JP4523243B2 - 電波吸収パネル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電波吸収パネルに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、高速道路交通システムの一分野である有料道路の自動料金収受(ETC)システムが全国的に採用されている。このETCシステムによれば、料金所での自動車のノンストップによる渋滞解消、キャッシュレス化への対応、料金所での無人化等を図ることが可能となる。
【0003】
このETCシステムは、料金所のアーチ状のゲート(ガントリー)の上辺に設置した路側アンテナから道路に向けて電波を発信し、この道路を走行通過する自動車の車載器と上記路側アンテナとの間で双方向通信を行うものである。その際、路側アンテナから直接的に車載器へ電波が到達するのみであれば、問題は生じないのであるが、上記路側アンテナから発信された電波が一旦道路面等で反射し、さらに料金所の天井面や料金所付近の構造物(高架道路の桁裏等)で再反射すると、再び上記車載器へ電波が到達し、一度の通過にかかわらず、二度の料金徴収を行う等の誤操作のおそれがあった。
そこで、上記料金所及びその近傍において電波の反射を低減乃至無くするための電波吸収パネルを取り付ける必要がある。
【0004】
また、従来より知られている電波吸収特性を備える電波吸収シートとしては、以下のようなものがある。(1) 高分子材料(塩素化ポリエチレン、EVA、ポリエチレン等の樹脂材料、シリコンゴム、エチレンプロピレンゴム等のゴム材料)に、磁性粉末(フェライト粉末、カルボニル還元鉄粉等)や導電性カーボンを配合した組成物を圧延やプレス成形によりシート状にしたもの(例えば、特許文献1、特許文献2参照)や、(2) 火山噴出物や炭酸カルシウム等の無機材料に、フェライトや導電性カーボンを配合した組成物を型枠にてシート状に成形したもの(例えば、特許文献3、特許文献4参照)や、(3) 高分子材料に磁性粉体を配合した組成物で、電波入射面に凹凸を設け、対応周波数を高周波数域「GHz帯域」での電波吸収特性を有するように加工したもの(例えば、特許文献5、特許文献6参
照)がある。
【0005】
そして、これらシート状の電波吸収シートが近年多く使用されるようになり、屋外においても使用される機会が増えてきた。シート状の電波吸収シートは、可撓性があり、曲面部における施工に適しており、施工場所によってはスペースが取れない場所においても、その薄さを活かして施工ができるという利点がある。
また、電波吸収シートの裏面には、電波反射層が接着剤等により積層状に接着されている。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−151177号公報
【特許文献2】
特開2000−151183号公報
【特許文献3】
特開2001−326491号公報
【特許文献4】
特開平11−349720号公報
【特許文献5】
特開平7−106785号公報
【特許文献6】
特開2001−339190号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、シート状の電波吸収シートを、エキスパンドメタル面や、取付面の形状が複雑な部位に施工するのは難しく、また、屋外において電波吸収シートが露出するため、電波吸収シートと反射層との間に雨水等が浸入して接着界面の強度が低下し、相互が剥がれ、電波吸収特性を低下させるおそれがある。
【0008】
そこで本発明は、電波吸収シートの薄さをそのまま活かせ、また、電波吸収シートが薄くて直接設けることができない場所においても簡単に設置が可能となり、さらに、耐環境性に優れた電波吸収パネルを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明に係る電波吸収パネルは、表て面が下方向きであって露出状の電波入射面となる電波吸収シートと該電波吸収シートの裏面に積層状に接着した反射層とからなるシート状電波吸収体と、該シート状電波吸収体の裏面が接着される底壁部と該シート状電波吸収体の周端縁を囲う周囲壁部とを有する倒立浅皿状の筐体と、を具備する電波吸収パネルであって、上記筐体の深さ寸法Dと、上記シート状電波吸収体の厚さ寸法Tを、D>Tに設定したものである。
また、表て面が下方向きであって露出状の電波入射面となる電波吸収シートと、該電波吸収シートの裏面が接着される底壁部と該電波吸収シートの周端縁を囲う周囲壁部とを有する倒立浅皿状の金属製筐体と、を具備する電波吸収パネルであって、上記筐体の深さ寸法Dと、上記電波吸収シートの厚さ寸法tを、D>tに設定している。
【0010】
また、上記筐体の裏面に補強部材を設けたものである。また、上記電波吸収シートの上記表て面を凹凸形状としてもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図示の実施の形態に基づき、本発明を詳説する。
【0012】
図1と図2は、本発明に係る電波吸収パネルPの実施の一形態を示す斜視図であり、図1は電波吸収パネルPを表て面側から見た図であり、図2は裏面側から見た図である。
本発明では、表て面とは電波(電磁波)が入射する面側を言い、裏面がその反対側の面であり取付面となる側である。従って、図5の設置状態にある電波吸収パネルPの断面図に示すように、矢印Aを(道路等にて反射した)電波の進行方向とし、電波吸収パネルPが天井面である取付部9に設置されると、電波吸収パネルPの表て面が下方向きとなり、裏面が上方向きとなる。
【0013】
図3は、本発明の電波吸収パネルPの断面図であり、この電波吸収パネルPは、シート状電波吸収体1と、そのシート状電波吸収体1を収容する浅皿状の筐体4と、を具備する。そして、シート状電波吸収体1は、表て面2aが電波入射面側となる電波吸収シート2と、電波吸収シート2の裏面2bに積層状に設けた反射層3とからなる。
【0014】
電波吸収シート2は電磁波吸収シートとも呼ばれ、従来より知られるものが適用できるが、具体的に説明すると、電波吸収シート2は、例えば、バインダー(樹脂やゴム等の高分子材料)に電波損失剤(導電性カーボン、磁性粉体)を配合し、混練して得られた組成物をプレス加工やロール圧延加工等によって引き延ばし、厚さが 1mm〜10mm程度のシート状に成形したものがある。
【0015】
バインダーは、樹脂材料やゴム材料が使用でき、樹脂材料としては、塩素化ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリエチレン等が好ましく、電波吸収特性を向上させることができる。また、ゴム材料としては、シリコンゴム、エチレンプロピレンゴム等が好ましく、電波損失剤を多量に配合でき電波吸収特性を向上させることができる。
電波損失剤として使用する磁性粉体は、フェライト粉末や、カルボニル還元鉄粉等としている。
【0016】
配合割合について説明すると、例えば、バインダー 100重量部に対して、(バインダー及び電波吸収剤の種類によって多少異なるが)電波損失剤の配合は10重量部〜1000重量部とすればよい。下限値未満であると、十分な電波吸収特性を得ることが困難となり、上限値を超えると、シート状に加工することが困難となる傾向にある。
【0017】
また、電波吸収シート2の他の具体的な例としては、火山噴出物(シラス)や炭酸カルシウム等の無機材料に、フェライト粉末、カルボニル還元鉄粉や導電性カーボンを配合した組成物を型枠にて薄いシート状に成形したものがある。
なお、これら電波吸収シート2には、電波吸収特性に影響しない範囲で、充填剤、可塑剤、着色剤等を適宜配合してもよい。
【0018】
このようにして得られた電波吸収シート2と積層状に設けられる反射層(電波反射層)3は、電波吸収シート2の電波入射面(表て面2a)と反対側の面(裏面2b)に設けられ、反射層3は、導電材料とされ、例えば、金属板、金属シート、金属箔や、電波吸収シート2の裏面2bに塗布された導電塗料としている。
反射層3は、入射してきた電波を反射して、続いて新たに入射してきた電波を相殺するために設けられるものであり、導電性を有し、電波吸収シート2の終端インピーダンスが0(ゼロ)となるものであれば特に制限はなく使用できる。
【0019】
反射層3の具体的材質としては、アルミニウム、銅、鉄等の金属箔が好ましく、特にアルミニウム箔が良い。このような反射層3は、優れた電波吸収特性をシート状電波吸収体1に供えさせるために、電波吸収シート2と反射層3とを隙間無く隣接させて積層状に配置するのが好ましい。
また、電波吸収シート2と反射層3との接着は、熱圧着による手段や接着剤を用いる手段等がある。
【0020】
次に、筐体4について説明すると、図1と図2と図3に示すように、筐体4は、シート状電波吸収体1の裏面1bを覆う底壁部5と、シート状電波吸収体1の周端縁6の全周を囲う周囲壁部7とを有し、浅皿状としている。
筐体4は、広面積の底壁部5の周縁に直角に立設状となる周囲壁部7が形成されるため、周囲壁部7が補強リブとして作用するため、電波吸収パネルPの剛性を高めることができる。
【0021】
そして、シート状電波吸収体1と筐体4とは、接着剤を用いて相互を接着してもよく、又は、小ネジ(ドリリングネジ)やビス等の連結部材により接続を行ってもよく、又は、接着剤にて接着を行うと共に連結部材による接続を行うことで、一体のパネル状(パネル体)とされている。接着剤による接着の場合は、シート状電波吸収体1の裏面1bの全面に渡って、接着界面が形成されるよう接着剤を塗布するのが好ましく、連結部材にて固定する場合は、シート状電波吸収体1の複数箇所に貫通孔を設け、連結部材を挿通状として全体に弛みが生じないよう固定すればよい。
【0022】
筐体4は、金属製や、樹脂製等とすることができ、金属製の場合は、薄板の側縁を折り曲げて周囲壁部7を形成すればよく、例えば、矩形の金属板の四辺をシート状電波吸収体1の厚さ寸法T以上の寸法で折り曲げて、一方が開口する浅い箱状の皿形容器とすればよい。具体的な材質としては、鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金等がある。
また、筐体4を樹脂製とする場合は、金型により成形すればよく、例えば射出成形により、一工程にて底壁部5及び周囲壁部7とを同時に作製できる。材質としては、ポリカーボネイト樹脂やアクリル樹脂が好ましく、特には、これら樹脂と無機繊維との複合材であるFRP製が好ましい。
【0023】
また、筐体4を金属製とした場合、筐体4自身が上記説明した作用を有する反射層3の役割を有するので、図6の他の実施の形態を表す断面図に示すように、(図3の反射層3を省略して)金属製の筐体4に直接電波吸収シート2を設けてもよい。この場合、筐体4と電波吸収シート2とは、図3の場合と同様に、接着剤及び/又は連結部材による接続にて、一体のパネル状にすればよい。
【0024】
即ち、図6に示すように、電波吸収パネルPは、表て面2aが電波入射面側となる電波吸収シート2と、電波吸収シート2の裏面2bを覆う底壁部5と電波吸収シート2の周端縁11を囲う周囲壁部7とを有する浅皿状の金属製筐体4と、を具備する。
【0025】
なお、筐体4(電波吸収パネルP)の形状は、平面視矩形状以外にも切欠部を有するものとしてもよく、さらには、平盤状のパネル体とする以外にも、例えば、電波入射面(シート状電波吸収体1の表て面1a)が複数段状となる段付き構造や、全体乃至一部が曲面状となる曲面構造としてもよく、シート状電波吸収体1(電波吸収シート2)に可撓性が有ると、このような構成も自在である。
【0026】
さらに、図1及び図2に示すように、筐体4の裏面4bに補強部材8を設けてもよい。補強部材8としては、型鋼(溝型鋼、アングル材、ダクター等)、角パイプ、軸部材等の長尺補強梁部材があり、1本又は複数本設けており、図2では、2本を平行にパネルPの長手方向に沿って配設している。又は図示省略するが、井桁状に配設してもよい。
【0027】
図4は、本発明の電波吸収パネルPの他の実施例を示す断面図であり、このパネルPが備えるシート状電波吸収体1では、電波吸収シート2の表て面2aを凹凸形状としている。図4では、断面三角凹凸形状としているが、これに限らず、図示省略するが、断面四角形の凹凸形状とし、凹部が複数のスリットを形成するような形状としてもよい。なお、図示省略するが、図6に示した電波吸収パネルPの電波吸収シート2の表て面2aを凹凸形状としてもよい。
【0028】
また、図3及び図4の実施の形態において、筐体4の深さ寸法Dを、シート状電波吸収体1の厚さ寸法Tより大きく設定している(D>T)。また、図6の実施の形態において、筐体4の深さ寸法Dを、電波吸収シート2の厚さ寸法tより大きく設定している(D>t)。つまり、電波吸収シート2の表て面2aは、筐体4の周囲壁部7の端面10より突出せず、表て面2aは、周囲壁部7の端面10より内方へ控えた状態となる。具体的には、深さ寸法Dは、厚さ寸法T(t)の 1.1倍〜10倍の寸法であることが、電波吸収特性の点、及び、耐候性、雨水の水切りの点からみて好ましい。
【0029】
以上説明した電波吸収パネルPは、図5に示す設置状態にある電波吸収パネルPの断面図のように、有料道路の料金所の天井や料金所近傍の高架道路の桁裏等の取付部9に布設される形態が、最も適した使用形態であり、電波吸収パネルPは、図示省略のボルトナット等の連結用部材等を用いて取付部9に、電波吸収シート2の表て面2aが下方向き(下面)となるよう固定される。
【0030】
【発明の効果】
本発明は上述の構成により次のような効果を奏する。
【0031】
(請求項1によれば)厚さの薄い電波吸収パネルPを構成することができ、電波吸収シート2のみでは直接設けることができない箇所や、スペースの小さい隙間においても、パネル化することによりシート状電波吸収体1を簡単に配設することが可能となる。
電波吸収シート2と反射層3との接合面が筐体4内に収容状態となるため、パネルPが屋外に設置され、風雨にさらされても、その接合面に雨水が入ることがなく、接合面の強度低下のおそれがない。つまり、周囲壁部7が水切りとなり、接合面から水が浸入することを防ぎ、電波吸収シート2と反射層3とが剥がれるのを防止でき、耐環境性が求められる場所において設置が可能となる。
また、シート状電波吸収体1の裏面1bの広面において接着剤による接着を行うことで、全体がしっかり弛みがないよう筐体4の底壁部5にシート状電波吸収体1を固定できる。
また、シート状電波吸収体1の側周面への水の浸入を防止でき、また、直射日光が当たらず、耐環境性の優れたものとできる。
【0032】
(請求項2によれば)厚さの薄い電波吸収パネルPを構成することができ、電波吸収シート2のみでは直接設けることができない箇所や、スペースの小さい隙間においても、パネル化することにより、簡単に配設することが可能となる。
電波吸収シート2が筐体4内に収容状態となるため、パネルPが屋外に設置され、風雨にさらされても、雨水が入ることがない。つまり、周囲壁部7が水切りとなり、耐環境性が求められる場所において設置が可能となる。
金属製の筐体4が電波に対する反射層としての機能を有するため、構成を簡素化でき、コストダウンが可能となる。
また、電波吸収シート2裏面2bの広面において接着剤による接着を行うことで、全体がしっかり弛みがないよう金属製の筐体4の底壁部5に電波吸収シート2を固定できる。
また、電波吸収シート2の側周面への水の浸入を防止でき、また、直射日光が当たらず、耐環境性の優れたものとできる。
【0033】
(請求項3によれば)電波吸収パネルPが薄くて広面積であっても、パネルPの剛性を高めることができ、施工に際し扱いやすく、また、設置後も安定し強固なものとできる。
(請求項4によれば)吸収する電波の周波数が高周波数域「GHz帯域」に対応できる電波吸収特性を供えさせることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る電波吸収パネルの実施の一形態を示す表て面側からの斜視図である。
【図2】 裏面側からの電波吸収パネルの斜視図である。
【図3】 電波吸収パネルの断面図である。
【図4】 電波吸収パネルの他の実施例を示す断面図である。
【図5】 設置状態にある電波吸収パネルの断面図である。
【図6】 電波吸収パネルの他の実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 シート状電波吸収体
1b 裏面
2 電波吸収シート
2a 表て面
2b 裏面
3 反射層
4 筐体
4b 裏面
5 底壁部
6 周端縁
7 周囲壁部
8 補強部材
11 周端縁
D 深さ寸法
T 厚さ寸法
t 厚さ寸法
Claims (4)
- 表て面(2a)が下方向きであって露出状の電波入射面となる電波吸収シート(2)と該電波吸収シート(2)の裏面(2b)に積層状に接着した反射層(3)とからなるシート状電波吸収体(1)と、該シート状電波吸収体(1)の裏面(1b)が接着される底壁部(5)と該シート状電波吸収体(1)の周端縁(6)を囲う周囲壁部(7)とを有する倒立浅皿状の筐体(4)と、を具備する電波吸収パネルであって、上記筐体(4)の深さ寸法(D)と、上記シート状電波吸収体(1)の厚さ寸法(T)を、D>Tに設定したことを特徴とする電波吸収パネル。
- 表て面(2a)が下方向きであって露出状の電波入射面となる電波吸収シート(2)と、該電波吸収シート(2)の裏面(2b)が接着される底壁部(5)と該電波吸収シート(2)の周端縁(11)を囲う周囲壁部(7)とを有する倒立浅皿状の金属製筐体(4)と、を具備する電波吸収パネルであって、上記筐体(4)の深さ寸法(D)と、上記電波吸収シート(2)の厚さ寸法(t)を、D>tに設定したことを特徴とする電波吸収パネル。
- 上記筐体(4)の裏面(4b)に補強部材(8)を設けた請求項1又は2記載の電波吸収パネル。
- 上記電波吸収シート(2)の上記表て面(2a)を凹凸形状とした請求項1,2又は3記載の電波吸収パネル。
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