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JP4530693B2 - アルカリ二次電池 - Google Patents
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本発明は、負極活物質にマンガンを含んだアルカリ二次電池に関し、特に、長期使用時における自己放電特性低下とショート発生の抑制技術に関する。
近年、アルカリ二次電池は、繰り返し使用可能な二次電池としてポータブル機器だけでなく、電動工具、または電気自動車やハイブリッド電気自動車などのように、短時間に大電流を充放電することができる電源として注目されている。特に、水酸化ニッケルを主体とした活物質からなる正極と、水素吸蔵合金を活物質とした負極とを備えるニッケル水素二次電池(以下、「電池」と記す。)はエネルギー密度が高く、信頼性に優れた二次電池として急速に普及している。
アルカリ二次電池構造としては円筒電極体が多く利用されている。これはセパレータを介して帯状の正極板と負極板を渦巻状に巻回してなる電極体を電解液とともに外装体に挿入する方式である。アルカリ二次電池は、大電流放電を目的とした利用も増えているので、多くの電力供給を実施するために様々な開発が行われ、正極、負極の各々の極板面積を大きくして対向する面積を増やすことにより大電流を放電できることが解っている(例えば、特許文献1)。さらに、正極板活物質の導電性を高めるため、正極活物質にコバルト化合物などが添加され、負極板活物質にはコバルトやマンガンなどを含む水素吸蔵合金が用いられることも多い。
しかし、電池には、充放電サイクルを繰り返すと、自己放電特性が悪くなるという問題がある。これは、正極及び負極から溶出した金属成分がセパレータ上に析出して導電パスを形成してしまうことが、自己放電特性を悪化する要因だと考えられている。
例えば、水酸化ニッケルを主成分としたコバルト化合物を含む正極と、マンガンを含む水素吸蔵合金を活物質とした負極からなる電池では、充放電の繰り返しによる正極からのコバルト溶出と、水素吸蔵合金の酸化によるマンガン溶出により、セパレータ上にコバルト・マンガン化合物が析出する。それによって、電池は自己放電特性が悪化し、やがてはショートに至る。これでは電池の長期的信頼性に欠けてしまうので、この化合物析出量を抑制するために水素吸蔵合金のマンガン含有量を低減することが提案されている。
特開2002-170548号公報
しかしながら、水素吸蔵合金のマンガン含有量を低減すると、セパレータ上のコバルト・マンガン化合物の析出量は低減されるので電池の自己放電特性は向上するものの、逆にコバルト含有率が高いコバルト・マンガン化合物の析出を生じやすくなる。生成された当該化合物は導電性が高く、特に短時間で大電流充放電を繰り返すような場合、コバルトリッチなコバルト・マンガン化合物の析出量増大を誘発しやすい傾向がある。上記条件で長期にわたって大電流充放電を行うと、電池内で突発的にショートが発生し、充放電不能になって電源機能を失うのに加え、電池内部におけるショート電流によって電池が過剰発熱し、使用者に危険を招くケースが増えてしまう。
本発明は以上の課題に鑑みて、水素吸蔵合金に含有されるマンガン量を低減し、かつ大電流を充放電するような電池を長期にわたって使用する場合においても、電池の自己放電特性の低下を抑制しつつ、かつ突発的なショートの発生を防止することができる電池を提供することを目的とする。
本願発明では、以下のようにして上記課題の解決手段を採ることとする。
コバルト化合物を含む帯状の正極板と、マンガンを含む活物質を有する負極板がセパレータを挟んで長手方向に巻回されてなる電極体を有するアルカリ二次電池であって、前記マンガン含有量は当該負極活物質に対して最大で3.0質量%であり、前記正極板と前記負極板は、互いの重畳領域において、長手方向と短手方向の長さの比を少なくとも15とする。
前記負極板は芯体に前記活物質が充填されてなり、芯体短手方向両端部のいずれかには芯体露出部が設けられており、当該芯体露出部に対して板状の集電体が溶接されている。また、前記正極板は芯体にも前記活物質が充填されてなり、芯体短手方向両端部のいずれかには芯体露出部が設けられており、前記正極板と前記負極板のそれぞれの前記芯体露出部が前記セパレータの短手方向上下端部から突出し、それぞれの突出されている前記芯体露出部に対して板状の前記集電体が溶接されている。
また、短手方向におけるセパレータ両端部付近に局部的なコバルト・マンガン化合物が析出される現象は、中・大電流用途に用いられるような極板が芯体端部で直接的に集電体に溶接される構造の中で特に顕著にみられる。これらのことからも、負極板の芯体の短手方向端部に板状の集電体が溶接されている構造がより好ましいのである。
また、本願発明は巻回型電極体に限定したものではなく、正負極板の重畳領域の長手方向の長さと短手方向の長さの比さえ上述範囲を満たしていれば、積層型電極体にも適用できる。
本発明者らは、上記突発的なショートの発生原因を発見した。これに関して、巻回される電極体を形成する正極板、負極板及びセパレータの概略平面図を示す図2を用いて説明する。なお、図2において、X方向が正極板11、負極板13、セパレータ12が帯状の短手方向であり、Z方向が巻回される方向とする。
水素吸蔵合金に含まれるマンガン量を減少させた状態で、大電流を充放電する電源として電池を長期間にわたって繰り返し使用して、上述のようにショートした電池について調べると、図2のように、セパレータ12におけるZ方向の両端部付近にコバルトリッチなコバルト・マンガン化合物14aが局部的に析出されており、これが電池の上記突発的なショート発生を招いていることが解った。また、このようなマンガン化合物14aの発生は極板に流れる電流密度と関係があることも解った。すなわち、上記極板での電流密度の不均一な分布、つまり、負極板13のZ方向両端部のいずれかには集電体が溶接されるので、正極板11と負極板13が重畳する領域ではZ方向における両端部で電流密度が高くなっていることが、コバルトリッチなマンガン化合物の発生の要因だと考えられる。なお、この不均一な電流密度が発生する現象は、小電流を充放電するような場合には目立つものではなく、大電流を充放電するような場合に顕著に現れるものである。
本願発明では負極活物質である水素吸蔵合金のマンガン含有量を最大でも3.0質量%とすることで、電池の自己放電特性が良好となる。それとともに、帯状の形状を有する正極板と負極板の重畳部分において、長手方向の長さと短手方向の長さの比を少なくとも15にすることで、大電流充放電を長期間にわたって繰り返し行う電源とする場合でも、コバルトリッチなコバルト・マンガン化合物が集電体溶接付近に高い密度で析出するのを防ぐことができるため、電池内での突発的なショート発生を防止することができる。これは、当該重畳領域の長手方向の長さが長くなり、かつ短手方向の長さが短くなるので、長手方向の単位長さ当たりの電流密度の値が小さくなるためと考えられる。以上の点から、本願発明の構成を有する電池における自己放電の性能を良好にするとともに、電池の寿命低下を抑制することに繋がる。
(電池の構成)
本実施の形態について図1、図2を用いて説明する。図1は巻回されてなる電極体10の要部展開斜視図である。また、図2は電池を、長期間にわたって大電流放電用の電源として使用した後に、展開された正極板、負極板、セパレータを示す概略平面図である。なお、図2においては、セパレータ12上には析出されたコバルトリッチなコバルト・マンガン化合物14bが重畳領域に略均一な分布で析出されている。極板の長手方向をX方向とし、短手方向をZ方向としている。そして、正極板11、負極板13、セパレータ12、及び正極板11と負極板13の重畳領域における帯状の各辺について、Z方向を短辺、X方向を長辺と呼ぶこととし、短辺長さに対する長辺長さの比率(=長辺長さ/短辺長さ)を長短辺比と呼ぶこととする。ただし、図2においては、便宜上、その正極板11、負極板13及びセパレータの相対的な位置関係についてはセパレータ12がより効果的に表現できるように模式的な図面にしている。
(電極体10の構成と作製)
電極体10は、図1に示すような帯状の形状を有する正極板11、負極板13がセパレータ12を介して渦巻状に形成されてなる構成を有している。X方向を軸方向とし、正極板11、負極板12及びセパレータ13の長手方向をZ方向としている。
また、集電体4が電極体10のX方向両端部に接合されるので、負極板13における集電体4との溶接点がX方向両端部のいずれかに設けられることとなる。
多孔性ニッケル焼結基板をニッケル(Ni)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)を含む硝酸塩水溶液中に含漬後、恒温アルカリ水溶液に浸漬し、ついで乾燥する手順を複数回繰り返して混合水酸化物を形成させる。そして、短辺を活物質未充填部1.0mmを有した幅49.5mmとし、長辺となる長さを730mmとした寸法に切断して作製されるものを正極板11とする。
マンガン含有量2.6質量%で表される水素吸蔵合金を不活性ガス雰囲気中で1100℃にて熱処理した後、重量平均粒径が25?となるように粉砕し、0.6質量%のPVP(ポリビニルピロリドン)と0.5質量%のPEO(ポリエチレンオキシド)と適量の純水を混合してスラリーとし、パンチングメタルに塗着・乾燥・圧延して形成させる。そして、短辺となる活物質未充填部1.0mmを有した幅49.5mmとし、長辺となる長さを800mmした寸法に切断して作製されたものを負極板13とする。
そして、上記のように作製される正極板11と負極板13を幅51mmのポリプロピレン製のセパレータ12を介して正負極の活物質未塗布部がそれぞれX方向の上下に突出するようにずらし、正極板11と負極板13の活物質の重畳領域における長短辺比が15となるように巻回した電極体10が形成される。
そして、電極体をケースに挿入した後、負極側集電体を電池缶底に、正極側集電体をリード部品を介して封口板に溶接し、30質量%水酸化カリウム(KOH)を電解液として所定量注入し、封口することによって電池が組み立てられる。なお、これらの寸法は本願発明の一例であり、また集電体4の溶接方法も一例であり、本願発明はこれらに限定するものではない。
(実験)
(実施例1)
上述のようにして作製された電池を後述している実験を行って、水素吸蔵合金マンガン含有量、及び極板の形状について検討を行う。なお、実験内容については後述している。
(実施例2)〜(実施例4)、及び(比較例1)〜(比較例12)は、前記実施例1のうち、水素吸蔵合金中のマンガン含有量、ならびに正極板11と負極板13の重畳領域の長短辺比が表1〜5に記載される各値となるように正極板寸法、負極板寸法、および巻回時の正負極ずらし幅を設定して組み立てること以外は(実施例1)と同様な構成の電池である。
(実験内容)
上記各場合における実験内容は以下のとおりである。
まず、45℃の温度雰囲気中で充電状態(SOC:State Of Charge)が20〜80%の範囲内に維持されるように制御を行いながら、50Aの間欠充放電を3ヵ月繰り返すサイクル試験の実施した。
次いで、サイクル後の電池特性として、25℃雰囲気にて1It(時間率放電電流)の電流で80%充電し、3時間の休止を挟んで、1Itで電池電圧が1.0Vに至るまで放電した容量を基準容量とする。
再び25℃雰囲気にて1Itの電流で80%充電した後、45℃雰囲気にて1時間静置し、その後25℃雰囲気にて3時間休止を挟んだ後に1Itで電池電圧が1.0Vに至るまで放電した容量を放置後容量とする。
そして、基準容量に対する放置後容量の百分率を自己放電特性の指標として評価する実験を行った。その評価結果については表1〜表5に示されている。ただし、サイクル後ショート率は、電池20個を試作評価し、サイクル後に総数20個に対してショートしたセル数の割合を示している。
(本実験結果に対する考察)
表1〜表5及び図4を利用して、負極板13の活物質である水素吸蔵合金に含まれるマンガン含有量が与える自己放電特性への影響について、上記各場合における実験結果、及び考察を述べる。なお、表1は正極板11と負極板13の重畳領域における長短辺比が15の場合において、マンガン含有量の変化に伴う電池の自己放電特性の値を示している。同様に、表2、表3、表4はそれぞれは長辺と短辺の比率が20、5、10の場合において、マンガン含有量の変化に伴う電池の自己放電特性の値を示している。表5は、正極板11と負極板13の重畳領域における長短辺比ごとに、サイクル後の電池のショート率を示したものである。図4は表1〜表4で得られた電池の自己放電特性の結果を表ごとにプロットしたものである。図4において、横軸は正極板11と負極板13の重畳領域の長短辺比を示しており、縦軸が電池の自己放電特性の値を示している。さらに、プロットされている点A1、A2、A3、A4はそれぞれ実施例1、実施例2、実施例3、実施例4における実験結果を示し、他のプロットされている点a1、a2、・・・・、a12はそれぞれ比較例1、比較例2、・・・・、比較例12における実験結果を示している。
Figure 0004530693
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表1〜表4によれば、マンガン含有量の減少に伴い、全て電池の自己放電特性が向上していることが示されている。さらに、図4においても、マンガン含有量が2.6質量%の場合の曲線101、同様に3.0質量%の曲線102、3.1質量%の曲線103、3.5質量%の曲線104からも、マンガン含有量の減少に伴って電池の自己放電特性が向上されていることが明らかである。ただし、電池の自己放電特性の評価については、後述するようなショートの発生したものを除いたものだけで行われている。
上記のようなマンガン含有量の減少に伴う電池の自己放電特性に関する効果を踏まえて、表5を用いてさらに考察を述べる。表5は表1〜表4に示したマンガン含有量の際に、正極板11と負極板13の重畳領域における長短辺比を15、20、5、10とした場合に発生するサイクル後のショートの割合を示したものである。上述のように、表1〜表4及び図4に示されているのは、ショートしたものを除いて評価結果であり、実際には表5に示されているように、長短辺比が15よりも小さい場合には、サイクル後の電池にはショートが発生している。つまり、大電流を放電するような電池を繰り返して使用する場合には、ショート発生の可能性が高くなり、電池の長期的使用に関する信頼性が低くなる。そのため、水素吸蔵合金に含まれるマンガン量を減少させる場合には、長短辺比が15以上となる電池を使用することが望ましい。
(本願発明の優位性)
上記考察から、負極板13の活物質として用いている水素吸蔵合金に含まれるマンガン含有量を最大でも3.0質量%にし、かつ正極板11と負極板13の重畳領域における長短辺比が15以上ならば、電池100の自己放電特性は良好な状態を保ちつつ、突発的なショートを発生することがないこととなるので、大電流を放電するような電源として当該電池を用いても長期的に信頼性を保つことができる。
本願発明のような条件で作製される場合には、セパレータ上においてX方向両端部に偏って強く分布されていたと考えられる電流密度が緩和されることとなり、図2に示されるコバルトリッチなコバルト・マンガン化合物14aの局所的な高い密度での析出とは異なり、図3のように、セパレータ12における正極板11と負極板13の重畳領域全体に分散緩和され、略均一に低い密度でのコバルトリッチなコバルト・マンガン化合物14bが析出されるようになる。そのような析出物の生成により、大電流の放電時でも電池のショート発生とはならないので、電池は、良好な自己放電特性を保ちながらも長期間にわたって使用可能な状態となる。
なお、本願発明による形状を有する電池においては、若干でもマンガンが水素吸蔵合金に含まれていれば良い。また、正極板11と負極板13の重畳領域における長短辺比に関しては、例えば長短辺比の値が100あっても適用可能であり、その値が大きくなるほど好ましい。
(その他の事項)
本実施の形態においては、一例として正極板11、負極板13がセパレータ12を介して巻回された電極体を用いているが、本発明はこれに限定を受けるものではない。例えば、積層型構造を有するものであっても適用可能である。
本発明は、特に、ハイブリッド電気自動車などのように大電流出力を要するようなアルカリ密閉二次電池を実現するのに有用である。
電極体ユニット10の要部展開斜視図である。 ショートを発生した従来の電極体を形成する電極板の形状を示す概略平面図である。 本願発明における電極体を形成する電極板の形状を示す概略平面図である。 本願発明に関して、正極板11と負極板13の重畳領域における長短辺比に対する自己放電特性を評価した実験結果を示すグラフである。
符号の説明
4 集電体
10 電極体
11 正極板
12 セパレータ
13 負極板

Claims (1)

  1. コバルト化合物を含む活物質を有する帯状の正極板と、マンガンを含む活物質を有する帯状の負極板がセパレータを挟んでなる電極体を有し、充電状態が20〜80%の範囲内に維持されるように制御を行いながら間欠充放電を繰り返すアルカリ二次電池であって、
    前記正極板は、芯体に前記活物質が充填されてなり、芯体幅方向両端部の一方には芯体露出部が設けられており、
    前記負極板は、芯体に前記活物質が充填されてなり、芯体幅方向両端部の他方には芯体露出部が設けられており
    前記正極板と前記負極板のそれぞれの前記芯体露出部が前記セパレータの幅方向上下端部から突出し、
    それぞれの突出されている前記芯体露出部に対して板状の集電体が溶接されており、
    前記マンガン含有量は当該負極活物質に対して最大で3.0質量%であり、
    前記正極板と前記負極板は、互いの重畳領域において、長手方向と短手方向の長さの比が少なくとも15であることを特徴とするアルカリ二次電池。
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