JP4525887B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、走行性能や耐久性能が優れていると共に、ドロップアウトが可及的に少なく、しかも、光透過率が小さい磁気記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ビデオ用、オーディオ用磁気記録再生用機器の長時間記録化、小型軽量化が進むにつれて、磁気テープ等の磁気記録媒体に対する高性能化、即ち、高密度記録化、高出力特性、殊に周波数特性の向上、低ノイズ化の要求が益々強まっている。
【0003】
殊に、ビデオテープの高画像高画質化に対する要求は益々強まっており、従来のビデオテープに比べ、記録されるキャリアー信号の周波数が益々高くなっている。即ち、短波長領域に移行しており、その結果、磁気テープの表面からの磁化深度が著しく浅くなっている。
【0004】
短波長信号に対して、磁気記録媒体の高出力特性、殊に、S/N比を向上させるためには、例えば、株式会社総合技術センター発行「磁性材料の開発と磁粉の高分散化技術」(1982年)第312頁の「‥‥塗布型テープにおける高密度記録のための条件は、短波長信号に対して、低ノイズで高出力特性を保持できることであるが、その為には保磁力Hcと残留磁化Brが‥‥共に大きいことと塗布膜の厚みがより薄いことが必要である。‥‥」なる記載の通り、磁気記録層の薄層化が強く要求されている。
【0005】
磁気記録層の薄層化と共に、小型化や長時間記録化等の点からベースフィルム等の非磁性支持体もまた磁気記録層と同様に薄層化が進み、その結果、磁気記録媒体の長手方向及び幅方向の両方向へのスティフネスが小さくなり、磁気記録媒体の走行性能や耐久性能が問題となってきている。この事実は、例えば、前出「磁性材料の開発と磁粉の高分散化技術」第77頁の「‥‥高密度記録化が今の磁気テープに課せられた大きなテーマであるが、このことは、テープの長さを短くしてカセットを小型化していく上でも、また長時間記録に対しても重要となってくる。このためにはフィルムベースの厚さを減らすことが必要な訳である。‥‥このように薄くなるにつれてテープのスティフネスが急激に減少してしまうためレコーダーでのスムーズな走行がむずかしくなる。ビデオテープの薄型化にともない長手方向、幅方向両方向に渡ってのこのスティフネスの向上が大いに望まれている。‥‥」なる記載の通りである。
【0006】
即ち、磁気記録媒体のスティフネスは、テープ走行時の位置規制を行うテープガイドポストに対してテープが離脱して走行しようとする場合の抑制力や走行時に一定のテンションが加わっているテープと磁気記録再生用磁気ヘッドとのギャップ長さを一定とし、安定性を維持するための制御力と密接に関係しており、磁気記録媒体のスティフネスが小さくなると上記抑制力や制御力が弱まり、その結果、テープは走行中に削れやシワが生じたり、ひどい場合には折れたり、破損したりする。
【0007】
そこで、磁気記録媒体の走行性能や耐久性能の向上が強く要求されている。
【0008】
磁気記録媒体のこれら諸特性を改良するために、非磁性支持体の一方の面に形成された磁気記録層に対して非磁性支持体の他方の面に板状非磁性粒子粉末及び結合剤樹脂を含むバックコート層を形成することが行われており、実用化されている。
【0009】
しかし、バックコート層が形成されている磁気記録媒体は、走行時にバックコート層がカセットハーフ内のガイド等と接触することにより、バックコート層が削れるため、この削れに起因して磁気記録のドロップアウトの回数が増加することとなる。そこで、走行時におけるバックコート層の削れを極力抑制してドロップアウトが可及的に少ない磁気記録媒体が強く要求されている。
【0010】
ところで、現在、特にビデオテープ等テープ終端の判定は、磁気記録媒体の光透過率の大きい部分をビデオデッキによって検知することにより行われている。磁気記録媒体の薄層化や磁気記録層中に分散されている磁性粒子粉末の超微粒子化に伴って磁気記録層全体の光透過率が大きくなるとビデオデッキによる検知が困難となるため、磁気記録層にカーボンブラック微粒子粉末等を添加して光透過率を小さくすることが行われている。そのため、現行のビデオテープにおいては磁気記録層へのカーボンブラック微粒子粉末等の添加は必須となっている。
【0011】
しかし、非磁性のカーボンブラック微粒子粉末等を多量に添加することは、高密度記録化を阻害するばかりでなく、薄層化をも阻害する原因となる。磁気テープの表面からの磁化深度を浅くして、磁気テープの薄層化をより進めるためには、磁気記録層に添加するカーボンブラック微粒子粉末等の非磁性粒子粉末をできるだけ少なくすることが強く要求されている。
【0012】
そこで、磁気記録層に添加するカーボンブラック微粒子粉末量を可及的に少なくしても光透過率が小さい磁気記録媒体が強く要求されている。
【0013】
更に、上述した光透過率を小さくする点からだけではなく、磁気記録媒体の表面電気抵抗値を下げる点からも磁気記録層中にカーボンブラック微粒子粉末を添加することが従来から行なわれている。
【0014】
この事実について、以下に説明する。
【0015】
磁気記録媒体の表面電気抵抗値が高い場合には、静電的な帯電量の増加を招来することともあいまって、磁気記録媒体の製造時や使用時に、磁気記録媒体の切断くずや塵埃等が磁気記録媒体表面に付着し、その結果、ドロップアウトが増加するという問題がある。
【0016】
そこで、磁気記録媒体の表面電気抵抗値を108Ω/cm2程度に低下させるために、磁気記録層中に磁性粒子粉末100重量部に対し約5〜20重量部程度のカーボンブラック微粒子粉末等の導電性化合物を添加することが一般的に行なわれている。
【0017】
磁気記録層中に添加するカーボンブラック微粒子粉末の量が多い程、磁気記録媒体の光透過率を小さくし、表面電気抵抗値を低下させる効果が大きいが、一方、磁気記録層中に磁性に関与しないカーボンブラック微粒子粉末が増加すると、上述した通り、磁気記録媒体の高密度記録化を阻害するとともに、磁気記録層の薄層化を阻害する原因となり、また、結合剤樹脂に十分結合していない過剰なカーボンブラック微粒子粉末は、磁気記録媒体から脱離して、ドロップアウトが増加する原因ともなる。
【0018】
更に磁気記録媒体の走行性をより一層改善するために、前述したバックコート層を形成すると共に磁気記録媒体の表面を滑りやすくすることも行われている。
【0019】
即ち、磁気記録媒体の走行性は、一般に磁気記録媒体の上層に形成されている磁気記録層中に通常、磁性粒子粉末に対し0.5〜5重量%程度のミリスチン酸やステアリン酸等の脂肪酸(以下、「ミリスチン酸」とする。)を添加し、該ミリスチン酸が徐々に磁気記録層表面に浸み出す様に調整して磁気記録層表面を滑りやすくすることによって確保されている。
【0020】
磁気記録層表面に浸み出すミリスチン酸の量があまりに少ない場合には、磁気記録媒体の走行性が確保できず、一方、浸み出すミリスチン酸の量が多くなるようにミリスチン酸を磁気記録層中に多量に添加すると磁気記録層中に分散されている磁性粒子粉末の粒子表面にミリスチン酸が優先的に吸着され、磁性粒子粉末と樹脂との吸着が阻害されるため、磁性粒子粉末のビヒクル中における分散が困難となる。更に、非磁性成分であるミリスチン酸の増量による磁気記録媒体の磁気特性の低下、ミリスチン酸が可塑剤として働くことによる磁気記録媒体の強度低下等の問題も生起することとなる。
【0021】
近時、磁気記録層の薄層化に伴って、添加可能なミリスチン酸の絶対量が低減すると共に、高密度記録化に伴って磁性粒子粉末が微粒子化してBET比表面積値が大きくなると、磁性粒子粉末の粒子表面に吸着されるミリスチン酸の量が増加するため、磁気記録層に添加したミリスチン酸のみによって磁気記録層表面への浸み出しを調整し磁気記録層の走行性を確保することは益々困難な状況になっている。
【0022】
そこで、磁気記録層表面に浸み出すミリスチン酸量を良好に調整すると共に、バックコート層の表面に浸み出すミリスチン酸量をも良好に調整して磁気記録媒体の裏面を滑りやすくすることにより、磁気記録媒体の走行性をより一層向上させることが強く要求されている。
【0023】
従来、磁気記録媒体の走行性や耐久性能を改良するために、▲1▼バックコート層中に、板状ヘマタイト粒子粉末と固形潤滑剤として作用するカーボンブラック微粒子粉末を結合剤樹脂に分散させた磁気記録媒体(特公平7−70043号公報、特許第2945696号、特開平4−228108号公報、特開平8−129742号公報、特開平11−273053号公報)や▲2▼バックコート層中に、板状マグネタイト粒子粉末及びカーボンブラック微粒子粉末を結合剤樹脂に分散させた磁気記録媒体(特開平9−198650号公報)等が知られている。
【0024】
また、非磁性粒子粉末を含む下地層を非磁性支持体と磁気記録層との間に形成した磁気記録媒体において、上記非磁性粒子粉末として、針状ヘマタイト粒子粉末又は針状含水酸化鉄粒子粉末の粒子表面にカーボンブラックを付着させた鉄系黒色針状複合粒子粉末を使用することも知られている(特開平11−242812号、欧州特許公開公報0924690)。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】
走行性能や耐久性能が優れていると共に、ドロップアウトが可及的に少なく、しかも、光透過率が小さい磁気記録媒体は現在最も要求されているところであるが、このような諸特性を十分満たす磁気記録媒体は未だ得られていない。
【0026】
即ち、前出公知の▲1▼及び▲2▼の磁気記録媒体は、いずれもバックコート層中に、板状粒子粉末を配合することにより、塗膜の弾性率を向上させて耐久性を付与すると共に、固形潤滑性を有するカーボンブラック微粒子粉末を配合して磁気記録媒体の走行性能を向上させるものであるが、上記板状粒子粉末は、粒子相互が主として面接触により凝集しているため、部分的に偏在しやすくバックコート層の長手方向及び幅方向の両方向に点接触又は線接触しながら一様に配向し難いという特性を有しているため、磁気記録媒体の走行性能及び耐久性能を十分改善することができない。
【0027】
特に、板状粒子粉末と共に添加するカーボンブラック微粒子粉末の量を多くすると、微粒子であるために分散が困難であるカーボンブラック微粒子粉末が板状粒子粉末の長手方向及び幅方向への一様な配向を妨げることによって、バックコート層のいたるところに板状粒子粉末が欠除した部分が生じるため、磁気記録媒体の耐久性が不十分となると共に、磁気記録媒体自体がカールして走行性を損なうことになる。
【0028】
更に、前出公知の▲1▼の磁気記録媒体は、板状粒子粉末として板状ヘマタイト粒子粉末を使用しており、該板状ヘマタイト粒子粉末は、赤褐色であるため、磁気記録媒体の光透過率を十分小さくすることは困難である。この事実は、前出特開平9−198650号公報の「……非磁性粉末を含有させて媒体の剛性を上げることが提案されている。このようにカーボンブラック以外の粉末をバックコート層に添加する旨開示するものの例としては、……等が挙げられるが、これらのように非磁性粉末を用いると、遮光性や導電性が低下する。」なる記載の通りであり、非磁性粉末として板状ヘマタイト粒子粉末を用いている比較例5に記載の磁気記録媒体の光透過率が大きい値を示していることからも明らかである。
【0029】
前出公知の▲2▼の磁気記録媒体層は、板状粒子粉末として板状マグネタイト粒子粉末を使用しており、該板状マグネタイト粒子粉末は、黒色であるため、赤褐色の板状ヘマタイト粒子に比べて、磁気記録媒体の光透過率を小さくする効果は大きいが、磁性を有しているため粒子相互は磁気により強く凝集しており、長手方向及び幅方向への一様な配向は困難である。
【0030】
そこで、本発明は、走行性能や耐久性能が優れていると共に、ドロップアウトが可及的に少なく、しかも光透過率が小さい磁気記録媒体を得ることを技術的課題とする。
【0031】
【課題を解決する為の手段】
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって達成できる。
【0032】
即ち、本発明は、非磁性支持体と該非磁性支持体の一方の面に形成される磁性粒子粉末及び結合剤樹脂を含む磁気記録層と上記非磁性支持体の他方の面に形成される板状非磁性粒子粉末及び結合剤樹脂を含むバックコート層とからなる磁気記録媒体において、上記板状非磁性粒子粉末として、板状ヘマタイト粒子粉末を芯粒子粉末とし、該芯粒子粉末の粒子表面にアルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物又はポリシロキサンが被覆されオルガノシラン化合物又はポリシロキサンの被覆量が該被覆板状ヘマタイト粒子粉末に対し、Si換算で0.02〜5.0重量%であり、該被覆の少なくとも1部に上記芯粒子粉末100重量部に対して1〜30重量部のカーボンブラックが付着されている平均板面径が0.1〜5.0μmであって、平均厚みが0.001〜0.1μmであって板状比が5〜100である板状非磁性複合粒子粉末を使用することを特徴とする磁気記録媒体である。(発明1)
【0033】
また、本発明は、芯粒子粉末がアルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化物から選ばれた1種又は2種以上の化合物で粒子表面が被覆されている板状ヘマタイト粒子粉末である発明1記載の磁気記録媒体である。(発明2)
【0034】
また、本発明は、非磁性支持体と磁気記録層との間に非磁性粒子粉末及び結合剤樹脂を含む非磁性下地層が形成されている発明1又は発明2記載の磁気記録媒体である。
【0035】
本発明の構成をより詳しく説明すれば、次の通りである。
【0036】
先ず、本発明におけるバックコート層について述べる。
【0037】
本発明におけるバックコート層は、非磁性支持体の一方の面に形成される磁気記録層に対し、非磁性支持体の他方の面に形成されており、板状非磁性粒子粉末及び結合剤樹脂を含んでいる。
【0038】
本発明における非磁性支持体としては、現在、磁気記録媒体に汎用されているポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド等の合成樹脂フィルム、アルミニウム、ステンレス等金属の箔や板及び各種の紙を使用することができ、その厚みは、その材質により種々異なるが、通常好ましくは1.0〜300μm、より好ましくは2.0〜200μmである。
【0039】
本発明における板状非磁性粒子粉末は、芯粒子粉末である板状ヘマタイト粒子粉末の粒子表面にアルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物又はポリシロキサンが被覆されており、該被覆の少なくとも1部にカーボンブラックが付着されている板状非磁性複合粒子粉末である。
【0040】
芯粒子粉末である板状ヘマタイト粒子粉末は、平均板面径が0.09〜4.99μm、好ましくは0.54〜2.99μm、より好ましくは0.54〜1.44μmであって、平均厚みが0.001〜0.099μm、好ましくは0.009〜0.089μm、より好ましくは0.017〜0.074であって、板状比が5〜100、好ましくは8〜48、より好ましくは11〜48である。
【0041】
板状ヘマタイト粒子粉末の平均板面径が4.99μmを超える場合には、得られる板状非磁性複合粒子が粗大粒子となり着色力が低下するため、これを用いて得られる磁気記録媒体の光透過率を低減することが困難となる。0.09μm未満の場合には、粒子の微細化による分子間力の増大により凝集を起こしやすいため、板状ヘマタイト粒子粉末の粒子表面へのアルコキシシラン又はポリシロキサンによる均一な被覆処理及びカーボンブラックによる均一な付着処理が困難となる。
【0042】
板状ヘマタイト粒子粉末の平均厚みが、特定範囲外となった場合の理由も上記平均板面径の上限値や下限値の限定理由と同じである。
【0043】
板状ヘマタイト粒子粉末の板状比が100を超える場合には、粒子相互が面接触して積み重なってスタッキングが多くなり、板状ヘマタイト粒子粉末の個々の粒子表面へのアルコキシシラン又はポリシロキサンによる均一な被覆処理及びカーボンブラックによる均一な付着処理が困難となる。
【0044】
板状ヘマタイト粒子粉末は、板状ヘマタイト粒子粉末に対し、Si換算で0.01〜10重量%のSi化合物を含んでいることが好ましい。
【0045】
Si化合物の含有量が上記特定範囲外となった場合には、ミリスチン酸吸着量の制御が困難となる。ミリスチン酸吸着量の改善効果を考慮すれば、Si化合物の含有量は0.02〜5重量%が好ましい。
【0046】
板状へマタイト粒子粉末のBET比表面積値は1〜150m2/gが好ましく、より好ましくは5〜120m2/g、更により好ましくは5〜100m2/gである。BET比表面積値が1m2/g未満の場合には、板状へマタイト粒子粉末が粗大であるため、得られる板状非磁性複合粒子粉末もまた粗大粒子粉末となり着色力が低下するため、これを用いて得られる磁気記録媒体の光透過率を低減することが困難となる。BET比表面積値が150m2/gを超える場合には、粒子の微細化による分子間力の増大により、板状へマタイト粒子粉末の粒子表面へのアルコキシシラン又はポリシロキサンによる均一な被覆処理及びカーボンブラックによる均一な付着処理が困難となる。
【0047】
板状へマタイト粒子粉末の板面径の幾何標準偏差値は2.5以下が好ましく、より好ましくは2.0以下、更により好ましくは1.8以下である。幾何標準偏差値が2.5を超える場合には、存在する粗大粒子粉末のため、板状へマタイト粒子粉末の粒子表面へのアルコキシシラン又はポリシロキサンによる均一な被覆処理及びカーボンブラックによる均一な付着処理が困難となる。工業的な生産性を考慮すれば、板面径の幾何標準偏差値の下限値は1.01である。
【0048】
板状へマタイト粒子粉末の体積固有抵抗値は、通常1×107〜1×109Ω・cm程度である。
【0049】
板状へマタイト粒子粉末のミリスチン酸吸着量は、通常0.6〜1.0mg/m2である。
【0050】
芯粒子粉末は、必要により、粒子表面をあらかじめ、アルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化物から選ばれた1種又は2種以上の化合物(以下、「アルミニウムの水酸化物等による被覆」という。)で被覆しておいてもよく、アルミニウムの水酸化物等で被覆しない場合に比べ、板状非磁性複合粒子粉末の粒子表面からのカーボンブラックの脱離をより低減することができるため、バックコート塗料の製造時におけるビヒクル中での分散性がより向上し、より優れた耐久性能を有する磁気記録媒体を得ることができる。
【0051】
アルミニウムの水酸化物等の被覆量は、芯粒子粉末に対しAl換算、SiO2 換算又はAl換算量とSiO2 換算量との総和で0.01〜50重量%が好ましい。
【0052】
0.01重量%未満である場合には、ビヒクル中への分散性改良効果が得られ難い。
【0053】
50重量%を超える場合には、ビヒクル中への分散性改良効果が十分に得られるため、必要以上に被覆する意味がない。
【0054】
本発明におけるアルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物(以下、「オルガノシラン化合物」という。)は、化1で表わされるアルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物である。
【化1】
RaSiX4-a
R:−C6H5,−(CH3)2CHCH2,−n−CmH2m+1
X:−OCH3,−OC2H5
m:1〜18の整数
a:0〜3の整数
【0055】
アルコキシシランとしては、具体的には、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0056】
カーボンブラックの脱離率及び付着効果を考慮すると、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランから生成するオルガノシラン化合物が好ましく、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシランから生成するオルガノシラン化合物が最も好ましい。
【0057】
ポリシロキサンは、化1で表わされるポリシロキサン、化2で表わされる変成ポリシロキサン、化3で表わされる末端変成ポリシロキサンまたはこれらの混合物を用いることができる。
【0058】
【化2】
【0059】
【化3】
【0060】
【化4】
【0061】
カーボンブラックの脱離率及び付着効果を考慮すると、メチルハイドロジェンシロキサン単位を有するポリシロキサン、ポリエーテル変成ポリシロキサン及び末端がカルボン酸で変成された末端カルボン酸変成ポリシロキサンが好ましい。
【0062】
オルガノシラン化合物又はポリシロキサンの被覆量は、被覆板状ヘマタイト粒子粉末に対し、Si換算で0.02〜5.0重量%であることが好ましく、より好ましくは0.03〜4.0重量%であり、更により好ましくは0.05〜3.0重量%である。
【0063】
0.02重量%未満の場合には、体積固有抵抗値を改良できる程度にカーボンブラックを十分付着させることが困難である。
【0064】
5.0重量%を超える場合には、カーボンブラックを十分付着させることはできるが、効果が飽和しており必要以上に添加する意味がない。
【0065】
付着処理に用いるカーボンブラック微粒子粉末は、市販のファーネスブラック、チャンネルブラック等を使用することができ、具体的には、#3050、#3150、#3250、#3750、#3950、MA100、MA7、#1000、#2400B、#30、MA77、MA8、#650、MA11、#50、#52、#45、#2200B、MA600等(商品名:三菱化学株式会社(製))シースト9H、シースト7H、シースト6、シースト3H、シースト300、シーストFM等(商品名、東海カーボン株式会社(製))、Raven 1250、Raven 860、Raven 1000、Raven 1190ULTRA(商品名:コロンビヤン・ケミカルズ・カンパニー(製))、ケッチェンブラックEC、ケッチェンブラックEC600JD(商品名:ケッチェンブラック・インターナショナル株式会社(製))、BLACK PEARLS−L、BLACK PEARLS 1000、BLACK PEARLS 4630、VULCAN XC72、REGAL 660、REGAL 400(商品名:キャボット・スペシャルティ・ケミカルズ・インク(製))等が使用できる。
【0066】
オルガノシラン化合物被覆又は、ポリシロキサン被覆へのより均一な付着処理を考慮すれば、DBP吸油量が180ml/100g以下であるカーボンブラック微粒子粉末を用いることがより好ましく、具体的には#3050、#3150、#3250、MA100、MA7、#1000、#2400B、#30、MA77、MA8、#650、MA11、#50、#52、#45、#2200B、MA600等(商品名:三菱化学株式会社(製))シースト9H、シースト7H、シースト6、シースト3H、シースト300、シーストFM等(商品名、東海カーボン株式会社(製))、Raven 1250、Raven 860、Raven 1000、Raven 1190ULTRA(商品名:コロンビヤン・ケミカルズ・カンパニー(製))、BLACK PEARLS−L、BLACKPEARLS 1000、BLACK PEARLS 4630、REGAL660、REGAL 400(商品名:キャボット・スペシャルティ・ケミカルズ・インク(製))がより好ましい。
【0067】
カーボンブラック微粒子粉末の平均粒子径は0.002〜0.05μmが好ましく、より好ましくは0.002〜0.035μm程度である。
【0068】
カーボンブラック微粒子粉末の平均粒子径が0.002μm未満の場合には、カーボンブラック微粒子があまりに微細となるため、取扱いが困難となる。
【0069】
0.05μmを超える場合には、カーボンブラック微粒子の粒子サイズが大きいため、オルガノシラン化合物被覆又はポリシロキサン被覆へ均一に付着させるために非常に大きな機械的せん断力が必要となり、工業的に不利となる。
【0070】
カーボンブラックの付着量は、板状ヘマタイト粒子粉末100重量部に対し1〜30重量部である。
【0071】
1重量部未満の場合には、カーボンブラックの付着量が不十分であり、体積固有抵抗値が十分に低減できない。
【0072】
30重量部を超える場合には、十分な体積固有抵抗値低減効果が得られるが、カーボンブラックが粒子表面から脱離しやすくなり、その結果、ビヒクル中への分散性が低下する場合がある。
【0073】
カーボンブラックの付着厚みは、0.04μm以下が好ましく、より好ましくは0.03μm以下、更に好ましくは0.02μm以下である。
【0074】
本発明における板状非磁性複合粒子粉末の粒子形状や粒子サイズは、芯粒子の粒子形状や粒子サイズに大きく依存し、芯粒子にほぼ相似する粒子形状を有し、芯粒子よりも若干大きい粒子サイズを有している。
【0075】
即ち、本発明における板状非磁性複合粒子粉末は、板面径が0.1〜5.0μmであり、好ましくは0.55〜3.0μm、より好ましくは0.55〜1.45μmである。平均厚みは0.001〜0.1μm、好ましくは0.010〜0.090μm、より好ましくは0.018〜0.075μm、板状比は5〜100、好ましくは8〜48、より好ましくは11〜48である。
【0076】
板状非磁性複合粒子粉末の平均板面径が0.1μm未満の場合には、粒子の微細化による分子間力の増大により、バックコート塗料の製造時におけるビヒクル中への分散が困難となり、得られる磁気記録媒体の耐久性能が低下する。平均板面径が5.0μmを超える場合には、粒子の大粒子化に伴い着色力が低下するため、得られる磁気記録媒体の光透過率を低減することが困難となる。
【0077】
板状非磁性複合粒子粉末の平均厚みが0.001μm未満の場合には、粒子の微細化による分子間力の増大により、バックコート塗料の製造時におけるビヒクル中への分散が困難となり、得られる磁気記録媒体の耐久性が低下する。
【0078】
本発明における板状非磁性複合粒子粉末の板状比が100を超えると粒子相互が面接触して積み重なりスタッキングが多くなるため、バックコート塗料の製造時におけるヒビクル中での均一な分散が困難となり、耐久性に優れた磁気記録媒体を得ることが困難となる。
【0079】
芯粒子としてSi化合物を含む板状ヘマタイト粒子を用いている板状非磁性複合粒子粉末は、ミリスチン酸吸着量を効果的に制御することができる。
【0080】
板状非磁性複合粒子粉末は、板面径の粒度分布が幾何標準偏差値で2.5以下であることが好ましい。2.5を超える場合には、存在する粗大粒子によってビヒクル中での均一分散が阻害されるため、バックコート層中に偏在し、塗膜のスティフネスを低下させる。塗膜のスティフネスを考慮すれば、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.8以下である。工業的な生産性を考慮すれば、得られる板状非磁性複合粒子粉末の板面径の幾何標準偏差値の下限値は1.01である。
【0081】
本発明における板状非磁性複合粒子粉末のBET比表面積値は1〜150m2/g、好ましくは5〜120m2/g、より好ましくは5〜100m2/gである。BET比表面積値が1m2/g未満の場合には、粒子が粗大であるため、着色力が低下し、得られる磁気記録媒体の光透過率を低減することが困難となる。BET比表面積値が150m2/gを超える場合には、粒子の微細化による分子間力の増大により、バックコート塗料の製造時におけるビヒクル中への分散が困難となり、得られる磁気記録媒体の耐久性が低下する。
【0082】
板状非磁性複合粒子粉末の体積固有抵抗値は、5×105Ω・cm以下であることが好ましく、より好ましくは1×101〜3×105Ω・cm、更により好ましくは1×101Ω・cm〜1×105Ω・cmである。体積固有抵抗値が1×105Ω・cmを超える場合は、得られる磁気記録媒体のバックコート層の表面電気抵抗値を十分に低減することが困難となる。
【0083】
板状非磁性複合粒子粉末のミリスチン酸吸着量は、0.01〜0.5mg/m2であり、好ましくは0.01〜0.45mg/m2、より好ましくは0.01〜0.40mg/m2である。
【0084】
板状非磁性複合粒子粉末のミリスチン酸吸着量が上記範囲外である場合は、バックコート層表面に浸み出すミリスチン酸の量の調整が困難となり、得られる磁気記録媒体の走行性を確保することが困難となる。
【0085】
板状非磁性複合粒子粉末のカーボンブラックの脱離率は20%以下が好ましく、より好ましくは10%以下である。カーボンブラックの脱離率が20%を超える場合には、バックコート塗料の製造時において、脱離したカーボンブラックによりビヒクル中での均一な分散が阻害される場合がある。
【0086】
アルミニウムの水酸化物等で被覆されている本発明における板状非磁性複合粒子粉末は、アルミニウムの水酸化物等で被覆されていない本発明における板状非磁性複合粒子粉末の場合とほぼ同程度の粒子サイズ、幾何標準偏差値、BET比表面積値、体積固有抵抗値及びミリスチン吸着量を有しているとともに、若干低いカーボンブラック脱離率を有している。
【0087】
バックコート層には、通常の磁気記録媒体の製造に用いられる潤滑剤、研磨剤、帯電防止剤等が必要により結合剤樹脂100重量部に対し0.1〜50重量部程度含まれていてもよい。
【0088】
本発明におけるバックコート層は、膜厚が0.1〜2.0μmが好ましく、0.2〜1.5μmがより好ましい。0.1μm未満の場合には、バックコート層のスティフネスが不十分となりやすく、十分な走行耐久性を有する磁気記録媒体を得ることが困難となる。2.0μmを超える場合には、バックコート層の膜厚が厚すぎるため、磁気記録媒体の薄層化を阻害することとなる。
【0089】
バックコート層のヤング率は100以上が好ましく、105以上がより好ましい。100未満の場合には、バックコート層のスティフネスが不十分であり、得られる磁気記録媒体の走行耐久性を改善することが困難となる。
【0090】
本発明における一方の面にバックコート層のみが形成されている非磁性支持体は、線吸収係数が1.8〜4.0μm-1が好ましく、2.0〜4.0μm-1がより好ましく、表面電気抵抗値が1×103〜5×108Ω/cm2が好ましく、1×103〜5×107Ω/cm2がより好ましい。
【0091】
本発明における磁気記録層は、磁性粒子粉末と結合剤樹脂とを含んでいる。
【0092】
磁性粒子粉末は、マグヘマイト粒子粉末、マグネタイト粒子粉末、マグヘマイトとマグネタイトとの中間酸化物であるベルトライド化合物粒子粉末等の磁性酸化鉄粒子粉末、該磁性酸化鉄粒子粉末にFe以外のCo、Al、Ni、P、Zn、Si、B等の異種元素を含有させた磁性酸化鉄粒子粉末、これら磁性酸化鉄粒子にCo等を被着させたCo被着型磁性酸化鉄粒子粉末、鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末、鉄以外のCo、Al、Ni、P、Zn、Si、B及び希土類金属等を含有する鉄合金磁性粒子粉末、Ba、Sr又はBa−Srを含有する板状マグネトプランバイト型フェライト粒子粉末並びに該フェライト粒子粉末にCo、Ni、Zn、Mn、Mg、Ti、Sn、Zr、Nb、Cu、Mo等の2価及び4価の金属から選ばれた保磁力低減剤の1種又は2種以上を含有させた板状マグネトプランバイト型フェライト粒子粉末等のいずれをも用いることができる。
【0093】
なお、近年の磁気記録媒体の高密度記録化を考慮すれば、磁性粒子粉末としては、Co被着型磁性酸化鉄粒子粉末、鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末及び鉄以外のCo、Al、Ni、P、Zn、Si、B、希土類金属等を含有する鉄合金磁性粒子粉末等が好ましい。
【0094】
磁性粒子粉末の粒子の形状は、針状はもちろん、紡錘状、米粒状、立方状、板状等のいずれであってもよい。ここで「針状」とは、文字通りの針状はもちろん、紡錘状や米粒状などを含む意味である。
【0095】
磁性粒子粉末は、平均長軸径(板状粒子の場合は平均粒子径)が0.01〜0.50μm、好ましくは0.03〜0.30μmであって、平均短軸径(板状粒子の場合は平均厚み)が0.0007〜0.17μm、好ましくは0.003〜0.10μmであり、幾何標準偏差値は2.5以下、好ましくは1.01〜2.3である。
【0096】
また、粒子形状が針状の磁性粒子の場合、軸比は3以上、好ましくは5以上であり、磁性塗料とした時のビヒクル中における分散性を考慮すれば、その上限値は15であり、好ましくは10である。
【0097】
粒子形状が板状の磁性粒子の場合、板状比は2以上、好ましくは3以上であり、磁性塗料とした時のビヒクル中における分散性を考慮すれば、その上限値は20であり、好ましくは15である。
【0098】
磁性粒子粉末の磁気特性は、針状磁性酸化鉄粒子粉末やCo被着型針状磁性酸化鉄粒子粉末の場合、保磁力値が19.9〜135.3kA/m(250〜1700Oe)、好ましくは23.9〜135.3kA/m(300〜1700Oe)であって、飽和磁化値が60〜90Am2/kg(60〜90emu/g)、好ましくは65〜90Am2/kg(65〜90emu/g)である。
【0099】
鉄を主成分とする針状金属磁性粒子粉末又は鉄合金磁性粒子粉末の場合、保磁力値が63.7〜278.5kA/m(800〜3500Oe)、好ましくは71.6〜278.5kA/m(900〜3500Oe)であって、飽和磁化値が90〜170Am2/kg(90〜170emu/g)、好ましくは100〜170Am2/kg(100〜170emu/g)である。
【0100】
板状マグネトプランバイト型フェライト粒子粉末の場合、保磁力値が39.8〜318.3kA/m(500〜4000Oe)、好ましくは51.7〜318.3kA/m(650〜4000Oe)であって、飽和磁化値が40〜70Am2/kg(40〜70emu/g)、好ましくは45〜70Am2/kg(45〜70emu/g)である。
【0101】
磁気記録層における結合剤樹脂としては、バックコート層を形成する場合に用いた前記結合剤樹脂を使用することができる。
【0102】
尚、磁気記録層には、通常の磁気記録媒体の製造に用いられる潤滑剤、研磨剤、帯電防止剤等が必要により結合剤樹脂100重量部に対し0.1〜50重量部程度含まれていてもよい。
【0103】
本発明における磁気記録層の塗膜厚さは、0.01〜5.0μmの範囲である。0.01μm未満の場合には、均一な塗布が困難で塗りむら等が生じやすくなるため好ましくない。5.0μmを超える場合には、反磁界の影響のため、所望の電磁変換特性が得られにくくなる。好ましくは0.05〜4.0μmの範囲である。
【0104】
磁気記録層における磁性粒子粉末と結合剤樹脂との配合割合は、結合剤樹脂100重量部に対し、磁性粒子粉末が200〜2000重量部、好ましくは300〜1500重量部である。
【0105】
本発明に係る磁気記録媒体は、バックコート層用板状非磁性粒子粉末としてアルミニウムの水酸化物等によって被覆されていない板状非磁性複合粒子粉末を用いた場合には、保磁力値が19.9〜318.3kA/m(250〜4000Oe)、好ましくは23.9〜318.3kA/m(300〜4000Oe)、角形比(残留磁束密度Br/飽和磁束密度Bm)が0.85〜0.95、好ましくは0.86〜0.95、塗膜の光沢度が130〜300%、好ましくは140〜300%、塗膜の表面粗度Raが12.0nm以下、好ましくは2.0〜11.0nm、より好ましくは2.0〜10.0nm、塗膜の線吸収係数が1.20〜5.00μm-1、好ましくは1.30〜5.00μm-1、耐久性のうち走行耐久時間が23分以上、好ましくは25分以上、ヘッド汚染がA又はB、好ましくはA、ドロップアウトが20個/msec以下、好ましくは16個/msec以下、巻き乱れがA又はB、好ましくはA、カールがA又はB、好ましくはAである。
【0106】
バックコート層用板状非磁性粒子粉末として粒子表面がアルミニウムの水酸化物等によって被覆されている板状非磁性複合粒子粉末を用いた場合には、保磁力値が19.9〜318.3kA/m(250〜4000Oe)、好ましくは23.9〜318.3kA/m(300〜4000Oe)、角形比(残留磁束密度Br/飽和磁束密度Bm)が0.85〜0.95、好ましくは0.86〜0.95、塗膜の光沢度が130〜300%、好ましくは140〜300%、塗膜の表面粗度Raが12.0nm以下、好ましくは2.0〜11.0nm、より好ましくは2.0〜10.0nm、塗膜の線吸収係数が1.20〜5.00μm-1、好ましくは1.30〜5.00μm-1、耐久性のうち走行耐久時間が24分以上、好ましくは26分以上、ヘッド汚染がA叉はB、好ましくはA、ドロップアウトが17個/msec以下、好ましくは13個/msec以下、巻き乱れがA又はB、好ましくはA、カールがA又はB、好ましくはAである。
【0107】
高密度記録等を考慮して、磁性粒子粉末として殊に、鉄を主成分とする針状金属磁性粒子粉末又は鉄合金磁性粒子粉末を用い、バックコート層用板状非磁性粒子粉末としてアルミニウムの水酸化物等によって被覆されていない板状非磁性複合粒子粉末を用いた場合には、保磁力値が63.7〜278.5kA/m(800〜3500Oe)、好ましくは71.6〜278.5kA/m(900〜3500Oe)、角形比(残留磁束密度Br/飽和磁束密度Bm)が0.85〜0.95、好ましくは0.86〜0.95、塗膜の光沢度が185〜300%、好ましくは190〜300%、塗膜表面粗度Raが9.5nm以下、好ましくは2.0〜9.0nm、より好ましくは2.0〜8.5nm、塗膜の線吸収係数が1.20〜5.00μm-1、好ましくは1.30〜5.00μm-1、耐久性のうち走行耐久時間が24分以上、好ましくは26分以上、ヘッド汚染がA又はB、好ましくはA、ドロップアウトが15個/msec以下、好ましくは11個/msec以下、巻き乱れがA又はB、好ましくはA、カールがA又はB、好ましくはAである。
【0108】
磁性粒子粉末として殊に、鉄を主成分とする針状金属磁性粒子粉末又は鉄合金磁性粒子粉末を用い、バックコート層用板状非磁性粒子粉末として粒子表面がアルミニウムの水酸化物等によって被覆されている板状非磁性複合粒子粉末を用いた場合には、保磁力値が63.7〜278.5kA/m(800〜3500Oe)、好ましくは71.6〜278.5kA/m(900〜3500Oe)、角形比(残留磁束密度Br/飽和磁束密度Bm)が0.85〜0.95、好ましくは0.86〜0.95、塗膜の光沢度が185〜300%、好ましくは190〜300%、塗膜表面粗度Raが9.5nm以下、好ましくは2.0〜9.0nm、より好ましくは2.0〜8.5nm、塗膜の線吸収係数が1.20〜5.00μm-1、好ましくは1.30〜5.00μm-1、耐久性のうち走行耐久時間が25分以上、好ましくは27分以上、ヘッド汚染がA又はB、好ましくはA、ドロップアウトが12個/msec以下、好ましくは8個/msec以下、巻き乱れがA又はB、好ましくはA、カールがA又はB、好ましくはAである。
【0109】
本発明に係る磁気記録媒体は、必要により、非磁性支持体と磁気記録層との間に非磁性粒子粉末及び結合剤樹脂を含む非磁性下地層が形成されていてもよい。
【0110】
非磁性下地層用非磁性粒子粉末としては、通常磁気記録媒体用非磁性下地層に用いられる非磁性無機質粉末を使用することができる。具体的には、ヘマタイト、含水酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化タングステン、二酸化ケイ素、α−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、酸化クロム、酸化セリウム、炭化ケイ素、チタンカーバイト、窒化ケイ素、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデン、チタン酸バリウム等を単独又は組み合わせて用いることができ、殊に、ヘマタイト、含水酸化鉄、酸化チタン等が好ましい。
【0111】
なお、非磁性塗料製造時におけるビヒクル中での分散性改善のため、必要により、これら非磁性粒子粉末の粒子表面をアルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物、ケイ素の酸化物等で表面処理してもよく、また、得られる磁気記録媒体の光透過率、表面電気抵抗値、機械的強度、表面平滑性、耐久性等の諸特性改善のため、必要により、粒子内部にAl,Ti,Zr,Mn,Sn,Sb等を含有させてもよい。
【0112】
非磁性粒子粉末には各種形状の粒子があり、球状、粒状、八面体状、六面体状、多面体状等の粒状粒子粉末、針状、紡錘状、米粒状等の針状粒子粉末及び板状粒子粉末等がある。得られる磁気記録媒体の表面平滑性を考慮すれば、非磁性粒子粉末の粒子形状は針状が好ましい。
【0113】
非磁性粒子粉末の粒子サイズは、粒子形状が粒状の場合、平均粒子径が0.01〜0.3μm、好ましくは0.015〜0.25μm、より好ましくは0.02〜0.2μmであり、粒子形状が針状の場合、平均長軸径が0.01〜0.3μm、好ましくは0.015〜0.25μm、より好ましくは0.02〜0.2μmであり、粒子形状が板状の場合、平均板面径が0.01〜0.3μm、好ましくは0.015〜0.25μm、より好ましくは0.02〜0.2μmである。
【0114】
また、粒子形状が針状の場合、軸比が2〜20、好ましくは2.5〜15、より好ましくは3〜10であり、粒子形状が板状の場合、板状比が2〜50、好ましくは2.5〜20、より好ましくは3〜10である。
【0115】
本発明における非磁性下地層は、塗膜厚さが0.2〜10.0μmの範囲が好ましい。0.2μm未満の場合には、非磁性支持体の表面粗さを改善することが困難となる。磁気記録媒体の薄層化及び塗膜の表面平滑性を考慮すれば、より好ましくは0.5〜5.0μmの範囲である。
【0116】
非磁性下地層における結合剤樹脂は、製造にあたってバックコート層を形成する場合に用いた前記結合剤樹脂が使用できる。
【0117】
非磁性下地層における非磁性粒子粉末及び結合剤樹脂との配合割合は、結合剤樹脂100重量部に対し、非磁性粒子粉末が5〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。
【0118】
非磁性粒子粉末が5重量部未満の場合には、非磁性塗料中の非磁性粒子粉末が少なすぎるため、塗膜にした時に、非磁性粒子粉末の連続分散した層が得られず、塗膜表面の平滑性が不十分となる。2000重量部を超える場合には、結合剤樹脂の量に対して非磁性粒子粉末が多すぎるため、非磁性塗料中で非磁性粒子粉末が十分に分散されず、その結果、塗膜にした時に、表面が十分平滑な塗膜が得られ難い。また、非磁性粒子粉末が結合剤樹脂によって十分にバインドされないために、得られた塗膜はもろいものとなりやすい。
【0119】
尚、非磁性下地層に、通常の磁気記録媒体の製造に用いられる潤滑剤、研磨剤、帯電防止剤等が必要により結合剤樹脂100重量部に対し0.1〜50重量部程度含まれていてもよい。
【0120】
非磁性下地層を有する本発明に係る磁気記録媒体は、バックコート層用板状非磁性粒子粉末としてアルミニウムの水酸化物等によって被覆されていない板状非磁性複合粒子粉末を用いた場合には、保磁力値が19.9〜318.3kA/m(250〜4000Oe)、好ましくは23.9〜318.3kA/m(300〜4000Oe)、角形比(残留磁束密度Br/飽和磁束密度Bm)が0.85〜0.95、好ましくは0.86〜0.95、塗膜の光沢度が135〜300%、好ましくは145〜300%、塗膜の表面粗度Raが11.5nm以下、好ましくは2.0〜10.5nm、より好ましくは2.0〜9.5nm、塗膜の線吸収係数が1.30〜5.00μm-1、好ましくは1.40〜5.00μm-1、耐久性のうち走行耐久時間が24分以上、好ましくは26分以上、ヘッド汚染がA又はB、好ましくはA、ドロップアウトが19個/msec以下、好ましくは15個/msec以下、巻き乱れがA又はB、好ましくはA、カールがA又はB、好ましくはAである。
【0121】
非磁性下地層を有する本発明に係る磁気記録媒体は、バックコート層用板状非磁性粒子粉末として粒子表面がアルミニウムの水酸化物等によって被覆されている板状非磁性複合粒子粉末を用いた場合には、保磁力値が19.9〜318.3kA/m(250〜4000Oe)、好ましくは23.9〜318.3kA/m(300〜4000Oe)、角形比(残留磁束密度Br/飽和磁束密度Bm)が0.85〜0.95、好ましくは0.86〜0.95、塗膜の光沢度が135〜300%、好ましくは145〜300%、塗膜の表面粗度Raが11.5nm以下、好ましくは2.0〜10.5nm、より好ましくは2.0〜9.5nm、塗膜の線吸収係数が1.30〜5.00μm-1、好ましくは1.40〜5.00μm-1、耐久性のうち走行耐久時間が25分以上、好ましくは27分以上、ヘッド汚染がA又はB、好ましくはA、ドロップアウトが16個/msec以下、好ましくは12個/msec以下、巻き乱れがA又はB、好ましくはA、カールがA又はB、好ましくはAである。
【0122】
非磁性下地層を有する本発明に係る磁気記録媒体のうち、高密度記録等を考慮して、磁性粒子粉末として殊に、鉄を主成分とする針状金属磁性粒子粉末又は鉄合金磁性粒子粉末を用い、バックコート層用板状非磁性粒子粉末としてアルミニウムの水酸化物等によって被覆されていない板状非磁性複合粒子粉末を用いた場合には、保磁力値が63.7〜278.5kA/m(800〜3500Oe)、好ましくは71.6〜278.5kA/m(900〜3500Oe)、角形比(残留磁束密度Br/飽和磁束密度Bm)が0.85〜0.95、好ましくは0.86〜0.95、塗膜の光沢度が190〜300%、好ましくは195〜300%、塗膜表面粗度Raが9.0nm以下、好ましくは2.0〜8.5nm、より好ましくは2.0〜8.0nm、塗膜の線吸収係数が1.30〜5.00μm-1、好ましくは1.40〜5.00μm-1、耐久性のうち走行耐久時間が25分以上、好ましくは27分以上、ヘッド汚染がA又はB、好ましくはA、ドロップアウトが14個/msec以下、好ましくは10個/msec以下、巻き乱れがA又はB、好ましくはA、カールがA又はB、好ましくはAである。
【0123】
非磁性下地層を有する本発明に係る磁気記録媒体のうち、磁性粒子粉末として殊に、鉄を主成分とする針状金属磁性粒子粉末又は鉄合金磁性粒子粉末を用い、バックコート層用板状非磁性粒子粉末として粒子表面がアルミニウムの水酸化物等によって被覆されている板状非磁性複合粒子粉末を用いた場合には、保磁力値が63.7〜278.5kA/m(800〜3500Oe)、好ましくは71.6〜278.5kA/m(900〜3500Oe)、角形比(残留磁束密度Br/飽和磁束密度Bm)が0.85〜0.95、好ましくは0.86〜0.95、塗膜の光沢度が190〜300%、好ましくは195〜300%、塗膜表面粗度Raが9.0nm以下、好ましくは2.0〜8.5nm、より好ましくは2.0〜8.0nm、塗膜の線吸収係数が1.30〜5.00μm-1、好ましくは1.40〜5.00μm-1、耐久性のうち走行耐久時間が26分以上、好ましくは28分以上、ヘッド汚染がA又はB、好ましくはA、ドロップアウトが11個/msec以下、好ましくは7個/msec以下、巻き乱れがA又はB、好ましくはA、カールがA又はB、好ましくはAである。
【0124】
本発明における板状非磁性複合粒子粉末は、下記の製造法によって得ることができる。
【0125】
板状へマタイト粒子粉末のアルコキシシラン又はポリシロキサンによる被覆は、板状へマタイト粒子粉末とアルコキシシラン溶液又はポリシロキサンとを機械的に混合攪拌したり、板状へマタイト粒子粉末にアルコキシシラン溶液又はポリシロキサンを噴霧しながら機械的に混合攪拌すればよい。添加したアルコキシシランは、ほぼ全量が板状へマタイト粒子粉末の粒子表面に被覆される。
【0126】
アルコキシシラン又はポリシロキサンを均一に板状へマタイト粒子粉末の粒子表面に被覆するためには、板状へマタイト粒子粉末の凝集をあらかじめ粉砕機を用いて解きほぐしておくことが好ましい。
【0127】
板状へマタイト粒子粉末とポリシロキサンとの混合攪拌やカーボンブラック微粒子粉末と粒子表面にポリシロキサンが被覆されている板状へマタイト粒子粉末との混合攪拌をするための機器としては、粉体層にせん断力を加えることのできる装置が好ましく、殊に、せん断、へらなで及び圧縮が同時に行える装置、例えば、ホイール型混練機、ボール型混練機、ブレード型混練機、ロール型混練機を用いることができる。本発明の実施にあたっては、ホイール型混練機がより効果的に使用できる。
【0128】
上記ホイール型混練機としては、具体的に、エッジランナー(「ミックスマラー」、「シンプソンミル」、「サンドミル」と同義語である)、マルチマル、ストッツミル、ウエットパンミル、コナーミル、リングマラー等があり、好ましくはエッジランナー、マルチマル、ストッツミル、ウエットパンミル、リングマラーであり、より好ましくはエッジランナーである。上記ボール型混練機としては、具体的に、振動ミル等がある。上記ブレード型混練機としては、具体的に、ヘンシェルミキサー、プラネタリーミキサー、ナウタミキサー等がある。上記ロール型混練機としては、具体的に、エクストルーダー等がある。
【0129】
混合撹拌時における条件は、板状へマタイト粒子粉末の粒子表面にアルコキシシラン又はポリシロキサンができるだけ均一に被覆されるように、線荷重は19.6〜1960N/cm(2〜200Kg/cm)、好ましくは98〜1470N/cm(10〜150Kg/cm)、より好ましくは147〜980N/cm(15〜100Kg/cm)、処理時間は5〜120分、好ましくは10〜90分の範囲で処理条件を適宜調整すればよい。なお、撹拌速度は2〜2000rpm、好ましくは5〜1000rpm、より好ましくは10〜800rpmの範囲で処理条件を適宜調整すればよい。
【0130】
アルコキシシラン又はポリシロキサンの添加量は、板状へマタイト粒子粉末100重量部に対して0.15〜45重量部が好ましい。0.15重量部未満の場合には、体積固有抵抗値を改善できる程度にカーボンブラックを付着させることが困難である。45重量部を超える場合には、カーボンブラックを十分付着させることができるが、必要以上に添加する意味がない。
【0131】
次いで、板状へマタイト粒子粉末の粒子表面にアルコキシラン又はポリシロキサンを被覆した後、カーボンブラック微粒子粉末を添加し、混合攪拌してアルコキシラン被覆又はポリシロキサン被覆にカーボンブラックを付着させる。
【0132】
カーボンブラック微粒子粉末は、少量ずつを時間をかけながら、殊に5〜60分間程度をかけて添加するのが好ましい。
【0133】
混合攪拌時における条件は、カーボンブラックが均一に付着するように、線荷重は19.6〜1960N/cm(2〜200Kg/cm)、好ましくは98〜1470N/cm(10〜150Kg/cm)、より好ましくは147〜980N/cm(15〜100Kg/cm)、処理時間は5〜120分、好ましくは10〜90分の範囲で処理条件を適宜調整すればよい。なお、撹拌速度は2〜2000rpm、好ましくは5〜1000rpm、より好ましくは10〜800rpmの範囲で処理条件を適宜調整すればよい。
【0134】
カーボンブラック微粒子粉末の添加量は、板状へマタイト粒子粉末100重量部に対して1〜30重量部である。1重量部未満の場合には、カーボンブラックの付着量が少ないため、低い体積固有抵抗値を有する板状非磁性複合粒子粉末を得ることが困難となる。30重量部を超える場合には、得られる板状非磁性複合粒子粉末の体積固有抵抗値の改善効果が飽和しており、必要以上に付着させる意味がない。また、カーボンブラックが粒子表面から脱離しやすくなり、その結果、ビヒクル中への分散性が低下する場合がある。
【0135】
板状へマタイト粒子粉末は、必要により、アルコキシシラン又はポリシロキサンとの混合攪拌に先立ってあらかじめ、粒子表面をアルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化物から選ばれる1種又は2種以上で被覆しておいてもよい。
【0136】
アルミニウムの水酸化物等による被覆は、板状へマタイト粒子粉末を分散して得られる水懸濁液に、アルミニウム化合物、ケイ素化合物又は当該両化合物を添加して混合攪拌することにより、又は、必要により、混合攪拌後にpH値を調整することにより、前記板状へマタイト粒子粉末の粒子表面に、アルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化物から選ばれる1種又は2種以上の化合物を被着し、次いで、濾別、水洗、乾燥、粉砕する。必要により、更に、脱気・圧密処理等を施してもよい。
【0137】
アルミニウム化合物としては、酢酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム等のアルミニウム塩やアルミン酸ナトリウム等のアルミン酸アルカリ塩等が使用できる。
【0138】
アルミニウム化合物の添加量は、板状ヘマタイト粒子粉末に対してAl換算で0.01〜50重量%である。0.01重量%未満である場合には、粒子表面に十分な量のアルミニウムの水酸化物等を被覆することが困難であり、効果的にカーボンブラックの脱離率を改良できない。50重量%を超える場合には、被覆効果が飽和するため、必要以上に添加する意味がない。
【0139】
ケイ素化合物としては、3号水ガラス、オルトケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム等が使用できる。
【0140】
ケイ素化合物の添加量は、板状ヘマタイト粒子粉末に対してSiO2換算で0.01〜50重量%である。0.01重量%未満である場合には、粒子表面に十分な量のケイ素の酸化物等を被覆することが困難であり、効果的にカーボンブラックの脱離率を改良できない。50重量%を超える場合には、被覆効果が飽和するため、必要以上に添加する意味がない。
【0141】
アルミニウム化合物とケイ素化合物とを併せて使用する場合には、板状ヘマタイト粒子粉末に対してAl換算量とSiO2換算量との総和で0.01〜50重量%が好ましい。
【0142】
次に、前記本発明に係る磁気記録媒体の製造法について述べる。
【0143】
本発明に係る磁気記録媒体は、常法により、非磁性支持体上に磁性粒子粉末、結合剤樹脂及び溶剤を含む磁性塗料を塗布して塗膜を形成した後、磁場配向するか、あるいは、非磁性支持体上に非磁性粒子粉末、結合剤樹脂及び溶剤を含む非磁性塗料を塗布、乾燥して非磁性下地層を形成し、該非磁性下地層上に磁性粒子粉末、結合剤樹脂及び溶剤を含む磁性塗料を塗布して塗膜を形成した後、磁場配向し、次いで、カレンダー処理をした後、バックコート層を塗布し、硬化させることにより得ることができる。
【0144】
非磁性塗料、磁性塗料及びバックコート塗料の混練分散に当たっては、混練機は、例えば、二軸ニーダー、二軸エクストルーダー、加圧ニーダー、二本ロールミル、三本ロールミルなどが使用でき、分散機としては、ボールミル、サンドグラインダー、アトライター、ディスパー、ホモジナイザー、超音波分散機などを使用することができる。
【0145】
非磁性塗料、磁性塗料及びバックコート塗料の塗布にあたっては、グラビアコーター、リバースロールコーター、スリットコーター、ダイコーターなどを使用することができる。塗布したシートは、対向磁石配向、ソレノイド磁石配向等により磁場配向を行うことができる。
【0146】
溶剤としては、現在、磁気記録媒体に汎用されているメチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン及びその混合物等を使用することができる。
【0147】
溶剤の使用量は、非磁性粒子粉末又は磁性粒子粉末100重量部に対してその総量で65〜1000重量部である。65重量部未満では磁性塗料とした場合に粘度が高くなりすぎ塗布が困難となる。1000重量部を超える場合には、塗膜を形成する際の溶剤の揮散量が多くなりすぎ工業的に不利となる。
【0148】
【本発明の実施の形態】
本発明の代表的な実施の形態は以下の通りである。
【0149】
板状へマタイト粒子粉末、板状非磁性複合粒子粉末及びカーボンブラック微粒子粉末の各粒子粉末の平均粒子径は、電子顕微鏡写真を4倍に拡大した写真に示される粒子約350個について定方向径をそれぞれ測定し、その平均値で示した。
【0150】
軸比は、平均長軸径と平均短軸径との比で示し、板状比は平均板面径と平均厚みとの比で示した。
【0151】
板面径の幾何標準偏差値は、下記の方法により求めた値で示した。即ち、上記拡大写真に示される板面径を測定した値を、その測定値から計算して求めた粒子の実際の板面径と個数から、統計学的手法に従って、対数正規確率紙上の横軸に板面径を、縦軸に所定の板面径区間のそれぞれに属する粒子の累積個数( 積算フルイ下) を百分率でプロットした。そしてこのグラフから粒子の累積個数が50%及び84.13%のそれぞれに相当する板面径の値を読み取り、幾何標準偏差値=(積算フルイ下84.13%における板面径)/(積算フルイ下50%における板面径(幾何平均径)に従って算出した値で示した。幾何標準偏差値が1に近いほど、板面径の粒度分布が優れていることを意味する。
【0152】
比表面積値は、BET法により測定した値で示した。
【0153】
板状ヘマタイト粒子粉末及び板状非磁性複合粒子粉末の粒子内部や粒子表面に存在するAl量及びSi量並びにアルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物又はポリシロキサンに含有されるSi量のそれぞれは「蛍光X線分析装置3063M型」(理学電機工業(株)製)を使用し、JIS K0119の「けい光X線分析通則」に従って測定した。
【0154】
板状非磁性複合粒子粉末に付着しているカーボンブラック量は、「堀場金属炭素・硫黄分析装置EMIA−2200型」((株)堀場製作所製)を用いて炭素量を測定することにより求めた。
【0155】
板状非磁性複合粒子粉末に付着しているカーボンブラックの付着厚みは、透過型電子顕微鏡JEM−2010(日本電子株式会社(製))を用いて加速電圧200kVの条件下で撮影した電子顕微鏡写真(×500,000)を10倍に拡大した写真(×5,000,000)に写っている粒子の表面に付着しているカーボンブラックの平均的な厚み部分を測定することによって求めた。
【0156】
板状非磁性複合粒子粉末に付着しているカーボンブラックの脱離率(%)は、下記の方法により求めた値で示した。カーボンブラックの脱離率(%)が0に近いほど、粒子表面からのカーボンブラックの脱離量が少ないことを示す。
【0157】
被測定粒子粉末3gとエタノール40mlを50mlの沈降管に入れ、20分間超音波分散を行った後、120分静置し、比重差によって被測定粒子粉末と脱離したカーボンブラックを分離した。次いで、この被測定粒子粉末に再度エタノール40mlを加え、更に20分間超音波分散を行った後120分静置し、被測定粒子粉末と脱離したカーボンブラックを分離した。この被測定粒子粉末を100℃で1時間乾燥させ、前述の「堀場金属炭素・硫黄分析装置EMIA−2200型」((株)堀場製作所製)を用いて炭素量を測定し、下記式に従って求めた値をカーボンブラックの脱離率(%)とした。
【0158】
カーボンブラックの脱離率(%)={(Wa−We)/Wa}×100
Wa:被測定粒子粉末のカーボンブラック付着量
We:脱離テスト後の被測定粒子粉末のカーボンブラック付着量
【0159】
板状ヘマタイト粒子粉末及び板状非磁性複合粒子粉末の各粒子粉末の体積固有抵抗値は、まず、粒子粉末0.5gを測り取り、KBr錠剤成形器((株)島津製作所)を用いて、1.37×107kPa(140Kg/cm2)の圧力で加圧成形を行い、円柱状の被測定試料を作製した。
【0160】
次いで、被測定試料を温度25℃、相対湿度60%環境下に12時間以上暴露した後、この被測定試料をステンレス電極の間にセットし、ホイートストンブリッジ(TYPE2768 横河北辰電気(株)製)で15Vの電圧を印加して抵抗値R(Ω)を測定した。
【0161】
次いで、被測定(円柱状)試料の上面の面積A(cm2)と厚みt0(cm)を測定し、次式にそれぞれの測定値を挿入して、体積固有抵抗値(Ω・cm)を求めた。
【0162】
体積固有抵抗値(Ω・cm)=R×(A/t0)
【0163】
板状ヘマタイト粒子粉末及び板状非磁性複合粒子粉末の各粒子粉末のミリスチン酸吸着量は、下記の方法によって求めた。
【0164】
まず、140mlのガラスビンに1.5mmφのガラスビーズ100g、被測定粒子粉末9g及び被測定粒子粉末の表面を一層被覆するだけのミリスチン酸を含有するテトラヒドロフラン溶液45mlを加え、60分間ペイントシェーカーで混合分散した。
【0165】
次に、この混合分散物を50mlの沈降管に取り出し、回転数10000rpmで15分間遠心分離を行い、固形部分と溶剤部分とを分離する。そして、溶剤部分に含まれるミリスチン酸濃度を重量法によって定量し、仕込みのミリスチン酸量との差し引きにより、固形部分に存在するミリスチン酸量を求め、これを被測定粒子粉末のミリスチン酸吸着量(mg/m2)とした。
【0166】
塗料粘度は、塗料の25℃における塗料粘度をE型粘度計(コーンプレート型粘度計)EMD−R((株)東京計器製)を用いて25℃におけるずり速度が1.92sec-1での見かけ粘度の値で示した。
【0167】
塗膜強度は、「オートグラフ」((株)島津製作所製)を用いて塗膜のヤング率を測定して求めた。ヤング率は市販ビデオテープ「AV T−120(日本ビクター(株)製)」との相対値で表した。相対値が高いほど塗膜強度が良好であることを示す。
【0168】
磁性粒子粉末及び磁気記録媒体の磁気特性は、「振動試料型磁力計VSM−3S−15」(東英工業(株)製)を使用し、最大外部磁場795.8kA/m(10kOe)にて測定した。
【0169】
磁気記録層の塗膜表面の光沢度は、「グロスメーターUGV−5D」(スガ試験機(株)製)を用いて塗膜の45°光沢度を測定して求めた。
【0170】
表面粗度Raは、「surfcom−575A」(東京精密(株)製)を用いてカレンダー後の塗布膜の中心線平均粗さを測定した値で示した。
【0171】
バックコート層、非磁性下地層及び磁気記録媒体の光透過の程度は、「自記光電分光光度計UV−2100」((株)島津製作所製)を用いて測定した光透過率の値を下記式に挿入して算出した線吸収係数で示した。線吸収係数は、その値が大きいほど、光を透しにくいことを示す。
【0172】
尚、光透過率の値を測定するにあたっては、上記磁気記録媒体に用いた非磁性支持体と同一の非磁性支持体をブランクとして用いた。
【0173】
線吸収係数(μm-1)=〔ln(1/t)〕/FT
t:λ=900nmにおける光透過率(−)
FT:測定に用いた磁気記録媒体の塗膜組成物層の厚み(μm)
【0174】
耐久性能である走行耐久時間は、「メディアデュラビリティテスターMDT−3000」(Steinberg Associates社製)を用いて、相対速度16m/sec、負荷1.96N(200gw)における測定値で示した。
【0175】
耐久性能であるヘッド汚染は、「メディアデュラビリティテスターMDT−3000」(Steinberg Associates社製)を用いて、相対速度16m/sec、負荷1.96N(200gw)において、30分間走行させた後のヘッド汚れを目視で観察し、4段階で評価した。Aが最もヘッドの汚れが少ないことを示す。
A:汚れなし
B:若干汚れ有り
C:汚れ有り
D:ひどい汚れ有り
【0176】
バックコート層の表面電気抵抗値は、被測定塗膜を温度25℃、相対湿度60%の環境下に12時間以上曝した後、幅6.5mmの金属製の電極に幅6mmにスリットした塗膜を置き、その両端に各170gのおもりを付け、電極に塗膜を密着させた後、電極間に500Vの直流電圧をかけて測定した値で示した。
【0177】
磁気記録媒体のドロップアウトは、磁気テープを「ドラムテスターBX−3168」(ベルデックス社製)にかけ、相対速度5.8m/secにおいて得られるエンベロープより、単位時間当たりのドロップアウトの個数をカウントすることにより求めた。
【0178】
磁気記録媒体の巻き乱れは、後述する組成より得られた磁気テープ10mのテープリールへの巻き取りを30回繰り返し行い、巻き乱れの状態を目視で観察し、4段階で評価した。Aが最も巻き乱れが少ないことを示す。
A:巻き乱れなし
B:若干巻き乱れ有り
C:巻き乱れ有り
D:ひどい巻き乱れ有り
【0179】
磁気記録媒体のカールは、後述する組成より得られた磁気テープ(幅1.27cm)を平板上に置き、平板から磁気テープの幅方向の両端の浮いた高さを測定し、4段階で評価した。Aが最もカールが少ないことを示す。
A:平板からの磁気テープの幅方向両端の浮き高さが0.5mm未満
B:平板からの磁気テープの幅方向両端の浮き高さが0.5mm以上1.0mm未満
C:平板からの磁気テープの幅方向両端の浮き高さが1.0mm以上2.0mm未満
D:平板からの磁気テープの幅方向両端の浮き高さが2.0mm以上
【0180】
磁気記録媒体を構成する非磁性基体、バックコート層及び磁気記録層の各層の厚みは、下記のようにして測定した。
【0181】
デジタル電子マイクロメーターK351C(安立電気(株)製)を用いて、先ず、非磁性支持体の膜厚(A)を測定する。次に、非磁性支持体と該非磁性支持体上に形成された磁気記録層との厚み(B)(非磁性支持体の厚みと磁気記録層の厚みとの総和)を同様にして測定する。更に、非磁性支持体のもう一方の面にバックコート層を形成することにより得られた磁気記録媒体の厚み(C)(非磁性支持体の厚みと磁気記録層の厚みとバックコート層の厚みとの総和)を同様にして測定する。そして、磁気記録層の厚みは(B)−(A)で示し、バックコート層の厚みは(C)−(B)で示した。
【0182】
また、非磁性支持体と磁気記録層との間に非磁性下地層を設けた場合には、デジタル電子マイクロメーターK351C(安立電気(株)製)を用いて、先ず、非磁性支持体の膜厚(A)を測定する。次に、非磁性支持体と該非磁性支持体上に形成された非磁性下地層との厚み(D)(非磁性支持体の厚みと非磁性下地層の厚みとの総和)を同様にして測定する。更に、非磁性下地層上に磁気記録層を形成することにより得られた磁気記録媒体の厚み(E)(非磁性支持体の厚みと非磁性下地層の厚みと磁気記録層の厚みとの総和)を同様にして測定する。更に、磁気記録層とは反対の非磁性支持体面に設けたバックコート層との厚み(F)(非磁性支持体の厚みと非磁性下地層の厚みと磁気記録層の厚みとバックコート層の厚みとの総和)を同様にして測定する。そして、非磁性下地層の厚みは(D)−(A)で示し、磁気記録層の厚みは(E)−(D)で示し、バックコート層の厚みは(F)−(E)で示した。
【0183】
<板状非磁性複合粒子粉末の製造>
板状ヘマタイト粒子粉末(平均板面径1.0μm、平均厚み0.053μm、板状比18.9、幾何標準偏差値1.46、BET比表面積値21.6m2/g、Si含有量0.13重量%、体積固有抵抗値3.2×108Ω・cm、ミリスチン酸吸着量0.68mg/m2)20kgを、凝集を解きほぐすために、純水150lに攪拌機を用いて邂逅し、更に、「TKパイプラインホモミクサー」(製品名、特殊機化工業(株)製)を3回通して板状酸化鉄粒子粉末を含むスラリーを得た。
【0184】
続いて、この板状ヘマタイト粒子粉末を含むスラリーを横形サンドグラインダー「マイティーミルMHG−1.5L」(製品名、井上製作所(株) 製)を用いて、軸回転数2000rpmにおいて5回パスさせて、板状ヘマタイト粒子粉末を含む分散スラリーを得た。
【0185】
得られた板状ヘマタイト粒子粉末を含む分散スラリーの325mesh(目開き44μm)における篩残分は0%であった。この分散スラリーを濾別、水洗して、板状ヘマタイト粒子粉末のケーキを得た。この板状ヘマタイト粒子粉末のケーキを120℃で乾燥した後、乾燥粉末11.0kgをエッジランナー「MPUV−2型」(製品名、(株)松本鋳造鉄工所製)に投入して、294N/cm(30Kg/cm)で30分間混合攪拌を行い、板状ヘマタイト粒子粉末の凝集を軽く解きほぐした。
【0186】
次に、メチルトリエトキシシラン(商品名:TSL8123:GE東芝シリコーン(株)製)110gを200mlのエタノールで混合希釈して得られるメチルトリエトキシシラン溶液を、エッジランナーを稼動させながら粒子粉末の凝集を解きほぐした上記板状ヘマタイト粒子粉末に添加し、294N/cm(30Kg/cm)の線荷重で30分間混合攪拌を行って、粒子表面にメチルトリエトキシシランが被覆されている板状ヘマタイト粒子粉末を得た。なお、この時の攪拌速度は22rpmであった。
【0187】
次に、カーボンブラック微粒子粉末A(粒子形状:粒状、粒子径0.022μm、幾何標準偏差値1.68、BET比表面積値134m2/g、黒色度L*値16.6、DBP吸油量89ml/100g)1100gを、エッジランナーを稼動させながら10分間かけて添加し、更に294N/cm(30Kg/cm)の線荷重で30分間、混合攪拌を行い、メチルトリエトキシシラン被覆の上にカーボンブラックを付着させて、板状非磁性複合粒子粉末を得た。なお、この時の攪拌速度は22rpmであった。
【0188】
得られた板状非磁性複合粒子粉末を、乾燥機を用いて105℃で60分間加熱処理を行った。この板状非磁性複合粒子粉末は、電子顕微鏡観察の結果、平均板面径が1.0μm、平均厚みが0.054μm、板状比が18.5の板状粒子粉末であった。幾何標準偏差値は1.46、BET比表面積値は28.6m2/g、体積固有抵抗値は5.6×102Ω・cm、ミリスチン酸吸着量は0.21mg/m2、カーボンブラック脱離率は6.8%であり、付着及び接着しているカーボンブラックの総量がC換算で9.05重量%(芯粒子粉末100重量部に対して10重量部に相当する)であって、粒子表面のカーボンブラックの付着厚みは0.0025μmであって、メチルトリエトキシシランから生成するオルガノシラン化合物の被覆量はSi換算で0.15重量%であった。なお、電子顕微鏡観察の結果、カーボンブラックがほとんど認められないことから、カーボンブラックのほぼ全量がメチルトリエトキシシランから生成するオルガノシラン化合物被覆に付着していることが認められた。
【0189】
<バックコート層の製造>
以下に詳述する方法により非磁性支持体上にバックコート層を形成し、バックコート層の諸特性を評価した、上記板状非磁性複合粒子粉末12gと結合剤樹脂溶液(スルホン酸ナトリウム基を有する塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂30重量%とシクロヘキサノン70重量%とからなる)及びシクロヘキサノンとを混合し、プラストミルを用いて30分間混練した。
【0190】
次いで、混練物を取り出し、140mlガラス瓶に1.5mmφガラスビーズ95g、追加結合剤樹脂溶液(スルホン酸ナトリウム基を有するポリウレタン樹脂30重量%、トルエン35重量%、メチルエチルケトン35重量%からなる)及びシクロヘキサノン、トルエン、メチルエチルケトンを添加し、ペイントシェイカーで6時間混合・分散を行った。その後、潤滑剤及び硬化剤を加え、更に、ペイントシェーカーで15分間混合・分散した。
【0191】
得られたバックコート塗料の組成は下記の通りである。
【0192】
得られたバックコート塗料の塗料粘度は435cPであった。
【0193】
次に、得られたバックコート塗料の1部を用いて、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に、スリットコーターを用いて塗布し、乾燥させることによりバックコート層を形成した。
【0194】
得られたバックコート層の塗布厚みは1.0μm、ヤング率(相対値)は113、線吸収係数は2.36μm−1、表面電気抵抗値は6.3×104Ω/cm2であった。
【0195】
<磁気記録媒体の製造>
Co被着型針状マグネタイト粒子粉末(平均長軸径0.22μm、平均短軸径0.031μm、軸比7.1、幾何標準偏差値1.45、BET比表面積値38.9m2/g、保磁力値60.5kA/m(760Oe)、飽和磁化値80.3Am2/kg(80.3emu/g)、Co含有量2.64重量%)100重量部、研磨剤(商品名:AKP−50、住友化学(株)製)1.2g、カーボンブラック(商品名:#3050、三菱化学(株)製)0.06g、結合剤樹脂溶液(スルホン酸ナトリウム基を有する塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂30重量%とシクロヘキサノン70重量%)及びシクロヘキサノンとを混合して混合物(固形分率78%)を得、この混合物を更にプラストミルで30分間混練して混練物を得た。
【0196】
この混練物を140mlガラス瓶に1.5mmφガラスビーズ95g、追加結合剤樹脂溶液(スルホン酸ナトリウム基を有するポリウレタン樹脂30重量%、溶剤(メチルエチルケトン:トルエン=1:1)70重量%)、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン及びトルエンとともに添加し、ペイントシェーカーで6時間混合・分散を行って磁性塗料を得た。その後、潤滑剤及び硬化剤を加え、さらに、ペイントシェーカーで15分間混合・分散した。
【0197】
得られた磁性塗料の組成は下記の通りであった。
【0198】
得られた磁性塗料の塗料粘度は2,304cPであった。
【0199】
上記磁性塗料を目開き1μmのフィルターで濾過した後、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上にスリットコーターを用いて塗布し、次いで、乾燥することによって磁性層を形成させ、常法によりカレンダー処理を行って表面平滑化した。
【0200】
次に、上記磁気テープの磁気記録層とは反対の非磁性支持体面に、前出のバックコート塗料の1部をスリットコーターを用いて塗布し、乾燥させることによりバックコート層を形成した。
【0201】
次いで、上記磁気テープを1.27cm(1/2インチ)の幅に裁断した後、60℃の硬化炉で24時間静置させ、十分に硬化させて、磁気テープを得た。得られた磁気記録層の塗膜の膜厚は3.4μmであった。
【0202】
得られた磁気記録媒体の磁気特性は、保磁力値が64.7kA/m(813Oe)、角型比(Br/Bm)が0.90であった。光沢度は188%、表面粗度Raは6.1nm、線吸収係数は2.66μm−1、耐久性のうち走行耐久時間が30分以上であって、ヘッド汚染がAであり、ドロップアウトが6.3個/msec、巻き乱れがA、カールがAであった。
【0203】
【作用】
本発明において最も重要な点は、バックコート層に含有させる板状非磁性粒子粉末として、板状へマタイト粒子粉末の粒子表面にアルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物又はポリシロキサンが被覆されており、該被覆にカーボンブラックが付着されている平均板面径が0.1〜5.0μmであって、平均厚みが0.001〜0.1μmであって、板状比が5〜100である板状非磁性複合粒子粉末を用いた場合には、走行性能や耐久性能が優れていると共に、ドロップアウトが可及的に少なく、しかも光透過率が小さい薄型磁気記録媒体が得られるという事実である。
【0204】
本発明に係る磁気記録媒体が優れた走行性能や耐久性能を有する理由について、本発明者は、通常は板状であるためにスタッキングを起こして凝集し、バックコート層中で偏在しやすいバックコート層用板状非磁性粒子粉末が、本発明における板状非磁性複合粒子粉末の場合、板状へマタイト粒子表面にアルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物被覆又はポリシロキサン被覆を介してカーボンブラックが均一且つ緻密に付着されているため、個々の粒子の粒子表面に凹凸が生じることによって板状非磁性複合粒子相互間の面接触が抑制され、バックコート層中で長手方向及び幅方向の両方向に一様に配列された状態で存在するために、磁気テープの長手方向及び幅方向の両方向ともにより高いスティフネスを付与することが可能となるとともに、磁気テープのカール現象等を抑制できるためと考えている。
【0205】
殊に、芯粒子内部にSi化合物を含有している本発明における板状非磁性複合粒子粉末の場合には、粒子表面へのミリスチン酸吸着量を特定範囲内に効果的に制御することができるため、ミリスチン酸の適量が調整されながら表面に浸み出すことにより、より安定した走行性能や耐久性能が得られると考えている。
【0206】
本発明に係る磁気記録媒体のドロップアウトが低減できた理由について、本発明者は次のように考えている。即ち、通常、バックコート層中には、カーボンブラック微粒子粉末が固形潤滑剤として添加されており、該カーボンブラック微粒子粉末は微粒子であり凝集体として挙動するので分散が困難でバインディングしにくく、その結果、バックコート層表面から脱離しやすいものであるため、ドロップアウトの原因の一つとなりやすいのに対し、本発明における板状非磁性複合粒子粉末の場合には、カーボンブラックがアルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物被覆又はポリシロキサン被覆を介して板状へマタイト粒子表面に強固に付着されているため、バックコート層表面から脱離するカーボンブラックを可及的に低減できる。
【0207】
なお、本発明における板状非磁性複合粒子粉末の粒子表面から脱離するカーボンブラックが少ない理由について、本発明者は、アルコキシシランを用いた場合には、ヘマタイト粒子粉末の粒子内部や粒子表面に含有されているSi、Al、Fe等の金属元素とカーボンブラックが付着しているアルコキシシランが有しているアルコキシ基との間で、メタロキサン結合(≡Si−O−M(但し、Mは、ヘマタイト粒子に含まれているSi、Al、Fe等の金属原子である。))が形成されることにより、カーボンブラックが付着しているオルガノシラン化合物が板状ヘマタイト粒子粉末の粒子表面に強固に結合するためと考えている。
【0208】
また、ポリシロキサンを用いた場合には、カーボンブラックが付着しているポリシロキサンが有している各種官能基が、板状ヘマタイト粒子粉末の粒子表面へ強固に結合するためと考えている。
【0209】
本発明に係る磁気記録媒体の光透過率が小さい理由について、本発明者は、通常は微粒子粉末であることに起因して、凝集体として挙動するカーボンブラック微粒子粉末が、板状ヘマタイト粒子粉末の粒子表面にアルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物被覆又はポリシロキサン被覆を介して均一且つ緻密に付着されていることによって、カーボンブラックがより効果的に機能しているためと考えている。
【0210】
【実施例】
次に、実施例並びに比較例を挙げる。
【0211】
芯粒子1〜5
公知の製造方法で得られた各種の板状ヘマタイト粒子粉末を準備し、前記発明の実施の形態と同様にして凝集が解きほぐされた板状ヘマタイト粒子粉末を得た。
【0212】
この板状ヘマタイト粒子粉末の諸特性を表1に示す。
【0213】
【表1】
【0214】
芯粒子6
芯粒子1の凝集が解きほぐされた板状ヘマタイト粒子粉末20kgと水150lとを用いて、前記発明の実施の形態と同様にして板状ヘマタイト粒子粉末を含むスラリーを得た。得られた板状ヘマタイト粒子粉末を含む再分散スラリーのpH値を、水酸化ナトリウム水溶液を用いて10.5に調整した後、該スラリーに水を加えスラリー濃度を98g/lに調整した。このスラリー150lを加熱して60℃とし、このスラリー中に1.0mol/lのアルミン酸ナトリウム溶液5444ml(板状ヘマタイト粒子粉末に対してAl換算で1.0重量%に相当する)を加え、30分間保持した後、酢酸を用いてpH値を7.5に調整した。この状態で30分間保持した後、濾過、水洗、乾燥、粉砕して粒子表面がアルミニウムの水酸化物により被覆されている板状ヘマタイト粒子粉末を得た。
【0215】
この時の主要製造条件を表2に、得られた板状ヘマタイト粒子粉末の諸特性を表3に示す。
【0216】
尚、表面処理工程における被覆物の種類のAはアルミニウムの水酸化物であり、Sはケイ素の酸化物を表わす。
【0217】
【表2】
【0218】
【表3】
【0219】
芯粒子7〜10
芯粒子粉末の種類、表面処理工程における添加物の種類、量を種々変えた以外は、芯粒子6と同様にして表面処理済板状ヘマタイト粒子粉末を得た。
【0220】
この時の主要処理条件を表2に、得られた表面処理済板状ヘマタイト粒子粉末の諸特性を表3に示す。
【0221】
<板状非磁性複合粒子粉末の製造>
実施例1〜12、比較例1〜3
芯粒子粉末の種類、被覆工程におけるアルコキシシラン、ポリシロキサン添加の有無、種類、添加量及びエッジランナー処理条件、カーボンブラックの付着工程におけるカーボンブラック微粒子粉末の種類、添加量及びエッジランナーによる処理条件を種々変えた以外は、前記発明の実施の形態と同様にして板状非磁性複合粒子粉末を得た。実施例1〜12の各実施例で得られた板状非磁性複合粒子粉末は、電子顕微鏡観察の結果、カーボンブラックがほとんど認められないことから、カーボンブラックのほぼ全量がアルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物被覆又はポリシロキサン被覆に付着していることが認められた。
【0222】
使用したカーボンブラック微粒子粉末A乃至Fの諸特性を表4に示す。
【0223】
【表4】
【0224】
この時の主要処理条件を表5に、得られた板状非磁性複合粒子粉末の諸特性を表6に示す。
【0225】
なお、実施例8〜10の各実施例で使用されている添加物は、いずれもポリシロキサンである。「TSF484」(商品名:GE東芝シリコーン(株)製)はメチルハイドロジェンポリシロキサンであり、「BYK−080」(商品名:ビックケミー・ジャパン(株)製)は変成ポリシロキサンであり、「TSF−4770」(商品名:GE東芝シリコーン(株)製)は末端カルボキシル変成ポリシロキサンである。
【0226】
【表5】
【0227】
【表6】
【0228】
<バックコート層の製造>
バックコート層1〜21
非磁性粒子粉末の種類、カーボンブラック微粒子粉末の添加の有無及び添加量を種々変化させた以外は、前記本発明の実施の形態と同様にしてバックコート層を得、バックコート層の諸特性を評価した。
【0229】
バックコート層の製造条件を表7に、得られたバックコート層の諸特性を表8に示す。
【0230】
【表7】
【0231】
【表8】
【0232】
<磁気記録媒体の製造>
実施例13〜24、比較例4〜12
バックコート層の種類及び磁性粒子粉末の種類を種々変化させた以外は、前記本発明の実施の形態と同様にして磁気記録媒体を得た。
【0233】
使用した磁性粒子粉末1乃至3の諸特性を表9に示す。
【0234】
なお、磁性粒子3は板状磁性粒子粉末であり、表9中の平均長軸径は、「板面径」を「平均短軸径」は厚みを、軸比は「板状比」を意味する。
【0235】
【表9】
【0236】
実施例13〜24及び比較例4〜12の磁気記録媒体の製造条件を表10に、得られた磁気記録媒体の諸特性を表11及び表12に示した。
【0237】
【表10】
【0238】
【表11】
【0239】
【表12】
【0240】
<非磁性下地層の製造>
非磁性粒子1〜6
公知の製造方法で得られた各種の非磁性粒子粉末の諸特性を表13に示す。
【0241】
【表13】
【0242】
下地層1
表13に示す非磁性粒子1 12gと結合剤樹脂溶液(スルホン酸ナトリウム基を有する塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂30重量%とシクロヘキサノン70重量%)及びシクロヘキサノンとを混合して混合物(固形分率72%)を得、この混合物を更にプラストミルで30分間混練して混練物を得た。
【0243】
この混練物を1.5mmφガラスビーズ95g、追加の結合剤樹脂溶液(スルホン酸ナトリウム基を有するポリウレタン樹脂30重量%、溶剤(メチルエチルケトン:トルエン=1:1)70重量%)、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン及びトルエンとともに140mlガラス瓶に添加し、ペイントシェーカーで6時間混合・分散を行って塗料組成物を得た。その後、潤滑剤を加え、更に、ペイントシェーカーで15分間混合・分散した。
【0244】
得られた非磁性塗料の組成は、下記の通りであった。
【0245】
【0246】
次いで、上記非磁性塗料を厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上にスリットコーターを用いて塗布し、次いで、乾燥させることにより非磁性下地層を形成した。
【0247】
この時の主要製造条件及び得られた非磁性下地層の諸特性を表14に示す。
【0248】
【表14】
【0249】
下地層2〜6
非磁性粒子粉末の種類を種々変えた以外は、下地層1と同様にして非磁性下地層を得た。
【0250】
この時の主要製造条件及び得られた非磁性下地層の諸特性を表14に示す。
【0251】
<非磁性下地層を有する磁気記録媒体の製造>
実施例25
Co被着型針状マグネタイト粒子粉末(平均長軸径0.22μm、平均短軸径0.031μm、軸比7.1、幾何標準偏差値1.45、BET比表面積値38.9m2/g、保磁力値60.5kA/m(760Oe)、飽和磁化値80.3Am2/kg(80.3emu/g)、Co含有量2.64重量%)100重量部、研磨剤(商品名:AKP−50、住友化学(株)製)1.2g、カーボンブラック(商品名:#3050、三菱化学(株)製)0.06g、結合剤樹脂溶液(スルホン酸ナトリウム基を有する塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂30重量%とシクロヘキサノン70重量%)及びシクロヘキサノンとを混合して混合物(固形分率78%)を得、この混合物を更にプラストミルで30分間混練して混練物を得た。
【0252】
この混練物を140mlガラス瓶に1.5mmφガラスビーズ95g、追加結合剤樹脂溶液(スルホン酸ナトリウム基を有するポリウレタン樹脂30重量%、溶剤(メチルエチルケトン:トルエン=1:1)70重量%)、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン及びトルエンとともに添加し、ペイントシェーカーで6時間混合・分散を行って磁性塗料を得た。その後、潤滑剤及び硬化剤を加え、さらに、ペイントシェーカーで15分間混合・分散した。
【0253】
得られた磁性塗料の組成は下記の通りであった。
【0254】
得られた磁性塗料を目開き1μmのフィルターで濾過した後、下地層1の上にスリットコーターを用いて塗布し、磁場中において配向・乾燥し、次いで、常法によりカレンダー処理を行って表面平滑化した。
【0255】
次に、前記磁気テープの磁気記録層とは反対の非磁性支持体面に、バックコート層1のバックコート塗料を、スリットコーターを用いて塗布し、乾燥させることによりバックコート層を形成した。
【0256】
次いで、前記磁気テープを1.27cm(1/2インチ)の幅に裁断した後、60℃の硬化炉で24時間静置させ、十分に硬化させて、磁気テープを得た。
【0257】
この時の主要製造条件を表15に、得られた磁気記録媒体の諸特性を表16に示す。
【0258】
実施例26〜36、比較例13〜21
バックコート層の種類、非磁性下地層の種類及び磁性粒子粉末の種類を種々変えた以外は、実施例25と同様にして磁気記録媒体を得た。
【0259】
実施例26〜36、比較例13〜21の磁気記録媒体の製造条件を表15に、得られた磁気記録媒体の諸特性を表16及び表17に示した。
【0260】
【表15】
【0261】
【表16】
【0262】
【表17】
【0263】
【発明の効果】
本発明に係る磁気記録媒体は、ビヒクル中における分散性が優れているとともに、ミリスチン酸吸着量が抑制された板状非磁性複合粒子粉末をバックコート層用非磁性粒子粉末として用いることにより、優れた走行性と耐久性を有しているとともに、ドロップアウトが可及的に少なく、しかも光透過率が小さいので、薄型磁気記録媒体として好適である。
Claims (3)
- 非磁性支持体と該非磁性支持体の一方の面に形成される磁性粒子粉末及び結合剤樹脂を含む磁気記録層と上記非磁性支持体の他方の面に形成される板状非磁性粒子粉末及び結合剤樹脂を含むバックコート層とからなる磁気記録媒体において、上記板状非磁性粒子粉末として、板状ヘマタイト粒子粉末を芯粒子粉末とし、該芯粒子粉末の粒子表面にアルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物又はポリシロキサンが被覆されオルガノシラン化合物又はポリシロキサンの被覆量が該被覆板状ヘマタイト粒子粉末に対し、Si換算で0.02〜5.0重量%であり、該被覆の少なくとも1部に上記芯粒子粉末100重量部に対して1〜30重量部のカーボンブラックが付着されている平均板面径が0.1〜5.0μmであって、平均厚みが0.001〜0.1μmであって、板状比が5〜100である板状非磁性複合粒子粉末を使用することを特徴とする磁気記録媒体。
- 芯粒子粉末が、アルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化物から選ばれた1種又は2種以上の化合物で粒子表面が被覆されている板状ヘマタイト粒子粉末である請求項1記載の磁気記録媒体。
- 非磁性支持体と磁気記録層との間に非磁性粒子粉末及び結合剤樹脂を含む非磁性下地層が形成されている請求項1又は請求項2記載の磁気記録媒体。
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