ニトロフェノール、4−ニトロアニリン又は3−カルボキシ−4−ニトロアニリン等の400〜500nmに吸収極大(λmax )を持つ物の波長400〜500nmでの時間経過による吸光度の増加速度を求め、その測定結果から酵素活性を求めるカイネティックアッセイ(レートアッセイ)が一般的である。
【0003】
ところで、このような方法では、溶血作用により生成したヘモグロビンが試料中に含まれていると、測定中にそれが分解して、測定波長域における吸光度の経時的な減少を引き起こし、酵素活性測定の波長域での吸光度の増加速度を低下させてしまい、負の誤差が生じて、正確な測定値が得られないという問題があった。
【0004】
そこで、溶血作用により生成したヘモグロビンが測定中に分解するのを防止するため、従来、酵素活性測定試薬にチオ尿素を含有させる方法(特公平6−12998号)や、ピリジン類、イミダゾール類、ヒスタミン類を含有させる方法(特公平3−56425号)が知られているが十分ではなかった。
【0005】
なお、アジ化ナトリウムは、微生物の繁殖を抑える防腐剤として広く知られており、防腐能を有する0.1%以上の濃度で防腐剤としてのアジ化ナトリウムを含有する生体試料中の酵素活性測定試薬は存在した。
しかし、0.05%以下の濃度でアジ化物を含有する生体試料中の酵素活性測定試薬、及び溶血した試料における誤差発生の抑制剤としてのアジ化物を含有する生体試料中の酵素活性測定試薬は、知られていなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記のように従来の生体試料中の酵素活性測定試薬及び酵素活性測定方法は、溶血した試料中のヘモグロビンの影響を受け、測定値に負誤差を生じてしまうものであった。
本発明者は、この問題点の解決を目指して鋭意検討を行った結果、酵素活性測定試薬中にアジ化物が0.00007%〜0.05%存在するとこの誤差が生じるのを抑制できることを見い出し、溶血した試料であっても、試料中の酵素活性を正確に測定することができる測定試薬及び測定方法を完成するに至った。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、溶血した試料における誤差発生の抑制剤として、0.00007%〜0.05%の濃度のアジ化物を含有する生体試料中の酵素活性測定試薬(第1の酵素活性測定試薬)である。
本発明の第1の酵素活性測定試薬においては、アジ化物の濃度が、0.0001%〜0.01%であることが好適である。
本発明の第1の酵素活性測定試薬においては、アジ化物の濃度が、0.00025%〜0.005%であることが特に好適である。
【0008】
また、本発明は、0.00007%〜0.05%の濃度のアジ化物を含有する酵素活性測定試薬と生体試料を混合し、微量のアジ化物の存在下で酵素反応を行わせ、400〜500nmの波長域の吸光度を測定する、生体試料中の酵素活性測定方法(第1の酵素活性測定方法)である。
本発明の第1の酵素活性測定方法においては、アジ化物の濃度が、0.0001%〜0.01%であることが好適である。
本発明の第1の酵素活性測定方法においては、アジ化物の濃度が、0.00025%〜0.005%であることが特に好適である。
本発明の第1の酵素活性測定方法は、アジ化物を、溶血した試料における誤差発生の抑制剤として含有する、生体試料中の酵素活性測定方法である。
【0009】
更に、本発明は、第1試薬及び第2試薬の2試薬よりなる測定試薬であって、第1試薬と第2試薬を測定時の添加量の比で混合した際に、この混合後の測定試薬中のアジ化物の濃度が0.00007%〜0.05%となるように、溶血した試料における誤差発生の抑制剤として、アジ化物を第1試薬及び/又は第2試薬に含有する生体試料中の酵素活性測定試薬(第2の酵素活性測定試薬)である。
本発明の第2の酵素活性測定試薬においては、アジ化物の濃度が、0.0001%〜0.01%であることが好適である。
本発明の第2の酵素活性測定試薬においては、アジ化物の濃度が、0.00025%〜0.005%であることが特に好適である。
【0010】
そして、本発明は、第1試薬と第2試薬を測定時の添加量の比で混合した際にこの混合後の測定試薬中のアジ化物の濃度が0.00007%〜0.05%となるようにアジ化物を第1試薬及び/又は第2試薬に含有する酵素活性測定試薬の第1試薬並びに第2試薬及び生体試料を混合し、微量のアジ化物の存在下で酵素反応を行わせ、400〜500nmの波長域の吸光度を測定する、生体試料中の酵素活性測定方法(第2の酵素活性測定方法)である。
本発明の第2の酵素活性測定方法においては、アジ化物の濃度が、0.0001%〜0.01%であることが好適である。
本発明の第2の酵素活性測定方法においては、アジ化物の濃度が、0.00025%〜0.005%であることが特に好適である。
本発明の第2の酵素活性測定方法は、アジ化物を、溶血した試料における誤差発生の抑制剤として含有する、生体試料中の酵素活性測定方法である。
また、本発明は、0.00007%〜0.05%の濃度のアジ化物よりなる、溶血した試料における誤差発生の抑制剤である。
本発明の溶血した試料における誤差発生の抑制剤においては、アジ化物の濃度が、0.0001%〜0.01%であることが好適である。
本発明の溶血した試料における誤差発生の抑制剤においては、アジ化物の濃度が、0.00025%〜0.005%であることが特に好適である。
更に、本発明は、生体試料中の酵素活性測定方法において、0.00007%〜0.05%の濃度のアジ化物の存在下で酵素反応を行わせることによる、溶血した試料における誤差発生の抑制方法である。
本発明の溶血した試料における誤差発生の抑制方法においては、アジ化物の濃度が、0.0001%〜0.01%であることが好適である。
本発明の溶血した試料における誤差発生の抑制方法においては、アジ化物の濃度が、0.00025%〜0.005%であることが特に好適である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明において、アジ化物とは、アジ化水素(HN3 )の水素が金属で置換されたものである。
このアジ化物の具体例として、アジ化ナトリウム〔NaN3 〕、アジ化カリウム〔KN3 〕、アジ化バリウム〔Ba(N32〕、アジ化リチウム〔LiN3 〕等を挙げることができる。
【0012】
なお、本発明において、生体試料中の酵素活性測定試薬に含有させるアジ化物は、従来0.1%以上の濃度で用いられていた防腐剤としてではなく、溶血した試料における誤差発生の抑制剤として使用するものである。
【0013】
上記アジ化物は、一種又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0014】
本発明において、溶血した試料における負誤差を回避するために、上記アジ化物を生体試料中の酵素活性測定試薬に含有させる濃度は、0.00007%〜0.05%であればよく、好ましくは0.0001%〜0.01%であり、特に好ましくは0.00025%〜0.005%である。
【0015】
本発明の生体試料中の酵素活性測定試薬は、1試薬からなるものでもよく、また2試薬等の複数の試薬から構成されるものであってもよい。
【0016】
上記酵素活性測定試薬が第1試薬及び第2試薬の2試薬よりなる測定試薬の場合は、この第1試薬と第2試薬を生体試料中の酵素活性を測定する時の各々の添加量の比で混合した際に、この混合後の測定試薬中のアジ化物の濃度が0.00007%〜0.05%(好ましくは0.0001%〜0.01%、特に好ましくは0.00025%〜0.005%)となるように、アジ化物を第1試薬及び第2試薬に含有させるか、又はアジ化物を第1試薬若しくは第2試薬のいずれかに含有させる必要がある。
【0017】
混合後の測定試薬中のアジ化物の濃度が上記濃度範囲に入るのであれば、アジ化物は第1試薬のみに含有させてもよく、又は第2試薬のみに含有させてもよく、あるいは第1試薬と第2試薬の両方に含有させてもよい。
【0018】
この第1試薬と第2試薬を測定時の添加量の比で混合した後の測定試薬中のアジ化物の濃度と第1試薬及び第2試薬に含有させるアジ化物の濃度の関係の式を下記の数式1に示した。
【0019】
【数式1】
【0020】
測定時の第1試薬と第2試薬の添加量の比(V1、V2)が定まっている場合、混合後の測定試薬中のアジ化物濃度(CM)が、0.00007%〜0.05%(好ましくは0.0001%〜0.01%、特に好ましくは0.00025%〜0.005%)の範囲内の特定の値となるよう数式1に従って、第1試薬及び第2試薬に含有させるアジ化物の濃度を決めればよい。
【0021】
混合後のアジ化物濃度が0.00007%〜0.05%となる、第1試薬及び第2試薬に含有させるアジ化物濃度の例を表1、表2、表3、表4、表5、及び表6に示した。
【0022】
【表1】
Figure 0004517066
【0023】
【表2】
Figure 0004517066
【0024】
【表3】
Figure 0004517066
【0025】
【表4】
Figure 0004517066
【0026】
【表5】
Figure 0004517066
【0027】
【表6】
Figure 0004517066
【0028】
なお、上記酵素活性測定試薬が3試薬以上の試薬から構成される場合も同様である。
【0029】
ところで、本発明においては、酵素活性測定試薬中の濃度、又は第1試薬、第2試薬等の測定試薬を構成する試薬の混合後の測定試薬中での濃度で、アジ化物の濃度を0.00007%〜0.05%(好ましくは0.0001%〜0.01%、特に好ましくは0.00025%〜0.005%)と規定しているが、これを酵素活性測定試薬と生体試料の混合後の濃度、又は第1試薬、第2試薬等の測定試薬を構成する試薬と生体試料の混合後の濃度、つまり酵素活性測定反応の最終反応液中の濃度に置き換えても支障はない。
【0030】
それは、現在行われている生体試料中の酵素活性の測定において、試料の添加量を酵素活性測定試薬の添加量で割った時の比率は、測定試薬の添加量に対する試料の添加量が大変小さいため通常1〜5%の範囲内に収まるものであり、試料の添加量を考慮してもしなくても大差はないからである。
【0031】
なお、後に実施例で示すが、酵素活性測定試薬に含有するアジ化物の濃度は、溶血した試料における誤差の発生を抑制する効果からすると、0.00007%〜0.05%の範囲にあることが至適であり、これより高くても、また低くても溶血試料における誤差の発生を抑制する効果は小さくなるので好ましくない。
【0032】
本発明において、生体試料とは、酵素活性を測定しようとする酵素が存在する可能性がある液状のものをいう。
例えば、ヒト又は動物の血液、血清、血漿、尿、精液、髄液、唾液、汗、涙、腹水、羊水等の体液;ヒト若しくは動物の脳、肝臓等の臓器、毛髪、皮膚、爪、筋肉、又は神経組織等の抽出液、ヒト又は動物の糞便の抽出液又は懸濁液;細胞或いは菌体の抽出液;植物の抽出液等が挙げられる。
【0033】
本発明において、酵素活性の測定を行う酵素とは、400〜500nmの波長域の吸光度を測定することにより酵素活性の測定を行うことができるものである。
つまり、この活性の測定を行おうとする酵素が反応を触媒して生成する物、又はこの生成物より導かれる物質が400〜500nmの波長域に吸収を持つような化合物を、基質とすることができる酵素である。
【0034】
例えば、γ−グルタミルトランスペプチダーゼ(γ−グルタミルトランスフェラーゼ、γ−GTP、γ−GT)、ロイシンアミノペプチダーゼ(LAP)、アリルアミダーゼ(AA)、L−シスチンアミノトランスペプチダーゼ(CAP)、α−アミラーゼ(AMY)、アルカリ性ホスファターゼ(ALP)、コリンエステラーゼ(Ch−E、CHE)、トロンビン、トロンボプラスチン、アンチトロンビンIII(ATIII)、プラスミノーゲン、α2 −プラスミンインヒビター、第II凝固因子、第VIII凝固因子、第X凝固因子、第Xa 因子、又はプロテインC等を挙げることができる。
【0035】
また、上記の酵素のアイソザイムの活性測定に用いることもできる。
この場合、例えば特定のアイソザイムを阻害する抗体等の阻害剤を生体試料中の酵素に作用させ、酵素活性を測定することにより行うことができる。
【0036】
本発明の生体試料中の酵素活性測定方法(第1の酵素活性測定方法)においては、0.00007%〜0.05%の濃度のアジ化物を含有する酵素活性測定試薬と生体試料を混合し、微量のアジ化物の存在下で酵素反応を行わせ、酵素が基質と反応して生成する物又はこの生成物より導かれる物質の400〜500nmの波長域の吸光度を測定し、この測定値より生体試料中の酵素活性を算出する。
【0037】
本発明の生体試料中の酵素活性測定方法(第2の酵素活性測定方法)においては、第1試薬と第2試薬を測定時の添加量の比で混合した際にこの混合後の測定試薬中のアジ化物の濃度が0.00007%〜0.05%となるようにアジ化物を第1試薬及び/又は第2試薬に含有する酵素活性測定試薬の第1試薬並びに第2試薬及び生体試料を混合し、微量のアジ化物の存在下で酵素反応を行わせ、酵素が基質と反応して生成する物又はこの生成物より導かれる物質の400〜500nmの波長域の吸光度を測定し、この測定値より生体試料中の酵素活性を算出する。
【0038】
なお、先に述べたように、試料の添加量を酵素活性測定試薬の添加量で割った時の比率は、通常1〜5%の範囲内に収まるものであり、試料の添加量はほとんど無視できるものであるので、酵素反応を行わせる時の微量のアジ化物の濃度は、0.00007%〜0.05%(好ましくは0.0001%〜0.01%、特に好ましくは0.00025%〜0.005%)とほぼ同じである。
【0039】
本発明の生体試料中の酵素活性測定方法は、酵素が基質と反応して生成する物又はこの生成物より導かれる物質の生成速度を400〜500nmの波長域の吸光度の1分間当たりの変化量より算出するか、酵素が基質と反応して生成する物又はこの生成物より導かれる物質の生成量を400〜500nmの波長域の吸光度を測ることにより求める測定原理のものであれば、いかなる方法にも用いることができる。例えば、反応速度法(カイネティック法、レート法)又は終点法(エンドポイント法)に適用できる。
このような測定方法において、それ自体公知の方法によって、用手法又は自動分析装置による方法により酵素活性を測定することができる。
【0040】
例えば、γ−グルタミルトランスペプチダーゼの測定用基質としては、L−γ−グルタミル−4−ニトロアニリド、L−γ−グルタミル−3−カルボキシ−4−ニトロアニリド等が用いられ;ロイシンアミノペプチダーゼの測定用基質としては、L−ロイシル−4−ニトロアニリド等が用いられ;L−シスチンアミノトランスペプチダーゼの測定用基質としては、S−ベンジル−L−システイン−4−ニトロアニリド等が用いられ;α−アミラーゼの測定用基質としては、4−ニトロフェニル−α−D−マルトヘプタオシド、4,6−ベンジリデン−4−ニトロフェニル−α−D−マルトヘプタオシド、45 −O−β−D−ガラクトピラノシル−4−ニトロフェニル−α−D−マルトペンタオシド、2−クロロ−4−ニトロフェニル−β−D−マルトペンタオシド等が用いられ;アルカリ性ホスファターゼの測定用基質としては、4−ニトロフェニルリン酸等が用いられ;コリンエステラーゼの測定用基質としては、ブチリルチオコリン等が用いられる。
これらの基質に酵素が作用して遊離してくる4−ニトロフェノール、2−クロロ−4−ニトロフェノール、4−ニトロアニリン若しくは3−カルボキシ−4−ニトロアニリン等の400〜500nmに吸収極大(λmax )を持つ物の400〜500nmの波長域の吸光度を経時的に測定して、その吸光度の増加より酵素活性を算出する。
【0041】
または、これらの基質に酵素が作用して遊離してくるチオコリン等の物に、SH基と反応して定量的に400〜500nmの波長域の吸光度の変化を生ずるDTNB〔5,5’−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)〕等を加えて反応させ、生成してきた400〜500nmに吸収極大(λmax )を持つ物質の400〜500nmの波長域の吸光度を経時的に測定して、その吸光度の増加より酵素活性を算出する。
この場合、本発明によれば、生体試料中のヘモグロビンの分解により生じる誤差を抑制することができる。
【0042】
【実施例】
以下実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0043】
〔実施例1〕
(血清試料中のγ−グルタミルトランスペプチダーゼ[γ−GT]活性の測定)
【0044】
(1)試薬の調製
▲1▼γ−GT・第1試薬の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、1N水酸化ナトリウムを加えてpHを8.2(20℃)に調整して、アジ化ナトリウム濃度が異なる13種類のγ−GT・第1試薬を調製した。
【0045】
グリシルグリシン 225mM
アジ化ナトリウム
0%、0.0001%、0.0002%、0.0004%、0.0006%、0.0008%、0.001%、0.0015%、
0.002%、0.003%、0.005%、0.01%、又は0.1%
【0046】
▲2▼γ−GT・第2試薬の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、1N水酸化ナトリウムを加えてpHを5.25(20℃)に調整して、γ−GT・第2試薬を調製した。
【0047】
酢酸 20mM
L−γ−グルタミル−3−カルボキシ−4−ニトロアニリド 18mM
【0048】
(2)血清試料の調製
γ−GT活性値70U/lのヒト血清試料の9容と、ヘモグロビンを含まない水溶液又はヒト赤血球を溶血させて調製したヘモグロビン濃度が、5,000又は10,000mg/dlの水溶液の1容をそれぞれ混合して、ヘモグロビン濃度が各々0、500、又は1,000mg/dlである血清試料を調製した。
【0049】
(3)血清試料中のγ−GT活性の測定
日立7150形自動分析装置を用いて測定した。
上記(2)で調製した血清試料10μlに、上記(1)で調製したγ−GT・第1試薬250μlを添加し、37℃で5分間反応させた後、これに上記(1)で調製したγ−GT・第2試薬125μlを添加して37℃で反応させ、主波長405nm、副波長505nmにおける、γ−GT・第2試薬添加1分24秒後(32ポイント)から5分後(50ポイント)までの1分間当たりの吸光度変化量よりγ−GT活性値を下記の式により算出した。この式におけるK値である4,153は、5-アミノ-2-ニトロ安息香酸のモル吸光係数(ε)を9.27として算出したものである。
【0050】
なお、対照として、血清試料の代わりに生理食塩水を試料として同様に測定を行い、得られた吸光度変化量を試薬盲験値とし、これを上記血清試料測定時の吸光度変化量から差し引いた値をγ−GT活性値の算出に用いた。
【0051】
γ−GT活性値(U/l)=(1分間当たりの吸光度変化量)× 4,153
【0052】
ところで、上記の13種類のγ−GT・第1試薬と上記γ−GT・第2試薬とを上記の添加量で混合した後の測定試薬中のアジ化ナトリウムの濃度は、各々、下記の様になる。
0%、0.000067%、0.00013%、0.00027%、0.0004%、0.00053%、0.00067%、
0.001%、0.0013%、0.002%、0.0033%、0.0067%、又は0.067%
【0053】
(4)測定結果
測定の結果を表7及び図1に示す。
なお、この表7に示した数値は、各試薬における、ヘモグロビン濃度0mg/dlの血清試料のγ−GT活性測定値を100%とした時のヘモグロビン濃度500mg/dl、又は1,000mg/dlの血清試料のγ−GT活性測定値を相対比率(%)で表したものである。
【0054】
【表7】
Figure 0004517066
【0055】
また、図1において、横軸はγ−GT・第1試薬とγ−GT・第2試薬を混合した後の測定試薬中でのアジ化ナトリウム濃度を、縦軸は各試薬における、ヘモグロビン濃度0mg/dlの血清試料のγ−GT活性測定値を100%とした時のヘモグロビン濃度500mg/dl、又は1,000mg/dlの血清試料のγ−GT活性測定値を相対比率(%)で表したものである。
ここで、「○」はヘモグロビン濃度500mg/dlの血清試料のγ−GT活性測定値を、「●」はヘモグロビン濃度1,000mg/dlの血清試料のγ−GT活性測定値を示す。
【0056】
【図1】
【0057】
表7及び図1から明らかなように、γ−GT活性測定試薬による測定では、混合後の測定試薬中のアジ化ナトリウム濃度が0.00007%以上及び0.05%以下において溶血試料において生じる誤差を抑制できることが分かる。特にアジ化ナトリウム濃度が0.0001%以上及び0.01%以下において、更に0.00025%以上及び0.005%以下においては、効果が顕著である。
よって、本発明の酵素活性測定試薬及び測定方法は、溶血した試料においても、誤差を生じずに正確な酵素活性値を得ることができることが確かめられた。
【0058】
〔実施例2〕
(血清試料中のロイシンアミノペプチダーゼ[LAP]活性の測定)
【0059】
(1)試薬の調製
▲1▼LAP・第1試薬の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、1N水酸化ナトリウムを加えてpHを8.0(20℃)に調整して、アジ化ナトリウム濃度が異なる5種類のLAP・第1試薬を調製した。
【0060】
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン 75mM
塩化ナトリウム 376mM
アジ化ナトリウム
0%、0.0001%、0.001%、0.01%、又は0.1%
【0061】
▲2▼LAP・第2試薬の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、1N水酸化ナトリウムを加えてpHを4.1(20℃)に調整して、LAP・第2試薬を調製した。
【0062】
酢酸 20mM
L−ロイシン−p−ニトロアニリド 12.2mM
【0063】
(2)血清試料の調製
LAP活性値49U/lのヒト血清試料(血清試料A)又はLAP活性値41U/lのヒト血清試料(血清試料B)の9容と、ヘモグロビンを含まない水溶液又はヒト赤血球を溶血させて調製したヘモグロビン濃度が、2,500、5,000、7,500又は10,000mg/dlの水溶液の1容をそれぞれ混合して、ヘモグロビン濃度が各々0、250、500、750又は1,000mg/dlである血清試料(血清試料A及び血清試料B)を調製した。
【0064】
(3)血清試料中のLAP活性の測定
日立7150形自動分析装置を用いて測定した。
上記(2)で調製した血清試料8μlに、上記(1)で調製したLAP・第1試薬260μlを添加し、37℃で5分間反応させた後、これに上記(1)で調製したLAP・第2試薬130μlを添加して37℃で反応させ、主波長405nm、副波長480nmにおける、LAP・第2試薬添加1分24秒後(32ポイント)から5分後(50ポイント)までの1分間当たりの吸光度変化量よりLAP活性値を下記の式により算出した。この式におけるK値である5,097は、4-ニトロアニリンのモル吸光係数(ε)を9.76として算出したものである。
【0065】
なお、対照として、血清試料の代わりに生理食塩水を試料として同様に測定を行い、得られた吸光度変化量を試薬盲験値とし、これを上記血清試料測定時の吸光度変化量から差し引いた値をLAP活性値の算出に用いた。
【0066】
LAP活性値(U/l)=(1分間当たりの吸光度変化量)× 5,097
【0067】
また、上記の5種類のLAP・第1試薬と上記LAP・第2試薬とを上記の添加量で混合した後の測定試薬中のアジ化ナトリウムの濃度は、各々、下記の様になる。
0%、0.000067%、0.00067%、0.0067%、又は0.067%
【0068】
(4)測定結果
測定の結果を表8に示す。
なお、この表8に示した数値は、各試薬における、ヘモグロビン濃度0mg/dlの血清試料のLAP活性測定値を100%とした時のヘモグロビン濃度250mg/dl、500mg/dl、750mg/dl、又は1,000mg/dlの血清試料のLAP活性測定値を相対比率(%)で表したものである。
【0069】
【表8】
Figure 0004517066
【0070】
表8から明らかなように、本発明のLAP活性測定試薬による測定においても、混合後の測定試薬中のアジ化ナトリウム濃度が0.00007%以上及び0.05%以下において溶血試料において生じる誤差を抑制できることがわかる。特に0.0001%以上及び0.01%以下において効果が顕著である。
よって、本発明の酵素活性測定試薬及び測定方法では、測定項目が異なっても、溶血した試料において誤差を生じずに正確な酵素活性値を得ることができることが確かめられた。
【0071】
〔実施例3〕
(血清試料中のα−アミラーゼ[AMY]活性の測定)
【0072】
(1)試薬の調製
AMY活性測定試薬の調製
下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、1N水酸化ナトリウムを加えてpHを6.3(37℃)に調整して、アジ化ナトリウム濃度が異なる2種類のAMY活性測定試薬を調製した。
【0073】
2-(N-モルフォリノ)エタンスルホン酸・一水塩 50mM
チオシアン酸カリウム 900mM
塩化ナトリウム 300mM
酢酸カルシウム 5mM
2-クロロ-4-ニトロフェニル-α-D-マルトトリオシド 2.25mM
アジ化ナトリウム 0%、又は0.01%
【0074】
(2)血清試料の調製
AMY活性値64U/lのヒト血清試料の8容と、ヘモグロビンを含まない水溶液又はヒト赤血球を溶血させて調製したヘモグロビン濃度が、2,500、又は5,000mg/dlの水溶液の2容をそれぞれ混合して、ヘモグロビン濃度が各々0、500、又は1,000mg/dlである血清試料を調製した。
【0075】
(3)血清試料中のAMY活性の測定
日立7150形自動分析装置を用いて測定した。
上記(2)で調製した血清試料5μlに、上記(1)で調製したAMY試薬300μlを添加して37℃で反応させ、主波長405nm、副波長546nmにおける、AMY活性測定試薬添加2分12秒後(11ポイント)から4分12秒後(21ポイント)までの1分間当たりの吸光度変化量よりAMY活性値を下記の式により算出した。この式におけるK値である3,885は、2-クロロ-4-ニトロフェノールのモル吸光係数(ε)を15.7として算出したものである。
【0076】
なお、対照として、血清試料の代わりに生理食塩水を試料として同様に測定を行い、得られた吸光度変化量を試薬盲験値とし、これを上記血清試料測定時の吸光度変化量から差し引いた値をAMY活性値の算出に用いた。
【0077】
AMY活性値(U/l)=(1分間当たりの吸光度変化量)× 3,885
【0078】
(4)測定結果
測定の結果を表9に示す。
なお、この表9に示した数値は、各試薬における、ヘモグロビン濃度0mg/dlの血清試料のAMY活性測定値を100%とした時のヘモグロビン濃度500mg/dl、又は1,000mg/dlの血清試料のAMY活性測定値を相対比率(%)で表したものである。
【0079】
【表9】
Figure 0004517066
【0080】
表9から明らかなように、本発明のAMY活性測定試薬による測定においても、測定試薬中のアジ化ナトリウム濃度が0.00007%以上及び0.05%以下にある場合には、溶血試料において生じる誤差を抑制できることがわかる。
よって、本発明の酵素活性測定試薬及び測定方法では、測定項目にかかわらず、溶血した試料において誤差を生じずに正確な酵素活性値を得ることができることが確かめられた。
【0081】
【発明の効果】
本発明の酵素活性測定試薬及び酵素活性測定方法は、酵素活性測定試薬中にアジ化物を0.00007%〜0.05%含有させることにより、溶血した試料であっても、測定値に誤差が生じるのを抑制し、生体試料中の酵素活性を正確に測定することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のγ−GT活性測定試薬での、試料の溶血による測定値への影響を検討した図である。
【数式1】
Figure 0004517066

Claims (3)

  1. 生体試料中の酵素活性測定方法において、0.00007%〜0.05%の濃度のアジ化物の存在下で酵素反応を行わせることによる、溶血した試料における誤差発生の抑制方法。
  2. アジ化物の濃度が、0.0001%〜0.01%である、請求項1記載の溶血した試料における誤差発生の抑制方法。
  3. アジ化物の濃度が、0.00025%〜0.005%である、請求項1又は請求項2記載の溶血した試料における誤差発生の抑制方法。
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