JP4530241B2 - 車両用空調ダクト - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、乗用車などで装備している空調ダクトに適用される車両用空調ダクトに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車の快適性向上のため車室内の騒音低減対策がなされ、かなり静かになってきた。ところが、空気騒音については風向板で発生する風切り音等が主な原因になっていることから、なかなか有効な手立てを講じることができなかった。空気騒音では風向板によるエオルス音(カルマン渦音)や乱流音などがある。特に、エオルス音は特定の周波数帯成分(卓越成分)の音だけが大きく、卓越音となって非常に耳障りなものとなり、不快感を与えてきた。図5に示すごとく、円柱7や柱状体の周りを流れる流体u(空気など)は円柱7から渦8を発生し、それが引き起こす周期的な圧力変動が音を発生させている。カルマン渦音と呼ばれるものである。
特定の周波数だけの音を下げる対策としては、エンジンの吸気ダクトに用いられているレゾネータがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、レゾネータを空調ダクトに適用した場合、風uが乗員側(出口側)に流れてくるため、レゾネータの連通管部のくぼみGで発生したキャビティ音が乗員側に伝わりやすく、狙いの周波数とは別の周波数成分の音が発生してしまい、十分な効果を得ることができなかった(図6)。キャビティ音の発生メカニズムは空洞Gの入口部が剪断流により渦流れと音波のフィードバックループができ、音が発生するといわれている。
他に、ウレタン等の吸音材をダクト内側に貼る方法があるが、その吸音特性は広帯域であり、特定の周波数成分だけの音を吸音するというわけにいかなかった。その結果、やはり特定周波数成分の音だけが耳障りになり、十分な効果が得られなかった。また、吸水等による経時変化で吸音特性が低下し、空調騒音が悪化する虞れがあった。
【0004】
本発明は上記問題点を解決するもので、卓越音の発生を抑えて、レゾネータの性能をいかんなく発揮できる車両用空調ダクトを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく、請求項1に記載の発明の要旨は、レゾネータ付きの車両用空調ダクトにおいて、ダクト本体(1)の上流域からレゾネータ(2)に通じるダクト本体(1)の開口(c)に近づくにしたがってダクト本体(1)内へ徐々に入り込み、且つ該レゾネータ(2)の連通口(f)に到達した地点(T)で最も深くダクト本体内(O)へ入り込む突出部(15)を形成し、さらに該突出部(15)の斜面(151)がダクト本体内(O)へ入り込むその上昇角度(θ 3 )を1.5°〜5°の範囲とする一方、該突出部(15)の頂点(T)と前記開口(c)の最下流に位置する周縁地点(12)とを結ぶ直線(m 2 )が、ダクト本体(1)の中心軸(n)に対し1.5°〜5°の角度(θ 2 )の範囲でダクト下流側外方に広がることを特徴とする車両用空調ダクトにある。
【0006】
請求項1の発明のごとく、ダクト本体(1)の上流域からレゾネータ(2)に通じるダクト本体(1)の開口(c)に近づくにしたがってダクト本体(1)内へ徐々に入り込み、且つ該レゾネータ(2)の連通口(f)に到達した地点(T)で最も深くダクト本体内(O)へ入り込んで突出部(15)を形成すると、ダクト本体の開口縁を含む面が流体の下流側に向けてダクト本体の外方へ広がる格好になるので、ダクト内を流れる流体が連通管内に流れ込み難くなりキャビティ音が発生しなくなる。突出部(15)の斜面(151)がダクト本体内(O)へ入り込むその上昇角度(θ 3 )を1.5°〜5°の範囲とするのは、角度(θ 3 )が5°を越えると、ダクト壁面から剥離流れを発生させ、またそれに伴う通風面積の減少によるダクトの流れ抵抗増加や乱流が発生し、風切り音の悪化という不具合を招くからである。
また、突出部(15)の頂点(T)と前記開口(c)の最下流に位置する周縁地点(12)とを結ぶ直線(m 2 )が、ダクト本体(1)の中心軸(n)に対し1.5°〜5°の角度(θ 2 )の範囲でダクト下流側外方に広がると、ダクト壁面からの剥離流や乱流も発生しないようになり、レゾネータ設置で派生する騒音(卓越音等)が抑えられ、レゾネータのもつ騒音低減威力が十分に発揮される。直線(m 2 )がダクト本体(1)の中心軸(n)に対しダクト本体(1)の下流側に向け角度5°以下に設定されると、ダクト壁面からの剥離流れの発生を抑えることができるので、レゾネータの取着で誘発される新たな騒音を一切排除できる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る車両用空調ダクトについて詳述する。
図1〜図4は車両用空調ダクトの一形態で、図1はヘルムホルツ型レゾネータを用いた車両用空調ダクトの一部分を示す参考縦断面図、図2は本発明の車両用空調ダクトの一部分を示す縦断面図、図3は図1の車両用空調ダクトと従来品との性能比較グラフ、図4は(イ)がヘルムホルツ型レゾネータを用いた車両用空調ダクトの一部分を示す断面説明図、(ロ)がサイドブランチ型レゾネータを用いた車両用空調ダクトの一部分を示す断面説明図を示す。
【0008】
図1の車両用空調ダクトはヘルムホルツ型のレゾネータ付きダクトである。ダクト本体1は、エアコンユニットで発生する冷風,温風を所定のインストルメントパネルに設けられたベント吹き出し口まで導くダクトである。図1はレゾネータ2と連結するダクト本体1の一部を図示し、ダクト本体内Oを空調エア(流体)が右方向へ流れるものとする。すなわち、図1のダクト本体1の左方を上流側、右方を下流側とする。
【0009】
レゾネータ2は所定大きさのボックス状のレゾネータ本体2aとこれをダクト本体1につなぐ連通管2bとからなる。レゾネータ空洞部21が連通管空洞部22を介してダクト本体内Oに導通し、ヘルムホルツの共鳴原理を応用してダクト本体内Oの特定周波数の音を低減させる。
【0010】
しかして、レゾネータ2に通じるダクト本体1の開口cの周縁10が上流側開口縁部分より下流側開口縁部分の方を外方へ張り出すようにして、ダクト本体1が形成されている。より詳しくは、連通管2bに通じるダクト本体1の開口cの周縁10に関し、流体の上流側にあたる開口縁部分より流体の下流側にあたる開口縁部分の方をダクト本体1の外方へ張り出すようにして連通管2bと連結させている。少なくとも、連通管2bと接続する付近では、ダクト本体1が横断面同形で進むのでなく、下流側ダクト部分が上流側ダクト部分よりダクト本体1の外方へ膨出する格好になっている。
【0011】
そして、前記開口cの最上流に位置する周縁地点11と最下流に位置する周縁地点12とを結ぶ直線m1が、ダクト本体1の中心軸nに対し角度θ1でダクト本体1の下流側に広がるようにしている。最下流開口周縁地点12は最上流開口周縁地点11よりダクト本体1の外方へ長さαだけ膨出する。見方を変え、図1のごとくレゾネータ2を縦割りニ分割し且つダクト中心軸nを含む縦断面にすると、ダクト本体1につながる連通管2bの連結部分は、ダクト上流側接合点23とダクト下流側接合点24を結んだ直線m1が、ダクト本体1の中心軸n(流体の流れ方向V)に対し角度θ1でダクト下流側外方に広がる形になっている。連通管2bの横断面が円形の場合、ダクト上流側接合点23とダクト下流側接合点24を含む連通管2bの空洞端面(すなわちレゾネータ2の連通口fにつながるダクト本体1の開口縁10)の形は楕円形となる。該楕円形がつくる面はダクト本体内Oを流れる流体の流れ方向Vに対し角度θ1でダクト下流側外方へ広がる。
【0012】
前記角度θ1は1.5°〜5°の範囲に設定するのが好ましいとされる。角度θ1が1.5°未満になると、ダクト本体内Oを流れるエア(流体)が連通管空洞部22内へ流れ込み、キャビティ音を発生させるからである。一方、角度θ1が5°を越えるようになると、ダクト本体1の壁面から剥離流れが発生し、それに伴う通風有効面積の減少による流れ抵抗の増加で空調性能を低下させたり、また乱流が発生し、それが風向板での風切り音の悪化要因になったりする不具合が生じるからである。
【0013】
図2は本発明の車両用空調ダクトを表したものである。該車両用空調ダクトは、ダクト本体1の上流域からレゾネータ2に通じるダクト本体1の開口cに近づくにしたがってダクト本体内Oへ徐々に入り込む突出部15を形成している。
流体上流側から下流側へ向かうダクト本体1は、レゾネータ2の連通口fにつながる手前付近で、緩やかな傾斜面151を描いてダクト本体内Oへ入り込み、レゾネータ2の連通口fに到達した地点Tで最も深くダクト本体内Oへ入り込んで突出部15を形成する。ダクト本体1の開口cの最上流に位置する周縁地点11で最も深くダクト本体内Oへ入り込んでいる。
【0014】
突出部15は縦断面が図2のごとく右肩上がりの斜面151を形成する。突出部15の高さは連通管2bの大きさによって異なるが、該突出部15の頂点Tと前記開口cの最下流に位置する周縁地点12とを結ぶ直線m2が、ダクト本体1の中心軸n(流体の流れ方向V)に対し角度θ2でダクト下流側外方に広がる形になっている。突出部15の頂点Tは開口cの最上流に位置する周縁地点11でもある。角度θ2はθ1と同様の理由から1.5°〜5°の範囲に設定するのが好ましい。
前記突出部15の斜面151がダクト本体内Oへ入り込むその上昇角度θ3はダクト直管部長さ,製作のし易さ等を鑑みれば約5°(範囲としては1.5°〜5°)が望ましい。角度θ3が5°を越えると、ダクト壁面から剥離流れを発生させ、またそれに伴う通風面積の減少によるダクトの流れ抵抗増加や乱流が発生し、風切り音の悪化という不具合を招く。
【0015】
次に、図1のレゾネータ付きの車両用空調ダクトについて、単にレゾネータ2をダクト本体1に取り付けた従来例およびレゾネータ2なしの従来例とを比較した性能試験結果を図3に示す。同図によれば、レゾネータ付きの従来品は1030Hz付近のところでレゾネータ2を取着したことによるキャビティ音が発生するが、図1の車両用空調ダクトはその騒音悪化を解消する。そして、図1の車両用空調ダクトがほぼ1000Hzの箇所でレゾネータ2を設けた効果を十二分に発揮しているのが読み取れる。
【0016】
ところで、図1,図2ではヘルムホルツ型レゾネータ2について言及したが、サイドブランチ型レゾネータ2についても、同様の構成を採ることにより同じ作用,効果を得る。
例えば、図4(イ)は従来のヘルムホルツ型レゾネータ付き車両用空調ダクトを矢印下方のヘルムホルツ型の図1相当品にした概略断面図であるが、図4(ロ)のごとく従来のサイドブランチ型レゾネータ付き車両用空調ダクトを矢印下方の図1相当品たるサイドブランチ型レゾネータ付き車両用空調ダクトにすることができる。図4で図1に示す同一符号は同一部分又は相当部分を示し、その詳述を省く。また、図示を省略するが、図2に対応するサイドブランチ型レゾネータ付き車両用空調ダクトにすることも可能である。
【0017】
このように構成した車両用空調ダクトは、レゾネータ2に通じる開口cを形成するダクト本体1の開口縁10が風下方向に対しダクト外方へ広がっているので、ダクトを流れる流体がレゾネータ2(連通管2b)内へ入り難くなり、キャビティ音の発生を抑えることができる。開口cの最上流に位置する周縁地点11と最下流に位置する周縁地点12とを結ぶ直線m1,m2が、ダクト本体1の中心軸nに対しダクト本体1の下流側に向け角度1.5°以上でダクト外方へ広がるようにすると、ダクト内Oを流れる流体が連通管空洞部22,レゾネータ空洞部21に入り込むのをほぼ完璧に防げるので、キャビティ音の発生はなくなる。さらに前記直線m1,m2がダクト本体1の中心軸nに対しダクト本体1の下流側に向け角度5°以下に設定されると、ダクト壁面からの剥離流れの発生を抑えることができるので、レゾネータ2の取着で誘発される新たな騒音を一切排除できる。
従って、レゾネータ本来の性能を発揮でき、空調騒音を低減できる車両用空調ダクトを提供できる。そして、レゾネータ2の設定周波数はレゾネータ2の連通管2b長さ,直径,レゾネータ本体2aのタンク容量等を変更することにより自在に設定可能であり、様々な車両に対応できるようになる。また、ウレタン等の吸音材と異なり、狙いとする周波数成分の音だけを低減でき、耳障りな空調騒音の発生を抑えることができる。経時変化による性能低下も全くなく、長期間に亘って性能を維持することができる。
【0018】
尚、本発明においては、前記実施形態に示すものに限られず、目的,用途に応じて本発明の範囲で種々変更できる。ダクト本体1,レゾネータ2等の形状,大きさ,それらの材質等は用途に合わせて適宜選択できる。
【0019】
【発明の効果】
以上のごとく、本発明の車両用空調ダクトは、卓越音等の発生を抑えて、レゾネータの性能を存分に生かすことができ優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考形態で、ヘルムホルツ型レゾネータを用いた車両用空調ダクトの一部縦断面図である。
【図2】 本発明の車両用空調ダクトの一部縦断面図である。
【図3】 図1の車両用空調ダクトと従来品との性能比較図である。
【図4】 (イ)がヘルムホルツ型レゾネータを用いた車両用空調ダクトの一部断面説明図、(ロ)がサイドブランチ型レゾネータを用いた車両用空調ダクトの一部断面説明図である。
【図5】 円柱の後方で渦ができる模様を示す説明図である。
【図6】 くぼみで発生するキャビティ音の様子を示す説明図である。
【符号の説明】
1 ダクト本体
10 開口周縁
11 最上流に位置する周縁地点
12 最下流に位置する周縁地点
15 突出部
151 斜面
2 レゾネータ
c 開口
f 連通口
m 2 直線
n ダクト本体の中心軸
O ダクト本体内
T 突出部の頂点(ダクト本体の上流域から連通口に到達した地点)
θ 2 直線m 2 がダクト本体の中心軸に対しダクト下流側外方に広がる角度
θ 3 突出部の斜面がダクト本体内へ入り込むその上昇角度
Claims (1)
- レゾネータ付きの車両用空調ダクトにおいて、ダクト本体(1)の上流域からレゾネータ(2)に通じるダクト本体(1)の開口(c)に近づくにしたがってダクト本体(1)内へ徐々に入り込み、且つ該レゾネータ(2)の連通口(f)に到達した地点(T)で最も深くダクト本体内(O)へ入り込む突出部(15)を形成し、さらに該突出部(15)の斜面(151)がダクト本体内(O)へ入り込むその上昇角度(θ 3 )を1.5°〜5°の範囲とする一方、該突出部(15)の頂点(T)と前記開口(c)の最下流に位置する周縁地点(12)とを結ぶ直線(m 2 )が、ダクト本体(1)の中心軸(n)に対し1.5°〜5°の角度(θ 2 )の範囲でダクト下流側外方に広がることを特徴とする車両用空調ダクト。
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