JP4538183B2 - イオン性樹脂シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はイオン性樹脂シートに関し,これから得られるイオン伝導性の固体電解質膜はリチウムイオン電池,燃料電池,キャパシターなどの電解質としての応用が期待されるものである。
【0002】
【従来の技術】
携帯用情報機器の発展や地球環境・エネルギー問題への対応を背景に電池やキャパシターなどが脚光を浴びている。これら電池やキャパシターに必須の構成成分としてイオン伝導性の電解質が用いられている。現在は液体の電解液にイオン性の低分子塩を溶解した電解質溶液が主に用いられている。また,エーテル系,アクリル系,フッ素系の直鎖ポリマーあるいは架橋されたポリマーに電解質溶液を多量に含ませたゲル状の電解質もある。いずれも,機械的特性,絶縁特性を付与するために,不織布や孔空きフィルムなどのシート状樹脂成形物に多量の電解質溶液を含浸させた状態で用いられている。
【0003】
しかしながら,従来の液状電解液型は勿論,ゲル型においても,電池が破損したとき,危険な電解液が漏出する点が問題となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の電解液の漏出がなく,電池やキャパシターの電解質として用い得る様なイオン伝導性を有する電解質を得ようとするのが,本発明が解決しようとする課題である。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために,イミダゾール又はそのN原子および/又は環を形成している炭素原子に炭素数1〜10の炭化水素基が結合しているイミダゾールに由来するカチオンとBF4又はPF6又はCnF2n+1CO2(但しnは1〜4の整数)又はCnF2n+1SO3(但しnは1〜4の整数)又は(CnF2n+1SO2)2N(但しnは0〜2の整数)又はRSO3(但しRは脂肪族(基)又はArSO3(但しArは芳香族基)に由来するアニオンとの塩を(A)、イミダゾール又はそのN原子および/又は環を形成している炭素原子に炭素数1〜10の炭化水素基が結合しているイミダゾールに由来するカチオンと BF4又はPF6又はCnF2n+1CO2(但しnは1〜4の整数)又はCnF2n+1SO3(但しnは1〜4の整数)又は(CnF2n+1SO2)2N(但しnは0〜2の整数)又はRSO3(但しRは脂肪族基)又はArSO3(但しArは芳香族基)に由来するアニオンとから構成される塩構造および重合性官能基を含む単量体を(B)とするとき、A/B=99.9/0.1〜0/100(重量比)のイオン性化合物が、塩形成性官能基を含まない樹脂からなるシート状成形物に含浸されており、該含浸されたシート状樹脂成型物中および表面の単量体Bを重合させて得られることを特徴とするイオン性樹脂シートを用いる。また、イオン性化合物において、更に単量体(B)と共重合可能な重合性官能基を2個以上有する単量体(C)を単量体(B)に対して0.5モル%以上含有することを特徴とするイオン性樹脂シートを用いる。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明について更に詳しく説明する。
本発明において用いる塩(A)は、イミダゾール又はそのN原子および/又は環を形成している炭素原子に炭素数1〜10の炭化水素基が結合しているイミダゾールに由来するカチオンとBF4又はPF6又はCnF2n+1CO2(但しnは1〜4の整数)又はCnF2n+1SO3(但しnは1〜4の整数)又は(CnF2n+1SO2)2N(但しnは0〜2の整数)又はRSO3(但しRは脂肪族基)又はArSO3(但しArは芳香族基)に由来するアニオンとの塩である。
【0007】
イミダゾール又はそのN原子および/又は環を形成している炭素原子に炭素数1〜10の炭化水素基が結合しているイミダゾールに由来するカチオンとは、イミダゾール環由来のアンモニウムカチオンであり、不飽和基などの重合性官能基を含む場合は、重合前の単量体における置換基の炭素数を指す。例示すれば、イミダゾリウムカチオン、1−メチル−2−エチルイミダゾリウムカチオン、1−メチル−2−n−ブチルイミダゾリウムカチオン、1−ビニル−3−エチルイミダゾリウムカチオン、ベンズイミダゾリウムカチオンなどを挙げることができる。
【0008】
これら特定のアンモニウムカチオンは、耐熱性、耐還元性に優れ、電気化学窓が広くとれ、各種電池やキャパシターに用いるために好ましい。特に好ましいイミダゾール環由来アンモニウムカチオン種としては,重合前の形で示せば1−ビニル−3−エチルイミダゾリウムカチオン,1−メチル−3−アリルイミダゾリウムカチオン,1−(4−ビニルベンジル)−3−n−ブチルイミダゾリウムカチオン,1−(ビニルオキシエチル)−3−エチルイミダゾリウムカチオン,1−ビニルイミダゾリウムカチオン,1−アリルイミダゾリウムカチオン,N−アリルベンズイミダゾリウムカチオン,1−メチル−3−エチルイミダゾリウムカチオン,イミダゾリウムカチオン,ベンズイミダゾリウムカチオンなどを挙げることが出来る
【0009】
本発明において、イミダゾール又はそのN原子および/又は環を形成している炭素原子に炭素数1〜10の炭化水素基が結合しているイミダゾールに由来するアンモニウムカチオンは次の様な特定のアニオンとイオン反応で容易に塩構造を形成する。アニオン種として、BF4,PF6,CnF2n+1CO2(但しnは1〜4の整数),CnF2n+1SO3(但しnは1〜4の整数),(CnF2n+1SO2)2N(但しnは0〜2の整数)、RSO3(Rは脂肪族基),ArSO3(Arは芳香族基)を挙げることができる。これらのアニオン種は耐熱性,耐酸化性に優れ,電池やキャパシターに用いるために好ましい。特に,−SO2−N−SO2−アニオン,−SO2−Oアニオンが好ましい。又、イミダゾールやその誘導体は塩基性であり、酸成分と酸塩基反応により容易に塩を形成する。
【0010】
特に好ましいアニオン種としてはビス−{(トリフルオロメチル)スルフォニル}アミドアニオン,2,2,2−トリフルオロ−N−(トリフルオロメチルスルフォニル)アセトアミドアニオン,ビス−{(ペンタフルオロエチル)スルフォニル}アミドアニオン,ビス−{(フルオロ)スルフォニル}アミドアニオン,テトラフルオロボレートアニオン,トリフルオロメタンスルフォネートアニオン,アルキル置換ジフェニルエーテルスルフォネートアニオン(炭素数1〜30のアルキル基),アリルスルフォネートアニオン,p−スチレンスルフォネートアニオンなどを挙げることが出来る。
【0011】
単量体(B)に含まれる重合性官能基としてビニル基,アクリル基,メタクリル基,アリル基などの炭素−炭素不飽和基,エポキシ基,オキセタン基などの環状アルコキシド基やイソシアネート基,水酸基,カルボキシル基などを例示できる。
【0012】
本発明のイミダゾール又はそのN原子および/又は環を形成している炭素原子に炭素数1〜10の炭化水素基が結合しているイミダゾールに由来するイミダゾリウムカチオン、BF4又はPF6又はCnF2n+1CO2(但しnは1〜4の整数)又はCnF2n+1SO3(但しnは1〜4の整数)又は(CnF2n+1SO2)2N(但しnは0〜2の整数)又はRSO3(但しRは脂肪族基)又はArSO3(但しArは芳香族基)に由来するアニオンとから構成される塩構造および重合性官能基を含む単量体を例示すれば、イミダゾリウム アリルスルフォネート,ベンズイミダゾリウム アリルスルフォネート,1−アルキルイミダゾリウム アリルスルフォネート(但し,アルキルはC1〜C10),1−アルキルイミダゾリウム p−スチレンスルフォネート(但し,アルキルはC1〜C10),イミダゾリウム p−スチレンスルフォネート,ベンズイミダゾリウム p−スチレンスルフォネート,1−ビニル−3−アルキルイミダゾリウム 4−メチルフェニルスルフォネート(但し,アルキルはC1〜C10),1−ビニル−3−アルキルイミダゾリウム ビス−{(トリフルオロメチル)スルフォニル}アミド(但し,アルキルはC1〜C10),1−ビニル−3−アルキルイミダゾリウム テトラフルオロボレート(但し,アルキルはC1〜C10),1−(4−ビニルベンジル)−3−アルキルイミダゾリウム ビス−{(トリフルオロメチル)スルフォニル}アミド(但し,アルキルはC1〜C10),1−(4−ビニルベンジル)−3−アルキルイミダゾリウム テトラフルオロボレート(但し,アルキルはC1〜C10),1−グリシジル−3−アルキル−イミダゾリウム ビス−{(トリフルオロメチル)スルフォニル}アミド(但し,アルキルはC1〜C10),1−グリシジル−3−アルキル−イミダゾリウム テトラフルオロボレート(但し,アルキルはC1〜C10)などがある。
【0013】
更に,上記単量体(B)と共重合可能な重合性官能基を2個以上含む単量体(C)を単量体(B)に対して0.5モル%以上含有することが好ましい。単量体(C)として、例えばジビニルベンゼン,ジアリルフタレート,エチレングリコールジメタクリレート,ジエチレングリコールジメタクリレート,トリエチレングリコールジメタクリレート,トリメチロールプロパントリメタクリレート,ペンタエリスリトールテトラメタクリレート,トリアリルイソシアヌレート,トリアリルシアヌレート,ジアリル−ジメチルアンモニウム ビス−{(トリフルオロメチル)スルフォニル}アミド,ジアリル−ジメチルアンモニウム テトラフルオロボレート,2,2−ビス(グリシジロキシフェニル)プロパン,などを挙げることができる。
【0014】
本発明においてイミダゾール又はそのN原子および/又は環を形成している炭素原子に炭素数1〜10の炭化水素基が結合しているイミダゾールに由来するカチオンとBF4又はPF6又はCnF2n+1CO2(但しnは1〜4の整数)又はCnF2n+1SO3(但しnは1〜4の整数)又は(CnF2n+1SO2)2N(但しnは0〜2の整数)又はRSO3(但しRは脂肪族基)又はArSO3(但しArは芳香族基)に由来するアニオンとの塩を(A)、イミダゾール又はそのN原子および/又は環を形成している炭素原子に炭素数1〜10の炭化水素基が結合しているイミダゾールに由来するカチオンとBF4又はPF6又はCnF2n+1CO2(但しnは1〜4の整数)又はCnF2n+1SO3(但しnは1〜4の整数)又は(CnF2n+1SO2)2N(但しnは0〜2の整数)又はRSO3(但しRは脂肪族基)又はArSO3(但しArは芳香族基)に由来するアニオンとから構成される塩構造および重合性官能基を含む単量体を(B)とするとき、A/B=99.9/0.1〜0/100(重量比)のイオン性化合物が、塩形成性官能基を含まない樹脂からなるシート状成形物に含浸されており、該含浸されたシート状樹脂成型物中および表面の単量体Bを重合させて得られることを特徴とするイオン性樹脂シートを用いる。
A/B(重量比)が99.9/0.1を超えると液の漏出・溶出を防止するのが困難になる。A/Bは0/100でもよいが、イオン伝導性を改善し、また電極との密着性向上、充放電に伴う電極の膨張・収縮を吸収するためには、A/Bは20/80〜50/50の範囲が好ましい。
【0015】
次に,A/B(重量比)=99.9/0.1〜0/100からなるイオン性化合物が含浸されているイオン性樹脂シートについて説明する。イオン性化合物が含浸されているイオン性樹脂シートを製造するには,大きく分けると次の二つの方法がある。第一の方法は,予めシート状の樹脂成形物を作っておき,それにイオン性化合物を含浸する方法,第二はイオン性化合物と樹脂の混合物からシート状成形物を作る方法である。
【0016】
第一の方法において用いるシート状樹脂成形物とは,ポリテトラフルオロエチレン,ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素系ポリマー,ポリエチレン,ポリプロピレンなどのポリオレフィン,ポリアクリロニトリル,ポリスチレンなどのビニル系ポリマー,ポリスルフォン,ポリエーテルスルフォンなどのポリスルフォン系ポリマー,ポリエーテルケトン,ポリエーテルエーテルケトンなどのポリエーテルケトン系ポリマー,ポリエーテルイミド,ポリアミドイミド,ポリイミドなどのポリイミド系ポリマー(いずれも共重合ポリマーを含むが、塩形成性官能基を含まない)のシート状樹脂成形物である。シート状樹脂成形物とは繊維編織物や不織布,多孔質フィルムやシート類,孔のないフィルムやシート類であり,厚さ5〜100μm,好ましくは10〜50μmの不織布や多孔質フィルムである。その不織布の透気度(JIS−1096による)は5〜40cc/m2・sec,多孔質フィルムの孔径は0.05μm〜1μm,好ましくは0.05μm〜0.5μm,気孔率は20%〜80%,好ましくは35%〜60%である。これらのシート状樹脂成形物は既存の製法,設備で製造でき,又市販品を利用出来る。
【0017】
第二の方法は,イオン性化合物と樹脂および場合により溶剤を混合しておき,それをシート状に成形することによって製造することが出来る。シート状樹脂成形物の製法としては溶融製膜,溶液キャスト法,溶液コーティング法などが適用でき,得られるシートを更に,延伸,熱処理などを行うことも出来る。
【0018】
次いで,イオン性化合物が含浸されたシート状樹脂成形物中および表面に存在する重合性官能基を含有する単量体(B)を重合させ高分子量化させる。高分子量化は,イオン性化合物混合物が漏液しない程度に増粘しておれば良く,特に分子量で規制する必要はないが,5000以上50000程度であれば良い。
【0019】
単量体(B)を重合させるためには,単量体と共に重合開始剤も予め含浸させたシート状樹脂成形物を加熱すれば良い。重合性官能基が炭素−炭素不飽和基である場合,重合開始剤としては,ベンゾイルパーオキサイド,ジクミルパーオキサイド,ジ−t−ブチルパーオキサイド,1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン,キュメンハイドロパーオキサイドなどのパーオキサイド類,2,2’−アゾビスイソブチロニトリル,2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などのアゾビス化合物,過硫酸アンモニウムなどの無機系開始剤などを挙げることが出来る。
重合開始剤の使用量は,通常重合性単量体の総重量に対して0.1〜10%,好ましくは,1〜5%である。
【0020】
単量体(B)を重合させるために電子線などの放射線を照射することも出来る。この場合,シート状樹脂成形物自体の架橋反応や単量体のシート状樹脂成形物へのグラフト反応が起こることもあるが、なんら差し支えない。照射はイオン性化合物の含浸前(後重合法)でも,含浸後でも良く,照射量は0.1〜50Mrad,好ましくは1〜20Mradである。
【0021】
本発明においてイオン伝導性を向上させるために他の低分子量のイオン性化合物を混合させることは好ましい態様のひとつである。勿論この場合,溶液中で低分子イオン性化合物を混合しておくことが好ましい。
【0022】
本発明で用いる低分子(以下,高分子に対して使用しており,通常,分子量1000以下を指す)のイオン性化合物について説明する。本発明のイオン性樹脂シートをリチウムイオン2次電池の電解質として用いるために,リチウムイオンを生成する低分子イオン性化合物を併用する。
リチウムイオンを生成する低分子イオン性化合物として,例えば,次の様な化合物を挙げることが出来る。即ち,LiPF6,LiClO4,LiBF4,LiN(SO2CF3)2LiN(SO2C2F5)2・
【0023】
本発明において,更にエチレンカーボネート,プロピレンカーボネート,γ−ブチロラクトン,スルフォラン,1,2−ジメトキシエタン,テトラハイドロフラン,1,3−ジオキソラン,ジメチルカーボネート,ジエチルカーボネート,メチルエチルカーボネート,アセトニトリルなどの溶媒,又はこれらの混合溶媒を可塑剤として併用することも出来る。
【0024】
【実施例】
以下に本発明について,実施例,及び比較例を挙げて,具体的に説明するが,実施例によって本発明が限定されるものではない。
実施例,比較例中の測定は下記の方法によって行った。
イオン伝導率:電極面積0.95cm2の白金電極間に試料を挟み,室温,65%RHで,交流インピーダンス法(0.1V,周波数1Hz〜10MHz)により膜抵抗を測定し,イオン伝導率を算出した。
釘刺し試験:イオン性樹脂シートに直径3mmの釘を刺し込み,引き抜いて,液の漏出を観察した。
また実施例中で合成した化合物はIRスペクトル,NMRスペクトルで同定した。
【0025】
(実施例1)1−メチルイミダゾール16.4gr(0.2mol)を100mlの1,1,1−トリクロロエタンに溶解し,激しく攪拌しながら,n−ブチルブロマイド27.4gr(0.2mol)を50mlの1,1,1−トリクロロエタンに溶解した溶液を1時間かけて滴下後,更に2時間還流させながら反応させた。反応液を分液分離し,各50mlの1,1,1−トリクロロエタンで2回洗浄後,70℃,0.1mmで1時間,乾燥し,1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムブロマイド(BMIBr)を単離した。
カリウムビス−{(トリフルオロメチル)スルフォニル}アミド(KTFSI)31.9gr(0.1mol)を100mlの水に70℃で溶解し,50℃で攪拌しながら,上で得たBMIBr 21.9gr(0.1mol)を50mlの水に溶解した溶液を15分で滴下・混合した。50℃で激しく攪拌しながら更に2時間,複分解反応を行った後,水層を分離除去した。生成物を各50mlの水で2回洗浄した後,60℃,0.1mmHgで2時間乾燥し,1−ブチル−3メチルイミダゾリウムビス−{(トリフルオロメチル)スルフォニル}アミド(BMITFSI)を得た。
同様にして,1−メチルイミダゾール16.4gr(0.2mol)とアリルブロマイド24.2gr(0.2mol)とから1−アリル−3−メチルイミダゾリウムブロマイド(AMIBr)を合成,更にAMIBr20.3gr(0.1mol)とKTFSI 31.9gr(0.1mol)とから1−アリル−3−メチルイミダゾリウムビス−{(トリフルオロメチル)スルフォニル}アミド(AMITFSI)を合成した。
次に,上記に合成したBMITFSI 5gr,AMITFSI 5gr,2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2gr,LiN(SO2CF3)2(LiTFSI)2gr,をテトラヒドロフラン10grに溶解した溶液(I)を調整した。
溶液Iを市販のポリエチレン製の微多孔膜(27μm,気孔率50%)に減圧含浸した後,テトラヒドロフランを室温,減圧で除去した。
本含浸シートを70℃で2時間加熱し,重合させた。このシートは釘刺し試験で漏液は認められず,イオン伝導率は1.2×10−3S/cmであった。
【0026】
(比較例1)AMITFSIを用いない以外,実施例1と同様にして含浸シートを作成し,釘刺し試験を行ったところ,漏液が認められた。
【0027】
(実施例2)実施例1と同様にして,BMITFSI 7gr,AMITFSI 3gr,2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.15gr,LiTFSI 2grをテトラヒドロフラン10grに溶解した溶液(II)を調整した。溶液IIを用い,実施例1と同様にして,ポリエチレン製微多孔膜に含浸・重合させて得られたシートは釘刺し試験で漏液が認められず,イオン伝導率は7.3×10−2S/cmであった。
【0028】
(実施例3)1−メチルイミダゾール16.4gr(0.2mol)とエチルブロマイド21.8gr(0.2mol)を用い,実施例1と同様にして,1−エチル−3−メチルイミダゾリウムブロマイド(EMIBr)を合成した。更に,実施例1と同様にして,EMIBr 19.1gr(0.1mol)とKTFSI 31.9gr(0.1mol)を用い,1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス−{(トリフルオロメチル)スルフォニル}アミド(EMITFSI)を合成した。
同様にして,1−ビニルイミダゾール18.8gr(0.2mol)とエチルブロマイド21.8gr(0.2mol)とから,1−ビニル−3−エチルイミダゾリウムブロマイド(VEIBr)を合成,更にVEIBr20.3gr(0.1mol)とKTFSI 31.9gr(0.1mol)とから1−ビニル−3−エチルイミダゾリウムビス−{(トリフルオロメチル)スルフォニル}アミド(VEITFSI)を合成した。
次に,ポリフッ化ビニリデン(エルフ アトケム社 KYNAR 301F)15grをメチルエチルケトン85grに,80℃で4時間,加熱して溶解した。本溶液を厚さ3mmのガラス板上にキャストし,室温でゆっくりと乾燥した。得られた気孔率55%のシートを上記で合成したEMITFSI 7gr,VEITFSI 3gr,2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.15gr,LiTFSI 3grをプロピレンカーボネート10grに溶解した溶液(III)に室温で浸漬し,含浸した。含浸シートを100℃で48時間,真空乾燥し,プロピレンカーボネートを除くと同時にVEITFSIを重合させた。
得られた含浸シートは,釘刺し試験で漏液は認められす,イオン伝導率は2.5×10−2S/cmであった。
【0029】
(実施例4)1−ビニルイミダゾール18.8gr(0.2mol)を50mlの水/エタノール(50/50)に溶解し,攪拌しながらビス−{(トリフルオロメチル)スルフォニル}アミド(HTFSI)56.2gr(0.2mol)を50mlの水/エタノール(50/50)に溶解した溶液に滴下・混合した。更に50℃で2時間攪拌後,水/エタノールを減圧で溜去させ,1−ビニルイミダゾリウム ビス−{(トリフルオロメチル)スルフォニル}アミド(VITFSI)を得た。
次に,ポリエーテルスルフォン(アモコ ポリマー社 RADEL A−200A)18gr,上記で合成したVITFSI 12gr,ベンゾイルパーオキサイド0.6grをジメチルアセトアマイド100mlに溶解し,厚さ3mmのガラス板上にキャストした。ガラス板をつけたまま,100℃で2分,130℃で30分,乾燥と同時にVITFSIの重合を行った。得られた30μmの膜は釘刺し試験で液の漏出はなく,イオン伝導率は6.0×10−4S/cmであった。
【0030】
【発明の効果】
以上に記述した通り、イミダゾール又はそのN原子および/又は環を形成している炭素原子に炭素数1〜10の炭化水素基が結合しているイミダゾールに由来するカチオンとBF4又はPF6又はCnF2n+1CO2(但しnは1〜4の整数)又はCnF2n+1SO3(但しnは1〜4の整数)又は(CnF2n+1SO2)2N(但しnは0〜2の整数)又はRSO3(但しRは脂肪族基)又はArSO3(但しArは芳香族基)に由来するアニオンとの塩を(A)、イミダゾール又はそのN原子および/又は環を形成している炭素原子に炭素数1〜10の炭化水素基が結合しているイミダゾールに由来するカチオンとBF4又はPF6又はCnF2n+1CO2(但しnは1〜4の整数)又はCnF2n+1SO3(但しnは1〜4の整数)又は(CnF2n+1SO2)2N(但しnは0〜2の整数)又はRSO3(但しRは脂肪族基)又はArSO3(但しArは芳香族基)に由来するアニオンとから構成される塩構造および重合性官能基を含む単量体を(B)とするとき、A/B=99.9/0.1〜0/100(重量比)のイオン性化合物が、塩形成性官能基を含まない樹脂からなるシート状成形物に含浸されており、該含浸されたシート状樹脂成型物中および表面の単量体Bを重合させて高分子化する。生成する高分子はイミダゾール環由来の特定のアンモニウムカチオンおよびBF4アニオンなど特定のアニオン構造部分を有するので、併用する低分子塩と親和性が高く、該塩をよく溶解保持すると共に、単量体自体は重合し固化するため、低分子塩の漏出・溶出防止効果が発現する。この効果は単量体(B)と共重合可能な重合性官能基を2個以上有する単量体(C)を併用すると更に改善される。重合後の樹脂シートは大量のイオン種を含有するため、イオン伝導性が高く、また塩形成性官能基を含まない樹脂層は樹脂シートの機械的な性質や耐化学薬品性、耐熱性を賦与し、両方あいまって本発明の樹脂シートは電池やキャパシターなどの固体電解質への応用(電解質層、電極層など)が期待できる。
Claims (2)
- イミダゾール又はそのN原子および/又は環を形成している炭素原子に炭素数1〜10の炭化水素基が結合しているイミダゾールに由来するカチオンとBF4又はPF6又はCnF2n+1CO2(但しnは1〜4の整数)又はCnF2n+1SO3(但しnは1〜4の整数)又は(CnF2n+1SO2)2N(但しnは0〜2の整数)又はRSO3(但しRは脂肪族基)又はArSO3(但しArは芳香族基)に由来するアニオンとの塩を(A)、イミダゾール又はそのN原子および/又は環を形成している炭素原子に炭素数1〜10の炭化水素基が結合しているイミダゾールに由来するカチオンとBF4又はPF6又はCnF2n+1CO2(但しnは1〜4の整数)又はCnF2n+1SO3(但しnは1〜4の整数)又は(CnF2n+1SO2)2N(但しnは0〜2の整数)又はRSO3(但しRは脂肪族基)又はArSO3(但しArは芳香族基)に由来するアニオンとから構成される塩構造および重合性官能基を含む単量体を(B)とするとき、A/B=99.9/0.1〜0/100(重量比)のイオン性化合物が、塩形成性官能基を含まない樹脂からなるシート状成形物に含浸されており、該含浸されたシート状樹脂成型物中および表面の単量体Bを重合させて得られることを特徴とするイオン性樹脂シート。
- イオン性化合物において、更に単量体(B)と共重合可能な重合性官能基を2個以上有する単量体(C)を単量体(B)に対して0.5モル%以上含有することを特徴とする請求項1記載のイオン性樹脂シート。
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