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JP4548999B2 - ピペラジン誘導体から誘導される非水系ゲル状イオン伝導性組成物、並びにそれを用いた電池及び電気化学素子 - Google Patents
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JP4548999B2 - ピペラジン誘導体から誘導される非水系ゲル状イオン伝導性組成物、並びにそれを用いた電池及び電気化学素子 - Google Patents

ピペラジン誘導体から誘導される非水系ゲル状イオン伝導性組成物、並びにそれを用いた電池及び電気化学素子 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ピペラジン誘導体、それから誘導される架橋型共重合体、それをベースとする非水系ゲル状イオン伝導性組成物、並びにそれを用いた電池及び電気化学素子に関する。より詳しくは、本発明は、ブロック重合体を含むゲル状イオン伝導性組成物、並びにそれを用いた電池及びコンデンサーに関する。
【0002】
【従来の技術】
イオン伝導性材料は、一次電池、二次電池、太陽電池、コンデンサー、センサー、化学発光表示素子、液晶表示素子など各種の電池や電気化学素子に用いられている。近年の電子工業分野では、各種電子部品の高性能化が更に追求されると共に、その小型化や薄層化が益々進行しているため、電池や電気化学素子に使用されるイオン伝導性材料自体についても、それに即した改良が望まれている。また、従来から液体又は流体の形態で使用されるイオン伝導性材料には、液漏れによる周辺部の損傷などの問題が存在している。
【0003】
このような課題に対処するため、最近では高分子電解質やゲル電解質などといった固体電解質材料が提案されている。これらは、比較的高いイオン伝導性、広い電位窓、良好な薄膜形成性、柔軟性、軽量性、弾性、透明性等の優れた特徴を持っている。これらのうち、高分子電解質に特有な柔軟性や弾性などの特性は、多くの電極活物質が作動中にその体積を変化させるリチウム2次電池では、その体積変化を吸収し得るので、特に重要である。また、高分子電解質やゲル電解質には、電極材料の脱離に起因する繰り返し使用時の電池容量の低下や正負極材料の短絡を防止する能力もあると言われている。
【0004】
特公昭61−23944号公報には、このような高分子電解質に使用するための有機高分子化合物として、一次元構造のポリアミド系樹脂が言及されているが、具体的にはいかなるポリアミド系樹脂も開示されていない。
また、Advanced Materials, 10, 439 (1998)には、ポリオキシエチレン;ポリオキシエチレンとポリシロキサンとの複合物;ポリオキシエチレンとポリフォスファゼンとの複合物;ポリオキシエチレンを構造単位に持ちかつエポキシ基やイソシアナート基、更にはシロキサン構造を有する架橋構造のポリマー;などが紹介されている。特に、ポリオキシアルキレン基とポリシロキサン構造を有する架橋構造のポリマーは低温特性が優れていることから、注目される高分子電解質である。
このようなポリオキシアルキレン基とポリシロキサン構造単位を有する高分子電解質用のポリマーとして、J. Polym. Sci. Polym. Lett. Ed., 22, 659 (1984) には、
【0005】
【化4】
Figure 0004548999
【0006】
が開示されている。また、Solid State Ionics, 15, 233 (1985)には、
【0007】
【化5】
Figure 0004548999
【0008】
が開示され、特開昭63−136409号公報には、
【0009】
【化6】
Figure 0004548999
【0010】
が開示され、そして特開平8−78053号公報には、式:
【0011】
【化7】
Figure 0004548999
【0012】
で表されるシリコーン系化合物であって、A及びA' がアルキル基であり、B及び/又はB' がオキシアルキレン鎖である化合物が開示されている。これらポリマーは、いずれもポリシロキサン主鎖の側鎖にポリオキシアルキレン鎖を有するに過ぎない。
特公平8−21389号公報には、オキシアルキレン基又はポリオキシアルキレン基を有する有機基を側鎖として及び/又は架橋部として有するポリシロキサン架橋硬化体が開示され、特公平6−35545号公報には、
【0013】
【化8】
Figure 0004548999
【0014】
で表されるポリシロキサン架橋硬化体であって、R1 、R2 、R3 、R11及びR11' がアルキル基、アルコキシル基又はアリール基であり、R4 がアルキレン基、オキシアルキレン基又はオキシカルボニルアルキレン基であり、R5 が水素原子又はアルキル基であり、Yがオキシアルキレン基又はポリオキシアルキレン基であり、Zが両末端がオキシアルキレン基、ポリオキシアルキレン基又はポリシロキサン構造を有する基である硬化体が開示されている。
しかしながら、これらはいずれも、ポリマー自体の安定性に問題があったり、電極材料の脱離を抑えかつ薄層化を可能とする架橋構造体が得られなかったり、十分なイオン伝導性が得られないなどの問題があり、未だ実用化には至っていない。
これら課題を解決し得るイオン伝導性組成物として、国際出願PCT/JP99/05707は、2つのヒドロシリル基を有する
【0015】
【化9】
Figure 0004548999
【0016】
の化合物と2つのエチレン性二重結合を有する化合物とのヒドロシリル化反応によって得られる線状交互共重合体をやはりヒドロシリル化反応を利用して架橋させた重合体をゲル化させて得られる、ゲル状イオン伝導性組成物を記載している。
しかし、これらポリシロキサン骨格を有する重合体をベースとするイオン伝導性組成物は、存在する電解質と除去不能な微量の水との反応により発生する酸によって、又は加熱による電解質自体の分解生成物によって、ポリシロキサン骨格が分解されて劣化するという欠点を有することが明らかとなった。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、安定な非水系ゲル状イオン伝導性組成物、並びにそれを用いた電池及び電気化学素子を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は、新規なピペラジン誘導体を用いてポリシロキサン骨格にピペラジン単位を導入すれば、そのポリシロキサン骨格を有する架橋型共重合体から形成される非水系ゲル状イオン伝導性組成物は、電解質に起因する酸や電解質自体の分解生成物による劣化を受けにくいとの発見に基づく。
従って、本発明の第1の側面では、式(A):
【0019】
【化10】
Figure 0004548999
【0020】
〔式中、
1 は、互いに独立して、水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基、又は置換若しくは無置換の炭素数6〜20のアリール基を示し;
2 は、互いに独立して、置換若しくは無置換の炭素数1〜18のアルキレン基、置換若しくは無置換の炭素数6〜20の飽和若しくは不飽和シクロアルキレン基、置換若しくは無置換の炭素数6〜20のアリーレン基、置換若しくは無置換の炭素数7〜21のアリールアルキレン基、置換若しくは無置換の炭素数7〜21のアリーレンアルキレン基、置換若しくは無置換の炭素数8〜22のアリーレンビス(アルキレン)基、ジアルキル(ポリ)シリレン基、ジアリール(ポリ)シリレン基、ヘテロ原子数1〜6で炭素数1〜30のヘテロ原子含有有機基、ポリアクリレート若しくはポリメタクリレートから誘導される2価基、又は直接結合を示し;そして
nは、1〜100の整数である。〕
により表されるピペラジン誘導体〔以下、化合物(A)という〕が提供される。
第2の側面では、本発明は、式(A)においてnが0〜100の整数である化合物(A)と、式(B):
【0021】
【化11】
Figure 0004548999
【0022】
〔式中、
3 は、互いに独立して、置換若しくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基、置換若しくは無置換の炭素数7〜21のアラルキル基、又は置換若しくは無置換の炭素数6〜20のアリール基を示し;
4 は、互いに独立して、置換若しくは無置換の炭素数1〜18のアルキレン基、置換若しくは無置換の炭素数6〜20のアリーレン基、置換若しくは無置換の炭素数7〜21のアリールアルキレン基、ジアルキル(ポリ)シリレン基、ジアリール(ポリ)シリレン基、ジアルキルシリレンビス(アルキレン)基、又は直接結合を示し;そして
2 は2価の連結基であって、二置換二価ケイ素原子、置換若しくは無置換の炭素数1〜18のアルキレン基、置換若しくは無置換の炭素数6〜20のアリーレン基、ヘテロ原子数1〜50で炭素数1〜100のヘテロ原子含有有機基、ベンゼンポリカルボキシ基、リン酸基、ポリアクリレート若しくはポリメタクリレートから誘導される基、又は直接結合を示す。〕
により表される化合物〔以下、化合物(B)という〕との付加反応によって得られる線状共重合体であって末端にヒドロシリル基を2つ有する線状重合体〔以下、化合物(C)という〕が提供される。
【0023】
第3の側面では、本発明は、化合物(C)に、少なくとも3のエチレン性二重結合を有する式(D):
【0024】
【化12】
Figure 0004548999
【0025】
〔式中、
6 は、互いに独立して、水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基、又は置換若しくは無置換の炭素数6〜20のアリール基を示し;
7 は、互いに独立して、置換若しくは無置換の炭素数1〜18のアルキレン基、置換若しくは無置換の炭素数6〜20のアリーレン基、置換若しくは無置換の炭素数7〜21のアリールアルキレン基、ヘテロ原子数1〜6で炭素数1〜30のヘテロ原子含有アルキレン基、又は直接結合を示し;
3 はn1 と同じ価数を持つ連結基であって、炭素原子、炭素数1〜18のアルカンポリイル基、炭素数6〜20の多価芳香族炭素環基、炭素数1〜12のアルカンポリオキシ基、ケイ素原子、一置換3価ケイ素原子、炭素数1〜300の脂肪族基、ヘテロ原子数1〜50で炭素数1〜100のヘテロ原子含有有機基、ベンゼンポリカルボキシ基、リン酸基、オキシリン酸基、ポリアクリレート若しくはポリメタクリレートから誘導される基、又は直接結合を示し;
1 は、3以上の整数であり;
【0026】
8 は、互いに独立して、置換若しくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基、又は置換若しくは無置換の炭素数6〜20のアリール基を示し;
9 は、互いに独立して、置換若しくは無置換の炭素数1〜18のアルキレン基、置換若しくは無置換の炭素数6〜20のアリーレン基、置換若しくは無置換の炭素数7〜21のアリールアルキレン基、ヘテロ原子数1〜6で炭素数1〜30のヘテロ原子含有有機基、又は直接結合を示し;
4 はn2 と同じ価数を持つ連結基であって、炭素原子、炭素数1〜18のアルキレン基、炭素数1〜18のアルキニル基、炭素数6〜20の多価芳香族炭素環基、炭素数1〜12のアルカンポリオキシ基、ケイ素原子、一置換3価ケイ素原子、炭素数1〜300の脂肪族基、ヘテロ原子数1〜50で炭素数1〜100のヘテロ原子含有有機基、ベンゼンポリカルボキシ基、リン酸基、オキシリン酸基、ポリアクリレート若しくはポリメタクリレートから誘導される基、又は直接結合を示し;
aは、0〜3の整数を示し;そして
2 は、2〜30の整数を示す。〕
により表される化合物〔以下、化合物(D)という〕を付加反応させることによって得られる架橋型共重合体が提供される。
【0027】
第4の側面では、本発明は、上記の架橋型共重合体と電解質を含んでなる非水系ゲル状イオン伝導性組成物が提供される。
第5の側面では、本発明は、上記の非水系ゲル状イオン伝導性組成物を含んでなる電池及び電気化学素子が提供される。好ましくは、電池は、リチウムイオン電池であり、そして、電気化学素子は、太陽電池、コンデンサー、センサー、化学発光表示素子、又は液晶表示素子である。
【0028】
第6の側面では、本発明は、非水系ゲル状イオン伝導性組成物を含んでなる電池又は電気化学素子を製造する方法であって、
前記電池又は電気化学素子の外殻を作製し;
上記の線状共重合体、化合物(D)により表される化合物、有機溶媒及び電解質を含んでなるイオン伝導性組成物を調製し;
前記外殻に前記イオン伝導性組成物を注入し;そして
前記外殻中の前記イオン伝導性組成物を重合又は架橋させて前記非水系ゲル状イオン伝導性組成物を形成する
ことを含んでなる方法が提供される。
好ましくは、この方法では、25℃における粘度がその調製直後に30mPa・s以下であり、かつ25℃において6時間経過した時点の粘度の上昇率が調製直後に比較して300%以内となるイオン伝導性組成物が調製される。
【0029】
化合物(A)
本発明において、式(A)においてR1 により示される炭素数1〜18のアルキル基には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基、ドデシル基等が含まれ、そして、炭素数6〜20のアリール基には、例えば、フェニル基、トルイル基、ナフチル基等が含まれる。好ましくは、R1 は水素原子、又は好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であり、最も好ましくは水素原子又はメチル基である。
【0030】
式(A)においてR2 により示される炭素数1〜18のアルキレン基には、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、オクチレン基、ドデシレン基等が含まれ、炭素数6〜20の飽和シクロアルキレン基には、例えば、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基、シクロオクチレン基等が含まれ、不飽和シクロアルキレン基には、例えば、シクロヘキセニレン基、シクロヘプテニレン基、シクロオクテニレン基、シクロヘキサジエニレン基、シクロヘプタジエニレン基等が含まれ、炭素数6〜20のアリーレン基には、例えば、フェニレン、ナフチレン基等が含まれ、そして、炭素数7〜21のアリールアルキレン基には、例えば、フェニルメチレン基、フェニルエチレン基、フェニルエチリデン基等が含まれる。R2 により示される炭素数7〜21のアリーレンアルキレン基には、例えば、フェニレンメチレン基等が含まれ、炭素数8〜22のアリーレンビス(アルキレン)基、例えば、キシリレン基が含まれる。R2 により示されるジアルキル(ポリ)シリレン基のアルキル基は、好ましくは炭素数1〜6を有し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が含まれ、ジアリール(ポリ)シリレン基のアリール基は、好ましくは炭素数6〜10を有し、例えば、フェニル基、トルイル基、ナフチル基等が含まれる。好ましくは、R2 は、炭素数1〜6のアルキレン基、特にメチレンであるか、炭素数宇6〜10のアリーレン、特にフェニレン基であるか、又は炭素数宇8〜12のアリーレンビス(アルキレン)基、特にキシリレン基である。
【0031】
式(A)においてR2 により示されるヘテロ原子数1〜6で炭素数1〜30のヘテロ原子含有有機基は、主鎖中に、ヘテロ原子として酸素、硫黄又は窒素原子を含有する基であって、これらへテロ原子は、炭素原子間に存在してエーテル、チオエーテル及び/又は2級アミノ基を形成しても、炭素原子上に存在してカルボニル、チオカルボニル及び/又はイミノ基を形成しても、それらの混合物であってもよい。従って、このヘテロ原子含有有機基には、(ポリ)オキシアルキレン基、(ポリ)カーボネート基、(ポリ)エステル基、及びアミド基も含まれるが、側鎖にのみへテロ原子を含有するポリアクリレートやポリメタクリレートのような基は含まれない。(ポリ)オキシアルキレン基は、好ましくは炭素数1〜6を有するアルキレンオキシドのポリマーから誘導される基であり、例えば、ポリ(オキシメチレン)、ポリ(オキシエチレン)、ポリ(オキシプロピレン)、ポリ(オキシブチレン)、ポリ(オキシペンチレン)、及びそれらの共重合体が含まれる。(ポリ)カーボネート基は、エチレングリコール又はプロピレングリコールのようなグリコール又はポリグリコール、又はフェニレンジオールのようなアリーレンジオール又はポリアリーレンジオールが−O(CO)O−を介して連結した2価基であり、グリコールは、好ましくは1〜12、より好ましくは2〜8、最も好ましくは2〜6の炭素数を有し、アリーレンジオールは、好ましくは6〜10、より好ましくは6〜8、最も好ましくは6の炭素数を有する。(ポリ)エステル基は、グリコール酸、アジピン酸、フタル酸又はテレフタル酸のようなジカルボン酸と、エチレングリコール又はプロピレングリコールのようなグリコール又はポリグリコール、又はフェニレンジオールのようなアリーレンジオール又はポリアリーレンジオールとの脱水縮合によって得られる2価基である。
この場合のグリコール及びアリーレンジオールは、(ポリ)カーボネート基の場合と同様のものを使用できる。好ましくは、ヘテロ原子数1〜6で炭素数1〜30のヘテロ原子含有有機基、並びに、ポリアクリレート及びポリメタクリレートから誘導される2価基の分子量は、60〜30,000、好ましくは100〜10,000である。
【0032】
式(A)におけるR1 及びR2 が置換基を有する場合のそれら置換基には、塩素、フッ素及び臭素のようなハロゲン、及びシアノ基が含まれる。具体的な置換基を有する基には、トリフルオロプロピル基、クロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基、及び2−シアノエチル基のようなシアノアルキル基が含まれる。
式(A)におけるnは、好ましくは1〜70、特に好ましくは2〜20である。
化合物(A)の具体例としては、
【0033】
【化13】
Figure 0004548999
【0034】
などがある。
化合物(A)は、公知技術を用いて容易に合成することができる。
例えば、式(A)においてR2 がアルキレン基、アリールアルキレン基、飽和シクロアルキレン、又はアリーレンビス(アルキレン)である化合物は、ピペラジンに、R2 X及びCH2 =C(R1 )R2 2 を逐次又は同時に反応させることにより得られる。それの反応では、化合物(A)は、式(A)においてnが異なる同種化合物の混合物として得られるので、各画分を分別する必要がある。そうした具体例は、本明細書の実施例1及び2に示されている。Xは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、トシル基、メチルスルホン酸基、メシル基、又はトリフルオロメタンスルホニル基、好ましくは、塩素、臭素、又はトシル基である。生成するHXを捕捉するために塩基を添加するのが好ましい。
【0035】
また、化合物(A)が同種化合物の混合物としてではなく、単一化合物として得られる方法もある。例えば、日本化学会誌 74 (2) pp. 342-346 には、式(A)においてR2 がエチレンである化合物(A)の中間体となるオリゴ(エチレンピペラジン)が単一の重合度のものとして得られる方法が記載されている。そのオリゴ(エチレンピペラジン)の2つの末端ピペラジンNH基にそれぞれハロゲン化アリルを反応させると、その重合度に応じて、上記の化合物(A−1)〜(A−5)のようなピペラジン誘導体が得られる。式(A)のR2 が他のアルキレン基、アリールアルキレン基、飽和シクロアルキレン、又はアリーレンビス(アルキレン)である化合物も同様に合成できる。
【0036】
式(A)のR2 が不飽和シクロアルキレンである化合物(A−11)のような化合物は、シクロアルカンジオン、N−アリルピペラジン及びピペラジン間の脱水反応で容易に合成できる。そして、その化合物をスポンジ状ニッケルやカーボン担持パラジウムのような水素添加触媒の存在下で脱水素すれば、R2 がアリーレンである化合物(A−12)のような化合物が得られる。化合物(A−11)及び化合物(A−12)を得るには、シクロアルカンジオンとして1,4−シクロヘキサジオンを使用すればよい。
【0037】
化合物(B)
式(B)においてR3 により示される炭素数1〜18のアルキル基及び炭素数6〜20のアリール基の例は、式(A)のR1 について示したものと同様である。R3 により示される炭素数7〜21のアラルキル基には、例えば、ベンジル基、フェネチル基等が含まれる。好ましくは、R3 は炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であり、最も好ましくはメチル基である。
式(B)においてR4 により示される炭素数1〜18のアルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、炭素数7〜21のアリールアルキレン基、ジアルキル(ポリ)シリレン基及びジアリール(ポリ)シリレン基の例は、式(A)のR2 について示したものと同様である。R4 により示されるジアルキルシリレンビス(アルキレン)基のアルキル基は炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であり、そして、アルキレン基はメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン、オクチレン基等が挙げられる。2つのアルキレン基は相互に同じであっても異なっていてもよい。好ましいジアルキルシリレンビス(アルキレン)基には、ジメチルシリレン(メチレン)エチレン、ジメチルシリレン(エチレン)エチレン及びジメチルシリレン(エチレン)ブチレンなどが含まれる。好ましくは、R4 は炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜3のアルキレン基、最も好ましくはメチレン基、ジメチルシリレン(エチレン)ブチレン、又は直接結合である。
【0038】
式(B)においZ2 により示される二置換二価ケイ素原子の置換基には、炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基が含まれ、好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であり、最も好ましくはメチル基である。従って、好ましい二置換二価ケイ素原子はジアルキルシリレン基であり、最も好ましくはジメチルシリレン基である。Z2 により示される炭素数1〜18のアルキレン基及び炭素数6〜20のアリーレン基の例は、式(A)のR2 について示したものと同様である。Z2 により示されるヘテロ原子数1〜50で炭素数1〜100のヘテロ原子含有有機基の定義及び例は、含まれるヘテロ原子数及び炭素数が相違し得ること以外は、式(A)のR2 についてのヘテロ原子数1〜6で炭素数1〜30のヘテロ原子含有有機基の定義及び例と同様である。好ましくは、Z2 は、ジメチルシリレン基、炭素数1〜12のアルキレン基、フェニレン基、100〜2,000の分子量を有するポリ(オキシエチレン)基、ポリ(オキシプロピレン)基、及びそれらの共重合体のようなポリオキシアルキレン基、(ポリ)カーボネート基、及び(ポリ)エステル基である。
式(B)におけるR3 、R4 、及びZ2 が置換基を有する場合のそれら置換基の例は、式(A)におけるR1 及びR2 について示したものと同様である。
化合物(B)の具体例としては、
【0039】
【化14】
Figure 0004548999
【0040】
【化15】
Figure 0004548999
【0041】
などの化合物がある。
化合物(C)
化合物(C)は、式(C):
【0042】
【化16】
Figure 0004548999
【0043】
〔式中、R1 、R2 、R3 、R4 、Z2 及びnは上で定義した通りであり、pは1〜100の整数である。〕
により表される線状共重合体であって、化合物(A)を過剰の化合物(B)と交互付加反応に付することにより形成される。例えば、化合物(A)を1モル、化合物(B)を2モル反応させると、BABの平均構造を有する化合物(C)が1モル生成する。更に化合物(A)を2モル、化合物(B)を3モル反応させるとBABABの平均構造を有する化合物(C)が1モル生成する。化合物(A)を3モル、化合物(B)を4モル反応させるとBABABABの平均構造を有する化合物(C)が1モル生成する。
【0044】
化合物(A)と化合物(B)の間の付加反応(ヒドロシリル化反応)は、室温から150℃程度、好ましくは40℃から120℃程度の温度で行うことができる。このヒドロシリル化反応には触媒が使用される。触媒としては、白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム等の化合物が知られている。しかし、迅速に反応が進行するための高い活性を有することから、特に白金化合物が有用である。白金化合物の例としては、塩化白金酸、白金の単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の坦体に固体白金を坦持させたもの、白金−ビニルシロキサン錯体、白金−ホスフィン錯体、白金−ホスファイト錯体、白金アルコラート触媒等が使用できる。ヒドロシリル化反応の際、白金触媒は白金として0. 0001重量%から0. 1重量%程度添加される。
【0045】
反応溶媒としては、チオフェン、硫化ジエチル、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の硫黄化合物;アセトニトリル、ジエチルアミン、アニリン等の窒素化合物;アセタール;シクロヘキサノンなどのケトン;エステル;フェノール;トルエン、キシレン、ヘキサン、イソパラフィン等の炭化水素;ハロゲン化炭化水素;ジメチルポリシロキサン;プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のカルボニル結合を有するエステル系化合物;テトラヒドロフラン、2−メトキシテトラヒドロフラン、1, 3−ジオキソラン、1, 2−ジメトキシエタン、1, 2−エトキシエタン、1, 3−ジオキサン等のエーテル系化合物;メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール等のアルコール等を単独で或いは混合して使用することができる。
得られる化合物(C)の分子量は、230以上であり、好ましくは300〜30, 000である。
化合物(C)の具体例としては、
【0046】
【化17】
Figure 0004548999
【0047】
などがある。
化合物(D)
式(D)においてR6 により示される炭素数1〜18のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基の例は、式(A)のR1 について示したものと同様である。
式(D)においてR7 により示される炭素数1〜18のアルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、及び炭素数7〜21のアリールアルキレン基の例は、式(A)のR2 について示したものと同様である。また、R7 により示されるヘテロ原子数1〜6で炭素数1〜30のヘテロ原子含有有機基の例は、式(A)のR2 について示したもののほか、アルキル−ポリオキシアルキレン−アルキル基が含まれる。そのアルキル基には、メチル基、エチル基、プロピル基、又はブチル基のような炭素数1〜6のアルキル基が含まれ、具体的には、メチル−ポリ(オキシエチレン)−メチル、メチル−ポリ(オキシプロピレン)−メチル、メチル−ポリ(オキシエチレン)−プロピル、エチル−ポリ(オキシブチレン)−エチル、エチル−ポリ(オキシペンチレン)−プロピル、及びそれらの共重合体が含まれる。
【0048】
式(D)においてZ3 により示される炭素数1〜18のアルカンポリイル基には、メチニル基、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、オクチル基及びドデシニル基のようなアルキニル基のほか1,2,3−プロパントリイル基等が含まれる。炭素数1〜12のアルキニル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキニル基がより好ましい。Z3 により示される炭素数6〜20の多価芳香族炭素環基には、ベンゼントリイル基、ナフタレントリイル基等が含まれる。Z3 により示される炭素数1〜12のアルカンポリオキシ基には、1, 2, 3−プロパントリオキシ基、1, 2, 3, 4−ブタンテトラオキシ基、1, 2, 3, 4, 5, 6−ヘキサンヘキサオキシ等が含まれる。Z3 により示される一置換3価ケイ素原子には、例えば、式≡Si−アルキルが含まれ、このアルキル基は、炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であり、最も好ましくはメチル基である。従って、≡Si−アルキルの最も好ましい具体例としては≡Si−CH3 を挙げることができる。Z3 により示されるヘテロ原子数1〜50で炭素数1〜100のヘテロ原子含有有機基は、主鎖中に、ヘテロ原子として酸素、硫黄又は窒素原子を含有する基であって、これらへテロ原子は、炭素原子間に存在してエーテル、チオエーテル及び/又は2級アミノ基を形成しても、炭素原子上に存在してカルボニル、チオカルボニル及び/又はイミノ基を形成しても、それらの混合物であってもよい。従って、このヘテロ原子含有有機基には、(ポリ)カーボネート基、(ポリ)エステル基、及びアミド基も含まれるが、側鎖にのみへテロ原子を含有するポリアクリレートやポリメタクリレートのような基は含まれない。そのような基には;メチレンオキシメチニル基、メチレンオキシエチニル基、メチレンオキシプロピニル基、エチレンオキシプロピニル基、メチレンオキシエチレンオキシメチニル基、エメチレンオキシエチレンオキシエチニル基、プロピレンオキシエチレンオキシプロピニル基、フェニレンビス(メチルオキシエチニル)基のような、炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数6〜10のアリーレン基又は炭素数8〜22のアリーレンジアルキレン基がエーテル結合で炭素数1〜6のアルキニル基と結合した基;トリオキソトリアジン基;及びそれらの酸素原子の一部が硫黄及び/又は窒素原子で置き換えられたものが含まれる。Z3 により示されるベンゼンポリカルボキシ基には、ベンゼントリカルボン酸及びベンゼンテトラカルボン酸から誘導される基が含まれる。Z3 に含有されるポリオキシアルキレン、(ポリ)カーボネート及び(ポリ)エステルの例は、式(B)のZ2 について示したものと同様である。
好ましくは、R6 は水素原子又はメチルであり、R7 はメチレン基、エチレン基、直接結合、−CH2 OCH2 −、−CH2 OCH2 CH2 −、又は−CH2 OCH2 CH2 OCH2 −であり、Z3 は炭素原子、メチニル基、エチニル基、ベンゼントリイル基、又はケイ素原子であり、そしてn1 は3〜10の整数である。
【0049】
式(D)のR8 は、水素原子であり得ないことを除いて、その例はR6 について示したものと同様であり、R9 の例はR7 について示したものと同様である。
4 により示される炭素数1〜18のアルキレン基の例は、式(A)のR2 について示したものと同様である。また、炭素数1〜18のアルキニル基の例は、Z3 の炭素数1〜18のアルカンポリイル基の説明において示したものと同様である。Z4 のその他の基の例も価数が相違することがある以外はZ3 について示したものと同様である。また、R8 、R9 及びZ4 の好ましい例も、それぞれ、R6 、R7 及びZ3 について示したものと同様である。好ましいaは1〜3の整数であり、好ましいn2 は2〜10、特に2〜6の整数である。
具体例的な化合物(D)には次のようなものがある。
【0050】
【化18】
Figure 0004548999
【0051】
【化19】
Figure 0004548999
【0052】
【化20】
Figure 0004548999
【0053】
【化21】
Figure 0004548999
【0054】
【化22】
Figure 0004548999
【0055】
【化23】
Figure 0004548999
【0056】
架橋型共重合体
本発明の架橋型共重合体は、化合物(C)のヒドロシリル基と化合物(D)のエチレン性二重結合の間で起こるヒドロシリル化反応を利用して、それら化合物を交互に付加させることにより形成される。
この重合体は、化合物(C)を基本単位として、エチレン性二重結合を3個以上有する化合物(D)を介してネットワーク構造を形成でき、溶媒を含むとゲル状組成物となる。
この架橋型共重合体の架橋密度は、化合物(C)の分子量によりある程度決定されるが、化合物(C)と化合物(D)が、式:
【0057】
【数1】
0. 5≦[(Dのモル数×Dの価数) /(Cのモル数×2)]≦2. 0 (I)
【0058】
に従う場合、特に、式(I)の下限が0. 8で上限が1. 2である場合に好ましい架橋密度の共重合体が得られる。
また、本発明の架橋型共重合体は、化合物(A)のエチレン性二重結合と化合物(B)のヒドロシリル基との間で起こるヒドロシリル化反応を利用して、化合物(A)、化合物(B)、及び化合物(D)を一挙に反応させることによって、化合物(C)を経由しないで形成されることもできる。その場合には、それら化合物が、式:
【0059】
【数2】
0. 4≦〔Aのモル数/Bのモル数〕≦1. 2 (II)
【0060】
及び
【数3】
0. 05≦[(Dのモル数×Dの価数) /(Bのモル数×2)]≦1. 0 (III)
【0061】
に同時に従う場合、特に、式 (II)の下限が0. 6で上限が1. 0でありかつ式(III) の下限が0. 1で上限が0. 6である場合に好ましい架橋密度の共重合体が得られる。
いずれの場合にも、化合物(A)、化合物(B)、及び化合物(D)はそれぞれ2種以上用いても良い。また、化合物(C)に化合物(D)を反応させる際に、化合物(A)及び/又は化合物(B)を追加してもよい。
【0062】
この場合のヒドロシリル化反応は、反応速度の温度依存性が大きいことから、室温以下で混合し、加熱して反応を促進させることができる。これはヒドロシリル化反応の大きな利点であって、反応物を適当な粘性で混合し、成形した後加熱すれば、一挙に所望の形状の重合物が得られる。加熱温度としては50℃から150℃程度、好ましくは60℃から120℃程度である。このヒドロシリル化反応にも先の挙げた触媒が使用される。電池用には、迅速に反応が進行するための高い活性を有すること、反応生成物と2次反応を起こさないこと、電池特性に影響を与えないこと等の条件が必要なので、特に白金化合物が有用である。
【0063】
得られる架橋型共重合体は、重合溶媒を含有してゲル状組成物として得られうる。ゲル状組成物中に存在し得る溶媒には、塩化チオニル、塩化スルフリル、液体アンモニア等の無機溶媒、チオフェン、硫化ジエチル等の硫黄化合物、アセトニトリル、ジエチルアミン、アニリン等の窒素化合物、酢酸、酪酸等の脂肪酸、及びこれらの酸無水物、エーテル、アセタール、シクロヘキサノンなどのケトン、エステル、フェノール、アルコール、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ジメチルポリシロキサンなどが使用できる。特に、リチウム二次電池用には、精製したジメチルスルホキシド、スルホラン等の硫黄化合物、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のカルボニル結合を有するエステル系化合物、テトラヒドロフラン、2−メトキシテトラヒドロフラン、1, 3−ジオキソラン、1, 2−ジメトキシエタン、1, 2−エトキシエタン、1, 3−ジオキサン等のエーテル系化合物等及びそれらの混合物を挙げることができる。電気二重層コンデンサーや電解コンデンサーでは、精製したプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、スルホラン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等の溶媒が単独或いは混合して存在することができる。これら溶媒は、本発明の架橋型共重合体中に、1〜99重量%、好ましくは50〜99重量%、より好ましくは80〜97重量%の量で存在する。これら溶媒のうちヒドロシリル化反応を阻害しないものは、ゲル状組成物の製造時に加えるのが好ましい。なお、ヒドロシリル化反応を阻害する溶媒としてアルコールを挙げることができる。
【0064】
非水系ゲル状イオン伝導性組成物
本発明の非水系ゲル状イオン伝導性組成物は、上記の架橋型共重合体又はゲル状組成物に電解質を混合し、必要に応じて、変性シリコーン、及びイオン伝導性組成物に慣用的に配合されるその他の成分を混合又は含浸させることにより製造される。また、架橋型重合体を得る前に、これら成分の全部又は一部を、重合反応体に配合し、残りを重合反応後に配合してもよい。例えば、線状共重合体と化合物(D)との反応前に配合しても良いし反応後に配合しても良い。また、配合前に一部を配合してから残りを配合することもできる。
【0065】
本発明の非水系ゲル状イオン伝導性組成物の力学的特性やイオン伝導性を良好な状態に保つには、溶媒の量は、好ましくは30〜99重量%、より好ましくは50〜98重量%、最も好ましくは60〜95重量%である。この時、ゲル電解質層の貯蔵弾性率は3000パスカル以上が好ましく、特に5000パスカル以上が好ましい。貯蔵弾性率とは、ゲルの力学的挙動を示す量であるが、勿論この周波数特性が大きくは変化せず、良好な形状安定特性と示すものがより好ましい。
本発明の非水系ゲル状イオン伝導性組成物中には、本発明の重合体は1〜49重量%、好ましくは2〜20重量%の量で存在する。
【0066】
変性シリコーンとは、ジメチルポリシロキサンのメチル基の一部をポリエーテル基、ポリエステル基、アルコキシ基、アルコール基、カルボキシ基、エポキシ基含有基、アミノ基含有基、アルキル基、フェニル基等で置換したものを言う。
変性基は、ペンダント状、直鎖状、片末端変性、両末端変性、両末端及び側鎖変性等の形で付加される。また、2種以上の置換基を持っていても良い。これらの粘性は40℃で10000mPa・s以下であるが、好ましくは2000mPa・s以下、更に好ましくは1000mPa・s以下である。これら変性シリコーンは、本発明のゲル状イオン伝導性組成物中に0. 01〜50重量%、好ましくは0. 1〜10重量%の量で混合される。
用いられる変性シリコーンとしては、特に、次式で示されるペンダント状に変性したポリエーテル変性シリコーン(X):
【0067】
【化24】
Figure 0004548999
【0068】
〔式中、Rは、互いに独立して、炭素数2〜4のアルキル基(例えば、エチル基、プロピル基、ブチル基)を示し、R' は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基)を示し、n3 は1〜30の整数を示し、n4 は0〜20の整数を示し、bは1〜20の整数を示し、そしてcは0〜20までの整数を示す。〕
が好ましい。具体的には、
【0069】
【化25】
Figure 0004548999
【0070】
などの化合物が挙げられる。化合物(X−1)の粘度は回転粘度計であるB型粘度計(ローター番号2、回転数60rpm,(株)東京計器製)で測定したところ、40℃で173mPa・sであった。
イオン伝導性組成物を構成するための電解質としては、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化カルシウムなどの各種フッ化物、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウムなどの各種塩化物、金属臭化物、金属ヨウ化物、金属過塩素化物、金属次亜塩素化物、金属酢酸塩や金属蟻酸塩のような金属有機酸塩、金属過マンガン酸化合物、金属リン酸塩、金属硫酸塩、金属硝酸塩、金属チオ硫酸塩、金属チオシアン塩、更には、硫酸アンモニウム、過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム、六フッ化リン酸テトラプロピルアンモニウム、四フッ化ホウ酸テトラ−n−ブチルアンモニウム、四フッ化ホウ酸テトラエチルアンモニウム、四フッ化ホウ酸トリエチルメチルアンモニウムなどのアンモニウム塩、LiCl、LiAlCl4 、LiClO4 、LiBF4 、LiPF6 、LiAsF6 、LiCF3 SO3 、LiN(CF3 SO2)2 、LiC(CF3 SO2)3 、LiN(C2 5 SO2)2 、LiC(C2 5 SO2)3 、及び/又はLiBPh4 (ここでPhはフェニル基を示す)等のリチウム塩が含まれる。本発明のイオン伝導性組成物を、本発明の電気化学素子である電気二重層コンデンサーの電解質層として使用する場合には、金属陽イオン、アンモニウムイオン、アミジニウムイオン、及びグアニジウムイオンから選ばれる陽イオンと、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、過塩素酸イオン、チオシアン酸イオン、テトラフルオロホウ素酸イオン、硝酸イオン、AsF6 - 、PF6 - 、ステアリルスルホン酸イオン、オクチルスルホン酸イオン、ドデシルベンゼンスルホン酸イオン、ナフタレンスルホン酸イオン、ドデシルナフタレンスルホン酸イオン、7, 7, 8, 8−テトラシアノ−p−キノジメタンイオン、X1 SO3 - 、[(X1 SO2) (X2 SO2)N] - 、[(X1 SO2) (X2 SO2) (X3 SO2)C] - 及び[( X1 SO2) (X2 SO2)YC] - から選ばれる陰イオンとからなる化合物が挙げられる。ここで、X1 、X2 、X3 及びYは電子吸引性基である。好ましくは、X1 、X2 及びX3 は各々独立して炭素数が1〜6のパーフルオロアルキル基又はパーフルオロアリール基であり、Yはニトロ基、ニトロソ基、カルボニル基、カルボキシル基、又はシアノ基である。X1 、X2 及びX3 は各々同一であっても、異なっていても良い。また、本発明のイオン伝導性組成物を、電解コンデンサーの電解質層として使用する場合には、アンモニウムイオン、アミジニウムイオンから選ばれる陽イオンと、ポリカルボン酸、脂肪族ポリカルボン酸、芳香族ポリカルボン酸、これらポリカルボン酸のアルキルもしくはニトロ置換体、硫黄含有ポリカルボン酸、モノカルボン酸、脂肪族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸、オキシカルボン酸等の陰イオンとからなる化合物を挙げることができる。これら電解質は、本発明のイオン伝導性組成物中に、0. 1〜40重量%、好ましくは1〜38重量%で存在する。
【0071】
更に、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラプロピレングリコールジメチルエーテル等のポリアルキレンオキサイド化合物、ポリアルキレンオキサイドを構造単位に持つ変性ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリアルキレンオキサイドを構造単位に持つ変性ポリフォスファゼン等のイオン導電性ポリマーも配合できる。
【0072】
得られる非水系ゲル状イオン伝導性組成物は、形状安定性やイオン伝導性が優れかつ液漏れがないことが望ましく、この為にゲル強度の指標である高い貯蔵弾性率を有するのが好ましい。貯蔵弾性率とは、ゲルの力学的挙動を示す量であって、一定の大きさのゲルに周波数の異なる動的応力 (dynamic stress) を加えて、周波数の幅に対応する変位 (ひずみ、strain) の幅を測定するか、又は一定の変位幅をもたらす動的応力を測定することにより求められる。変位の測定は、例えば、レオメトリック社のRSA−IIで行なうことができ、動的応力の測定は、例えば、パーキンエルマー社のDMA−7で行なうことができる。貯蔵弾性率が大きいほどそのゲルは硬いとされる。例えば、水では10-2、ポリスチレンでは1010、そしてタングステンでは1012のオーダーである。
【0073】
電池及び電気化学素子
本発明の電池及び電気化学素子は、本発明の非水系ゲル状イオン伝導性組成物を含んでなる。本発明において、電池には、一次及び二次電池が含まれる。また、電気化学素子には、湿式太陽電池、コンデンサー、センサー、エレクトロクロミック表示素子のような化学発光表示素子、及び液晶表示素子などが含まれる。
それらが動作するためには、イオン伝導性は、室温で10-3S/cm程度必要であると言われており、電解液自身のイオン伝導度の50%以上のイオン伝導性を保持するのが好ましい。特に−20℃程度の低温時にそのイオン伝導性が低下すると、使用環境が制限されたりして好ましくない。
理論に拘束されることを望まないが、本発明の重合体は、従来のポリマーよりも規則正しい均一な分子構造により、電解質又は電解質と溶媒の両方を従来のものよりも安定に分散保持することが可能なため、良好な形状安定性とイオン伝導性を有する組成物を提供するものと考えられる。また、ピペラジン単位を有するため、電解質に起因する酸性物質に対して安定であると考えられる。
【0074】
非水系ゲル状イオン伝導性組成物を用いる電池の製造方法としては、予め電池の外殻を作製し、その後にその外殻内で加熱反応させてゲル状イオン伝導性組成物とする方法や、ゲル状イオン伝導性組成物を得てから電池を組み立てる方法など各種の方法がある。また、更にゲル状イオン伝導性組成物の形状保持性やシャットダウン効果を向上させるために、熱可塑性樹脂から製造される多孔質フィルム、不織布、又は熱可塑性樹脂の粒子などを併用しても構わない。熱可塑性樹脂の多孔質フィルム又は不織布を使用する場合には、本発明のゲル状イオン伝導性組成物でこれらフィルム又は不織布を含浸する。
【0075】
熱可塑性樹脂から製造される多孔質フィルムとは、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のフィルムを一軸延伸等に多孔質化したフィルムである。重量としては5g/m2 から30g/m2 程度のものが利用される。
熱可塑性樹脂から製造される不織布シートとしては、まず電解質の保持性が優れており、更に作製される高分子或いはゲル電解質のイオン伝導性に対する抵抗性が低く、かつ電解質の保持性に優れたものが使用できる。不織布の製造方法としては湿式あるいは乾式のいずれも用いることができ、その目付量は100g/m2 以下で、好ましくは5から50g/m2 である。使用される繊維材としては、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、テフロン(登録商標)などであるが、特にこれらに限定される訳ではない。
【0076】
熱可塑性樹脂の粒子とは、ポリエチレン、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)等の材料を微粒子化したもので、その径は20μm以下、好ましくは10μm以下である。このような微粒子は、乳化重合によって合成されたり、粉砕によって作製される。粒子の混合比率は5%から50%程度が好ましい。またゲル状物中に粒子が存在している際に、熱圧にて一定形状に変形させてから、イオン伝導性組成物として利用することもできる。
リチウム一次電池では、金属リチウムを負極として用い、正極として、フッ化黒鉛、γ−β型二酸化マンガン、二酸化硫黄、塩化チオニル、ヨウ素/ポリ(2−ビニルピリジン) 、Ag2 CrO4 、五酸化バナジウム、CuO、MoO3 などを用いることができる。一次電池の電解液の代用として本発明のゲル状イオン伝導性組成物が用いられる。電池の形状としては、コイン型、円筒型、シート(ペーパー)型にして用いられる。
また、リチウム二次電池では、用いられる正極材料は、LiCoO2 、LiNiO2 、スピネル型LiMn2 4 、アモルファス状V2 5 、β−MnO2 とLi2 MnO3 の混合物、スピネル超格子構造のLi4/3 Mn5/3 4 、2, 5−ジメルカプト−3, 4−チアジアゾール等の有機ジスルフィド化合物などを正極活物質として、これを粉末状にして、アセチレンブラックなどの導電剤、有機高分子化合物からなる増粘剤を加え正極材料となる。正極材料は正極集電体であるアルミニウム上に塗布され多孔質として用いられる。
【0077】
負極材料は、金属リチウム、リチウム・アルミニウム合金、Li・Pb・Cd・In合金や、リチウム・黒鉛化合物、リチウム・難黒鉛化炭素化合物、リチウム・非晶質錫複合酸化物、非晶質コバルト置換窒化リチウムなどの負極活物質を、それらが金属の場合はニッケル板などにメッキして、他の場合は正極材料と同様に粉末状にし、アセチレンブラックなどの導電剤、有機高分子からなる増粘剤を加えることにより調製される。後者のようにペースト状の場合は、銅などの集電板上に塗布され、多孔質となる。本発明のゲル状イオン伝導性組成物は、二次電池の電解液の代用として用いられる。二次電池の形状は、一次電池と同様にコイン型、円筒型、シート型にして用いられる。
【0078】
また、上記の非水系ゲル状イオン伝導性組成物を用いる電気化学素子の製造方法としては、例えば、コンデンサーを例にすると、ほぼ電池の場合と同じであるが、コンデンサーの一種である電気二重層コンデンサーでは、正極、負極とも炭素材料を主成分とする炭素質電極を用いることができる。炭素材料としては活性炭、カーボンブラック、ポリアセン等が使用できる。炭素質電極には必要に応じて導電性を高めるために導電材を添加してもよく、有機バインダを加えて金属集電体上にシート状に成形されて集電体と一体化された電極を形成する。有機バインダとしては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等を用いることができる。また、金属集電体としては、アルミニウム、ステンレス鋼等の箔、網等が使用できる。正極として、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン等の弁作用金属からなる箔に粗面化のためのエッチング処理および誘電体被膜形成のための化成処理を施したものを使用し、負極として、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン等の金属箔を使用することもできる。
【0079】
好ましい態様においては、本発明の電池及び電気化学素子は、予めその外殻(セル)を作製してから非水系イオン伝導性組成物をその外殻内に流し込んだ後に重合又は架橋させて本発明のゲル状イオン伝導性組成物を生成させることにより製造される。本明細書において「イオン伝導性組成物」とは、化合物(A)や化合物(B)のような化合物、線状共重合体、及び/又は架橋剤化合物に溶媒及び電解質を配合することにより形成される組成物であって、未だゲル状になっていない組成物を意味する。より好ましい態様においては、イオン伝導性組成物は、化合物(A)と化合物(B)との付加反応によって得られる線状共重合体であって末端にヒドロシリル基を2つ有する重合体(C)、化合物(D)、溶媒及び電解質を含んでなる。
【0080】
ゲル化は、加熱のほか、紫外線や電子線のような活性光線を照射することでも行うことができる。加熱でゲル化させるのが好ましい。加熱温度は、30〜150℃、好ましくは40〜90℃である。ゲル化の進行が早すぎると、イオン伝導性組成物の初期粘度が高くなってしまい、生成するゲル状イオン伝導性組成物が電池や電気化学素子内部に均一に行き渡らないことがある。一般に、イオン伝導性組成物を調製した直後の粘度が25℃において30mPa・s以下で、その後6時間までの粘度上昇率が300%以内であれば、セル内に均等にゲル状イオン伝導性組成物を生成させることができる。粘度上昇率は、調製直後の粘度をV0 、調製6時間経過後の粘度をV6 とした場合、次式で求められる。
【0081】
【数4】
粘度上昇率(%)=(V6 −V0 )/V0 ×100
【0082】
25℃における粘度上昇率を上記範囲内にするには、イオン伝導性組成物の溶液を調製した後のゲル化を抑制する重合抑制剤の使用が必要となる場合がある。
使用できる重合抑制剤として、オルガノリン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、ニトリル化合物、ハロゲン化炭素化合物、アセチレン化合物、スルホキシド化合物、アミン化合物、及びマレイン酸エステルを挙げることが出来る。このうち、アセチレン化合物、ニトリル化合物、及びマレイン酸エステルは、イオン伝導性組成物を電池や電気化学素子に組み込んだ場合に、それら電池や電気化学素子に悪影響を与えにくいので、好ましい重合抑制剤である。重合抑制剤を添加する場合、その量は、イオン伝導性組成物の全重量を基準として、0. 0001〜1. 0重量%である。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0083】
【実施例】
以下の実施例において次の分析機器が用いられた:
Figure 0004548999
【0084】
実施例1
化合物(A−1)〜(A−4)の合成
撹拌装置、温度計、還流冷却装置及び滴下ロートを備えた5Lセパラブルフラスコにピペラジン258.4g(3.0モル)、アセトニトリル3L及び重曹672.0gを仕込んで撹拌した。この溶液に、アセトニトリル100ml中に溶解させた1,2−ジクロロエタン197.9g(2.0モル)を80℃で約1時間かけて滴下した。同じ温度で更に12時間撹拌を行ってから温度を50℃まで下げた。次いで、この反応液に、アセトニトリル100ml中に溶解させた塩化アリル230.0g(3.0モル)を約2時間かけて滴下した。滴下後、50℃で2時間撹拌することで反応生成物を得た。この溶液から無機塩をろ別してアセトニトリルを留去した。残渣にトルエン1Lを加えて加熱撹拌を1時間行った。
不溶分をろ別後、精製水3Lを加えた。珪藻土(商品名;セライト545)300gを用いてろ過した後、トルエン層と水層とに分液した。
【0085】
トルエン層から溶媒を留去し、残渣を分別蒸留に付したところ、2.0gの化合物1と5.0gの化合物2が透明液体として得られた。
一方、水層からクロロホルム3Lで生成物を抽出した。溶媒を留去した後、残渣を2−プロパノールに溶解させた。この溶液を、2−プロパノールを溶離液として、シリカゲル(シリカゲルC−200,和光純薬製)上で、カラムクロマトグラフィーに付した。2種類の固体生成物が分離された。これらはメチルイソブチルケトンから再結晶でき、4.2gの化合物3及び0.3gの化合物4がいずれも板状結晶として得られた。
【0086】
化合物1〜4について、Mass、IR、 1H−NMR、及び13C−NMR分析を行い、これら化合物がそれぞれ化合物(A−1)〜(A−4)であることが確認された。図1〜4に化合物(A−1)〜(A−4)のMassスペクトルチャートを示し、図5及び6に化合物(A−1)及び(A−3)の 1H−NMRスペクトルチャートを示し、図7に化合物(A−3)の13C−NMRスペクトルチャートを示し、図8及び9に化合物(A−3)及び(A−4)のIRスペクトルチャートを示す。詳細には、化合物(A−3)について、Massスペクトルから390の分子イオンピークが確認され;IRスペクトルから1643cm-1においてC=C振動が確認され; 1H−NMRスペクトルから2.5ppmにおいてピペラジン環内のCH2 基のピークと5.9〜5.1ppmにおいてCH2 =CH基のピークが確認され;そして、13C−NMRスペクトルから135ppmにおいてCH2 H基(下線炭素)のピークと53ppmにピペラジン環内のCH2 基のピークが確認された。
化合物(A−1)及び(A−2)の沸点はそれぞれ63〜65℃/1mmHg及び135〜137℃/1mmHgであった。また、化合物(A−3)の融点は105.6〜106.6℃であった。
【0087】
実施例2
化合物(A−2)〜(A−4)の合成
撹拌装置、温度計、還流冷却装置及び滴下ロートを備えた5LセパラブルフラスコにN−アリルピペラジン315.5g(2.5モル)、ピペラジン86.1g(1.0モル)、アセトニトリル3L及び重曹672.1gを仕込んで撹拌した。この溶液に、アセトニトリル100ml中に溶解させた1,2−ジクロロエタン197.9g(2.0モル)を80℃で約1時間かけて滴下した。同じ温度で更に6時間撹拌を行ってから温度を50℃まで下げた。次いで、この反応液に、アセトニトリル100ml中に溶解させた塩化アリル76.5g(1.0モル)を溶液を約1時間かけて滴下した。滴下後、2時間攪拌することで反応生成物を得た。実施例1と同じように処理して、10gの化合物(A−2)、6.5gの化合物(A−3)及び2.5gの化合物(A−4)を得た。
【0088】
実施例3
化合物(C−3)の合成
白金濃度が12.0%である白金ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体10gにトルエン30gを加えて、白金濃度が3.0%の白金触媒Kを調製した。
一方、撹拌装置、温度計、還流冷却装置及び窒素ガス導入管を備えた500mLセパラブルフラスコに化合物(A−3)39.0g(0.1モル)、化合物(B−1)43.8g(0.3モル)及びトルエン200gを仕込み窒素雰囲気下90℃で撹拌した。この溶液に白金原子の量が50ppmの濃度になるように白金触媒Kを添加した。6時間反応させた後、130℃に加熱して減圧下でトルエンを留去して生成物58.0gを得た。
この生成物について、Mass、IR、 1H−NMR、及び13C−NMR分析を行い、両末端にヒドロシリル基を有する線状共重合体である化合物(C−3)であることが確認された。図10にそのMassスペクトルチャートを示し、図11にIRスペクトルチャートを示し、図12に 1H−NMRスペクトルチャートを示し、そして図13に13C−NMRスペクトルチャートを示す。詳細には、Massスペクトルから682の分子イオンピークが確認され;IRスペクトルから2106cm-1においてC=C振動が確認され; 1H−NMRスペクトルから2.5ppmにおいてピペラジン環内のCH2 基のピークと3.8ppmにおいてSi−H基のピークが確認され;そして13C−NMRスペクトルから−4ppmと−5ppmにおいてSi−CH3 基のピークが確認された。
【0089】
実施例4
化合物(C−1)の合成
化合物(A−3)39.0g(0.1モル)を化合物(A−1)16.6g(0.1モル)に代えた以外は実施例3とほぼ同様にして、液体生成物41.2gを得た。
この生成物について、Mass、IR、及び 1H−NMR分析を行い、両末端にヒドロシリル基を有する線状共重合体である化合物(C−1)であることが確認された。図14にそのMassスペクトルチャートを示し、図15に 1H−NMRスペクトルチャートを示す。詳細には、Massスペクトルから458の分子イオンピークが確認され;IRスペクトルから2108cm-1においてSi−H伸縮振動が確認され;そして 1H−NMRスペクトルから3.8ppmにおいてSi−H基のピークが確認された。
【0090】
実施例5
化合物(C−2)の合成
化合物(A−3)39.0g(0.1モル)を化合物(A−2)27.8g(0.1モル)に代えた以外は実施例3とほぼ同様にして、固体生成物50.8gを得た。
この生成物について、Mass、IR、及び 1H−NMR分析を行い、両末端にヒドロシリル基を有する線状共重合体である化合物(C−2)であることが確認された。図16にそのMassスペクトルチャートを示し、図17にIRスペクトルチャートを示し、そして図18に 1H−NMRスペクトルチャートを示す。詳細には、Massスペクトルから570の分子イオンピークが確認され;IRスペクトルから2108cm-1においてSi−H伸縮振動が確認され;そして 1H−NMRスペクトルから3.8ppmにおいてSi−H基のピークが確認された。
【0091】
実施例6
化合物(C−4)の合成
化合物(A−3)39.0g(0.1モル)を化合物(A−4)50.2g(0.1モル)に代えた以外は実施例3とほぼ同様にして、固体生成物58.0gを得た。
この生成物について、IR及び 1H−NMR分析を行い、両末端にヒドロシリル基を有する線状共重合体である化合物(C−4)であることが確認された。詳細には、IRスペクトルから2108cm-1においてSi−H伸縮振動が確認され;そして 1H−NMRスペクトルから3.8ppmにおいてSi−H基のピークが確認された。
【0092】
実施例7
化合物(C−10)の合成
化合物(A−3)39.0g(0.1モル)及び化合物(B−1)43.8g(0.3モル)をそれぞれ化合物(A−3)156g(0.4モル)及び化合物(B−1)73g(0.5モル)に代えた以外は実施例3とほぼ同様にして、固体生成物225gを得た。
この生成物について、Mass、IR、及び 1H−NMR分析を行い、両末端にヒドロシリル基を有する線状共重合体である化合物(C−10)であることが確認された。詳細には、IRスペクトルから2108cm-1においてSi−H伸縮振動が確認された。
化合物(C−10)の数平均分子量は2,050であった。
【0093】
実施例8
ゲル状イオン伝導性組成物の調製
次の各材料を室温で混合して均一になるまで撹拌し、混合溶液Kを得た。
化合物C−3 3.39重量部
化合物D−3 0.24重量部
化合物D−27 0.37重量部
電解液I 95.9重量部
白金触媒J 0.10重量部
なお、電解液Iは次の組成を有する。
六フッ化リン酸リチウム 12.3重量部
エチレンカーボネイト 32.3重量部
ジエチルカーボネイト 55.4重量部
また、白金触媒Jは、白金濃度が12.0%の白金ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体10gにジエチルカーボネイト30gを加えて、白金濃度を3.0%にしたものである。
次いで、混合溶液Kを密閉容器内に素早く入れ、室温下3時間放置することでゲル化させ、ゲル状イオン伝導性組成物1を得た。この組成物4gを、露点=−80℃のアルゴン中で、胴外径=21mm、口内径=10mm、高さ=50mm及び肉厚=1.2mmの容積10mlの容器に入れて密栓し80℃で14日間加熱してもゲルは崩壊しなかった。また、この組成物4gを同じように容器に入れて密栓したあと、一旦、20℃,相対湿度60%の空気中で容器の蓋を開けて5分間開放して空気と接触させてから再度密栓して80℃で14日間加熱したが、ゲルは崩壊しなかった。
表1に、ゲル状イオン伝導性組成物1と電解液Iとのイオン伝導度の比較を示す。
【0094】
【表1】
Figure 0004548999
【0095】
実施例9
2次電池の作成
市販のリチウム2次電池(公称容量500mAh)から、正極層、負極層及びセパレータを取り出し、それらと金属アルミニウム及び金属銅とを積層して、電池用セル缶に組み込んだ後、実施例8の混合溶液Kを注入した。セル缶を封じた後、50℃で2時間加熱して、混合溶液Kをゲル化させることにより、リチウム2次電池を得た。得られたリチウム2次電池を100mAで充放電したところ、容量が450mAhであることが分かった。このリチウム2次電池を80℃で2週間保存した後の容量は440mAhであった。
【0096】
実施例10
ゲル状イオン伝導性組成物の調製
次の各材料を室温で混合して均一になるまで撹拌し、混合溶液Lを得た。
化合物C−3 3.46重量部
化合物D−27 0.54重量部
電解液I 95.9重量部
白金触媒J 0.10重量部
次いで、調製したばかりの混合溶液Lを密閉容器内に素早く入れ、室温下3時間放置することでゲル化させ、ゲル状イオン伝導性組成物2を得た。この組成物のイオン伝導度は5.7×10-3S/cmであった。この組成物4gを、露点=−80℃のアルゴン中で、胴外径=21mm、口内径=10mm、高さ=50mm及び肉厚=1.2mmの容積10mlの容器に入れて密栓し80℃で14日間加熱してもゲルは崩壊しなかった。また、この組成物4gを同じように容器に入れて密栓したあと、一旦、20℃,相対湿度60%の空気中で容器の蓋を開けて5分間開放して空気と接触させてから再度密栓して80℃で14日間加熱したが、ゲルは崩壊しなかった。
ゲル状イオン伝導性組成物2の電気化学的安定性を評価するため、サイクリックボルタンメトリー(CV)測定を行なった。図19及び20にCVチャートを示す。これら図から、ゲル状イオン伝導性組成物2は、2.5〜4.2Vにおいて電気化学的に安定であることが分かった。
【0097】
実施例11
2次電池の作成
実施例8の混合溶液Kを実施例10の混合溶液Lに代えた以外は実施例9と同様にして、リチウム2次電池を得た。得られたリチウム2次電池を100mAで充放電したところ、容量が450mAhであることが分かった。このリチウム2次電池を80℃で2週間保存した後の容量は440mAhであった。
【0098】
【発明の効果】
本発明の化合物(A)は、例えばゲル状イオン伝導性組成物に応用できる。得られるゲル状イオン伝導性組成物は電解液中でゲル化でき、LiPF6 のような遊離酸HFを発生する電解質の存在下でも長期間安定である。本発明のゲル状イオン伝導性組成物を用いることで、高い性能を有する電気化学素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】化合物(A−1)のMassスペクトルチャート。
【図2】化合物(A−2)のMassスペクトルチャート。
【図3】化合物(A−3)のMassスペクトルチャート。
【図4】化合物(A−4)のMassスペクトルチャート。
【図5】化合物(A−1)の 1H−NMRスペクトルチャート。
【図6】化合物(A−3)の 1H−NMRスペクトルチャート。
【図7】化合物(A−3)の13C−NMRスペクトルチャート。
【図8】化合物(A−3)のIRスペクトルチャート。
【図9】化合物(A−4)のIRスペクトルチャート。
【図10】化合物(C−3)のMassスペクトルチャート。
【図11】化合物(C−3)のIRスペクトルチャート。
【図12】化合物(C−3)の 1H−NMRスペクトルチャート。
【図13】化合物(C−3)の13C−NMRスペクトルチャート。
【図14】化合物(C−1)のMassスペクトルチャート。
【図15】化合物(C−1)の 1H−NMRスペクトルチャート。
【図16】化合物(C−2)のMassスペクトルチャート。
【図17】化合物(C−2)のIRスペクトルチャート。
【図18】化合物(C−2)の 1H−NMRスペクトルチャート。
【図19】ゲル状イオン伝導性組成物2のCVチャートを示す。作動電極及びカウンター電極:金ワイヤー(0.3mmφ),参照電極:Liリボン,スキャン速度:5mV/秒,室温。
【図20】ゲル状イオン伝導性組成物2のCVチャートを示す。作動電極及びカウンター電極:金ワイヤー(0.3mmφ),参照電極:Liリボン,スキャン速度:5mV/秒,室温。

Claims (4)

  1. (1)式(A):
    Figure 0004548999
    〔式中、
    1 は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン若しくはシアノ基で置換され若しくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基、又はハロゲン若しくはシアノ基で置換され若しくは無置換の炭素数6〜20のアリール基を示し;
    2 は、互いに独立して、ハロゲン若しくはシアノ基で置換され若しくは無置換の炭素数1〜18のアルキレン基;ハロゲン若しくはシアノ基で置換され若しくは無置換の炭素数6〜20の飽和若しくは不飽和シクロアルキレン基;ハロゲン若しくはシアノ基で置換され若しくは無置換の炭素数6〜20のアリーレン基;ハロゲン若しくはシアノ基で置換され若しくは無置換の炭素数7〜21のアリールアルキレン基;ハロゲン若しくはシアノ基で置換され若しくは無置換の炭素数7〜21のアリーレンアルキレン基;ハロゲン若しくはシアノ基で置換され若しくは無置換の炭素数8〜22のアリーレンビス(アルキレン)基;ジアルキルシリレン基又はジアルキルポリシリレン基ジアリールシリレン基又はジアリールポリシリレン基オキシアルキレン基又はポリオキシアルキレン基ポリカーボネート基ポリエステル基、及びアミド基から選ばれるヘテロ原子数1〜6で炭素数1〜30のヘテロ原子含有有機基又は直接結合を示し;そして
    nは、0〜100の整数である。〕
    により表されるピペラジン誘導体と、式(B):
    Figure 0004548999
    〔式中、
    3 は、互いに独立して、ハロゲン若しくはシアノ基で置換され若しくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基、ハロゲン若しくはシアノ基で置換され若しくは無置換の炭素数7〜21のアラルキル基、又はハロゲン若しくはシアノ基で置換され若しくは無置換の炭素数6〜20のアリール基を示し;
    4 は、互いに独立して、ハロゲン若しくはシアノ基で置換され若しくは無置換の炭素数1〜18のアルキレン基、ハロゲン若しくはシアノ基で置換され若しくは無置換の炭素数6〜20のアリーレン基、ハロゲン若しくはシアノ基で置換され若しくは無置換の炭素数7〜21のアリールアルキレン基、ジアルキルシリレン基又はジアルキルポリシリレン基ジアリールシリレン基又はジアリールポリシリレン基、ジアルキルシリレンビス(アルキレン)基、又は直接結合を示し;そして
    2 は2価の連結基であって、炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基で二置換された二価ケイ素原子;ハロゲン若しくはシアノ基で置換され若しくは無置換の炭素数1〜18のアルキレン基;ハロゲン若しくはシアノ基で置換され若しくは無置換の炭素数6〜20のアリーレン基;オキシアルキレン基又はポリオキシアルキレン基ポリカーボネート基ポリエステル基、及びアミド基から選ばれるヘテロ原子数1〜50で炭素数1〜100のヘテロ原子含有有機基又は直接結合を示す。〕
    により表される化合物との付加反応によって得られる線状共重合体であって、式(A)により表される誘導体を、式(B)により表される化合物と交互付加反応に付することにより形成される、末端にヒドロシリル基を2つ有する線状重合体に、少なくとも3のエチレン性二重結合を有する式(D):
    Figure 0004548999
    〔式中、
    6 は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン若しくはシアノ基で置換され若しくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基、又はハロゲン若しくはシアノ基で置換され若しくは無置換の炭素数6〜20のアリール基を示し;
    7 は、互いに独立して、ハロゲン若しくはシアノ基で置換され若しくは無置換の炭素数1〜18のアルキレン基;ハロゲン若しくはシアノ基で置換され若しくは無置換の炭素数6〜20のアリーレン基;ハロゲン若しくはシアノ基で置換され若しくは無置換の炭素数7〜21のアリールアルキレン基;オキシアルキレン基又はポリオキシアルキレン基ポリカーボネート基ポリエステル基、アミド基、及びアルキル−ポリオキシアルキレン−アルキル基から選ばれるヘテロ原子数1〜6で炭素数1〜30のヘテロ原子含有有機基;又は直接結合を示し;
    3 はn1 と同じ価数を持つ連結基であって、炭素原子;炭素数1〜18のアルカンポリイル基;炭素数6〜20の多価芳香族炭素環基ケイ素原子;炭素数1〜6のアルキル基で一置換された3価ケイ素原子;オキシアルキレン基又はポリオキシアルキレン基ポリカーボネート基ポリエステル基、及びアミド基から選ばれるヘテロ原子数1〜50で炭素数1〜100のヘテロ原子含有有機基又は直接結合を示し;
    1 は、3〜10の整数であり;
    8 は、互いに独立して、ハロゲン若しくはシアノ基で置換され若しくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基、又はハロゲン若しくはシアノ基で置換され若しくは無置換の炭素数6〜20のアリール基を示し;
    9 は、互いに独立して、ハロゲン若しくはシアノ基で置換され若しくは無置換の炭素数1〜18のアルキレン基;ハロゲン若しくはシアノ基で置換され若しくは無置換の炭素数6〜20のアリーレン基;ハロゲン若しくはシアノ基で置換され若しくは無置換の炭素数7〜21のアリールアルキレン基;オキシアルキレン基又はポリオキシアルキレン基ポリカーボネート基ポリエステル基、アミド基、及びアルキル−ポリオキシアルキレン−アルキル基から選ばれるヘテロ原子数1〜6で炭素数1〜30のヘテロ原子含有有機基;又は直接結合を示し;
    4 はn2 と同じ価数を持つ連結基であって、炭素原子;炭素数1〜18のアルキレン基;炭素数1〜18のアルキニル基;炭素数6〜20の多価芳香族炭素環基ケイ素原子;炭素数1〜6のアルキル基で一置換された3価ケイ素原子;オキシアルキレン基又はポリオキシアルキレン基ポリカーボネート基ポリエステル基、及びアミド基から選ばれるヘテロ原子数1〜50で炭素数1〜100のヘテロ原子含有有機基又は直接結合を示し;
    aは、互いに独立して、〜3の整数を示し;そして
    2 は、2〜30の整数を示す。但し、aが1のときにn 2 が2であることはない。
    により表される化合物を付加反応させることによって得られる架橋型共重合体;及び
    (2)電解質
    を含んでなる非水系ゲル状イオン伝導性組成物。
  2. 請求項1に記載の非水系ゲル状イオン伝導性組成物を含んでなる電池。
  3. リチウムイオン電池である、請求項2に記載の電池。
  4. 請求項1に記載の非水系ゲル状イオン伝導性組成物を含んでなる、太陽電池、コンデンサー、センサー、化学発光表示素子、又は液晶表示素子である電気化学素子。
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