JP4520008B2 - 製版装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、製版装置に関し、さらに詳しくは製版装置およびそれに用いられるマスタロールの支持構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
簡便な印刷装置として感熱デジタル製版式の孔版印刷装置が知られている。この孔版印刷装置は、熱可塑性樹脂フィルムを有する感熱孔版マスタ(以下、「マスタ」という)に対してサーマルヘッドにより画像情報に応じて加熱穿孔し、その加熱穿孔された製版済みのマスタを版胴に巻装した上で、版胴内部からインキを供給するようになっている。そして、版胴内部から供給されたインキを版胴表面に滲み出させ、製版済みのマスタを介して版胴表面に印刷用紙をプレスローラや圧胴等の押圧手段により押し付けることによって、製版済みのマスタの穿孔部分から滲み出るインキを印刷用紙に転移させて画像を印刷する。
【0003】
サーマルヘッドによりマスタに穿孔・製版する装置は、製版装置もしくは製版書込み装置と呼ばれている。製版装置としては、マスタが芯管の周りにロール状に巻かれたマスタロールからマスタを繰り出し可能に支持し、芯管の端面部に当接可能であって芯管内に嵌入してマスタロールを回転可能に位置決め支持するマスタロール支持手段を有するマスタロールの支持構造を具備したものが知られている。
【0004】
このような製版装置におけるマスタロールの支持構造に関して、本願出願人は、特開2000−43227号公報にて、以下の不具合点に着目してこれを解消すべく新規な技術を提案した。すなわち、特開2000−43227号公報では、マスタロールのダイレクトセット方式を採用した場合またはマスタロール支持手段側のロールフランジが回転しない方式の場合等において、異音が発生したり、マスタのバックテンション(張力)のばらつきが大きくなったり、あるいはマスタロールの端面部分のマスタが折れたりしない改良された製版装置におけるマスタロールの支持構造を提案した。
【0005】
以下、後述する実施形態との差異を明確にするために、図7および図8を参照して、特開2000−43227号公報で提案した製版装置におけるマスタロールの支持構造の問題点を説明する。図7および図8は、特開2000−43227号公報の図1に記載されている製版装置におけるマスタロールの支持構造と同様の要部の構成を示している。
【0006】
図7および図8において、符号1は、シート状のマスタを、符号2は、マスタ1がロール状に巻かれて形成されたマスタロールを、符号3は、パイプ状の芯管であって、マスタロール2を形成する際、マスタ1を巻き付ける心軸となる紙製の紙管を、符号16は、マスタ保持ユニットをそれぞれ示す。
【0007】
マスタ1は、光透過性を有する1〜2μm程度の薄い熱可塑性樹脂フィルムに対して和紙繊維あるいは合成繊維、もしくはこれら両材料を混抄したものからなる多孔性支持体を貼り付けてラミネート構造としたものが用いられ、製版手段としてのサーマルヘッド等の発熱素子によって加熱穿孔されるものである。
紙管3は、マスタ1の幅と同じ長さかそれよりも軸方向にやや長めに形成されている。図7および図8に示す紙管3の例では、紙管3の各端面部3aは、マスタロール2の各端面2aよりやや長めに形成されていて、各端面2aから外側に突出している。紙管3は、ウェブ状の比較的厚手の用紙を斜めに巻きつけて紙製の長いパイプを形成し、所定の寸法に切断して作られたものである。
【0008】
マスタ保持ユニット16は、マスタロール2の両側の紙管3の端面部3aに当接し、かつ、紙管3内に嵌入してマスタロール2を回転可能に支持する左右一対のロールフランジ4a,4bを備えている。マスタ保持ユニット16は、図5を借りて括弧を付して示す製版装置15の本体に挿入された製版挿入位置と、この製版挿入位置から外れた、マスタロール2の着脱を行うロール着脱位置(図示せず)との間で、製版装置15の本体側に配置されたガイドレール79を介して図中矢印方向F,Rに摺動自在となっている。ここで、ロール着脱位置とは、製版装置15を内蔵している孔版印刷装置から外方へ摺動した位置も含まれる。
【0009】
図7および図8において、符号Tは、繰り出されたマスタ1が搬送されるマスタ搬送方向を、符号MBは、マスタ搬送方向Tに直交しマスタロール2の軸方向(芯管3の長手方向)と平行な方向でもあるマスタ幅方向をそれぞれ示す。
なお、ロールフランジ対4a,4bは、図4および図5を借りて両図に括弧を付して示されており、後述する実施形態のロールフランジ対4Aa,4Abと区別している。同様に、製版装置15は、図5を借りて括弧を付して示されており、後述する実施形態の製版装置15Aと区別している。また、マスタ保持ユニット16は、図4および図5を借りて両図に括弧を付して示されており、後述する実施形態のマスタ保持ユニット16Aと区別している。
【0010】
ロールフランジ対4a,4bは、図4および図5を借りて示すロール受台27の両側部に配設される。ロールフランジ対4a,4bには、同一サイズの、マスタロール2の紙管3内に嵌入自在な円錐面部4cと、マスタロール2の端面2aとの接触を避けるための逃げとしての逃げ凹部4dと、マスタロール2の紙管3内に緩く嵌入する嵌入支持部面4fと、後述するマイラーシート10を貼着するシート貼着部4gとがそれぞれ一体的に形成されている。
【0011】
ロールフランジ対4a,4bの嵌入支持部面4fの外径は、紙管3の内径よりも僅かに小さく形成されている。ロールフランジ対4a,4bは、汎用性のあるプラスチック、例えばアクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS樹脂)や、ポリスチレン(PS)、あるいはポリカーボネート樹脂(PC)等でできている。
【0012】
ロールフランジ対4a,4bのシート貼着部4gには、各ロールフランジ4a,4bと紙管3の各端面部3aとが当接するときの摩擦力を減少させると共に、その摩擦力を所定の範囲に安定化させるための摩擦減少手段としてのPET(ポリエチレンテレフタレート)製のマイラーシート10が接着剤で貼着・固定されている。マイラーシート10は、紙管3の端面部3aの外径寸法よりもやや大きく形成されていて、略リング帯状をなしている。
【0013】
図7および図8における右側のロールフランジ4bは、図4および図5を借りて示すロール受台27の一側内壁に固設されている。一方、図において左側のロールフランジ4aは、ロール受台27とは別の部材であるフランジ支持板26の内壁に固設されロールフランジ4b側に対向・突出した案内部材5を介して、マスタ幅方向MBに移動自在に、かつ、回転不能になされている。ロールフランジ4aには、案内部材5を緩く嵌入する断面が丸孔状の挿通孔4eと、後述する案内部材5の突起部5bを緩く嵌入してロールフランジ4aの回り止めの機能を有する断面矩形状の案内溝4hとがそれぞれ形成されていて、その全体的な断面が概略キー溝付き丸孔状をなしている(借用する図3参照)。
【0014】
案内部材5は、例えばステンレススチール等の金属でできていて、断面が概略キー付き丸棒状をなしている。案内部材5の右端にはロールフランジ4aの移動を規制する頭部5aが、案内部材5上にはロールフランジ4aをマスタ幅方向MBと平行に、かつ、ロールフランジ4b側の嵌入支持部面4fとロールフランジ4a側の嵌入支持部面4fとを平行に同軸的にスライド案内するための矩形状の突起部5bがそれぞれ一体形成されている(借用する図3参照)。
【0015】
フランジ支持板26の内壁とロールフランジ4aの左端壁との間の案内部材5には、マイラーシート10を介してロールフランジ4aのシート貼着部4gを紙管3の端面部3aに圧接する向きに付勢する圧縮バネ6が巻着されている。圧縮バネ6は、マイラーシート10を介してロールフランジ4aのシート貼着部4gを紙管3の端面部3aに圧接すべく作用することにより、マスタロール2が繰り出し方向に回転する時に、紙管3の各端面部3aと各マイラーシート10との間で所定の範囲の摩擦力を生じさせてマスタロール2からのマスタ1の繰り出しに対して抵抗する力、換言すればマスタロール2から引き出されるマスタ1にバックテンション(張力)を生じさせる機能を有する。これにより、マスタ1が繰り出される際に生じやすい弛みをなくすことができる利点がある。
【0016】
上述した構成のとおり、ロールフランジ4aは、マスタ保持ユニット16が製版挿入位置を占めたとき、前記マイラーシート10を介して紙管3の一方の端面部3aに当接可能であってマスタロール2の位置決めをする位置決め位置(借用する図4に仮想線で示す位置)と、マスタ保持ユニット16がロール着脱位置を占めたとき、紙管3の一方の端面部3aから離間する非位置決め位置(借用する図4に実線で示す位置)との間で移動自在なロール位置決め手段としての機能を有する。
ロール位置決め案内手段30は、借用する図3、借用する図4および図7において、側板78の傾斜案内部78aおよびスライド案内部78b、フランジ支持板26の傾斜部26a、スライド部26b、案内部材5の突起部5b、ロールフランジ4Aaの円錐面部4c、案内溝4hおよび圧縮バネ6から主に構成されている。
【0017】
図7および図8に示した従来例によれば、マイラーシート10をそれぞれ貼着されると共に、逃げ凹部4dをそれぞれ形成されたロールフランジ対4a,4bと、圧縮バネ6とを有することにより、各紙管3の端面部3aとマイラーシート10とが直接接触し押し付けられながら回転しても、従来のような異音(キーキーというこすれ音)を発生することがなくなった。
また、ロール径が大きいマスタロール2の使い始めのときと、ロール径の小さい使い終わりのときとで、マスタロール2からマスタ1を引き出すのに要する引出力の差を小さい範囲で抑えることができ、換言すればマスタ1のバックテンション(張力)のばらつきを、前記公報の図4(a),(b)に示されているように略半減することができた。これにより、マスタ1の送り量が安定することで画像の寸法再現精度も安定するという効果を奏するようになった。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、マスタロール2における紙管3の内側の両端縁部には、紙管3を切断するときに大小様々なバリ3Aが発生する。紙管3の切断は、工数低減およびコスト削減を図る上から、ノコギリ刃を備えた丸鋸電動カッターを使用して行っている。このバリ3Aは、紙管3を切断するときに、例えば図8に拡大して示すように図示しない丸鋸電動カッターを紙管3の上部から下部に向けて移動する際に主に紙管3の内側上部の両端縁部に発生しやすいが、後で参照する図1および図6を含め図7では、固定されているロールフランジ対4a,4bに対してマスタロール2が回転することを考慮して、便宜的に、紙管3の内側の両端縁部全周に亘って発生するように示している。
【0019】
紙管3の内側の両端縁部にバリ3Aが無いときには、紙管3の内周面と、ロールフランジ対4a,4bにおける嵌入支持部面4fとで面接触することにより、比較的ばらつきの小さい範囲での摩擦抵抗(摩擦負荷)が生じる。けれども、紙管3の内側の両端縁部に発生するバリ3Aは、紙管3の切断加工時における紙管3の1つ1つで大きさ(紙管3の内周面から紙管3の中心に向かう高さ寸法および紙管3の長手方向の長さ寸法の総称である)が異なるため、バリ3Aが大きいと紙管3の内径が小さくなったり、紙管3の内周部と嵌入支持部面4fとが線接触となったりするので、紙管3との摩擦負荷のばらつき幅が増大して、マスタロール2毎に摩擦負荷がばらつき、すなわちマスタロール2から引き出されるマスタ2に付与されるバックテンションがばらつく原因となってしまう。
特に、図7および図8に示したように、ロールフランジ対4a,4bが回転しない(固定)で、マスタロール2のみが回転する場合には、紙管3の内周部と嵌入支持部面4fとの回転接触によって、紙管3のバリ3A発生部の内周部分が摩耗してしまうことで、バックテンションがばらつく原因となる。
【0020】
なお、紙管3の内側の両端縁部に発生したバリ3Aを除去することは、工数およびコストを掛けさえすれば困難なことではないが、省資源・省エネ化が叫ばれている今日の状況では、何百本ものマスタロールをサプライとして使用する孔版印刷装置本体側で対応することが工数低減およびコスト削減を図る上から最良の対処方法と言える。
また、芯管は、前記した紙管3に限らず、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS樹脂)、ポリカーボネート樹脂(PC)等の合成樹脂でできているものもあるが、このような材質で形成されている芯管では、コストアップになる他、切断時のバリ3Aの発生は避けられず、また射出成形方式で成形した場合でもパーティングによるバリ3Aの発生がある。
【0021】
したがって、本発明は、前記した事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、マスタロールのダイレクトセット方式を採用した場合またはロールフランジ(マスタロール支持手段)が回転しない方式の場合等において、芯管(紙管)の内側の端縁部にバリが発生していても、マスタロール毎のバックテンション(張力)のばらつきを小さく抑えることはもとより、同一のマスタロールの使用開始ないしは使用終了時に至るまでバックテンションのばらつきを小さく抑えることができ、これによってマスタの送り量を安定させることで画像の寸法再現精度を安定することのできる製版装置を提供することにある。
また、前記目的に加えて、マスタロールの芯管と接触するロールフランジ(マスタロール支持手段)の材質・材料を摩擦抵抗を減少して滑りやすく、かつ、耐摩耗性の高いもので形成することにより、常に安定したバックテンションを得ることができ、これによってマスタの送り量をより一層安定させることで画像の寸法再現精度をより一層安定することのできる製版装置を提供することにある。
また、前記各目的に加えて、摩擦減少手段を介してマスタロール支持手段と芯管の端面部とを当接させることで、マスタロールと芯管とが回転することに伴う異音の発生を防止し、また常に安定したバックテンションを得ることができ、これによってマスタの送り量をより一層安定させることで画像の寸法再現精度をより一層安定することのできる製版装置を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
前述した課題を解決すると共に前記目的を達成するために、各請求項記載の発明では、以下の特徴ある構成を採っている。
請求項1記載の発明は、マスタが芯管の周りにロール状に巻かれたマスタロールの該芯管の端面部に当接し、かつ、前記芯管内に嵌入して前記マスタロールを回転可能に支持するマスタロール支持手段を有する製版装置において、前記マスタロール支持手段は、前記芯管の内側の端縁部に対向する部位に前記端縁部との接触を避けるための逃げを有することを特徴とする。
ここで、「芯管の端面部」とは、芯管の端面そのものの部位を指すほか、後述する実施形態で参照する図1,図2、図6,図7,図8に示されているように、芯管の端縁部に発生したバリのうちの芯管の端面側の部分をも含むことを意味する。
【0023】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の製版装置において、前記マスタロール支持手段は、前記芯管および/または前記マスタロールの端面と当接するときの摩擦力を減少させ、かつ、耐摩耗性を有する材料で形成されていることを特徴とする。
ここで、マスタロール支持手段が芯管と当接する部位としては、芯管の内周面や芯管の端面部が含まれる。
【0024】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の製版装置において、前記マスタロール支持手段と前記芯管の前記端面部とが当接するときの摩擦力を減少させる摩擦減少手段を前記マスタロール支持手段および/または前記芯管の前記端面部に設けたことを特徴とする。
ここで、摩擦減少手段の配置位置としては、上述したように、マスタロール支持手段および/または芯管の端面部に設けてもよいが、マスタロール支持手段および芯管の端面に設ける場合や、芯管の端面部に設ける場合には、マスタロールがサプライであるためその1つ1つに対して設ける必要があり、このためコスト的に不利である。それ故に、摩擦減少手段の配置位置としては、摩擦減少手段の配置位置によるその摩擦減少手段の耐久性、摩擦力を所定の範囲に入れるための摩擦力の安定化および経済性の点から、マスタロール支持手段に、すなわちマスタロール支持手段側の芯管の端面部と当接する部位に設けることが好ましい。
また、前記と同様の理由および取り付け作業性容易化の点からは、摩擦減少手段が、芯管の端面の外径寸法と同じかまたは該外径寸法よりもやや小さく形成されていて略リング状かつシート状であるものが好ましい。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して実施例を含む本発明の実施の形態(以下、単に「実施形態」という)を説明する。図7および図8に示した従来例および実施形態等に亘り、同一の機能および形状等を有する部材や構成部品等の構成要素については、同一符号を付すことによりその説明をできるだけ省略する。図および説明の簡明化を図るため、図に表されるべき構成要素であっても、その図において特別に説明する必要がない構成要素は適宜断わりなく省略することがある。図において一対で構成されていて特別に区別して説明する必要がない構成要素は、説明の簡明化を図る上から、その片方を適宜記載することでその説明に代えるものとする。
【0026】
図1ないし図5に、本発明の製版装置に係る一実施形態を示す。この実施形態は、従来例で説明した特開2000−43227号公報の図3に示されている製版装置15と比較すると、前記同公報の図2および図3に示されているマスタ保持ユニット16に代えて、マスタ保持ユニット16Aを備えた製版装置15Aを有することのみ相違する。
なお、特開2000−43227号公報記載の実施形態は、特開平9−226088号公報の図1および図2に示されている一つ前の従来の実施形態例と比較すると、その一つ前の従来の実施形態例におけるマスタ保持ユニット21を備えた製版装置20に代えて、マスタ保持ユニット16を備えた製版装置15を有することのみ相違するものであった。
【0027】
まず、図5を参照して、製版装置15Aが適用される印刷装置としての孔版印刷装置の要部の構成を簡単に説明する。図5に示す孔版印刷装置は、製版済みのマスタ1の先端部をクランプ・保持するクランパ13を備えた版胴14が配置された孔版印刷工程部を備えていて、それぞれ図示を省略した、給紙装置、排版部、排紙部および前記した製版装置15Aから主に構成されている。同孔版印刷装置において、製版装置15Aは本発明に係る新規な構成を有しており、これ以外の前記給紙装置、前記排版部および前記排紙部等は特開平9−226088号公報の図1および図2に示されているものと同様の構成を具備している。
【0028】
製版装置15Aは、前記したマスタ保持ユニット16A、プラテン圧制御部55および裁断部70から主に構成されていて、マスタ保持ユニット16A以外のプラテン圧制御部55および裁断部70周りの構成は、特開平9−226088号公報の図1および図2に示されているものや、特開2000−43227号公報の図3に示されているものと同様の構成を具備しているため、重複説明を避ける上から、主要な構成要素名およびその機能を簡明に説明するに留める。
図5において、符号51はガイド部材を、符号56はサーマルヘッドを、符号57はヘッドベースを、符号65はプラテンローラを、符号71はロータリカッタを、符号72は第1搬送ローラ対を、符号74は第2搬送ローラ対をそれぞれ示す。
【0029】
ガイド部材51は、サーマルヘッド56とプラテンローラ65との押圧部近傍とガイド板35との間のマスタ搬送路MR上に設けられ、マスタ保持ユニット16Aが図5に示す製版挿入位置を占めたとき、ガイド板35に係合して引き出しローラ40によって搬送されるマスタ1の先端を前記押圧部近傍に位置決め導入するマスタ導入手段としての機能を有する。
サーマルヘッド56は、プラテンローラ65の軸方向に相当する主走査方向に沿って配列された複数の発熱素子を有し、その発熱素子に対する選択的な通電制御によって発熱素子を選択的に発熱させることにより発熱位置に対応するマスタ1の箇所を加熱溶融させて穿孔する製版手段としての周知の機能を有する。これにより、サーマルヘッド56は、マスタロール2から繰り出され引き出しローラ40の回転により搬送されるマスタ1に対して選択的に加熱穿孔する。サーマルヘッド56は、ここではその説明を省略するプラテン圧制御手段により、プラテンローラ65に対して接離自在になっている。
【0030】
プラテンローラ65は、引き出しローラ40の回転により搬送される未製版のマスタ1またはサーマルヘッド56により加熱穿孔された製版済みのマスタ1を、サーマルヘッド56との間に押圧しながら回転しマスタ搬送路MRの下流側に搬送する周知の機能を有する。プラテンローラ65は、例えばシリコンゴム等からできていて、マスタ1に対して引き出しローラ40の摩擦係数よりも大きい摩擦係数を有している。プラテンローラ65は、ここではその説明を省略する駆動モータ(図示せず)の回転駆動力をプラテンローラ65に伝達する駆動力伝達機構(図示せず)を介して回転駆動される。
【0031】
ヘッドベース57は、その両側壁に形成されたベース軸孔に挿通され図4に示す両側板78によって支持されている前記ベース軸を支点として揺動可能に支持されている。ヘッドベース57およびガイド取付部は、サーマルヘッド56を揺動自在に支持する被揺動部材の機能を有する。
【0032】
ロータリカッタ71は、プラテンローラ65によって搬送される製版済みのマスタ1または未製版のマスタ1の後端部を切断するための裁断手段としての機能を有する。ロータリカッタ71配置部近傍のマスタ幅方向MBには、ロータリカッタ71をマスタ幅方向MBに往復案内する案内レールが配置されている。ロータリカッタ71は、回転しながらマスタ幅方向MBに移動可能な周知の構成を有する。ロータリカッタ71は、製版済みのマスタ1または未製版のマスタ1の後端部を切断するときのみマスタ搬送路MRを回転しながら横切るようになっており、通常、マスタ幅方向MBにおける前記案内レールの片側端に待機していて、マスタ1の搬送に支障とならないようになっている。また、ロータリカッタ71は、図示しないカッタ駆動モータにより、回転・移動されるようになっている。ロータリカッタ71および前記案内レールを備えた裁断部70は、例えば特開平7−101135号公報の図1等と同様の周知の構成を有している。
【0033】
第1搬送ローラ対72の上方のローラ72は、軸に一体的に形成された駆動ローラであり、下方のローラ72は、軸に一体的に形成された従動ローラであり、ともに図4に示す両側板間78(図4では左側のみ図示している)に回転自在に支持されている。上方のローラ72には、マスタ搬送駆動手段としての前記駆動モータの回転駆動力を第1搬送ローラ対72に伝達する第1回転力伝達機構を介して前記駆動モータの回転駆動力が伝達される。
同様に、第2搬送ローラ対74の上方のローラ74は、軸に一体的に形成された駆動ローラであり、下方のローラ74は、軸に一体的に形成された従動ローラであり、ともに図4に示す両側板間78に回転自在に支持されている。上方のローラ74には、前記駆動モータの回転駆動力を第2搬送ローラ対74に伝達する第2回転力伝達機構を介して前記駆動モータの回転駆動力が伝達される。
第2搬送ローラ対74は、第2回転力伝達機構を介して、第1搬送ローラ対72の周速度よりも僅かに速い周速度で、また第1搬送ローラ対72は、第1回転力伝達機構を介して、プラテンローラ65の周速度よりも僅かに速い周速度で回転するようにそれぞれ予め設定されている。
【0034】
製版装置15Aの本体側には、左右一対の板金製の側板78が互いに平行に配設されている。これら両側板78の下部には、図4および図5に示すように、ロール受台27の各スライドレール27cと係合することにより、製版挿入位置とロール着脱位置との間でマスタ保持ユニット16Aを摺動自在に案内する案内手段としての左右一対のガイドレール79が形成されている。これらガイドレール79は、内側に開口したチャンネル状をなす部分で各スライドレール27cとそれぞれ係合するようになっている。
【0035】
マスタ保持ユニット16Aは、図1ないし図5に示すように、特開2000−43227号公報の図1ないし図3に示されているマスタ保持ユニット16と比較すると、そのマスタ保持ユニット16に配設されている左右一対のロールフランジ4a,4bに代えて、左右一対のロールフランジ4Aa,4Abを有することが主に相違する。
マスタ保持ユニット16Aは、ロール受台27、前記した左右一対のロールフランジ4Aa,4Ab、ガイド板35および引き出しローラ40から主に構成されている。ロールフランジ対4Aa,4Ab周りの構成以外のロール受台27、ガイド板35および引き出しローラ40周りのマスタ保持ユニット16Aの構成は、特開平9−226088号公報の図1ないし図6に示されているものと同様の構成を具備しているため、重複説明を避ける上から、それらの構成および機能を簡明に説明するに留める。以下、図7および図8に示した従来例で説明しなかった内容を補充しながら、まず、特開平9−226088号公報の図1ないし図6に示されていると同様の構成から説明する。なお、フランジ支持板26および側板78の配置は、特開平9−226088号公報の図4に示されている配置と左右逆になっている。
【0036】
ロール受台27は、図4および図5に示すように、略筐体状をなしていて、合成樹脂で一体的に形成されている。ロール受台27の上方には、マスタロール2を着脱する際の作業性を良くするためにやや間口の広い開口が形成されており、この開口に連通してマスタロール2を収納する断面略U字状の収納部27eが形成されている。
【0037】
ロール受台27の底壁の略中央には、マスタ保持ユニット16Aが製版挿入位置を占めたときに後述するマスタ検知手段を臨ませるための開口部27dが明けられている。ロール受台27の後外壁中央には、把手27bが一体的に取り付けられている。この把手27bを持って後述する案内手段を介して矢印方向Fに押し出すことにより、マスタ保持ユニット16Aを図5に示す製版挿入位置に移動させることができ、矢印方向Rに引き出すことにより製版装置15Aの外部に引き出された、図4に示すロール着脱位置に選択的に移動させることができる。ロール受台27の両側壁下部には、断面が上向きに開口したチャンネル状をなすスライドレール27cがそれぞれ一体的に形成されており、スライドレール27cには板金製の補強が適宜施されている。
【0038】
図4に示すように、製版装置15Aの本体側(以下、単に「装置本体側」というときがある)には、左右一対の板金製の側板78(図4では左側のみが図示されている)が互いに平行に配設されている。これら両側板78の下部には、図5に示すように、ロール受台27の各スライドレール27cと係合することにより、製版挿入位置とロール着脱位置との間でマスタ保持ユニット16Aを摺動自在に案内する案内手段としての左右一対のガイドレール79が形成されている。これらガイドレール79は、内側に開口したチャンネル状をなす部分で各スライドレール27cとそれぞれ係合するようになっている。図5において、符号MRは、マスタロール2から繰り出されたマスタ1を搬送するためのマスタ搬送路を示している。
装置本体側における図4において左側の側板78は、その後端部が外側に向けて折り曲げられて形成された傾斜案内部78aと、図4において右側の側板78(図4では省略されている)と平行に形成されたスライド案内部78bとからなる。
【0039】
フランジ支持板26は鈑金でできている。フランジ支持板26は、図4に示すように、矢印方向Fの前端部が内側に向けて折り曲げられて形成された傾斜部26aと、側板78のスライド案内部78bと平行に形成され、案内部材5をその内壁に取り付けているスライド部26bとからなる。
【0040】
図4において、左側のロールフランジ4Aaは、ロール受台27とは別の部材であるフランジ支持板26の内壁に固設されている。図4において、右側のロールフランジ4Abは、ロール受台27の一側内壁に固設されている。ロールフランジ4Aaは、マスタ保持ユニット16Aが製版挿入位置を占めたとき、マイラーシート10を介してマスタロール2の芯管3の端面部3aに当接可能であってマスタロール2の一方の芯管3の端面部3aの位置決めをする位置決め位置(図4に仮想線で示す位置)と、マスタ保持ユニット16Aがロール着脱位置を占めたとき、マスタロール2の一方の芯管3の端面部3aから離間する非位置決め位置(図4に実線で示す位置)との間で移動自在なロール位置決め手段としての機能を有する。
【0041】
図4において、符号30はロール位置決め案内手段を示す。ロール位置決め案内手段30は、ロール位置決め手段としてのロールフランジ4Aaを、位置決め位置と非位置決め位置との間で移動自在に案内する機能を有する。
ロール位置決め案内手段30は、図1、図3および図4において、側板78の傾斜案内部78aおよびスライド案内部78b、フランジ支持板26の傾斜部26a、スライド部26b、案内部材5の突起部5b、ロールフランジ4Aaの円錐面部4c、案内溝4hおよび圧縮バネ6から主に構成されている。
【0042】
なお、図4において左側のみに設けられたロール位置決め案内手段30に限らず、左側のロールフランジ4Ab側にもロール位置決め案内手段30を設けると共に、ロールフランジ4Abを、位置決め位置と非位置決め位置との間で移動自在にロールフランジ4Aaと同様に構成しても勿論よい。
【0043】
図4に示すように、ロール受台27における前側上部の左右端部には、ロール受台27に一体的に形成された一対のガイド板支持部27fがそれぞれ形成されている。これら一対のガイド板支持部27fには、マスタロール2から繰り出されるマスタ1の先端部を載置するマスタ案内手段としてのガイド板35が揺動自在に配設されている。ガイド板35は、平面視で略長方形状をなしていて、鈑金でできている。ガイド板35の基端部は、一対のガイド板軸36を介して一対のガイド板支持部27fに回動自在に支持されている。ガイド板35の自由端側は、ガイド板支持部27fに一体的に形成された図示しないストッパで下方への揺動範囲が規制されていて、ガイド板35の自重で揺動自在となっている。
【0044】
ロール受台27における各ガイド板支持部27fの下部外壁には、2個の段付きピン29が上下方向に所定の間隔をおいてそれぞれ植設されている。ガイド板35の上方およびロール受台27の上記両下部外壁に亘り、細長い板状のローラアーム43が配設されている。ローラアーム43の両側部の下部には、上下方向に長い案内溝43bがそれぞれ形成されていて、これらの案内溝43b内に2個の段付きピン29がそれぞれ緩く嵌入している。ローラアーム43は、鈑金でできていて、ローラアーム43の上部には把手部43aが上方に直角に折り曲げ形成されている。それ故に、ローラアーム43は、左右一対の案内溝43bの範囲内で2個の段付きピン29により昇降自在に支持・案内されている。
【0045】
ローラアーム43の両上側部の間には、マスタ1の先端部を介してガイド板35に接触しマスタ1を搬送するマスタ搬送手段としての引き出しローラ40が配設されている。引き出しローラ40は、ローラ軸41と一体的に形成されていて、ローラアーム43の両上側部の間にローラ軸41を介して回転自在に支持されている。図4において右側のローラ軸41は、ローラアーム43の上側部から突出していて、ローラ軸41の端部にはローラギア42が固設されている。引き出しローラ40は、例えば発泡クロロプレンゴムや発泡ポリウレタン等のスポンジ状のローラからなる。
【0046】
上記の構造のとおり、引き出しローラ40は、ローラアーム43および引き出しローラ40の各自重により、段付きピン29および案内溝43bの上記支持・案内動作を介して、ガイド板35の上記した揺動動作に連動しつつガイド板35上面に接触している。そして、マスタ保持ユニット16Aがロール着脱位置を占めたとき、すなわちマスタ保持ユニット16Aが装置本体側からロール着脱位置に引き出されたとき、オペレータは、ローラアーム43の把手部43aを持ってローラアーム43および引き出しローラ40を上方に持ち上げつつ、マスタロール2からマスタ1の先端部を引き出し、マスタ1の先端部をガイド板35上面に載置することができる。それ故に、引き出しローラ40は、マスタ保持ユニット16Aがロール着脱位置を占めたとき、ガイド板35に対して接離可能に構成されている。
引き出しローラ40は、ローラギア42を介して、特開平9−226088号公報の図6に示されているものと同様のマスタ搬送駆動手段としての駆動モータ45および駆動力伝達機構により、選択的に回転駆動されるようになっている。
【0047】
図4および図5において、符号32は、マスタ検知センサを示す。マスタ検知センサ32は、一対のガイドレール79間に橋架された図示しない不動部材の中央部に設置されている。マスタ検知センサ32は、発光部および受光部を具備した周知の反射型光学センサである。マスタ検知センサ32は、マスタ保持ユニット16Aの収納部27e内にマスタロール2が装填されている場合に得られる反射光を検知することができるようになっている。マスタロール23は、マスタ保持ユニット16Aの収納部27e内に位置しているとき、マスタ検知センサ32によって存在していることが検知される。
図5において、符号33は、マスタセット検知センサを示す。マスタセット検知センサ33は、マスタ保持ユニット16Aが製版装置15A内に挿入され製版挿入位置を占めたことを検知するために設けられている。この実施形態では、マスタセット検知センサ33は、装置本体側のガイドレール79の下部壁に設けられていて、マスタ保持ユニット16Aが製版挿入位置を占めたときにのみスライドレール27cの先端下壁面と係合するマイクロスイッチが用いられている。マスタセット検知センサ33は、マスタ保持ユニット16Aが製版挿入位置に押し動かされたことを検知して、引き出しローラ40等を回転させる前記駆動モータの動作開始時期を検知し、その検知信号を図示しない制御部に出力するようになっている。
【0048】
マスタ保持ユニット16Aは、製版装置15Aの本体内に挿入された製版挿入位置(図5に示す位置)と、この製版挿入位置から外れた、マスタロール2の着脱を行うロール着脱位置(図4に示す位置よりもさらに紙面の下側へ引き出された位置)との間で、ガイドレール79を介して図中矢印方向F,Rに摺動自在となっている。ここで、ロール着脱位置とは、製版装置15Aを内蔵している孔版印刷装置から外方へ摺動した位置も含まれる。
【0049】
マスタ保持ユニット16Aは、図7および図8に示したと同様のマスタロール2の紙管3の端面部3aに当接し、かつ、紙管3内に嵌入してマスタロール2を回転可能に支持するマスタロール支持手段としての左右一対のロールフランジ4Aa,4Abを備えている。
【0050】
マスタ保持ユニット16Aのロールフランジ対4Aa,4Abは、図1ないし図3に示すように、図7および図8に示した従来例のマスタ保持ユニット16のロールフランジ対4a,4bと比較すると、芯管3の内側の両端縁部(バリ3Aの発生部位)に対向する部位に前記両端縁部との接触を避けるための逃げとしての逃げ溝4Ajを有すること、および汎用性のあるプラスチックで形成された(例えばアクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS樹脂)や、ポリスチレン(PS)、あるいはポリカーボネート樹脂(PC)等)ロールフランジ対4a,4bの材料(材質)に代えて、芯管3の内周面と当接するときの摩擦力を減少させると共に、耐摩耗性を有する材料(材質)で形成されていることが主に相違する。
【0051】
紙管3の内側の両端縁部に発生するバリ3Aは、切断時の工具の違いや切断条件にもよるが、紙管3の内周面から紙管3の中心に向かう高さで、例えば0.2〜1.5mmで、紙管3の長手方向の長さで例えば0.2〜2mmというように大小様々の大きさのものが発生し、そのばらつきも大きい。
したがって、ロールフランジ対4a,4bに形成される逃げ溝4Ajの大きさは、紙管3の内側の両端縁部に発生する大小のバリ3Aに接触しない程度に形成されていればよく、紙管3の内周面から紙管3の中心に向かう高さで、例えば2mmで、紙管3の長手方向の長さで例えば3mm程度の断面矩形状に形成されている。
【0052】
ロールフランジ対4Aa,4Abは、芯管3の内周面と当接するときの摩擦力(摩擦抵抗)を減少させると共に、耐摩耗性を有する材料として、例えば、摺動性アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS樹脂)や、摺動性のあるポリアセタール樹脂(POM)でできている。
【0053】
ロールフランジ対4Aa,4Abは、上述した特徴点を除けば、図7および図8に示した従来例のロールフランジ対4a,4bと同様の構造・構成を具備している。すなわち、ロールフランジ対4Aa,4Abには、同一サイズの、マスタロール2の紙管3内に嵌入自在な円錐面部4cと、マスタロール2の端面2aとの接触を避けるための逃げとしての逃げ凹部4dと、マスタロール2の紙管3内に緩く嵌入する嵌入支持部面4fと、後述するマイラーシート10を貼着するシート貼着部4gとがそれぞれ一体的に形成されている。
【0054】
円錐面部4cは円錐台状を、逃げ凹部4dはリング帯溝状を、嵌入支持部面4fは円柱状をそれぞれなしている。ロールフランジ対4Aa,4Abの嵌入支持部面4fの外径は、紙管3の内径よりも僅かに小さく形成されている。ロールフランジ対4Aa,4Abの嵌入支持部面4fは、マスタロール2の紙管3内に嵌入して紙管3の内周面に当接することにより、またロールフランジ対4Aa,4Abのシート貼着部4gは、マイラーシート10を介して紙管3の端面部3aに当接することにより、マスタ搬送方向T、マスタ幅方向MBおよび高さ方向の3次元方向にマスタロール2の位置決めをする機能を有する。ロールフランジ対4Aa,4Abの円錐面部4cは、マスタロール2の3次元方向の位置決め位置に、マスタロール2の両側の芯管3を自動調心的に案内する機能を有する。
【0055】
ロールフランジ対4Aa,4Abのシート貼着部4gには、各ロールフランジ4Aa,4Abと紙管3の各端面部3aとが当接するときの摩擦力を減少させると共に、その摩擦力を所定の範囲に安定化させるための摩擦減少手段としてのPET(ポリエチレンテレフタレート)シート10が接着剤で貼着・固定されている。マイラーシート10は、紙管3の端面部3aの外径寸法よりもやや大きく形成されていて、略リング帯状をなしている。
【0056】
マイラーシート10は、その厚さが0.05〜0.3mmの程度のものが用いられる。マイラーシート10の厚さは、各図において幾分誇張して示している。マイラーシート10は、表面平滑性が高く、かつ、紙管3の端面部3aの表面状態に対して滑りやすい摩擦係数の小さい材質でできている。マイラーシート10の配置位置は、その耐久性、摩擦力の安定化および経済性の点から、マイラーシート10をロールフランジ対4Aa,4Abの各シート貼着部4gに貼着して設けた構成を採っている。
【0057】
なお、摩擦減少手段は、前記マイラーシート10に限らず、上述した機能を有するものであればよく、例えば、テフロンテープ(商品名)やウルトラテープ(商品名)、あるいは前記テフロンテープやウルトラテープの表面にアルミニウム等の金属箔や粉末をコーティングしたものであってもよい。
【0058】
マスタ1の熱可塑性樹脂フィルムは、例えばポリエステル等でできている。マスタ1の厚さは、従来から使用されているマスタの厚さ40〜60μmの約1/2程度となっていて、この実施形態では3〜30μmのものを用いることができるようになっている。それ故に、マスタロール2の外径は、従来のそれに比べて著しく小さくコンパクトになっていて、装置の小型化に寄与している。また、マスタ1の厚さが、従来のマスタの厚さに比べて非常に薄いものを用いることができるので、いわゆる繊維目を低減させることによる画質の向上、加熱穿孔時間を速めることによる高速製版を可能としている。また、マスタロール2には、特開平9−226088号公報の図8で開示したと同様の低反射率部(図示せず)が形成されている。
【0059】
フランジ支持板26の内壁とロールフランジ4Aaの左端壁との間の案内部材5には、マイラーシート10を介してロールフランジ4Aaのシート貼着部4gを紙管3の端面部3aに圧接する向きに付勢する圧縮バネ6が巻着されている。圧縮バネ6は、マイラーシート10を介してロールフランジ4Aaのシート貼着部4gを紙管3の端面部3aに圧接すべく作用することにより、マスタロール2が繰り出し方向に回転する時に、紙管3の各端面部3aと各マイラーシート10との間で所定の範囲の摩擦力を生じさせてマスタロール2からのマスタ1の繰り出しに対して抵抗する力、換言すればマスタロール2から引き出されるマスタ1にバックテンション(張力)を生じさせる機能を有する。これにより、マスタ1が繰り出される際に生じやすい弛みをなくすことができる利点がある。
【0060】
次に、マスタロール2の着脱から版胴14へのマスタ1を巻装するまでの動作は、ロール位置決め案内手段30の一部構成の相違に伴う動作が部分的に相違するだけであり、特開平9−226088号公報に開示されている動作と基本的に同様であるため、その相違する動作だけを説明することで、その他の動作説明を省略する。
【0061】
マスタ保持ユニット16Aが図5に示すように製版挿入位置を占めている状態で、マスタロール2におけるマスタ1の残量が無くなった場合、あるいはマスタロール2自体が無い状態において、オペレータによってロール受台27の把手27bが操作されることにより、マスタ保持ユニット16Aのロック状態が解除されてマスタ保持ユニット16Aが製版装置15Aの外方の矢印方向Rに引き出されることにより、ロール受台27のスライドレール27cが側板78のガイドレール79内を摺動しつつ、マスタ保持ユニット16Aがロール着脱位置を占めることとなる。
【0062】
マスタ保持ユニット16Aがロール着脱位置を占めるための引き出し量は、マスタロール2の着脱を行うことができると共に、少なくともオペレータが引き出しローラ40を見ることができてローラアーム43の把手部43aを操作可能な状態とされている。そして、マスタロール2は、そのマスタ1に対するプラテン圧制御部55でのプラテン圧を解除されているので、製版装置15Aの外方への引き出しの際に抵抗を受けることがない。また、図4において、圧縮バネ6の付勢力が働いている下で、側板78のスライド案内部78bに摺接していたフランジ支持板26のスライド部26bは、マスタ保持ユニット16Aが矢印方向Rに移動されることにより、スライド案内部78bとの係合を解除され、次いで側板78の傾斜案内部78aとフランジ支持板26の傾斜部26aとが係合・摺接することとなる。これにより、ロールフランジ4Aaの円錐面部4cは、マスタロール2の左側の紙管3内に進入・嵌入している図4に仮想線で示す位置決め位置から、マスタロール2の左側の紙管3内から退出した実線で示す非位置決め位置に変位してマスタロール2とロールフランジ4Aaとの嵌合・係合状態が解除される。
【0063】
そして、マスタ保持ユニット16Aがロール着脱位置を占めた状態で、オペレータは、ロール受台27の収納部27eから使用済みのマスタロール2を取外した後、未使用の新しいマスタロール2を準備し、新しいマスタロール2の右側の紙管3内にロールフランジ4Abの円錐面部4cを嵌入させる。次いで、オペレータは、マスタロール2からマスタ1の先端を引き出し、ローラアーム43の把手部43aを持ってローラアーム43および引き出しローラ40を上方向に持ち上げてガイド板35上にマスタ1の先端部を載置してから、ローラアーム43および引き出しローラ40を下方向に示す位置に戻す。すなわち、オペレータが、マスタ1の先端部が載置されたガイド板35上に引き出しローラ40を置くことにより、ローラアーム43および引き出しローラ40の自重で、ガイド板35上と引き出しローラ40との間にマスタ1の先端部が挾持される。
【0064】
次いで、オペレータは、ロール受台27の把手27bを操作して、マスタ保持ユニット16Aを、圧縮バネ6の付勢力に抗して製版装置15A内に向かう矢印方向Fに押し込む。この操作により、製版装置15A内から矢印方向Rに引き出した上記動作と反対の動作が行われる。すなわち、ロール受台27のスライドレール27cが側板78のガイドレール79内を摺動すると共に、図4および図5において、圧縮バネ6の付勢力に抗して、側板78の傾斜案内部78aとフランジ支持板26の傾斜部26aとの係合・摺接状態からスライド案内部78bとスライド部26bとの係合・摺接状態に移行することとなる。
そして、マスタ保持ユニット16Aが製版挿入位置を占める動作と並行して、図4ないし図5において、ロールフランジ4Aaは、非位置決め位置から位置決め位置に変位される。このとき、ロールフランジ4Aaの円錐面部4cがマスタロール2の左側の紙管3内に完全に進入・嵌入すると共に、ロールフランジ4Aaのシート貼着部4gがマイラーシート10を介してマスタロール2の芯管3の端面部3aに当接して、マスタロール2が3次元方向に位置決めされて、換言すれば自動的に調心されると共にロールフランジ対4Aa,4Abに回転自在に支持されて、マスタ保持ユニット16Aに装填される。このように、マスタロール2の着脱を簡単なワンタッチの操作で行うことができる。
【0065】
また、本実施形態のマスタ保持ユニット16Aにおけるロールフランジ対4Aa,4Abにマスタロール2をセット・装填した状態で、特開2000−43227号公報の図4(a)に示されていると同様にして、マスタロール2からマスタ1を引き出すのに要する引出力、すなわちロール径が大きいマスタロール2の使い始めのときと、ロール径の小さい使い終わりのときとで、マスタ1のバックテンション(張力)のばらつきを供試体数n=10について測定してみた。
本実施形態におけるバックテンション(張力:BT)の測定結果では、最小値BT〜最大値BT=3.234N〜3.920N(330gf〜400gf、その差0.686N(70gf))であった。この結果と、特開2000−43227号公報の図4(b)に示されている測定結果(最小値BT〜最大値BT=2.842N〜4.116N(290gf〜420gf)とを比べてみると、本実施形態におけるバックテンションは、ばらつきの幅および範囲共に従来例よりも小さくなっていて十分な効能のあることが分かった。
【0066】
以上述べたように、本実施形態によれば、従来例と同様の利点を得られると共に、ロールフランジ対4Aa,4Abに設けた逃げ溝4Ajによって、紙管3の内側の各端縁部に発生したバリ3Aとロールフランジ対4Aa,4Abとが接触することがないから、マスタロール2の1つ1つ毎のバックテンションのばらつきを小さく抑えることができることはもとより、同一のマスタロール2の使用開始ないしは使用終了時に至るまでバックテンションのばらつきを小さく抑えることができ、これによりマスタ1の送り量が安定することで画像の寸法再現精度も安定することができた。
また、ロールフランジ対4Aa,4Abが芯管3の内周面と当接するときや、マスタロール2に巻かれたマスタ1の端面2aの位置のばらつきによって、たとえマスタロール2の端面2aとロールフランジ対4Aa,4Abの内側壁とが接触するようになっても、それらの摩擦力(摩擦抵抗)を減少させると共に、耐摩耗性を有する材料でできているので、ロールフランジ対4Aa,4Abの嵌入支持部面4fが芯管3の内周面と接触するときの摩擦力(摩擦抵抗)やマスタロール2の端面2aとロールフランジ対4Aa,4Abの内側壁とが接触するときの摩擦力(摩擦抵抗)が減少して滑りやすくなると共に、嵌入支持部面4fおよび/または芯管3の摩耗が極めて少なくなるので、常に安定したバックテンションを得ることができ、これによりマスタ1の送り量をより一層安定させることで画像の寸法再現精度もより一層安定することができた。
【0067】
図6に、前記実施形態の変形例を示す。この変形例は、前記実施形態におけるマイラーシート10に代えて、紙管3の端面部3aの外径寸法と同じに形成されたマイラーシート10’を各ロールフランジ4Aa,4Abのシート貼着部4gに貼着したことのみ相違する。なお、図6において、ロールフランジ4Aaの逃げ凹部4dの図示は、マスタロール2’の端面2aとの明確化を図るため、端面図的に描いている。
【0068】
この変形例によれば、前記実施形態の利点に加えて、紙管3の端面部3aからマスタ1の側端がはみ出して巻かれているマスタロール2’であっても、そのはみ出した部分のマスタロール2’の端面2aにロールフランジ対4Aa,4Abのマイラーシート10’の外周縁が接触するようなことがなくなるので、マスタロール2’の端面2a部分の折れを発生しにくくすることができる。なお、マイラーシート10’の外径は、紙管3の外径の寸法精度のばらつきを考慮して紙管3の外径よりもやや小さく形成されていてもよい。
【0069】
図1ないし図5に示した実施形態や図6に示した変形例程の利点を望まなくてもよいのであれば、図1ないし図5に示した実施形態や図6に示した変形例のロールフランジ対4Aa,4Abの材料を従来例と同様にすると共に、ロールフランジ対4Aa,4Abからマイラーシート10を除去した構成、すなわち、芯管3の内側の両端縁部(バリ3Aの発生部位)に対向する部位に前記両端縁部との接触を避ける逃げとしての逃げ溝4Ajのみを有するロールフランジ対(マスタロール支持手段)であってもよい(請求項1参照)。
【0070】
また、図1ないし図5に示した実施形態や図6に示した変形例程の利点を望まなくてもよいのであれば、図1ないし図5に示した実施形態や図6に示した変形例のロールフランジ対4Aa,4Abからマイラーシート10のみを除去した構成であってもよい(請求項2参照)。この場合、ロールフランジ対4Aa,4Abのシート貼着部4gは、マイラーシート10の厚さ分を考慮して、紙管3の端面部3aに当接するようにすればよい。
【0071】
また、図1ないし図5に示した実施形態や図6に示した変形例程の利点を望まなくてもよいのであれば、図1ないし図5に示した実施形態や図6に示した変形例のロールフランジ対4Aa,4Abの材料のみを従来例と同様にしてもよい(請求項3参照)。
【0072】
なお、本発明の実施形態や変形例等は、上述した実施形態や変形例等に限らず、例えば、特開平9−226088号公報の図22ないし図31に示されていると同様の実施形態例やその変形例等にも適用することができる。つまり、本発明は、マスタが芯管の周りにロール状に巻かれたマスタロールの芯管の端面部に当接し、かつ、芯管内に嵌入してマスタロールを回転可能に支持するマスタロール支持手段を有する製版装置であれば、どのような製版装置やその製版装置を備えた製版印刷装置等にも応用できるものである。
以上述べたとおり、本発明を実施例を含む特定の実施形態等について説明したが、本発明の構成は、上述した実施形態や変形例等に限定されるものではなく、これらを適宜組み合わせて構成してもよく、本発明の範囲内において、その必要性および用途等に応じて種々の実施形態や実施例を構成し得ることは当業者ならば明らかである。
【0073】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、前述したような従来装置の有する諸問題点を解決して新規な製版装置を提供することができる。請求項毎の効果を挙げれば次のとおりである。
請求項1記載の発明によれば、マスタロール支持手段が、芯管の内側の端縁部に対向する部位に端縁部との接触を避けるための逃げを有することにより、芯管の内側の端縁部に発生したバリとマスタロール支持手段とが接触しないので、マスタロール毎(マスタロールの1つ1つ)のバックテンション(張力)のばらつきを小さく抑えることができることはもとより、同一のマスタロールの使用開始ないしは使用終了時に至るまでバックテンションのばらつきを小さく抑えることができ、これによってマスタの送り量が安定することで画像の寸法再現精度を安定することができる。
【0074】
請求項2記載の発明によれば、マスタロール支持手段は、芯管および/またはマスタロールの端面と当接するときの摩擦力を減少させ、かつ、耐摩耗性を有する材料で形成されているので、常に安定したバックテンションを得ることができ、これによってマスタの送り量がより一層安定することで画像の寸法再現精度をより一層安定することができる。
【0075】
請求項3記載の発明によれば、摩擦減少手段を介してマスタロール支持手段と芯管の端面部とが当接するので、請求項1または2記載の発明の効果に加えて、マスタロールと芯管とが回転することに伴う異音を発生することがない。また、マスタロールから引き出されるマスタに付与されるバックテンション(張力)のばらつきをより一層小さく抑えることができ、これによってマスタの送り量がより一層安定することで画像の寸法再現精度をより一層安定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す製版装置におけるマスタ保持ユニット周りの要部の一部断面平面図である。
【図2】図1の要部を拡大して示す一部断面平面図である。
【図3】図1のマスタ保持ユニットのロールフランジ周りを示す斜視図である。
【図4】図1の製版装置およびマスタ保持ユニット周りの要部の平面図である。
【図5】本発明の一実施形態を示す製版装置を備えた孔版印刷装置の要部の一部断面正面図である。
【図6】図1の実施形態の変形例を示す製版装置におけるマスタ保持ユニット周りの要部の一部断面平面図である。
【図7】従来の製版装置におけるマスタ保持ユニット周りの問題点を説明する要部の一部断面平面図である。
【図8】図7の要部を拡大して示す一部断面平面図である。
【符号の説明】
1 マスタ
2,2’ マスタロール
2a マスタロールの端面
3 芯管としての紙管
3a 紙管の端面部
3A 紙管の端面部に発生したバリ
4Aa,4Ab マスタロール支持手段としてのロールフランジ対
4Aj 逃げとしての逃げ溝
4d 逃げ凹部
4f 嵌入支持部面
5 案内部材
6 圧縮バネ
10,10’ 摩擦減少手段としてのマイラーシート
15A 製版装置
16A 製版装置を構成するマスタ保持ユニット
MB マスタ幅方向
T マスタ搬送方向
Claims (3)
- マスタが芯管の周りにロール状に巻かれたマスタロールの該芯管の端面部に当接し、かつ、前記芯管内に嵌入して前記マスタロールを回転可能に支持するマスタロール支持手段を有する製版装置において、
前記マスタロール支持手段は、前記芯管の内側の端縁部に対向する部位に前記端縁部との接触を避けるための逃げを有することを特徴とする製版装置。 - 請求項1記載の製版装置において、
前記マスタロール支持手段は、前記芯管および/または前記マスタロールの端面と当接するときの摩擦力を減少させ、かつ、耐摩耗性を有する材料で形成されていることを特徴とする製版装置。 - 請求項1または2記載の製版装置において、
前記マスタロール支持手段と前記芯管の前記端面部とが当接するときの摩擦力を減少させる摩擦減少手段を前記マスタロール支持手段および/または前記芯管の前記端面部に設けたことを特徴とする製版装置。
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