JP4540040B2 - ワサビのハウス促成栽培方法 - Google Patents
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Description
また、このワサビ田は、沢の中に形成するため、沢水の増水などにより崩れやすく、その維持補修作業も重労働となっている。
沢水と傾斜地さえあれば、「わさび田」がなくてもわさび栽培を行うことができ、しかもわさび生育を十分なものとすることができて、わさび栽培作業を簡単に行うことのできるわさび栽培方法を提供することを目的として、
図5、6に示されるように、複数の栽培槽20を耕地の傾斜に沿って順次低くなるように配置し、これら各栽培槽20内に、底面等に多数の通水孔を設けた複数の栽培容器10を収納することにより、これら各栽培容器10を順次低くなるように配置し、前記各栽培槽20の高い位置のものから低い位置のものに配水管40によって順に接続するとともに、これら各栽培槽20内に下端が開口した止水板21を設けて、前記配水管40から供給された栽培水を、前記各止水板21にて一旦止めて下方の開口から下流側へ流すことにより、前記各栽培容器10の上流側のものから順に、その下部に前記栽培水を供給するようにしたわさび栽培方法及びその装置、
が提案されている。
通気性のある培地が充填され、前記培地に空気を供給することが可能で前記培地に注がれた地下水の通過を許容する小径の通気口が底壁及び側壁に設けられた栽培容器をハウス内に設置し、前記培地に向けて汲み上げたワサビを栽培するに望ましい水温で、かつ、年間水温較差の少ない地下水を年間を通じて散水又は噴霧することにより、前記地下水がハウス内の空気中を落下する間に、前記地下水中にワサビ生育に必要な酸素を溶存させ、前記培地に向けて汲み上げた前記地下水を散水又は噴霧する潅水用系統とは別に熱交換用系統を設けて、前記地下水をハウス全域に間歇的に噴霧して、ハウス内の空気の温度を調整して、一年を通じてワサビが生育する環境を生成して、ワサビをハウス内にて促成栽培することとした。
そして、前記熱交換用系統は、地下水をハウス内に噴霧するとともに地下水をファンコイル内を通過させることにより、熱交換をしてハウス内空気温度を調整することとした。
図1は、本発明に係るワサビのハウス促成栽培方法を実施するハウス1の斜視図である。この図1に示された例では、ハウス1を被覆するビニールシート2は一部巻き取られて換気用の開口3が設けられ、ハウス1内の高温空気は外気と入れ替えられて、ハウス1内部の温度が調整されている。
1つは、空気中を落下中に地下水内に溶存酸素を補給しつつワサビに潅水する潅水用系統7、2つは、ハウス1内の空気と熱交換する熱交換用系統8である。
上記潅水用系統7は、年間を通じて潅水されるもので、その流量は、0.5l/分・m2である。この系統を通じてワサビに好適な酸素と栄養を供給することができる。
また、上述の熱交換用系統8は先端に噴霧用ノズルを備えており、主として夏季と冬季に0.5l/分・m2の地下水が噴霧される。このことにより、ハウス1内の空気が冷却又は加温される。
なお、ハウス1内の空気が異常に上昇または低下すれば。春・秋季であっても当然に空調される。
また、図4は、ハウス内外の年間を通じての最高・最低気温を示すグラフである。
以下、図面を参照して、本発明に係るワサビのハウス促成栽培方法について詳細に説明する。
用水の無機成分含有量は、ワサビの生育にとって最も重要な要素である。ワサビは、窒素、カリウム、カルシウムを特に吸収し、リン酸とマグネシウムについては、これらの5分の1程度の吸収量である。
そこで、用水の無機成分含有量について、静岡県のわさび田で用いられている湧水と、本発明において地下水として用いた用水を比較し、表1に示す。
無機成分含有量の比較(単位はmg/l(pH以外))
注2:用水のデータは、2001.11〜2002.7までのデータの平均値。
pH、アンモニア、塩素、亜硝酸、ケイ酸については、ほぼ同値であるが、硝酸については約7倍、硫酸、石灰、苦土については約2倍、用水の方が多い。
また、用水のリン酸は湧水の約30分の1、同カリウムは同約5分の1である。
一般的に、無機成分が多いわさび田は、これが少ないわさび田に比べ生育・品質・収量とも良好となる。
しかしながら、優等田と称されているわさび田の湧水であっても、リン酸・カリウムについては、実験地における用水とほぼ同濃度の湧水もあることから、この用水にあってもワサビの生育上間題はないと考えられる。
さらに、用水中の濁り成分は、培地の透水性を阻害するため、ワサビの根が酸素不足を起こし、根腐れ等の障害に繋がる恐れがあるが、用水の外観は無色透明(色度・濁度とも0.5度未満)であり、何の障害もない。
湧水の溶存酸素は、水温が12℃前後の時約10mg/lである。用水の溶存酸素は、最低で7.1mg/l(平成13年11月採水)と低かった。このため用水は、曝気して酸素溶存量を増やして(曝気後は9.6mg/l(平成14年4月採水))から使用するのが好ましい。
地下水内に溶存酸素を補給する方法としては、上述の潅水用系統7から地下水を散水する方法が最も一般的であるが、汲み上げた地下水を一旦ハウス内又はハウス外に設けた地下水貯留槽内に貯留し、該貯留槽内に設けた攪拌装置を回転させて曝気する方法や、前記潅水用系統7の配管途中に空気導入管を設けて、この管の空気導入口から空気を吹き込んでもよい。
これら方法を付加することにより、地下水中にワサビ生育に必要な酸素を更に溶存させることが可能となり、ワサビのハウス促成栽培方法に有利となる。
ワサビを栽培するに際して望ましい水温は、年間を通して8〜17℃であり、生育最適温度は12〜13℃である。また、年間水温較差は少ないほどよく、3℃以内であれば最適とされている。
そして、水温が18℃以上になると、ワサビが罹病しやすくなり、その栽培が困難になる。一方水温が低下すると、8℃以下で生育が鈍り、5℃以下で生育停止に陥る。
本発明に用いた地下水(深度100m)の温度は、年間を通して11℃〜14℃であり、ワサビ育成用水として最適温度範囲内にあることが判明した。
今回実施例として実際に使用した用水は、この地域に特有の水質ということではなく、日本国内で100m程度の深さの井戸から汲み上げられる地下水であれば、ほぼ同程度の水温と無機成分含有量を期待することができる。
したがって、深井戸の地下水は、必要に応じて溶存酸素量を高めることにより、十分ワサビ育成用の用水として用いることができるものである。
用水水温の年間推移は表2・図3の通りであった。
各月の平均水温(℃)
ワサビの生育気温範囲はおおよそ8〜18℃で、最適は12〜15℃とされている。
そして、気温8℃以下で生育が鈍り、同5℃以下で生育は停止する。さらには、気温が−3℃以下になると凍寒障害が発生する。
一方、気温が25℃以上になると、軟腐病、株腐病等が発生する。また、射日光が強すぎると、日焼けが生じることがある。
このようにワサビは、気温や日光照度の条件が崩れることで生理的障害が起きたり、罹病しやすくなる性質を持つ。
このため、主として夏・冬のハウス内の室温を調整する必要がある。
そこで本実施例では、ハウス内外に温度計を設置し、ハウス内外の気温の変化をみながら、随時温度調整をしている。
図4は、ハウス内外で測定した最高・最低気温をプロットしたものである。
春から夏にかけての、直射日光の影響を和らげるために、地上から1.7m付近に寒冷紗を張って遮光を行った。
また、日中はハウスの裾のビニールシートを巻き上げるなどして、換気した方が生育障害を少なくする事が出来た。
図4に於いて5月から9月にかけて、ハウス内最高気温が30℃程度となっているが、
これは換気のためビニールシートを一部持ち上げたため、ハウス内外における気温較差が無くなったためである。
このとき、地上から1.6m付近に取り付けたシャワーにより、天気のよい日中は15分間隔でハウス内に霧状に散水した。
その結果、ハウス内1.6m以下のワサビ培地付近の気温は、高温時である7月,8月においても18℃〜20℃を保つ事が出来た。
ハウス1内空気の高温時における温度調整は、前記灌水用散水管7とは別系統の熱交換用系統8の給水管の開口端に噴霧用ノズルを取り付け、このノズルから14℃前後の地下水をハウス全域に噴霧して、ハウス1内空気と熱交換を行ってハウス内を冷却する。
この噴霧用ノズルから噴霧する地下水の流量は、0.5l/分・m2である。
したがって、高温時における地下水の散水量は、前述の栽培用のものと併せて1.0l/分・m2となる。
冬季には、8℃以下になるとワサビの生育が遅延し、5℃以下になるとほぼその生育が停止すると言われている。
冬季においても、前記高温時と同じく前記熱交換用系統8の給水管の開口端に取り付けた噴霧用ノズルから11℃前後の地下水をハウス全域に噴霧して、ハウス1内空気と熱交換を行ってハウス内を加温する。
この噴霧用ノズルから噴霧する地下水の流量は、前述の高温時の流量と同じ0.5l/分・m2である。
この加温システムにては十分にハウス1内温度を上げることができないときは、ハウス1内にファンコイル(図示せず)を設置し、このファンコイル内を通る地下水の熱エネルギーを利用して、加温力を増強することが望ましい。
このことにより、最低外気温が氷点下を記録したにもかかわらず、地下水温が冬場でもワサビ栽培の最適温度に近い12℃弱と安定しており、またその水を利用したファンコイルによりハウス内の気温は、外気温と比較して十分暖かかった。
栽培期間が長くなるにつれて、軽石と豆砂利の葉数がそれ以外の培地と比べ半数程度となり、生育速度に差が出た。
培地間の生育順位は、赤玉土>桐生砂>鹿沼土>軽石>豆砂利であった。
以上のことから、ワサビのハウス促成栽培方法の培地としては、赤玉土、桐生砂及び鹿沼土が適しているということができる。
2 ビニールシート巻取軸
3 換気用開口部
4 栽培容器
5 培地
6 通気用小孔
7 潅水用系統
8 熱交換用系統
Claims (3)
- ワサビのハウス促成栽培方法において、
通気性のある培地が充填され、前記培地に空気を供給することが可能で前記培地に注がれた地下水の通過を許容する小径の通気口が底壁及び側壁に設けられた栽培容器をハウス内に設置し、
前記培地に向けて汲み上げたワサビを栽培するに望ましい水温で、かつ、年間水温較差の少ない地下水を年間を通じて散水又は噴霧することにより、前記地下水がハウス内の空気中を落下する間に、前記地下水中にワサビ生育に必要な酸素を溶存させ、
前記培地に向けて汲み上げた前記地下水を散水又は噴霧する潅水用系統とは別に熱交換用系統を設けて、前記地下水をハウス全域に間歇的に噴霧して、ハウス内の空気の温度を調整して、
一年を通じてワサビが生育する環境を生成することを特徴とするワサビのハウス促成栽培方法。 - 前記栽培容器は、複数個同一水平面上に支持され、全ての栽培容器の培地に向けて同時に前記地下水を散水又は噴霧することを特徴とする請求項1に記載されたワサビのハウス促成栽培方法。
- 汲み上げた前記地下水を一旦ハウス内又はハウス外に設けた地下水貯留槽内に貯留し、該貯留槽内において曝気することにより、前記地下水中にワサビ生育に必要な酸素を更に溶存させることを特徴とする請求項1乃至請求項2いずれかに記載されたワサビのハウス促成栽培方法。
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