JP4550372B2 - アクティブマトリクス型表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば有機エレクトロ・ルミネッセンス(以下、ELと称する)素子のような自己発光素子を含む表示画素をマトリクス状に配列して表示画面を構成したアクティブマトリクス型表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
パーソナルコンピュータ、情報携帯端末あるいはテレビジョン等の表示装置として、平面型のアクティブマトリクス型表示装置が広く利用されている。近年、このような平面型のアクティブマトリクス型表示装置として、有機EL素子のような自己発光素子を用いた有機EL表示装置が注目され、盛んに研究開発が行われている。この有機EL表示装置は、薄型軽量化の妨げとなるバックライトを必要とせず、高速な応答性から動画再生に適し、さらに低温で輝度低下しないために寒冷地でも使用できるという特徴を備えている。
【0003】
一般に、有機EL表示装置は、複数行、複数列に並んで設けられ表示画面を構成した複数の表示画素、表示画素の各行に沿って延びた複数の走査線、表示画素の各列に沿って延びた複数の信号線、各走査線を駆動する走査線駆動回路、各信号線を駆動する信号線駆動回路等を備えている。各表示画素は自己発光素子である有機EL素子、およびこの有機EL素子に駆動電流を供給する画素回路により構成されている。各画素回路は、走査線および信号線の交差位置近傍に配置された画素スイッチ、一対の電源線間で有機EL素子と直列に接続され薄膜トランジスタによって構成された駆動トランジスタ、および駆動トランジスタのゲート制御電圧を保持する容量素子を有している。画素スイッチは対応走査線から供給される走査信号に応答して導通し、対応信号線から供給される映像信号を取り込む。この映像信号はゲート制御電圧として保持容量に書き込まれ所定期間保持される。そして、駆動トランジスタは保持容量に書き込まれたゲート制御電圧に応じた電流量を有機EL素子に供給し、発光動作を行う。
【0004】
有機EL素子は、蛍光性有機化合物を含む薄膜である発光層をカソード電極およびアノード電極間に挟持した構造を有し、発光層に電子および正孔を注入しこれらを再結合させることにより励起子を生成させ、この励起子の失活時に生じる光放出により発光する。そして、有機EL素子は、供給電流量に対応する輝度で発光し、10V以下の印加電圧でも100〜100000cd/m2程度の輝度を得ることができる。
【0005】
このような有機EL表示装置において、駆動トランジスタとして用いられる薄膜トランジスタは、ガラス等の絶縁基板上に形成された半導体薄膜を用いて形成されている。そのため、閾値電圧Vthやキャリア移動度μのような駆動トランジスタの特性は、製造プロセス等に依存しバラツキが生じ易い。駆動トランジスタの閾値電圧Vthにバラツキがあると、有機EL素子を適切な輝度で発光させることが困難となり、複数の表示画素間で輝度のバラツキが発生し表示ムラの原因となる。
【0006】
従来、このような閾値電圧Vthのバラツキによる影響を回避するため、全表示画素に閾値キャンセル回路を設けた表示装置が提案されている(例えば、特許文献1)。各閾値キャンセル回路は、信号線駆動回路から映像信号に先だって供給されるリセット信号を用いて駆動トランジスタの制御電圧を初期化するように構成されている。また、他の表示装置として、映像信号の書き込みを電流信号により行ない、駆動トランジスタにおける閾値電圧のバラツキの影響を低減し、発光輝度の均一化を図った表示装置が提案されている(例えば、特許文献2)。
【0007】
【特許文献1】
米国特許第6,229,506号明細書
【0008】
【特許文献2】
米国特許第6,373,454号明細書
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述した表示装置において、各表示画素の画素回路は、リーク電流を抑制し駆動トランジスタのゲート制御電圧を所望の値に維持するため、駆動トランジスタのゲート、ドレイン間には複数のスイッチが直列に接続されている。これらのスイッチはそれぞれ薄膜トランジスタで構成され、同時にオン、オフ制御される。しかしながら、これらのスイッチがオンからオフに切換わる際、スイッチのゲート、ソース間に形成された寄生容量に起因するフィードスルー電圧ΔVpが生じる。そして、複数のスイッチが設けられている場合、これらのスイッチで発生したフィードスルー電圧が保持容量に流れ込み、駆動トランジスタのゲート制御電圧を変動させてしまう。そのため、駆動トランジスタのゲート制御電圧にバラツキが発生し、複数の表示画素間で輝度のバラツキを生じる。このような表示画素間の輝度のバラツキは表示ムラとなって現われ、表示品位を低下させる。
【0010】
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、表示ムラを低減し、表示品位の向上したアクティブマトリクス型表示装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明の態様に係るアクティブマトリクス型表示装置は、マトリクス状に配列された複数の表示素子と、第1端子が第1電源端子に接続され、第2端子が前記表示素子に接続され、制御端子が保持容量を介して前記第1端子に接続する駆動トランジスタと、それぞれトランジスタにより形成され前記制御端子、前記第2端子間に直列に接続されているとともに走査線からの制御信号に応じてオン、オフ制御される複数のスイッチと、前記複数のスイッチの内、前記駆動トランジスタの最も前記制御端子側に設けられたスイッチを除く他のスイッチと前記走査線との間に接続され、前記最も前記制御端子側に設けられたスイッチに対して前記他のスイッチのオン、オフ切換えタイミングを遅延させる遅延素子と、を備えたこと特徴としている。
【0012】
この発明の他の態様に係るアクティブマトリクス型表示装置は、マトリクス状に配列された複数の表示画素と、前記表示画素の行毎に接続されそれぞれ独立して設けられた複数の第1および第2走査線と、前記表示画素の列毎に接続された複数の信号線と、を備え、
各表示画素は、供給電流に対応して発光する自己発光素子、前記第1走査線からの制御信号に応じてオン、オフ制御され前記信号線上の映像信号を取り込む画素スイッチ、前記画素スイッチを介して取り込まれた映像信号に対応する制御電圧を保持する保持容量、第1および第2電圧電源間で前記自己発光素子と直列に接続され前記保持容量に保持された制御電圧に応じて前記自己発光素子に供給される電流量を出力する駆動トランジスタ、それぞれ薄膜トランジスタにより形成され前記駆動トランジスタのゲート、ドレイン間に直列に接続されているとともに前記第1走査線からの制御信号に応じてオン、オフ制御される複数の第1スイッチ、前記駆動トランジスタと前記自己発光素子との間に接続され前記第2走査線からの制御信号に応じてオン、オフ制御される第2スイッチ、および、前記複数の第1スイッチの内、前記駆動トランジスタの最もゲート側に設けられた第1スイッチを除く他の第1スイッチと前記第1走査線との間、および前記第1走査線と前記画素スイッチとの間に接続され、前記最もゲート側の第1スイッチに対して前記他の第1スイッチおよび画素スイッチのオン、オフ切換えタイミングを遅延させる遅延素子を含んでいることを特徴としている。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の第1の実施形態に係るアクティブマトリクス型の有機EL表示装置について詳細に説明する。
図1に示すように、有機EL表示装置は、有機ELパネル10および有機ELパネル10を制御するコントローラ12を備えている。
【0014】
有機ELパネル10は、ガラス板等の光透過性絶縁基板8上にマトリクス状に配列され表示領域11を構成したm×n個の表示画素PX、表示画素の行毎に接続されているとともにそれぞれ独立してm本ずつ設けられた第1走査線Y(1〜m)および第2走査線Bg(1〜m)と、表示画素の列毎にそれぞれ接続されたn本の信号線X(1〜n)、第1、第2走査線Y、Bgを表示画素の行毎に順次駆動する走査線駆動回路14、および複数の信号線X1〜Xnを駆動する信号線駆動回路15を備えている。
【0015】
各表示画素PXは、表示素子として機能するとともに自己発光素子である有機EL素子16、およびこの有機EL素子に駆動電流を供給する画素回路18により構成されている。図1および図2に示すように、画素回路18は電流信号からなる映像信号に応じて有機EL素子16の発光を制御する電流信号方式の画素回路であり、画素スイッチ20、駆動トランジスタ22、複数、例えば3つの第1スイッチ24a、24b、24c、第2スイッチ26、保持容量28、および遅延素子として機能する抵抗素子30を備えている。画素スイッチ20、駆動トランジスタ22、第1スイッチ24、第2スイッチ26は、ここでは同一導電型、例えばPチャネル型の薄膜トランジスタにより構成されている。また、抵抗素子30は、例えば、不純物が注入されたライトリー・ドープド・ドレイン(LDD)型のポリシリコンにより形成され、その抵抗値は数MΩに設定されている。
【0016】
駆動トランジスタ22は、第1電圧電源Vddと第2電圧電源Vssとの間で有機EL素子16と直列に接続され、映像信号に応じた電流量を有機EL素子に出力する。第1および第2電圧電源Vdd、Vssは、例えば+10Vおよび0Vの電位にそれぞれ設定される。保持容量28は、駆動トランジスタ22の第1端子、制御端子間、ここではソース、ゲート間に接続され、映像信号により決定される駆動トランジスタ22のゲート制御電位を保持する。画素スイッチ20は対応する信号線Xと駆動トランジスタ22のドレインとの間に接続され、そのゲートは抵抗素子30を介して対応する第1走査線Yに接続されている。画素スイッチ20は、第1走査線Yから供給される制御信号Saに応答して対応信号線Xから映像信号を取り込む。
【0017】
本発明におけるスイッチとしてそれぞれ機能する第1スイッチ24a、24b、24cは、駆動トランジスタ22の第2端子、制御端子間、ここではドレイン、ゲート間に直列に接続され、これらの第1スイッチの内、第1スイッチ24aが最も駆動トランジスタ22のゲート側に隣接して接続されている。この最も駆動トランジスタ22のゲート側に接続された第1スイッチ24aのゲートは、抵抗素子30を介することなく第1走査線Yに接続され、他の第1スイッチ24b、24cのゲートはそれぞれ抵抗素子30を介して第1走査線Yに接続されている。そして、第1スイッチ24a、24b、24cは、第1走査線Yからの制御信号Saに応じてオン(導通状態)、オフ(非導通状態)され、駆動トランジスタ22のゲート、ドレイン間の接続、非接続を制御するとともに、保持容量28からの電流リークを規制する。
【0018】
第2スイッチ26は、駆動トランジスタ22のドレインと有機EL素子16の一方の電極、ここではアノード、との間に接続され、そのゲートは第1走査線Yとは独立した第2走査線Bgに接続されている。そして、第2スイッチ26は、第2走査線Bgからの制御信号Sbによりオン、オフ制御され、駆動トランジスタ22と有機EL素子16との接続、非接続を制御する。
【0019】
なお、本実施形態では、画素回路を構成する薄膜トランジスタは全て同一工程、同一層構造で形成され、半導体層にポリシリコンを用いたトップゲート構造の薄膜トランジスタである。全て同一の導電型の薄膜トランジスタで構成することにより、製造工数の増大を抑制することができる。また、第2スイッチ26を画素スイッチ20、第1スイッチ24とは異なる導電型の薄膜トランジスタ、ここではn型薄膜トランジスタで構成し、そのゲートの制御を第1走査線Yで行なうことも可能である。この場合、第2スイッチのゲートは、画素スイッチ20、第1スイッチ24b、24cと同じ波形で制御されることが望ましい、つまり、抵抗素子30を介して走査線Yに接続することが望ましい。これにより、表示領域内での配線数を削減することができる。
【0020】
次に、図3を参照して、第1スイッチ、駆動トランジスタ、および有機EL素子16の構成を詳細に説明する。ここでは、第1スイッチの内、第1スイッチ24aを代表して説明する。
駆動トランジスタ22および第1スイッチ24aをそれぞれ構成したPチャネル型の薄膜トランジスタは、光透過性絶縁基板8上に形成されたポリシリコンからなる半導体層50を備え、この半導体層はソース領域50a、ドレイン領域50b、およびソース、ドレイン領域間に位置したチャネル領域50cを有している。半導体層50に重ねてゲート絶縁膜52が形成され、このゲート絶縁膜上にゲート電極Gが設けられチャネル領域50cと対向している。ゲート電極Gに重ねて層間絶縁膜54が形成され、この層間絶縁膜上にソース電極(ソース)Sおよびドレイン電極(ドレイン)Dが設けられている。ソース電極Sおよびドレイン電極Dは、それぞれ層間絶縁膜54およびゲート絶縁膜52に貫通形成されたコンタクトを介して半導体層50のソース領域50aおよびドレイン領域50cに接続されている。第1スイッチ24aのドレイン電極Dはゲート絶縁膜52上に形成された配線を介して駆動トランジスタ22のゲート電極Gに接続されている
なお、画素スイッチ20、第1スイッチ24b、24c、第2スイッチ26を構成する各薄膜トランジスタも上記と同一の構造に形成されている。また、3つの第1スイッチ24a、24b、24cの内、最も駆動トランジスタ22のゲート側に接続された第1スイッチ24aのチャネル領域50cは、他の第1スイッチ24b、24c、画素スイッチ20のチャネル領域よりも小さいチャネル面積に形成されている。本実施形態では、第1スイッチ24aのチャネル長Lを第1スイッチ24b、24cおよび画素スイッチ20のチャネル長Lよりも短く形成している。例えば、第1スイッチ24aのチャネル長Lは3μm、第1スイッチ24b、24cのチャネル長Lは4〜9μmに形成され、また、チャネル幅はいずれのスイッチも共通で3μmに形成されている。
【0021】
図3に示すように、層間絶縁膜54上には複数の配線が設けられている。層間絶縁膜54上にはソース電極S、ドレイン電極D、配線を覆って保護膜56が形成されている。更に、保護膜56上には、親水膜58、隔壁膜60が順に積層されている。
【0022】
有機EL素子16は、ルミネセンス性有機化合物を含む有機発光層64をアノード62およびカソード66間に挟持した構造を有している。アノード62は、ITO(インジウム・ティン・オキサイド)等の透明電極材料から形成され、保護膜56上に設けられている。親水膜58および隔壁膜60の内、アノード62上の部分はエッチングにより除去されている。そして、アノード62上にアノードバッファ層63および有機発光層64が形成され、更に、有機発光層64および隔壁膜60に重ねてバリウム・アルミ合金から成るカソード66が積層されている。
【0023】
このような構造の有機EL素子16では、アノード62から注入されたホールと、カソード66から注入された電子とが有機発光層64の内部で再結合したときに、有機発光層を構成する有機分子を励起して励起子を発生させる。この励起子が放射失活する過程で発光し、この光が有機発光層64から透明なアノード62および光透過性絶縁基板8を介して外部へ放出される。
【0024】
ここで、アノード62を第2スイッチ26およびPチャネル型の駆動トランジスタ22を介して、アノード62を第1電圧電源Vddに接続し、カソード66を第2電圧電源Vssに接続する場合について説明したが、カソード66を第2スイッチ26のドレインを介して駆動トランジスタ22のドレインに、アノード62を第2電圧電源Vssに接続してもよい。いずれの場合も光出射面側を透明導電材料で形成する必要があり、例えばカソード電極66を光出射面側に配置する場合には、アルカリ土類金属、希土類金属を光透過性を有する程度に薄く形成することで達成できる。
【0025】
一方、図1に示すコントローラ12は有機ELパネル10の外部に配置されたプリント回路基板上に形成され、走査線駆動回路14および信号線駆動回路15を制御する。コントローラ12は外部から供給されるデジタル映像信号および同期信号を受け取り、垂直走査タイミングを制御する垂直走査制御信号、および水平走査タイミングを制御する水平走査制御信号を同期信号に基づいて発生し、これら垂直走査制御信号および水平走査制御信号をそれぞれ走査線駆動回路14および信号線駆動回路15に供給すると共に、水平および垂直走査タイミングに同期してデジタル映像信号を信号線駆動回路15に供給する。
【0026】
信号線駆動回路15は水平走査制御信号の制御により各水平走査期間において順次得られる映像信号Data1〜Datamをアナログ形式に変換し電流信号として複数の信号線Xに並列的に供給する。走査線駆動回路14は、シフトレジスタ、出力バッファ等を含み、外部から供給される水平走査スタートパルスを順次次段に転送し、出力バッファを介して各行の表示画素PXに2種類の制御信号、すなわち、制御信号Sa、制御信号Sbを供給する。これにより、各第1、第2走査線Y、Bgは、互いに異なる1水平走査期間において、それぞれ制御信号Sa、制御信号Sbにより駆動される。
【0027】
図4に示すタイミングチャートを参照して、走査線駆動回路14および信号線駆動回路15の出力信号に基づく画素回路18の動作について説明する。
走査線駆動回路14は、例えば、スタート信号a(Starta)とクロックa(Clka)とから各水平走査期間に対応した幅(Tw−Starta)のパルスを生成し、そのパルスを制御信号Saとして出力する。また、走査線駆動回路14は、制御信号Saを反転させて制御信号Scを生成する。
【0028】
画素回路18の動作は、映像信号書込み動作および発光動作に分けられる。図4の時点t1で、制御信号Saが第1スイッチおよび画素スイッチをオン状態とするレベル、ここではローレベル、制御信号Sbが第2スイッチをオフ状態とするレベル、ここではハイレベルとなる。これにより、画素スイッチ20および第1スイッチ24a、24b、24cがオン(導通状態)、第2スイッチ26がオフ(非導通状態)に切換えられ映像信号書込み動作が開始される。ここで、制御信号Saは、第1スイッチ24aに対しては第1走査線Yから直接入力され、第1スイッチ24b、24cおよび画素スイッチ20に対しては第1走査線Yから抵抗素子30を介して入力される。そのため、図2および図5に示すように、第1スイッチ24aのゲート側に位置したA点での制御信号波形は、第1スイッチ24b、24cおよび画素スイッチ20のゲート側に位置したB点での制御信号波形よりも早くオンレベル(ローレベル)側へ変位する。これにより、第1スイッチ24b、24cおよび画素スイッチ20は第1スイッチ24aよりも僅かに遅延してオン状態となる。
【0029】
映像信号書込み期間(t1〜t2)において、駆動トランジスタ22はダイオード接続状態となり、また、画素スイッチ20を通して対応信号Yから映像信号DATAが取り込まれる。つまり、定電流源であるアナログ変換回路に接続した信号線Xおよび画素回路により、駆動トランジスタ22のソース、ドレイン間に流れる電流が所望の定電流となるよう設定される。そして、この電流量に対応した駆動トランジスタ22のゲート、ソース間電位がゲート制御電圧として保持容量28に書き込まれる。
【0030】
次に、時点t2では、制御信号Saおよび制御信号Scがそれぞれハイレベル、ローレベルとなり、画素スイッチ20および第1スイッチ24a、24b、24cがオフ、第2スイッチ26がオンとなる。これにより、映像信号書込み動作2が終了し、発光動作が開始する。ここで、前述したように、第1スイッチ24b、24cおよび画素スイッチ20は抵抗素子30を経由して制御信号Saにより駆動させる。そのため、図5に示すように、制御信号Saがローレベルからハイレベルに立ち上がる際、第1スイッチ24aのゲート側に位置したA点での制御信号波形は、第1スイッチ24b、24cおよび画素スイッチ20のゲート側に位置したB点の制御信号波形よりも早くハイレベル側へ変位する。従って、第1スイッチ24aが先にオフ状態となり、第1スイッチ24b、24cおよび画素スイッチ20は第1スイッチ24aよりも遅延してオフ状態に切換えられる。
【0031】
なお、第1スイッチ24aがオフしてから第1スイッチ24b、24cおよび画素スイッチ20がオフするまでの遅延期間は、抵抗素子30の抵抗値を選択することにより調整でき、走査線の配線時定数以上となるよう、例えば0.2μs以上、より望ましくは1μs以上に設定される。
【0032】
発光期間において、駆動トランジスタ22は、保持容量28に書き込まれたゲート制御電圧により、映像信号に対応した電流量を有機EL素子16に供給する。これにより有機EL素子16が発光し、発光動作が開始される。そして、有機EL素子16は、1フレーム期間後に、再び制御信号Saが供給されるまで発光状態を維持する。
【0033】
以上のように、本実施形態に係る有機EL表示装置では、第1スイッチ24b、24cおよび画素スイッチ20のゲートと第1走査線Yとの間に抵抗素子30を設け、最も駆動トランジスタ22のゲートに隣接した第1スイッチ24aに対し、第1スイッチ24b、24cおよび画素スイッチ20のオン、オフ切換えタイミングを遅延させることにより、映像信号の書込み動作終了時、第1スイッチ24aを先にオフした後、第1スイッチ24b、24cおよび画素スイッチ20をオフに切換える構成としている。そのため、第1スイッチ24b、24cおよび画素スイッチ20のオフ切換え時にフィードスルー電圧が発生した場合でも、先にオフ状態となっている第1スイッチ24aにより、フィードスルー電圧が駆動トランジスタ22のゲート側へ流れることを防止できる。これにより、映像信号の書込み動作を確実に行ないつつ、フィードスルー電圧に起因する駆動トランジスタ22のゲート制御電圧の変動、バラツキを低減し、複数の表示画素間における輝度のバラツキを抑制することが可能となる。以上のことから、表示ムラの発生を防止し、表示品位の向上したアクティブマトリクス型の有機EL表示装置が得られる。
【0034】
更に、本実施形態によれば、駆動トランジスタ22のゲートに最も隣接した第1スイッチ24aのチャネル面積は、第1スイッチ24b、24cおよび画素スイッチ20のチャネル面積よりも小さく形成されていることから、第1スイッチ24aのオン、オフ切換え時に発生するフィードスルー電圧およびそのバラツキを低減することができる。従って、駆動トランジスタ22のゲート制御電圧の変動、バラツキを一層低減でき、その結果、複数の表示画素間で輝度のバラツキを低減し表示ムラ低減を図ることが可能となる。
【0035】
なお、上述した実施形態では、表示画素の遅延素子として抵抗素子30を用いたが、これに限らず、他の遅延素子を適用することも可能である。図6に示すこの発明の第2の実施形態に係る有機EL表示装置によれば、遅延素子はダイオード素子70により構成されている。このダイオード素子70は、薄膜トランジスタにより構成され、そのソースが第1走査線Yに、ドレインが第1スイッチ24b、24cおよび画素スイッチ20のゲートにそれぞれ接続されている。また、この薄膜トランジスタのゲートはソースに接続されている。これにより、駆動トランジスタはダイオード接続され、ダイオード素子70として機能する。
なお、第2の実施形態において、他の構成は前述した第1の実施形態と同一であり、同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0036】
上記第2の本実施形態によれば、第1スイッチ24b、24cおよび画素スイッチ20のゲートと第1走査線Yとの間にダイオード素子70を設けることにより、最も駆動トランジスタ22のゲートに隣接した第1スイッチ24aに対し、第1スイッチ24b、24cおよび画素スイッチ20のオン、オフ切換えタイミングを遅延させることができる。特に、ダイオード素子70を用いることにより、制御信号の立下り、および立上がり時の遅延に差を設けることができる。すなわち、図6および図7に示すように、制御信号Saがハイレベルからローレベルに立下る際、ダイオード素子70はオン状態となり順方向電流で動作し、その抵抗が小さい。そのため、第1スイッチ24b、24cおよび画素スイッチ20のゲート側に位置したB点での制御信号波形は、第1スイッチ24aのゲート側に位置したA点での制御信号波形とほぼ同時に立下り、第1スイッチ24b、24cおよび画素スイッチ20は第1スイッチ24aに対し短い遅延にてオン状態となる。
【0037】
これに対し、制御信号Saがローレベルからハイレベルに立上がる際、ダイオード素子70はオフ状態となり、ソース、ドレイン間のリーク電流によって動作する。そのため、ダイオード素子70の抵抗は大きくなる。この場合、A点における制御信号波形の立上がりに対し、B点における制御信号波形の立上がりの遅延が大きくなる。従って、第1スイッチ24aが先にオフ状態となり、第1スイッチ24b、24cおよび画素スイッチ20は第1スイッチ24aよりも遅延してオフ状態に切換えられる。
【0038】
以上のことから、フィードスルー電圧に起因する駆動トランジスタ22のゲート制御電圧の変動、バラツキを低減し、複数の表示画素間における輝度のバラツキを抑制することができる。また、スイッチをオフに切換える場合にのみ遅延を大きくすることが可能となり、抵抗素子により制御信号の立上がり、立下りの両方に遅延を発生させる場合に比較して、表示画素をより高速で動作させることができる。なお、制御信号の立上がり、立下り時の遅延の大きさは、ダイオード素子のW/L(チャネル幅/チャネル長)の値により調整することができる。
【0039】
図8に示すこの発明の第3の実施形態に係る有機EL表示装置によれば、各表示画素PXの遅延素子は、制御信号Saの立下がり時に順方向電流で動作する第1ダイオード素子70a、および制御信号の立上がり時に順方向電流で動作する第2ダイオード素子70bにより構成されている。第1ダイオード素子70aは、薄膜トランジスタにより構成され、そのソースが第1走査線Yに、ドレインが第1スイッチ24b、24cおよび画素スイッチ20のゲートにそれぞれ接続されている。また、薄膜トランジスタのゲートはそのソースに接続されている。これにより、薄膜トランジスタはダイオード接続され、第1ダイオード素子70aとして機能する。
【0040】
第2ダイオード素子70bは、薄膜トランジスタにより構成され、そのソースが第1走査線Yに、ドレインが第1スイッチ24b、24cおよび画素スイッチ20のゲートにそれぞれ接続されている。また、この薄膜トランジスタのゲートはそのドレインに接続されている。これにより、薄膜トランジスタはダイオード接続され、第2ダイオード素子70bとして機能する。そして、第1および第2ダイオード素子70a、70bは共通のソース、ドレインを用いて逆向きに構成され、つまり逆方向のダイオード素子を並列接続した構造となっている。
なお、第3の実施形態において、他の構成は前述した第1の実施形態と同一であり、同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0041】
上記第3の本実施形態によれば、図8および図9に示すように、制御信号Saの立下り時、第1ダイオード素子70aの順方向電流動作により、B点における制御信号の立下りに遅延を発生させ、また、制御信号Saの立上がり時には、第2ダイオード素子70bの順方向電流動作により、B点における制御信号の立下りに遅延を発生させる。従って、制御信号の立下りおよび立上がりを、いずれもダイオード素子の順方向電流で調整することができ、立下りおよび立上がりを個別に制御可能となる。そのため、前述した実施形態と同様の作用効果が得られるとともに、設計の自由度を上げることができる。
【0042】
有機EL表示装置の画素回路は電流信号方式に限らず、電圧信号方式の画素回路として構成してもよい。図10は本発明の第4の実施形態に係る有機EL表示装置の表示画素PXを示している。各表示画素PXは、自己発光素子である有機EL素子16、およびこの有機EL素子に駆動電流を供給する画素回路18により構成されている。画素回路18は電圧信号からなる映像信号に応じて有機EL素子16の発光を制御する電圧信号方式の画素回路であり、画素スイッチ20、駆動トランジスタ22、複数、例えば3つの第1スイッチ24a、24b、24c、第2スイッチ26、保持容量28a、26b、遅延素子として機能する抵抗素子30を備えている。画素スイッチ20、駆動トランジスタ22、第1スイッチ24a、24b、24c、第2スイッチ26は、同一導電型、例えばPチャネル型の薄膜トランジスタにより構成されている。
【0043】
駆動トランジスタ22のソースは第1電圧電源Vddに接続されている。駆動トランジスタ22のゲート、ソース間には保持容量28aが接続され、ゲート、ドレイン間には第1スイッチ24a、24b、24cが直列に接続されている。
駆動トランジスタ22のゲートは、保持容量28bを介して画素スイッチ20のドレインに接続され、画素スイッチのソースは信号線Xに接続されている。駆動トランジスタ22のドレインは、第2スイッチ26を介して有機EL素子16のアノードに接続され、有機EL素子のカソードは第2電圧電源Vssに接続されている。
【0044】
そして、最も駆動トランジスタ22のゲート側に接続された第1スイッチ24aのゲートは、抵抗素子30を介することなく第1走査線Yに接続され、他の第1スイッチ24b、24cのゲートおよび画素スイッチ20のゲートは、それぞれ抵抗素子30を介して第1走査線Yに接続されている。
【0045】
各画素回路18には、図示しない信号線駆動回路から出力され電圧信号からなる映像信号DATAが信号線Xを介して入力される。また、画素スイッチ20、第1スイッチ24a、24b、24cおよび第2スイッチ26は、図示しない走査線駆動回路で生成された制御信号Sa、および制御信号Sbによりそれぞれオン、オフ制御される。
【0046】
第4の実施形態において、他の構成は前述した実施形態と同一であり、同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。上記構成の第4の実施形態においても、抵抗素子30を設けることにより、最も駆動トランジスタ22のゲートに隣接した第1スイッチ24aに対し、第1スイッチ24b、24cおよび画素スイッチ20のオン、オフ切換えタイミングを遅延させることができ、第1スイッチ24aを先にオフした後、第1スイッチ24b、24cおよび画素スイッチ20をオフに切換えることが可能となる。これにより、映像信号の書込み動作を確実に行ないつつ、フィードスルー電圧に起因する駆動トランジスタ22のゲート制御電圧の変動、バラツキを低減し、表示品位の向上したアクティブマトリクス型の有機EL表示装置が得られる。
なお、第4の実施形態において、遅延素子は抵抗素子に代え、図6あるいは図8に示したダイオード素子を用いてもよい。
【0047】
本発明は前述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することできる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0048】
前述した実施形態では、画素回路を構成する薄膜トランジスタを全て同一の導電型、ここではPチャネル型で構成する場合について説明したが、これに限定されず、全てをNチャネル型の薄膜トランジスタで構成することも可能である。また、画素スイッチ、第1スイッチをNチャネル型の薄膜トランジスタ、駆動トランジスタおよび第2スイッチをPチャネル型の薄膜トランジスタでそれぞれ構成するなど、画素回路を異なる導電型の薄膜トランジスタを混在して形成することも可能である。
【0049】
更に、薄膜トランジスタの半導体層は、ポリシリコンに限らず、アモルファスシリコンで構成することも可能である。表示画素において、第1スイッチの数は3つに限らず、2つあるいは4つ以上としてもよい。また、表示画素を構成する自己発光素子は、有機EL素子に限定されず自己発光可能な様々な発光素子を適用可能である。
【0050】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、表示ムラを低減し、表示品位の向上したアクティブマトリクス型表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る有機EL表示装置の構成を示す回路図。
【図2】 上記有機EL表示装置における表示画素の等価回路を示す図。
【図3】 上記有機EL表示装置の一部を示す断面図。
【図4】 図2に示す表示画素の動作を説明するためのタイミングチャート。
【図5】 上記表示画素におけるスイッチをオン、オフ制御する制御信号波形を示す図。
【図6】 本発明の第2の実施形態に係る有機EL表示装置における表示画素の等価回路を示す図。
【図7】 上記第2の実施形態に係る有機EL表示装置の表示画素におけるスイッチをオン、オフ制御する制御信号波形を示す図。
【図8】 本発明の第3の実施形態に係る有機EL表示装置における表示画素の等価回路を示す図。
【図9】 上記第3の実施形態に係る有機EL表示装置の表示画素におけるスイッチをオン、オフ制御する制御信号波形を示す図。
【図10】 本発明の第4の実施形態に係る有機EL表示装置における表示画素の等価回路を示す図。
【符号の説明】
12…コントローラ、 14…走査線駆動回路、
15…信号線駆動回路、 16…有機EL素子、 18…画素回路、
20…画素スイッチ、 22…駆動トランジスタ、
24a、24b、24c…第1スイッチ、
26…第2スイッチ、 28、28a、28b…保持容量、
30…抵抗素子、 62…アノード電極、 64…有機発光層、
66…カソード電極、 70…ダイオード素子、
70a…第1ダイオード素子、 70b…第2ダイオード素子、
PX…表示画素、 Vdd…第1電圧電源、 Vss…第2電圧電源、
Y…第1走査線、 X…信号線、 Bg…第2走査線。
Claims (10)
- マトリクス状に配列された複数の表示素子と、
第1端子が第1電源端子に接続され、第2端子が前記表示素子に接続され、制御端子が保持容量を介して前記第1端子に接続する駆動トランジスタと、
それぞれトランジスタにより形成され前記制御端子、前記第2端子間に直列に接続されているとともに走査線からの制御信号に応じてオン、オフ制御される複数のスイッチと、
前記複数のスイッチの内、前記駆動トランジスタの最も前記制御端子側に設けられたスイッチを除く他のスイッチと前記走査線との間に接続され、前記最も前記制御端子側に設けられたスイッチに対して前記他のスイッチのオン、オフ切換えタイミングを遅延させる遅延素子と、
を備えていることを特徴とするアクティブマトリクス型表示装置。 - 前記遅延素子は、抵抗素子で構成されていることを特徴とする請求項1に記載のアクティブマトリクス型表示装置。
- 前記抵抗素子は、ライトリー・ドープド・ドレイン型のポリシリコンにより形成されていることを特徴とする請求項2に記載のアクティブマトリクス型表示装置。
- 前記遅延素子は、ダイオード素子により構成されていることを特徴とする請求項1に記載のアクティブマトリクス型表示装置。
- 前記遅延素子は、上記制御信号の立上がり時に順方向電流で動作する第1ダイオード素子、および上記制御信号の立下り時に順方向電流で動作する第2ダイオード素子により構成されていることを特徴とする請求項1に記載のアクティブマトリクス型表示装置。
- 前記表示素子は、電流信号により制御されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のアクティブマトリクス型表示装置。
- 前記表示素子は、対向する電極間に有機発光層を備えた発光素子であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のアクティブマトリクス型表示装置。
- 前記駆動トランジスタおよび前記スイッチは、半導体層にポリシリコンを用いた薄膜トランジスタで構成されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載のアクティブマトリクス型表示装置。
- 前記複数のスイッチの内、前記駆動トランジスタの最も制御端子側に接続されたスイッチは、他のスイッチのチャネル面積よりも小さいチャネル面積を有していることを特徴とする請求項8に記載のアクティブマトリクス型表示装置。
- マトリクス状に配列された複数の表示画素と、前記表示画素の行毎に接続されそれぞれ独立して設けられた複数の第1および第2走査線と、前記表示画素の列毎に接続された複数の信号線と、を備え、
各表示画素は、供給電流に対応して発光する自己発光素子、前記第1走査線からの制御信号に応じてオン、オフ制御され前記信号線上の映像信号を取り込む画素スイッチ、前記画素スイッチを介して取り込まれた映像信号に対応する制御電圧を保持する保持容量、第1および第2電圧電源間で前記自己発光素子と直列に接続され前記保持容量に保持された制御電圧に応じて前記自己発光素子に供給される電流量を出力する駆動トランジスタ、それぞれ薄膜トランジスタにより形成され前記駆動トランジスタのゲート、ドレイン間に直列に接続されているとともに前記第1走査線からの制御信号に応じてオン、オフ制御される複数の第1スイッチ、前記駆動トランジスタと前記自己発光素子との間に接続され前記第2走査線からの制御信号に応じてオン、オフ制御される第2スイッチ、および、前記複数の第1スイッチの内、前記駆動トランジスタの最もゲート側に設けられた第1スイッチを除く他の第1スイッチと前記第1走査線との間、および前記第1走査線と前記画素スイッチとの間に接続され、前記最もゲート側の第1スイッチに対して前記他の第1スイッチおよび画素スイッチのオン、オフ切換えタイミングを遅延させる遅延素子を含んでいることを特徴とするアクティブマトリクス型表示装置。
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