本発明の実施の形態および実施例について、図面を用いて以下に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されない。本発明の趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解されるからである。したがって、本発明は以下に示す実施の形態および実施例の記載内容のみに限定して解釈されるものではない。なお、図面を用いて本発明の構成を説明するにあたり、同じものを指す符号は異なる図面間でも共通して用いる。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の半導体装置の構成例、およびその作製方法について図面を用いて説明する。
本発明の半導体装置は、マイクロマシンの分野に属するものであり、マイクロメートルからミリメートル単位の大きさを有する。また、ある機械装置の部品として組み込まれるために作製される場合は、組み立て時に扱いやすいよう、半導体装置がメートル単位の大きさを有する場合もある。
図1に、本発明の半導体装置の概念図を示す。
本発明の半導体装置11は、半導体素子を有する電気回路部12、および微小構造体によって構成されている構造体部13を有する。電気回路部12は、微小構造体を制御する制御回路14や、外部の制御装置10と通信を行うインターフェース15等を有する。また構造体部13は、微小構造体で構成される、センサ16やアクチュエータ17、スイッチ等を有する。
また、電気回路部12は、構造体部13が得た情報を処理するための中央演算処理装置や、処理した情報を記憶するメモリ等を有することも可能である。
外部の制御装置10は、半導体装置11を制御する信号を送信する、半導体装置11が得た情報を受信する、または半導体装置11に駆動電力を供給する等の動作を行うための装置である。
本発明は上記構成例のみに限定されることはない。つまり、本発明は半導体装置内部に、半導体素子を有し微小構造体を制御する電気回路、および電気回路によって制御される微小構造体を有することを特徴としているため、その他の構成は図1に限定されるものではない。
従来、ミリメートル単位以下といった微小なものを扱う場合、まず微小な対象物の構造を拡大し、人間やコンピュータがその情報を得て情報処理および動作の決定を行い、そして、その動作を縮小して微小な対象物に伝えるというプロセスを必要としている。
しかし、図1に示す本発明の半導体装置は、人間やコンピュータが上位概念的な命令を伝えるだけで、微小なものを扱うことが可能になる。すなわち、人間やコンピュータが目的を決定して命令を伝えると、当該半導体装置はセンサ等を用いて対象物の情報を得て情報処理を行い、可動することができる。
上記例では、対象物が微小なものであると仮定している。このような対象物には、例えば、対象物自体はメートル単位の大きさを有するが、その対象物から発せられる微少な信号(例えば、光や圧力の微小な変化)等が含まれる。
次に、上記で説明した本発明の半導体装置を作製するために、同一基板上に微小構造体および半導体素子を作製する方法について、図2〜図5を用いて説明する。各図面は、上面図または、上面図のO−P、またはQ−Rにおける断面図を示す。
本発明の微小構造体および半導体素子は、絶縁性表面を有する基板(以下、絶縁基板という)上に一体形成することができる。ここで絶縁性基板とは、ガラス基板、石英基板、プラスチック基板等である。さらに、金属等の導電性基板や、シリコン等の半導体性基板上に絶縁性を有する層を形成した基板を用いることも可能である。プラスチック基板に微小構造体および半導体素子を一体形成することにより、柔軟性が高く、薄型な半導体装置を形成することができる。またガラス基板を研磨等により薄くすることによって、薄型な半導体装置を形成することもできる。
まず、絶縁表面を有する基板101上に下地膜102を形成する(図2(A1)、(A2)参照)。下地膜102は酸化シリコン膜、窒化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜などの絶縁層を単層または積層構造で形成することができる。ここでは下地膜102として2層構造を用いる場合を説明するが、下地膜102は絶縁層を単層または2層以上に積層させた構造を用いても良い。
下地膜102の一層目としては、プラズマCVD法を用い、SiH4、NH3、N2O及びH2を反応ガスとして成膜される酸化窒化シリコン膜を10〜200nm(好ましくは50〜100nm)形成することができ、本実施の形態では、膜厚50nmの酸化窒化シリコン膜を形成する。次いで一層目の上に下地膜102の二層目として、プラズマCVD法を用い、SiH4及びN2Oを反応ガスとして成膜される酸化窒化シリコン膜を50〜200nm(好ましくは100〜150nm)の厚さに積層形成することができ、本実施の形態では膜厚100nmの酸化窒化シリコン膜を形成する。
次に、下地膜102の上に第一の犠牲層103を成膜し、任意の形状にパターニングする(図2(A1)、(A2)参照)。第一の犠牲層103は、タングステンや窒化シリコン等、金属やシリコンなどの元素や化合物を材料とし、スパッタリング法やCVD法等を用いて成膜することができる。パターニングには、フォトリソグラフィ法を用いてレジストマスクを形成し、異方性のドライエッチングを行う。犠牲層とは、後の工程で除去される層を指し、犠牲層を除去することによって空間が設けられることとなる。このような犠牲層は、金属元素、金属化合物、シリコン、シリコン酸化物、またはシリコン窒化物を有する材料から形成することができる。また犠牲層は導電体であっても、絶縁体であってもよい。
第一の犠牲層103の膜厚は、第一の犠牲層103の材料や、微小構造体の構造および動作方法、犠牲層を除去するためのエッチング方法等、様々な要因を考慮して決定される。例えば、第一の犠牲層103が薄すぎればエッチング剤が拡散せずにエッチングされない。また、エッチング後に構造層が座屈するといった現象も生じる。さらに、例えば犠牲層下部に導電層を設け、微小構造体を静電力で動作させる場合、具体的には、導電層と構造層との間で静電力により動作させる場合は、第一の犠牲層が厚すぎると駆動させることができなくなる恐れがある。そのため、第一の犠牲層103は例えば0.5μm以上3μm以下の厚さを有し、1μm〜2.5μmを有すると好ましい。
また、内部応力の大きい材料を犠牲層として利用する場合、一度に厚い犠牲層を成膜することができない。この場合には、成膜やパターニングを繰り返し、第一の犠牲層を厚く形成することも可能である。
次に、半導体素子を構成する半導体層104、および微小構造体を構成する構造層105となる半導体層を成膜し、任意の形状にパターニングする(図2(B1)、(B2)参照)。半導体層(半導体層104、および構造層105を合わせて半導体層と呼ぶ)は、シリコンを有する材料から形成することができる。シリコンを有する材料には、シリコンからなる材料、ゲルマニウムを0.01〜4.5atomic%程度に有するシリコンゲルマニウム材料等がある。
構造層105の材料および膜厚は、第一の犠牲層103の厚さ、構造層105の材料、微小構造体の構造、または犠牲層除去のためのエッチング方法等、様々な要因を考慮して決定される。例えば、構造層105を厚く成膜すると内部応力に分布が生じ、反りや座屈の原因となる。逆に、内部応力の分布差が大きい物質を用いて形成した構造層105を利用して微小構造体を構成することも可能である。また、構造層105の厚さが薄いと、犠牲層のエッチング時に用いる溶液の表面張力によって微小構造体が座屈する恐れがある。このように構造層の膜厚は、座屈等が生じないような厚さとする。例えば、本実施形態の半導体層を用いて構造層105を作製する場合、膜厚は0.5μm以上10μm以下を有することが好ましい。
また半導体層には、結晶状態を有するもの、非晶質状態を有するものを用いることができるが、本実施の形態では、非晶質半導体層を形成し、加熱処理により結晶化して結晶性半導体層を形成する。加熱処理には、加熱炉、レーザ照射、若しくはレーザビームの代わりにランプから発する光の照射(以下、ランプアニールと表記する)、又はそれらを組み合わせて用いることができる。
レーザ照射を用いる場合、連続発振型のレーザビーム(CWレーザビーム)やパルス発振型のレーザビーム(パルスレーザビーム)を用いることができる。レーザビームとしては、Arレーザ、Krレーザ、エキシマレーザ、YAGレーザ、Y2O3レーザ、YVO4レーザ、YLFレーザ、YAlO3レーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライトレーザ、Ti:サファイヤレーザ、銅蒸気レーザまたは金蒸気レーザのうち一種または複数種から発振されるレーザビームを用いることができる。このようなレーザビームの基本波、及び第2高調波から第4高調波のレーザビームを照射することで、大粒径の結晶を得ることができる。例えば、Nd:YVO4レーザ(基本波1064nm)の第2高調波(532nm)や第3高調波(355nm)を用いることができる。このときレーザビームのエネルギー密度は0.01〜100MW/cm2程度(好ましくは0.1〜10MW/cm2)が必要である。そして、走査速度を10〜2000cm/sec程度として照射する。
なお連続発振の基本波のレーザビームと連続発振の高調波のレーザビームとを照射するようにしてもよいし、連続発振の基本波のレーザビームとパルス発振の高調波のレーザビームとを照射するようにしてもよい。複数のレーザビームを照射することにより、エネルギーを補うことができる。
またパルス発振型のレーザビームであって、半導体層がレーザビームによって溶融してから固化するまでに、次のパルスレーザビームを照射できるような発振周波数でレーザ発振させたレーザビームを用いることもできる。このような周波数でレーザビームを発振させることで、走査方向に向かって連続的に成長した結晶粒を得ることができる。具体的なレーザビームの発振周波数は10MHz以上であって、通常用いられている数十Hz〜数百Hzの周波数帯よりも著しく高い周波数帯を使用する。
その他の加熱処理として加熱炉を用いる場合には、非晶質半導体層を400〜550℃で2〜20時間かけて加熱する。このとき、徐々に高温となるように温度を400〜550℃の範囲で多段階に設定するとよい。最初の400℃程度の低温加熱工程により、非晶質半導体層の水素等が出てくるため、結晶化の際の膜荒れを低減することができる。さらに、結晶化を促進させる金属、例えばニッケルを非晶質半導体層上に形成すると、加熱温度を低減することができ好ましい。金属としては、Fe、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Au等の金属を用いることもできる。
さらに加熱処理に加えて、上記のようなレーザを用いて照射を行って結晶性半導体層を形成してもよい。
このように形成された構造層105の結晶構造は、単結晶と同程度とできる。したがって、構造層105の靭性を高めることができる。すなわち、成膜された半導体層(本実施の形態ではシリコンを用いて作製されている)を、金属を用いた熱結晶化、またはレーザ結晶化を行って結晶化する。その結果、構造層の材料として使用される通常の多結晶シリコンに比べて靭性が高い構造層105を得ることができる。なお、通常の多結晶シリコンとは、金属を用いずに、熱結晶化のみによって作製される多結晶シリコンのことを示す。このように構造層105の靭性を高めることができるのは、結晶化工程により結晶粒界が連続している半導体層を作ることができるためである。構造層105は、非晶質シリコンや通常の熱結晶化によって得られる多結晶シリコンと異なり、結晶粒界で共有結合が途切れることのない結晶構造を有する。そのため、結晶粒界が欠陥となって起こる応力集中が起こらず、結果として一般的な多結晶シリコンに比べて破壊応力が高くなる。
さらに、金属を用いて形成される結晶性シリコンは、結晶粒界が連続している。そのため、電子の移動度が大きく、構造体を静電力で制御する場合の構造層の材料として好適である。
さらに、結晶化を助長させる金属を用いて結晶性シリコンを形成する場合、金属を結晶性シリコンに含ませておくことができる。そのため、構造層に導電性を有することができ、微小構造体を静電力で制御する半導体装置として好適である。
また、結晶化を助長させる金属は半導体装置の汚染源となるため、結晶化した後に除去又は低減させることも可能である。この場合、加熱処理又はレーザ照射による結晶化の後、半導体層上にゲッタリングシンクとなる層を形成し、加熱することにより、金属をゲッタリングシンクへ移動させ、金属を除去又は低減させることができる。ゲッタリングシンクには、多結晶半導体層や不純物が添加された半導体層を用いることができる。例えば、半導体層上にアルゴン等の不活性元素が添加された多結晶半導体層を形成し、これをゲッタリングシンクとして適用することができる。不活性元素を添加することによって、多結晶半導体層にひずみを生じさせることができ、ひずみにより効率的に金属を捕獲することができる。またリン等の元素を添加した半導体層を形成することによって、金属を捕獲することもできる。
このような工程によって作製された多結晶シリコンは、構造層105にそのまま用いることができる。また、構造層105に導電性が必要な場合は、構造層105に燐や砒素、ボロン等の不純物元素を添加すれば導電性を付与することが可能である。導電性を持たせた微小構造体は、静電力で制御する半導体装置として好適である。
またこのような多結晶シリコンは、半導体層104としても好適である。上記したように、本発明の多結晶シリコンは結晶粒界が連続するように作製される。そのため、電子の移動度を大きくすることができ、半導体素子の性能を高めることができる。
次に、半導体層104、および構造層105の上に、構造層105の上面を覆う第一の絶縁層106を形成する(図2(B1)、(B2)参照)。半導体層104上に設けられた第一の絶縁層106は、ゲート絶縁層として機能する。第一の絶縁層106は、下地膜102と同様、酸化シリコン、窒化シリコン等のシリコンを含む材料を、プラズマCVD法またはスパッタリング法等を用いて成膜することができる。本実施の形態では、第一の絶縁層106としてプラズマCVD法により115nmの厚さの酸化窒化シリコン膜(組成比Si=32%、O=59%、N=7%、H=2%)を形成する。勿論、第一の絶縁層106は酸化窒化シリコン膜に限定されるものでなく、他のシリコンを含む絶縁層を単層または積層構造として用いても良い。
また、第一の絶縁層106の材料として、高誘電率を有する金属酸化物、例えば、ハフニウム(Hf)酸化物、を用いることもできる。このような高誘電率材料を、ゲート絶縁層に適用すると、低い電圧で半導体素子を駆動することができ、低消費電力の半導体装置を提供することができる。
また、第一の絶縁層106は高密度プラズマ処理によって成膜することができる。高密度プラズマ処理とは、プラズマ密度が1×1011cm−3以上、好ましくは1×1011cm−3から9×1015cm−3以下であり、マイクロ波(例えば周波数2.45GHz)といった高周波を用いたプラズマ処理である。このような条件でプラズマを発生させると、低電子温度が0.2eVから2eVとなる。このように低電子温度が特徴である高密度プラズマは、活性種の運動エネルギーが低いため、プラズマダメージが少なく、欠陥の少ない膜を形成することができる。
このようなプラズマ処理を可能とする成膜室に、半導体層104、および構造層105が形成された基板を配置し、プラズマ発生用の電極、所謂アンテナと被形成体との距離を20mmから80mm、好ましくは20mmから60mmとして成膜処理を行う。このような高密度プラズマ処理によって、低温プロセス(基板温度400℃以下)の実現が可能となる。そのため、耐熱性の低いガラスやプラスチックを基板101として利用することができる。
このような絶縁層の成膜雰囲気は窒素雰囲気、又は酸素雰囲気とすることができる。窒素雰囲気とは、代表的には、窒素と希ガスとの混合雰囲気、又は窒素と水素と希ガスとの混合雰囲気である。希ガスとしては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンの少なくとも1つを用いることができる。また酸素雰囲気とは、代表的には、酸素と希ガスとの混合雰囲気、酸素と水素と希ガスとの混合雰囲気、又は一酸化二窒素と希ガスとの混合雰囲気である。希ガスは、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンの少なくとも1つを用いることができる。
以上のように形成された絶縁層は、第1の絶縁層106の成膜時に他の被膜に与えるダメージが少なく、緻密なものとなる。また高密度プラズマ処理により形成された絶縁層は、当該絶縁層と絶縁層に接触する層との間の界面状態を改善することができる。例えば高密度プラズマ処理を用いて第一の絶縁層106を形成すると、半導体層との界面状態を改善することができる。その結果、半導体素子の電気特性を向上させることができる。さらに、このように絶縁層を構造層上に成膜することによって、微小構造体に与えるダメージを少なくすることができ、構造層105の強度を保つことができる。
ここでは、第一の絶縁層106の成膜に高密度プラズマ処理を用いる場合を説明したが、半導体層に高密度プラズマ処理を施してもよい。高密度プラズマ処理によって、半導体層表面の改質を行うことができる。その結果、界面状態を改善でき、半導体素子の電気特性を向上させることができる。
さらに、第一の絶縁層106の成膜のみではなく、下地膜102や他の絶縁層を成膜する場合にも、高密度プラズマ処理を用いて作製することができる。
次に、第一の絶縁層106上に半導体素子を構成するゲート電極107、および微小構造体を構成する第二の犠牲層108となる第一の導電層を形成し、任意の形状にパターニングする(図2(C1)、(C2)参照)。第一の導電層(ゲート電極107および第二の犠牲層108を合わせて第一の導電層と呼ぶ)は、タングステン等、導電性を有する金属や化合物を材料とし、スパッタリング法やCVD法等を用いて成膜することができる。
当該第一の導電層は第二の犠牲層108となる。第二の犠牲層108を第一の犠牲層103と同時にエッチングする場合、第一の犠牲層103と同一の材料、例えばタングステン等を用いて成膜することが望ましい。しかしながら、本発明はこれらの材料に限定されず、第一の犠牲層103および第二の犠牲層108は異なる材料を用いて作製しても構わない。
また、当該第一の導電層は半導体素子のゲート電極107となる。なお、第1の導電層を異なる導電性の材料を用いて積層させ、テーパー状にエッチングすることで、ゲート電極107を形成することも可能である。なお図2においては、単層構造を用いてゲート電極を作製する例を示している。
パターニングは、フォトリソグラフィ法を用いてレジストマスクを形成し、異方性のドライエッチングを行う。エッチングの例としては、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法を用いることができる。このとき、エッチング条件(コイル型の電極に印加される電力量、基板101側の電極に印加される電力量、基板101側の電極の温度等)を決定する。なお、エッチング用ガスとしては、Cl2、BCl3、SiCl4もしくはCCl4などを代表とする塩素系ガス、CF4、SF6もしくはNF3などを代表とするフッ素系ガスまたはO2を適宜用いることができる。
次に、半導体素子を構成する半導体層104に不純物元素を添加してN型不純物領域112、およびP型不純物領域111を形成する(図3(A1)、(A2)参照)。このような不純物領域は、フォトリソグラフィ法によりレジストマスクを形成し、不純物元素を添加することで選択的に形成することができる。不純物元素を添加する方法は、イオンドープ法またはイオン注入法で行うことができる。N型を付与する不純物元素として、典型的にはリン(P)または砒素(As)を用い、P型を付与する不純物元素としては、ボロン(B)を用いることができる。N型不純物領域112、および、P型不純物領域111には、1×1020〜1×1021/cm3の濃度範囲でN型を付与する不純物元素が添加されることが望ましい。
次に、プラズマCVD法等によって窒化シリコン等の窒素化合物や酸化シリコン等の酸化物からなる絶縁層を形成し、当該絶縁層を垂直方向の異方性エッチングすることで、ゲート電極107及び第2の犠牲層108の側面に接する絶縁層(以下、サイドウォール109と記載する)を形成する(図3(A1)、(A2)参照)。サイドウォール109によって、ゲート長を短くするにつれて生じる短チャネル効果を防止することができる。
次に、N型不純物領域112を有する半導体層104に不純物元素を添加し、サイドウォール109下方に設けられたN型不純物領域112よりも高い不純物濃度を有する高濃度N型不純物領域110を形成する。
また、ゲート電極107を異なる導電性材料を積層させ、テーパー状に作製している場合、必ずしもサイドウォール109を形成する必要はない。テーパー状に作製されたゲート電極を用いる場合は、一度の不純物元素の添加でN型不純物領域112および高濃度N型不純物領域110を形成することができるからである。
不純物領域を形成した後、不純物元素を活性化するために加熱処理、赤外光の照射、またはレーザ光の照射を行う。また、活性化と同時に第一の絶縁層106へのプラズマダメージや第一の絶縁層106と半導体層104との界面へのプラズマダメージを回復することができる。特に、室温〜300℃の雰囲気中において、表面または裏面からエキシマレーザを用いて不純物元素を活性化させると、効果的な活性化を行うことができる。またYAGレーザの第2高調波を照射して活性化させてもよい。YAGレーザはメンテナンスが少ないため好ましいレーザ照射手段である。
また、酸化窒化シリコン、酸化シリコンなどの絶縁材料からなるパッシベーション膜をゲート電極107となる導電層や半導体層104を覆うように形成してもよい。その後、加熱処理、赤外光の照射、またはレーザ光の照射を行い、水素化を行うことも可能である。例えば、プラズマCVD法を用いて、酸化窒化シリコン膜を100nmの厚さに形成し、その後、クリーンオーブンを用いて、300〜550℃で1〜12時間加熱し、半導体層104の水素化を行うことができる。例えば、クリーンオーブンを用い、窒素雰囲気中で410℃、1時間加熱する。この工程は、パッシベーション膜に含まれる水素により、不純物元素添加によって生じた半導体層104のダングリングボンドを終端することもできる。また同時に、上述の不純物領域の活性化処理を行うこともできる。
上記の工程により、N型半導体素子113と、P型半導体素子114とが形成される(図3(A1)、(A2)参照)。
続いて、全体を覆うように第二の絶縁層115を形成する(図3(B1)、(B2)参照)。第二の絶縁層115は、絶縁性を有する無機材料や、有機材料等により形成することができる。
無機材料は、酸化シリコン、窒化シリコンを用いることができる。有機材料はポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジスト又はベンゾシクロブテン、シロキサン、ポリシラザンを用いることができる。なお、シロキサン樹脂とは、Si−O−Si結合を含む樹脂に相当する。シロキサンは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される。置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、芳香族炭化水素)が用いられる。置換基として、フルオロ基を用いてもよい。または置換基として、少なくとも水素を含む有機基と、フルオロ基とを用いてもよい。ポリシラザンは、シリコン(Si)と窒素(N)の結合を有するポリマー材料を出発原料として形成される。
次に、第二の絶縁層115および第一の絶縁層106を順次エッチングし、第一のコンタクトホール116を形成する(図3(B1)、(B2)参照)。エッチング処理は、ドライエッチング処理またはウエットエッチング処理を適用することができる。本実施の形態では、ドライエッチングにより第一のコンタクトホール116を形成する。
次に、第二の絶縁層115上、および第一のコンタクトホール116に第二の導電層117を形成し、任意の形状にパターニングすることで、ソース電極、ドレイン電極、および電気回路を構成する配線を形成する(図3(B1)、(B2)参照)。第二の導電層117は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)もしくはシリコン(Si)の元素からなる膜又はこれらの元素を用いた合金膜を用いることができる。
また、第二の導電層117がレイアウトの制約上、矩形となり、角部を有するパターンの場合、丸みを帯びた形状にパターニングすることが好ましい。丸みを帯びた形状にパターニングすることによって、ゴミの発生を抑え歩留まりを向上させることができる。これは、ゲート電極等の導電層をパターニングするときについても同様である。また半導体層をパターニングするときも、その角に丸みを帯びさせると好ましい。
次に、第二の絶縁層115および第一の絶縁層106を順次エッチングし、第二のコンタクトホール118を形成することで、第一の犠牲層103、および第二の犠牲層108を露出させる(図4(A1)、(A2)参照)。図4(A1)、(A2)では、微小構造体のみを示す。エッチング処理は、ドライエッチング処理またはウエットエッチング処理を適用することができる。本実施の形態では、ドライエッチングにより第二のコンタクトホール118を形成する。第二のコンタクトホール118は、第一の犠牲層103および第二の犠牲層108をエッチング除去するために開口する。したがって、エッチング剤が流入するように、直径を決定する必要がある。例えば、第二のコンタクトホール118の直径を2μm以上とすることが好ましい。
また、第二のコンタクトホール118は、第一の犠牲層103および第二の犠牲層108をエッチングしやすいような直径を有するコンタクトホールとして形成してもよい。つまり、上述のように小さな孔として形成する必要はなく、半導体素子上等の第二の絶縁層115が必要な部分を残して、犠牲層全体が露出するように第二のコンタクトホール118を形成してもよい。その結果、犠牲層の除去にかかる時間を短縮することができる。
次に、第一の犠牲層103、および、第二の犠牲層108を第二のコンタクトホール118を通してエッチングにより除去する(図4(B)(C)参照)。このエッチング工程により、第一の犠牲層が存在した部分に第一の空間124が生じ、第二の犠牲層が存在した部分に第二の空間126が生じる。エッチングは、犠牲層の材料によって適したウエットエッチング法、またはドライエッチング法を適用することができる。
例えば、犠牲層がタングステン(W)である場合、28%のアンモニアと31%の過酸化水素水を1:2で混合した溶液に20分程度漬けることで、犠牲層の除去を行うことができる。犠牲層が二酸化珪素の場合は、49%フッ酸水溶液1に対してフッ化アンモニウムを7の割合で混合したバッファードフッ酸を用いて、犠牲層の除去を行うことができる。犠牲層がシリコンの場合は、リン酸、KOH、NaOH、CsOH等のアルカリ金属の水酸化物、NH4OH、ヒドラジン、EPD(エチレンジアミン、ピロカテコール、水の混合物)、TMAH、IPA、NMD3溶液等を用いることができる。
ウエットエッチング後の乾燥に際しては、毛管現象による微小構造体の座屈を防ぐため、粘性の低い有機溶媒(例えばシクロヘキサン)を用いてリンスを行う、もしくは低温低圧の条件で乾燥させる、またはこの両者を組み合わせて行うことができる。
ここで、第一の犠牲層103および第二の犠牲層108が異なる材料で形成されており、同一のエッチング剤でエッチングできない場合には、二度に分けて犠牲層をエッチングする。
この場合には、エッチング剤と接する構造層105や第二の絶縁層115等との選択比を十分に考慮して、エッチング条件を決定する必要がある。
また、犠牲層は、大気圧など高圧の条件において、F2やXeF2を用いてドライエッチングを行うことによって、除去することができる。
さらに犠牲層除去後の空間に生じる毛管現象による微小構造体の座屈を防ぐため、微小構造体表面に撥水性を持たせるプラズマ処理を行うこともできる。このような工程を用いて第一の犠牲層103および第二の犠牲層108をエッチング除去することによって、空間が生じ、微小構造体119を作製することができる。
また、微小構造体119を静電力で可動させる場合、下地膜102の下に共通電極や制御電極等として使用することができる第三の導電層120を形成するとよい(図4(D)参照)。また、下地膜102を積層構造にしている場合、当該下地膜102の間に第三の導電層120を形成することも可能である。第三の導電層120は、タングステン等の金属や導電性を有する物質を材料として、CVD法等により成膜する。また、必要に応じて任意の形状にパターニングしても良い。
また、上記の工程では第一の犠牲層103の上に半導体層104および構造層105となる半導体層を成膜しているが、第一の犠牲層103の上に絶縁層を成膜し、その後半導体層を成膜することも可能である。このような工程を用いることで、第一の犠牲層103を除去する場合に絶縁層によって構造層105を保護し、構造層105のダメージを低減することができる。
以上説明した、微小構造体119を作製する方法においては、構造層105の材料、第一の犠牲層103、第二の犠牲層108の材料、および犠牲層を除去するエッチング剤を選択する必要がある。例えば、エッチング剤を特定のものに決めた場合、構造層105の材料に比べて、エッチングレートが大きい材料を用いて第一の犠牲層103および第二の犠牲層108を構成すればよい。
また、構造層105を構成する半導体層は、上記の工程を用いて結晶化させた多結晶シリコンを有する層と、非晶質シリコンを有する層とを二層またはそれ以上の層を積層させて形成することもできる。このように半導体層を積層させることで、しなやかさと硬さを併せ持つ構造層105を得ることができる。また、積層させる層の厚さの比率によって、しなやかさと硬さのバランスを決めることができる。
また、ニッケルシリサイドのようなシリコンの合金は一般に強度が高いことが知られている。半導体層の結晶化時に用いる金属を半導体層中の全体または選択的に残しておき、適当な熱処理を加えることで、さらに硬く、導電性の高い微小構造体を作製することができる。
また、上記のような結晶化に用いた金属を残した層と、多結晶シリコンを有する層とを積層させることで、導電性に優れ、しなやかな構造層を得ることができる。また、非晶質シリコンとシリサイドを有する層を積層することで、導電性に優れ、硬い構造層とすることができる。
また、金属を全面に添加しレーザ照射や加熱処理を行った場合、シリコンの結晶成長が基板に対して垂直方向に進み、金属を選択的に添加しレーザ照射や加熱処理をおこなったり、または金属を用いないで結晶化した場合、結晶成長が基板に対して平行方向に進む。この結晶方向の異なる層を2層以上積層することで、さらに靭性に優れた材料を得ることができる。結晶成長方向が異なる膜が積層しているため、一つの層で破壊が起きても、結晶方向の違う層には亀裂が伝播しにくい。その結果として破壊が起こりにくく、強度の高い構造層105を作製することができる。
上記のような非晶質シリコンを有する層、多結晶シリコンを有する層、またはニッケルシリサイドを有する層は、必要な厚さを得るために、成膜を繰り返して積層させることも可能である。たとえば、非晶質シリコンを有する層の成膜と、加熱を繰り返すことによって、多結晶シリコンを有する層を積層することができる。また、さらに膜内の応力を緩和するために、成膜後にパターニングも含めて繰り返してもよい。
例えば図5(A)に示すように、様々な性質を持つシリコンおよびシリコンの化合物を積層させて微小構造体を形成することができる。図5(A)には、基板101上に、非晶質シリコンを有する層150、多結晶シリコンを有する層151、およびニッケルシリサイドを有する層152を積層させた場合を示す。本発明は、微小構造体を構成する層を任意に選択し、積層させることができる。また、上記工程の積層は、容易に行うことが可能である。したがって、所望の性質を有する構造層105を容易に作製することが可能である。
さらに、上記工程のように金属を用いた結晶化は、選択的に金属を塗布することで、部分的に結晶化を行うこともできる。たとえば、構造層105のうち第一の犠牲層103と重なっている部分のみに金属を塗布することで、部分的に結晶化することができる。
上記のような結晶化は、選択的にレーザを照射することで、部分的に結晶化することもできる。たとえば、構造層105のうち第一の犠牲層103と重なっている部分のみレーザビームを照射したり、レーザ照射条件を変化させることで、図5(B)に示すように、梁構造を有する構造層の支柱部分155(図中点線の円で囲んだ部分)のみに非晶質シリコンを残し、構造層の梁部分154、および構造層が基板と接している部分のみを結晶化させることも可能である。
上記のように部分的に結晶化することで、様々な組み合わせの材料を得ることができる。たとえば、構造層の駆動させる部分のみ結晶化して、靭性を高めることができる。
なお、構造層や犠牲層の成膜と結晶化の組み合わせは、上記した例の中から自由に選んで組み合わせることができる。これによって、しなやかさ、および堅さを有する構造層105を作製することができる。
上記工程のように、レーザによる結晶化、または金属とレーザの組み合わせによって結晶化する場合、熱のみによる結晶化に比べて低温で行うことができるため、プロセスに使用できる材料の幅が広がる。例えば、半導体層を加熱のみで結晶化させる場合、1000℃程度の温度で1時間程度の加熱を行う必要があり、熱に被弱なガラス基板や、融点が1000℃以下の金属を基板として用いることができない。しかしながら、上記金属を用いた工程によって、歪み点が593℃であるガラス基板等を用いることが可能になる。
また、熱結晶化のみの半導体層に比べて、上記工程によって作製される半導体層は、結晶粒界が連続しているため、共有結合が途切れることが無い。そのため、粒界間の不対結合が欠陥となって起こる応力集中が起こらず、結果として一般的な多結晶シリコンに比べて破壊応力が高くなる。
また、非晶質シリコンは靭性が低いが塑性変形を起こしにくい。つまり、ガラスのように硬いが脆い物質であるといえる。本発明ではレーザ結晶化を行うため、基板101の部位によって非晶質シリコンと多結晶シリコンを作り分けることができる。そうすることによって、靭性に優れた連続粒界を有する多結晶シリコンと、塑性変形を起こしにくい非晶質シリコンを組み合わせた微小構造体119を作製することができる。
また、非晶質シリコンは、一般的に成膜後に内部残留応力が存在する。このため、厚く成膜したり、積層すると剥離が生じることが多い。しかし、上記工程によって作製される多結晶シリコンでは内部応力が緩和し、さらに低温の工程で成膜できるため、成膜と結晶化を繰り返して積層することができ、任意の厚さの半導体層を得ることができる。また、半導体層上に他の材料を用いてパターニングによって膜を形成し、さらにその上に半導体層を成膜することも可能である。
また、ニッケルシリサイドのようなシリコンの合金は一般に強度が高いことが知られている。触媒に用いるニッケルを半導体層中に選択的に残しておき、適当な熱処理を加えることで、さらに硬く、導電性の高い微小構造体119を作製することができる。したがって、構造層105の膜厚を薄くすることができ、動作速度が速い、反応性に優れた微小構造体119を提供することが可能になる。
また本発明は、同一基板上に微小構造体および半導体素子を作製することで、組み立てやパッケージが不要な、製造コストのかからない半導体装置を提供することができる。
(実施の形態2)
次に、上記で説明した本発明の半導体装置を作製するために、同一基板上に微小構造体および半導体素子を作製する方法について、実施の形態1とは異なる方法を、図6〜図11を用いて説明する。各図面は、上面図、または上面図O−P、もしくはQ−Rにおける断面図を示す。
本発明の微小構造体および半導体素子は、絶縁性基板上に作製することができる。
まず、絶縁表面を有する基板201上に下地膜202を形成する(図6(A1)、(A2)参照)。下地膜202は酸化シリコン膜、窒化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜などの絶縁層を単層または積層構造で形成することができる。ここでは下地膜202として、実施の形態1と同様な2層構造を用いる場合を説明するが、下地膜202は絶縁層を単層または2層以上に積層させた構造を用いても良い。
次に、半導体素子を構成する半導体層204および微小構造体を構成する半導体層203を成膜し、任意の形状にパターニングする(図6(A1)、(A2)参照)。半導体層203、204は、実施の形態1と同様な材料、同様な結晶構造を有するものを用いることができる。そして、実施の形態1と同様に、金属を用いた加熱処理によって結晶性半導体層を作製する。
また、結晶化に用いた金属を有する半導体層は導電性に優れるため、微小構造体を構成する半導体層203には金属を残し、半導体素子を構成する半導体層204からのみ選択的に金属を除去することも可能である。また、微小構造体を構成する半導体層203に含まれる金属を除去した場合、微小構造体を構成する半導体層203の一部分は、不純物元素を添加することなく利用することができる。微小構造体を駆動させるにあたって半導体層203に導電性が必要な場合は、P型またはN型となる不純物を添加することができる。この不純物添加は、半導体素子の不純物領域を形成する際の不純物添加工程と同時に行うことができる。本工程により導電性を持たせた半導体層203は、静電力で制御する微小構造体の構成に好適である。
次に、半導体層203、204上に、第一の絶縁層205を形成する(図6(A1)、(A2)参照)。第一の絶縁層205は、実施の形態1と同様な材料、同様な方法によって形成することができる。半導体素子の領域に形成された第一の絶縁層205は、ゲート絶縁層として機能する。
また、第一の絶縁層205は高密度プラズマ処理によって成膜することができ、その条件等は実施の形態1と同様である。
またさらに第一の絶縁層205の成膜に高密度プラズマ処理を用いる場合を説明したが、半導体層203、204に高密度プラズマ処理を施してもよい。高密度プラズマ処理によって、半導体層表面の改質を行うことができる。その結果、界面状態を改善でき、半導体素子や微小構造体の電気特性を向上させることができる。さらに、第一の絶縁層205の成膜のみではなく、下地膜202や他の絶縁層を成膜する場合にも、高密度プラズマ処理を用いて作製することができる。
次に、微小構造体を構成する半導体層203の上に第一の犠牲層206を成膜し、任意の形状にパターニングする(図6(B1)、(B2)参照)。第一の犠牲層206は、タングステンや窒化シリコン等、金属やシリコンなどの元素や化合物を材料とし、スパッタリング法やCVD法等を用いて成膜することができる。パターニングには、フォトリソグラフィ法を用いてレジストマスクを形成し、異方性のドライエッチングを行う。
第一の犠牲層206の膜厚は、第一の犠牲層206の材料や、微小構造体の構造および動作方法、犠牲層を除去するためのエッチングの方法等、様々な要因を考慮して決定される。例えば、第一の犠牲層206が薄すぎればエッチング剤が拡散せずにエッチングされない、または、エッチング後に構造層が座屈するといった現象が生じる。例えば犠牲層下部に導電層を設け、微小構造体を静電力で動作させる場合、第一の犠牲層が厚すぎると微小構造体が犠牲層下部の導電層と構造層との間で静電力による駆動させることができなくなる恐れがある。そのため、第一の犠牲層206は0.5μm以上3μm以下の厚さを有し、好適には1μm〜2.5μmを有することが好ましい。
次に、第一の犠牲層206および第一の絶縁層205上に、微小構造体の構造層207および第二の犠牲層208であり、半導体素子のゲート電極209となる導電層を形成し、任意の形状にパターニングする(図6(C1)、(C2)参照)。当該導電層は、タングステン等、導電性を有する金属や化合物等を用い、スパッタリング法やCVD法等を用いて順次成膜することができる。本実施の形態では、導電層を積層する構造を用いる。積層された導電層は、同一材料から形成しても、異なる材料から形成してもよい。
微小構造体の構造層207および半導体素子のゲート電極209を構成する第一の導電層210を成膜する。当該導電層は、Ta、W、Ti、Mo、Al、Cuから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料を用い、50nm〜2μm程度形成すればよい。その上に、微小構造体の第二の犠牲層208および半導体素子のゲート電極209を構成する第二の導電層211を成膜する。当該導電層は、Ta、W、Ti、Mo、Al、Cuから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料を用い、100nm〜2μm程度形成すればよい。また、第一の導電層及び第二の導電層としてリン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体層や、AgPdCu合金を用いてもよい。
また、上記導電層は2層構造に限定されず、3層構造であっても良い。例えば、第一層にタングステン、窒化タングステン等を用い、第二層にアルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)、アルミニウムとチタンの合金(Al−Ti)を用い、第三層に窒化チタン膜、チタン膜等を用い、順次積層した3層構造としてもよい。この場合、第一層および第二層を微小構造体の構造層とし、第三層を第二の犠牲層とすることができる。また第一層を構造層とし、第二層および第三層を第二の犠牲層とすることもできる。勿論上記導電層は単層構造であってもよい。
その後、以下に示す手順でパターニングを行い、構造層207、第二の犠牲層208、およびゲート電極209を形成する。まず、エッチングを行う形状にレジストマスクを形成する。次に、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法を用い、第二の犠牲層208および第二の導電層211をエッチングする。このとき、異方性エッチングにより断面を垂直にパターニングしても良いし、テーパー状にエッチングしても良い。次に、コイル型の電極に印加される電力量、基板側の電極に印加される電力量、基板側の電極温度等のエッチング条件を決定し、構造層207及び第一の導電層210を所望のテーパー形状にエッチングする。なお、エッチング用ガスとしては、Cl2、BCl3、SiCl4もしくはCCl4などを代表とする塩素系ガス、CF4、SF6もしくはNF3などを代表とするフッ素系ガスまたはO2を用いることができる。
微小構造体を作製するために犠牲層をエッチングするとき、第二の犠牲層208および第一の犠牲層206は同時にエッチングすると、工程が少なく好ましい。したがって、第二の犠牲層208は第一の犠牲層206と同一の材料を用いて成膜することが望ましい。しかしながら、本発明はこれらの材料に限定されず、第一の犠牲層206および第二の犠牲層208は同一の材料を用いて作製してもよく、異なる材料を用いて作製しても良い。
次に、半導体素子を構成する半導体層204に不純物元素を添加してN型不純物領域、およびP型不純物領域を形成する。このような不純物領域は、フォトリソグラフィ法によりレジストマスクを形成し、不純物元素を添加するドーピング処理を行うことで選択的に形成することができる。不純物元素を添加する方法は、イオンドープ法またはイオン注入法で行うことができる。N型を付与する不純物元素として、典型的にはリン(P)または砒素(As)を用い、P型を付与する不純物元素としては、ボロン(B)を用いることができる。N型不純物領域、およびP型不純物領域には、1×1020〜1×1021/cm3の濃度範囲でN型を付与する不純物元素が添加されることが望ましい。必要に応じて、ゲート電極209のエッチングとドーピング処理とを交互に繰り返すことによって、半導体層の不純物濃度を制御し、高濃度不純物領域や低濃度不純物領域を形成することができる。
また、ゲート電極209を単層の導電層で形成した場合や、積層構造の導電層で形成しテーパー状にエッチングしなかった場合、ゲート電極209上に絶縁層を形成し、当該絶縁層を異方性エッチングすることで、ゲート電極209の側面に接する絶縁層(サイドウォール)を形成することもできる。サイドウォールの作製方法は、実施の形態1と同様である。
不純物領域を形成した後、不純物元素を活性化するために加熱処理、赤外光の照射、またはレーザ光の照射を行うとよい。活性化手段は、実施の形態1と同様である。
また、酸化窒化シリコン膜、酸化シリコン膜などの絶縁層からなるパッシベーション膜を導電層や半導体層を覆うように形成した後、加熱処理、赤外光の照射、またはレーザ光の照射を行い、水素化を行ってもよい。水素化の条件は、実施の形態1と同様である。
上記の工程により、N型半導体素子212およびP型半導体素子213が形成される(図7(A1)、(A2)参照)。このとき、微小構造体を構成する半導体層203には第一の犠牲層206、構造層207および第二の犠牲層208で覆われていない領域に不純物領域が形成されている。
続いて、全体を覆うように第二の絶縁層214を形成する(図7(A1)、(A2)参照)。第二の絶縁層214は、絶縁性を有する無機材料や、有機材料等により形成することができる。第二の絶縁層214は、実施の形態1で示した第二の絶縁層115と同様に作製することができる。
次に、第二の絶縁層214および第一の絶縁層205を順次エッチングし、半導体層203、204および構造層207に配線を接続するための第一のコンタクトホール215を形成する(図7(A1)、(A2)参照)。エッチング処理は、ドライエッチング法またはウエットエッチング法を適用することができる。本実施の形態では、ドライエッチングにより第一のコンタクトホール215を形成する。
次に、第一のコンタクトホール215を充填し、第二の絶縁層214を覆うように第三の導電層216を形成し、任意の形状にパターニングすることで、ソース電極、ドレイン電極、および電気回路を構成する配線等を形成する(図7(A1)、(A2)参照)。第三の導電層216は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)もしくはシリコン(Si)の元素からなる膜又はこれらの元素を用いた合金膜を用いることができる。
第三の導電層216が角を有するパターンを有する場合、角の部分が丸みを帯びた形状にパターニングすることが好ましいことは、実施の形態1で述べたとおりである。
次に、第二の絶縁層214をエッチングし、第二のコンタクトホール217、218を形成する。第二のコンタクトホール217は第一の犠牲層206を露出させるために形成し、第二のコンタクトホール218は第二の犠牲層208を露出させるために形成する(図7(B1)、(B2)参照)。エッチング処理は、ドライエッチング法またはウエットエッチング法を適用することができる。
本実施の形態では、ドライエッチングにより第二のコンタクトホール217、218を形成する。第二のコンタクトホール217、218は、第一の犠牲層206および第二の犠牲層208をエッチング除去するために開口する。したがって、エッチング剤が流入するように、直径を決定する必要がある。例えば、第二のコンタクトホール217、218の直径を2μm以上とすることが好ましい。
また、第二のコンタクトホール217、218は、第一の犠牲層206および第二の犠牲層208をエッチングしやすいような直径を有するコンタクトホールとして形成してもよい。つまり、上述のように小さな孔として形成する必要はなく、半導体層203、204上等の第二の絶縁層214が必要な部分を残して、犠牲層全体が露出するように第二のコンタクトホール217、218を形成してもよい。その結果、犠牲層の除去にかかる時間を短縮することができる。
次に、第一の犠牲層206、および第二の犠牲層208をエッチングにより除去する(図8(A)(B)(C)参照)。ここで図8には、微小構造体のみを表示する。エッチングには、犠牲層の材料によって適したウエットエッチング法を用いるか、またはドライエッチング法を用い、第二のコンタクトホール217、218を通して犠牲層をエッチング除去することができる。
例えば、第一の犠牲層又は第二の犠牲層がタングステン(W)である場合、28%のアンモニアと31%の過酸化水素水を1:2で混合した溶液に20分程度漬けることで行う。第一の犠牲層又は第二の犠牲層が二酸化珪素の場合は、49%フッ酸水溶液1に対してフッ化アンモニウムを7の割合で混合したバッファードフッ酸を用いる。第一の犠牲層又は第二の犠牲層がシリコンの場合は、リン酸、KOH、NaOH、CsOH等のアルカリ金属の水酸化物、NH4OH、ヒドラジン、EPD(エチレンジアミン、ピロカテコール、水の混合物)、TMAH、IPA、NMD3溶液等を用いる。
ウエットエッチング後の乾燥に際しては、毛管現象による微小構造体の座屈を防ぐため、粘性の低い有機溶媒(例えばシクロヘキサン)を用いてリンスを行う、もしくは低温低圧の条件で乾燥させるか、またはこの両者の組み合わせによって行う。
また、第一の犠牲層又は第二の犠牲層は、大気圧など高圧の条件において、F2やXeF2を用いてドライエッチングを行うことによって、除去することができる。
さらに第一の犠牲層又は第二の犠牲層除去後の空間に生じる毛管現象による微小構造体の座屈を防ぐため、微小構造体表面に撥水性を持たせるプラズマ処理を行うこともできる。
このような工程を用いて第一の犠牲層206および第二の犠牲層208をエッチング除去することによって、空間240が生じ、微小構造体219を作製することができる。
以上説明した、微小構造体219を作製する方法においては、構造層207の材料、第一の犠牲層206、第二の犠牲層208の材料、および犠牲層を除去するエッチング剤の適当な組み合わせを選択する必要がある。例えば、エッチング剤を特定のものに決めた場合、構造層207の材料に比べて、エッチングレートが大きい材料を用いて第一の犠牲層206および第二の犠牲層208を構成すればよい。
さらに、第一の犠牲層206および第二の犠牲層208が異なる材料で形成されており、同一のエッチング剤でエッチングできない場合には、二度に分けて犠牲層をエッチングする必要がある。この場合には、除去しないがエッチング剤と接する層(例えば構造層207や第二の絶縁層214等)との選択比を十分に考慮する必要がある。
また、本実施の形態のように、ゲート電極を構成する導電層で微小構造体の構造層を作製することで、強度の高いしなやかな可動部分を有する微小構造体を作製することができる。
上記工程により構造層207および第二の犠牲層208を形成し、犠牲層をエッチング除去すると、第二の絶縁層214が構造層207のテーパー部分に接着して残る(図8(C)220参照)。これは、犠牲層をエッチング除去して微小構造体219を形成する際に、構造層207の座屈を防ぐための一時的な支持体として利用することができる。
犠牲層のエッチング除去をウエットエッチングで行う場合、エッチング溶液が構造層207と第一の絶縁層205との間に入り込み、毛管現象によって構造層207と第一の絶縁層205とが付着(すなわち座屈)してしまう。これを防ぐために、第二の絶縁層214によって支持体を作製することができる。
構造層207のテーパーと第二の絶縁層214とが接着している面積は、100nm四方から1μm四方程度であり、第二の絶縁層214の支持体によって上記の付着を防ぐことができる。しかしながら、構造層207を可動させて利用する場合、支持体は不必要となる。ここで、微小構造体219の半導体層203および構造層207との間に異なる極性の電荷を付与する、すなわち電圧を印加すると、静電力によって構造層207が半導体層203側へ引きつけられて下方へたわみ、支持体と構造層207とを分離することができる。これは、支持体と構造層207とが100nm四方から1μm四方程度の微小な面積で接着しているからである。
このように支持体を用いて微小構造体219を作製することで、構造層207の座屈を防ぐことが可能となる。
また、上記工程において、工程の一部を変更する、または別の工程を追加することにより、様々な構造を有する微小構造体、および半導体素子を作製することができる。
例えば、上記工程では、第二の犠牲層208をエッチング除去し、構造層207のみとしたが、第二の犠牲層208をエッチング除去せずに微小構造体を作製することも可能である(図8(D)(E)参照)。この場合、第一の犠牲層206のみをエッチング除去すればよく、第二の犠牲層208をエッチング除去するための第二のコンタクトホール218は形成しなくてよい。第一の犠牲層206をエッチング除去することによって、空間242が生じる。
また、第一の犠牲層206上に、第一の犠牲層206と同じ材料を用いて第二の犠牲層221を成膜し、その後第四の導電層222を順次積層することもできる(図9(A)(B)(C)参照)。そして、第一の犠牲層206および第二の犠牲層221をエッチング除去することによって、空間244が生じ、第四の導電層222および第二の絶縁層214が構造層となる微小構造体を作製することができる。上記方法によって下に空間を有するコンデンサや、カンチレバー、スイッチ等の機能を有する微小構造体224を作製することができる(図9(D)(E)参照)。
このとき、犠牲層をエッチングするためのコンタクトホール223は、第一のコンタクトホール215を形成するときに、同時に形成することができる。また、配線を形成する第三の導電層216を形成した後にコンタクトホール223を形成してもよい。微小構造体を構成する構造層の形状は、コンタクトホール223の形状によって決めることができる。
また、上記例では、第一の犠牲層206および第二の犠牲層221を積層しているが、第一の犠牲層206を成膜せずに、一層の犠牲層を成膜することも可能である。さらに、上記例では第一の犠牲層206および第二の犠牲層221を同一材料で成膜し、同時に犠牲層をエッチング除去しているが、本発明はこの例に限定されない。例えば、第一の犠牲層206および第二の犠牲層221を異なる材料を用いて成膜し、複数回に分けてエッチングし、除去することも可能である。
また、微小構造体219、224を保護するために、基板201上に作製された半導体装置に対向基板225を貼り合わせることもできる(図10参照)。対向基板225を貼り合わせる場合、配線を形成する第三の導電層216を形成した後、基板201上面に第二の絶縁層226を形成し、任意の形状にエッチングを行う。(ここでは第二の絶縁層214を第一の絶縁層とする。)このとき、犠牲層および微小構造体となる構造層が露出するように第二の絶縁層226をパターニングする。その後、犠牲層をエッチング除去することで、空間246を有する微小構造体を作製することができる。図10で示す空間246は、その一端に開放された領域を有している。
次に、貼り合わせるための対向基板225について説明する。対向基板225を貼り合わせることによって微小構造体を破壊してしまわないようにするため、基板201上に形成された第二の絶縁層226と対向する部分に、第三の絶縁層227を形成する(図10(A)参照)。基板201上に形成された微小構造体と対向する部分には、絶縁層が形成されておらず基板間に隙間ができるので、基板201および対向基板225を貼り合わせたときに微小構造体を破壊することがなく好ましい。
また、対向基板225には、第五の導電層228、またはアンテナ等を形成することができる(図10(B)参照)。第五の導電層228は任意の形状にパターニングされており、半導体装置の回路を構成する配線に相当する。この場合は、基板201上に形成された第二の絶縁層226上に、第一の配線(ここでは第三の導電層216のこと)と接続するための配線を形成する第六の導電層229を形成する。そして、第六の導電層229と第五の導電層228とが電気的に接続するように、基板201および対向基板225を貼り合わせることができる。
なお、基板と対向基板との貼り合わせは、対向基板に半導体装置の回路を構成する導電層を形成した場合、基板上に形成された導電層と、対向基板上に形成された導電層とを電気的に接続するため、異方性導電材料を用いることが望ましい。ここで、異方性導電材料は、異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)を熱硬化させたものや異方性導電膜(ACF:Anisotropic Conductive Film)を熱硬化させたものを用いることができる。異方性導電材料は特定の方向(ここでは基板と垂直方向)のみに導電性を有する。異方性導電ペーストは、バインダ層と呼ばれ、主成分が接着剤である層中に、導電性の表面を有する粒子(以下、導電性の粒子という)が分散した構造を有している。異方性導電膜は、熱硬化または熱可塑性の樹脂フィルムの中に導電性の表面を有する粒子(以下、導電性の粒子という)が分散した構造を有している。なお、導電性の表面を有する粒子は、球状の樹脂にニッケル(Ni)や金(Au)等をメッキしたものを用いる。不要な部位での導電性粒子間の電気的短絡を防ぐために、シリカ等からなる絶縁性の粒子を混入してもよい。また、対向基板に絶縁層のみを形成した場合には、導電性を有さない接着剤を用いて基板と対向基板とを貼り合わせることができる。
このとき、上記で説明した工程と同様、基板201上に形成された微小構造体219、224を保護するため、微小構造体と対向しない部分、および第五の導電層228と第六の導電層229との接続部分は第三の絶縁層227を形成し、対向基板225が微小構造体219、224に接触しないようにすると望ましい。また、第五の導電層228は、第三の絶縁層227上部のみに形成されていても良いし、第三の絶縁層227上部および下部に形成され、それらが電気的に接続されていても良い(図10(B)参照)。
さらに、上記工程によって作製される半導体装置は、基板201から剥離して、別の基板や物体に貼り付けることができる。例えば、半導体装置をガラス基板上に作製し、その後、ガラスよりも薄くて柔らかいプラスチック等の可撓性基板に転置することができる。
半導体装置を基板201から剥離する場合、下地膜202を作製するときに、剥離層230を形成する(図11(A)参照)。剥離層230は下地膜の下方又は積層された下地膜の間に成膜することができる。そして、上記の工程において第三の導電層216を形成した後、犠牲層をエッチングするための第二のコンタクトホール217、218を形成する前に、半導体装置を基板から剥離する。
剥離には様々な方法があるが、ここでは一例を示す。まず、剥離層230が露出するように開口部231を形成し、開口部231にエッチング剤を導入し、剥離層230を部分的に除去する(図11(B)参照)。次に、基板201上面方向から剥離のための基板232を接着し、剥離層230を境に半導体素子および微小構造体を基板201から剥離し、基板232へ移し取る。次に、半導体素子および微小構造体が基板201と接していた側に可撓性基板233を接着する。そして上面方向から貼り付けた剥離のための基板232を剥がし取ることで、基板を転置することができる。
そして、犠牲層が露出するようにコンタクトホールを形成し、犠牲層をエッチング除去することで微小構造体が作製される。また、剥離時に第三の導電層216等を保護するために、配線上に保護膜を成膜しても良い。
さらに、微小構造体を保護する必要がある場合には、上記で説明した対向基板225を貼り付けることも可能である。
本実施の形態においては、開口部231から剥離層230をエッチングした後に、半導体素子および微小構造体を他の基板233へ転置する方法を挙げたが、本発明はこの例には限定されない。例えば、剥離層230をエッチング工程のみで除去した後、半導体素子および微小構造体をほかの基板233へ転置する方法や、剥離層230を設けず、基板201上面から剥離のための基板232を貼り付けて半導体素子および微小構造体を基板201から剥がし取る方法がある。さらに、基板201を裏面から研磨し、半導体素子および微小構造体を得る方法などがあり、これらの方法を適宜組み合わせて行うことも可能である。基板201を裏面から研磨する以外の方法を用いて、他の基板233へ移しかえる工程を用いると、基板201が再利用できる利点がある。
上記のように、基板201上に作製した半導体素子および微小構造体を剥離し、可撓性を有する基板233に貼り付けることで、薄くて柔らかく小型な半導体装置を作製することができる。
上記工程のように、レーザによる結晶化、または金属とレーザの組み合わせによって結晶化する場合、熱のみによる結晶化に比べて低温で行うことができるため、プロセスに使用できる材料の幅が広がる。例えば、半導体層を加熱のみで結晶化させる場合、1000℃程度の温度で1時間程度の加熱を行う必要があり、熱に被弱なガラス基板や、融点が1000℃以下の金属を用いることができない。しかしながら、上記金属を用いた工程によって、歪み点が593℃であるガラス基板等を用いることが可能になる。
また、熱結晶化のみの半導体層に比べて、上記工程によって作製される半導体層は、結晶粒界が連続しているため、共有結合が途切れることが無い。そのため、粒界間の不対結合が欠陥となって起こる応力集中が起こらず、結果として一般的な多結晶シリコンに比べて破壊応力が高くなる。
また、非晶質シリコンは、一般的に成膜後に内部残留応力が存在する。このため、厚く成膜することが難しい。一方、上記工程によって作製される多結晶シリコンでは内部応力が緩和し、さらに低温の工程で成膜できるため、成膜と結晶化を繰り返して任意の厚さの半導体層を得ることができる。また、半導体層上に他の材料をパターニングし、さらにその上に半導体層を成膜することも可能である。
また、ニッケルシリサイドのようなシリコンの合金は一般に強度が高いことが知られている。結晶化に用いる金属を半導体層中に選択的に残しておき、適当な熱処理を加えることで、さらに硬く、導電性の高い微小構造体219を作製することができる。したがって、本実施の形態で説明したように半導体層を微小構造体の下部の電極として使用する場合に優れている。
また本発明は、同一基板上に微小構造体および半導体素子を作製することで、組み立てやパッケージが不要な、製造コストのかからない半導体装置を提供することができる。
なお、本実施の形態は上記実施の形態と自由に組み合わせて行うことができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明した半導体装置の例を説明する。本発明の半導体装置は、微小構造体で作製したセンシング素子を用いてセンサ装置301を構成することができる。
図12(A)に、本発明の半導体装置の一形態であるセンサ装置301の構成を示す。本実施の形態のセンサ装置301は、半導体素子を有する電気回路部302、および微小構造体によって構成されている構造体部303を有する。
構造体部303は、外界の圧力や物質の濃度、気体や液体の流量等を検知する、微小構造体によって構成される検知素子304を有する。
電気回路部302は、A/D変換回路305、制御回路306、インターフェース307、およびメモリ308等を有する。
A/D変換回路305は、検知素子から伝えられた情報をデジタル信号に変換する。制御回路はA/D変換回路を制御して、当該デジタル信号をメモリに記憶する等を行う。インターフェース307は、外部の制御装置310から駆動電力を受ける、制御信号を受信する、または外部の制御装置310へセンサ装置301が得た情報を送信する、等を行う。メモリは、得られた情報や、センサ装置固有の情報等を記憶する。
また、電気回路部302は、構造体部303から受信した信号を増幅する増幅回路や、構造体部303が得た情報を処理するための中央演算処理回路等を有することも可能である。
外部の制御装置310は、センサ装置301を制御する信号を送信する、センサ装置301が得た情報を受信する、またはセンサ装置に駆動電力を供給する等の動作を行う。
上記構成を有するセンサ装置301によって、外界の圧力や物質の濃度、気体や液体の流量、温度等を検知することができる。また、当該センサ装置が中央処理演算回路を有することで、検知した情報をセンサ装置内で処理し、他の装置を制御する制御信号を生成し出力するようなセンサ装置を実現することも可能である。
図12(B)に、検知素子304の構造例を、断面図によって示す。図12(B)に示す検知素子304は、下地膜の下方に第二の導電層321と、構造層である第一の導電層320とを有し、容量を構成する。第一の導電層320の下方には、空間322を有する。さらに、第一の導電層320は、静電力や圧力等を受けて可動するため、検知素子304は、第一の導電層と第二の導電層との間の距離が変化する可変容量となる。
この構造を利用して、検知素子304は、圧力によって第一の導電層320が可動する圧力検知素子として利用することができる。
また、図12(B)に示す検知素子304において、第一の導電層320を、熱膨張率の異なる2種類の物質を積層させて作製することができる。この場合、第一の導電層320は温度変化によって可動するので、検知素子304は、温度検知素子として利用することが可能である。
本発明は上記の構成例のみに限定されることはない。つまり、本実施の形態ではセンサ装置内部に、半導体素子を有し微小構造体を制御する電気回路、および電気回路によって制御される、微小構造体で構成され、何らかの物理量を検知する検知素子を有することを特徴とする。さらに、上記センサ装置は、上記実施の形態で説明した作製方法を用いて作製されていることを特徴とする。
なお、本実施の形態は上記実施の形態と自由に組み合わせて行うことができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明した半導体装置の具体的な例を説明する。本発明の半導体装置は、記憶素子に微小構造体を有する記憶装置を構成することができる。本実施の形態では、デコーダ等の周辺回路は半導体素子等を用いて構成し、メモリセル内部を、微小構造体を用いて構成する記憶装置の例を示す。
図13に、本発明の半導体装置の一形態である記憶装置401の構成を示す。
記憶装置401は、メモリセルアレイ402、デコーダ403、404、セレクタ405、読み出し・書き込み回路406を有する。上記デコーダ403、404、セレクタ405の構成は、公知の技術を用いることができる。
メモリセル409は、例えば、記憶素子を制御するスイッチ素子407および記憶素子408を有することができる。本実施の形態で説明する記憶装置401は、当該スイッチ素子407、および/または記憶素子408が微小構造体で構成されていることを特徴とする。
図14にメモリセル409の構成例を示す。図14(A)はメモリセル409の回路図、図14(B)に構造の断面図を示している。
図14(A)に示すように、メモリセル409は、トランジスタ410で構成されたスイッチ素子407、および微小構造体で構成された記憶素子408で構成される。
図14(B)が示すように、記憶素子408は、実施の形態1または実施の形態2で説明した作製方法を用いて作製された微小構造体である。記憶素子408は、下地膜の下に第一の導電層を有し、構造層である第二の導電層を有するコンデンサを有する。そして、上記第二の導電層は、スイッチ素子407の二つの高濃度不純物領域の一方に接続されている。
また、上記第一の導電層は、記憶装置401が有する全てのメモリセル409の記憶素子408に共通して接続されている。当該第一の導電層は、記憶装置の読み出し時、および書き込み時に、全ての記憶素子に共通の電位を与えるものであり、共通電極411となる。
また図15は、微小構造体で作製されたスイッチ素子407および記憶素子408を有するメモリセル409の例を示す。図15はメモリセル409の構造を斜視図で示している。
スイッチ素子407および記憶素子408は、実施の形態1または実施の形態2で説明した作製方法を用いる。スイッチ素子407は、片持ち梁を組み合わせた構造のスイッチとして機能する微小構造体であり、記憶素子408は、梁構造のコンデンサとして機能する微小構造体である。
ここで、スイッチ素子407の構造について説明する。スイッチ素子407は、基板上に犠牲層420および構造層421を積層しており、可動する片持ち梁422下がエッチングされていれば良い。また、構造層421には、制御電極423及び導電体424が含まれている。
微小構造体を用いて作製するスイッチは、オフ時にスイッチを介した信号伝達経路が完全に絶縁する利点がある。さらには、スイッチのオン・オフを制御する制御系と、信号伝達経路とを絶縁することができるという利点もある。
上記構成を有する記憶装置は、揮発性のメモリ、代表的にはDRAM(Dynamic Random Access Memory)として使用することができる。周辺の回路構成および駆動方法等は、公知の技術を用いることができる。
メモリセルを構成する微小構造体は、微小な大きさ(例えばμm単位)に作製することによりスケーリング則が適用されるため、スイッチの応答速度が速い、駆動に大きな力が必要ないといった利点がある。また、スイッチ素子407を微小構造体で作製することによって、被選択の記憶素子408を完全に絶縁することが可能となり、低消費電力の記憶装置401を実現することができる。
なお、本実施の形態は上記実施の形態と自由に組み合わせて行うことができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明した半導体装置の例を説明する。
本発明の半導体装置は、例えば、混合物から特定物を分別する分別装置として構成することができる。以下に当該分別装置の説明を行う。
図16に、本実施の形態の分別装置の基本的な構成例を示す。ここでは、分別装置の例として、2種類以上の物質の混合気体から、特定物質の気体を分別する分別装置を説明する。
分別装置501は、電気回路部502および構造体部503に大別され、構造体部503は検知手段504、および複数の開閉手段505を有する。電気回路部502は信号処理手段506、開閉制御手段507、情報記憶手段508、および通信手段509を有する。
ここで、検知手段504および開閉手段505は、分別する気体分子程度の大きさを有する微小構造体によって構成する。検知手段504は、一つの開閉手段505に隣接して一つ設けられ、どのような物質が開閉手段505の近くに存在するかを検知する。開閉手段505は通過口を有し、開閉制御手段507からの制御信号を受け、特定の物質が近くに存在したときのみ通過口を開いて特定の物質を通過させる。
信号処理手段506は、検知手段504から伝えられる信号を、増幅、A/D変換等で加工し、開閉制御手段507に伝達する。開閉制御手段507は、検知手段504から伝えられた信号をもとに開閉手段505を制御する。情報記憶手段508は、当該分別装置501を動作させるプログラムファイルや分別装置501固有の情報等を記憶している。通信手段509は、外部の制御装置510と通信を行う。
外部の制御装置510は、通信手段511、情報処理手段512、表示手段513、および入力手段514、等を有する。
通信手段511は、分別装置501を制御する信号を送信する、分別装置501が得た情報を受信する、または分別装置501に駆動電力を供給する等を行う。情報処理手段512は、分別装置501から受信した情報を処理する、入力手段から入力された情報を分別装置501に伝えるために処理する、等を行う。表示手段513は、分別装置501から得られた情報や、分別装置501の動作状況等を表示する。入力手段514は、情報を入力する手段を使用者に提供する。
図16(B)に分別装置501を利用する一形態を示す。上記構成を有する分別装置501は、混合物質層520および特定物質層521との間に設置される。分別装置501は外部の制御装置510から、どの物質を分別するか、等の情報を受信すると、検知手段504によって開閉手段505のすぐ近くにどのような物質が存在するかを検出する。次に、信号処理手段506によって検出信号を加工して開閉制御手段507に伝える。開閉制御手段507は、開閉手段505のすぐ近くに分別するべき物質が存在する時のみ通過口を開くように開閉手段505を制御する。そして、開閉手段505は開閉制御手段507からの制御をうけて、分別する物質のみを通過口から通過させる。
上記動作により、分別装置501は2種類以上の混合気体から特定物質の気体を分別することができる。また、上記分別装置501は、気体の分別のみに制限されない。上記の構成を用いることによって、例えば、特定の細胞を分別する装置として構成することも可能である。その例として、紫外線を照射すると蛍光する細胞のみを分別するように制御することができる。さらには、微小な粒界を有する粒子、例えば、放射性物質を含む粒子のみを分別する、磁性を有する鉱石の粒子のみを分別する、等の機能を有する分別装置を実現することができる。
本発明は、上記の分別装置501、混合物質層520、特定物質層521、および、外部の制御装置510を有し、混合物質から特定の物質を分別する分別システムを提供することができる。
なお、本実施の形態は上記実施の形態と自由に組み合わせて行うことができる。