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JP4534612B2 - モータ駆動制御装置 - Google Patents
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JP4534612B2 - モータ駆動制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、3相交流同期モータに対する通電電流の制御を行うモータ駆動制御装置に関し、特に、モータに供給される相電流を検出するための電流検出器の故障を診断する機能を有するモータ駆動制御装置に関する。
従来、例えば電気自動車の駆動用モータ等に採用される3相交流同期モータの駆動制御装置として、モータに供給される3相電流のうち少なくとも2相の電流値を例えばホール型電流センサ等の電流検出器で検出すると共に、モータの回転角をエンコーダと呼ばれる回転角検出器で検出し、これらの出力値により3相→2相変換を行うことで、モータ通電電流の制御を行うものが知られている。
このようなモータ駆動制御装置では、電流検出器にオフセット異常やゲイン異常が発生した場合、モータに過大若しくは過小な電流が流れ、制御性が悪化したり、極端な場合には電動システムの破損を招く可能性がある。そのため、この種のモータ駆動制御装置では、電流検出器に故障が発生した場合にはこれを確実に検出してモータ通電電流の制御を中断させ、電流検出器の故障に起因する以上の問題を未然に回避することが重要であり、電流検出器の故障を診断するための手法が種々検討されている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1には、3相電流のうちの少なくとも2相の電流値を検出する電流検出器の電流位相が互いに120°ずれていることを利用して、回転角検出手段で検出した例えばU相の位相とU相用の電流検出器の検出値とに基づいて例えばW相に流れるはずの電流値を推定し、W相用の電流検出器の検出値と前記推定値との差が所定の閾値以上のときに、U相用の電流検出器或いはW相用の電流検出器の何れかに故障が生じていると診断する手法が記載されている。
特開2001−8483号公報
しかしながら、前記特許文献1に記載されている手法では、モータ通電電流の制御を行っている間にこれと並行して電流検出器の故障を診断するようにしているので、制御を司るCPU(Central Processing Unit)の演算負荷が増加して発熱量の増大を招いたり、CPUの高速化や高性能化が求められることで、コスト低減を図ることが困難になるといった問題がある。
また、モータ通電電流の制御中であるため電流検出器の出力にはスイッチングノイズが重畳しており、特に低電流での制御時にはS/Nが悪化しているために、この重畳するノイズの分だけ多く余裕を持たせて診断のための閾値を設定しておく必要があり、診断自体の信頼性を十分に確保できないという問題もある。
本発明は、以上のような従来技術の有する問題点を解消すべく創案されたものであって、モータ制御の演算負荷に影響を与えることなく、電流検出器の故障を高い信頼性をもって診断することが可能なモータ駆動制御装置を提供することを目的としている。
本発明のモータ駆動制御装置は、電源からの直流電力をインバータ回路で3相交流に変換して3相交流同期モータに供給すると共に、3相交流同期モータに供給される相電流を検出する少なくとも2つの電流検出器の出力値と3相交流同期モータの回転角を検出する回転角検出器の出力値とに基づいてインバータ回路を駆動して、3相交流同期モータに対する通電電流の制御を行うものである。このようなモータ駆動制御装置において、本発明では、前記目的を達成するために、少なくとも2つの電流検出器に対して共通の電流が流れて、少なくとも2つの電流検出器を直接接続した通電ラインを設け、通電ラインは、3相交流同期モータの相電流が少なくとも2つの電流検出器に流れる配線とは別個の配線として、前記2つの電流検出器内を貫通して設けられ、3相交流同期モータに対する通電電流の制御停止中に前記通電ラインに電流を流し、そのときの各電流検出器の出力を比較して電流検出器の故障を診断するようにしている。
本発明のモータ駆動制御装置によれば、3相交流同期モータに対する通電電流の制御停止中に、通電ラインに電流を流して少なくとも2つの電流検出器に対して共通の電流が流れるようにし、そのときの各電流検出器の出力を比較して電流検出器の故障を診断するようにしているので、モータ制御の演算負荷に影響を与えることなく電流検出器の故障診断を行うことができ、また、スイッチングノイズ等の影響を受けないので電流検出器の故障を高い信頼性をもって確実に診断することができる。
また、電流検出器の故障診断のための通電電流に高い精度が要求されることがなく、簡便な回路の追加で電流検出器の故障診断を適切に行うことができるので、装置全体の低コスト化や小型化を図る上でも有利である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明のモータ駆動制御装置は、3相交流同期モータに供給される相電流を検出するために設けた少なくとも2つの電流検出器に、モータ相電流が流れるブスバとは別に、共通の電流が流れるように通電ラインを設け、モータ通電電流の制御停止中にこの通電ラインに所定の電流を流したときの各電流検出器の出力を比較して、電流検出器の故障を診断するようにしたものである。具体的には、例えば、モータ通電電流の制御停止中に通電ラインに所定の電流を流したときの各電流検出器の出力の差分を演算し、この各電流検出器の出力の差分が所定の閾値を越えたときに、何れかの電流検出器が故障していると診断するようにしている。
(電流検出器の説明)
先ず、本発明を適用したモータ駆動制御装置の具体的な説明に先立ち、この種のモータ駆動制御装置で相電流検出のための電流検出器として一般的に用いられているホール型電流センサの動作原理について、図1を用いて説明する。
ホール型電流センサは、図1に示すように、ブスバ1を流れる電流Iに応じてこのブスバ1の周囲に設けられた磁気回路(コア)2に生じる磁界をホール素子3で検出するものである。ホール素子3は、自身を横切る磁束密度に比例する電圧を出力する素子であり、一般に、ホール素子3の出力電圧Vは、定電流回路4により通電される制御電流をI、自身を横切る磁束密度をB、ホール素子3自体によって定まる比例係数をαとしたときに、下記式(1)で表される。
=α×I×B ・・・(1)
ホール型電流センサは、以上のホール素子3の特性を利用してたもので、定電流回路4によりホール素子3に対して制御電流Iを流し、ホール素子3に発生するホール電圧Vを差動増幅器5で増幅すると共に、ブスバ1を流れる被測定電流がゼロのときに定義されるオフセット電圧を加算したものを出力電圧Vとしている。このように、ホール型電流センサは、ホール素子3によりブスバ1を流れる被測定電流Iに比例してコア2に発生する磁束密度を検出することでブスバ1を流れる被測定電流Iを検出するものであり、その出力電圧Vは、オフセット電圧をVoff、ゲインをGとすると下記式(2)で表される。
=Voff+I×G ・・・(2)
ホール型センサにおいては、上記式(2)で示すオフセット電圧Voff及びゲインGが、その特性を決める特性値である。
(モータ駆動制御装置の基本構成)
次に、本発明が適用されるモータ駆動制御装置の基本構成について、図2を用いて説明する。このモータ駆動制御装置は、例えば電気自動車の駆動用モータ等に採用される3相交流同期モータ用の駆動制御装置として構成されるものであり、図2に示すように、3相交流同期モータ6に供給される3相電流Iu,Iv,Iwに対応した3系統の電気回路を備えている。
このモータ駆動制御装置による3相交流同期モータ6への通電電流の制御は、CPU7による演算処理に基づいて実行されるが、一般的には、CPU7の演算負荷を低減するために、3相電流Iu,Iv,Iwをそれぞれ独立して制御することはせず、2つの電流検出器8,9を用いて2相の電流値を各々検出すると共に、回転角検出器(エンコーダ)10を用いて3相交流同期モータ6の回転角を検出し、これらの出力値に基づいてCPU7で3相→2相変換を行うことで、3相交流同期モータ6への通電電流の制御を行うようにしている。例えば図2に示す例では、U相の電流Iuを電流検出器8で検出すると共に、V相の電流Ivを電流検出器9で検出し、これら電流検出器8,9の出力がCPU7に入力されるようになっている。
CPU7は、電流検出器8,9の出力や回転角検出器10の出力に基づき、3相交流同期モータ6の出力トルクが、例えば電気自動車のアクセル開度やシフト位置等に応じて定まるトルク指令値に一致するように、第1の駆動回路11を介してインバータ回路12を駆動し、電源13からの直流電力をインバータ回路12で3相交流に変換して3相交流同期モータ6に伝達させる。
以上のように構成されるモータ駆動制御装置では、電流検出器8,9として上述したホール型電流センサが用いられるが、使用するホール型電流センサの特性値、すなわちオフセット電圧VoffやゲインGの異常が発生した場合、3相交流同期モータ6に過大若しくは過小な電流が流れて制御性が悪化したり、極端な場合には電動システムの破損を招く可能性がある。そのため、このモータ駆動制御装置には、電流検出器8,9に使用するホール型電流センサの特性値の異常、すなわちこれら電流検出器8,9の故障を診断するための機能を持たせることが望まれるが、このような電流検出器8,9の故障診断を、3相交流同期モータ6の通電電流の制御中に通電電流制御と並行して実施しようとすると、CPU7の演算負荷が増加して発熱量の増大を招いたり、CPU7に高速化、高性能化が要求されてコストアップの要因となるばかりか、モータ通電電流の制御中では電流検出器8,9の出力にスイッチングノイズが重畳されるために高精度な診断が行えず、高い信頼性を確保することが困難となる。
そこで、本発明では、3相交流同期モータ6に供給される相電流を検出するために設けた少なくとも2つの電流検出器8,9に、モータ相電流が流れるブスバ1とは別に、共通の電流が流れるように通電ラインを設け、モータ通電電流の制御停止中にこの通電ラインに所定の電流を流したときの各電流検出器8,9の出力を比較して、電流検出器8,9の故障を診断するようにしている。以下、本発明を適用したモータ駆動制御装置の具体的な実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
先ず、本発明を適用した第1の実施形態のモータ駆動制御装置について、図3乃至図5を用いて説明する。なお、図3は本実施形態のモータ駆動制御装置の構成図であり、図4は本実施形態のモータ駆動制御装置で電流検出器8,9の故障診断を実施する際の各部出力波形を示すタイミングチャートであり、図5は本実施形態のモータ駆動制御装置で電流検出器8,9の故障診断を実施する際の処理の流れを示すフローチャートである。
本実施形態のモータ駆動制御装置は、図3に示すように、図2に示した基本構成に加えて、相電流を検出するためのホール型電流センサよりなる2つの電流検出器8,9に対して共通の電流が流れるように通電ライン15が設けられていると共に、この通電ライン15の通電用のスイッチング素子16及びこのスイッチング素子16を駆動するための第2の駆動回路17が設けられている。また、電流検出器8の出力Viuと電流検出器9の出力Vivとの差分を演算する差動増幅器18が設けられ、この差動増幅器18の出力はCPU7のA/D入力端子19に接続されている。また、電流検出器8,9に故障が生じていると診断した場合にそれを報知するための警報ランプ20が設けられ、この警報ランプ20の点灯/消灯をCPU7が制御できるようになっている。
以上のように構成される本実施形態のモータ駆動制御装置では、3相交流同期モータ6への通電電流を制御する際は、図2に示した例と同様に、U相電流Iu検出用に設けられた電流検出器8の出力Viuと、V相電流Iv検出用に設けられた電流検出器9の出力Vivと、回転角検出器10の出力とがCPU7に入力される。CPU7は、電流検出器8,9の出力Viu,Vivや回転角検出器10の出力に基づき、3相交流同期モータ6の出力トルクがトルク指令値に一致するように、第1の駆動回路11を介してインバータ回路12を駆動し、電源13からの直流電力をインバータ回路12で3相交流に変換して3相交流同期モータ6に伝達させる。
また、本実施形態のモータ駆動制御装置では、3相交流同期モータ6への通電電流の制御を停止している間に、U相電流Iu検出用に設けられた電流検出器8及びV相電流Iv検出用に設けられた電流検出器9に故障が生じていないかどうかの診断を実施する。
電流検出器8,9の故障診断に際しては、先ず、CPU7により通電ライン15に通電すべく、第2の駆動回路17を介して通電用のスイッチング素子16に駆動信号が出力される。スイッチング素子16は、この駆動信号に応じて所定時間Tだけ電源13及び通電ライン15の回路を閉じる。これにより、通電ライン15と直列に接続された抵抗素子Rdgによって定まる所定の電流が、電源13から通電ライン15へと流れることになる。このとき、通電ライン15は、相電流が流れるブスバ1とは別個の配線として、各電流検出器8,9のコア2(図1参照)をそれぞれ貫通するように、各電流検出器8,9の双方に亘って一体に設けられているので、各電流検出器8,9のコア2には同一の電流が作用することになる。
通電ライン15に通電したときの各電流検出器8,9の出力Viu,Vivは差動増幅器18に入力され、この差動増幅器18で差分電圧が演算されて、その演算結果VdgがCPU7のA/D入力端子19に入力される。ここで、電流検出器8,9の双方が正常な場合は、両者のオフセット電圧VoffやゲインGは同一であるため、原理的には通電ライン15の通電に伴う差動増幅器18の出力Vdgはゼロのままである。しかしながら、電流検出器8,9の何れかに故障が生じてオフセット電圧Voffに異常がある場合には、差動増幅器18の出力Vdgに電圧が発生することになり、また、電流検出器8,9の何れかに故障が生じてゲインGに異常がある場合には、上述した通電操作に伴い、差動増幅器18の出力Vdgに変動が生じることになる。
本実施形態のモータ駆動制御装置では、CPU7が、上述した通電操作に伴ってA/D入力端子19から入力される入力電圧(差動増幅器18の出力Vdg)の絶対値|Vdg|が所定の閾値V1以下に収まっているか否かを判定し、この入力電圧の絶対値|Vdg|が所定の閾値V1を越えた状態が継続されている場合には、電流検出器8,9の何れかに故障が生じているものと診断するようにしている。そして、電流検出器8,9の故障検出時には、3相交流同期モータ6への通電電流の制御を行わないようにすると共に、警報ランプ20を点灯して故障の発生を報知するようにしている。
なお、実際の運用においては、各電流センサ8,9毎にオフセット電圧Voff、ゲインGや応答性に多少のばらつきがある上、差動増幅器18の各入力端子にも応答性の違いなどがあるため、電流検出器8,9の双方が正常な場合であっても、差動増幅器18の出力Vdgはゼロになならない。したがって、電流検出器8,9の異常を判断するための閾値V1は、各電流検出器8,9が持つオフセット電圧VoffとゲインGのばらつきの積み上げに、誤診断防止のための余裕を見込んで決定する必要がある。さらに、通電ライン15に通電する所定時間Tは、各電流センサ8,9及び差動増幅器18の応答時間に十分余裕を見込んで決定する必要がある。
ここで、本実施形態のモータ駆動制御装置で電流検出器8,9の故障診断を行う際の一連の処理の流れについて、図5を用いて簡単に説明する。
電流検出器8,9の故障診断を開始する際は、先ず、ステップS1において、3相交流同期モータ6が停止中であるか否かを確認し、3相交流同期モータ6が回転している場合は停止するまで待機して、停止したことが確認された段階で次のステップS2に進む。
ステップS2では、CPU7に対するトルク指令値の入力を禁止する。そして、ステップS3において、CPU7が第2の駆動回路17を介して通電用のスイッチング素子16に駆動信号を出力し、スイッチング素子16をオンにして通電ライン15への通電を開始させる。また、同時にステップS4において、通電ライン15への通電時間を計測するためのタイマTmをスタートさせる。
次に、ステップS5において、タイマTmが図4に示す所定時間t1に達したかどうかを判定し、タイマTmがt1に達した段階で次のステップS6に進む。なお、所定時間t1は、スイッチング素子16の切り替えに伴うノイズの影響を受けなくなるまでの時間であり、十分に短い値に設定される。
ステップS6では、差動増幅器18が電流検出器8の出力Viuと電流検出器9の出力Vivの差分電圧Vdgを演算し、CPU7のA/D入力端子19に入力する。そして、ステップS7において、CPU7が、A/D入力端子19から入力された差動増幅器18の出力の絶対値|Vdg|を所定の閾値V1と比較して、差動増幅器18の出力の絶対値|Vdg|が所定の閾値V1を越えた状態が、図4に示す所定時間t2(t2=T−t1)の間継続されているかどうかを判定する。
ステップS7での判定の結果、差動増幅器18の出力の絶対値|Vdg|が、所定時間t2の間、所定の閾値V1を越えた状態が継続されていない場合には、差動増幅器18の出力の絶対値|Vdg|が一時的に閾値V1を越えたとしても、それは雑音などによる一時的な変動によるものと判断して、ステップS8において通電ライン15への通電を停止させた上で、ステップS9においてトルク指令値の受付を再開し、ステップS1へとリターンする。
一方、ステップS7での判定の結果、差動増幅器18の出力の絶対値|Vdg|が、所定時間t2の間、所定の閾値V1を越えた状態が継続されている場合には、電流検出器8,9の何れかに故障が生じていると判断して、ステップS10において通電ライン15への通電を停止させた上で、ステップS11において3相交流同期モータ6への通電電流の制御を行わないようにし、また、ステップS12において警報ランプ20を点灯させて、一連の故障診断処理を終了する。
以上説明したように、本実施形態のモータ駆動制御装置では、3相交流同期モータ6に供給される相電流を検出するために設けた少なくとも2つの電流検出器8,9の故障診断を、3相交流同期モータ6の通電電流の制御停止中に行うようにしているので、モータ制御の演算負荷に影響を与えることなく電流検出器8,9の故障診断を実施することができることに加え、モータ制御に伴うスイッチングノイズ等の影響を受けないので、電流検出器8,9の故障を高い信頼性をもって確実に診断することができる。
また、少なくとも2つの電流検出器8,9に共通の電流を流してこれらの出力電圧を相対比較することで故障診断を行うようにしているので、診断のための通電電流に高い精度が要求されることがなく、簡便な回路の追加で電流検出器の故障診断を適切に行うことができ、装置全体の低コスト化や小型化が可能となる。
(第2の実施形態)
次に、本発明を適用した第2の実施形態のモータ駆動制御装置について、図6及び図7を用いて説明する。なお、図6は本実施形態のモータ駆動制御装置の構成図であり、図7は本実施形態のモータ駆動制御装置で電流検出器8,9の故障診断を実施する際の各部出力波形を示すタイミングチャートである。
本実施形態のモータ駆動制御装置は、上述した第1の実施形態の変形例であり、通電ライン15への通電方法と、差動増幅器18の演算結果を判定する処理の一部をハードウェア化した点が、上述した第1の実施形態とは異なるものである。以下、第1の実施形態と共通の部分については説明を省略し、本実施形態に特徴的な部分についてのみ説明する。
先ず、本実施形態のモータ駆動制御装置での通電ライン15への通電方法について説明する。
本実施形態のモータ駆動制御装置では、図6に示すように、第1の実施形態における抵抗素子Rdgに代えて誘導回路Ldgを使用しており、通電電流Idgの時間的変化を意図的に作り出すようにしている。すなわち、本実施形態のモータ駆動制御装置では、CPU7から第2の駆動回路17を介してスイッチング素子16に駆動信号が出力されてスイッチング素子16が所定の通電時間Tの間ONされると、誘導回路Ldgの働きによって、通電ライン15には図7に示すように時間的に変化する通電電流Idgが流れることになる。そして、これに伴い電流検出器8,9からは時間的に変化する出力電圧Viu,Vivが出力され、これら電流検出器8,9からの出力Viu,Vivが差動増幅器18に入力されることになる。
本実施形態のモータ駆動制御装置では、以上のような通電方法を採用することによって、第1の実施形態のように通電ライン15に一定の通電電流を流した場合に比べて、電流検出器8,9のゲイン異常をより広い範囲で診断することが可能となり、より効果的な故障診断を行うことが可能となる。なお、通電ライン15に通電電流Idgを流す通電時間Tは、電流検出器8,9や差動増幅器18の応答時間と比較して、十分に長い時間に設定しておく必要がある。また、誘導回路Ldgのインダクタンス値は、通電回路全体の時定数を考慮して、通電電流Idgを通電時間Tの間流しても電流検出器8,9の出力電圧範囲を越えず、且つ、使用する測定電流域を網羅できるように設定することが望ましい。
次に、本実施形態のモータ駆動制御装置における差動増幅器18の演算結果を判定する処理について説明する。
本実施形態のモータ駆動制御装置では、図6に示すように、差動増幅器18とCPU7との間にLPF(Low Pass Filter)21及びウィンドウコンパレータ22が設けられている。本実施形態のモータ駆動制御装置においても、第1の実施形態と同様に、差動増幅器18の出力Vdgには、電流検出器8,9や差動増幅器18の応答時間に応じて、通電ライン15を流れる通電電流Idgが急峻に変化する点で一時的に出力される過渡波形が含まれる。この過渡波形は、誤った診断結果を招く要因となるので、本実施形態のモータ駆動制御装置では、差動増幅器18の出力VdgをLPF21に入力して、このような過渡波形を除去するようにしている。
このLPF21によって過渡波形が除去された出力電圧Vdg’は、ウィンドウコンパレータ22に入力され、このウィンドウコンパレータ22において、所定の上限閾値V2及び下限閾値V3と比較される。ウィンドウコンパレータ22は、LPF21から入力された出力電圧Vdg’が上限閾値V2以上の場合、或いは下限閾値V3以下の場合に、Loレベルの信号を出力する。ここで、上限閾値V2及び下限閾値V3は、第1の実施形態で説明した診断閾値V1と同様に、各電流検出器8,9が持つオフセット電圧VoffとゲインGのばらつきの積み上げに、誤診断防止のための余裕を見込んで決定する。
ウィンドウコンパレータ22の出力は、CPU7の割込み入力端子23に接続されており、CPU7は、通電ライン15への通電中に立ち上がりエッジを検出した場合に、電流検出器8,9の何れかに故障が生じていると判断して、第1の実施形態と同様に、3相交流同期モータ6への通電電流の制御を行わないようにすると共に、警報ランプ20を点灯させて故障の発生を報知する。
本実施形態のモータ駆動制御装置では、以上のように差動増幅器18の演算結果を判定する処理の一部をハードウェア化することで、CPU7の処理負担を軽減しながら、電流検出器8,9の故障診断を適切に行うことが可能となる。
(第3の実施形態)
次に、本発明を適用した第3の実施形態のモータ駆動制御装置について、図8を用いて説明する。なお、図8は本実施形態のモータ駆動制御装置の構成図である。
本実施形態のモータ駆動制御装置は、上述した第2の実施形態の変形例であり、電流検出器8,9を流れる通電電流Idgの方向を時分割で変更できるようにした点が、上述した第2の実施形態とは異なるものである。以下、第2の実施形態と共通の部分については説明を省略し、本実施形態に特徴的な部分についてのみ説明する。
本実施形態のモータ駆動制御装置では、図8に示すように、電流検出器8,9の故障診断のための通電電流Idgが流れる通電ライン15が、電流検出器8,9の前段で第1のライン15aと第2のライン15bとに分岐されている。そして、第1のライン15aは、第2の実施形態における通電ライン15と同様の方向で電流検出器8,9をそれぞれ通過する通電回路を構成するが、第2のライン15bは、第2の実施形態における通電ライン15とは逆向きの方向で電流検出器8,9をそれぞれ通過する通電回路を構成している。
また、第1の通電ライン15aが構成する通電回路には、第2の実施形態と同様に第2の駆動回路17によって駆動される通電用のスイッチング素子16が設けられ、また、第2の通電ライン15bが構成する通電回路にも、第3の駆動回路24によって駆動される通電用のスイッチング素子25が設けられている。
以上のように構成される本実施形態のモータ駆動制御装置では、電流検出器8,9の故障診断に際して、CPU7の指令により、第2の駆動回路17からスイッチング素子16への駆動信号の出力と、第3の駆動回路24からスイッチング素子25への駆動信号の出力とを時分割で切り替えながら行うことによって、通電ライン15の第1のライン15aと第2のライン15bとに通電電流Idgを選択的に流し、電流検出器8,9に対して両方向からの通電を行うことができる。その結果、電流検出器8,9からは正方向及び負方向の電圧値がそれぞれ出力されることになるので、電流検出器8,9間で正方向及び負方向のそれぞれの出力を比較することで、電流検出器8,9のより広い測定範囲において、その異常を確実に診断することが可能となる。
なお、本実施形態のモータ駆動制御装置は、第2の実施形態の変形例として説明したが、第1の実施形態の構成においても、通電ライン15を第1のライン15aと第2のライン15bとに分岐させて、これら第1のライン15aと第2のライン15bとが互いに異なる方向で電流検出器8,9を通過するようにすれば、電流検出器8,9を流れる通電電流Idgの方向を時分割で変更することが可能であり、同様の効果を得ることができる。
なお、以上の各実施形態では、2つの電流検出器8,9に対して共通の通電電流Idgを同じ方向に流すようにした例について説明したが、電流検出器8と電流検出器9とで互いに逆方向となるように通電電流Idgを流し、差動増幅器18の代わりに加算増幅器を用いてこれら電流検出器8,9の出力電圧を加算増幅器に入力するようにしても、上述した例と同様に、電流検出器8,9の故障診断を適切に行うことができる。
また、以上の各実施形態では、3相のうちの2相に設けられた電流検出器8,9に共通の電流を流してこれら電流検出器8,9の故障を診断する例について説明したが、3相それぞれに電流検出器が設けられている場合には、通電ライン15をこれら3つの電流検出器に対して共通の電流が流れるように設けて、3相交流同期モータ6の通電電流の制御停止中に、通電ライン15に電流を流してそのときの各電流検出器の出力を比較するようにすれば、3つの電流検出器に対しても適切に故障診断を行うことが可能である。
また、以上の各実施形態では、電流検出器8,9のコア2を貫通するように通電ライン15を設けるようにした例について説明したが、各電流検出器8,9のコア2に通電ライン15をコイル状に巻回させるようにしてもよい。このように通電ライン15を電流検出器8,9のコア2に巻回させた場合には、僅かな通電電流で各電流検出器8,9のコア2に大きな磁界を発生させて、電流検出器8,9から故障診断を行う上で十分な出力を得ることができるので、通電回路全体の小型化を図ることが可能となる。また、コアに電線を巻く手法は、従来のクローズドループ型センサ等で一般的な構造であり、工法上も特に問題を生じることなく、容易に実現可能である。
本発明を適用したモータ駆動制御装置の電流検出器として使用されるホール型電流センサの動作原理を説明する図である。 モータ駆動制御装置の基本構成を示す構成図である。 本発明を適用した第1の実施形態のモータ駆動制御装置の構成図である。 第1の実施形態のモータ駆動制御装置で電流検出器の故障診断を実施する際の各部出力波形を示すタイミングチャートである。 第1の実施形態のモータ駆動制御装置で電流検出器の故障診断を実施する際の処理の流れを示すフローチャートである。 本発明を適用した第2の実施形態のモータ駆動制御装置の構成図である。 第2の実施形態のモータ駆動制御装置で電流検出器の故障診断を実施する際の各部出力波形を示すタイミングチャートである。 本発明を適用した第3の実施形態のモータ駆動制御装置の構成図である。
符号の説明
6 3相交流同期モータ
7 CPU
8,9 電流検出器
10 回転角検出器
11 第1の駆動回路
12 インバータ回路
13 電源
15 通電ライン
16 スイッチング素子
17 第2の駆動回路
18 差動増幅器
24 第3の駆動回路
25 スイッチング素子

Claims (3)

  1. 電源からの直流電力をインバータ回路で3相交流に変換して3相交流同期モータに供給すると共に、前記3相交流同期モータに供給される相電流を検出する少なくとも2つの電流検出器の出力値と前記3相交流同期モータの回転角を検出する回転角検出器の出力値とに基づいて前記インバータ回路を駆動して、前記3相交流同期モータに対する通電電流の制御を行うモータ駆動制御装置において、
    前記少なくとも2つの電流検出器に対して共通の電流が流れて、前記少なくとも2つの電流検出器を直接接続した通電ラインを設け、前記通電ラインは、前記3相交流同期モータの相電流が前記少なくとも2つの電流検出器に流れる配線とは別個の配線として、前記2つの電流検出器内を貫通して設けられ、
    前記3相交流同期モータに対する通電電流の制御停止中に前記通電ラインに電流を流し、そのときの各電流検出器の出力を比較して電流検出器の故障を診断することを特徴とするモータ駆動制御装置。
  2. 前記通電ラインに電流を流したときの各電流検出器の出力の差分を演算し、差分が所定の閾値を越えたときに、何れかの電流検出器が故障していると診断することを特徴とする請求項1に記載のモータ駆動制御装置。
  3. 前記電流検出器の故障を診断する際に、前記通電ラインに電流を変化させながら流すことを特徴とする請求項1又は2に記載のモータ駆動制御装置。
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