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JP4522055B2 - 超音波モータの駆動方法および駆動装置 - Google Patents
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JP4522055B2 - 超音波モータの駆動方法および駆動装置 - Google Patents

超音波モータの駆動方法および駆動装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は超音波モータの駆動方法と駆動装置に関し、より具体的には共振型超音波モータの微動制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、図7に示すように、2個の超音波振動子101a・101bと、超音波振動子101a・101bを所定の角度(例えば、90度)で保持する保持部材102と、略V字型の形状を有し、その頂点部で被駆動体であるロータ105と接し、その端部(V字型の開いている方)で超音波振動子101a・101bと接続されたヘッド103と、を備えた共振型の超音波モータ100が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この超音波モータ100では、超音波振動子101a・101bを位相が90度ずれた共振周波数でそれぞれ駆動することにより、ヘッド103の先端部には楕円運動が生ずる。楕円運動するヘッド103を一定の力でロータ105の端面に押し付けると、ヘッド103とロータ105との間に生ずる摩擦力によってロータ105の外周の接線方向への推力が加わるために、ロータ105を回転させることができる(以下これを「共振駆動」という)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−152671号公報(第24〜29段落、第1図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、超音波振動子101a・101bに共振周波数帯域の所定周波数の交流電圧を印加して超音波振動子101a・101bを駆動し、その後に超音波振動子101a・101bの駆動を停止しても、ヘッド103が慣性によって微小に動く。このとき、ヘッド103がロータ105に推力を加えてしまうために、ロータ105を高精度で位置決めする(例えば、ナノメートルオーダーで位置決めする)ことは困難である。
【0006】
これを解決するために、直流電圧による微少変位コントロールが考えられる(以下これを「直流駆動」という)。直流駆動では、ストロークに制限があり、無限に送ることはできない。このため、このような制御を行う場合、直流電圧による変位が共振による高速駆動の位置決め精度より大きいことが必要である。
共振駆動による高速移動後の停止位置から目的位置までの距離が直流による変位より長い場合、直流駆動によって目的位置には到達できず、高精度の位置決めが完結しない。
【0007】
しかしながら、モータを小さくしたい場合など、圧電セラミックス部分の大きさが小さくなった場合、直流駆動による変位が共振駆動による高速駆動の位置決め精度より小さくなくなってしまうため、高精度の位置決めを行うことができないという問題が生じた。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、高精度な位置決めを可能とする超音波モータの駆動方法を提供することを目的とする。また本発明は、高速かつ高精度な位置決めを可能とする超音波モータの駆動方法を提供する。さらに本発明はこのような超音波モータの駆動に用いる駆動装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、圧電素子を備えたランジュバン型の2個の超音波振動子と、前記2個の超音波振動子を所定の角度で保持する保持部材と、略V字型の形状を有し、その頂点部で被駆動体と接し、その端部で前記2個の超音波振動子と接続された接触部材と、を備えた超音波モータの駆動方法において
位置センサによって前記被駆動体が目標位置に対して所定の距離に近づいたことを検出すると、駆動制御装置は共振駆動信号を発生させる第1フィードバック制御装置の動作を停止させ、次に直流電圧信号を発生させる第2フィードバック制御装置の動作開始を指令し、
前記直流電圧信号は信号反転器によって正負の反転処理が行われた後に2つの増幅器の一方に入力される逆電圧と、直接に2つの増幅器の他方に入力される順電圧とに分かれていて、一定の電圧値まで増幅された後に前記2個の超音波振動子の一方が具備する圧電素子に順電圧を印加し、且つ前記2個の超音波振動子の他方が具備する圧電素子に逆電圧を印加することで前記超音波モータを駆動して前記被駆動体を目標位置に位置決めするものであり、
前記2個の超音波振動子の一方が具備する圧電素子にかける直流電圧を変化させることにより、前記接触部材を微小に動かして前記接触部材に接した被駆動体を一方向に動かすことと、
前記被駆動体が目標位置に依然として到達しない場合は、前記2個の超音波振動子が具備する圧電素子に印加する前記直流電圧信号の正負を急激に逆転させることで
前記接触部材の速度を急激に変化させて、前記接触部と、接している被駆動体との間を滑らせる(以下これを「すべり駆動」という)ことを特徴とする超音波モータの駆動方法、が提供される。
【0010】
このような超音波モータの駆動方法によれば、被駆動体を無限に高精度で動かすことができるので、共振駆動による高速駆動の位置決め精度が直流駆動による駆動範囲内より悪い場合でも、高精度に位置決めすることができる。
【0011】
この超音波モータの駆動方法によれば、最初は超音波振動子を共振駆動することによって短時間で被駆動体を目的位置の近傍まで移動させることができ、被駆動体が目的位置の近傍に到達した後に超音波振動子を直流駆動する、より正確に言えば、圧電素子に直流電圧を印加して超音波振動子に静的変位が生じるように超音波振動子を駆動する、ことによって、被駆動体を目的位置に高精度に位置決めすることができる。このとき、高速移動後の停止位置が直流駆動による駆動範囲を超えていた場合、もしくは外乱などによって直流駆動の範囲外に位置がずれた場合に、本発明による直流駆動とすべり駆動を組み合わせた駆動方法によって直流駆動の範囲内まで目的位置に近づくことができ、直流駆動による高精度の位置決めが可能となる。
【0012】
なお、被駆動体が回転体であり、この回転体を所定角度回転させる場合には、最初に超音波振動子を共振駆動することにより回転体を目的角度付近にまで高速で回転させ、その後、直流駆動して回転角度を高精度に位置決めすることができる。このとき、高速移動後の停止位置が直流駆動による駆動範囲を超えていた場合、もしくは外乱などによって直流駆動の範囲外に位置がずれた場合に、本発明による直流駆動とすべり駆動を組み合わせた駆動方法によって直流駆動の範囲内まで目的位置に近づくことができ、直流駆動による高精度の位置決めが可能となる。
【0013】
このような超音波モータの駆動方法においては、超音波振動子を直流駆動して被駆動体を微小に一方向に動かした後には、圧電素子に直流電圧を印加した状態で保持することにより、被駆動体を一定の位置で保持する。この状態で外乱などにより直流電圧による変位の範囲を超えた場合に、本方式を用いて前記範囲内に移動させて、直流電圧による変位の範囲内に戻すことができる。超音波振動子のすべり駆動の方法としては、2個の超音波振動子のうちの一方の圧電素子だけ駆動電圧を急激に変化させる方法と、2個の超音波振動子の一方の圧電素子を順電圧で急激に変位させ、他方の圧電素子を逆電圧で急激に変位させる方法とがある。
【0014】
本発明によれば、このようにして超音波モータを駆動するための駆動装置が提供される。すなわち、圧電素子を備えたランジュバン型の2個の超音波振動子と、前記2個の超音波振動子を所定の角度で保持する保持部材と、略V字型の形状を有し、その頂点部で被駆動体と接し、その端部で前記2個の超音波振動子と接続された接触部材と、を備えた超音波モータの駆動装置において、前記被駆動体の位置を検出する位置センサと、前記超音波振動子を交流電圧で共振駆動することによって前記被駆動体を動かす共振駆動装置と、
前記2個の超音波振動子が具備する圧電素子を直流電圧で駆動して前記接触部材を動かすことにより、前記接触部材に接している前記被駆動体を一方向に動かす直流駆動装置と、前記位置センサの検出信号にしたがって前記共振駆動装置または前記直流駆動装置を駆動させる駆動信号を送る駆動制御装置と、
前記共振駆動装置に具備され、前記駆動制御装置からの前記駆動信号により前記超音波モータを共振駆動させるための交流電圧を発生させ、増幅器に送る第1フィードバック制御装置と、
前記直流駆動装置に具備され、前記前記駆動制御装置からの前記駆動信号により前記超音波モータを直流駆動させるための直流電圧を発生させ、増幅器に送る第2フィードバック制御装置と、
前記直流駆動装置に具備され、直流電圧の正負を逆転する信号反転器と、
2つの増幅器と、
を具備し、
前記位置センサによって前記被駆動体が目標位置に対して所定の距離に近づいたことを検出すると、前記駆動制御装置は前記第1フィードバック制御装置の動作を停止させ、次に前記第2フィードバック制御装置の動作開始を指令し、
直流電圧は前記信号反転器によって正負の反転処理が行われた後に前記2つの増幅器の一方に入力される逆電圧と、直接に前記2つの増幅器の他方に入力される順電圧とに分かれていて、一定の電圧値まで増幅された後に前記2個の超音波振動子の一方が具備する圧電素子に順電圧を印加し、且つ前記2個の超音波振動子の他方が具備する圧電素子に逆電圧を印加することで前記超音波モータを駆動して前記被駆動体を目標位置に位置決めするものであり、
被駆動体の位置が目標位置から、あらかじめ定められた範囲外にある場合、または前記圧電素子に印加される直流電圧が前記圧電素子の許容限界まで達したにもかかわらず目標位置に来ない場合、
前記圧電素子を直流電圧で変位させて前記接触部材を動かすことにより、前記接触部材に接している被駆動体を動かすことと、
前記2個の超音波振動子が具備する圧電素子に印加する直流電圧の正負を急激に逆転させることで
前記接触部材の速度を急激に変化させて、前記接触部と接している被駆動体との間を滑らせることを繰り返すことによって、前記接触部材に接している被駆動体を指示された位置からあらかじめ定められた範囲内に動かすことを特徴とする超音波モータ駆動装置、が提供される。
本発明によれば、位置決め精度を位置検出センサの検出限界(分解能の限界)まで高めることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は超音波モータ10の概略構成を示す説明図である。この超音波モータ10は、先に図7に示した超音波モータ100と同じ構造を有するが、改めてより詳しく超音波モータ10の構造について説明する。
【0016】
超音波モータ10は、ランジュバン型の構造を有する2個の超音波振動子11a・11bと、超音波振動子11a・11bを90度の角度で保持する保持部材12と、被駆動体15に接する略V字型の形状を有するヘッド13とを有している。保持部材12には押圧機構14が取り付けられており、押圧機構14は所定の力でヘッド13を被駆動体15に押しあてている。
【0017】
超音波振動子11a・11bは同じ構造を有する。超音波振動子11aは、両端がネジ切りされたボルト21と、ボルト21のネジ溝に嵌合するネジ穴を有する袋ナット22と、ボルト21を通すことができる2枚のリング状の圧電板23a・23bと、ボルト21を通すことができるリング状の電極板24a〜24cとを有している。超音波振動子11bは、超音波振動子11aと同様に、ボルト21´と、袋ナット22´と、2枚のリング状の圧電板23a´・23b´と、リング状の電極板24a´〜24c´とを有している。圧電板23a・23b・23a´・23b´の表裏面には電極(図示せず)が形成されている。
【0018】
保持部材12にはボルト21を通すための孔部が設けられている。ヘッド13は、被駆動体15に接する当接部13aと、超音波振動子11a・11bと連結される連結部13b・13b´と、当接部13aと連結部13b・13b´とを連結するネック部13c・13c´から構成されており、連結部13b・13b´にはそれぞれボルト21・21´のネジ溝に嵌合するネジ穴が形成されている。なお、圧電板23a・23bは袋ナット22とヘッド13の連結部13bによって所定の力で締め付けられ、これによってランジュバン型の超音波振動子11aが得られることから、ヘッド13の連結部13bは超音波振動子11aの構成要素でもある。同様に、連結部13b´は超音波振動子11bの構成要素でもある。
【0019】
図1に示されるように、圧電板23a・23bが電極板24a〜24cに挟まれるように配置し、これら圧電板23a・23bと電極板24a〜24cおよび保持部材12の孔部にボルト21を通し、ボルト21の端部にそれぞれヘッド13と袋ナット22を取り付ける。これによって圧電板23a・23bは所定の力で締め付けられる。このように、超音波モータ10においては、ヘッド13は被駆動体15に推力を与えるだけでなく、圧電板23a・23bを締め付けてランジュバン型振動子を構成する部材としての役割を担っている。勿論、2個のナットで圧電体23a・23bを締め付けて構成されるランジュバン型振動子を準備し、一方のナットをヘッド13の連結部13bにネジ止めや接着剤による接着や溶接等によって取り付けることによって、超音波モータ10と同等の超音波モータを構成してもよい。
【0020】
圧電板23a・23bには、PZT系等の圧電セラミックスが好適に用いられる。圧電板23a・23bの分極の向きは、圧電板23a・23bの間に挟まれている電極板24bについて対称となっている。また、電極板24a・24cは互いに電気的に接続されている。したがって、電極板24bと電極板24cとの間に電圧を印加すると、圧電板23a・23bには同じ位相で変位(振動)が生ずる。つまり、圧電板23a・23bがその厚み方向に共に伸び、または、共に縮む。
【0021】
通常、ボルト21と袋ナット22と保持部材12は金属製であり、この場合には電極板24a・24cは保持部材12を介して袋ナット22と導通する。このため、保持部材12または超音波振動子11aの袋ナット22を圧電体23a・23bを駆動するための接地電極として用いることができ、このときに超音波振動子11bが具備する圧電板23a´・23b´を駆動するためのアースを同時にとることができる。
【0022】
超音波振動子11aの圧電板23a・23bを伸縮させ、またこれと同時に超音波振動子11bの圧電板23a´・23b´を伸縮させた際には、ヘッド13のネック部13c・13c´が適度にしなって、超音波振動子11a・11bの変位が当接部13aにおいて合成され、これによって当接部13aが変位する。
【0023】
ヘッド13には、耐摩耗性に優れる材料、例えば、ステンレスや超硬合金等の金属材料や、アルミナや窒化ケイ素、炭化ケイ素等のセラミックスが用いられる。ヘッド13が金属製であれば、ヘッド13にボルト21と連結するためのネジ溝を形成することが容易である。ヘッド13が金属製であっても、ヘッド13は電極板24aと導通するために、保持部材12または超音波振動子11a・11bの袋ナット22・22´のいずれかを接地すれば、ヘッド13もまた接地される。なお、ヘッド13を金属材料で作製し、その当接部13aの表面に窒化ケイ素等のコーティングを施すことも好ましい。また、ヘッド13を金属材料で作製し、当接部13aにセラミック部材を配設し、このセラミック部材が実質的に被駆動体15と接するようにしてもよい。
【0024】
押圧機構14としては、例えば、エアーシリンダや油圧シリンダ、スプリングコイル等が用いられる。
【0025】
このような構造を有する超音波モータ10を共振駆動する場合には、超音波振動子11aと超音波振動子11bとを、位相が90度ずれた交流電圧で駆動する。例えば、図1に示されるように、超音波振動子11aの電極板24bにV=V0sin(2πft)(V0;ゼロ−ピーク電圧、f;周波数、t;時間)の交流電圧を印加し、これと同時に超音波振動子11bの電極板24b´にV=V0cos(2πft)の交流電圧を印加する。これによって超音波振動子11a・11bが伸縮し、当接部13aには図1に示すような反時計回りの楕円運動が生じ、被駆動体15は+Xの向きに移動する。
【0026】
逆に超音波振動子11aにV=V0cos(2πft)を印加し、超音波振動子11bにV=V0sin(2πft)の交流電圧を印加すれば、時計回りの楕円運動が生じるために、被駆動体15を−Xの向きに移動させることができる。また、超音波振動子11aにV=V0sin(2πft)を印加し、超音波振動子11bにV=−V0cos(2πft)の交流電圧を印加すれば、時計回りの楕円運動が生じるために、被駆動体15を−Xの向きに移動させることができる。
【0027】
このように超音波モータ10を共振駆動させた場合の被駆動体15の位置決め精度は、超音波振動子11a・11bを駆動する電圧を切っても当接部13aが慣性によって微小に動くために、数十〜数百ナノメートルオーダーが限界である。そこで被駆動体15をより高精度に位置決めするために、超音波モータ10を直流電圧により駆動する。
【0028】
図2は超音波モータ10を直流駆動する形態の一例を示す説明図である。図2に示されるように、超音波振動子11aの圧電板23a・23bに順電圧(分極の向きと電界の向きが同じ場合)を印加すると、圧電縦効果によって圧電板23a・23bが厚み方向に伸びて当接部13aは矢印Aの方向に変位しようとする。このときに、当接部13aが被駆動体15を+Xの向きに推力を加え、被駆動体15は当接部13aと接した状態で+Xの向きに移動する。
【0029】
また、図2に示すように、超音波振動子11aの圧電板23a・23bに順電圧を印加すると同時に、超音波振動子11bの圧電板23a´・23b´に逆電圧(分極の向きと電界の向きが逆の場合)を印加すると、圧電板23a´・23b´が縮むために、当接部13aの変位量が大きくなる。つまり、被駆動体15の移動範囲を広くすることができる。このような超音波振動子11a・11bの直流駆動による当接部13aの駆動制御範囲、つまり当接部13aの変位量は、超音波振動子11a・11bを共振駆動した際の当接部13aの位置決め精度長さよりも長いことが好ましいが、モータの大きさなどにより駆動制御範囲が位置決め精度長さよりみじかいことも考えられる。
また、外乱などによって位置決め位置が駆動制御範囲を超えてしまうことも考えられる。
【0030】
このようなときに圧電板23a・23b、23a´・23b´にかける電圧を急激に変化させて、13aの動く速度を急激に変化させると被駆動体15は追随できず、13aのみ移動し、再度目的位置に向かって直流駆動が可能となる。
【0031】
このように、直流の駆動範囲を超えた場合でも共振駆動を用いることなく直流駆動による位置決めを継続できるため、直流駆動範囲が共振駆動時の位置決め精度以下のモータを使用した場合でも、直流駆動による位置決め精度が確保される。
【0032】
図6は、超音波振動子11aの圧電板23a・23bに順電圧、超音波振動子11bの圧電板23a´・23b´に逆電圧を鋸波状に印加することによって、超音波モータ10を駆動した場合の応答性を示すグラフ、図5はそのときの印加電圧を示すグラフである。図6から、直流駆動とすべり駆動の連続によって約1μm/secで1方向に移動していることが確認された。
【0033】
次に、超音波モータ10を共振駆動と直流駆動とすべり駆動を組み合わせて駆動する方法について説明する。図3は超音波モータ10の駆動装置50を示す説明図である。駆動装置50は、被駆動体15の位置を検出する位置センサ31と、超音波モータ10を共振駆動する共振駆動装置32と、超音波モータ10を直流駆動する直流駆動装置33と、位置センサ31の検出信号にしたがって共振駆動装置32または直流駆動装置33に駆動指令信号を送る駆動制御装置(CPU)34と、を具備している。共振駆動装置32と直流駆動装置33は増幅器35a・35bを共有しており、さらに共振駆動装置32は第1フィードバック制御装置36と位相制御装置37とを有し、直流駆動装置33は第2フィードバック制御装置38と信号反転器39とを有している。
【0034】
位置センサ31としては、レーザを利用した非接触光学式センサシステムが好適に用いられる。例えば、被駆動体15には被駆動体15の位置を示すためのマーキング(図示せず)が施されており、位置センサ31は反射光パターンから被駆動体15の位置を検出する。
【0035】
第1フィードバック制御装置36は、駆動制御装置(CPU)34から超音波モータ10を共振駆動させる指令信号を受信すると、超音波モータ10を共振駆動させるための共振駆動信号を発生させ、それを増幅器35a・35bに送る。また第1フィードバック制御装置36は、位置センサ31の検出信号を受信して、被駆動体15の移動速度を調節する。このため第1フィードバック制御装置36は、共振駆動信号の波形を適宜変形させる(例えば、ゼロ−ピーク電圧値を変化させる)ことができるようになっている。
【0036】
第1フィードバック制御装置36から増幅器35a・35bへは同一波形の共振駆動信号が出力される。このため一方の増幅器、つまり増幅器35aに送られる共振駆動信号は増幅器35aに入力される前に位相制御装置37によって位相を90度ずらされる。例えば、第1フィードバック制御装置36から出力される共振駆動信号がV=V0sin(2πft)である場合には、増幅器35bにはこのV=V0sin(2πft)の共振駆動信号が入力されるが、増幅器35aには位相制御装置37によって位相制御されたV=V0cos(2πft)またはV=−V0cos(2πft)の共振駆動信号が入力される。
【0037】
なお、第1フィードバック制御装置36から出力される共振駆動信号はV=V0cos(2πft)であってもよい。この場合には、位相制御装置37からは、V=V0sin(2πft)またはV=−V0sin(2πft)の共振駆動信号が出力される。
【0038】
第2フィードバック制御装置38は、駆動制御装置(CPU)34から超音波モータ10を直流駆動させる指令信号を受け取ると、超音波モータ10を直流駆動させるための直流電圧信号を発生させ、それを増幅器35a・35bに送る。また第2フィードバック制御装置38は、位置センサ31からの信号を受信して、直流電圧信号の電圧値を適宜調整して増幅器35a・35bに送ることができるようになっている。
【0039】
第2フィードバック制御装置38から増幅器35a・35bへは同じ直流電圧信号が出力される。このため増幅器35aに送られる直流電圧信号は増幅器35aに入力される前に信号反転器39によって正負を逆転される。これにより、例えば、超音波振動子11aの圧電板23a・23bに順電圧を印加した際に、超音波振動子11bの圧電板23a´・23b´に逆電圧を印加することができる。
【0040】
図4は駆動装置50を用いて、被駆動体15を、被駆動体15のK点が位置S1にある状態から目的位置S2に位置する状態となるように、移動させる場合の制御範囲を示す説明図であり、図4(a)はその全体図を、図4(b)は図4(a)中の点線枠を中心とした拡大図である。
【0041】
初期状態では、位置センサ31はK点が位置S1にある(被駆動体15は2点鎖線で示す位置にある)ことを示す検出信号を駆動制御装置(CPU)34に送っている。なお、被駆動体15は、被駆動体15が移動した際にK点が目的位置S2等にあることを位置センサ31が検出できるように、マーキングされている。この状態から、例えばオペレータによって、K点を目的位置S2へ移動させることを指示する信号が駆動制御装置(CPU)34に入力される。駆動制御装置(CPU)34は、位置センサ31から受信した位置検出信号から、共振駆動装置32または直流駆動装置33のどちらを駆動させるかを判断する。
【0042】
超音波モータ10の直流駆動による被駆動体15の移動可能距離をLとすると、直流駆動装置33による位置決めが可能な範囲は、図4(b)に示されるように、目的位置S2から距離Lだけ離れた位置S5と位置S6の間となる。ここで、位置S1はこの位置S5〜位置S6の間から外れているものとする。そのため、駆動制御装置(CPU)34は共振駆動装置32に動作指令信号を送り、共振駆動装置32が被駆動体15の駆動を開始する。
【0043】
超音波モータ10は、常にK点を目的位置S2に位置するように被駆動体15を位置決めする駆動精度は有していない。そこでK点が位置S5〜位置S6の間(好ましくは位置S3〜位置S4の間)に入るように、被駆動体15を移動させる。なお、「K点が目的位置S2に位置する」とは、位置センサ31による被駆動体15の位置検出の結果、K点が目的位置S2にあると判断される状態をいい、その精度はセンサによって異なるが例えばレーザー測長器を使用した場合±0.7nm以下の範囲である。
【0044】
具体的には、共振駆動装置32が具備する第1フィードバック制御装置36は、共振駆動信号(例えば、V=V0sin(2πft))を発生させて増幅器35a・35bに送る。前述したように、増幅器35aには位相制御装置37によって位相が90度ずれた共振駆動信号(V=V0cos(2πft))が入力される。増幅器35a・35bは入力された共振駆動信号の電圧増幅を行い、この電圧増幅された信号が超音波振動子11a・11bにそれぞれ入力される。これにより超音波モータ10が共振駆動され、被駆動体15が移動を開始する。
【0045】
被駆動体15を目的位置S2から所定距離離れた位置S7まで高速で移動させるために、第1フィードバック制御装置36から出力される共振駆動信号のゼロ−ピーク電圧値と周波数が定められる。なお、増幅器35a・35bにおける共振駆動信号の増幅率は速度一定となるようにコントロールされる。
【0046】
被駆動体15の位置は位置センサ31によって検出され、その検出信号は駆動制御装置(CPU)34と第1フィードバック制御装置36に送られる。駆動制御装置(CPU)34は、K点が位置S5と位置S6の間(より好ましくは位置S3と位置S4の間)に入ったという検出信号を位置センサ31から受信するまで共振駆動装置32に動作指令信号を送る。これに対し、第1フィードバック制御装置36は、K点が位置S7を超えて目的位置S2側に入ったという検出信号を位置センサ31から受信した場合には、被駆動体15の移動速度を減速させて、K点が位置S5と位置S6の間入りやすくする。
【0047】
被駆動体15の移動速度を下げる方法としては、共振駆動信号のゼロ−ピーク電圧値を下げ、または、周波数を共振周波数およびその近傍において変える方法が挙げられる。ここで、「共振周波数およびその近傍」とは超音波モータ10が実質的に共振駆動する周波数を指す。第1フィードバック制御装置36は、被駆動体15の移動速度を減速させた後に、位置センサ31からK点が位置S5と位置S6の間に入ったという検出信号を受信するまで、共振駆動信号を増幅器35a・35bに出力する。
【0048】
K点が位置S5と位置S6の間に入ったら、駆動制御装置(CPU)34は、第1フィードバック制御装置36の動作を停止させ、次に第2フィードバック制御装置38の動作開始を指令する。直流駆動装置33による被駆動体15の駆動では、第2フィードバック制御装置38が、位置センサ31から検出信号を受けながら、直流電圧信号を増幅器35a・35bに送る。前述したように、増幅器35aに向けて送られる直流電圧信号は、増幅器35aに入力される前に信号反転器39によって正負の反転処理が行われる。増幅器35a・35bでは直流電圧信号が一定の電圧値まで増幅され、超音波振動子11aの圧電板23a・23bと超音波振動子11bの圧電板23a´・23b´に印加される。これにより、当接部13aを微小に動かして、位置センサ31の検出精度限界まで、K点を目的位置S2に位置決めする。
【0049】
ここで、K点がS5とS6の範囲を超えた場合、または、超音波振動子11aの圧電板23a・23bと超音波振動子11bの圧電板23a´・23b´に印加される電圧が素子の許容限界まで達したにもかかわらずS2の位置に来ない場合、直流信号の電圧の正負を逆転する。こうしてすべり駆動を起こさせてK点をずらし、直流駆動を再開する。
【0050】
被駆動体15の位置決めが終了しても、超音波振動子11aの圧電板23a・23bと超音波振動子11bの圧電板23a´・23b´には、K点が常に目的位置S2にあるように、第2フィードバック制御装置38は位置センサ31からの検出信号を受信しながら、超音波振動子11aの圧電板23a・23bと超音波振動子11bの圧電板23a´・23b´に印加される直流電圧信号の電圧値を適宜変化させる。被駆動体15が目的位置S2にある状態で、例えば被駆動体15に取り付けられた図示しない被加工体に所定の加工が施されたら、K点をさらに別の位置に、上述したようにK点を位置S1から目的位置S2へ移動させた方法と同じ方法で、移動させる。
【0051】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。例えば、上記説明においては、被駆動体15を直線移動させた形態について説明したが、回転自在なロータの外周端面にヘッド13の当接部13aを押しあてて超音波モータ10を駆動すれば、ロータの回転角度を高精度に制御することができる。超音波振動子11a・11bが具備する圧電板の数は、1個でもよく3個以上であってもよい。
【0052】
【発明の効果】
上述の通り、本発明によれば、圧電素子を共振駆動して接触部材(ヘッド)に楕円運動を生じさせることにより短時間で被駆動体を目的位置の近傍まで移動させることができ、その後に、接触部材に慣性を生じさせることなく、被駆動体に力を加えて被駆動体を微小に動かすことができるので、被駆動体を従来よりも高精度に位置決めすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の駆動方法が適用される超音波モータの概略構成を示す平面図(上側)および断面図(下側)。
【図2】超音波モータを直流駆動する形態の一例を示す説明図。
【図3】超音波モータの駆動装置の概略構成を示す説明図。
【図4】被駆動体を所定位置に移動させる場合の制御範囲を示す説明図。
【図5】本発明の駆動方法適用時の印加電圧の一例を示す説明図。
【図6】本発明のすべり駆動の一例を示す説明図。
【図7】従来の超音波モータの一例を示す説明図。
【符号の説明】
10;超音波モータ
11a・11b;超音波振動子
12;保持部材
13;ヘッド
13a;当接部
13b;連結部
13c;ネック部
14;押圧機構
15;被駆動体
21・21´;ボルト
22・22´;袋ナット
23a・23b・23a´・23b´;圧電板
24a〜24c;24a´〜24c´;電極板
31;位置センサ
32;共振駆動装置
33;直流駆動装置
34;駆動制御装置(CPU)
35a・35b;増幅器
36;第1フィードバック制御装置
37;位相制御装置
38;第2フィードバック制御装置
39;信号反転器
100;超音波モータ
101a・101b;超音波振動子
102;保持部材
103;ヘッド
105;ロータ

Claims (3)

  1. 圧電素子を備えたランジュバン型の2個の超音波振動子と、前記2個の超音波振動子を所定の角度で保持する保持部材と、略V字型の形状を有し、その頂点部で被駆動体と接し、その端部で前記2個の超音波振動子と接続された接触部材と、を備えた超音波モータの駆動方法において
    位置センサによって前記被駆動体が目標位置に対して所定の距離に近づいたことを検出すると、駆動制御装置は共振駆動信号を発生させる第1フィードバック制御装置の動作を停止させ、次に直流電圧信号を発生させる第2フィードバック制御装置の動作開始を指令し、
    前記直流電圧信号は信号反転器によって正負の反転処理が行われた後に2つの増幅器の一方に入力される逆電圧と、直接に2つの増幅器の他方に入力される順電圧とに分かれていて、一定の電圧値まで増幅された後に前記2個の超音波振動子の一方が具備する圧電素子に順電圧を印加し、且つ前記2個の超音波振動子の他方が具備する圧電素子に逆電圧を印加することで前記超音波モータを駆動して前記被駆動体を目標位置に位置決めするものであり、
    前記2個の超音波振動子の一方が具備する圧電素子にかける直流電圧を変化させることにより、前記接触部材を微小に動かして前記接触部材に接した被駆動体を一方向に動かすことと、
    前記被駆動体が目標位置に依然として到達しない場合は、前記2個の超音波振動子が具備する圧電素子に印加する前記直流電圧信号の正負を急激に逆転させることで
    前記接触部材の速度を急激に変化させて、前記接触部と、接している被駆動体との間を滑らせることを特徴とする超音波モータの駆動方法。
  2. 圧電素子を備えたランジュバン型の2個の超音波振動子と、前記2個の超音波振動子を所定の角度で保持する保持部材と、略V字型の形状を有し、その頂点部で被駆動体と接し、その端部で前記2個の超音波振動子と接続された接触部材と、を備えた超音波モータの駆動方法であって、
    前記被駆動体が目標位置に対して所定の距離に近づいたことを検出し、
    前記2個の超音波振動子の一方が具備する圧電素子を順電圧で変位させ、他方が具備する圧電素子を逆電圧で変位させることにより、前記接触部材を動かして前記接触部材に接した被駆動体を一方向に動かすことを行い、
    前記被駆動体が目標位置に依然として到達しない場合は、
    前記2個の超音波振動子の一方が具備する圧電素子に印加する直流の順電圧、且つ他方の超音波振動子が具備する圧電素子に印加する直流の逆電圧の正負を急激に逆転させることで
    前記接触部材の速度を急激に変化させて、前記接触部と、接している被駆動体との間を滑らせることを特徴とする超音波モータの駆動方法。
  3. 圧電素子を備えたランジュバン型の2個の超音波振動子と、前記2個の超音波振動子を所定の角度で保持する保持部材と、略V字型の形状を有し、その頂点部で被駆動体と接し、その端部で前記2個の超音波振動子と接続された接触部材と、を備えた超音波モータの駆動装置において、前記被駆動体の位置を検出する位置センサと、前記超音波振動子を交流電圧で共振駆動することによって前記被駆動体を動かす共振駆動装置と、
    前記2個の超音波振動子が具備する圧電素子を直流電圧で駆動して前記接触部材を動かすことにより、前記接触部材に接している前記被駆動体を一方向に動かす直流駆動装置と、前記位置センサの検出信号にしたがって前記共振駆動装置または前記直流駆動装置を駆動させる駆動信号を送る駆動制御装置と、
    前記共振駆動装置に具備され、前記駆動制御装置からの前記駆動信号により前記超音波モータを共振駆動させるための交流電圧を発生させ、増幅器に送る第1フィードバック制御装置と、
    前記直流駆動装置に具備され、前記前記駆動制御装置からの前記駆動信号により前記超音波モータを直流駆動させるための直流電圧を発生させ、増幅器に送る第2フィードバック制御装置と、
    前記直流駆動装置に具備され、直流電圧の正負を逆転する信号反転器と、
    2つの増幅器と、
    を具備し、
    前記位置センサによって前記被駆動体が目標位置に対して所定の距離に近づいたことを検出すると、前記駆動制御装置は前記第1フィードバック制御装置の動作を停止させ、次に前記第2フィードバック制御装置の動作開始を指令し、
    直流電圧は前記信号反転器によって正負の反転処理が行われた後に前記2つの増幅器の一方に入力される逆電圧と、直接に前記2つの増幅器の他方に入力される順電圧とに分かれていて、一定の電圧値まで増幅された後に前記2個の超音波振動子の一方が具備する圧電素子に順電圧を印加し、且つ前記2個の超音波振動子の他方が具備する圧電素子に逆電圧を印加することで前記超音波モータを駆動して前記被駆動体を目標位置に位置決めするものであり、
    被駆動体の位置が目標位置から、あらかじめ定められた範囲外にある場合、または前記圧電素子に印加される直流電圧が前記圧電素子の許容限界まで達したにもかかわらず目標位置に来ない場合、
    前記圧電素子を直流電圧で変位させて前記接触部材を動かすことにより、前記接触部材に接している被駆動体を動かすことと、
    前記2個の超音波振動子が具備する圧電素子に印加する直流電圧の正負を急激に逆転させることで
    前記接触部材の速度を急激に変化させて、前記接触部と接している被駆動体との間を滑らせることを繰り返すことによって、前記接触部材に接している被駆動体を指示された位置からあらかじめ定められた範囲内に動かすことを特徴とする超音波モータ駆動装置。
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